ポラス 越谷市初の特例子会社へ 障がい者中心の新会社設立
「ポラスシェアード」オフィス内
ポラスグループのポラスが障がいのある人により多くの働く機会を提供するために「ポラスシェアード」を2月6日に設立し、3月16日から事業を開始した。どのような職場で、何を目指すのか興味があったので取材した。責任者のビジネスサポート課課長・加知方真美子氏は「助走段階を経て第一歩を踏み出せた。親(ポラス)から自立し、利益が出る会社にしたい」と語った。
ポラスグループは、これまでも障がい者の雇用促進に努めてきたが、より多くの障がい者の能力が発揮できる環境や安心して働ける場を恒常的に提供するためには、「障害者の雇用の促進等に関する法律」(障害者雇用促進法)に基づく特例子会社を設立することが最善と判断し、新会社を設立した。
新会社は20名(うち17名が障がい者)でスタート。県内からの通勤者が約7割で、残りは東京都と千葉県など。
当面はオフィスサポート業務を中心に、住宅メーカーならではの図面作成補助(色づけや製本など)や設計での通風計算などを考えているが、それぞれが補完し合い多種多様な仕事を確保していきたいとしている。
障害者雇用促進法では、従業員50名以上の会社は、障がいがある従業員を従業員全体の2%以上雇用することが義務付けられているが、障害者のための特別な配慮をした子会社を設立し、一定の要件を満たす場合には、その子会社に雇用されている障害者を親会社や企業グループ全体で雇用されているものとして算定できる特例が設けられている。
平成26年5月末現在、特例子会社は全国で391社あり、住宅・不動産関連では三井不動産、長谷工コーポ、レオパレス、大和ハウスグループなどが設立している。埼玉県は21社で、同社が認可されれば越谷市で初となる。
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記者もそうだが、ほとんどみんな障がいのある人が身近にいる。厚労省のデータによると、身体障害者は366.3万人(人口千人当たり29人)、知的障害者は54.7万人(同4人)、精神障害者は320.1万人(同25人)で、およそ国民の6%が何らかの障がいを有している。
この数字は、法律や制度によるもので、「障害」の定義にも問題がないとは言えず、データに表れない人を含めるとその数倍はあるのではないか。例えばOECDのデータ。「過去6カ月間に健康問題や障害がある」と答えた稼働年齢(20~64歳)の障害者割合は20カ国平均で14%あり、もっとも高いスウェーデンは20.5%に達している。もっとも低いのは韓国で3.0%。わが国にはそんなテータはないが、「あなたは何らかの障害を抱えていますか」と聞かれたら、どれだけの人が「ノー」と答えられるか。そんな疑問を抱きつつ、これからのマンションやその他の取材にも生かそうとも考え、同社の取材に出かけた。大正解であった。
加知方氏は、「代表(中内晃次郎氏)とは30回は話し合った。思いは一緒。障がいを持っている人がそれぞれの技術を生かし、カバーしあい、働き甲斐が持てる職場にしたい。現在、30業務を行っている。下請けではなくパートナーとして評価してもらえる会社に伸ばしたい」と語った。
その加知方氏が「私のパソコンの師匠」という、同社が請負った注文住宅の顧客にプレゼントする図面作成の補助を担当している瀬谷裕太氏(22)は、「工業・情報系の高校を卒業しているので、CADの操作は学んでいたが、建築CADは初めてだった。最近は慣れてきたが、表紙も全て手作りなので1冊作るのに約8時間。将来はデザインの仕事にチャレンジしたい」と話した。昨年、住んでいた吉川市から草加市に移り一人暮らしを始めたそうだ。
もう一人、車椅子利用の社員からも話を聞いた。その社員は、電車を利用する場合、エレベータのない駅もまだ多いこと、あっても遠回りをしないと利用できないなどの現状の改善を訴えた。
瀬谷氏(左)と加知方氏
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「障害」の漢字表記は差別的であることから「がい」とひらがな表記をするところが増えている。記事も双方を使い分けた。
そこで、いろいろ調べてみた。昭和20年に施行された「障害者の雇用の促進等に関する法律」でも「障害者」が用いられているが、「害」が使用されたのは戦後からで、戦前は「障碍」が用いられていたようだ。
「碍」は「さまたげる」という意味があり、1919年に設立された絶縁体メーカー「日本碍子」も「碍」が用いられた。「害子」では具合が悪いのだろう。商号は現在も「碍子」が用いられているが、1989年に社名表記は「日本ガイシ」に変更されている。ホームページでは「碍子」ではなく、ひらがなの「がいし」表記も多い。
「障碍」と「障害」のどちらがいいか分からないが、「障害」と「者」をくっつけて「障害者」とするから問題が生じるようにも思う。「障害」は「持つ」のか「ある」のか「受ける」のか「抱える」のかで微妙に意味も異なってくる。言葉を乱暴に扱ったからこそその反動が表れてきているのではないか。「障害」を英訳すればすぐ浮かぶのは「barrier」だし、「障害者」よりまだ「handicapped person」のほうがすんなり受け入れやすい。中国語では「残疾人」と呼ぶそうだ。
この呼称の問題も含め、健常者と障がい害が共存するインクルージョンの考え方が世の中に浸透するよう企業もわれわれサラリーマンも考えないといけない。同社には、障がい者の立場から戸建てやマンションの商品企画にユニバーサルデザイン(UD)提案がされることを期待したい。
大和ハウス WLB支援「アクティブ・エイジング制度」&「親孝行支援制度」導入
大和ハウス工業は3月27日、ワークライフバランス(WLB)支援のため65歳以降も勤務可能な「アクティブ・エイジング制度」と介護が必要な親を持つ社員の帰省旅費を補助する「親孝行支援制度」を4月1日付で導入すると発表した。
「アクティブ・エイジング制度」は、年齢制限を設けていないため、労働意欲があり、一定の業績が認められるシニア社員については年齢の制約にしばられることなく、勤務を継続することが可能となる。雇用体系は嘱託雇用で毎年更新、給与は20万円/月、週4日勤務(週休3日)など。同社は現在、60歳~65歳のシニア層(394人)を正社員として継続雇用している。
「親孝行支援制度」は、遠方に介護が必要な親をもつ社員の経済的負担の軽減を図るため、年4回を上限に、帰省距離に応じた補助金(1.5万~5.5万円/回)を支給するもの。同社は2012年4月から期限の上限がない介護休業制度を導入しているが、転勤などにより遠方に介護が必要な親をもつ社員は、親元に何度も帰省しなければならず、旅費負担が足かせとなっていたという。
近鉄不動産 首都圏の事業拡大へ 「法人営業センター東京」開設
近鉄不動産は4月2日、「法人営業センター東京」を開設する。投資用および事業用不動産の取扱いやリーシングも含めた首都圏の収益拡大を目指すもので、既存の「近鉄の仲介新宿営業所」(東京都新宿区)を増床し、新たに法人営業部門を設置する。
「法人営業センター東京」は東京メトロ丸ノ内線・副都心線・都営新宿線新宿3丁目駅から徒歩2分。新宿2丁目5番10号 成信ビル9階(「近鉄の仲介新宿営業所」隣接)スタッフは担当部長2名、所長1名含む計8名。
大和ハウスグループの大和リース 全国の自治体・学校に49台蓄電池寄贈
大和ハウスグループの大和リースは3月25日、非常時の地域支援活動の一環としてリチウムイオン蓄電池「パワーイレ」を全国の自治体や学校15カ所に49台寄贈すると発表した。
同社は全国の庁舎や学校などの公共施設でPFI、PPP事業を行っており、阪神・淡路大震災や東日本大震災などの国内外の災害時においては応急仮設住宅の建設に携わってきた。その経験から、緊急時に司令塔の役割を果たす行政を支援したいという思いから寄贈することにしたもの。
東急リバブル 「千歳烏山」など一挙に5店舗新設
東急リバブルは3月23日、売買仲介店舗「千歳烏山センター」(東京都世田谷区)、「日暮里センター」(同荒川区)、「武蔵小金井センター」(同小金井市)、「芦屋センター」(兵庫県芦屋市)、「琴似センター』(北海道札幌市)の5店舗を4月2日(木)に開設すると発表した。
今回の出店により同社の全国リバブルネットワークは162カ所になる。
平成26年度 なでしこ銘柄 大和ハウス、積水ハウス、NTT都市開発が選定
大和ハウス工業は3月18日、経済産業省と東京証券取引所が女性活躍推進に優れた上場企業を選出する平成26年度(2015年)「なでしこ銘柄」に選定されたと発表した。
「なでしこ銘柄」は平成24年度から毎年実施されているもので、前年の26社から今回は40社に大幅に増加した。これまでは1業種1社とされていたが、今年度から社数の多い業種については2社に広げたのが主な増加の要因。「女性活躍」の取り組みが増えたためかどうかは不明。
建設業では同社が初めて選ばれたほか、積水ハウスが2年ぶりに復帰した。また、不動産業界からはNTT都市開発が初めて選定された。
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わが住宅・不動産業界から一挙に3社も「なでしこ銘柄」に選定されたことは結構なことだ。しかし、1業種2社までと制限をつけるのはいかがなものか。基準を満たしている会社は全て選定するのが本筋だろう。
さらに言えば、ことさら「なでしこ」を推奨するのも問題がある。性差は関係ないという意味で「サムライ・なでしこ」か「ジェンダーフリー」、あるいは「ダイバーシティ・なでしこ」にすべきだろう。銘柄が増えすぎて推奨する意味がなくなるのが理想ではないか。
長谷工総研 月刊誌「CRI」創刊35周年 記念セミナー
「CRIセミナー」(文京シビックセンターで)
長谷工コーポレーションの企業内研究所、長谷工総研は3月10日、月刊誌「CRI」創刊35周年記念セミナーを開催した。定員いっぱいの約90名が参加した。
冒頭、同研究所・久田見卓社長は「長谷工総合研究所は、長谷工コーポレーションが長谷川工務店という社名の時から企業内調査研究部門として発足、活動を開始し、1994年4月、長谷工総合研究所に改称しました。月刊誌「CRI」は昨年の9月号をもって創刊35周年を迎えることができました。みなさん読者の方々に感謝の気持ちをお伝えするためにCRIセミナーを開催させていただきました。今後とも常に新しい情報を発信してまいりますので、ご支援くださいますようお願いいたします」と挨拶した。
セミナーは、第1部で竹村公太郎氏が「地形から見た都市文明論」と題し、第2部では見城美枝子氏が「HOUSING 未来予想」と題しそれぞれ講演した。両氏ともCRIに寄稿しており、見城氏は2009年6月号から巻頭のエッセーを担当している。
久田見社長
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「CRI」には記者も創刊当時からお世話になっている。記者は主にミクロのマンション市場を追っていたが、CRIはマクロデータをいつも提供しており、全体像をとらえるのに重宝した。「継続は力なり」を実践した。
これから期待したいのは、より読者とのつながりを密にしていただきたいということだ。住宅・不動産業界の企業内研究所の対外活動では、旭化成ホームズの「くらしノベーション研究所」が定期的にセミナー・記者懇親会を行っており、突出した存在だ。長谷工総研も負けないでいただきたい。
野村不HD社長に沓掛氏、野村不社長に宮嶋氏 中井現社長は会長へ
沓掛氏(左)と宮嶋氏
野村不動産ホールディグスと野村不動産は3月6日、野村不動産ホールディングスの社長に沓掛英二副社長が、野村不動産の社長に宮嶋誠一副社長がそれぞれ昇格すると発表した。沓掛氏は6月の株主総会後に、宮嶋氏は4月1日付で就任する。宮嶋氏は同社初のプロパー社長となる。両社の社長を務める中井加明三氏は代表権のある会長にそれぞれ就任する。
沓掛英二氏(くつかけ・えいじ)は昭和35年生まれ、長野県出身。同59年明大卒。同年野村證券入社。平成20年執行役員、同24年副社長、同26年野村不動産ホールディングス副社長。
宮嶋誠一氏(みやじま・せいいち)は昭和33年生まれ、東京都出身。同56年早大卒。同年野村不動産入社。平成16年取締役、平成26年副社長。
ポラス 「第28回技能グランプリ」 大工部門で出場3選手全員が入賞
左から入賞した馬場氏、東吉氏、小林氏
ポラスグループは2月23日、特級、1級及び単一等級の技能者がその熟練の技を競う「第28回技能グランプリ」の大工部門で、同社グループのポラスハウジング協同組合から参加した東吉雄一氏が第2位を、小林保博氏と馬場和樹氏が敢闘賞を受賞し、参加した3名全員が入賞したと発表した。
今回の第28回大会は2月20日から23日の4日間、全28職種から444名が参加。大工部門では41名が参加。優勝1名、第2位3名、第3位3名、敢闘賞7名がそれぞれ表彰された。
ポラスグループの入賞は第25回から今回の第28回まで4大会連続。
東京建物 新グループステートメントは「次も選ばれる東京建物グループへ」
東京建物は2月12日、本年度をスタートとする5年間(2015~2019年度)のグループ中期経営計画を策定し発表した。
新しいグループステートメントは「次も選ばれる東京建物グループへ~革新的なグループシナジーで驚きの価値提供を~」。顧客から〝次も選ばれる〟ため、ハード面のクオリティだけではなく、上質なソフトやサービスを追求した事業展開を行うことで、〝お客様が驚きを感じられる魅力あふれる価値〟を提供しようという気持ちを込めた。
定量目標は営業利益500億円。「独自性や強み」を生かした分野への投資を進め、各事業のバリューチェーン強化と、多様な事業の有機的な協働による驚きの価値提供に努める。
このため、東京建物不動産販売の完全子会社化を行い、グループ総合力の強化を図る。具体的には東建不販の住宅販売機能を東建に統合し製販管一体化を図り、東京建物アメニティサポートの子会社化も実施する。東建不販に東建のCRE戦略支援機能を移管。シニア事業は東京建物シニアライフサポートに集約。余暇関連子会社の統合も行う。駐車場事業も拡大する。その他、事業領域を重点対象としたM&Aも推進する。