東急リバブル 女性営業職の活躍推進に新制度
東急リバブルは10月23日、女性営業職の活躍推進の一環として、産前産後のモチベーション維持と営業継続を支援するための新制度「営業職キャリアパスプログラム」を導入したと発表した。
妊娠・出産・育児を伴う営業職のための制度で、産休開始予定日が属する期については「営業職」、「事務職」から処遇の選択が可能になり、育児休業から復帰後は、営業目標の軽減が受けられる期間を従来の1年間から子が小学校3年生末になるまで延長した。
同社は近年、女性営業職が増加傾向にあり、2015年10月時点で、全営業職に占める女性営業職の割合は約14%となり、今年4月に新卒採用した総合職に占める女性の割合は23.6%に達した。
コンドルが設計した「綱町三井倶楽部」を観た 三井デザインテックがセミナー
「綱町三井倶楽部」
三井ホームグループの三井デザインテックが10月21日、「綱町三井倶楽部」でプレスセミナーを開き、同社が推進するクロスオーバーデザイン」の説明と懇親会を行った。関係者ら約100人が集まった。
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セミナーでは、同社のデザインラボラトリー所長・見月伸一氏や世代・トレンド評論家・牛窪恵氏ら数人が登壇して「クロスオーバーデザイン」について語り合った。
「クロスオーバーデザイン」とは、ホテル、住宅、オフィス、商業施設など異なる「モノ」としての空間性質を掛け合わせ、「モノ」の先にある「コト」をデザインすることで、新しい生活体験を提案することと位置付けられている。
女性の価値観を研究しているという牛窪氏は、「ライフステージが多様化、複雑化しており、エリア格差も広がっている。駅の北と南ではそれこそ文化が異なる。これらをクロスオーバーして観ることが求められている。また、SNSの発達により情報も膨大になっており、その情報をどう空間に落し込んでいくのか、とにかく現場に足を運び、五感で知ることが大事」などと話した。
懇親会場(天井高は約5m)
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同社が手がけるマンションや一戸建てのモデルルームデザインは数えきれないほど見学している。デベロッパーはパンフレットなどにその旨を必ず記載することからも、同社のデザイン力が優れていることは身をもって体験している。
同社ソリューション推進部のチーフデザイナー・山野奈緒氏によると、約30人のデザイナーのうち女性は8割を占めるそうで、同じチーフデザイナーの山口昭彦氏はもっぱら「推進役、調整役」だそうだ。
「女性活躍」の視点からすれば、この分野は圧倒的に女性が強い。男性諸氏も頑張っていただきたい。
ロダンの彫塑(このような作品がたくさん展示されていた)
暖炉(今は使用されていないが、この部屋には3カ所にあった。周囲は大理石。床にも細工がされていた)
トイレのカウンター(大理石だと思うが、見事なピンク色をしていた)
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当日は、RBA野球の記事を書くのを優先させたためセミナーには大幅に遅れたのだが記者の目的は他にあった。会場となった三井グループの迎賓館である「綱町三井倶楽部」の建物をとにかく観ることだった。
建物の敷地面積は約一万坪。完成は大正2年。設計したのは「鹿鳴館」「ニコライ堂」「三菱一~三号館」「大谷美術館(旧古河庭園)」「諸戸清六邸」など、明治から大正にかけて数々の作品を手掛けた英国人建築家のジョサイア・コンドルだ。現存する建物は数えるくらいしかない。「綱町三井倶楽部」はその中の一つだ。
これまで、外からは何度も眺めたが、建物の中に入ったことはない。三井不動産も記者会見などを行ったことはないはずだ。
なので、こんな機会は二度と訪れそうもないので、了解を得て写真を撮りまくった。
懇親会では白ワインを結構飲んだが、料理はサザエのフレンチを2個(サザエは酒と醤油を少し垂らしてそのまま焼くか蒸し焼きにするのが一番おいしい)とイカのオードブルなど2つを食べただけだ。食べる暇も誰かと話す機会などなかった。
とにかく写真をご覧いただきたい。三井財閥の重鎮がここで客をもてなし歴史をつくってきたのだと思うと言葉が出ない。
会場の正面はアール状になっているが、ガラスもアール状になっていた
天井
庭園に面したテラス
左から石井氏、オータパブリケーションズ専務・村上実氏、三井デザインテックソリューション推進部長・馬渡伸之氏、馬渡氏(村上氏と意気投合し撮った写真。女性の方は「名前だけならOK」ということなので肩書はなし)
村上氏は、自らのホームページで「一般読者向けの『月刊ザ・ホテル』編集長時代は年間150日国内外のホテル巡りという体力勝負の時代も経験。…現在毎日必ず1回はホテルで食事をすることをラ イフスタイルにしています」とある。記者もホテルは究極のマンションだから、名だたるホテルは見てきているが村上氏は桁違いだ。
今はガウディの「サグラダ・ファミリア」に何やら提案することを考えているそうだ。余計なお世話だが、毎日、ホテルで食事したら、ガウディどころかガチョウのフォアグラにならないか。お金はどうして工面するのだろう。
ナイス 横浜市と慶大と連携して「スマートウェルネス体感パビリオン」開設
「スマートウェルネス体感パビリオン」完成予想図
ナイスグループは10月31日(土)、横浜市および慶應義塾大学と共同で、産官学の連携による健康と環境に優しい家づくりの体験ができる日本初の施設「スマートウェルネス体感パビリオン」を同社の鶴見本社前にオープンする。
パビリオンは「見て・触れて・感じて・知る」をコンセプトに、健康寿命の延伸に寄与して環境にも貢献する「スマートウェルネス住宅 」の仕組みについて、「温熱」「空気」「睡眠」「安全・安心」「省エネ・エコ」の5つの要素を中心に実体験を通じて楽しく学べる施設。
慶應義塾大学理工学部の伊香賀俊治研究室による協力の下で、国が進めるスマートウェルネス住宅の普及啓発と連動した内容となっており、住宅の断熱性能の違いが健康に与える影響、住宅に用いる木材の使用率の違いによる心理的・生理的な影響に関する様々な実証実験を伊香賀研究室と共同で行い、スマートウェルネス住宅の推進に向けたエビデンスの集積などに努めていく。
オープンに先立つ10月27日(火)13時10分、林文子横浜市長、平田 恒一郎ナイスグループ代表、伊香賀俊治慶應義塾大学教授らが参加してオープン記念セレモニーが行われる。
東急リバブル 業界初の厚労省「均等・両立推進企業表彰」受賞
東急リバブルは9月30日、厚生労働省が実施する平成27年度「均等・両立推進企業表彰」の均等推進企業部門で大手不動産流通企業としては初めて「東京労働局長優良賞」を受賞したと発表した。
「均等・両立推進企業表彰」は、「女性労働者の能力発揮を促進するための積極的な取り組み」または「仕事と育児・介護との両立支援のための取り組み」について他の模範ともいうべき取り組みを推進している企業を表彰する制度。
今回同社が受賞した均等推進企業部門「東京労働局長優良賞」は、地域において、女性の能力発揮を促進するために、他の模範ともいうべき取り組みを推進している企業に与えられるもの。
同社は、2013年4月に大手不動産流通企業で初めてダイバーシティ推進P.T.(現ダイバーシティ推進課)を設置して以来、コース(職掌)転換を検討している社員を後押しする「キャリアアップ支援セミナー」の実施、売買仲介営業職の女性社員に対するメンタ―制度の導入、女性社員の管理職登用に向けた研修などさまざまな取り組みを推進している。
これらの取り組みをHPにて紹介することで、女性社員の採用拡大にも努めており、こうしたダイバーシティ推進の取り組みにより、売買仲介業の営業職に占める女性社員の割合が増加するなどの成果も出てきている。
こうした計画的な取り組みにより成果をあげていることが評価され、受賞となった。
東急リバブル 売買仲介店舗「赤羽センター」10月1日に開設
東急リバブルは10月1日(木)、売買仲介店舗「赤羽センター」を開設する。北区では初の店舗で、これにより東京都内23区すべてに店舗を設置することになる。
「赤羽センター」は、JR各線赤羽駅から徒歩1分、東京都北区赤羽1丁目14番1号 Tスクエアビル7階。電話03-6860-6109、FAX03-6672-5111。
今回の出店により、今年度の売買仲介店舗の新規出店数は7店舗となり、売買仲介と賃貸仲介をあわせた全国のリバブルネットワークは164カ所となる。
創建 「木組み工法」による神社・仏閣・個人住宅建て替え推進
完成した石山神社
創建グループの木の城たいせつ(本社:北海道夕張郡、吉村孝文社長)は、プレカット「木組み工法」による石山神社(北海道札幌)の建て替え事業を契機に神社、仏閣の建て替え事業の受注や個人住宅の新築・建て替えを推進していく。9月25日、石山神社の建て替えが完了したのを受けて記者発表会を行った。
石山神社は、石山が札幌軟石の産出地で、採石職人の安全を祈願するため明治18年に祀ったのが神社創建の由緒とされており、昭和2年に現社殿が完成している。主祭神は天照大御神。
神社では勧進を募り約4,000万円の予算で建て替えることを決め、伊勢神宮からの譲与材を使用して、毎年行われている秋祭りまでに完成させる条件で見積もりを募ったが、参加5社の提示は面積不足や予算超過などで事業は不可能となった。
そこで、木の城たいせつ社が予算内で竣工する提案を行い建て替えが実現した。地元材のカラマツを主要構造部に使用し、伊勢神宮からの譲与材を多用。100年以上の使用を可能とするよう、高床基礎、太い柱と梁の軸組工法、積雪に耐える大屋根、防火性能を備えているのが特徴。
建物は木造平屋建て、建築面積約37坪、契約金額は4,000万円。着工は2015年5月、竣工は同年8月。
木の城たいせつは、昭和24年創業。地域材を活かした住宅などの請負を行ってきたが、2007年に経営破たん。しかし、同社が建設した住宅のアフターメンテナンスや宮大工の技術を継承すべきという声の高まりで2009年に経営再開。2012年から産地証明付き北海道の無垢材100%住宅の販売を再開している。グループ全体の売上高は約18億円(2014年5月末)。従業員は52名。今年度は神社・仏閣、一般住宅など35棟・件の受注を目指す。
わが国の神社の数は81,235社(文化庁調べ)あるが、勧進(寄進)が集まりにくく、建築コストの高騰や宮大工不足などから建て替えが難航するケースが多いという。現在、宮大工の技術継承者は全国で100人とも言われている。
建て替え前の神社
完成した神社内
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記者発表会で、同社の前田雅彦氏が木組み工法による柱・梁の接合の仕方や伊勢神宮の譲与材の使用などについて説明した。
構造材はカラマツで、接合部を補強する込み栓にはカエデを採用。金物は建基法で定められている継手部分のみ使用したという。前田氏は「金物を遣わなくても強度的には問題ないが、金物を使わない場合は構造計算を行わなければならず莫大な費用が掛かる。一般住宅として確認申請すれば、金物を継ぎ手に使用していなければまず確認はおりない」と現行法の問題点も指摘した。
伊勢神宮からは13本のヒノキ材の柱などの譲与を受けたが、土中に埋まっている部分の傷みが激しく修復には苦労したという。工場で出た端材はかんなくずにいたるまで袋に入れて石山神社に戻したという。石山神社はそれをお守りなどにするのだそうだ。
構造材の接合部分について説明する前田氏(手にしているのが込み栓)
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伊勢神宮の式年遷宮は20年ごとにすべての社殿を建て替えることが知られており、第62回の神宮式年遷宮が平成27年3月に完了した。式年遷宮の際に解体される旧殿の用材は、神宮内やその摂社・末社をはじめ、全国の神社の造営などに再利用される。石山神社もその一つ。
9月8日に行われた秋季例大祭
野村不動産アーバンネット 中野駅北口に「野村の仲介+ 中野センター」
野村不動産アーバンネットは10月2日(金)、「野村の仲介+ 中野センター」を開設する。今回の店舗開設により「野村の仲介+」の部店数は、首都圏61部店・関西圏5部店の計66部店となる。
「野村の仲介+ 中野センター」は、JR中野駅北口徒歩1分、中野区中野五丁目64番5号、サンピオーネビル8階。センター長は佐藤大樹氏。電話:03-5318-5141、FAX:03-5318-5147。
大京グループ 健康プログラム成果を公表 メタボ幹部比率は非公開
第1回DHP研修(日蓮宗大本山・池上本門寺で)
大京グループは、昨年度から開始した社員の健康に投資する取り組みD H P(大京健康プログラム)の成果を発表した。大きな成果が得られたことで、今年度はさらに取り組みを強化するという。
昨年度のDHP研修は首都圏のBMI30以上の管理職を対象に実施し、半年間で参加者15名全員が減量に成功。そのうちの約半数が10~20kgの減量をすることができ、参加者からは「目標達成能力が向上した」「フットワークが軽くなり行動力が増した」などの声があったという。
今年度は対象者を全国・全職位に広げて開始し、BMI値30以上の約40名が、寺での精神修養から半年間の研修をスタート。2016年2月までの半年間、「運動」「食事」「ストレス」の3つの面で支援を受けながら、4回の集合研修と、毎月のパーソナルトレーナーによる個別面談支援、SNS を活用した参加者同士の情報共有を通じて、各人の目標値達成を目指す。
BMI値とは、身長から見た体重の割合を示す指数で、BMI=体重÷(身長×身長) 。適正体重=(身長×身長)×22。
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結構な取り組みだ。同社に限った事ではないが、取材先のデベロッパーの幹部は歳をとるごとに太り、メタボ体質の方が圧倒的に多い。若いときは仕入れや販売の現場で駆けずりまわっていたはずで、〝出世〟するごとに肥満体質になるのはいかがなものかと思う。なんでもそうだ。座学で得られるものは少ない。
いったい同社にはBMI値が30以上の管理職の比率はどれくらいあるのか、10~20㎏減量したら適正体重になったのか聞いてみたが、「個人情報もありますので」と広報にやんわりと断られた。
デベロッパー各社がこの情報を公開したら面白いものになる。マンション供給ランキングよりBMI値ランキングのほうがはるかに面白い。進んで公表する勇気のあるデベロッパーはいないのか。
記者も参考までに測ってみたら16.56(低体重)と出た。記者がメタボでないのは他に理由がある。その理由は馬鹿にされるのでちょっと言えないが、現場主義は貫いているつもりだ。若いときは適正体重を保っていた。
山寺での座禅は経験がある。アブが腕の血を吸っていたのをしばらく眺め、満腹になったであろうと判断したころで叩き潰そうとしたが逃げられた。そのとき、和尚が竹刀ではない警策(けいさく)でもって記者の肩を強かに打った。あとで聞いたのだが、打たれるときに頭を動かすと耳がそげることもあるそうだから、叩かれるときは背筋を伸ばし、身じろぎもせず瞑目することだ。それよりもアブや蚊に刺されても動かないのが無難だ。
健康増進に関することだが、自民党はたばこの値上げを検討しているようだが、それよりもメタボ税を創設したほうがみんな健康になれるし、数兆円の増収にもなるのではないか。
積水ハウス「ハローパパ育児」制度 劇的に増えた男性の育児休暇取得
積水ハウスの男女別育児休暇取得者数の推移
先日、積水ハウスの決算説明会・記者懇親会があり、「女性活躍」について同社経営企画部ダイバーシティ推進室室長・伊藤みどり氏と歓談する機会があった。
記者は「女性活躍」の核心は「男性の働き方を変える」ことだと伊藤氏に話した。働く女性には家事労働はもちろん、子どもが生まれるとほとんどそのすべての負担が女性にのしかかる。これは不平等だし、女性への負担が集中することは企業の経済活動にも支障をきたすし大きな損失にもつながると。
伊藤氏も「その通り」と仰った。そこで伊藤氏が話したのは同社の「ハローパパ育児」制度だった。昨年秋から開始したもので、男性の育児休暇が取得しやすいようにするのが主な目的だ。内容は次のようなものだ。
①従来煩雑であった「育児休暇」取得の手続きを通常の勤態システムで申請できるよう簡素化
②全従業員に「育児休暇」に対する理解を促進するため、グループ全従業員に「マンガでわかる仕事と育児の両立ガイド」を配布
③子供の出生を人事システムで会社に届出した際、上長に「育児休暇」取得を勧めてもらうメールを配信(積水ハウスのみ)
④本人には子供を健康保険の扶養に入れる際、健康保険証と一緒に「ハローパパ休暇」をPRするカードを配布(同)
この効果はてきめんだった。別表は同社の育児休暇取得者数の推移を見たものだ。
5年前の60期の女性の育児休暇取得者は87名で男性は30名だ。男性の取得者が多いか少ないかは判断できないが、おそらく住宅・不動産業界では突出して多いはずだ。女性と男性の割合も100:34だから、これも男性の比率は高い。
ハローパパ休暇の促進を図った64期(2014年2月~2015年1月)は女性が242名へ5年前と比べると約2.8倍に増加し、男性も119名へ約4.0倍に増加している。女性対男性の比率も100:49へ改善が進んでいる。他の業界はしらないが、これほど男性の取得率が高いのは大手企業ではないのではないかと思われる。
同社は男性の取得率30%を目指しており、65期下期には達成できる見込みという。
伊藤氏は、ハローパパ育児制度は「男性の育児参加の意識改革に寄与している。育児休暇を取得した男性従業員が、職場の育児中従業員の良き理解者となること、住まいづくりの提案においてもこの経験は非常に意味がある」とコメントしている。
「マンガでわかる仕事と育児の両立ガイド」
積水ハウス 一点の曇りもない好業績 同社に悩みはあるのか
積水ハウスは9月11日、平成28年1月期 第2四半期決算グループ経営計画説明会をおこなった。決算についてはマスコミ各社が報じている通り、一点の曇りもない秋晴れと形容していいくらい絶好調だ。
へそ曲がりの記者は、説明会で約1時間、決算内容説明と記者団の質問にてきぱきと答えた阿部俊則・代表取締役社長兼COOに「会社の課題や悩みはないのですか」と質問したら、阿部社長は「たくさんありますよ」と答えた。「一つでもいいですから教えてください」と突っ込んだが、「また、いずれ」と笑ってはぐらかされた。
そこで考えた。中長期的な事業環境は言うまでもなく住宅事業は縮小傾向に向かう。同社はその中でどうシェアを高めていくかだろうし、周辺の事業分野の深掘りをどう進めるかだ。
そのために社内の体制をどう整備するか。一つは人材の確保と育成だろうと見当をつけた。これはそれほど的を外していないと思う。
どんなに「スマートタウン」が優れていようが、ユニバーサルデザインの取り組みで他を圧していようと、「5本の樹計画」で抜きんでていようと、それを推進するのは人財だ。人を増やせばいいようなものだが、阿部社長が口癖のように言っている「どのように市場環境が変化しようが、筋肉質の収益基盤を構築」するためには闇雲に人を増やしたりはしないはずだ。
いかにグループの総合力を高め、人財を強化していくかが同社の最重要課題の一つとみた。
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そこで、我田引水だが最近取材を始めた「女性活躍」について。
女性の活用を積極的に行っている企業として経産省・東証が「なでしこ銘柄」として2012年度から毎年選定して発表している。同社は2013年度に続き2015年度も選定されている。2度も選定されているのはハウスメーカー初で、大和ハウス工業とNTT都市開発が2015年度に選ばれている。
記者は「なでしこ銘柄」を市場、つまり株式市場がどのように反応しているか非常に興味がある。ところが、経産省はなでしこ銘柄の選定後の株式の推移などについては追跡調査など行っていないようだ。東証には現在照会しており、近く回答があるはずだ。
記者の感触では、なでしこ銘柄に選定されたからと言って株式が敏感に反応した企業はほとんどないと見ている。「女性活躍」は喫緊の課題ではあるが、そのこと自体に株式が反応することはあり得ないからだ。
しかし、せっかくいい制度を設けたのだから、経産省や東証はきちんとデータを取り、情報を開示すべきだし、選定した企業には法人税を引き下げるとか、銀行の融資金利を引き下げるとか何らかのアドバンテージ、インセンティブ、を付与すべきだと思う。(三井住友銀行は今年から「SMBCなでしこ融資」制度を設けている)
阿部社長に「なでしこ銘柄制度はものすごくいいが、魂が入っていないのでは」と質問したら、「その通り」の答えが返ってきた。
参考までに。2015年度のなでしこ銘柄が発表されたのは3月18日だ。その前日の同社の株価は1,757円で、18日当日は1,758円。ほとんど反応していないというより、それ以降の株価は4月に入るまで下げ基調で推移している。反転したのは4月入ってから。4月1日の1,714円を底に6月3日の2,115円(これが現段階で今年の最高値)までほぼ一本調子で上昇し続けた。出来高も倍増した。しかし、これを「女性活躍」と結びつけるには無理がある。
それでもやはり、「女性活躍」が企業の価値を測る指標の一つとなるような社会を築かないといけない。そしてまた「女性活躍」と表裏一体をなす「男性の働き方」を改める必要性を痛感している。
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これはおまけだが、阿部社長は最近、「ザ・リッツ・カールトン京都」に泊まられたそうだ。このホテルの素晴らしさについては言うまでもない。記者もたくさん書いてきた。
1泊最低でも10万円するそうだが、リッツのホスピタリティは桁が違う。百聞は一見にしかず、目からうろこ、目から鼻だ。読者のみなさんにも是非一度利用されることを勧めたい。
もう一つ。日本初のマイクログリッドによる「東松島スマート防災エコタウン」について。
これは、同社と東松島市で推進している災害公営住宅と周辺の病院、公共施設などとマイクログリッドを構築し、地産地消で電力供給を行うものだ。これまたスマートシティ、コンパクトシティに最適なシステムだと思う。
発表会では、完成したエコタウンの一部がビデオで放映されたのだが、5本の樹計画らしきものはひとつもなかった。そこで担当者の執行役員・石田建一氏に質問したら「災害公営住宅では同社のアイデアを盛り込むような規定にはなっていない。わたしも残念に思う」ということだった。公営住宅のあり方を問う問題だ。