
「大手町の森」
東京建物は8月3日、大手町タワー内に整備した「大手町の森」の温熱環境調査結果発表会を実施し、国立研究開発法人 森林研究・整備機構森林総合研究所(森林総研)との共同研究の結果、真夏の森の内と外の気温は3℃以上、地表温度は最大15~16℃の差が確認されたと発表した。
観測地点は、森の歩道、森の中、ビルに隣接する永代通りの歩道の3地点で、2025年8月19日の3地点での10時~12時の歩道と永代通りの気温差は3℃以上、地表温度差は最大で15~16℃あり、ヒートアイランド現象の緩和に効果があることが確認された。
結果について、國學院大學・高山範理教授は「大手町の森で周辺歩道より低い気温が観測されたことは、都市緑地による暑熱緩和の可能性を示す興味深い結果です。都心で人々が一息つき、心身を整えられる場としての価値も期待されます」とコメントしている。
大手町タワーは2014年に竣工した地下6階・地上38階建ての大手町駅直結の大規模複合再開発ビル。敷地の約3分の1に該当する約3,600㎡の「大手町の森」を整備。整備に当たっては、自然林に共通する「疎密」「異齢」「混交」の3要素を計画的に導入するため、施工前に千葉県君津市で約1,300㎡の実験林「プレフォレスト」を3年間運用し、土壌や植栽、維持管理手法を検証し、その成果を踏まえ、関東近郊の山から集めた約200本の自然木や育成した土壌を移植し、本物の森を再現した。
2014年の竣工時に植えた植物は117種だったが、その後、土壌中の種子の発芽などにより301種まで増加。樹木の成長に伴う自然な競争を経て、2021年には208種へと変化し、日陰を好む植物が増えるなど森林としての成熟が進んでいる。希少なレッドリスト掲載植物も確認され、昆虫129種、鳥類13種、希少なトンボやハヤブサ、タヌキも訪れるなど、生物多様性が確認されている。
同社は「大手町タワー」のほか、グリーンインフラの取り組み事例として、高さ約31m、約3,000㎡の立体緑化空間「京橋の丘」を整備した「東京スクエアガーデン」、約1haの「樹林帯」を整備する「北青山三丁目地区市街地再開発事業」、同社が代表幹事を務める東京都立公園初のPark-PFI事業「都立明治公園」、2026年8月に開業する福岡市の「明治公園」を紹介した。




キビタキ(中村忠昌氏撮影)

タカ

タヌキ(担当者によると、食べたことはないがタヌキ汁はおいしくないとか)

ニリンソウ

ヤマブキソウ
◇ ◆ ◇
「大手町タワー」内に整備された「OOTEMORI」(大手町の森)は、勤務するオフィスが東京駅北口のビルにあったため、竣工してから度々訪れた。何が凄いかといえば、ほとんど自然のままの森が再現されていることだ。
自然に近い森といえば「明治神宮内苑」や「林試の森」など少なくはないが、「OOTEMORI」は都心のオフィス街であることに価値がある。都内には自然公園・緑地保全地域は約40か所指定されているが、23区内には一つもない。
この日公表された森の中、森の歩道、永代通りの歩道の観測地点の温度差は既知の情報ではあるが、改めて緑の果たしている役割を実証した。
一つお願いがある。樹冠被覆率を「緑被率」や「みどり率」に代わる新たな指標に加え、欧米ではかなり普及していると言われる「i-Tree」制度を導入していただきたいということだ。配布された資料には「樹冠により日影が形成されていることで、温度上昇を抑制」とあるが、わが国には「樹冠被覆率」という概念は定着していない。だから、街路樹などは電信柱のように強剪定される。それを咎める人はいない。わが業界紙の記者の方もほとんど関心を示さない(記者は、樹木に対する虐待か死刑だと思っている)。

1週間の間に「日経」と「AERA」 虐待される街路樹の実態報じる(2026/6/3)
看過できない国交省「TSUNAG」有識者発言〝緑地制度は先進的〟〝委員の負担大〟(2026/3/10)
「樹冠被覆率」の導入に大賛成 SMiLE・増田氏とロッシェル・カップ氏がセミナー(2026/2/10)
ニッケイ、ヨモギ、スミレなどを用いたカクテル提供 東京建物「森の市」(2025/11/21)
国交省「TSUNAG 認定」トリプル・スター 東京建物/三菱地所など/積水ハウス(2025/3/19)
Park-PFI活用「都立明治公園」来園者240万人突破 東京建物/公園を考える(2025/2/7)
皇居と大丸有の緑のネットワーク形成 物産・三井不「Otemachi One Garden」完成(2022/12/17)
台湾由来の幼虫(ヤゴ)都心で初めて確認 三菱地所「濠プロジェクト」見学(2022/6/5)

