コスモスイニシア 2025年3月期決算 増収増益 マンション単価上昇が寄与
コスモスイニシアは5月12日、2025年3月期決算を発表。売上高1,295億円(前期比4.0%増)、営業利益94億円(同27.3%増)、経常利益79億円(同18.9%増)、純利益53億円(同24.4%増)と増収増益となった。
セグメント別では、レジデンシャル事業は売上高484億円(前期比11.5%増)、セグメント利益13億円(同113.3%増)を計上。マンションの売上高は274億円(前期比19.2%増)、計上戸数は486戸(同10戸増)、1戸当たり平均価格は6,658万円(同37.3%増)、売上総利益率は24.6%(同1.8ポイント増)、完成在庫は228戸(うち未契約在庫は206戸)。リノベーションマンションの売上高は192億円(同00.8%減)。
ソリューション事業は売上高479億円(前期比2.1%減)、セグメント利益43億円(同67.0%増)、宿泊事業は売上高236億円(同5.9%増)、セグメント利益67億円(同8.1%増)となった、
次期業績予想は、売上高1,520億円(前期比17.3%増)、営業利益110億円(同16.4%増)、経常利益96億円(同20.9%増)、純利益65億円(同22.1%増)を見込む。年間配当は38円(前期30円)の増配を予定している。
旭化成ホームズ 2025年3月期決算 売上高、営業利益とも4期連続過去最高
旭化成ホームズは5月9日、2025年3月期決算を発表。売上高9,935 億円(前期比8.8%増)、営業利益913億円(14.9%増)となり、ともに4期連続で過去最高を更新した。個人住宅の着工戸数が減少する中、事業エリアを大都市圏に絞り、アッパーミドル・富裕層向けの大型化・高付加価値化を進めているのが奏功した。
領域別では、建築請負事業は売上高4,195億円(前期比4.6%増)、営業利益446億円(同27.7%増)。大型化・高付加価値化の推進に加え、受注棟数回復と集客構造の改革に向け、各エリアにおいて不動産部門、リフォーム部門との連携強化を図り、受注増につなげた。
高額商品のRATIUSシリーズ受注棟数は745棟(2023年度は648棟)、2025年1月に発売した3階建て邸宅「FREX asgard(フレックス アスガルド)」の受注棟数は103棟、昨年トライアルした木造戸建て住宅「Asu-haus(アスハウス)」の受注棟数は10棟。
不動産開発事業は売上高527億円(前期比14.9%増)、営業利益91億円(同2.0%減)。マンションの売上戸数は635戸(前期は525戸)。事業拡大のため、今年3月には首都圏での土地仕入れに強みを持つTHEグローバル社との業務資本提携を締結し、2025年4月には競争力や戦略遂行力、意思決定のスピード向上を強化するため、同事業を旭化成不動産レジデンスから吸収分割の方法により旭化成ホームズに承継した。
賃貸管理・不動産流通事業は売上高1,681億円(前期比7.9%増)、営業利益171 億円(同7.2%増)。管理戸数は12.6万戸を超え、空室率は2%台前半を維持するなど堅調に推移。リフォーム事業は売上高578億円(前期比2.7%増)、営業利益74億円(同11.3%増)。
海外事業は売上高2,930億円(前期比15.9%増)、営業利益123億円(同6.8%増)。北米事業において、東部エリアへの事業拡大を目指し、上期にフロリダ州のサブコントラクターであるODC社を買収したことや、為替の影響により売上高、営業利益は前年比でプラスとなった。
次期の業績予想は、売上高10,740億円(前期比8.1%増)、営業利益961億円(同5.2%増)を予定している。
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上段の記事は、同社代表取締役社長・大和久裕二氏も出席して5月12日に行われた決算補足説明会で配布された資料と大和久氏らの説明を加味して書いたものだ。記者はオンラインで参加した。
補足説明会で記者団から木造戸建て「Asu-haus(アスハウス)」に質問が飛んだ。大和久氏は受注棟数について「多くはない」と話し、今後実証実験を通じ課題などを整理して本格的な受注活動につなげる意向を示した。
記者は昨年6月に行われた「Asu-haus(アスハウス)」甲州街道モデルを見学取材しており、どこにも負けない、素晴らしいモデルハウスだと思った。
受注棟数が10棟というのはいかにも少ないという印象を受けるが、モデルハウスの立地条件(多摩モノレール線甲州街道駅から徒歩4分)を含めた〝本気度〟に課題があるような気がする。
戸建て市場が縮小する中、大手・中小の競争は激化している。この市場に参入するには人材を含めたエネルギーは通常の2倍、3倍必要だと思う。手っ取り早いのはM&Aではないか。
もう一つ、注目しているのは同社の今後の事業ポートフォリオだ。戸建て市場は縮小する一方だから、今後の伸長は望めない。伸ばせるのは海外事業と不動産開発部門だろう。海外事業は同社も2030年ころには売上高を5,000億円まで伸ばす意向だ。不動産開発部門でも現在の売上高500億円台を倍増させることができるのではないかと見ている。マンションの建て替えではどこよりも実績があり、最近は再開発案件に積極的に取り組んでいる。〝アトラス〟のブランディングがカギを握ると見ている。
外観・内装とも黒・グレーが基調玄人の虜になるか旭化成ホームズ「FREX asgard」(2025/3/4)
まるで武蔵野リゾート断熱等級7を初めて体感旭化成ホームズ戸建て甲州街道モデル(2024/6/6)
アーチ型天井と列柱の無柱空間に驚嘆旭化成ホームズ「新宿」に富裕層向けモデル(2020/6/16)
サンフロンティア不 2025年3月期 2ケタ増収増益 売上高、各利益とも過去最高
サンフロンティア不動産は5月9日、2025年3月期決算を発表。売上高1,031億円(前期比29.2%増)、営業利益212億円(同20.9%増)、経常利益204億円(同17.7%増)、純利益141億円(同18.8%増)の大幅増収増益となり、売上高、各利益とも過去最高を記録した。ROEは14.7%(前期13.9%)となっている。
セグメント別では、不動産再生事業は売上高713億円(前期比39.8%増)、セグメント利益201億円(同28.9%増)。リプランニング事業の物件販売件数が38件(前期25件)と増加し増収増益。賃貸ビル事業は空室率が改善したが、工事費の増加などにより増収減益。
不動産サービス事業は売上高124億円(前期比19.0%増)、セグメント利益61億円(同8.9%増)。プロパティマネジメント事業、ビルメンテナンス事業、売買仲介事業などが増収増益となった。
ホテル事業は売上高188億円(前期比10.9%増)、セグメント利益は40億円(同6.8%減)。期末のホテル運営客室数は28棟3,144室、新規開業予定のホテルおよび建設中・計画中のホテルの合計は16棟2,502室。
2026年3月期業績予想は売上高1,170億円(前期比13.4%増)、営業利益238億円(同12.0%増)、経常利益225億円(同10.0%増)、純利益155億円(同9.4%増)を見込む。年間配当は76円(前期66円)の増配の予定。
日神グループHD 2025年3月期決算 2期連続して減収減益 マンション売上げ減
日神グループホールディングスは5月9日、2025年3月期決算を発表。売上高762億円(前期比5.9%減)、営業利益34億円(同2.3%減)、経常利益30億円(同4.8%減)と2期連続して減収減益となった。
主力の不動産販売事業は売上高285億円(前期比14.6%減)、営業利益8億円(同57.9%減)。マンションの計上戸数は286戸(同26.5%減)、期末完成在庫は26戸(前期末21戸)。
2026年3月期業績予想は売上高840億円(10.2%増)、営業利益38億円(同10.2%増)、経常利益34億円(同10.8%増)、純利益23億円(同11.8%増)を見込む。
エスリード 2025年3月期決算 売上高・経常利益・純利益は過去最高
エスリードは5月9日、2025年3月期決算を発表。売上高947億円(前期比18.0%増)、営業利益145億円(同25.1%増)、経常利益137億円(同21.2%増)、純利益93億円(同24.1%増)と大幅増収増益、売上高・経常利益・純利益は創業以来最高となった。
セグメント別では、主力の不動産販売事業は売上高657億円(前期比10.4%増)、営業利益は114億円(同12.4%増)。マンションの引き渡し戸数は3,172戸(前期2,644戸)。
2026年3月期の業績予想は、売上高1,100億円(前期比16.1%増)、営業利益180億円(同23.7%増)、経常利益160億円(同16.4%増)、純利益107億円(同14.7%増)を見込む。年間配当は210円(前期185円)の増配を予定。
東急不動産HD 2025年3月期決算 売上高、各利益とも過去最高
東急不動産ホールディングスは5月9日、2025年3月期決算を発表。売上高1兆1,503億円(前期比4.3%増)、営業利益1,407億円(同17.1%増)、経常利益1,291億円(同17.0%増)、純利益775億円(同13.2%増)となり、売上高、営業利益、経常利益、純利益は、ホールディングス体制への移行前も含めて過去最高となった。
セグメント別では、都市開発事業は売上高3,488億円(前期比4.5%減)、営業利益705億円(同32.7%増)。売上高は「Shibuya Sakura Stage」の通期稼働などで増収となったが、「住宅」では投資家向け売却等の減少などにより減収。営業利益は「Shibuya Sakura Stage」の売却益の計上、分譲マンションの粗利益率の改善などにより増益となった。期末のオフィス・商業施設の空室率は0.3%(同4.5P減)と引き続き低水準を維持。分譲マンションの計上戸数は1,006戸(同273戸減)、完成在庫は185戸(同58戸増)、次期売上予想に対する契約進捗率は76%(同2P増)となっている。
戦略投資事業は売上高1,108億円(前期比2.6%増)、営業利益52億円(同65.9%減)。物流施設などの投資家向け売却等の減少による減収、インドネシアの分譲マンション計上戸数増などによる増収、北米における費用増加などにより増収減益となった。再生可能エネルギー事業は、全施設稼働後の総定格容量(持分換算前)は2,527MW(同699MW増)。
管理運営事業は売上高3,658億円(前期比1.5%減)、営業利益250億円(同9.6%増)。リフォーム事業の譲渡や、東急スポーツオアシスの全株式譲渡に伴う連結除外などにより減収となったが、東急ステイを中心とした「ホテル」でのインバウンド需要の取込みなどにより増益となった。
不動産流通事業は売上高3,454億円(前期比21.0%増)、営業利益508億円(同31.8%増)。「売買仲介」は取扱件数、取扱高の増加により、「不動産販売」は大型案件の取込みなどにより増収増益となった。
2026年3月期業績予想は売上高1兆2,700億円(前期比10.4%増)、営業利益1,530億円(同8.7%増)、経常利益1,315億円(同1.8%増)、純利益850億円(同9.6%増)を見込む。年間配当金は1株当たり42.0円(前期36.5円)の増配を予定し、ROEは10.1%(前期末9.9%)を予想。
三井不動産2025年3月期決算 増収増益 売上高、営業利益、純利益は過去最高更新
三井不動産は5月9日、2025年3月期決算を発表。売上高2兆6,253億円(前期比10.2%増)、営業利益3,727億円(同9.7%増)、経常利益2,902億円(同8.4%増)、純利益2,487億円(同10.8%増)となり、売上高は13期連続、営業利益、経常利益、純利益は3期連続で過去最高を更新した。
セグメント別では、賃貸は国内外オフィスの賃貸収益や既存商業施設の売上の伸長により売上高8,723億円(前期比573億円増)、事業利益1,764億円(同73億円増)。期末における首都圏オフィス空室率(単体)は1.3%(当第3四半期末の2.5%から1.2pt改善)となった。
分譲は、売上高7,580億円(前期比1,304億円増)、事業利益1,670億円(同318億円増)。国内住宅分譲は「パークタワー勝どきサウス」「三田ガーデンヒルズ」などの引渡しの進捗等により増収増益。マンション3,693戸(前期3,280戸)と戸建て417戸(同420戸)の計上戸数は4,110戸(同3,700戸)で、1戸当たり平均価格は10,063万円(同8,497万円)となり初めて1億円を突破した。完成在庫はマンション32戸、戸建ては22戸。一方、投資家向け・海外住宅分譲などは前期に高利益率物件を売却した反動などにより増収減益。セグメント全体では1,304億円の増収、318億円の増益となった。国内の新築マンション分譲の次期計上予定戸数2,800戸に対する契約進捗率は88.4%となっている。
マネジメントは、売上高4,862億円(前期比234億円増)、事業利益716億円(同53億円増)。リパーク(貸し駐車場)における前期比での稼働向上の一方で、システム関係費用の増加などにより増収微減益、仲介・アセットマネジメントなどは、リハウス(個人向け仲介)における取引単価向上・AUMの拡大等により増収増益となった。
施設営業は売上高2,240億円(前期比295億円増)、事業利益386億円(同122億円増)。ホテル・リゾートのADRが大幅に上昇したことや、東京ドームにおける稼働日数・来場者数の増加などが増収増益に寄与した。
新築請負・リフォームなどのその他は、売上高2,846億円(前期比13億円増)、事業利益65億円(同24億円増)。
期末総資産は9兆8,598億円(前期比3,7033億円増)、有利子負債は4兆4,160億円(同143億円減)。
次期業績予想は売上高2兆7,000億円(前期比2.8%増)、営業利益3,800億円(同1.9%増)、経常利益2,850億円(同1.8%減)、純利益2,600億円(同4.5%増)。売上高、営業利益、純利益は過去最高の更新を見込む。次期年間配当は33円(前期比2円の増配)で、増配は5期連続となる見込み。ROEは8.2%(前期7.95%)を予定。
大東建託 2025年3月期 大幅増収増益 不動産開発を主力の賃貸に次ぐ第2の柱に
大東建託は5月2日、2025年3月期決算を発表。売上高1兆8,423億円(前期比6.4%増)、営業利益1,188億円(同13.4%増)、経常利益1,294億円(同19.1%増)、純利益938億円(同25.7%増)と大幅増収増益となった。
セグメント別では、建設事業は工程の順調な進捗と、施工量平準化などにより完成工事高は5,409億円(同9.9%増)、営業利益は471億円(同63.1%増)となった。完成工事総利益率は価格改定効果の寄与により前期比1.9ポイント増加の25.3%となった。
不動産賃貸事業は、一括借上物件の増加を背景に家賃収入が増加したことや「連帯保証人不要サービス」による収入拡大などにより売上高1兆1,646億円(同3.1%増)、営業利益803億円(同2.1%減)となった。入居者斡旋件数は、前期比2.1%増の344,855件。2025年3月末の家賃ベース入居率は97.8%(同0.1ポイント減)。
不動産開発事業は、投資用マンションや買取再販事業が好調に推移したことにより売上高513億円(同64.8%増)、営業利益51億円(同142.0%増)となった。
2026年3月期業績予想は、売上高1兆9,700億円(前期比6.9%増)、営業利益1,250億円(同5.2%増)、経常利益1,270億円(同1.9%減)、純利益900億円(同4.1%減)をそれぞれ見込んでいる。
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同社が当日午後行った決算説明会をZoomウェビナーとして視聴した。時間は約1時間30分。事前に決算短信、説明会資料を読み込んでいたのでとても分かりやすかった。
説明会に参加したアナリスト、メディアの関心の対象が異なるので当然だが、質疑応答ではROE20%、賃貸事業の利益率の減少、不動産開発事業の見通し、トランプ関税リスク、労務費・運搬費上昇、M&A、技術者の確保・育成など多岐にわたった。
記者は、デザイン性の優れたマンションを供給してきたアスコットの役割に関心があるのだが、同社代表取締役社長執行役員CEO・竹内啓氏は「レジデンス、ホテル、物流などへの不動産投資残高は2025年3月期末で1,945億円。前期の58億円から大幅に増加した。このうちアスコットへの投資は約500億円。投資案件に対する出口もほぼ固まっており、今期は売上高1,300億円、利益は140億円を予定している。近い将来、コア事業の賃貸に続く第2の柱に育てる」と語った。
もう一つ注目したのは、中期経営計画に対する取り組みで、社会課題解決型施設の建設は2023年度4施設7億円から2023年度は67施設147億円に伸ばしたことだ。〝大東建託グループらしい街づくり〟事例として千葉市との連携プロジェクトを紹介した。
この他、建設・賃貸事業では価格転嫁ができ、空き家などのリスクも少ない大都市圏に人材を集中させるため、今年1月に営業拠点を約3割削減したと語った。一方で、営業担当者数は期末計画で3,000人(前期比30人増)とし、5年前から取り組んでいる外国人技術者の育成では約560人の実績があることを明らかにした。
M&Aについては「成長するために時間を買うというスタンス」と答え、販管費の1,969億円(売上高販管費率10.7%)の削減は課題の一つであることも明らかにした。
記者は、セーフティネット住宅制度について質問したかったのだが、場違いだと考え質問を控えた。2024年3月末現在、全国のセーフティネット住宅の登録戸数は895,982戸で、同社が管理する登録戸数は855,483戸、比率は95.5%に達している(現在の全国登録戸数は947,595戸)。同社が管理する賃貸住宅は高齢者や外国人だからといって入居を拒否しないそうだ。
セーフティネット登録住宅90万戸の96%は1社に集中氷解した疑念と深まった謎(2024/3/28)
野村不動産HD 2025年3月期 売上高、各利益とも過去最高
野村不動産ホールディングスは4月24日、2025年3月期決算を発表。売上高7,576億円(前年同期比3.1%増)、営業利益1,189億円(同6.1%増)、経常利益1,067億円(同8.6%増)、純利益748億円(同9.8%増)で、売上高・各利益とも過去最高となった。
セグメント別では、デベロップメント部門の住宅部門は売上高3,684億円(前期比92億円増)で、分譲住宅の平均価格・粗利益率の上昇や、25/3期から連結対象となったUDS社の寄与を含むホテル事業の伸長等により増収増益。このうち分譲事業は売上高2,842億円(前期2,829億円)、粗利益率26.9%(同24.6%)。計上戸数は3,760 戸(同538戸減)、内訳はマンション3,396戸(同517戸減)、戸建ては363戸(同22戸減)。エリア別では首都圏が74%。平均価格は7,558万円(同976万円増)、期末完成在庫は237戸(同290戸減)。2026年3月期の計上予定売上高3,280億円(予定戸数3,700戸)に対する期初時点の契約進捗率は63.7%。
都市開発部門は売上高2,133億円(同30億円減)で、収収益不動産売却の計画を一部変更し、売却額が減少したこと等により減収減益。海外部門は売上高94億円(同47億円増)で、ベベトナムにおける住宅分譲プロジェクトの計上が順調に進み増収増益。
サービス・マネジメント分野の資産運用部門は売上高155億円(同12億円増)で、国内の機関投資家向けファンドの運用資産残高が着実に増加し増収増益。仲介・CRE部門は売上高571億円(同75億円増)で、リテール、ミドル、ホールセールにおける、売買仲介取扱高や取扱件数の増加などにより増収増益。運営管理部門の売上高は1,138億円(同56億円増)で、管理戸数増などで増収増益となった。
2026年3月期の業績予想は売上高9,400億円(前期比24.1%増)、営業利益1.220億円(同2.6%増)、経常利益1,080億円(同1.2%増)、純利益750億円(同0.2%増)。
大和久氏の社長抜擢「人柄、リーダーシップ力、芯の強さ」川畑会長 旭化成ホームズ
大和久氏(左)と川畑氏
旭化成ホームズは4月2日、新社長就任に伴う合同会見を開き、4月1日付で同社代表取締役社長から代表取締役会長に就任した川畑文俊氏(66)と、同社取締役専務執行役員兼マーケティング本部長から代表取締役社長に就任した大和久裕二氏(61)が社長交代に至った経緯、今後の抱負などを語った。
会見では川畑氏が口火を切り、「8年前に2025年までに売上高1兆円、利益1,000億円を目指すと話したが、その目標がほぼ達成できた。この間、コロナとか戦争など予期せぬ変化もあったが、それを乗り越え、目標を達成した社員の成長と努力に敬意を表したい。大変うれしく思っている。これから次のステージに入ってくわけだが、今まで以上に拡大と成長を目指すためには、新社長でやるほうがより成功確率は高まると交代を決めた。私も会長として全体を全力でサポートしていく」と語った。
これに答える形で大和久氏は、「私は入社後ほぼ一貫して現場を担当してきた。『(川畑社長が8年前に)2025年に売上高1兆円、営業利益1,000億円達成は私の使命』と打ち出したときは、想像を超える数値だと思った。それが現実のものとなりつつある。有言実行の人であることを学んだ。社長の責任の大きさを感じるが、私も受け継いでいきたい。目指すのは、一つは国内の住宅事業をさらに成長させていくこと。海外事業や投資事業などリスクが伴う事業も積極的に取り組んでいく。もう一つは、当社の強みでもある人材の育成。自ら考え、行動しイノベーションにつなげることが必要不可欠。そのような人材を全力で支えていく」と抱負を述べた。
社長交代について川畑氏は、「社長の役割は、次期後継者を育てるのも大きな役割の一つ。8年前に社長に就任した時から大和久は有力候補の一人と考えていた。仕事の面でも被る時期が多く、なによりも彼の素晴らしいのは人柄の良さ、人間性。それと仲間を支えるリーダーシップ力、芯の強さが決め手。社長交代は1年くらい前に伝えた」と話した。8年間を振り返り、「事業環境は厳しがったが、運がよかった」などと報道陣を笑わせた。
大和久氏も川畑氏の意向をくみ取っていたようで、覚悟はできていたようだ。趣味についての質問に「趣味は2つあってゴルフとテニス。ゴルフは珍しいレフティ」と話した。また普段心がけているのは「チャレンジしていくこと、そして成し遂げるために工夫を凝らすこと。これをモットーにしている」と語った。ゴルフのハンディは非公表、ドライバー飛距離は230ヤード。
写真も記事も視点が大事(大和久氏はスタイリッシュな自分をアピールしたかったのか、半身に構えていた。それとも、謙虚な姿勢の表れか、虚勢を張るようなことはしなかった。川畑氏は威風堂々。全然お構いなし)
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同社が力を入れる不動産開発事業について。記者は、注文住宅や賃貸住宅市場はよくわからないが、分譲マンションと分譲戸建ては40年以上取材してきているのである程度のことは分かる。寡占化が進むマンション事業で同社がその一角の座を占めるのは容易ではないが、可能性はあると見ている。売上高や供給量のことではない。消費者から選ばれるトップブランド10社に入るかどうかだ。
現在のマンション市場は、三井不動産レジデンシャルが飛びぬけており、野村不動産、住友不動産、三菱地所レジデンスが追い、積水ハウス、東京建物、東急不動産、日鉄興和不動産、大和ハウス工業などが続いている。あと1社を挙げるとすれば同社のほか阪急阪神不動産、近鉄不動産、日本エスコン、大和地所レジデンス、タカラレーベン…などか。紙一重だと思う。オリックス不動産(大京)にも期待していたのだが、圏外に消えた(失礼)。
同社の強みは、何といっても建て替え・再開発事業で培ってきたノウハウだ。「宇田川町」「池尻」「江戸川台」「日暮里」「茗荷谷」「北千住」「国領」「調布富士見町」「四谷」「宮益坂」(順不同)…マンションブランド「アトラス」の実績は他社に負けない。商品企画力もここ数年、飛躍的に向上している。
負けないけれども、何かが欠けている。これは積水ハウスにも大和ハウスにも言えることだが、個人住宅や賃貸住宅とのシナジー効果を向上せるためのブランディングが欠かせないと思う。
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どうでもいいことだが、会見は思いもよらぬ展開になった。会見場には余裕を持って数分前に到着したのだが、数十人は座れるメインのメディア席はほとんど埋まっており、同社広報担当から「空いているのはあそこだけです」と最前列の右端を案内された。
嫌な予感がした。小生は前が嫌いなのだ。悪戯好きの小生は小学生のときから〝授業の邪魔者〟扱いされ、いつも廊下に立たされた。中学では〝出ていけ〟と授業を免除された。裏山で時間を過ごしたり、そのまま家に帰ったりしたことも何度もあった。高校に入って間もなく最前列の教壇の前に座らされた。毎日のように遅刻し、2時間目くらいには授業中に弁当を食べ終え、成績も後ろから数えたほうが早かったことに対する先生の配慮だったのか。座り心地は最悪だったが、卒業するころの成績は逆転した。効果はあったのだろう。
そんな昔のことを思い出した。質問する勇気も消え失せた。ただ、いいこともあった。最前列の右端だと会見場が俯瞰でき、他の記者がきちんと話を聞いているのか、理解できているのかが一目瞭然だ。特等席でもある。
残念だったのは、メディアの方々はみんな小生とは逆の優等生ばかり。社長も会長も立ち往生する質問は一つもなかった。(小生は川畑氏が社長に就任したとき「待望の大型(最重量)社長」と記事にした)
まあ、これも仕方がないとあきらめ、川畑氏が「私よりうまい」と語った大和久氏のゴルフの腕前を会見後に聞くこと1本に絞った。回答は上段の通りハンディは非公開、飛距離は230ヤード。川畑氏は「ドライバー? 230ヤード以下。腹が邪魔してクラブが振れない。まあ、シニアとしてはこれくらいではないか」と満足しているようだった。
もう一つ、大きな収穫があった。同業の記者の方とタッグを組んで社長の座右の銘と好きな作家を聞くことだった。大和久氏は次のように話した。
「私の利点は謙虚。笑われるかもしれないが、いずれも古典的。座右の銘は『実るほど頭を垂れる稲穂かな』です。これは入社3年後に二世帯住宅の契約をしていただいたお客さんのお父さんから教わった言葉です。好きな作家はアンドリュー・カーネギー」
――謙虚、稲穂。なかなかできないことだ。
最前列の端っこからだとこんな写真が苦もなく撮れる(同社本社が入居する神保町三井ビル)
旭化成ホームズ THE グローバル社と業務資本提携約10%の株式を取得(2025/3/11)
旭化成ホームズ新社長に大和久裕二・取締役兼専務執行役員、川畑社長は会長へ(2025/2/7)
「社員が明るくなった」川畑社長旭化成ホームズオフィスを全面リニューアル(2023/2/2)
富裕層の〝こころ躍る〟旭化成不レジ「ATLAS」マンションギャラリー「渋谷」開設(2022/1/17)