「これからはV・I・Pだ」沓掛社長 海外事業拡大に意欲 野村不動産DH 記者懇
野村不動産ホールディングスは7月13日、コロナ禍で中断していた恒例の「記者懇談会」を3年ぶりに開催した。会場となったYUITO日本橋室町野村ビル6階の野村コンファレンスプラザ日本橋に用意された6つの円卓に18人の同社役員が3人ずつ席に着き、10分ごとに席を移動して参加した約40名のメディアに対応した。テーブルはお茶と水のみで、お酒、料理などの提供はなかったが、希望者には同ビル内のレストランでの昼食が懇談会後に振舞われた。
冒頭、同社代表取締役社長兼執行役員グループCEO・沓掛英二氏が今期を初年度とし、2031年3月期を最終年度とする中長期経営計画「まだ見ぬ、Life&Time Developerへ」について説明。続いて同社代表取締役副社長兼副社長執行役員グループCOO・松尾大作氏が8つの部門を担当する役員と直近のトピックスなどを紹介。大トリは同社取締役兼執行役員グループCFO・黒川洋氏で、三本締めでピシャリとお開きとした。
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18人すべての役員の方と話すことはできなかったが、最大の収穫は沓掛氏から直接話を聞けたことだ。3年前とほとんど変わらず、住宅や都市開発事業だけでなく資産運用、仲介、海外事業も伸長していることから、中計目標達成に自信を見せた。
沓掛氏は、同社執行役員海外部門長 海外事業統括・賀来高志氏と一緒に小生などの席に着くと、「賀来が旗を振る。一回だけでなく、二回、三回、フィリピンやベトナムの見学会をやりたい。フィリピンでは現地デベロッパーと1億円の合弁会社(同社持ち分34%)を設立した。中長期にわたって7,700億円規模の事業を行う。ベトナムはハノイとプノンペンに絞る。両国ともわが国の昭和30年代から40年代の高度成長期によく似ている。それとインド。この三か国V・I・P戦略が重要になる。タイ? タイは競争も激しい。カントリーリスク? もちろん考えている」と、同業他社と比べて立ち遅れている東南アジアを中心とした海外事業の展開に意欲を見せた。
同社の中計では、2025年3月期の海外事業利益割合は3%だが、年平均8%の成長を見込んでおり、最終年度の2031年3月期は全体利益1,800億円以上のうち海外は住宅部門と肩を並べる20%近い比率を目指す。
このほか、同社執行役員住宅部門長・中村治彦氏からは「プラウドタワー目黒MARC」と「プラウドシティ豊田多摩平の森」の見学取材のOKを頂いたし、同社執行役員開発事業担当・山本成幸氏からは地方再開発の見学お勧め物件を紹介してもらった。松尾氏だったと思うが、松尾氏は「芝浦プロジェクト」での分譲マンションの可能性を否定しなかった。
同社唯一の女性役員で執行役員グループダイバーシティ&インクルージョン推進担当兼グループ人材開発部長嘱託・宇佐美直子氏も元気な姿を見せた。野村不動産野球部の主砲にしがみついている同社常務執行役員芝浦プロジェクト本部長・松﨑雅嗣氏とは野球の話をしたかったが、その暇はなかった。
同社が他社に先駆けて記者懇を再開したことで、他社も再開するのは間違いない。楽しみだ。
ポラスグループ 2022年3月期決算 売上高は6期・経常利益は3期連続過去最高
中内代表
ポラスグループは6月30日、2022年3月期決算は売上高280,087百万円(前期比20.2%増)、営業利益32,910百万円(同100.9%増)、経常利益33,428百万円(同89.0%増)、純利益8,595百万円(同71.1%増)となり、売上高は6期連続、経常利益、純利益は3期連続で過去最高を更新したと発表した。
主力の分譲住宅事業は、分譲戸建ては2期連続の3,000棟超の3,050棟を契約。埼玉南部・京葉・城東で販売を強化した結果、1棟当たり価格が5,000万円以上の物件は774戸(前期は475戸)と大幅に増加。1棟当たり価格も4,546万円(前期比405万円上昇)となった。マンションは2年連続の400戸超契約となった。分譲事業を担当する中央住宅の売上高は95,010百万円(同11.4%増)。
ポラテックは注文住宅の売上増と、プレカット事業が生産能力の向上、木材仕入れに注力した結果、売上高100,721百万円(同26.9%増)、営業利益8,522百万円(同147.3%増)となった。
その他、不動産仲介、リフォーム事業なども好調に推移した。
2023年3月期業績予想は、売上高290,000百万円(同3.5%増)、経常利益25,000百万円(同25.2%減)、純利益6,400百万円(同25.5%減)を見込んでいる。
決算発表会に臨んだポラスグループ代表・中内晃次郎氏は決算数字について、「プレカット事業も分譲事業もコロナの影響で出荷・仕入れを抑制した結果、タイムラグで利益が膨らんだ。今期は需給バランスからいって抑制気味に計画した」と語った。
素晴らしいの一語 市民に開放を ナイス 本社ビル木質化リノベ/対照的な歩道の雑草
ナイス本社ビル1階エントランススペース
ナイスが創立70周年記念プロジェクトの一環として木質化リノベーションした本社ビルを見学した。素晴らしいの一語だ。市民に開放してほしい。
リノベーションは、コンセプトである「脱炭素・木質化の推進、アフターコロナにおける社員間コミュニケーションの創造」を具現化するため、新しい空間提案「WoWooD™(ワウッド)」の取り組みを髄所に盛り込んでいる。
1階エントランスホールの受付背面には高さ6mの天井までスギの大径木を施したほか、約140㎡のロビーのフローリングには飫肥杉の赤身材を活用した「Gywood®」を使用し、老舗家具メーカー柏木工とのコラボによるテーブルとソファを設えている。新設した戸建て住宅のミニ版「キッズハウス」には木質繊維断熱材の「ウッドファイバー™」を採用し、床はクリ材のナグリ仕上げ。
2階の接客スペースの受付カウンターにはヒノキ、オニグルミ、ヤマザクラ、コウヤマキを採用。壁には柿渋塗装を施している。6部屋にはクリ、クルミ、ナラ、ヒノキ、サクラ、スギのそれぞれ異なる樹種を使用。樹種によって異なる木目やさわり心地が体感できるようにしている。大会議室の会議用テーブルは、既存の天板・幕板を「Gywood®」に張り替え、腰壁には「凸凹「Gywood®」を採用している。
7階のコワーキングスペースは、木質化を実施することで作業効率の向上や疲労軽減効果を図っている。
今回の内装木質化による木材利用量は約23㎥、CO2貯蔵量は約13t。スギ1本が1年間に固定する二酸化炭素の量を約14kgとした場合、約930本に相当する。設計・工事は乃村工藝社が担当した。
2層吹き抜けのエントランスホール(右はスギの大径木)
キッズハウス
2階受付
接客室(壁は木質繊維断熱材「ウッドファイバー™」)
「Gywood®」のテーブル
7階コワーキングスペース
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商業施設では虎屋の本社・店舗が素晴らしく、三井デザインテックの本社ビルの緑化も凄いとは聞いているが、これほど本物の木を内装に使用している本社ビルは見たことがない。一緒に見学した同業の記者の方はその馥郁たる香りに感嘆の声をあげていた。森林浴でもしている気分になったのではないか。
記者も同じだ。最高の面材と考えているクルミやサクラ、すべらかなスギ材やヒノキ材の「Gywood®」は頬ずりしたくなるほどだった。机にしても下敷きなど必要ない。壁などには防虫効果、防腐効果、防水効果がある柿渋が使用されていると聞き舞い上がった。菊池建設が松竹梅をテーマにデザインした応接室もいい。
そこで同社に提案だ。これだけではもったいない。同社の仲介店舗では「住まいるCafé」として顧客に開放しているように、7階のコワーキングスペースは市民に開放してはいかがか。本棚には社員や市民から募って〝私のお勧めの3冊〟などを借り受け、貸し出しを行うのもいい。顧客満足度は飛躍的にアップすること請け合いだ。
2階から1階写す
スギの大径木
2階接客室のサイン(左)と柿渋塗装
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取材は素晴らしかったのだが、その分理解しがたい、わが多摩市のグリーンボランティア活動や公園・道路のアダプトと対照的な光景にも出くわした。鶴見駅から同社の本社ビルまでの道すがら、街路樹を観察した。東口中央通りのケヤキやクスノキの剪定はまずまずだが、植栽帯にはオオアレチノギク(多分)やススキなどの雑草が生い茂り、本社ビルの目の前、国道15号線の中央分離帯は小山のように雑草が繁茂していた。
とても残念に思ったのだが、取材を終え駅に戻る途中には、「さわやかまちかど 東口中央通り ハマロード・サポーター この道はナイスグループが清掃活動をしています」との看板が道路端に掲げられていた。同社ホームページでも確認した。CSR活動の一環である清掃活動は市から「ハマロード・サポーター」に認定されている。
同社の野球部の皆さん。今年もRBA野球大会は中止となった。3年連続だ。有り余る力を発揮する場を失って嘆いているはずだ。企業市民の代表として雑草狩りをやってほしい。声を掛けてもらったら取材にすっ飛んでいく。
あまりにも対照的な植栽帯(左)と本社の植栽
ナイス本社ビル前の植栽帯
東口中央通りの植栽帯
新横浜のF・マリノス通り
実に美しいケヤキの剪定 ムクドリ対策 柏の葉キャンパス駅前の街路樹(2022/6/27)
熱男! ポラス中央住宅取締役・金児正治氏(62)が退任
金児氏(2020年10月9日撮影)
ポラスグループは6月10日、同社グループの中央住宅取締役マインドスクェア事業部取締役事業部長・金児正治氏(62)が同日開催の株主総会、取締役会で退任することを決議したと発表した。
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人事のことだから詳しくは書かない。「RBA」のホームページにアクセスし、「金児正治」で検索していただければ20本以上の記事がヒットするはずだ。金児氏とはもう十数年前から分譲戸建てやマンションの現場取材などで話をうかがっている。とても〝熱い〟方で話し出すととまらない。
62歳ということだから「七十、八十は鼻たれ小僧、男ざかりは百から百から」(平櫛田中)だ。新たな門出にbon voyage!
感動の金児氏vs宮崎氏トーク 全196戸のポラス「柏」3カ月で100戸成約(2020/10/10)
感動的な記者発表・商品企画 ポラス「ボゥ ヴィラージュさいたま新都心」(2008/2/23)
入社式訓示 劇的変化は特異ではなく通常の世の中に 三井不リアル・遠藤靖社長
新入社員の皆さん、ご入社おめでとうございます。
三井不動産リアルティグループの一員として皆さんを迎えられることを、グループ全社員を代表して心よりお祝いいたします。
我々を取り巻く環境は、2年前からのコロナ禍により、劇的に変化しています。DXなどオンライン型社会への移行が加速度的に進み、在宅勤務などの働き方をはじめ、日常生活全般に影響が広がっています。昨今では、ロシアによるウクライナ侵攻など世界情勢にも不透明感が広がっており、世の中の激しい変化はもはや特異ではなく、これが通常と考えるべき時代になったのだと思います。
現在では、スマートフォンなどによって、さまざまな情報を即時に簡単に得ることができます。しかし、劇的な変化が通常となった今、予期せぬ事件、予期せぬ人の感情・態度に直面した時、スマートフォンで簡単に得た情報や、スマートフォンによる人の顔を見ず、声を聞かない受発信で対応することは不可能です。自らがさまざまな人々と直接接することで得た経験や知識を糧に、自らの意思で考え、行動することがますます重要な時代になっているということを、皆さんにはよく考えて欲しいと思います。
混沌とした世の中ではありますが、皆さんには若者らしく、明るく、何事にも貪欲に好奇心を持ち、失敗を恐れずチャレンジして欲しいと思います。若い時は知らないことばかりで、色んなことにぶつかるのも当たり前です。臆することなく分からないことは分からないと言い、おかしいと思うことはおかしいと声を上げてください。
若い時にしかできない失敗をいっぱいして成長してください。我々もそれを正面から受け止められる会社でなければならないと思っています。
また、皆さんはこれまで20数年間、ご両親・ご兄弟・恩師・先輩・後輩・友人とたくさんの方のお陰で成長してきました。自分独りだけで成長してきた訳ではありません。社会人になってもこれは同じです。社会人生活
は楽しいことも厳しいこともあり、山あり谷ありですが、必ず周りには誰かがいます。人は周りの誰かに助けられ、またある時は誰かを助けながら生きています。自分ひとりで生きているわけではありません。これだけは絶対に忘れないでください。
最後に、皆さんの前途洋々たる未来と、令和4年という皆さんにとって記念すべき一年が素晴らしい年になることを祈念して、歓迎と激励の言葉とさせていただきます。皆さん、一緒に頑張りましょう。
入社式訓示 「挨拶・勉強・楽・健康と感謝・社員の自覚」 大和ハウス・芳井敬一社長
新入社員の皆さん、入社おめでとうございます。役職員を代表して心よりお祝い申し上げます。
本日は皆さんにとって人生の新しい物語の始まりです。当社に入社される皆さんの新たな門出に、5点お話しがあります。
1つ目は挨拶の徹底です。「おはようございます」「ありがとうございます」「お疲れ様です」などの挨拶は、皆さん自身を職場の人に知っていただく、また、上司、先輩、同僚とのコミュニケーションの入り口です。気持ちよく元気に挨拶のできる人になり、皆さんが率先して事業所を活気づけてください。
2つ目は「勉強」です。本や新聞を読んだり、歴史を学んで知識をつけてください。インターネットのように「いつでも、どこでも、誰にでも」の手軽な情報ではなく、自ら探し出した「今だけ、ここだけ、私だけ」の情報から知識を積むことでより深い理解を生みます。そうして学んだ知識はすぐには役に立た なくても、これから経験していく様々なシーンの中で実を結びます。
3つ目は、私の今年の一文字「楽」です。私は、仕事でも趣味でも、人は楽しんで取り組んでいるときが一番成長できると思っています。業務に真剣に向き合う中で壁にぶつかった時でも、楽しみを見出しながら乗り越えることで、自身の成長につなげてください。
4つ目は「健康と感謝」です。仕事をするうえで、皆さんとその家族の健康が最優先されます。また、現場では安全より優先されることは何一つありません。これからは、健康管理も大切な仕事です。しっかりと念頭に置いておいてください。また、今月末、皆さんは初任給を手にしますが、これまでお世話になった家族や先生など、大切な人に感謝の気持ちを伝えてください。
5つ目は、「大和ハウスグループの社員として」です。社会人としての生活が始まると様々な迷いが生じます。その時には創業者の著書「わが社の行き方」を開いてください。場面、場面で、様々なことを私達に教え、思考の方向性を示してくれます。しっかりと目を通して、自分を見つめ直すきっかけにしてください。
今から33年後の創業100周年(2055年)には、皆さんの中から主要な経営層が輩出されることになります。これから日々研鑽に励み、業務に邁進してください。皆さんの成長が当社グループの成長を押し 上げます。今後の活躍を大いに期待しています。
入社式祝辞 まだ見ぬ、未来を切り拓こう 野村不動産HD・沓掛英二社長
野村不動産グループ役職員全員で、総勢263人の皆さん一人一人の入社を歓迎いたします。
特に、本年入社の皆さんは、3年目を迎えるコロナ禍と戦い、対応しながら粘り強く学生生活を送ってきたことと思います。また本年2月末からのロシアのウクライナ侵攻により地政学的リスクが極度に高まり、まさに世界が一変しました。2022年4月、歴史的な変動のその時に入社をした皆さん、と言っても過言でないと思います。
入社に当たり、皆さんへメッセージを送りたいと思います。
今まさに世界経済や日本経済、ひいては我々の不動産を取り巻くビジネス環境が激変しようとしています。そして不動産やそれらを取り巻くサービスが、DXのめざましい変化と共に我々の想像を超えて、様々なものが大きく変わろうとしています。この激動の変化の時こそ、今日から社会人としての一歩を踏み出す皆さん一人一人の「学び」と「成長」の絶好の機会と捉えて頂きたいということです。「学生時代の学び」と社会人としての「実践の学び」は違います。若い、柔軟な皆さんは、この世の中の大きな変化を確りと捉えて、自分の能力は努力次第で成長することができるという一人一人の「成長・マインドセット」を是非実践していただきたいと思います。大きな変化の波の中で、「学び」と「成長」の為には自分自身の明確な「目標」であり「夢」を持つことが大変大切です。今日からの社会人生活、辛いこと、苦しい時が必ずあると思います。その時を乗り越えるためにも、自分の「目標」や「夢」の設定は大きな意義を持ちます。是非ともこのことを心に刻んで、焦らず、一歩一歩進んで行ってください。
我々、野村不動産グループは、本年度より2030年に向けて、新たな成長を目指していきます。
人々の様々な生活、LIFEと、一人一人の過ごす時間、TIMEの、LIFEアンドTIMEの2つの軸を大切にして、グローバルに新たな価値を創造し、まだ見ぬ、未来を切り拓いていく方針です。同時に、サステナビリティを重視し「EARTH PRIDE 地球をつなぐ」のポリシーのもと、その課題にも確りと向き合った経営を進めていきます。
野村不動産グループの財産は何よりも人材です。今日(こんにち)まで一人一人の社員の育成を最も大切に経営してきました。少しでも不安や心配があったら人事やインストラクター、先輩に気兼ねなく相談してください。皆さんの「目標」と「夢」の実現に向けて会社はあらゆる環境を整えてきています。
皆さんの成長と当社グループの成長は一緒です。
共に一歩ずつ歩んで行きましょう!
入社式挨拶 最大課題は新時代のビジネスモデル確立 三井不動産・菰田正信社長
入社おめでとうございます。皆さんを心から歓迎します。
三井不動産グループの歴史は、日本の経済・社会の発展とともに、その時代の「パラダイム転換」を捉えた、新たな「価値創造」の歴史です。現在は、DX、GXを積極的に進めることにより、様々な社会課題を街づくりを通して解決するスマートシティの実現に取り組んでいます。新たな価値創造に果敢にチャレンジし、常に自らのビジネスをイノベーションすることが、当社グループのDNAであります。
入社にあたり、皆さんに期待すること、心掛けていただきたいことは、以下の5点です。
まず「自立した個人」になること。自分が仕事を進めていくうえで一番大事にしなければならないものは何かなどを自分で確立し、自分の行動の結果には自分で責任を負い、高い志を持って自己実現を果たしてください。
二つ目は、「幅広い視野を持つ」こと。変化のスピードが速いダイバーシティの現代において、自らの可能性を最大限に伸ばしていくためには、人間としての知識と経験の幅を広げていかなければなりません。社内外・世代を問わず、「人との交流」「出会い」を大切にし、物事を見る視野・人間の幅を「外向き」志向で広げてください。
三つ目は、「チャレンジスピリットを発揮する」ということ。既成概念が通用しない現代においては、皆さんのフレッシュな発想が大きな強みになります。ただ、今までやってきたことを変えようとしたり、新しいことをやろうとすると、大きなリスクを伴います。そういう時こそ、当社グループのDNAであるチャレンジスピリットを発揮していただきたいと思います。
四つ目は、「健全な心身を保つ」こと。常に心と身体の健康を保てるよう、十分な自己管理を心掛けてください。当社は、多様な人材が自分にあった働き方でその能力を最大限発揮できるよう「働き方改革」に取り組んでいます。労働時間に制約があるという前提で、限られた時間で最大限の成果をあげ、それ以外の時間は、家族と過ごす時間も含め「個人を豊かにする時間」に充てようというものです。それが、個人としての人間の幅を拡げ、ひいては会社の組織としての力を強くすることにつながり、さらには社員の心身の健康を守ることにもつながるからです。
そして最後は、「社会人としてのコモンセンスを持つ」こと。世の中の不祥事のほとんどは、常識の欠如に起因するものです。「コモンセンス」がしっかりしていれば、ごく自然に法の精神や考え方が理解できるはずです。
新型コロナウイルスについては今なお収束に至っておりませんが、ワクチンや治療薬、感染防止対策に加え、ウイルスの弱毒化と相まって、いずれインフルエンザ並みの病気となって収束していくと思われます。当社事業についても大きな影響がありましたが、大部分は一過性のものであって、我々にとって大事なのは、コロナ禍がもたらした人々の暮らし方・働き方の不可逆的な変化を的確にとらえてビジネスを革新していかなければならないということです。
それは一言でいうと、デジタルとリアルの最適な組み合わせを考えるということ、そしてデジタル技術で代替できないリアル空間の価値を最大限に高めるということだと思います。今年度はポストコロナ新時代のビジネスモデルの確立を最大の経営課題と位置付けています。
当社の行っている事業は、社会的意義が大きく、人々に夢と感動を与えられる産業です。当社グループが、魅力あふれる企業グループであり続け、今後もたくましく成長していけるよう、共に頑張りましょう。
入社式訓話 信頼という財産を築け 三井ホーム・池田明社長
三井ホームへの入社、誠におめでとうございます。三井ホームを代表して、心より歓迎いたします。
当社は、1974年の創立以来、ツーバイフォー工法を専業にする道を選び、その普及と拡大に努め、日本に家づくりの新しいスタンダードをもたらしました。加えて、ツーバイフォー工法のリーディングカンパニーとして品質を磨き続けた結果、三井ホームの家は、日本の気候風土により適した「プレミアム・モノコック構法」という独自の形に進化を遂げました。
当社の「住まいづくり」における哲学は、お客様の「住まいに対する想い」を、一つひとつ丁寧にカタチにすることです。そして、三井不動産グループ共有の「経年優化」という思想を背景として、「住まうほどに美しく、街全体の豊かさにもつながる」住まいを作ることです。当社は、これまでに24万棟超の建築実績を通じて「安心・ 感動・満足・豊かさ」という高い価値を提供してきましたが、今後は急速に変化する社会経済情勢において、注文住宅事業で培った自社の強みと、三井不動産グループとの連携を活かした総合力で、施設系事業・ストック事業・海外事業へと事業領域を拡大し、力強く継続的な成長を目指します。
また、三井不動産グループはESGならびにSDGsを重要な経営戦略と位置づけ取り組みを強化していますので、CO₂排出量の少ない 木造建築を主要な事業とする当社は、脱炭素化に向けた取り組み「GX(グリーントランスフォーメーション)」 を追い風にしなければなりません。
昨年11月に竣工した日本最大級の木造5階建てマンション「MOCXION INAGI(モクシオン稲城)」は、当社が長年培ってきた木造建築技術を活かし業界に先駆けた戦略的なGX商品であり、今後も「MOCXION」の全社的な展開を推進していきます。
皆さんは、今日から三井ホームの一員であると同時に、三井グループの一員となります。「三井」ブランドには、江戸時代からの先人たちの確かな仕事ぶりによって、社会に認められた「高い信頼」があります。また、三井のDNAには、失敗を恐れず新しいことにチャレンジする「フロンティアスピリット」が受け継がれています。このブランドを担う誇りと責任を持ち、失敗を恐れずに仕事に取り組んでください。
新たに社会人となる皆さんに目指していただきたいことは「プロフェッショナルになる」「信頼される人間になる」ということです。プロフェッショナルとは、その分野において「一流の仕事をする人になる」という意味で、豊富な専門知識を身につけ、実務能力を極め、期待を超える仕事をすること、そして顧客志向を徹底することではないかと思います。そして、どのような仕事をする上でも、一人の人間として、「信頼を得る」ことを目指してください。信頼というその財産が、多くの場面で皆さんを助け、力を与えてくれるはずです。
当社には、皆さんが自分を成長させ、自分の可能性を広げる機会が沢山あります。
「高品質な木造建築の提供を通して、時を経るほどに美しい、持続可能なすまいとくらしを世界に広げていく」当社のパーパス(存在意義)を共に実現し、「三井ホーム」というブランドをさらに輝かせていきましょう。
入社式挨拶 ユーザーインの発想大切に 三菱地所レジ・宮島正治社長
当社は三菱地所グループの基本使命である「まちづくりを通じた社会貢献」を実現するため、まち全体や地球環境へも配慮しながら、住まいづくりに取り組んでいる。
2021年度は新型コロナウイルス感染症の継続的な流行により、予断を許さない状態が続いていたが、マンション市場は引き続き好調に推移し、賃貸事業、投資アセット開発事業、リノベーション事業や海外事業が着実に成長していることから、会社発足以来の過去最高益を達成する見込みである。これは社員一人一人が、それぞれの業務を全うした結果だと感じている。
しかし当社は現状に満足せずに、それぞれの事業を成長させつつ、今後もリーディングカンパニーとして先頭を走る企業でありたいと考えている。ライフスタイルの変化や多様化が加速する中で、時代の変化にいかに柔軟に対応できるかが成長のカギだと感じている。この変化局面をチャンスと捉え、様々なことに挑戦していきたい。
SDGs達成に向けた取り組みについても、全社員一丸となってさらに加速させていく。本年1月には、業界のトップランナーとして脱炭素社会の実現に貢献するため「CO2排出量削減 戦略」を策定し、CO2排出量を2030年までに2019年比で50%削減するという目標を掲げた。今後はマンションのZEH化も推進し、お引き渡し後もお客様とともにCO2削減を目指し、環境を大切に暮らしている実感を持っていただけるような住まいづくりを目指す。
住まいにおいては、資産性に加えて住み心地の重要性が増してきている。「メリット」となるマンションの特長だけでなく、そのマンションでどのような暮らしを実現できるかという「ベネフィット」が重要である。
お客様に選ばれ続けるには、従来のやり方に固執せず、視野を広く持つことが必要になる。
自分で考え判断し行動・実践できる力を養い、生活目線を取り入れたユーザーインの発想のもと、マニュアルや慣例に捕らわれず、事業にとって、お客様にとって何が良いことなのか考えて、誇れる仕事をしていこう。そしてこれから成長する上では、自分の感性や工夫を作り出して、自分なりの味付けをして仕事を仕上げていくことを大切にしてほしい。皆さんの活躍を期待している。