旭化成ホームズが新規事業 卓上水耕栽培「VEGEUNI(ベジユニ)」発売
「VEGEUNI(ベジユニ)」
旭化成ホームズは10月16日、家庭内のどこでも野菜やハーブを育てることができる卓上水耕栽培キット「VEGEUNI(ベジユニ)」を10月21日(月)から発売すると発表した。
2011年に立ち上げた新規事業推進本部「住・くらしプロジェクト」が開発を進めてきたもので、「外構ゾーン」「在宅医療ゾーン」「緑育ゾーン」の3つのゾーンの中の「緑育ゾーン」から生まれたもの。これまでにもある「水耕栽培装置」は実験装置のようなもので、室内に置くには大きいとか価格が高いなどの難点があることに着目、ハウスメーカーらしい「くらし」を提案するためにインテリア性があり、家族のコミュニケーションにもつながる今回の商品開発となった。
土を使わずにハーブを手軽に育てられるLEDライト付水耕栽培キットで、コンセントのある所なら部屋のどこでも置くことができ、世話は週1回培養液を替えるだけで約6週目には収穫することができる。「東京インターナショナルギフトショー2013」の新製品コンテストで準大賞を受賞している。
販売はインターネット公式サイト(http://www.vegeuni-shop.com/)を通じて行うほか、総合オンラインストアのAmazon.co.jp(アマゾン)なども利用できるようにする。
本体(W=336mm、D=150mm、H=336mm)のほか、種2袋(バジル・ルッコラ)、培地6個、養液パック10袋、ACアダプター付きで価格は20,000円。初年度の売り上げ目標は10,000個(2億円)。
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似たような商品では、昨年5月、柏の葉キャンパスシティ内で三井不動産、千葉大学、パナソニック、みらいが共同で開発を進めている「食物工場」を取材している。旭化成ホームズの商品より大掛かりな装置で、価格は発表されなかったが家電商品並みと聞いた。
今回の商品は安価だし、ギフト商品として受けるかもしれない。戸建てだけでなく、マンションや賃貸居住者向けにもいい。
観賞用植物といえば、サントリーミドリエもある。2009年に設立された会社で、壁掛けタイプだが、土を使用しないので壁への負荷も少なく手入れも簡単なのが特徴だ。昨年度の売上高は3.5億円。露出度も増えている。
住友林業 国交省「平成25年度 木造建築技術先導事業」に採択
「スパビレッジ・ホリカワ~ほりかわ癒しの湯~」完成予想図
住友林業は10月7日、国土交通省の「平成25年度 木造建築技術先導事業」に同社が設計・施工を行うプロジェクト「スパビレッジ・ホリカワ~ほりかわ癒しの湯~」が採択されたと発表した。
「スパビレッジ・ホリカワ~ほりかわ癒しの湯~」は、医療法人社団堀川会が福岡県久留米市に建設する延床面積約5,200㎡の住宅型有料老人ホーム(94室)+デイサービスセンター(50人)。
①木造軸組構法3階建て耐火構造建築物の東棟1 階のデイサービス部分の上階にある2・3 階戸境壁に階高分の平行弦トラスを採用することで、14mの無柱・無壁の大空間を実現②独自に開発した薄型で軽量化された耐火構造外壁を使用することで、耐火構造外壁の軽量化・簡素化を実現③鹿島建設が大臣認定を取得した耐火集成材「FRウッド」を用いることで構造材現し(あらわし)の内部空間を実現-したのが高く評価された。
木造建築技術先導事業は、低炭素社会の実現に貢献する構造・防火面で先導的な設計・施工技術が導入される大規模木造建築物の建設に対しその費用の一部が補助するもので、建築物の木造化の普及を促す事業。
今年度の木造建築技術先導事業には、基礎免震の上に1~3階をSRC、4~7階を耐火木造とした国内初の免震システムを用いた中層木造耐火建築物の高知県自治会館、構造躯体を100%町産材を活用した国内最大級の木造庁舎となる岩手県・紫波町新庁舎など6プロジェクトが採択されている。同社は2010 年度、2012 年度に続き5 件目の採択。
三菱地所レジデンス 分譲戸建て市場に参入
「大泉学園」完成予想図
三菱地所レジデンスは10月7日、戸建住宅シリーズ「ザ・パークハウス ステージ」を立ち上げると発表した。
同社はこれまでも戸建住宅としては「森林公園パークタウン」(札幌市)、「泉パークタウン」(仙台市)、「金沢文庫パークタウン」(横浜市)、「井口台パークタウン」(広島市)、「ドリームズ・デザイン鷺沼公園」(川崎市)など全国で取り組んできたが、これまでに培ってきたノウハウに住まいのブランド「ザ・パークハウス」のクオリティを融合させ、戸建事業を強化するのが狙い。
「ザ・パークハウス ステージ」は、「最高の暮らしの舞台となる街並みを実現する」という開発コンセプトのもと、「安心、安全、快適、便利、エコな街づくり」を目指す。年間400~500戸を供給するのが目標。
第1弾として「ザ・パークハウスステージ大泉学園」(練馬区・総区画数10区画)と「ザ・パークハウスステージ下井草」(杉並区・総区画数16区画)のホームページを10月7日(月)に開設する。
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これまで何度も書いてきたが、大手デベロッパーの分譲戸建て事業は三井不動産レジデンシャルがこれまでは独走しており、野村不動産が肩を並べようと急拡大している。このほかは2社に大きく立ち遅れており、東急不動産、東京建物、住友不動産がぼつぼつ供給する程度だ。
しかし、住宅着工戸数からして首都圏の分譲戸建て市場は年間にして5万戸ぐらいの規模がある。うち一建設グループが30~40%のシェアを占める。徹底したローコスト住宅がコンセプトだ。一方の三井や野村は一グループとは一線を画してはいるが、これからは3,000万円台の郊外住宅も手掛けるのは必至だ。
どうして他のデベロッパーが分譲戸建てを手掛けないのか記者は歯がゆく思ってきた。総合デベロッパーを謳うのなら、メニューに分譲戸建ては必須アイテムだと思う。三菱地所レジデンスは、ニュースリリースにもあるように「泉パークタウン」や「金沢文庫パークタウン」など素晴らしい戸建てを供給してきている。今回の「大泉学園」「下井草」は同じグループ会社の三菱地所ホームが施工を担当する。いずれも激戦地だ。どんな商品になるのか。モデルハウスがオープンしたら必ず見学してレポートしたい。
「下井草」完成予想図
野村不動産アーバンネット 新ブランド「野村の仲介+(プラス)」
野村不動産アーバンネットは10月1日、10年後の流通事業「100店舗、営業1,000人体制」をにらんだ新サービスブランド「野村の仲介+(プラス)」を立ちあげた。
「野村の仲介+(プラス)」は「あの人に、頼んでよかった。」と感じてもらえ、より親しみやすい店舗づくりを目指す。昨年発表した中長期経営計画では、現在の住宅流通事業54営業拠点を10年後には100店舗、営業1,000名体制を目標に掲げている。
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明日(10月4日)から展開するという駅・交通広告がまた挑戦的、刺激的だ。「家を買う。家を売る。その不安のひとつに、仲介業者はなっていないだろうか。」と半沢直樹似の青年に言わせている。
記者もまた「お前の記事は業界のため、消費者のためになっているか」といつも自問自答はしているけれども…。
駅・交通広告
東急不動産ホールディングス設立 東証1部に上場
東急不動産、東急コミュニティー、東急リバブルの親会社として「東急不動産ホールディングス」が10月1日設立され、同日付で東証一部に上場された。資本金は600億円。発行済み株式数は700,560,974株。決算期は3月31日。
会社設立に伴い、代表取締役社長には金指潔氏、代表取締役会長には植木正威氏が就任。
平成26年3月期決算予想は売上高7,000億円、営業利益600億円、経常利益485億円、当期純利益230億円。
初値は1,073円だった。単元株数は100株。
住友不動産 注文住宅を強化 今期中にモデルハウス20カ所新設
「青山モデルハウス」
提案型の「青山モデルハウス」オープン
住友不動産が注文住宅事業の強化に乗り出す。今期中にモデルハウスを全国で20カ所に出店する計画で、100棟体制を構築し、今期からスタートした第六次中期経営計画の期間中に年間受注棟数3,000棟の達成を目指す。その一環として9月26日、新たに「TBSハウジング渋谷」にオープンした提案型のモデルハウス「青山モデルハウス」を報道陣に公開した。
「青山モデルハウス」は、特定の商品をイメージしておらず、これまで以上に同社の商品企画力、設計力を幅広い顧客に訴求する役割を担ったもの。個性的でモダンな外観デザインをベースに、半外空間、SPA、床暖炉、光庭を設け、人間の副交感神経を刺激する空間を提案している。
同社の平成25年3月期の実績は受注2.389棟、今期目標は2,500棟。新設するモデルハウスは青山のほか、石巻、浦和、前橋、浜松、豊洲、札幌、津など。
半外風呂のSPA
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今回のモデルハウスは昨年オープンした「J・レジデンス」とは一変したモダンなものだ。プランも光庭をエントランスとリビングの境に設置したほか、床暖炉、半外風呂のSPA、ソファベッドコーナーを設けたルーフバルコニー、四を壁に囲まれた屋上ルーフバルコニーなどを提案している。延床面積は1階が175.55㎡、2階・屋上が100.60㎡。
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SPAには驚いたが、富裕層向けにアピールするモデルハウスとしては納得できる。そのまま建てれば1億円をはるかに突破するそうだが、これも納得だ。むしろもっと自然石や天然木を盛り込んでもいいと思ったぐらいだ。
さらにいえば、富裕層向けに訴求する商品としては、同社はまだまだ弱いと思う。高単価マンションも少なくはないが、億ションは圧倒的に三井不動産レジデンシャルに負けている。
モデルハウスでひとつ、これはいいと思ったのは、カーテンボックスがなく、天井から直接カーテンが下げられるものだった。特許を出願中ということのようだが、マンションにも採用できそうだ。
カーテンボックスがないのですっきりした天井になっている
三菱地所グループが記者懇親会
三菱地所グループの記者懇親会(日本橋のロイヤルパークホテルで)
杉山社長
三菱地所グループが9月25日、恒例の記者懇親会を行った。報道陣は百数十名が、三菱地所からは常務以上の役員18人がそれぞれ参加し、懇談した。
冒頭挨拶に立った木村惠司会長はオリンピック招致決定について触れ、「招致は無理だろうと思っていた。早朝のテレビで決定したのを見てびっくりした。アベノミクスの第4の矢になるのではないか。日本経済の復活、国際競争力の向上に寄与したい。工事費の上昇も懸念されるが、建設業界の構造改革、イノベーションにも期待したい」と語った。
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杉山博孝社長は、同社の直近の事業展開についてプロジェクターを使いながら説明した。詳細は省くが、第2ステージの段階に入った丸の内の再構築に自信をみせ、マンション事業については「質量ともナンバーワンを目指す」と語った。
杉山社長がプロ野球では広島ファンであることを先に東京ドームで行われたイベント「三菱地所を、見に行こう」で聞いたので、話を向けてみた。「そうそう、今日勝てば初のCS進出」と言いながらスマートフォンを出し、実に手早く「いま6回、0-0だ」と確認していた。(広島はこの日勝ち、CSに初めて進出するとともに16年ぶりにAクラス入りを果たした)
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記者の関心事はもちろんマンション事業なので、三菱地所レジデンス・小野真路社長にいろいろ聞いた。ストレートに聞いたので、ここでは書けないが、供給量などについては「競争が激化しており、リーマンショック後、地方ではプレーヤーは5人ぐらいに減ったのが、いまでは10人ぐらいに増えている。『千鳥ヶ淵』のようなピン立地の物件も継続して供給していきたいが、肝心なのはボリュームゾーンの4,000万円以下の物件をコンスタントに供給していくこと。一定のピッチで(用地を)買っていく」などと話した。
記者は、同社だけでなく大手各社に「もう戸数を争う時代はとっくに去った。商品企画で争ってほしい」と願うばかりだ。この点で、積水ハウスの阿部社長が「質が量を呼ぶ」と語ったのは参考になるはずだ。
ロイヤルパークホテル(記者の好きなホテルの一つ)
オープンハウスの初値 公募価格を18%上回る2,100円
荒井・オープンハウス社長(上場セレモニーで)
オープンハウスの初値は公募価格1,780円を18%上回る2,100円-9月20日、東証一部に新規上場されたオープンハウスの株価は寄付きから買い気配で値がつかず、ようやく9時32分、2,100円の初値をつけた。不動産市況が好転し、同社の業績も仲介を核に戸建て分譲とマンション分譲が好調に推移していることが市場でも評価されたもよう。
同社の平成24年9月期決算は売上高623億円、経常利益45億円、純利益25億円。セグメント別の売上高は不動産仲介が22億円(1,248件)、不動産売買が597億円(戸建て891件、請負475件、マンション分譲240件)。25年9月期も前期を大幅に上回ると予想されている。
東証一部不動産ポストの新規上場は4月1日のフージャースホールディングス以来。10月1日には東急不動産ホールディングスの上場が予定されている。
オリンピック招致決定 三菱地所レジデンス「晴海」に予約殺到
2020東京オリンピック招致決定で三菱地所がコメント
三菱地所は9月9日、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催が決定したことについて杉山博孝社長名でコメントを発表。
杉山社長は、「開催をきっかけとして、東京が世界から注目され、世界中から多くの来日者を迎えることが期待できる。日本や東京の素晴らしさを世界中の人々に知って頂く機会になると期待したい」「不動産業界にとっては、アジアの諸都市との国際都市間競争が激しくなる中で、東京のより一層の国際化を促進する契機となることを期待する」などとし、同社としても「国際競争力を向上させることを期待してサービスアパートメントや高級日本旅館などの導入を決めているが、今後もハード・ソフト両面において街のグローバル化を進めていく必要があり、オリンピックの東京開催をきっかけとして弾みをつけていきたい」としている。
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記者は開催都市が決まる2日前に、選手村が建設される「中央区晴海」がどのような街になるかの近未来像を記事にした。
招致が決定し、早くも予想通りの展開になってきた。晴海で分譲中の三菱地所レジデンスのマンション「ザ・パークハウス晴海タワー」への予約・来場が8日の早朝から殺到。通常の2倍に上ったことから、スタッフが対応できなくなり予約なしで見学できる措置をとったという。
同社広報によると「様子見をしていた人が、改めて来場されて購入を決断された方もかなりいらっしゃる」とのことだった。
当然のことながらオリンピック関連株も軒並み上昇。不動産株では「晴海」でSOHOを含むタワーマンション1450戸を予定している住友不動産は前場で一時約8%の400円高の値をつけた。
東京オリンピック招致が決定すれば晴海の街はどうなる(2013/9/6)
「質が量を呼ぶ」 積水ハウス阿部社長が業績アップを評す
質が量を呼ぶ-積水ハウスは9月6日、2014年1月期第2四半期決算説明会を開き、阿部俊則社長は主力の戸建住宅をはじめほとんどの事業が好調に推移し、通期でも売上高・利益とも過去最高を予想したことについて「かねて質が量を呼ぶと言ってきたことが現実となっている」と評し、さらに量的拡大を目指す姿勢を見せた。消費増税の影響については「限定的」と語り、それほど業績に影響を受けないとした。
上期の売上高は8,452億円(前年同期比11.5%増)、営業利益は556億円(同67.4%増)、経常利益は576億円(同68.2%増)、純利益は340億円(同99.4%増)となった。
セグメント別では、売上高は戸建住宅事業が254億円(前年同期比11.4%増)、賃貸住宅事業が227億円(同16.3%増)、分譲住宅事業が113億円(同19.4%増)、マンション事業が100億円(同49.6%増)、不動産フィー事業が80億円(同4.1%増)、リフォーム事業が70億円(同12.8%増)それぞれ伸ばした。その要因として外部要因としてアベノミクス効果による円安・株高・企業業績の回復や相続税改正の動き、金利先高感、消費増税の動きなどをあげた。
通期予想も期初予想の1兆7,400億円から12.5%増の1兆8,150億円に上方修正し、配当金も1株36円から43円に増配する。2014年度も売上高は1兆9,000億円に伸ばし、ROE10%(2013年度は9.1%)を達成する見通し。
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「量から質へ」ではなく「質が量を呼ぶ」というのは言い得て妙だ。記者の取材フィールドは主に分譲だが、確かに同社のマンションや戸建て分譲住宅は他社との差別化が徹底しており、質的にもワンランク高い。環境問題にいち早く取り組み、外構・植栽計画やメーターモジュールの積極採用、ソフトクローズ引き戸などユニバーサルデザインの取り組みでも抜きん出ている。
こうしたワンランク上の事業展開が、アベノミクスに敏感に反応した富裕層・アッパーミドルのニーズにマッチし、今回の大幅な業績アップにつながっているとみた。戸数だけではなく1棟当たりの単価が戸建住宅で3,369万円(2010年度比7.0%増)、賃貸住宅で5,944万円(同11.6%増)と高まっているのも、付加価値の高い住宅が評価されているのだろう。