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三枝氏

 東急不動産社長に業界最長身183cmの三枝利行氏-東急不動産ホールディングスは2月26日、東急不動産社長に東急不動産ホールディングス取締役で東急不動産取締役常務執行役員・三枝利行氏が、東急コミュニティーの新社長には同社取締役で東急不動産取締役副社長・岡本潮氏が4月1日付でそれぞれ就任すると発表した。金指潔・東急不動産社長は会長に、中村元宣・東急コミュニティー社長は会長にそれぞれ就任する。

 三枝氏は1958年生まれの55歳。東京都出身。青山学院大卒。身長は183cmで、これまでの大手デベロッパーの社長としては断トツの長身社長になりそうだ。

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三枝氏(左)と岡本氏

◇      ◆   ◇

 社長交代のニュースは、同日、ザ・キャピトルホテル東急で行なわれた恒例の東急不動産ホールディングスグループ記者懇親会でもたらされた。記者は会場をセルリアンタワーだと間違えたために、金指潔・東急不動産ホールディングス社長の話を聞きそびれたが、金指社長は準備万端、ずっと以前からこの日を発表の日と決めていたのではないか。

 懇親会の締めで挨拶した東急リバブル・中島美博社長の言葉がそれを裏付けた。中島氏は「わが社の業績は他をしのぐ勢い」と話し、「ホールディングス体制に移行して5カ月、当社グループは化学反応を誘発している」と、経営陣の若返りを「化学反応」に例えた。足し算でも掛け算でもない、さらに高いステージへ止揚する意味と受け取った。

 大手デベロッパーの社長就任年齢としては、昨年52歳で就任した住友不動産・仁島浩順氏や、故・安芸哲郎氏が東急不動産の社長に就任したのは53歳だったようなので、両氏には及ばないが、三井不動産・岩沙弘道会長(72)が社長に就任したのは56歳だった。

 年齢もさることながら、三枝氏の身長は、同社はもちろん同業他社の歴代社長と比較しても断トツの高さだろう。長身の社長としては三菱地所の元社長・高木丈太郎氏や東京建物の現社長・佐久間一氏などを思い浮かべるが、せいぜい170cm台だろう。他の社長は縦糸より横糸のほうがはるかに目立つ短身メタボの方が多数派を占めている。

 三枝氏は圧倒的な背の高さと若さで「化学反応」を進め、業界に旋風を起こすか。金指社長は三枝氏のフットワークの良さにほれ込んだそうだ。

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左から金指氏、三枝氏、岡本氏、中村氏

カテゴリ: 2014年度

 アキュラホームは2月21日、埼玉県住まいづくり協議会が実施した「第1 回埼玉県環境住宅賞」アイディア部門に1 作品が入選、4 作品が佳作、住まい手部門では2 作品が佳作を受賞したと発表した。

 アイディア部門で入選したのは「『輪になって暮らすしあわせ』~Common のあるまちづくり~」。わが国の三軒両隣の住文化をヒントに、5~10戸程度のコモンを持つ住宅群をクラスター状に配置した街づくりを提案したもの。

 埼玉県環境住宅賞は、環境への負荷が少ない新築やリフォームの実践例、住まい方のアイディアなどを募集したもので、4部門72作品の応募の中から最優秀賞1作品、優秀賞3作品、入選10作品、佳作21作品が選ばれた。審査委員長は三井所清典・日本建築士会連合会会長。

 最優秀賞(住まい手部門)は竹田篤史氏による「緑がつなぐ家~街並み・コミュニティ・環境・世代~」(設計者:オーガニックスタジオ)。3世代同居の平屋建て住宅で、パッシブデザインを取り込み、柿、キーウイ、ビワ、ジューンベリーなどの果樹をふんだんに配したもの。講評では「緑を中心に、世代、人、街をつなぐように配慮した家づくりの考え方はとても素敵である」と評価された。

◇   ◆   ◇

 アイディア部門で入選した作品に取り入れられている「コモン」は、これまでも多くのデベロッパーやハウスメーカーが提案しているのでやや独創性に欠けるが、風・水・光・土・育・環の仕掛けはすぐにでも実践できる。

 受賞について、同社を代表して商品開発部課長・太田雅彦氏が「今後の住まいづくりが、家単体の環境に配慮する自己満足のハイスペック住宅を供給するという考え方でなく、太陽の熱や光・風などの自然の恵みを有効に利用しながらエコに心地よく暮らすとともに、近隣との絆づくりのサポートを住まいやまちが行うことで、『地域の満足』へとつながることを信じている」とコメントした通りだ。

カテゴリ: 2014年度

 

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「CITY ECOX」モデル

 積水ハウスは1月13日、先に行われた「エネマネハウス2014」で提案した東京大学との共同事業「ゼロエネルギー化を目指した都市型低層集合住宅のプロトタイプの設計とその実証事業『CITY ECOX』」が最優秀賞を受賞したと発表した。2030年の居住者のライフスタイルに柔軟に対応できる集合住宅というコンセプトが明確な点などが評価された。

 「エネマネハウス2014」は、経済産業省資源エネルギー庁事業の一環として実施された事業で、主催はエネマネハウス2014実行委員会(委員長:村上周三建築環境・省エネルギー機構理事長)。

 大学が主体となり企業とチームを構成し、「エネルギー」「ライフ」「アジア」をコンセプトに、2030年の家に求められる先進的なZEH技術や、新たな住まい方を取り込んだモデルハウスを建築・展示し、エネルギー・居住環境の測定成果を競い合うコンペティション。事前審査を通過した5大学(慶應義塾大学、芝浦工業大学、千葉大学、東京大学、早稲田大学)が成果を競い合った。

 政府は日本のエネルギー事情を反映し、全消費電力の31%を占める家庭部門で、住宅のゼロエネルギー化を推進しており、2020年までに一次エネルギー消費賞が正味(ネット)で概ねゼロとなる「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)を標準的な新築住宅とすることなどを掲げている。

「エネマネハウス2014」最優秀賞は東大 ファン投票1位は芝浦工大(2014/2/1)

「エネマネハウス2014」 記者の評価ナンバーワンは東大 早大は? (2014/1/30)

カテゴリ: 2014年度

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同社奈良工場

 大和ハウス工業は1月22日、省エネルギーセンター主催の平成25年度「省エネ大賞(省エネ事例部門)」で、同社の「次世代省エネ工場の商品化に向けて」の取り組みが評価され、「経済産業大臣賞(OGO企業等分野)」を受賞したと発表した。

 同社は、CGO(環境担当役員)のリーダーシップにより、生産部門と開発・設計部門が連携して省エネ活動を進めており、2012年度は工場全体で売上高あたりCO2排出量を2005年度比48%削減、とくに北九州の同社モデル工場では64%削減した。

 また、同社は自然の力を生かす「パッシブコントロール」や創エネ・省エネ・畜エネを行う「アクティブコントロール」、建設設備や生産設備のエネルギーを総合的に管理する「スマートマネジメント」を採用した次世代環境配慮型工場「D’SMART FACTORY」を商品化。奈良工場(2013年12月竣工)と竜ケ崎工場第2工区(2014年2月竣工予定)で同商品への建て替えを進めている。

 

カテゴリ: 2014年度

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小林教授

旭化成ホームズ 第12回「くらしノベーションフォームラム」

 旭化成ホームズは1月21日、第12回「くらしノベーションフォームラム」を開き、千葉大学大学院教授・小林秀樹氏が「ナワバリ学で家族と住まいを読み解く」をテーマに講演を行った。

 小林氏は、「ナワバリ学は30年前、私が博士号を取ったテーマで、その後長らく空白期間があったが、もともと私の原点」と前置きし、「ナワバリ」とは「その場所を自分(たち)のものだと思い、そこをコントロール(支配)しようとする一定の空間」と定義づけた。そのナワバリを研究しようと思ったのは、外廊下が居住者の〝たまり場〟になっている団地は防犯性が高いことがきっかけだったという。

 そこからさらに「居心地の良い住まいとは何か」に発展させ、昔の封建家族(順位制)=個室のない住宅から居室と個室に分かれた平等家族(ナワバリ制)に移行した結果、家族は平等なナワバリを持つか、夫婦寝室はどうか、子どもは家にナワバリを持つか、親子のナワバリ争いはどう鎮めるかなどを研究。部屋の家具配置やしつらえを誰が決めるか、誰が管理するかがカギであることを突きとめた。

 マンションに多くみられるnLDK(n=居室の数)は母主導型であるとし、こどもが居間で意見を言う度合や子ども部屋を親が決定するのか子どもが決定するのかによって、「自立」「分離」「密着」「従属」の4つのカテゴリーに分類。調査研究の結果、都市住宅は「母主導型」であるとしている。また、人間集団を相互依存的(集団主義)か独立的(個人主義)か、権威を重視する垂直的関係か、契約を重視する水平的関係かを見た場合、わが国の家族は封建家族から順位制を残した温情家族へ、さらに子どもの成長とともに母子による友愛家族へと変化していると結論づけた。

 小林教授は、個室化の進展にもかかわらず家族温情主義が残るのは、玄関で靴を脱いで床上にあがる生活様式「床上文化」が影響していると指摘。日本の住まいの特徴は、①順位制の性格が根強く残る②夫婦平等のナワバリは少なく、夫婦別寝室も多い③親子の触れ合いを重視する「居間中心型」が急増④「床上文化」が家族温情主義を生み出す-とし、「理想の間取りは普通の間取り」とした。「居間と和室がつながる」形態は住みこなしやすい優れた間取りとも語った。

◇              ◆     ◇

 記者は社会・経済・家族の環境が人格形成にどのような影響を及ぼすかずっと考えてきた。家族の関係でいえば、昔の囲炉裏は今のLDKよりはるかに優れていると思っている。囲炉裏には家族だけでなく近所の人たちが集まり、農作業の出来不出来や政治の話、色恋沙汰までもあからさまに話し合っていた。子どもは父親が囲炉裏の灰に書く文字で漢字の書き順や足し算引き算も覚えた。読み書きそろばん(そろばんは経済の意味も含む)は囲炉裏で覚えた。

 今のマンションはどうか。田の字型の間取りは相変わらずだし、夫婦二人の主寝室と子ども部屋の大きさがほとんど変わらないマンションも多い。個室は孤独・孤立の「孤室」ではないかとも思う。「子育て」がテーマになればみんな右に倣えだ。似たような間取りのオンパレードとなる。

 そんな現状に飽き飽きしている記者は、小林教授が「理想の間取りは普通の間取り」と話したときは、肩透かしを食らったような気分になった。小林教授は自著「居場所としての住まい ナワバリ学が解き明かす家族と住まいの深層」(2013年、新曜社)で次のように述べている。

 「日本の家族の実態は、言論が示す以上に保守的であり、かつ健全だ。重要なことは、その先鋭的な例が、これからの趨勢になるものの先取りか、それとも、単なる特殊例にすぎないのか見きわめだ」(87ページ)「現実は、言論をあざ笑うようにnLDKの定着へと進んでいる。このような現実を踏まえると、私たちは言論に過剰に反応することなく、個室やLDKを当たり前のこととして受け入れるべきではないだろうか。むしろ、注目すべきはそれとは別の問題だ。具体的には、中廊下形式の見直しと、外部社会に対する住まいの閉鎖性の見直しだ」(88ページ)

 間取りも含め住居が人格形成にどのような影響を与えるかについては、建築学はもちろん社会学、教育学、心理学などの様々な分野からの分析・研究もなされている。この先どうなるか見極めたい。

 ひとつ、これからの住宅の商品化に参考になりそうな小林教授の考えを紹介する。小林教授は「これからの住まいの条件」のひとつとして「地域の人が気軽に訪問しやすいように玄関は引き戸にするとともに、LDKの窓を近くに配置する。引き戸であれば、全開や半開きにしておき、『暇だから、どうぞ入って』というサインとしても利用できる。逆に、プライバシーを大切にしたいときは、引き戸を閉じるとともに、窓のカーテンを閉めればよい」(101ページ)としていることだ。

 本日行われた積水ハウスの新商品発表会でもこの「玄関引き戸」が提案されていた。記者は分譲マンションにも採用できるのではないかと質問したが、同社は「分譲にも十分対応できる」と話した。

〝複合〟でつなぐ地域の暮らしと福祉「もう一つの住まい方推進協議会(AHLA)」フォーラム(2010/11/29)

カテゴリ: 2014年度

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 大成有楽不動産はマンションブランド「OBER(オーベル)」の価値向上を目指し、今年1月から新たなコンセプトに基づく商品やサービスを提供するリブランディングをスタートさせたが、そのプロジェクトチームの責任者、同社マンション開発本部企画部管理室室長・土肥(どひ)健作氏に話を聞いた。

◇      ◆     ◇

 同社は平成24年4月、大成建設グループの大成サービスと有楽土地が合併して誕生したが、旧有楽土地の設立は昭和28年。これまでのマンション分譲戸数は39,000戸を超え、管理戸数は102,000戸を突破している老舗企業だ。

 リブランディングは2年半前から検討を始めていたもので、満を持しての今回の発表となった。土肥氏がチームリーダーで、同社社長室経営企画部広報室室長・小林久視氏がサブリーダーを務めている。その狙い、背景などについて土肥氏は次のように語った。

 「マンション事業は大手の寡占化が進んでおり、今後も加速する。当社も生き残りをかけてこのプロジェクトをスタートさせました。社内から『うちの売りは何か』など声を聴いたのはもちろん、一般からは4,000件くらいのアンケート調査を行いました。結果は愕然とするものでした。4万戸近い業界でも上位の実績を持ちながら、認知度は極めて低いことを思い知らされました。あぐらをかいていた部分もありました。売り上げが伸びていたときも財産として残せませんでした」

 こうした反省を踏まえ、徹底したリブランディングに取り組んできた。

 「リブランディングに当たってはインナーブランディングが重要と考え、ワーキングチームも構成を変えたりして社員の意識改革や業務改善に取り組んできました。これからはファサード、エントランス、外構などに当社独自のデザインコンセプトを盛り込んでいきますし、品質管理においては1000項目にものぼる品質のチェックを全ての現場で実施する等、独自の品質管理体制『オーベルクオリティコード』を徹底していきます。コミュニティサポートのための部署を設けましたし、居住者向けのワンストップサービスも行っていきます。これからが勝負です」

◇      ◆     ◇

 同社の知名度やブランドの認知度の低さにはびっくりもしたが、さもありなんとも思った。記者は約35年間、マンションを取材してきた。もちろん同社のマンションもたくさん見学してきたはずだ。ところが、同社の「売りは何か」と聞かれてもとっさには出てこない。ユニバーサルデザインに早くから取り組んできたこととか、物件ではオードリー・ヘップバーンを起用した「ティアラシティ」、都のマンション環境性能表示で高い評価を得た「桜堤庭園フェイシア」、昨年見学した出色の「オーベル蘆花公園」くらいしかない。

 なぜなのか。考えてみてもよく分からない。元々は東証2部にも上場していた数少ない不動産ポストの老舗企業でありながら、会社の顔ともいうべき広報の部署がなかったのも一因かもしれないが、結局は「大成のブランドや歴史があるということに依存してきた」という土肥氏の言葉に行きつく。

 そうした体質を一掃するために、インナーブランディングを徹底したというのは納得だ。社員の意識を変えないとこうした試みは成功しない。土肥氏と同じことを言った人がいる。昨年10月からリブランディング「野村の仲介+」を開始した野村不動産アーバンネットの執行役員 流通事業本部営業推進部長・神園徹氏だ。神園氏は「当社の売りはサービス。インナーブランディングを徹底しないと効果を挙げられない」と。

 もう一つ、土肥氏が語った「施工会社がどこでも当社の品質管理を徹底する」ことも極めて重要だと思う。土肥氏に話しを聞いた2日前、三井不動産レジデンシャルの「パークホームズ築地」の記者発表会があり、施工が長谷工コーポレーションであったため、ある記者が「どうして長谷工コーポレーションなのか」という質問をした。これに対して同社開発事業本部都市開発二部長・村裕太氏は土肥氏と同じように答えた。「施工がどこでも三井のマンションです」と。

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「O-range STORAGE(オレンジ収納)」

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 リブランディングを具現化した商品・提案を現在分譲中の「オーベルグランディオ千住大橋エアーズ」で見た。シアターの冒頭には「オーベル メッセージムービー」が流れた。ユーザーの声を商品企画に生かす「O-range LABO(オレンジラボ)」では「O-range KITCHEN(オレンジキッチン)」「O-range STORAGE(オレンジ収納)」がモデルルームで提案されていた。

 一つひとつは紹介できないが、「オレンジワゴン」「シンクフロントレール」「サポートカウンター」「マルチシューズシェルフ」「マルチクローゼット」などはスグレモノだ。記者が推奨する「物干しポール」もついていた。

 「オレンジワゴン」「シンクフロントレール」「マルチクローゼット」は他社にはないものだ。とくに「マルチクローゼット」には「長押」のような使い方ができるのには驚いた。

 「キッチン」「収納」は先行するデベロッパーと肩を並べるどころかそれ以上かもしれない。第三弾も準備中と聞いた。間違いなく同社は変わることを実感した。

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「O-range KITCHEN(オレンジキッチン)」

大成有楽不動産 「OBER(オーベル)」リブランディングをスタート(2014/1/8)
 

カテゴリ: 2014年度

 

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左からGK西川、MF青木、MF関根、DF濱田の各選手

 ポラスグループは1月14日、2014年シーズンも浦和レッズのトップパートナーとなり、Jリーグユニフォームの胸部分に同社のロゴが入ることになったと発表した。

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 記者はサッカーには興味がないが、浦和レッズがJリーグでもっとも人気のあるチームだとは聞いている。不動産業界からはトーシンパートナーズが古くからトップパートナーになっている。不動産会社の認知度が高まるのはいいことだ。ポラスには西武ライオンズも応援してほしい。

 

カテゴリ: 2014年度

 ポラスグループの中核をなす中央住宅が戸建てだけでなくマンションや複合開発、JV、リノベーション、再開発などの案件の仕入れに複眼的な手法で積極的にトライしていく。同社取締役・金児正治氏が語った。その一つ、葛飾区新小岩ではマンションと戸建ての複合開発を開始する。

 金児氏は、戸建てのマインドスクェア事業部長でもあるが、今年の6月からマンションの事業責任者も兼ねており、今回マンションの用地仕入れ方針などについて次のように語った。

 「昨年暮れ、私のほうから、戸建て、マンションと『複眼の目で用地を仕入れたい』と手を挙げた。品川社長からも『思い切ってやってくれ』との了承も得て、今年に入ってから各部署などからヒアリングを開始してきた。用地仕入部隊は100人弱いるが、これまではマンション用地などは素通りしてきた。しかし、これからは供給エリアを広げ、規模についても他社とのJVを視野に入れた大型案件、マンションと戸建ての複合開発、さらにはリノベーション、再開発案件にもトライしていく。マンション事業の売り上げは現在50億円ぐらいだが、5年後には100億円ぐらいに伸ばしたい。事業の柱の一つに育てたい」

 その第一号案件もほぼ決まった。葛飾区新小岩で進めている案件で、マンション47戸と分譲戸建て8戸を計画している。

 戸建てについて金児氏は、年明け早々に分譲する予定の「都内城北エリア初進出の『赤塚』の事前反響が3週間で100件。スカイツリーが眺められることから話題を集めた2年前の『森下』に次ぐペース」と確かな手ごたえを感じ取っていた。

◇      ◆   ◇

 複眼の土地仕入れに転換するのは大賛成だ。これまで同社は埼玉の戸建てでは圧倒的なシェアとブランド力を誇っていたが、マンションは年間に1棟から2棟ぐらいしか供給してこなかった。記者は不思議でならなかった。ポラスファンを増やすためにもマンション事業は欠かせないはずだ。

 これまでマンション用地などには目もくれなかった100人弱の仕入れ担当が複眼の目で土地を見るようになれば、情報収集力は飛躍的にアップするのではないか。

カテゴリ: 2013年度

 

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「日土地虎ノ門ビル」

 日本土地建物が10月末に竣工した「日土地虎ノ門ビル」を見学した。同社の環境フラッグシップビルと位置づけ、国内の環境評価システムの最高ランクであるCASBEEの「S」、PAL:26%・ERR:43%により東京都の建築物環境計画書制度において、最高ランクの「段階3」、さらに国際的な環境評価であるLEED-CSの「ゴールド」を取得。同社の矜持が込められたビルだ。

 物件は、東京メトロ銀座線虎ノ門駅から徒歩3分、港区虎ノ門一丁目に位置する敷地面積約1,536.83 ㎡の鉄骨造、一部鉄骨鉄筋コンクリート造地下1階、地上11階建て、延べ床面積11,507. 82㎡。設計・監理は日本土地建物(設計統括)、日建設計(構造)、清水建設(設備)。施工は清水・坂田・日土地建設共同企業体。

 すべては紹介しきれないのでいくつかを紹介するが、おそらくこの中規模のビルでは最新の技術を導入したビルであることは間違いない。

 まず、屋上の太陽光パネルと屋上緑化。太陽光パネルは96枚を設置し、年間使用電力量の1%、20kwを出力。共用部の照明などに用いる。屋上緑化では11階ガーデンテラスにオリーブなどを植樹して日射負荷の低減を目指す。

 各フロアの共用部分には港区のみなとモデル二酸化炭素固定認証制度の認証取得を目指すため床には厚さ15ミリのクリ無垢材と厚さ12ミリの下地合板にはスギ材を、壁には再生土を含有させたタイルを採用している。

 窓にはエアフローウィンドウを採用。電動ブラインドは太陽光追尾センサーを設けることで昼光制御を行い、カーテンウォールに換気口を設置して、中間期の省エネと自然の風をビル内に取り込む。さらに、ゾーン別の空調、照明もワンタッチで調整できるようにしている。

 雨水の再利用では、雨水を地下のタンクに貯留し、ろ過した水を再生水として屋上・壁面緑化の自動灌水やトイレの洗浄水に使用する。トイレは断水した時でも利用できるトイレを一部に設置する。

 エネルギーの見える化では、1階のエレベータホールにデジタルサイネージを設けたり、入居者がパソコンで使用量を把握できるようにしており、省エネ対策に利用する。デジタルサイネージではニュース、天気予報なども見える。

 外構・壁面の緑化では、南側の壁面にプランター方式の緑化を図っている。プランターは各フロアで維持管理がしやすいよう工夫している。メイン道路に面した建物はピロティ方式とし、空地にはシマトネリコを植樹、ドライミストも設置する。

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太陽光パネル                             共用部分

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 記者はビルが専門ではないが、同社の矜持をみたような気がした。壁面緑化は今のビルやマンションでは当たり前と言えるかもしれないが、プランター方式にしていたのには驚いた。同じようなものは、森ビルの「元麻布ヒルズ」がマンションのバルコニーに自動灌水方式のプランターを設置していたのを見たことがある。

 階段室の照明にも驚いた。普段、照明はついていないが、ドアを開けると人の動きをセンターが感知してLEDの光を灯し、階段ステップには光を蓄える性能がある素材が採用されていた。

 トイレの水も手洗い水と洗浄を使い分け、断水のときでも手動で利用できるようにしている心配りが憎いではないか。

 CASBEE、LEEDについては省略するが、「S」ランクはまたまだ少ないし、LEEDはわが国でも認証を取得しているところが増えているが、「ゴールド」のもう一つランクが上の「プラチナ」は数えるほどしかない。

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敷地内緑化と壁面緑化

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 このような最先端の技術を採用したのが銀行系のデベロッパーというのも感慨深いものがある。バブル崩壊後、〝長銀系の優等生〟と呼ばれた日本ランディックを筆頭にたくさんの銀行・証券系と呼ばれたデベロッパーが破たんし、または会社清算などで市場から姿を消してしまったからなおさらだ。

 姿を消したデベロッパーをいくつか紹介する。ランディックとは対照的に〝長銀の劣等生〟と言われたエルカクエイ、三和銀行系の東洋不動産、三菱信託系の菱進不動産、日債銀系のアサヒ都市開発、東京相和系の朝日建物(朝日建物を銀行系にするには異論があるかもしれない)、大和証券系の大和土地建物、日興証券系の日興不動産などだ。

 金融系で生き延びたのは第一勧銀系の日本土地建物のほか、興銀系の興和不動産(現新日鉄興和不動産)と常和ホールディングス、富士銀行系のヒューリックぐらいしかない。

 日土地がバブルを乗り切ったのは、浮利を追わなかったのがその理由の一つだろうと思う。記者は「横浜白山」(430区画)「横浜あずま野」(547戸)「横浜戸塚台」(298戸)などの大型戸建て団地を取材してきたが、売れるからといってバブル期に大量供給することなく、そしてバブル後の苦しいときも街をつくりコンスタントに供給してきた。

 そして1999年。バブル崩壊後のどん底の経済状況の中からようやく立ち直りを見せたときだ。同社は法人営業部を立ち上げ、CRE(Corporate Real Estate=企業不動産)戦略支援ビジネスを始めた。「不動産は問題解決業」という視点だ。これが今日の伸張に繋がったのではないか。

 環境不動産のトップランナーだ。

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ドライミスト

カテゴリ: 2013年度

 総合地所は12月1日付けでソリューション事業本部を不動産開発事業本部に改称し、用地開発部と営業企画部を新設し、賃貸事業部の営業体制を強化するなどの組織改定を行なったが、組織改定に伴う事業説明会を16日開いた。

 主な組織改定は、①分譲・賃貸・リノベーション事業を強化するため、ソリューション事業本部(東京本社・大阪支店)を不動産開発事業本部に改称し、用地開発部(東京本社)、大阪用地開発部(大阪支店)を新設②商品企画力、販売企画力、マーケティング力の強化を図るため企画本部に営業企画部を新設③賃貸管理の営業体制を強化するためオーナー向けの窓口であった賃貸戦略部を、エリア別に三部体制に改組し、賃貸戦略第一部・賃貸戦略第二部・賃貸戦略第三部を新設-など。

 説明会の冒頭、同社取締役兼常務執行役員管理本部長・谷村大作氏は「不動産事業は建築費の上昇、消費増税後の市場への影響など、経営の舵取りが難しくなる局面を迎えるが、どう打って出るかの解答を示せたと思う」と述べた。

 続いて不動産開発事業本部を新設したことについて、不動産開発事業本部副本部長・井上理晴氏が「用地開発部を新設したのは、マンション用地取得にとどまらず戸建て、賃貸、リノベーションも含んだ多面的、戦略的な専従部隊として発足させた。ボリュームを追うのではなく質を追求していく。組織に横串を通すことで連携も図れる」と、新設の理由を語った。

 賃貸事業本部再編については、同社賃貸事業本部副本部長・八木橋伸二氏は「顧客満足度を高めるため三部体制を敷いた。スタッフも12名から23名に増員した。ファンド向け、オフィス・店舗などにも対応していく。現在約18,000戸の管理戸数を2万戸にするのが当面の目標」と話した。

 営業企画部を新設したことについては、同社企画本部営業企画部部長・小金沢伸一氏が「マンションの価格上昇圧力が高まっているが、Web戦略、商品企画、販売企画、マーケティング力を強化してカスタマーズファーストを実践していく」と語った。

◇     ◆   ◇

 リーマン・ショック後、同社が「ソリューション事業本部」を立ち上げたあたりから、記者は同社の動向にずっと注目してきた。「不動産はソリューションビジネス」そのものだが、言うは易く行なうは難し。何をするかだ。

 その点、同社は1棟買い取りリノベーション、サ高住なども手がけるようになった。広報活動も強化した。どんな小さな案件でも報道陣向けに現地見学会を行なってきた。今回の組織改訂に伴う説明会も同様だ。ステークホルダー重視の経営には欠かせないことだ。

 その「ソリューション事業本部」が改称されるのはさびしい気がしないではないが、「不動産はソリューションビジネス」という考えからすれば、各部署の呼称を変えて組織を明確にするのは理解できる。

 しかし、谷村氏も話したようにデベロッパーの前途は決して明るいものではない。マンションも賃貸もリノベーションも益々競争は激化する。かつて大手は手をつけなかった分野へも進出姿勢を強めている。同社がどう独自性を発揮していくかが鍵を握っている。真価が問われるのはこれからだ。

 ヒントは旧安宅地所、永昌不動産時代に培ったノウハウ、DNAをどう継承していくかだ。記者は昭和50年代から両社のマンション事業などをずっと見てきたが、決してゼネコンに丸投げするようなことはしなかった。専用カーポート付きや温泉付き、ランドスケープ重視の商品企画などで業界をリードしてきた。ステイタスとなっている〝ルネ〟マンションは少なくない。安定的な収益源の賃貸部門があるのだから、マンションは井上氏も話したように数を追うのではなく質を追求して欲しい。

カテゴリ: 2013年度
 

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