野村不動産 ベトナム・ハノイ市で初の事業参画 三菱地所らとマンション2,150戸
「The Senique Hanoi」外観(提供:CapitaLand Development)
野村不動産は8月14日、ベトナム・ハノイエリア東部に位置するCapitaLand Developmentと三菱地所との共同開発事業「The Senique Hanoi」に参画することを決定したと発表した。総売上高約6億シンガポールドル超(約666億円超)、地上37階建て3棟構成で総戸数は約2,150戸。同社のハノイ市アドレスでの事業展開は今回が初めて。(三菱地所の記事参照)
物件名称の一部である「Senique」はベトナムの国花である蓮の花を意味するベトナム語の“Sen”と、“Unique”を掛けた造語。
三菱地所ベトナム・ハノイで2物件約6,000戸(1,776億円超)の住宅事業に参画
三菱地所 ベトナム・ハノイで2物件約6,000戸(1,776億円超)の住宅事業に参画
「Lumi Hanoi(ルミ ハノイ)」外観(提供:CapitaLand Development)
三菱地所は8月14日、ベトナム・ハノイ市で2物件合計16億シンガポールドル超(1,776億円超)、約6,000戸の大規模分譲マンション開発事業に参画したと発表した。同社は2010年にベトナムに事業参画してから分譲事業では6物件3,573戸を販売しているが、今回の2物件のプロジェクトはその2倍近くになる。竣工は2026年以降。
事業参画するのは、シンガポールのデベロッパーCapitaLand Development社とFar EastOrganization社との共同による「Lumi Hanoi(ルミ ハノイ)」と、CapitaLand Development社と野村不動産との共同による「The Senique Hanoi(ザ セニーク ハノイ)」の2物件。
前者は、ハノイ市の新市街エリアまで車・オートバイで約10分、ミッドタウンまで約20分のハノイ市西部に位置する敷地面積5.6ha、総戸数約3,950戸。総売上高約10億シンガポールドル超(約1,110億円超)。戸数は同社の海外住宅案件として過去最大。建物は29~35階建ての9棟構成で、主要間取りである1BR~4BR(専有面積:42㎡~410㎡)に加え一部メゾネットやペントハウス住戸などを販売する。異なる外資系の設計事務所がコンセプトデザインを手掛ける。竣工予定は2026年。
「Lumi Hanoi(ルミ ハノイ)」プール(提供:CapitaLand Development)
後者は、人工ラグーン(海水遊泳施設)や湖、自然豊かな公園、テーマパーク、インターナショナルスクール、大学、ショッピングモール、病院など多種多様な施設が揃うハノイ市東部に位置する敷地面積2.1ha、総戸数約2,150戸。総売上高約6億シンガポールドル超(約666億円超)。建物は地上37階建て3棟構成で、主要間取りである1BR~4BR(専有面積:42㎡~430㎡)に加え一部メゾネットやペントハウス住戸も開発予定。竣工予定は2027年。
「The Senique Hanoi(ザ セニーク ハノイ)」外観(提供:CapitaLand Development)
「The Senique Hanoi(ザ セニーク ハノイ)」車寄せ(提供:CapitaLand Development)
「不死鳥の慧眼」を見た 買取再販にサッシ交換 日新ハウジング・平山喜朗社長(76)
平山氏
記者が「中央線の不死鳥」と呼ぶ日新ハウジング社長・平山喜朗氏(76)に5年ぶりにお会いし、現在の中古マンション流通市場や健康の秘訣などを聞いた。「膵癌」の疑いがあるとかで心配したのだが、「膵癌」ならぬ「酔眼」は記者であって、4~5年前から買取再販にサッシ交換を取り込み、50歳で始めた趣味のゴルフではハーフで40を切るなど信じられな話を聞いた。「不死鳥の慧眼」を目の当たりにした。( )内は記者。
本社店舗
店舗の花壇
◇ ◆ ◇
-レインズデータでは、中古マンション市場は長いトレンドで見ると成約件数が増加し、単価・価格の上昇が続いています。いまの市場をどうみていますか
一言でいえば、特殊な市場です。当社の事業エリア、中でも中野地区は特に再開発の影響を受けて、中古市場もタワーマンションを中心に高額物件ほど上昇幅が大きく、値上がり益を睨んだごく限られた富裕層の需要は旺盛です。
一方で、一般ユーザー向けの中古市場は、新築マンションや金利、株価動向などの影響を受けやすい不安定な状況にあり、警戒する必要があります。一筋縄ではいきません。中でも、旧耐震など古いマンションに対する抵抗感は根強いものがあります。
この特殊市場を見誤ると危険です。長年事業をやっていると、このような経済の二重構造が見えてくるんです。
-買取再販が活況を呈していますが、いかがでしょうか
買取再販市場も甘くありません。他社物件もよく見ています。社員任せにはしていません。ものを見ると気づきがあり、商品企画のヒントにもつながるんです。どういうものが売れるのか、売れないのはなぜか、現場を見ればよく分かります。
当社は売主となる以上は〝そこまでやるか〟というくらい商品力を向上させています。例えばサッシの交換です。4~5年前から積極的に行っています。補助金も出ますから。管理組合がOKしない物件は買わない場合もあります。この取り組みは結構お客さまにも評価されています。サッシ交換までやっている同業は少ないはずです。
もう一つは、単にリフォームするだけでなく、買い取った物件の造作家具などを収納できる倉庫を2か所確保し、それらの造作家具を再利用するなどして最大限演出しています。これがお客さまの満足度を高めるのです。
-店舗前にたくさんの風船が飾られていましたが
販売現場にも風船を飾るんです。毎月、色を変えています。8月はブルーです。(「黒」はないですよね。縁起が悪い。売れるものも売れない)そう、黒はありません。(この前、平山さんと同窓の吉永小百合さんの記者発表会を取材したんですが、吉永さんはとても美しいターコイズブルーのドレスでした)そう、それはいい。それにしよう。(年間スケジュール表には1月は赤、2月は白、3月はピンク、4月は緑、5月はブルー〈水色〉、6月は青、7月は黄、8月はブルー〈水色〉、9月はラベンダー、10月は黄、11月はオレンジ、12月はマットピンクとあった)
-店舗前の花壇に花が植えられていましたが
私はね、見かけによらず花が好きでして、夏は百日草、冬は矢車草を店舗の前の花壇に植えています。これが近所の方に人気でして、毎年30人くらいですかね、苗をプレゼントしているんです。
-5年前に取材させていただいたときもとてもお元気でしたが、社長は私より一つ年上の76歳。後期(光輝)高齢者になっても元気な秘訣は何でしょう
健康第一です。朝5時半に起きて、6時半からの店舗前のモップ掛けは継続してやってますよ。(えっ、まだやっているんですか)30分すれば汗だくになりますから。モップ掛けは下半身を鍛えるんです。週2回、ジムに通って筋トレもやってます。スクワットは200~300回です。(絶句)
このモップ掛けと筋トレの成果はゴルフに現れています。この前、74人が参加したゴルフ月例会で準優勝しましてね。ハンディが21から19に上がって、CクラスからBクラスに昇格したんです。
一昨日も、ゴルフやってきたばかりです。仲間と。(この炎天下にですか)私は炎天下が好きなんです。鹿児島薩摩川内市出身ですからね。炎天下には慣れています。それで、前半のハーフで39が出たんです。3オーバーです。40切ったのは初めてでした。後半は45でしたが…。(えっ、それは凄い。私は50歳でゴルフを止めましたが、ハーフで70は叩いていましたから。第一打を打ったら、低空飛行して前方にある突起物に当たり、そのまま戻ってきて、ティーの後ろから第2打を打ったこともあるくらいです)
ゴールドティと筋トレの成果でしょうね。70代の半ばで80台で回れるのは100人に一人くらいだと思いますよ。今度の8月18日の月例会にかけているんです。優勝を狙っています。
-膵癌の疑いがあるという話がありますが…
今年に入って体調を崩しましてね、行きつけのクリニックに行ったら「膵臓にしこりがある」と言われましてね、一週間検査入院したんです。退院してからも薬は飲みましたが、食欲不振と倦怠感が激しく、会社も休みました。それで、治療を止めたんです。そうしたら体力が戻りだし、食欲も出てきたんです。(人間には自然治癒力がありますよね。がんの治療薬は健全な細胞も殺しますからね)そうです。(酒とたばこはどうです)酒は最初の胃がんのとき止めました。タバコは57歳でやめました。
◇ ◆ ◇
同社が4~5年も前からサッシ交換を積極的に行っていると聞いてびっくりした。「不死鳥の慧眼」を見た。記者は、新築マンションはもちろんだが、リノベマンションを見学した際、真っ先に確認するのはサッシの断熱性能だ。リノベマンションはここに手を付けないといけないと考えているからだ。ところが、築古の物件でも従前の単板ガラスをそのまま採用しているのがほとんどだ。理由を聞くと「サッシは共用部分」という答えが返ってくる。共用部分の改変は管理組合の承諾が必要だからだ。
国は昨年、既存住宅の省エネ性向上とCO2排出量の削減を促進させるため、「断熱窓への改修促進等による住宅の省エネ・省CO2加速化支援事業(先進的窓リノベ2024事業)」を創設。断熱窓を採用した場合、一戸あたり5万円から最大200万円まで補助される。
買取再販に力を入れている会社でサッシ交換を行っているところはどれくらいあるのか。
波瀾万丈の「平成」掉尾飾る〝中央線の不死鳥〟日新ハウジング・平山喜朗社長(2019/4/30)
逆風にめげず今年も新卒13名採用 日新ハウジング(2008/1/7)
首都圏中古マンション坪単価 10年間でほぼ倍増 東日本レインズ調査(2024/8/8)
「背伸びせず身の丈経営に徹す」新田社長(75) タウングループ 創業45周年 感謝の会
新田氏(プリンスパークタワー東京で)
タウングループは7月11日、「タウングループ創業45周年記念 感謝の会」を開催した。二部構成で、一部では同社代表取締役社長・新田泉氏が45年間を振り返り、様々な思いについて語ったほか、外務省顧問で立命館大学特別招聘教授・薮中三十二氏が基調講演を行い、二部では懇親会を行った。会には関係者ら約740人が参加した。新田社長のあいさつは以下の通り。
「タウングループ創業45周年記念 感謝の会」
◇ ◆ ◇
創業45周年を迎え、感慨深いものがございます。中原中也の「頑是ない歌」の冒頭に「思えば遠くへ来たもんだ」という詩句がございます。この詩句が意味するところの、ややもすると企業が忘れがちな、当社のモットーである「ひとを、まちを、もっと豊かに。」と、社是の精神である仕事を通じて社会の発展、人々の幸せに貢献する、この思いを新たにしたところです。
この場をお借りいたしまして私どもの社是をご紹介させていただきます。1番目に「今日を語らずして明日を語るな、今日を語り、明日を語り、そして未来を語ろう。」
2番目に「仕事を通じて人格・人徳を磨き、社会の発展と人々の幸せの為に貢献しよう。」
3番目に「私利を追うな、社会の発展と人々の幸せの為の公利を求めよう。」
4番目に「他者との争いに勝つ事より、自己改革・自己成長を妨げる己の弱さに克ち、 社会の発展と人々の幸せに貢献できる真の勝者に成ろう。」というようなものでございます。
この社是は近江商人の三方良しに通じるものがあるのではないかと思います。
社業につきましては、今日に至るまで順風満帆に来たわけではありません。何回か存続の危機に遭遇しております。危機の要因は、外的要因は一つもございません。全て私どもに要因がございました。あるいは頑是ない、すなわち物事をよく理解してない、 まだ幼かったということかもしれません。この危機を救っていただいたのは皆様のご支援の賜物でございます。この場をお借りいたしまして深く感謝申し上げる次第でございます。
60年くらい前に読んだ源氏鶏太の小説「東京・丸の内」の中に、二流の人間が一流のふりをしたならば、せっかく持っている二流の良さをなくしてしまう場面がありました。私どもは背伸びをせず身の丈に見合った経営に徹し、存続危機ゼロを追求していく所存でございます。
私どもは今、オーナーや皆様からご紹介いただいた管理物件、賃貸住宅、オフィス物件など5万4,400戸を任せていただいております。
管理会社の優劣を決める稼働率はサブリース物件で98.7%、そして集金管理で98.4%でございます。今現在直営店146店舗でリーシング事業サービス業を展開しておりますが、もっと稼働率を高め皆様の満足度を高めるために、一層の多店舗化戦略として直営店300店舗体制を目指しております。
これからのタウングループでございますが、どのような社会の変化がございましても適者生存として百年企業を目指す所存でございます。
◇ ◆ ◇
5年前の同社グループ「創業40周年記念 感謝の会」に呼んでいただいたときも出席しており、とても有意義な時間を過ごさせてもらった。
今回は、新田社長が東京都足立区生まれの記者と同い年(75歳)ということもあり、どのような話をされるかとても興味があった。中原中也の詩「頑是ない歌」が紹介されたのは前回と同じだが、源氏鶏太の小説「東京・丸の内」が飛び出したのにはいささか驚いた。読まれたのは60年くらい前だから中学3年生のころか。当時の東京の中学生が源氏鶏太(新田氏が特別だったのか)を読んでいたとは。
記者は、貧しい境遇が似ていた石川啄木が好きで「一握の砂」を読んでは涙したものだ。啄木と同様、早世した中原中也はわれわれの世代に人気だったが、あまり読まなかった。
そして、45年前だから30歳のときに新田氏は創業した。小生のような根無し草そのものの記者とは異なり、会社を経営してきたのだから凄いの一言だ。新田氏だけでなく、同社の方々は企業理念の「ひとを、まちを、もっと豊かに。」を何度も反復した。この理念を愚直に守り続けてきたからこそ、今日があるのだろう。現在のグループ従業員数は1,593人(2023年現在)だ。新田氏はまだまだ意気軒昂、直営店を倍増させて、百年企業を目指すというから恐れ入った。
社長!一つお願いです。御社野球部はRBA野球大会に参加して10年目で、通算成績は11勝21敗、勝率は.344です。高坂忠司GM(アレップス取締役賃貸管理部・メンテナンス部部長兼名古屋支店支店長)はこの成績に満足はしていないようだが、全然意に介していないようにも受け止められる。リクルート対策として力があり、礼儀正しい野球選手を採用するのは社業発展に間違いなくつながります。野球が強いことは業績もいいことをRBAの36年の歴史が証明しています。3年計画で優勝できるチームにしてください。
懇親会場
鏡割り
高坂氏(左)と記者と同じ西部ファンの丘監督
参加者
参加者
45周年記念 枡酒
ポラス 2024年3月期 15期ぶり減収・減益/同社の商品力は顧客に伝わっていないか
中内氏
ポラスグループは6月28日、2024年3月期決算を発表。売上高は283,594百万円(前期比8.6減)、営業利益は18,925百万円(同39.6%減)、経常利益は19,516百万円(同39.0%減)、純利益は4,811百万円(同42.4%減)となり、リーマン・ショック後の2009年3月期以来15期ぶりに減収・減益となった。
セグメント別では、主力の戸建分譲住宅事業の契約棟数は2,554 棟(前年比5.1%増)。全棟ZEH仕様とした「ときの環 草加松原」などを販売。オリコン顧客満足度調査では、首都圏の建売住宅の顧客満足度6年連続総合№1、2023年度グッドデザイン賞9点受賞、世界3大デザイン賞「iF DESIGN AWARD 2024」(建築分野 住宅建築部門)で2年連続受賞した。
分譲マンションの契約戸数は428戸(前年比29.7%増)。注文住宅の契約棟数は640棟(前年比0.8%増)。プレカットのポラテックの売上高は103,372百万円(前期116,447百万円)、営業利益6,772百万円(同6,567百万円)。不動産売買仲介事業の仲介手数料は3,592百万円(前年比2.1%増)と過去最高を更新。リフォーム事業の受注高は10,506百万円(前年比0.0%増)。
次期予想は、売上高300,000百万円(前期比5.8%増)、経常利益22,000百万円(同12.7%増)、純利益6,100百万円(同26.8%増)を見込む。
決算説明会でポラスグループ代表取締役・中内晃次郎氏は「当期は大きく減益したが、これはコロナ禍の2年間の数字が実力以上だったため。当社の生産力からすれば妥当な数字」「当社グループは今年7月、創業55周年を迎える。創業時から今日まで掲げてきた地域密着農耕型経営を推進し、これからも社会から支持され、信用される企業を目指す。メディアの方々には現場を取材していただき、ご意見を頂戴したい」とあいさつした。住宅市場については「我々が商圏とするエリアは底打ちした」という認識を示した。
中央住宅代表取締役社長・品川典久氏は「当社で不足しているのは、営業を通じたお客様への説明がよく理解されていないことだ。設計担当は一つひとつ作品だと考えて取り組み、優秀な職人でないとできない施工を行うなど商品力には自信を持っている。これからは営業の教育に力を注ぐ」「もっと(価格が)高くても売れる」などと語った。
品川氏
◇ ◆ ◇
ここまでとは思わなかったが、決算数字は遅行指標だから、減益になるのは予想していた。中内代表も品川社長も〝想定内〟と話したように、コロナ以前に戻ったということだ。大幅減益になったことについて、小生なら「(ポラスの株主の数は知らないが)数少ない株主利益よりも、圧倒的多数派の顧客に利益を還元した。専有面積圧縮などしていないし、設備仕様も落としていない」と居直る。
今回の決算発表会で注目したのは、品川社長の〝当社の商品力がお客さまにきちんと伝わっていない〟という発言だ。
小生もその通りだと思う。同社のマンションや分譲戸建てを見学取材してきて〝どうして特徴をもっとアピールしないのか〟と歯がゆい思いをしたことはしばしばあった。
顧客に商品力を伝える武器は備わっている。同社の分譲も注文も「紹介」による成約率が41%に達しているのは商品力が高い証だし、同社は自らの商圏の市場動向をかなり詳細に調査・把握している。毎回の決算発表会でもそのデータの一部を公開している。これらを駆使すれば、顧客に強みをストレートにわかりやすく伝えられるはずだ。
しかし、品川社長、気持ちはよくわかるが、営業の尻を叩くようなことはしないでいただきたい。紹介による成約率は41%もあるではないか。入居後の居住者サポートをしっかりやっている成果だと思う。営業担当がいくら頑張っても、御社が地盤とする埼玉・千葉県の街のポテンシャルを引き上げないと「もっと高く売れていいはず」(品川氏)にはならない。自治体や鉄道会社などとの連携により、ポテンシャルを向上させる取り組みが欠かせないと思う。(ポラスの住宅がよく売れるのは、地域力を超える提案を行っているからでもある)
それと、消費者との橋渡し役となる取材記者のレベルアップも必要だ。記者のレベルに応じ、基本的なことも含めじっくり時間をかけて説明することも大事ではないか。これは他社にも言えることだ。
◇ ◆ ◇
上段で書いた取材記者のレベルアップについて。同社も含めた供給サイドが訴えたいことと、ユーザーが知りたいこととは必ずしも一致しない。ユーザーが一番知りたいのは価格だし、その商品が価格に見合う価値があるかどうかだ。ところが、このもっとも肝心な価格について主催者は触れないことが多いし、価格を公表しても、その物件が価格に見合う価値があるかどうかの判断となる材料をほとんど提供しない。
そうなると、記者自身が価値判断するほかないのだが、メディアもまた主催者が広告主であることを忖度して、ネガティブ情報などは伝えないし、物件の評価を避け、主催者が話したことしか伝えない。主催者もそれを良しとしているところがある。
ここに根本的な問題がある。メディア・リテラシーの問題だ。記者は日常不断にものを見る目を養わないといけないが、自らの視点(モノサシ)に自信が持てないから、せっかく現場を見ても、主催者が話したことをそのまま伝えたり、ブレス・リリースをコピペしたりすることになる。プロパガンダの役割を演じさせられることになる。
わが不動産・住宅業界の記者も例外ではない。これまで何度も書いてきた。決定的に問題なのは、ハウスメーカー担当記者はデベロッパーのマンションや分譲戸建てを見ない。逆にデベロッパー担当記者はハウスメーカーのマンションや分譲戸建て(少数ではあるが)を見ない。自ら垣根を設けて、その先を見ようとしない。ほとんどの見学会がそうだ。ポラスの場合は、ハウスメーカー担当者が圧倒的に多い。
マンションや分譲戸建ての圧倒的シェアを占めるのはデベロッパーだ。デベロッパーの物件を見ずして、ハウスメーカーの物件の優劣を測ることなど絶対にできない。この自明のことがわが業界紙誌はわかっていない。残念でならない。
ポラスの現場見学会の数は他社を圧倒している。中内代表は、われわれメディアに「現場を取材していただき、ご意見を頂戴したい」とあいさつしたではないか。新入社員には「新聞をよく読め」と毎年のように訓示している。
自慢じゃないが、小生はポラスの現場見学会は皆勤賞ではないか。すごく勉強になる。言いたいことは記事に盛り込んでいる。アクセス数は数十万件に達しているのではないか。「雨垂れ石を穿つ」-記事は業界関係者や世の中のために少しは役立っているはずだ。同社だけでない。現場取材の声にノーと言ったことはない。
飯田グループHD 2024年3月期売上高は前期並みも利益半減戸当り営業利益146万円(2024/5/14)
AQ Group 2024年2月期 売上高は4期連続過去最高 当期夏季賞与は前期比33%増
AQ Groupは6月24日、2024年2月期決算を発表。売上高68,937百万円、営業利益1,639百万円、経常利益1,826百万円、純利益781百万円となり、売上高は前期比35%の4期連続過去最高を更新、営業利益は同26%増加した。
多様なニーズに対応するため、低価格帯の「AQハウス(AQ HAUS)事業部」を新設し、スタンダードな「AQURAHOME」、1,000万円の「AQ HAUS」の3本柱を中心に展開し、受注棟数は1,966棟、引き渡し住棟1,586棟となった。
次期は、中規模木造建築物普及プロジェクトを本格稼働させ、2028年度までにフォレストビルダー全体で15,000戸を目指す。また、夏季賞与は前期比平均33%増を支給した。
山梨県北杜市の青空オフィスで植樹活動開始 三菱地所ホーム
青空オフィス「YAMANASHI BASE」の記念樹に土掛けをする左から三菱地所ホーム社長・細谷惣一郎氏、山梨県緑化推進機構・鷹野裕司代表理事、三菱地所ホーム専務・花形雅人氏、北杜市・上村英司市長
三菱地所ホームは5月28日、山梨県北杜市にある同社の青空オフィス「YAMANASHI BASE」で5月9日に社員による植樹活動を開始したと発表した。昨年11月、森林整備および森林教育を推進する目的で山梨県北杜市、金ヶ岳山外二字恩賜林保護財産区、有限会社藤原造林との間で「森林整備協定」を締結した、その活動の一環。
同社は、国産材の積極活用を推進してきており、三菱地所グループの取り組みとして山梨県北杜市では、「地域社会との共生」をテーマに2008年度に「空と土プロジェクト」を立ち上げ、地域NPOとの連携や山梨県産材の木材利活用などの取り組みを行ってきた。新築注文事業の構造材に占める国産材比率は平均80%を超える水準に達している。
今回の森林整備・森林教育はその一環で、山梨県北杜市須玉町江草長者窪の同社の青空オフィス「YAMANASHI BASE」の一角0.5ha内にカラマツ・クリ・サクラ・コブシの苗木約900本を植樹した。
北杜市 上村市長コメント 森林は地球上で最も大切な資源の一つで、人間や生き物たちにたくさんの恩恵をもたらしてくれています。貴重な森林資源を保全することは、私たちの未来と地球にとって非常に大切です。北杜市としましても、関係者の皆様と協力しながら自然環境や景観の保全に努め、持続可能な社会の構築に向けて取り組んでまいります
同社社長・細谷氏コメント 当社は木造建築を生業にしている会社ではありますが、普段オフィスで仕事をしているだけでは、実際に木が育っていく姿を目にする機会はありません。本活動を通じて、当社を支えている源流がこの山にあることを社員が理解し、私たちが森林再生に関わることで持続可能な社会を次世代に繋げていくことが大事だと考えております。今日植樹する小さい苗木も、樹齢50年ほどになれば両手で抱えるほどの直径に育つと藤原造林の藤原代表よりお話がありました。長い林業の営みの延長線上に私たちの仕事があることを、参加者一同肌で感じ、伝えていきたいと思います
作業風景
三菱地所ホーム山梨県北杜市などと「森林整備協定」社員も森林・林業体験(2023/12/3)
住友林業が施工し、新素材研究所が設計した清春芸術村ゲストハウス「和心」公開(2019/4/7)
積水ハウス×山梨県×森林協会県産材の利活用で協定締結「甲州檜」の家発売(2017/12/16)
三菱地所CSR「空と土プロジェクト」10周年 純米焼酎「大手町」販売など活動強化(2017/9/9)
〝ケロ、ケロ、ケロ〟カエルも歓迎三菱地所・空土プロジェクト田植えツアー(2015/6/3)
三菱地所グループ「空と土プロジェクト」体験ツアーに同行取材(2012/1/10/19)
CLTによる規格化・工業化3階建て賃貸住宅 大東建託
「Forterb(フォルターブ)Ⅲ」
大東建託は5月27日、木造3階建て準耐火構造のCLT工法賃貸住宅新商品「Forterb(フォルターブ)Ⅲ」を6月1日から販売開始すると発表した。ZEHオリエンテッド標準で、販売地域は北海道、多雪地域、沖縄県、静岡県除く全国。販売目標は20棟(初年度)。
2019年に販売開始した第1弾の4階建て耐火共同住宅「Forterb(フォルターブ)」、2021年の第2弾の戸建注文住宅「Groun DK(グランDK)」に次ぐCLTシリーズ第3弾。床と壁のCLTパネルを厚くするなどして1時間準耐火構造を実現。室内外の床や壁にCLTパネルを現しにした、コンパクトな1LDK(40.45㎡)の賃貸住宅となっている。
内観イメージ図
CLT戸建て住宅施工例
AQ Group 中規模木造建築物普及へ「フォレストビルダー」組織化
第1回フォレストビルダーズ「事業戦略セミナー」(同社本社ビル)
AQ Groupは5月24日、全国47都道府県の工務店や中小ゼネコンを対象に「フォレストビルダー」を組織化し、街並みから消えた木造ビルの復活に向けチャレンジすると発表。同社がこれまで培ってきた10年以上にわたる中規模木造建築のノウハウを加盟企業へ公開する。
同社は、中規模木造建築を普及させるためには地域のゼネコンや工務店・大工が設計施工可能となる“普及型”の開発が重要と考え、「より安く」「より普及できること」を念頭に研究開発を続けてきた。
2024年3月に竣工した「AQ Group新社屋 純木造8階建てビル」がその集大成で、同社が開発した特殊技術を使用せず建築が可能なノウハウを提供することで、地域ゼネコン・工務店、木材加工会社などが中規模木造建築の市場に参入することができ、全国の都市に「木造マンション」や「木造ビル」が加速度的に建築することが可能となるとしている。
5月22日に開催した第1回フォレストビルダーズ「事業戦略セミナー」には全国から31社55人の参加があり、参加者からは「市場を変える価値がある」「他社との差別化として提案したい」など、今後の中規模木造建築普及に対する期待の声が多く寄せられた。
「木は熟した」街並みを木造化するビルダー組織化へAQ Group新社屋は坪145万円(2024/4/22)
全て流通材、組子格子耐力壁を現しで表現AQ Group「8階建て純木造ビル」見学会(2023/8/26)
〝地域工務店が主役〟は達成された JAHBnet(ジャーブネット)25年の歴史に幕(2023/11/28)
わが国初の「5階建て純木造ビル」/「カベワンGP」7度目V アキュラホーム(2022/11/15)
まるでアート圧倒的な空間提案と日本の匠の技多用アキュラホーム新宿展示場(2020/6/26)
アキュラホーム木造建築の新時代開く大空間の「住まいと暮らしサロン」完成(2016/7/22)
オープンハウスGr 2024年9月期2Q 戸建ては増収も利益率低下し減益
オープンハウスグループは5月15日、2024年9月期第2四半期決算を発表。売上高6,027億円(前年同期比11.3%増)、営業利益557億円(同20.0%減)、経常利益583億円(同13.6%減)、純利益519億円(同16.8%増)と増収、営業・経常減益となった。
戸建て関連事業は、販売は計画通りに推移したものの、市中在庫の調整により売上総利益率の低下等の影響があり、売上高は3,275億円(前年同期比10.7%増)、営業利益は314億円 (同10.7%減)となった。
マンション事業は、物件引渡しが第4四半期に集中するため、当第2四半期引渡しを迎えた物件は多くはないものの、販売契約は順調に進捗している。売上高は55億円 (同79.1%減)、営業損失は19億円(前年同期は41億円の営業利益)となった。
2024年9月期は、売上高1兆3,000億円(前期比13.2%増)、営業利益1,240億円(同12.9%減)、経常利益1,200億円(同12.4%減)、純利益925億円(同0.5%増)を見込む。