油断大敵〝経営者はかくあれかし〟大和ハウス・芳井会長 マスコミ懇談会

芳井氏(左)と大友氏(パレスホテルで)
大和ハウス工業は2月26日、恒例のマスコミ懇談会を開催した。昨年4月1日付で同社代表取締役会長・最高経営責任者(CEO)・海外本部長に就任した芳井敬一氏は本業には触れず、母校・中大ラグビー部が1部昇格を逸したことと、ウクライナを訪問した際の〝戦場〟の体験談を語った。〝経営者はかくあれかし〟と呼び掛けたのだろう。油断大敵、流れをつかめということだ。同社の懇談会はとても面白い。
冒頭、芳井氏は次のように語った(多少、脚色した)
「会長に就任して1年間、なんとか頑張っている。業績については皆さんご存じだと思いますので、今日は経営にも通じるスポーツの話をします。(芳井氏は中大ラグビー部出身)。昨年末(12月13日)、ラグビー関東大学リーグ戦1部・2部入替戦が行われました。1部リーグ最下位の日大と2部で優勝した中大の試合です。中大は第3クォーター、残り10分まで15点リードしていました。必勝パターンです。勝利を確信した監督さんは、試合経験のない4年生にいい思い出を残してやろうと残り5人を投入した。結果、1部の日大に43-40で逆転負けを喫した。監督の〝温情〟が仇になったということ。中大は2部で優勝を決めた試合では主力メンバー15人を入れ替えはしなかった。
もう一つ。プレ協の会長としてウクライナに視察に行きました(昨年10月頃か)。キーウの病院の1階は義足の患者で溢れていました。兵士だけではない。いたいけない子どももそうです。人間性を奪うのが地雷です。精神を病んだ戦争経験者もたくさんいました。協会として現地にがんセンターを寄贈することを考えている」
(芳井氏は身長171cm。あの元ラグビー日本代表・田中史朗氏の166cmよりは大きいが、ラグビー選手としては小柄。100m 11.5秒の俊足を生かしウイングとして活躍したのはうなずける。体重100キロの旭化成ホームズ・川畑文俊会長と相撲を取ったら、けたぐりが目くらましで芳井氏が勝つ確率はゼロではないと記者は思っている。芳井氏はときにヤマネコのような鋭い眼光を放つ)
乾杯の音頭を取った代表取締役社長最高執行責任者(COO)・大友浩嗣氏は「昨年、大阪・関西万博にパビリオンを建設し様々なプロジェクトに携わったが、来年3月に横浜で開催される『2027年国際園芸博覧会(GREEN×EXPO 2027)』に協賛する。社員全員がキャラクターバッジ『トゥンクトゥンク』を付けて、テーマである自然・緑・里山の情報を発信していく」と話した。
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プレ協はかつて、中国に大勢の派遣団を送ったことがある。その後、中国進出が加速した。ウクライナ視察は戦後復興支援のためだと思うが、芳井氏は2026年2月17日付読売新聞記事で「中国市場が厳しく、ここまで数字が落ちるとは思っておらず、『米国一本足打法』になってしまった。これを解消したい。トップラインを上げながら他の地域とバランスを取って、8次中計の終わりぐらいには、(米国の売上比率を)6割から7割ぐらいにしたい」と語っている。意味深な言葉だ。
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メディア向け勉強会などでいつも面白い話をする上席執行役員マンション事業本部長・富樫紀夫氏としばし歓談した。富樫氏からは「プレミストタワー船橋」の坪単価予想を外したことを冷やかされたが、第1期251期のうち236戸に申し込みが入ったと聞いた。記者のほか3人の同業記者が富樫氏を取り囲んでいたのだが、「プレミスト昭島」のことを全然知らなかった。何度も書いた。ものを見ない記者は失格。この「昭島」は「船橋」とともに同社だけでなく、マンション業界全体の最大のトピックスだ。
代表取締役副社長/最高財務責任者(CFO)・香曽我部武氏にも面白い話を聞いた。同氏は山形県米沢市出身(上杉鷹山が祀られている松岬神社がある)、米沢興譲館高校フェンシング部-東北大卒。高校時代、県内に同部があるのは3校しかなく、国体にも出場したことがあるそうだ。大学進学後は、練習が〝しんどく〟2年間でやめたという。〝剣道とフェンシングが対決したらどっちが勝つか〟の問いには〝フェンシングが勝つ〟と話した(記者は、中学、高校の体育の授業で武具を付けときの、あの臭いのには辟易した。柔道着にはカビが生えた)。

3Dプリンターを使い建築廃棄物を材料に製作した同社技術による門扉が展示されていた
坪600万円の大和ハウス他「船橋」(677戸)第1期1次251戸の意味するもの(2026/2/6)
〝東京の軽井沢〟2年間で1・2弾758戸を早期完売大和ハウス他「昭島」(2025/10/25)
住宅用地が工業用地として売却できる米国大和ハウス2026年3月期2Q説明会(2025/11/17)
〝3番人気〟新社長・大友浩嗣氏の得意技は「現場主義」大和ハウスマスコミ懇談会(2025/2/24)
大和ハウス新社長・COOに取締役専務執行役員・大友浩嗣氏芳井社長は会長へ(2025/2/16)
三菱地所レジ新社長に明嵐氏 宮島社長は地所代表執行役 サイモン社長に太田氏
三菱地所は2月10日、組織改正、代表執行役の異動、人事異動などを発表。組織改正では、4月1日付で新事業創出機能グループの「DX推進部」を「DX推進一部」と「DX推進二部」へ再編し、「データセンター事業室」を新設する。コマーシャル不動産事業グループには「都市開発一部」と「都市開発二部」を新設する。
代表執行役の異動では、4月1日付でグループ執行役員三菱地所レジデンス代表取締役社長執行役員・宮島正治氏が代表執行役執行役専務に就任し、グループ執行役員三菱地所レジデンス取締役専務執行役員・明嵐二朗氏がグループ執行役員三菱地所レジデンス代表取締役社長執行役員に就任する。また、執行役員経営企画部長・太田清氏がグループ執行役員三菱地所・サイモン代表取締役社長に就任する。
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個人的には、話がとても面白い宮島氏が今後メディアの前に顔を出すのか気がかりだが、明嵐氏が三菱地所レジデンスの社長に、太田氏が三菱地所・サイモンにそれぞれ就任されるのはとても嬉しい。両氏ともRBA野球大会に出場していた選手だったからだ。同社チームは、平成6年と7年に日曜ブロックで優勝しているように、その前後の10年間くらいは黄金期だった。明嵐氏と太田氏はその当時の主力メンバーだった。
その後、明嵐氏とは同社の歴史的な物件「パークハウス吉祥寺OIKOS(オイコス)」や、隈研吾氏が設計を担当したシドニーの分譲マンション「Mastery(マステリー)」プロジェクト発表会などでお会いしている。太田氏とは第37回大会予選抽選会でお会いし、しばし歓談した。
同社グループの役員クラスには、明嵐氏と太田氏以外にもRBA野球大会に出場していた選手がいる。平井幹人氏は三菱地所取締役だし、丸の内業務企画部ユニットリーダーから丸の内開発部長に就任する谷沢直紀氏もそうだ。(三井不動産の役員クラスにもRBA経験者のシニアチームが組めるくらいいる)
3.2haの10年プロジェクト 「常盤橋街区再開発」の第一弾着工 三菱地所(2017/4/17)
「葉山に住みたい」「湯沢買った」「誰も本音はかない」三菱地所レジ宮島社長(2025/12/5)
抽選会コメント集〝野球はプロより甲子園か草野球〟野村不ソリュ大谷口Mgr(2025/9/23)
三井、三菱、東建など RBA関係者が続々昇格 三井リアルは執行役員27人のうち7人(2021/3/2)
隈研吾氏+高田浩一氏「夢の匠の共演・結集」豪州社と地所レジ (2019/3/11).
これぞ記者冥利 11件の取材のうち4件がRBA関係者(2014/6/9)
マンションの概念を変えた歴史的な物件 三菱地所「パークハウス吉祥寺オイコス」(2010/11/12)
三菱地所大勝 飛ぶバットのお陰だけではない 三井不動産販売 大敗も無失策(2006/7/9)
フジHD サンケイビルの外部資本導入決定 争奪戦必至
フジ・メディア・ホールディングス(FMH)は2月3日、不動産事業に外部資本を導入すると発表。不動産子会社のサンケイビルの株式を一定程度売却(完全売却も選択肢)することを決定したことから、村上世彰氏ら旧村上ファンド系の投資グループからFMH株の大規模買い付け提案を取り下げる意向が伝えられ、昨年末から続いていた攻防戦にけりが付いた模様だ。
FMH の2025年3月期決算は、売上高5,507億円(前期比2.8%減)、営業利益182億円(同45.4%減)、経常利益251億円(同35.7%減)、純損失201億円(前期は370億円の黒字)で、都市開発・観光事業はサンケイビルのオフィスビル、ホテル、賃貸レジデンスの賃料収入が好調に推移し、売上高は1,409億円(同9.9%増)、セグメント利益244億円(同25.4%増)となり同グループの〝稼ぎ頭〟になっていた。
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現段階では、サンケイビルなどの不動産事業に外部資本を導入することしか決定されておらず、どうなるか分からないが、サンケイビルは立地条件のいいビルを所有しており、株式の争奪戦が演じられそうだ。マンション事業も一定の位置を占めているが、最近は取材していないのでどうなるか不明。
海老名でマンション5物件2,000戸先陣切るサンケイビル・名鉄不約半分が供給済み(2017/6/6)
「オハナ」との競合はプラスに サンケイビル他「ルフォンソレイユ船橋美し学園」(2015/2/23)
女性役員の〝こだわり〟盛り込む サンケイビル「ルフォン柏ザ・レジデンス」(2015/2/3)
「めざましテレビ」そのまま朝から元気サンケイビル「ルフォンリブレ浜松町」(2015/1/20)
年頭の辞「幸せのスノーボール」循環へ 野村不ソリューションズ・日比野勇志社長

日比野氏
新年あけましておめでとうございます。
昨年は、4月に新体制発足と新経営計画を発表し、8月には本社機能を「BLUE FRONT SHIBAURA TOWER S」へ移転するなど、大きな変化を遂げた1年でした。
また、外部環境においても、アメリカでのトランプ政権の誕生や関税をはじめとした様々なレジームの変化、日本では女性総理の誕生など、目まぐるしい変化がありました。
当社は、どのような社会情勢においても決してぶれることのない経営目標として「お客さまと社員の幸せの最大化」を掲げています。会社は全力で社員へ挑戦の場を提供し、社員各々が自らを磨きながらお客様に質の高いサービスを届け、お客様より「ありがとう」を頂戴し、それを次の自分たちの原動力にする。全員でこの「幸せのスノーボール」の循環を創り上げ、さらなる成長を目指します。
年頭の辞 既存枠組みにとらわれず新たな価値創造 野村不HD・新井聡社長

新井氏
新年あけましておめでとうございます。
昨年、世界は30年以上続いたグローバリゼーションから分断へ、日本は20年以上続いたデフレ脱却後のインフレ定着と、社会構造や価値観が大きく変化した一年でした。このような時代だからこそ、時代を超えて変わらない価値の提供を目指すべきだと考えています。
野村不動産グループはグループビジョンで謳っている「幸せと豊かさの最大化」を目指し、既存の枠組みにとらわれず新たな価値創造に今年さらに挑戦していきます。
本年もグループ全員で力強く歩んでまいります。本年も何卒よろしくお願いいたします。
年頭所感 不透明な環境下で果敢に挑戦 ポラスグループ・中内晃次郎代表

中内氏
昨年は1月に、アメリカで第2次トランプ政権がスタートし、「アメリカファースト」の名のもと、相互関税の適用・修正交渉が行われました。また、戦争や紛争などは長期化や、くすぶり続けている状況が多く見られています。国内においても、日経平均株価が最高値を更新するなど、活発な動きを見せましたが、円安やエネルギー価格の高騰等による物価上昇など、不安定な経済状況が続くと想定されるため、注視していく必要があります。
住宅業界に目を向けると、昨年4月の4号特例縮小等に伴う、建築確認申請にかかる作業の増加と、審査期間の長期化による許可取得の遅れが全国的に見られました。また、地価の高止まり、資材価格の高騰等が起因となって住宅価格は上昇しており、金利の上昇傾向と相まって、新設住宅着工戸数が減少傾向となるなど、全体的には引き続き厳しい市況が予想されています。建設現場においては生産を担う、大工・職人の高齢化と入職者減少への対策も喫緊の課題となっています。
当社においては、地域に根差して、差別化した付加価値の高い、商品・サービスをご提供したことで、新築戸建事業、不動産仲介事業、リフォーム事業等が堅調な一年となりました。特にプレカット事業では、かねてから行っている構造計算サービスが、4号特例の縮小に伴い引き合いが増加しました。
国内外の情勢が目まぐるしく変化し、予測が難しい不透明な状況が続くことが予想されていますが、そんな時こそ、現状をしっかり見据え、失敗を恐れずに試行錯誤し、果敢に挑戦する姿勢こそが大切と考えています。そしてプロとしての力量を高め、実直にお客様と向き合うことで、より良い商品・サービスのご提供を進めて参ります。
年頭所感 グローバルな視座で社会価値と経済価値追求 三菱地所・中島篤社長

中島氏
2025年を振り返れば、大阪・関西万博が国内外から大きな関心を集め、日経平均株価は5万円台に達するなど、日本経済の底力が明確に示された一年であった。スポーツ界では日本人選手がメジャーリーグで圧倒的な存在感を放ち、科学分野では日本人研究者が二分野でノーベル賞を受賞するなど、わが国の人財、知的資源や競争力が世界に再認識された年でもあった。他方、世界経済に目を向けると地政学リスクや貿易障壁の高まりといった課題が顕在化し、国際秩序は複雑化と不確実性を一層強めている。
こうした複雑な事業環境下においても、当社は国内外のまちづくりを担うデベロッパーとして、グローバルな視座に立って着実に事業を推進している。
米国では次世代インフラ需要を捉えた大規模なデータセンター開発を進め、英国では当社として欧州最大規模となる再開発「72 Upper Ground」を推進。豪州においてはアフォーダブル住宅を導入した「Rozelle Village」の開発など住宅不足という社会課題への対応を図っている。さらにアジアでは、インド支店を設立し成長市場への展開を進めており、今後も海外事業の成長を加速させていく。
丸の内エリアでは、人的資本経営の浸透が社会で進む中魅力あるビジネス環境を創出し、賃料水準の引き上げにつなげている。昨年来推進する「まちまるごとワークプレイス」構想は、エリア全体がプラットフォームとして機能し、働き方の質や効率を向上させることで、日本経済を担う丸の内の価値をより一層高めていく狙いである。今年7月には神田と大手町の結節点に「大手町ゲートビルディング」を竣工させる予定であり、丸の内エリアのバリューや賑わいが拡がることを期待している。
また、全国に目を向けると昨年の「グラングリーン大阪」の一部開業に続き、今年は「ザ・ランドマーク名古屋栄」の開業を控えており、各拠点都市の競争力向上に引き続き貢献していきたい。
我々が歩みを緩めることはない。2026年は三菱地所グループの強みを再定義する年であり、長期経営計画2030の達成に向けて邁進する。三菱地所グループは、高い専門性と実行力を基盤に、不動産との多様な関わりを通じて、まちの価値を持続的に高めていく。様々なステークホルダーと信頼関係を築きながら、社会価値と経済価値の両立を追求し、未来のまちの価値を創造するためにチャレンジを続ける。
新年にあたり、未来を切り拓く決意とともに、本年も変わらぬ挑戦の歩みを進めていく所存である。
年頭所感 「一生ものに、住む。」 価格に見合う価値追及 三菱地所レジ・宮島正治社長

宮島氏
マンション市況は引き続き堅調で、販売価格は高額化の傾向にあるが、購入者層の購買力も向上していると考えられる。特に利便性の高いエリアの需要が引き続き高く、当社供給物件においては「ザ・パークハウス 千代田三番町」、「ザ・パークハウス 川越フロント」、「ザ・パークハウス 武蔵小杉タワーズ」などが特に大きな反響をいただいており、地域が求める立地での供給であれば、都心エリアに限らず郊外エリアにおいても好調な販売市況。金利動向には引き続き注視する必要があるが、今後も新築マンションは底堅いマーケットであると想定している。
マンションづくりにおいては、入居後のお客様に「利用価値(機能的な役立ち)」だけでなく、「使用価値(体験的な満足感)」を感じていただける住宅を提供することで差別化を図る。これまでも「CX(顧客体験)の向上」や「ベネフィットの追求」を重要視してきたが、性能・機能的な価値だけでなく、ご入居後にお客様が生活するシーンを粒さに想像し、暮らしの質や住み心地といった情緒的な価値を高める住宅を提供することで、お客様の期待を超え続ける住宅を提供していく。
また、近年は住まいに対して立地や広さ、共用部や設備の充実に加え、環境配慮や社会的意義が求められている。当社はこれまで、太陽光パネル設置による創エネルギー、マンションの植栽計画における生物多様性保全に向けた取り組み、CO2排出量や入居後にかかる水道光熱費やランニングコストを見える化し、CO2排出量削減への意識向上を図る提案などを業界の先進的な取り組みとして進めてきた。昨今では「木の守プロジェクト」として森林循環を促し、林業関係者と連携した国産材活用に取り組んでおり、2025年9月には当社初となる木造建築物「(仮)チャームプレミア桜新町」に着工。
さらに、人権や生物多様性保全に配慮した型枠用合板トレーサビリティの推進を先駆的に行い、「型枠用合板のトレーサビリティ普及促進勉強会」を発足。業界の垣根を越えた取組に発展している。今後は、GX 志向型住宅(GX ZEH)への移行を積極的に推進していく方針である。また、災害の激甚化への備えも強化しており、被災生活を想定した防災訓練を支援する社員有志の「防災倶楽部」活動も継続している。
2026年は、マンションの付加価値がより一層重視されると考えている。「ザ・パークハウス」のコアバリューは「一生ものに、住む。」。一生ものに相応しい安全・安心や資産性を約束するとともに、価格に見合う価値の追求を続ける。お客様の暮らしに寄り添い、満足度の高い体験を提供することで、選ばれ続ける企業を目指していく。
年頭所感 時代の変化「OneTeam」の精神でトライ 三井不動産・植田俊社長
謹んで新年のお慶びを申しあげます。
日本経済は、米国の通商政策の影響や地政学リスクの継続により不確実性が残る一方、堅調な個人消費と設備投資を中心とした内需主導に、緩やかな回復を維持しています。日本はデフレから完全脱却し、インフレ定着、成長型経済へと向かっており、時代の変化は大きなチャンスといえます。
政府には、この日本経済の好機を生かした政権運営に取り組んでいただきたい。
高市政権は、先端医療・半導体・宇宙等の重点投資分野を迅速に示し、政府による積極的支援のもと、産業強化による強い経済の構築を目指しており、当社は「産業デベロッパー」として、官民学連携による場とコミュニティを提供しています。
そこで生まれるイノベーションを力に、ビジネスが強化され、日本の産業競争力がグローバルに高まることに貢献してまいります。
昨年は、当社グループ長期経営方針「&INNOVATION 2030」2 年目となりました。
アセット全般に好調であり、通期の業績予想を上方修正し、過去最高更新を見込んでいます。今年は、長期経営方針の中間目標にあたり、重要な年となります。事業環境は容易ではない状況もありますが、グループ全体で不確実性を跳ね返す強さを示してまいります。
今年は、日本橋一丁目中地区第一種市街地再開発事業の竣工等「日本橋の街づくり」の推進、神宮外苑地区「新秩父宮ラグビー場」の着工、「BASEGATE 横浜関内」の開業等を予定しています。都市の魅力を高め、世界から企業・人々を呼び込み、日本の国際競争力を向上させる街づくりを進展させます。
当社グループ約2.6万人の社員一丸となり「OneTeam」の精神で、時代の変化は当社グループが付加価値創出力という強みを発揮できるときと捉え、日本が次の時代を切り拓くチャンスに寄与すべく取り組みます。
最後に、皆様のこの一年のご健勝とご多幸を心よりお祈り申しあげます。
年頭所感「環境経営」更に推進 東急不動産ホールディングス・西川弘典社長
昨年は国内初の女性首相となる高市政権の誕生と現政府が進める積極財政、そして日本銀行の金融政策決定会合による追加利上げなど変化の潮流が見えてきた。海外に目を向けるとウクライナ情勢、中国などのアジア情勢などがあり、国内外のリスク要因には枚挙に暇がない。足元の不動産市場は当社グループのホームグラウンドである渋谷区など都心を中心に、オフィス賃料の上昇が鮮明になっており、仲介市場の好調が続くなど、好調を持続している。一方、都心を中心とする建設コストの高騰による不動産価格の上昇、新築マンションの転売規制の動向など、様々な要因もある。今後、国内で緩やかなインフレ経済に移行していき、国の税収が増え、企業の業績が上向き、国民の所得が上がれば家計が健全化していく、という流れができることに期待しているが、急激な金利上昇や、それに伴う不動産購入マインドの低下などが起きないかなど、様々な動向にも注視が必要だ。
当社は昨年5月に発表した中期経営計画で、3つの重点テーマ「広域渋谷圏の戦略の推進」「GXビジネスモデルの確立」「グローカルビジネスの拡大」に取り組んでいる。「広域渋谷圏」では今後も都市機能を更新するためのハード面での開発を推進すると同時に、海外の大学と組んだスタートアップ拠点を「渋谷サクラステージ」にオープンするなど、産業育成や都市観光といったソフト面の施策も積極的に進めている。渋谷を盛り上げることで、東京の国際競争力の強化をけん引していきたい。「GXビジネスモデル」では再生可能エネルギー事業のバリューチェーンを構築し、国内トップクラスの再エネ発電量を活かして、不動産開発案件の獲得にもつなげるなど、不動産デベロッパーとして唯一無二の新たなビジネスモデルを確立していく。「グローカルビジネス」は北海道石狩市では再エネ100%のデータセンター開発、ニセコでは2026年度までに100億円超の投資をするなど各地で取り組みを進めており、地方活性化に貢献していく。
今年はインフレが進行するなかで、各社の競争優位性が明確になる年となるだろう。当社は2030年度までの長期ビジョンで「環境経営」を全社方針の1つに掲げ、「脱炭素社会」「循環型社会」「生物多様性」をテーマに広域渋谷圏をはじめとする国内のほか、海外でもTNFDレポートで取り上げたパラオの「パラオ パシフィック リゾート」で、自然環境の大切さを紹介する施設を昨年12月に開業するなど積極的に取り組んでいる。今年も当社の特色の一つである「環境経営」を推進し、成長領域で当社の強みを発揮できる3つの重点テーマに取り組むことで、強固で独自性のある事業ポートフォリオを構築し、更なる成長を遂げていく。

