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 東急リバブルは2月23日、売買仲介店舗「久が原センター」(東京都大田区)、「武蔵浦和センター」(埼玉県さいたま市)の2店舗を3月1日(日)に開設すると発表した。

 今回の出店により、今年度の売買仲介店舗新規出店数は11店舗となり、売買仲介と賃貸仲介をあわせた全国のリバブルネットワークは157カ所となる。

 新規出店は多かった昨年の12店舗に迫る勢い。出店スピードは最近の三井不動産リアルティ、住友不動産販売を上回る。

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 野村不動産、野村不動産オフィスファンド投資法人、竹中工務店の3社は2月19日、「新宿野村ビル」で日本初の制振装置「デュアルTMD-NT」を建物52、53階部分にあたる屋内に設置し、超高層建物における長周期地震動発生時の揺れを大幅に軽減すると発表した。設計・施工は竹中工務店。2015年1月に着工し2016年9月に竣工の予定。

 TMD(Tuned Mass Damper=チューンド・マス・ダンパー)」は、建物の揺れと逆方向に動くおもりを用いて、建物の揺れを抑制する装置。建物の揺れ時間が半減し、揺れ幅も大幅に低減するほか、居室内の工事は行わないため専有面積を損なわず、工事中の事故などの危険性も大幅に削減できるという。

 「新宿野村ビル」は1978年に竣工した大臣認定を取得している超高層ビル。現時点でも十分な耐震性能を有しているが、東日本大震災により長周期地震動に対する対応が問われていることから、今回の工事に踏み切ったという。

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 同じような工事は三井不動産が「新宿三井ビル」で鹿島建設の施工により行っているが、三井不は錘を天井から吊るす方式であるのに対し、野村不はレールの上に錘を載せる方式を採用する。理屈は同じだが、技術が異なることから双方が日本初ということのようだ。

三井新宿ビル 重さ1,800t、マンション52戸分の制振装置一部完成(2014/9/2)

 

 

 

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「ザ・パークレックス小網町ビル」

無縁なものが融けあうオフィス・街へ  オープン・エー馬場氏

 三菱地所レジデンスは2月19日、中小ビルを再生する「Reビル事業」の第3号物件「ザ・パークレックス小網町ビル」のリノベーションが完了したのに伴い記者見学会を行った。

 Reビル事業は、築年数の経過などにより競争力が低下し、継続的運営が困難となっている中小事務所ビルを一括賃借。子会社であるメックecoライフやリノベーション物件サイトのパイオニア「東京R不動産」との連携により耐震補強やリノベーション工事を行い再生し、賃貸物件として供給するもの。

 同社がビル事業などを行っている「大・丸・有」の周辺エリアをターゲットにしており、事業を通じて新築マンション事業や再開発事業にもつなげる狙いがある。

 ビルオーナーなどの意向もあるが、おおよそマスターリースは8年間、3カ月くらいで耐震・バリューアップ工事を施し、投資資金は4年くらいで回収する計画。利回りは約20%を見込む。今後3年間で15棟、5年間で30棟の規模を目指し、既存ストックの有効活用という社会的要請にも応える。

 「ザ・パークレックス小網町ビル」は中央区日本橋小網町に位置する築42年の8階建て延べ床面積約1,176㎡。用途は店舗・事務所。“Workspace as Living room”をテーマに「キッチンフロア」「リビングフロア」「サンルームフロア」の異なる仕様の3フロアを用意し、「暮らすように働くオフィス空間」を提案している。

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1階 ビフォー(左)とアフター

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3階ビフォー(左)とアフター

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 「Reビル事業」は第1号物件で見学しているので、事業の意図はよく分かる。同社グループ全体から見れば微々たるものだが、やがて大輪を咲かせるかもしれない。無限の可能性を秘めていると思う。

 この日は、東京R不動産の共同創設者でオープン・エー代表取締役・馬場正尊氏の話を興味深く聞いた。

 馬場氏は、グーグルなどアメリカ西海岸のビルの新潮流について、「オフィスの中に自転車通勤者用の自転車置き場があったり、遊園地や公園のようなものもあったりで、それぞれ無縁だったものが融けあう空間が増えている」などと話した。

 今回のリノベーションでも「居住することと仕事をすることの垣根を取った。このようなオフィスに対する中小企業やベンチャー、クリエイティブ企業の潜在的なニーズは間違いなくある」などと話した。

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馬場氏

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 記者も馬場氏の考えに同感だ。会社のオフィス環境がどうなっているのか知らないが、おそらく喫煙、離席、私語は厳禁。休憩中も退社後も「他社の人と話すな」などと秘密結社のように管理されている会社もあるはずだ。

 もちろん業種によってはそのような拘束も必要だろうが、新しいアイデア、発想はもっと自由な雰囲気でこそ生まれる。記者は昔からそうだが、机に向かって考えるというより、休みながら煙草を吸いながら酒を飲みながら、つまり四六時中考える。〝九時五時〟で働いている感覚はまったくない。7~8時間、ぶっ続けで野球の取材はできるが、1時間以上机に座ってなどいられない。

 東京R不動産のような会社が既成概念をぶち壊してほしい。考えてみれば、昔の会社はどこからどこまでが仕事で勤務外などといった垣根はなかった。お茶を飲むふりをしてお酒を飲んでいた人も少なくないはずだ。動き回らなければ新鮮な情報などつかめなかった。

15万円/坪の耐震補強・リノベ費用で賃料50%アップ地所レジ中小ビルリノベ事業(2014/5/29)

 

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「ソアラノーム荻窪天沼」

 日本土地建物が先に竣工させた高級賃貸マンション「ソアラノーム荻窪天沼」を見学した。さすが日土地、最高の賃貸マンションだ。

 物件は、JR中央線荻窪駅から徒歩7分、杉並区天沼3丁目に位置する5階建て全89戸。専用面積は44.82~71.25㎡、賃料は140,000~207,000円(平均1万円/坪)。設計は三菱地所設計。施工は戸田建設。賃貸運営は東急リロケーション。

 敷地は元勧業銀行社宅があったところ。戦後しばらくは幹部用の木造住宅が建っていたという住宅街の一角。

 目の前は、1955年から1970年頃までは料亭「天沼池畔亭」もあった西武鉄道グループの元オーナー堤義明氏が所有していた「天沼弁天池公園」。2007年に杉並区に売却され、現在の公園になっている。

 建物は、昔の歴史、文化を継承するため木調の縦格子を多用、災害時には地域住民の避難場所としても利用できるよう共用部分を開放する。

 家賃はエリアの相場のようだが、昨年12月からリーシングを開始し、竣工までにすべて申し込みが入った。

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エントランス

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 同社からニュースリリースが送付されてきたので、そのままリライトして記事にする選択肢もあった。しかし、平面図を見ると南西向きの2棟が雁行する形で配され、中庭も設置されていた。設計は三菱地所設計だ。コンセプトは「AMANUMA PARK TERRACE~緑と共に暮らす」。

 ぴんと響くものがあった。日土地の戸建てやマンション、ビルは30年以上前から取材している。多くというよりほとんどの銀行・証券系デベロッパーはバブル崩壊後に破たんしたが、同社は見事に乗り切った。バブルに浮かれなかったのが生き残った最大の要因だろうと思う。

 当時、同社は大規模戸建てを継続して分譲していた。同業他社は1団地で年間数百戸を供給したのに、同社はせいぜい数十戸しか供給しなかった。もちろん毎回即日完売した。売れるのにどうして多く供給しないのだろうと不思議に思ったものだが、大量供給していたら間違いなく今はない。バブル崩壊後も同じようにコンスタントに供給し即日完売した団地はそうないはずだ。

 そんな会社がありきたりの賃貸マンションの竣工にあわせてわざわざわざわざニュースをリリースするわけがないと読んだ。

 そこで、同社広報に電話して現地見学となったわけだが、みぞれ交じりの冷たい雨が降る中、現地について驚愕した。目の前はいかにも歴史を感じさせる公園があった。その公園に向き合うように建物が建っていた。縦格子が見事に公園と調和していた。同社は資産として残すために賃貸にしたようだ。

 エントランス・ラウンジは2層分。随所に本物の石が用いられていた。災害時には地域の住民が避難できるよう開放するという。LPガスを熱源とするLPG対応キッチンを備え、共用部は非常用発電で3日間電力を供給し、マンホールトイレも設置した。中庭にはデッキを敷き詰め、各住戸の門扉はアルミ製だが、ロートアイアンを思わせるよう工夫が凝らされていた。

 共用部を地域住民に開放することにしたのは、現地で説明を受けた同社住宅事業部部長・野田久登氏の経験も生かした。野田氏は3.11のとき仙台に出張で帰って来られなかったそうで、それが商品企画のヒントなった。「マンションで防災対策を完結させるようプランニングしました。見学のとき、若いお客さんがまず目の前の公園を見てにっこりされ、建物や中庭を見て驚かれた。その笑顔がとても嬉しかった」と野田氏は話した。

 記者もこれが嬉しかったのだが、野田氏は記者の拙い記事をいつも読んでくださっているようで、これもまた嬉しかった。

 やはり現地取材に限る。寒さが吹っ飛んだ。

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ラウンジ

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公園から見たマンション(手前はクスの大木)

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公園の弁天池(今は人工)と料亭の名残を残す山門

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 目の前が公園という東急リバブルの「ルジェンテ立川」の記事は先に書いた。これはこれでいいマンションなのだが、公園は平日利用が朝9時から夕方4時まで、土・日曜日は閉園されるというのも不思議な話だ。

 マンションの取材を終え、タバコを吸うために公園に入った。ここは喫煙は禁止されていない。公園入り口には「柴崎中央公園の利用制限」について、立川市と自治会の連名で次のような看板がかかっていた。

 「平成5年10月頃より泥酔者による喧嘩等の不法行為が多数発生するようになり、連日昼夜を問わず大騒ぎの状況になり…たかりや恐かつとも思われる犯罪行為も発生…平成6年4月より閉鎖…平成7年1月より『柴崎中央公園の利用に関する制限事項』を設けて開園…」

 その制限とは、開園するのは平日の9時から午後4時まで、土・日曜日は閉園するというもので、そのほか酒気、寝泊り、迷惑行為、ペットの放し飼いなどを禁止している。周囲は鍵付きのフェンスで覆われていた。

 利用料金を徴収する公園が閉園されるのはよくあるケースだし、利用をめぐるトラブルでは渋谷区の宮下公園がよく知られているが、普通の小さな公園が土・日曜日に閉園されるのを初めて知った。

 行政が規制をしなければならないような行為をする人もする人だし、フェンスをめぐらし利用日時を定め、解釈によってはロダンの考える人のようにほとんどじっと座り込んで黙考する人しか利用できないような規制をかける行政も行政だ。

 過度の利用制限は、「都市公園の健全な発達を図り、もつて公共の福祉の増進に資することを目的とする」都市公園法第一条の目的にも反するのではないか。

 記者が取材した日、公園内では保育園児がはいはいをして遊んでいた。柵の中でしか遊べないというのも悲しい光景だ。記者は檻の中に入るのにものすごい抵抗感を覚えたが、保育士は「違和感はない」と話した。

公園に保育所、マンション岩盤規制を打ち破れるか国交省公園のあり方検討会(2015/2/2)

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「(仮称)新東京武田ビル」完成予想図

 武田薬品不動産、武田薬品工業、三井不動産の3社は2月6日、中央区日本橋本町二丁目の「(仮称)新東京武田ビル」を着工したと発表した。

 建設地は、武田薬品不動産、武田薬品、三井不動産の三社が共同で推進する「(仮称)日本橋本町二丁目特定街区開発計画」の一部に位置づけられており、敷地内では、昨年10 月に再建された福徳神社に続き、今年1 月には福徳神社と一体となった広場空間「(仮称)福徳の森」も着工している。

 新しいビルは、地上24 階・地下4 階、延べ床面積約45,000㎡。設計は日本設計、施工は竹中工務店。竣工は2017年。

 竣工後は武田薬品が現在の東京本社(中央区日本橋二丁目)に代わる新たな東京本社として使用するほか、1、2階は一般も自由に出入りすることができる共用スペースを設け、地下1 階にはテナント(店舗)が入居する予定。

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「リフォームサロン港南台店」

 大和ハウス工業は2月6日、同社グループ会社の大和ハウスリフォームが展開するリフォーム専用ショールーム「リフォームサロン松戸店」と「リフォームサロン川西店」をオープンし、同時に「リフォームサロン港南台店」もリニューアルオープンすると発表した。

 「リフォームサロン」は、「居ごこち、使いごこち、寝ごこち、触りごこち」などの「COCOCHI(ココチ)」をコンセプトにした、郊外の大規模団地に設置する地域密着型のリフォーム専用ショールーム。

 同社は1962年から大規模団地を「ネオポリス」と名付け、これまで全国65カ所、61,000区画を販売してきたが、築年数が経過した住宅や空き家の増加が課題となっている。こうした課題に対応するためもあり、同社は「リフォームサロン」の出店を加速させる。2018年までに3大都市圏を中心に全国20カ所にオープンさせる予定。

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「リフォームサロン港南台店」

 

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第2回「多摩ニュータウン再生プロジェクトシンポジウム」(多摩市・パルテノン多摩で)

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阿部市長

 多摩市が主催する第2回「多摩ニュータウン再生プロジェクトシンポジウム」が2月4日行われ、会場の定員250名がほぼ満席となった。市外からの参加者も4割くらいに達するなど関心の高さをうかがわせた。昨年の第1回は多摩ニュータウンの夢がテーマだったが、今年はさらに一歩進め、中長期のロードマップの作成から、再生の主体者となる市民や街、未来について報告やトークセッションが行われた。

 冒頭、挨拶に立った阿部裕行・多摩市長は「昨年は諏訪団地の建て替えに続いて、舛添知事が視察に来られ、多摩ニュータウンの再生に力を入れると断言された。今年は都営住宅の建て替え、尾根幹線の整備など新たな一歩を踏み出す年にしたい」などと語った。

 シンポジウムは3部構成で、第1部はNHKの番組「ブラタモリ」「スタジオパークからこんにちは」などの番組を手がけたNHKエンタープライズエグゼクティブ・プロデューサー尾関憲一氏が「身近にある〝街の魅力〟を発見し直そう!」をテーマに基調講演を行った。

 第2部は、まず多摩ニュータウン再生検討会議委員・西浦定継氏(明星大教授)が検討会議の現状を報告。西浦氏は再生方針の骨子を示し、永山駅を中心とする多様な拠点がネットワークしたコンパクトな都市構造を目指す、主要なリーディング・プロジェクトについては、都営住宅の建て替え、尾根幹線の整備と沿道プロジェクトの進め方などロードマップの作成を 進めていることなどを話した。

 続いて、多摩市民でもある浜田健史氏が、双子が誕生したことがきっかけで地域資源を活用する「たまらば」を設立し、「はたらく」「住む」「育つ」をキーワードに活動していることを報告した。

 もう一人の報告者、NPO法人福祉亭理事長・寺田美恵子氏は、これまでの10数年間の活動を振り返りながら、コミュニティの希薄化、運営継続の難しさ、セーフネット構築の難しさなど課題についても語った。

 第3部は、多摩ニュータウン再生検討会議委員長・上野淳氏(首都大学東京理事、4月に学長に就任予定)がコーディネーターとなり、1、2部の登壇者のほかに東京都都市整備局多摩ニュータウン事業担当部長・太田誠一氏、阿部市長も加わり「人・街・未来」をテーマにトークセッションを行った。

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西浦氏

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 シンポジウムは3時間を超えた。各氏の報告やトークセッションの内容を一つひとつ紹介するのは難しい。再生に参考になりそうなことを以下に紹介する。

 尾関氏は「ブラタモリ」では、タモリ氏に台本を一切渡さないで、アドリブで撮影し、同行する女性アナウンサーにも「普通の女性として演じよ」と裏話を明かし、専門家-タモリ氏-普通の女性の組み合わせの妙と、街の人との関わり、プロセスを紹介したのが反響を呼んだと語った。

 多摩ニュータウンの印象については、「高度成長とともに歩んだ意識の高い方が多く住む特殊な街。公園も緑もきれいだが、人工的な整備された印象も受ける。これまで使ったことがない、例えば〝おもしろい〟をキーワードにすれば新しい発見も生まれる」などと話した。

 (これに対して、上野氏は「『ブラタモリ』に多摩ニュータウンを取り上げていただけないか。『鶴瓶の家族に乾杯』でもいい」と尾関氏におねだり。尾関氏は苦笑しながら「可能かもしれない」と答えた。実現したら、「ブラタモリ」初回に登場した涌井史郎先生には失礼だが、面白さでは上野氏とタモリ氏の組み合わせに軍配が上がるはず)

 浜田氏は、「市民参加という単語がしっくりこない。私はカフェに足湯やっているし、七輪も出す。みんな面白がってくれる。いろいろな角度、切り口などちょっとしたことで動き出すのではないか。公園などで何かイベントをやろうとするとなかなか許可が下りない。楽しいことをやろうとすると時間がかかる」などと行政の対応に注文もつけた。

 (同感。先に国交省の「都市公園のあり方検討会」の記事も書いたが、都市公園法は規制だらけ。市民の利用を阻む一面もある。この点に絡めて阿部市長は「『パルテノン大通り』は舗道ではなく道路。道路の真ん中にイルミネーションを置くのは道交法の許可を得るため職員は大変な努力をしている」と話した)

 寺田氏は、「パブコメは何とかならないか。市民が行政の文章を読み込んで何か提案する作業は大変。もっと自由におしゃべりする場を設けて、結論がでなくてもいいから話せるような機会を設けるべき。語り合う力がアイデアを生む。多摩ニュータウンにはたくさん語り部がいる」と語った。

 (これに素早く反応したのが上野氏。トークセッションの冒頭、「私は口出ししない」と語ったが、「これは極めて重要。市民の発言の機会が少ない。本日のシンポでもフロアから声を募る機会が設けられていないが、来年は受ける機会を設けてほしい。…副市長さんが頷いていらっしゃるから来年はそうなる」と、市側の了解を取り付けた)

 西浦氏は市民力と学生のエネルギーを引き出すことを強調した。「結局、人なんですよ。多摩ニュータウンにはポテンシャルの高い人がいっぱい埋まっている。周りの市も同じ、相模原、八王子、立川、青梅など。これらと連携すれば大きなアドバンテージがある。それと学生。学生をうまく取り込むというのは語弊があるかもしれないが、学生はみんな多摩に就職したいと考えている」と語り「多摩ニュータウンをネガティブにとらえる声を一つつぶしていきたい」とも話した。

 (同感だ。記者はネガティブな記事など書いたことがないが、残念ながらマンション市場は正当に評価していない。分譲坪単価にはっきり表れている。駅前一等地のマンション単価は、多摩センターが200万円強であるのに対し、「立川」は342万円もし、「町田」「八王子」「相模大野」も多摩センターよりはるかに高い。リニアの駅ができる「橋本」にも追い抜かれるのは必至。「若葉台」にも負けるのではないか。ポテンシャルを引き上げる情報発信力に多摩市は欠けている)

 東京都とのパイプも強力だ。太田氏は「多摩ニュータウンは夢と魅力にあふれている。だれもが格の違いを認めるはずだ。地域活動も熱心。限りないポテンシャルを持っている。いまは都市間競争の時代。これからは業務・商業機能を充実させて、ほかからうらやましがられるニュータウンにしたい」などと、全面的に多摩ニュータウン再生を支援していくことを表明した。

 (シンポジウムの進行役を務めた鴇田正明・多摩市都市整備部長は都からの出向。少なくとも2020年までは太田-鴇田ラインを継続してほしい)

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上野氏

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トークセッション(左から上野、西浦、太田、尾関、浜田、寺田、阿部の各氏)

多摩ニュータウンの課題を解決し、魅力をどう発信するか(2014/2/13)

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 国土交通省は1月30日、宅地建物取引業法に基づく重要事項説明(重説)や契約などの際に義務付けられている書面交付におけるITの活用方策について、有識者や実務家からなる「ITを活用した重要事項説明等のあり方に係る検討会」の最終とりまとめを発表した。

 ITの普及によって、すでに多くの消費者がインターネットを通じて情報収集を行っており、ITを活用すれば消費者・事業者双方の時間コストや金銭コストの縮減が期待できるとし、対面を前提としながらも重説や契約がITを通じて行えないかどうかが昨年の4月以降、合計6回にわたって検討されてきた。

 検討会で大きな課題となったのは、①取引主任者証が提示できること②重説を受ける者が本人であること③取引主任者が相手方に伝達すること④取引主任者と相手方とのやりとりに十分な双方向性があること⑤重説に記名押印し、交付すること-の5点だった。

 検討の結果、対面でなくとも、少なくともテレビ会議などであれば、重説に必要な要素を満たすことが可能であることが示された。

 具体的には、トラブルとなる可能性が相対的に少ない、トラブルが起こってもその影響が相対的に小さい「賃貸取引」及び「法人間取引」について最大2年間の社会実験を行ったうえで検証を行い、問題がなければIT活用の本格運用へ移行する。個人を含んだ売買取引については、検討結果を踏まえて、社会実験又は本格運用を行うことを検討するとしている。社会実験は約半年の準備期間を経たのち開始。開始後は半年に1回程度、検証検討会を開催する。

 社会実験を行う事業者はあらかじめ登録することが必要で、消費者理解の向上に資するよう創意工夫されたものであること、共同媒介や海外との取引など様々な取引場面で活用できること、電子署名の利用が前提となっていること、国の調査に協力し、録画・録音された情報等を提供することなどが条件となる。

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 国土交通省は1月30日、これからのまちづくりに対応した都市公園のあり方などを検討する「第3回新たな時代の都市マネジメントに対応した都市公園等のあり方検討会」を開催。福岡県北九州市の取り組みが紹介された後、都市公園の統廃合、機能のあり方などについて話し合った。各委員の声を紹介する。(順不同)

 ゲストスピーカー千々和秀二氏(北九州市建設局公園緑地部長) 人口減少、高齢化などで利用されない公園が増加している。維持管理も負担になっており、3割が補助金に頼っているのが現状。統廃合には住民同意を得るようにしているが、都市公園法第16号(廃止公園と同等の面積を確保しないと統合できない)、国庫補助事業によって整備した公園を配し出来るか、計画から整備まで2~3年のずれが生じるなど課題は少なくない

 池邊このみ委員(千葉大大学院園芸学研究科教授) 公園の統廃合は危険性をはらむ。文言を注意しないと、様々な要望が出てくる可能性がある

 石田尚昭委員(岡山市都市整備局審議監) 公園の維持管理が厳しくなってきている。一方で、防災時の空間も求められる。公園機能を論議する場が欲しい。廃止を持ち出せば利用されていなくてもすぐ反対される。代替え案を練らないといけない

 菊池正芳委員(東京都都市整備局都市づくり政策部緑地景観課課長) 都は緑地が確保できないという事情もあるが、都市公園の廃止は考えられない。管理をどうするかという問題はあるが、ネーミングライツもある

 女性委員 〝遊ぶな〟という公園がいっぱいあるのが現状。ニーズの変化に対応できていないのが問題

 涌井史郎委員(東京都市大学環境学部教授) 都市公園法の様々な悩ましい問題を念頭に置きつつ、2030年問題に対応するためダイナミック、大胆に変革する必要がある。その際重要なのは哲学だ。防災、利用の効用、地域交流などの評価も必要。もう一つはマネジメント。環境不動産の価値を整理してきちんと資産として評価する必要がある

 松本守委員(日本公園緑地協会副会長) 人口が減ったから廃止するというような単純な発想は納得できない。緑を拠点にした再編が重要

 坂井文(北海道大大学院工学研究院准教授) 人が真ん中になるような公園整備が必要

 舟引敏明委員(国交省大臣官房審議官) 存在価値や利用価値は都市と地方、市街地と郊外部では位置づけが異なってくる。もっと細かな視点でデザインすることが必要。プロ集団としてステップアップした会合にしたい

◇       ◆     ◇

 会合では、国家戦略特区特別諮問会議でも論議された都市公園内での保育所設置の是非についても論議された。進士五十八座長(東京農大名誉教授・元学長)は、「入れりゃいい問題ではない。条件づけ(理念)が必要。もともと公園事業の中には児童を指導することも含まれていた。幼保分離でなくしてしまったのが問題。児童公園・児童遊園を統合しないといけない」などと話した。

 他の委員もおおむね総論には賛意を示した。

◇       ◆     ◇

 記者は初めて傍聴したが、なかなか面白い会合だった。進士座長が話した幼保分離によって公園が児童公園と児童遊園に分離されたことも初めて知った。児童公園は都市公園法に規定され、児童遊園は厚労省の管轄のようだ。

 〝遊べない公園〟については同感。公園内で「ゴミを捨てるな」は分かるが、多くの公園は喫煙、キャッチボール、サッカー、ゲートボールなどの遊戯、物販販売、ペットの放し飼い、大声(歌の練習か)、果実の収集を禁止している。

 記者は喫煙のために公園を利用しようと思うがなかなかできない。そればかりか、公園に入ることは「危険」というメッセージも少なくない。ハチ、マムシ、痴漢、ひったくりなどだ。これでは怖くて公園を利用できない。都市公園法の足かせもたくさんあることが分かった。

 都市公園に保育所を設置するのは記者も賛成。というより、都の民設公園制度を活用した第一号マンション「Brillia L-Sio 萩山」が2009年に完成しており、第2弾、3弾を期待しているのだが、その後全然供給されていない。都の都市づくり政策部緑地景観課は「話はあるが、既存の公園内でマンション建設はまずあり得ない。保育園建設についてはうちの課の担当でない」と、様々な規制があることを臭わせている。アベノミクスは岩盤規制を打ち破ることができるのか。法の壁が立ちはだかる。

 国土交通省公園緑地・景観課課長の梛野良明氏も「都市公園内に保育所の話は法律の問題を検討しなければならない」と話した。

◇       ◆     ◇

 これほど面白い会合であるにも関わらず、テーブル付きの記者席が10席も用意されていたにも関わらず傍聴した記者はわたし一人だった。記者クラブに何社加盟しているかしらないが、そんなに忙しいのか記者の数が足りないのか(記者もそんなに暇ではない)。「ここは専門家の集団。気兼ねなく話してほしい」と進士座長が話した。現場の声を聞かずしていい記事が書けるはずがない。

都の民設公園第1号「萩山四季の森公園」開園祭り(2009/10/5)

公園を所有するマンション 東建・西武「Brillia L-Sio 萩山」(2008/5/26)

 

 

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