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「VENCE(ヴァンス)」外観

 三井ホームは4月6日、18世紀フランスの上流階級を中心に広まったサロンを現代のライフスタイル風にアレンジした新商品「VENCE(ヴァンス)」を4月7日から発売すると発表した。

  「VENCE(ヴァンス)」は、フランス南部コートダジュールに隣接した地域の名称により命名したもので、新商品は自宅での趣味や教室に、また友人を招いておもてなしをする空間として「サロンのある暮らし」を提案している。

 インテリアには、ニュースタイルコレクション第4弾「Modern Rococo Style(モダンロココスタイル)」を提案。18世紀のフランスで流行したロココ様式を現代風にアレンジしているのが特徴で、優美で繊細なデザインになっている。

 発表会に臨んだ同社営業推進部長・尾川由紀智氏は、「女性の社会復帰が大きなテーマの一つになっているが、女性が趣味を通じて、あるいは仕事につながる、さらには自己実現を達成するための空間として『サロン』を提案した。港北ニュータウン、名古屋、伊丹の3カ所にモデルハウスをオープンしたが、すでにそれぞれ100件以上の来場がある。多くの女性に支持されている」と話した。

 また、商品企画部長・天池英男氏は「究極のエレガントさを追求したモダンでアーティスティックな住宅」とアピールした。

 販売エリアは沖縄を除く全国で、プロトタイプ(延べ床面積232.54㎡)の坪単価(消費税抜き)は95万円。ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー)にも対応可能。販売目標は年間150棟。

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アトリエサロン(左)と階段

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アーチ(左)とリビング

◇       ◆     ◇

 横浜市営地下鉄中川駅すぐにある「ハウスクエア横浜」に設けられているモデルハウスを見たとたん、前夜の酒の酔いが醒めるどころか、一挙に酔いがぶり返してきた。それほど衝撃的なデザインで、〝シンプル・イズ・ベスト〟だと思っている記者にはまったく理解できないものだった。唖然として声も出なかった。写真を見ていただくしかない。

 しかし、このようなデザインにほれ込む女性が少なからずいそうなことは十分理解できる。

 ターゲットはアッパーミドル・富裕層だ。年収が数千万円以上のこのような層は全国に数十万人いる。このうち「Modern Rococo Style」を無条件に支持する女性は10%もいないだろうが数%はいる。そのうちの1%の女性の心を捉えれば、同社の年間販売目標に届く。

 それは可能だと読んだ。なぜか。話は横道にそれるが、ある約200戸の郊外マンションの人口比率を調べた。このマンションは富裕層が住むマンションではないが、男女の比率はわが国のそれと同じように女性のほうが多いのだが、56歳~65歳の男女比は何と1:2になっている。

 これは離婚などによる離別ではなく、夫が単身赴任などによって一時的に不在している結果だと思われる。なぜなら、65歳以上になると男女比は再び50:50くらいに戻るからだ。

 この年齢層の女性は、もちろん仕事をしている人も多いのだろうが、子育てが終わり、夫も留守なのだから時間だけは十分ある。その時間を習いごとなどに充てるのは容易に想像できる。

 同社が狙っているのは間違いなくこのような層だ。〝亭主元気で留守がいい〟そのものだ。発表会で、他の記者の方が「夫はどうするんだ」と聞いたが、この種のサロンは夫がいない平日に利用するのだろうということは記者でもわかる。

 デザインも完全に女性主導だ。男の居場所などない。それだけ奥さんにやさしい、あるいは無関心のご主人向きの住宅でもある。

 モデルハウスは造作家具などを含めて1億2,000万円くらいだそうだ。坪単価1,000万円の三井不動産レジデンシャル「赤坂檜町」(分譲199戸)や坪単価600万円超の東京建物「目黒」(分譲661戸)が瞬く間に売れる時代だ。昨日見学した東急不動産の「横浜」は坪単価410万円だが、こちらも圧倒的な人気になる可能性が高い。「このモデルハウスがほしい」という女性がいても不思議ではない。ものすごく安いと思う。

 それにしても、「究極のエレガントさを追求した」と語った天池氏は、記者と対極の好みの人のようだ。このモデルハウスをイメージキャラの菅野美穂さんは理解を示すかもしれないが、かつてのイメージキャラの吉永小百合さんは腰を抜かすのではないか。

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ダイニング

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ダイニングテーブル上の飾り物(このようなものが大事なのだそうだ)

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窓際の収納の下にはネコだか犬のぬいぐるみ

カテゴリ: 2016年度

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「ことのは 越ケ谷」

 ポラスが分譲開始した戸建て住宅「ことのは 越ケ谷」を見学した。江戸末期に建てられた蔵を残し・再生し越谷市に寄付するとともに、蔵にあった構造部材を新築4棟の内装材などに再利用した記念碑的な物件だ。2015年のグッドデザイン賞も受賞している。

 物件は、東武スカイツリーライン 越谷駅から徒歩5分、埼玉県越谷市越ケ谷3丁目に位置する開発面積約644㎡の開発地で、1戸当たり敷地面積105.32~124.62㎡、建物面積101.02~108.05㎡、価格5,480万~6,780万円。構造は在来工法2階建て。蔵は敷地面積約100㎡、延べ床面積約48㎡。推定築年数約150年。曳家や補修なども含め6,000万円の費用が掛かったが、そのまま市に寄贈する予定だ。

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「土間のある家」

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 「茶室のある家」(左)と「縁側のある家」

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◇       ◆     ◇

 この物件は、同社が用地を取得した平成25年当初、蔵を残すプロジェクトに賛同する人を募り、コーポラティブ方式で分譲住宅を建てて、その居住者の共有施設として利用してもらう計画だった。しかし、前例のない蔵の利用方法などが理解されず、希望者が集まらなかったために、戸建て分譲に切り替えた。

 記者は、当初のプロジェクト発表会を含めると今回で5回目の見学になる。ずっと注目もし追っかけてきただけに、ようやく完成したのを見て感慨深いものがある。3年がかりのプロジェクトだ。

 最初に計画を聞いたときは、蔵の価値を考慮すれば1戸当たり7,000万円くらいするのではと考えていたが、それよりはるかに安くなった。完成した建物と蔵を見て、力が込められていることはすぐにわかった。感動すら覚えた。

 事業採算が心配でもあるのだが、結果的にこのプロジェクトは採算を度外視すべきだったし、仮に赤字になったとしても、それを補うに余りある財産を地域に残した。今後の蔵の利用いかんによっては地域のコミュニティの核になる可能性を秘めている。同社は年間2,000戸以上の戸建てを分譲しているが(27年度は2,074戸)、このうちの4戸ではない。お金には換算できない価値がある。

 さて、完成した建物はどうか。価格がもっとも高い6,780万円の住戸は「坪庭のある家」だ。外壁に大谷石の擬石を用い、リビングダイニングにはスギのデザイン壁を採用し、造りつけの黒檀のベンチ・収納を設置。同社オリジナルの塗り壁(侘び土)や収納建具の太鼓貼りなど伝統的な技法を採用。坪庭や窓から対面の蔵が見えるようにしている。少し年配の人向きか。

 「縁側のある家」(5,780万円)は、蔵の構造材として使われていた梁の古材を天井にアクセントとして張り、格子デザインを多用して和風住宅を演出している。

 「茶室のある家」(5,780万円)は記者がほれ込んだ住宅で、蔵の壁材として用いられてきた木材を削ってダイニングテーブルにしているのだが、これが赤光りして得も言われぬ趣がある。江戸の香りをかぐような気分になった。大胆な無垢のスギの格子デザインもいい。多目的に利用できる中2階のDENもある。

 「土間のある家」(5,480万円)は、洗い出し床と古材を壁面に用いた玄関・ホールがなかなかいい。リビングは若い世代向けに白を基調にしており、2階リビングは開放感がある。

 最後に蔵だが、古色蒼然とした趣がやはりいい。どのような用途にもあいそうだが、一番ぴったりなのは琴や笙、三味線の音などを生で聞きながら少人数で日本酒を飲むシーンではないか。あるいはまた、隣の小学校の子どもたち向けの校外学習にもぴったりだ。昔の人の知恵・工夫を肌で感じるに違いない。

 同社は今後、市やNPOなどと利用について協議していくという。そこで提案だ。同社は決算発表を兼ねた記者懇親会を毎年本社で行っているが、次回からはここに場所を移してはどうか。つまみなどいらない。ゆったりした雰囲気で中内晃次郎社長などと語り合いたい。

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蔵(1階)

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蔵(2階)

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蔵(2階の天井)

ポラス、蔵のある街づくりプロジェクト「ことのは 越ヶ谷」完了(2015/8/6)

 

 

 

カテゴリ: 2016年度

「ジャパン・レジリエンス・アワード(強靭化大賞)2016)」表彰式.jpg
授賞式

 大和ハウス工業は3月29日、同社のスマートタウン「SMA×ECO TOWN(スマ・エコ タウン)晴美台」が一般社団法人レジリエンスジャパン推進協議会が主催する「ジャパン・レジリエンス・アワード(強靭化大賞)2016」で「最優秀レジリエンス賞」を受賞したと発表した。

 「SMA×ECO TOWN晴美台」は、同社が大阪府堺市のプロポーザル「晴美台エコモデルタウン創出事業」に選定され、開発分譲した戸建住宅地。国土交通省が公募した「平成24年度(第1回)住宅・建築物省CO2先導事業」の住宅・建築物の新築事業(戸建住宅部門)にも採択されている。

 全戸建住宅(65戸)に太陽光発電システムや家庭用リチウムイオン蓄電池(6.2kWh)、大半の住戸にはコージェネレーションシステムなどを搭載。まちの共用部である集会所においてもエネルギー自給の仕組みを構築するなど、平常時の環境配慮とともに、災害時のエネルギー供給に対するバックアップ機能を備えている。

  同物件は、これまでも「第10回エコプロダクツ大賞エコプロダクツ部門国土交通大臣賞」など4つの受賞歴がある。

カテゴリ: 2015年度

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「ファインコート等々力 桜景邸」

 三井不動産レジデンシャルは3月23日、建売住宅では首都圏初の〝ススマートウェルネス住宅〟プロジェクト「ファインコート等々力 桜景邸」が竣工したのに伴う記者見学会を行った。現地の前の桜並木のソメイヨシノが開花し、オオシマザクラは5分咲き。美しい借景にふさわしい都市型戸建てだ。

 物件は、東急大井町線等々力駅から徒歩7分、世田谷区中町二丁目に位置する全5棟。土地面積は109.23~115.72㎡、建物面積は108.30~115.29㎡、価格は最低で1億円以上から最高は1億5,000万円台になる模様。構造は2×4工法2階建て。設計・施工は三井ホーム。4月に販売予定。

 現地は桜並木が美しい閑静な住宅街の一角。建物は周囲の住宅街にふさわしい石積みや石畳を施した高級感が漂う外構・外観が特徴。

 住宅の設備機器には樹脂製サッシ、高性能の断熱材(屋根は同社比2倍の厚さ)、天井設置型脱衣室暖房機、全熱交換換気システム、床暖房システム、家庭用燃料電池「エネファーム」とHEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)、LED 照明、家庭用蓄電池などを搭載。

 〝スマートウェルネス住宅〟は、「健康(ウェルネス)」「省エネ(スマート)」「安心・安全」の3つの要素を重視し、最新の設備仕様を採用するだけでなく、間取りや内装、外構などにも工夫を凝らすことで、より快適な住まいを実現するもの。同社は第2弾の「ファインコート深沢 桜景邸(総戸数13 戸)」も分譲する予定で、今後、都心の高額物件を中心に供給していく。

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前面道路のオオシマザクラ

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外構

◇       ◆     ◇

 同社の地域開発事業部開発室主任・山家尚氏は物件の特徴として、①桜並木に寄り添う立地②南ひな壇の高台、駅から徒歩7分③ゆとりの敷地・建物④スマートウェルネス住宅-の4点を挙げた。

 記者は3点くらいが一番いいと思っているが、ちあきなおみさんの「4つのお願い」というヒット曲もあるから、4点は許容範囲としよう。

 山家氏が話した①~④を要約すると、美しい桜並木にふさわしい外観、外構にするために石積み、石畳に工夫を凝らし、どの住戸からもサクラが眺められるように窓は極力大きく、たくさん設け、通風・採光にも配慮し、敷地も3棟で35坪を確保したこと、国の定義も定まっていないスマートウェルネス住宅については、その中身が見えるよう分かりやすく説明するということだった。

 実際にモデルハウスを見学して、その企画意図は表現されていると思った。とくにスマートウェルネス住宅についてはほぼ完璧に「見える化」「見せる化」が図られていた。樹脂サッシが普通のアルミサッシと比べどれほど効果的であるかを模型で示しているほか、エコカラット、全熱交換換気システム、天井埋込型空気清浄機のよさがよく分かった。唯一疑問に感じたのは、どうしてフローリング、建具・家具を突板仕様にしなかったのかというくらいだ。天井高は2700ミリあった。

 スマートウェルネス住宅についてもう少し触れよう。同社は、スマートウェルネス仕様にした住宅と標準的な省エネ住宅とでは、温度や湿度、結露、快適性、省エネ性がどれくらい異なるのかの詳細な検証結果を15ページにわたる冊子にまとめて説明した。検証監修を行なった秋田県立大学・長谷川兼一教授のコメントも紹介している。

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モデルハウス リビング

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洗面室

◇       ◆     ◇

 今回の見学会で同社が用意した資料と、担当者の説明を聞きながら、先日さいたま市が行なった「美園スマートホーム・コミュニティモデル街区」記者発表会と比較してしまった。あらゆる点で雲泥の差があった。三井レジは「スマートウェルネス住宅」について10項目くらいの設備仕様・機能を上げ、根拠もしっかり示して「首都圏初」と謳った。プレス・リリース、資料に過不足はない。

 リリースには、慶大・伊香賀俊治教授、近大・岩前篤教授、秋田県立大・長谷川兼一教授のコメントが紹介されている。この種のコメントはこれまでもたくさんあるが、いかにもパブリシティの匂いがするものばかり。その点、3氏のコメントは同社の「スマートウェルネス住宅」や物件を〝推奨〟しているわけでもない。これが却って効果的だ。

 伊香賀教授は先日、スウェーデン大使館&スウェーデンハウスのセミナで「高断熱・高気密住宅」について講演された。その記事を添付するのでぜひ合わせて読んでいただきたい。

◇       ◆     ◇

 これはおまけです。記者は鶴瓶さんのように若い女性には声がかけられないが、同年配かそれ以上の女性には平気で声を掛ける。道行く人と喫茶店「浪漫」の店主との会話です。等々力がどのような街であるかよくわかるので紹介します。

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「浪漫」に飾られている粘土作品

「サクラがきれいですね」(記者)

「散った後の掃除も大変なのよ」(道行く女性)

「でも、サクラが街の価値を上げているんですよ。となりは三井不動産が分譲するんです。35坪で1億5,000万円です」

「そうですか、三井さんですか。うちの娘が○○で三井さんから土地を買って、三井ホームで家を建てました。わたし? すぐ近くです。土地? 120坪です」

「この絵は、ご本人が描かれたんですか」(喫茶店で)

「そうよ、でも絵はボケ防止のためのお遊び。本職はそのお人形さんよ」

「えっ、これは素晴らしい。粘土ですよね」

「そうよ、特殊な粘土。高いのよ。1400度で焼くんです。36年もやってるの。でもお金にならない。売らないから」(マンションや戸建ての値段は分かるが、お人形は全く分からない)

「近くで三井不動産が住宅を分譲するので取材に来たのですが、このお人形、写真に撮って記事にしていいですか」

「いいわよ。宣伝になるから。『浪漫』って言うの。そうー、三井さん。あそこはいいよわ。サクラがきれいで」(パンフレットを見せる)。いままでいたお客さんは○○の数千坪の土地を売る話をしていたわよ。ここには結構有名人が来るのよ。この前も〝さざんかの宿〟の歌手が来たわよ」

「そうですか。このカップ、なかなかいいですよね」(家にあるのとそっくりというか同じだった)

「それ? ミントン。これ作ったの、食べて」

「頂いていいんですか。おいしいですね。このオレンジゼリー」

「そのお客さんは最近、土地を売った方」(新しい女性客が入ってきた)

「えっ、どれくらいの広さですか」

「70坪」

「…」(35坪で〝ゆとりの敷地〟はここでは通用しないかも)

「そう、時間がないの? 今度来たらまた寄って」

「ぜひそうします。ありがとうございました」

(こんな会話を交わしていたので次の取材に遅刻した)

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建売分譲住宅で首都圏初の“スマートウェルネス住宅”プロジェクト

「ファインコート等々力 桜景邸」着工(2015/9/17)

「日本一の街」になるかは保留 「美園スマートホーム・コミュニティモデル街区」(2016/3/19)

内装木質化は熟睡長く、知的労働も向上 慶大・伊香賀教授が実証(2016/3/22)

 

 

 

カテゴリ: 2015年度

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「ボゥ ヴィラージュ浦和美園グランディール・セゾン」

 ポラスグループの中央住宅マインドスクェア事業部は2月26日、さいたま市の大規模再開発エリア「みそのウイングシティ」で分譲を開始した戸建分譲住宅「ボゥ ヴィラージュ浦和美園グランディール・セゾン」の記者見学会を行った。Jリーグ「浦和レッズ」のホームスタジアムでもある「埼玉スタジアム2002」へ徒歩14分の全91区画で、2月20日に分譲開始した結果、第1期1次(6戸)と同2次(6戸)の合計12戸が即日完売した。

 物件は、埼玉高速鉄道浦和美園駅から徒歩20分、さいたま市岩槻区釣上に位置する開発面積約16,000㎡。第1期の土地面積は150.04~151.10㎡、建物面積は91.35~98.95㎡、価格は3,280万~4,180万円(最多価格帯3,300万円台)。構造は2×4工法2階建て。

 現地は、総開発面積約313ha、計画人口約3.1万人の埼玉県・さいたま市・都市再生機構(UR)が共同で開発を進めている「みそのウイングシティ」の一角で、埼玉スタジアムや順天堂大学医学部付属病院(2020年開業予定)のほか大型商業施設、小・中学校の新設が計画されているエリアに位置。開発地はURから取得したもの。

 建物の外観デザインは、2006年に分譲して人気になった〝ボゥ ヴィラージュ〟(フランス語で美しい村の意味)シリーズの第1弾「ボゥ ヴィラージュ美園」(172戸)と同様、フランススタイルの街並みが特徴。今回は、北フランスのハーフティンバー様式をモチーフにした「ノルマンディースタイル」を北側へ、地中海リゾートを望む家々がモチーフの「プロヴァンススタイル」を南側へ、パリの統一感のある街並みをモチーフにした「イル・ド・フランススタイル」を中央に配置。統一感を保ちながら、景観の変化を楽しむことができる「歩きたくなる街」を提案している。敷地面積はすべて150㎡以上で、2台分のカースペースを確保している。

 発表会に臨んだ同社取締役マインドスクェア事業部長・金児正治氏は、「第一弾の『ボゥ ヴィラージュ美園』は3日間徹夜で並ぶ人が出るほどの人気で早期完売できた。今回は今後の開発が期待されるエリア。モデルハウスは期ごとにお客さまのニーズを取り込んだ進化型にしていく。街づくりを通じて今後ともこの沿線を盛り上げ、応援していく」と語った。

 また、金児氏は直近の戸建て市場についても触れ、「お客さんの絶対数はそれほど多くはないが、マンションの価格が高くなっているので戸建ての割安感がでてきた。コストは抑えられているし、仕入れのプレーヤーは減ってきている。消費増税も控えているが、今後の販売には自信を持っている。この2月の当社の戸建て販売棟数は236戸に達し、平成25年4月の225戸を上回る単月の過去最高記録を更新した」と話した。

 物件の反響数は184組で、来場者数は3週間で52組。来場者の居住地は8割が川口市やさいたま市だが、東京、神奈川からもそれぞれ1割集客している。販売担当者は、「第一弾の『美園』から来場された方々が一様に進化ぶりに驚かれている。手ごたえ十分。1年間で早期完売したい」などと話した。

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モデルハウス(サッシと天井のほぼ中間に通常の戸建ての天井がくる)

◇       ◆     ◇

 開発当事者はどう考えているかわからないが、記者は開発スピードが遅いのにいらだちすら覚える。2006~2007年にかけて「イオンモール浦和美園」がオープンし、同社の「美園」、東急不動産他の「センターフィールド浦和美園(657戸)が分譲・竣工したまではよかったが、その後は駅周辺の整備は遅々として進んでいないという印象を受ける。喫茶店は駅徒歩10分圏に一つもない。2020年のオリンピック開催までに様々な施設ができるようだが、原野に「埼玉スタジアム」がぽつんと建っている風景は異様だ。駅から20分も歩かされるサッカーファンは文句を言わないのか。

 それにしても、スタジアムとほぼ同じ距離圏にあるこの物件を1年間で販売するというスピードは驚きだ。記者は年間せいぜい50戸だろうと予想したが、これがポラスの力なのだろう。

 「力」といえば、同社の物件を見るごとに〝どうして天井高が2.7mもあるのにそれをアピールしないのか〟と考えていたが、今回はしっかりと〝見える化〟を図っていた。

 モデルハウス4棟のうち1棟は同社がスポンサーになっている浦和レッズカラーになっている。ファンはたまらないのだろう。そこまでやるなら、西武ライオンズカラーもやってほしい。

 ともあれ、この物件が街の開発スピードを上げるための起爆剤になってほしい。

ポラス「ボゥ ヴィラージュ美園」早期完売へ(2006/5/20)

 

 

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南柏の外観

 旭化成リフォームは2月3日、旭化成ホームズが過去に供給した戸建住宅「ヘーベルハウス」を買い取り、構造躯体だけのスケルトン状態にして販売する新しいスタイル「フレーム・ヘーベルハウス」の買取・再販の試行を開始したのに伴い、報道陣にスケルトン住宅を公開した。

 今回の取組みは、耐用年数60年のヘーベルハウスの特性を活かし、概ね築20年以上の中古住宅を30年耐用仕様に更新した上で、内部の内装・設備(インフィル)を全て解体・撤去した構造躯体(スケルトン)状態で販売し、同時にオーダーメイドによるインフィル改装リフォームを請負うもの。購入者にとっては、構造躯体を直接目視して購入できることと、内部はオーダーメイドにより好みの間取りと最新仕様の設備にできることが特徴。

 発表会に臨んだ同社・森田敏晴社長は、「新築より中古という時代の流れの中で、これまでは当社と旭化成ホームズグループの旭化成不動産レジデンスの仲介との連携がうまくできていなかった。へーベルハウスの特性を生かし、ワンストップで買主にサービスを提供できないかと立ち上げた。工期も約2カ月で済む。業界初の試みなのでどこまで受け入れられるか未知数だが、どんどんアピールしていきたい」と話した。 

 今回販売する物件は、常磐線南柏駅から徒歩13分、千葉県流山市西松ヶ丘に位置。敷地面積は33.49坪、建物はヘーベルハウスキュービック(軽量鉄骨陸屋根2階建て)築21年、延べ床面積は32.25坪。販売価格は土地価格が1,427万円、建物価格が1,210万円、リフォーム工事費が1,040万円、外構費用が293万円の合計3,970万円(税込み)。 

 同社は、仮に同じ条件で32坪の新築のヘーベルハウスを建築した場合の諸費用等を含めた総額を3000万円程度と仮定すると、約2~3割リーズナブルな価格で提供できるとしている。

 窓の位置はコストがかかるので移動できないが、サッシのガラスは複層ガラスへの変更は工事費も含めて10万円以内で収まるという。

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スケルトン

◇       ◆     ◇

 売主にも買主にもわかりやすい買取・再販だ。一口に不動産の買取・再販といっても、最大手のインテリックスからスターマイカ、ラ・アトレ、先日上場したムゲンエステートなどの上場会社もあれば、マンション1室を買い取って販売する業者まで、つかみどころがない玉石混交の世界だ。しかも、買い取り物件をどこまでリフォームしているかもよくわからない。

 参入障壁もほとんどない。宅建の免許を持っていればどこでもできるので、実態はどこも把握していない。記者は1,000社くらいではないかと予想しているのだが、自信はない。

 とはいえ、業として継続して行っていく上では課題も多いとされる。

 同社が行った住宅購入予定者(サンプル1,000件、うち持家52%、賃貸48%)を対象に行った調査では、中古住宅は「購入価格を安く抑えられそう」59.2%、「同じ予算で広い家に住めそう」39.1%などと評価している一方で、「設備が老朽化していそう」38.8%、「隠れたところに不具合がありそう」35.8%、「購入後に不具合がありそう」31.1%などと回答したようにマイナスイメージも強い。

 このマイナスイメージを払しょくできていない業界側の問題もある。全宅連が昨年会員向けに行ったアンケート調査(有効回答516社)では、買取・再販を行ったのは22.9%で、①瑕疵担保責任が重い②かくれた瑕疵が多く業者が負う責任が大きすぎる③再販時にクレーム多く無駄が多くなった④リフォーム(水まわり)の金額が高いので良い物ができない⑤販売価格での値引対象(リフォーム費用)となっている⑥建物の構造等を充分調査の上、購入するが、インスぺクションをして購入する必要あり-などの声が上がっている。

 そんな世界に同社は一石を投じることになった。

 へーベルハウスは年間600件くらいが中古市場で流通しており、そのうち33%の約200件は旭化成不動産レジデンスが仲介しているという。成約に結びつかない査定も含めると400~600件ということだった。

 この33%という捕捉率が高いのか低いのか判断材料はないが、新しいサービスの提供で高めようということだろう。前述の調査で同社のスケルトン販売について聞いたところ、1,000人のうち76.4%の人が「検討意向」を示したことでも、同社の狙いは的中したといえる。土地と建物の価格査定が明確で、「家を作る」プロセスの楽しさをアピールできれば飛躍的に件数を伸ばせる可能性を秘めている。

 同社は試行段階であるため具体的な数値目標は上げていないが、当面は年間5~10件くらい、近い将来は100件、200件まで伸ばしたい意向だ。

 ターゲットはへーベルハウスの展示場への年間来場者約10万件のうち約7割の土地なしユーザーだ。営業マンによる年間約7,000件のオーナー訪問などによって買取・再販に関する情報を収集していくという。

 

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「ファインコート浦和美園」

 三井不動産レジデンシャルが2月上旬に抽選分譲する都市型戸建て「ファインコート浦和美園」を見学した。同社が埼玉県で都市型戸建てを分譲するのは珍しいが、設計・施工は埼玉県下では圧倒的な強さを発揮しているポスグループのポラテックというのがみそだ。モデルハウスをオープンしたばかりだが、全戸が抽選になる可能性もあるほど人気を呼んでいる。

 物件は、南北線直通、埼玉高速鉄道浦和美園駅から徒歩6分、さいたま市緑区大字大門宮下に位置する建ぺい率60%、容積率200%の地域に位置する全12戸(うち4戸は分譲済み、今回分譲は8戸)。土地面積は138.96~176.67㎡、建物面積は100.01~103.62㎡、予定価格は4,380万~5,750万円。設計・施工はポラテック。構造は軸組工法2階建て。入居予定は平成28年3月中旬。

 1月9日からモデルハウスを公開しており、先週の3連休で30件以上の来場があり、今週末も見学予約がすべて入っているという。

 物件の特徴は、埼玉県、さいたま市、UR都市機構が進めている大規模な土地区画整理事業地内にあり、駅から6分と近く、隣接して約14,000㎡もの公園が整備中であること、徒歩6分に170店舗が入居する「イオンモール浦和美園」があることなど。

 住宅は土地面積が大きく、淡いベージュ地に木目調のサイディング外壁材を張ることでシャープな印象を与える外観が特徴。隣り合う住戸間にはフェンスを設けずオープンにしているのも目を引く。住戸プランは食洗機、ミストサウナ、エネファームが標準装備。200%の容積率を利用して各住戸に2~3畳大の納戸を設置しているのも好評のようだ。

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敷地境界にフェンスがないのがよくわかる

◇       ◆     ◇

 この戸建てを見学しようと思ったのは、昨年末、同社の「三鷹」「つつじヶ丘」「国立」の都市型戸建てを見学した際、同社地域開発事業部営業室兼開発室室長・池田篤彦氏から「浦和美園でもポラテック施工で分譲する」と聞いていたからだ。

 同社の〝ファインコート〟シリーズは第1号から21年が経過するが、埼玉県下での供給は「ファインコートららシティ新三郷」くらいしか記者はしらない。

 「浦和美園」をきっかけに埼玉県でも供給を増やす意向かどうかはわからないが、ポラテックと組んだのは注目に値する。

 パンフレットにも「設立45年・累計売上棟数53,002棟、浦和レッズ公式スポンサーのポラスグループ」の見出し付きでポラテックを紹介している。同社がマンションも含めて施工会社を紹介するのは極めて珍しい。戸建てで三井ホームが施工してもパンフレットにわざわざ書くことなどないかもしれない(もっとも三井ホームを紹介する必要はないか)。

 さらに、効果があるのかどうかわからないが、コーナーウォールや門柱などに浦和レッズのチームカラーである「赤」をアクセントに用いている。「リハウスレッド」ではなかった。

 余計なことだが、浦和レッズの公式名が「浦和レッドダイヤモンズ」というのはネットで調べて初めて知った。野球の「ジャイアンツ」も「読売巨人軍」が公式名であるのと同じなのか。

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シャープなデザイン

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浦和美園駅前(タバコが吸える喫茶店は駅からイオンモールまで歩いて、さらに店が広いから都合10分もかけなければならない。これは何とかすべき)

「ファインコートつつじヶ丘シエルガーデン」 記者も惚れ込んだデザイン(2015/11/9)

 

 

 

カテゴリ: 2015年度

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「グローイングスクエア杉並成田西グランフィールズ」

 細田工務店は12月18日、「認定低炭素住宅」と「環境共生住宅(システム認証)」を取得した分譲戸建て「グローイングスクエア杉並成田西グランフィールズ」(全20区画) の記者見学会を行った。

 「認定低炭素住宅」制度は、建築物の低炭素化を図ることで低炭素・循環型社会の構築を目指す制度で、2014年12月に施行された。一定の基準を満たせば住宅融資、税制面で優遇する措置が取られる。

 創エネとしてエネファームを採用した「アクティブ・エコ」と、サッシ形状、雨水タンク、こもれびツリー、スルーウォールなどの「パッシブ・エコ」を組み合わせることで、省エネ法の省エネ基準に比べ一次エネルギー量が10%以上削減される。

配棟計画では、近くを流れる善福寺川の緑地からの風の流れを解析し、街全体のゾーニングや各住宅の窓形状と位置を検証してプランニングしているのも特徴。

 物件は、京王井の頭線浜田山駅から徒歩14分、杉並区成田西2丁目の建蔽率40%、容積率80%の地域に位置する全20棟。敷地面積は113.05~119.70㎡、建物面積は89.90~93.77㎡、価格は未定だが、6,000万円台から7,000万円台が中心になる模様。構造は軸組み工法で2階建て。竣工予定は平成27年12月から28年3月。販売開始は平成28年2月中旬。

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玄関とは別の扉が付いた自転車置き場

◇       ◆     ◇

 同社施工の他社分譲の戸建ては結構見学しているのだが、同社が分譲する戸建ては久々に見学した。なかなか意欲的な物件だ。

 もちろん「認定低炭素住宅」「環境共生住宅」の認定を受けて、細かな点にも環境への配慮に取り組んでいることを強調したいのだが、一つ驚いた企画がある。

 分譲戸建てを見学するたびに、自転車置き場がないことから敷地の外に置かれているのを見る。どうして自転車置き場を設けないのか不思議に思ってきた。

 ところがどうだ。この物件には車庫スペースとは別に「自転車置き場」が設けられているではないか。畳3畳分くらいはあり、立派な門扉もついており、水道栓もセットになっている。

 同社によると、お客さんの声を企画に反映させた結果で、全てではないが、敷地条件が整えば設置するようにしているという。

 こうした細かな配慮がお客さんの感動を呼ぶ。もっとストレートにアピールすべきなのに、これも同社の社風なのか、同業他社と比べ控えめなのが正直に言えば歯がゆい。構造材などはほぼ100%国産材というのも他社にないアピールポイントだ。

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植栽とスルーウォール(壁に穴が開いているのがわかる)

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「WESTWOOD(ウエストウッド)」予想図

 三井ホームは12月18日(金)から平屋建てのフリー設計商品「WESTWOOD(ウエストウッド)」を沖縄を除く全国で発売する。

 少子高齢化社会の進展により、わが国の約8割が3人以下の世帯で、コンパクトな住宅へのニーズが高まっており、フラットに暮らす平屋へのニーズも多くなっていることに対応するもの。

 住宅着工に占める平屋建ての比率は増加傾向にあり、平成21年度が25,659戸で6.5%だったのが、25年度は37,248戸で7.4%に伸びている。

 「WESTWOOD(ウエストウッド)」は、米国カリフォルニア州ロサンゼルスの街「WESTWOOD(ウエストウッド)」から命名したもの。アーリーアメリカンの外観と開放的で伸びやかなイメージが込められている。

 街のランドマークとなるさわやかでインパクトのあるファサード、平屋でありながらのびやかに広がる大空間、こもり感のある+αの快適な屋根裏空間を実現。高い断熱性能や独自の「ダブルシールドパネル(DSP)」、「健康空調」なども随所に盛り込み、ZEHにも対応しているのが特徴。

 同社常務執行役員 ・一色隆行氏は14日行われた発表会で、「世帯の少人数化、高齢化が進んでおり、平屋はマーケットメジャーになりつつある。当社は30年以上も前に大屋根の商品を発売しているが、今回、さらに付加価値の高い商品として快適で健康な住空間を提供できる。10月からプレセールを行っているが、すでに10棟を超える受注がある」と語った。

 宮城県仙台市若林区に設置したモデルハウスのプロトタイプは建築面積99.81㎡、1階床面積90.12㎡、2階床面積42.31㎡、合計床面積132.43㎡。首都圏参考価格(消費税抜き)は3,447万円(坪単価682千円)。販売目標棟数は年間240棟。

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大きな吹き抜け空間があるリビング

◇       ◆     ◇

 注文住宅市場のことはよくわからないが、一戸建ては平屋がもっとも住みやすく、ぜいたくな暮らしができるのは言うまでもないことだ。大都市では土地の制約がありなかなか建てられないが、70~80坪あれば十分建てられる。同社が平屋を重視するのはよく理解できる。

 平屋建ての分譲戸建てもなくはないが、事例は少ない。記者が見た限りでは、いかにも熟年向けの商品企画で、外観が貧相なものが多かった。

 

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建築中の「CUBE17~じゅうなな~(キューブジュウナナ)」

 コスモスイニシアは12月6日、コミュニティ形成支援付賃貸戸建住宅「CUBE17~じゅうなな~(キューブジュウナナ)」のメディア向け説明会・構造見学会を行なった。転貸する同社をはじめ事業主の環境開発研究所、設計の島﨑義治建築設計事務所、施工の藤島建設の思想とノウハウを結集した四重奏(カルテット)であり、入居者参加型という意味では五重奏(クインテット)のかつてない賃貸戸建てといえるかもしれない。

 物件は、JR武蔵野線新座駅から徒歩12分、新座市大和田に位置する開発面積約2,400㎡、全17区画。一戸当たり土地面積117.70~163.00㎡、建物面積75.89㎡。構造は在来工法2階建て。入居開始は平成28年3月。賃料は未定だが、13万~14万円/月で検討されている。

 プロジェクトは、事業主の環境開発研究所(埼玉県新座市)の「野原の中に家があるような、風通しの良い街を残したい」という思いに共感した島﨑義治建築設計事務所(東京都文京区)が基本・実施設計を行い、コーポラティブハウスとコモン付賃貸住宅などコミュニティがキーファクターの住宅を提供しているコプラス(東京都渋谷区)が監修。施工は藤島建設(埼玉県川口市)で、構造材や内外装材に国産材を採用する。

 敷地内の無電柱化を図り、敷地境界柵・塀を設置しないでゆるやかに住宅をつなぎ、一戸一戸の住宅の向きを変えることでプライバシーにも配慮し、住宅の構造材には100%国産材を採用、1階床はヒノキの無垢材、天井高は約2.8mのカラマツの現しを採用するなど環境にも配慮しているのが特徴。

 コスモスイニシアは8,900戸を超える賃貸運営事業の実績と、住宅分譲事業で行なっている入居者同士のコミュニティ形成支援で培ったノウハウを生かす。入居後もコミュニティサポートを行なっていく。

 現地で挨拶した同社賃貸事業部事業推進部部長・塩見良二氏は、「オーナーの〝囲いのない公園の中にあるような街を作りたい〟という思いに島﨑さんが共感され、私どももマンションなどて進めているコミュニティ支援の取り組みは賃貸でも同様に重要だと共感して実現したプロジェクト」と話した。

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イメージ図

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模型

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 これ以上ないレベルの高い賃貸住宅だろう。敷地のオーナーでもある環境開発研究所社長・奥田栄氏の〝こだわり〟がなければ、なにかにつけ(とくに心が)豊かでないと実現しないプランだ。

 配布された資料によると、奥田氏は1949年生まれで、地元で300年の歴史を持つ奥田家の後継者のようだ(農地解放でどれだけの土地が残っていたのか)。東京工大大学院から同大学助手-日立製作所研究員-人間環境大教授などを経て環境開発研究所代表取締役に就任している。

 基本・実施設計を担当する島﨑氏は1956年生まれ。京大大学院工学研究科を終了したあと内井昭蔵建築設計事務所勤務を経て、現在、人間環境大教授を務める。

 この二人の経歴でもわかるように同じ大学で教鞭をとっていることと、コスモスイニシアのサポートが加わったことがプロジェクトの実現につながったようだ。

 一つひとつは書かないが、わずか17棟しかないのに無電柱化し、敷地中央に6m幅の道路をつけ、敷地境界柵を取り払い、構造材に岩手県葛巻町の100%国産材を用い、外壁には防火下地処理を施した上でカラマツの下見板を張り、床はヒノキのフローリングとし、2.8mの天井を現しにする-こんな賃貸住宅を郊外に建てるオーナーなどいないはずだ。

 敷地境界の柵を取り払った分譲戸建てとしては、横浜市住宅供給公社の定期借地権付き「十日市場」や、タカラレーベンの「大泉学園」がある。

 奥田氏は配布資料にある島﨑氏との対談記事の中で次のように語っている。

 「高度成長期以降、家の周りをブロック塀で囲むことが流行りだして、いまや囲いを作ることが当たり前になっている。セキュリティの面で言えばそれも当然だとは思いますが、囲いを作って守ることがむしろ犯罪の目隠しにもなりかねない。一見無防備のように感じられる囲いのない家のほうが、住民の目が届く可能性が高いですし、それが最大のセキュリティにもなるように思います」

 これに対して島﨑氏は次のように述べている。

 「(奥田さんの)考えは自分の考えに近かったので、深く共感しました。国木田独歩の小説『武蔵野』…その風景の面影はどこかに残したいと、新座の地に降り立った瞬間に思いました」「作り手がしっかりとした意思を持って住まう場所を創造しないと、住まい継がれるような名作は生まれない。このコミュニティを設計するにあたり、私はそんな想いを込めてイメージを具現化していきました」

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奥田氏(左)と島﨑氏

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 施工を担当する藤島建設は、島﨑氏によると「施工会社を選定するにあたり募集をかけたところ、手を挙げてくださったのが、国産材での住宅建設を得意とする藤島建設でした」とある。

 この藤島建設については分譲戸建てを見学して改めて紹介する。

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工事中の建物(天井の現し部分がよくわかる)

 

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