RBA OFFICIAL
 

Screenshot 2025-10-04 at 12-01-00 24dcefd4cc6c800d6fb63d85fe3b0f393cbc17aa.pdf.jpg
「フォレストレ大和田GXgrade」

 ポラスグループのポラスマイホームプラザは10月3日、ZEH水準を上回る「GX志向型住宅※」の要件を満たした分譲戸建て「フォレストレ大和田GXgrade」(全17戸)のメディア向け見学会を行った。「GX志向型住宅」の要件を満たしている分譲戸建てを見学するのは初めてだったが、ZEH水準の断熱仕様で、延床面積に対する開口・窓面積比率を一般的な住宅の約半分の12.4%にすることでGX志向型に対応しているのが特徴。また、同社初の床下に大容量の貯水用タンクを搭載しているのに驚いた。

 「GX grade」の特徴は、①ハイブリッド給湯器や太陽光パネルによって、ZEH水準の住宅と比較し、年間85,259円(うち太陽光発電分75,369円)の水道光熱費を削減②住宅の室内は、断熱等級5と比較して冬場で1.8~2.0度の差がある③高出力・高効率を実現させた太陽光モジュールを採用④ハイブリッド給湯器「ECO ONE X5」を採用⑤アルミ樹脂複合フレームとLow-E複層ガラスにより国内最高レベルの断熱性能を実現したアルゴンガス入り窓を採用-していることなど。

 また、レジリエンスの取り組みでは、①太陽光発電時でもスマートフォンの充電や家電の使用が可能②床下に大容量貯水タンク「マルチアクア」を搭載していることで常時36Lの水を貯蔵。水道水を普段使いしながら、災害時は4人家族3日分の飲用・調理用水が確保される③大型パントリーや保安灯を設置することで、多めの食材をストックでき、停電時も足元を照らすことができる。

 見学会で、同社営業企画設計課課長・内野貴通氏は、「昨年、子育てグリーン住宅支援制度が創設されたのをきっかけにGX住宅開発に取り組んでいる。GXは世界的課題でもあり、分譲戸建てで取り組むことで業界をリードしていく。注文住宅検討者や未来志向のお客様にアピールできており、補助金(160万円)も販売促進材料になっている」と話した。

IMG_8922.jpg
内野氏

 また、同社営業企画設計1課係長・髙橋健太郎氏は「コンセプトは〝街と人のかけがえのない出逢い〟。ハード面だけでなくソフト部分のレジリエンスの取り組みを重視しているのが特徴」とし、細かな点についても配慮していることを説明した。

IMG_8924.jpg
高橋氏

 ポラス暮し科学研究所住環境Gグループ長・野田将樹氏は「当社グループは年間供給している2,500~2,600戸の分譲戸建ては全てZEH水準だが、この物件は性能の高い樹脂サッシと2重天井断熱を採用し、ZEH水準の断熱材と、高性能のサッシを採用することでGX型に対応できているのが特徴。延床面積に対する開口・窓面積比率は通常20%前半だが、この物件は12.4%。窓面積を半分にしたことが正解かどうかは分からないが、私は違和感を覚えなかった。2027年に予定されている改正ZEH基準の先行チャレンジになる。また、床暖房も搭載していないが、搭載してもGX型住宅に対応できることが確認できている。ちなみに省エネ率基準は35%以上だが、ここは42%確保できている。現在、30棟を対象に実証実験を行っているが、ほぼ狙い通りの数値が得られている」と語った。

IMG_8927.jpg
野田氏

 続いて、同社・森田昌久部長は同社の歴史や今後の展開について「当社グループの中では歴史の浅い会社だが、埼玉県子育て応援住宅供給量ではトップの418戸を供給しており、GX型住宅の取り組みを行っているのは当社のみ。今後も子育て、GX、レジリエンスに力を入れていく。蓄電池搭載も考えている」などと話した。

IMG_8933.jpg
森田氏

 物件は、東武アーバンパークライン大和田駅から徒歩14~15分、さいたま市見沼区堀崎町の第一種中高層住居専用地域に位置する全17戸。土地面積は100.10~109.45㎡、建物面積は93.46㎡~95.93㎡、価格は4,490万~5,990万円。

 今年8月に第1期として10戸を分譲開始し、これまでに4戸が成約済み。反響数は61件。顧客の属性は年齢は30代後半、年収は900万円前後、注文住宅を検討している近隣居住者が中心。

 同社はこのほか、昨年から「北浦和」(12戸)「桶川」(2戸)などを含めGX志向型37戸を分譲しており17戸が成約済み。GX志向型にすることで、ZEH水準よりコストは100万円アップするが、補助金や光熱費の削減で吸収できるのがセールスポイントになっているようだ。

※「GX志向型住宅」は、①断熱等性能等級6以上②再生可能エネルギーを除く一次エネルギー消費量削減率35%以上③再生可能エネルギーを含む一次エネルギー消費量削減率100%④高度エネルギーマネジメントの導入の4つを満たすことが必要

IMG_8925.jpg
「マルチアクア」

◇        ◆     ◇

 各氏がプレスリリースや配布資料に基づいて説明したのを、ふむふむと頷きながら聞いていたのだが、野田氏が話の途中で、リリースにも配布資料にもない窓面積比率に言及したのにびっくりした。ちょうど、大腸ポリープを切除したことで腹痛から解放されたときのように、ずっと疑問に思っていたことがストンと腑に落ちた。

 なぜ腑に落ちたかについて、少し長くなるが説明する。記者は、2025年度の子育てグリーン住宅支援事業にGX志向型住宅と長期優良住宅とともに、ZEH水準住宅も対象になったのにはいささか驚いた。良質住宅の普及に誘導しようという意図は分からないでもないが、政府は2030年までにすべての新築住宅がZEH水準を満たすことを目標に掲げている。つまり、ZEH水準はあと5年で当たり前になる。当たり前になる住宅に対して国費を投入するのは如何なものかと思ったからだ。

 この事業に、全国分譲戸建てシェア約3割を占める飯田グループホールディングスが敏感に反応した。同社は一昨年の「飯田グループホールディングスTCFDレポート2023」で、「2025年の『ZEH水準比率100%』等の検討を始めております」と謳っており、今年6月、2025年4月以降に確認申請を取得した新築分譲戸建住宅全棟でZEH水準に対応し、達成率が100%となったと発表した。

 これはこれで結構なことだが、制度は全体的な住宅の質・快適性は問われないから、断熱等級を上げるには延床面積を小さくし、さらに熱の出入りが激しい窓面を少なくすればいいことになる。

 記者はここに注目している。住宅の開口・窓面積と質・快適性との相関関係はいまひとつ分からない。ただ、最近はめっきり減ったが、各デベロッパーはかつて〝ワイドスパン〟〝ワイドサッシ〟〝ハイサッシ〟を3点セットにしてマンション広告で謳っていた。その効果があるのだろう。しかし、窓面積を広くすることは断熱性能を低くすることにつながり、断熱性能を高めるには窓面積を小さくすればよいことになる。住宅の質・快適性と窓面積はトレード・オフの関係にあるといっても言い過ぎではないと思う。

 そうした疑問をずっと抱いていたので、今年7月に行われた中央住宅「ひととき 流山市松ヶ丘・南柏」見学会で、同社不動産ソリューション事業部不動産開発部企画設計課課長・村田嵩胤氏に質問したところ、村田氏は「様々な仕様を引き算すればZEH水準は可能。当社は居住性・快適性を犠牲にするようなことはしない。足し算で居住性を高めることが重要」と語った。

 この日の野田氏の話と村田氏の考えは矛盾するようだが、森田氏が「GXに取り組んでいるのはポラスグループの中で当社のみ」と語ったことで説明がつく。「窓面積を小さくすることが正解かどうかは分からないが、国土交通省が改正を考えているZEH基準の先行チャレンジプロジェクトになるのではないか」(野田氏)。同社にはぜひとも実証実験の結果を報告してほしい。

IMG_8935.jpg
モデルハウス(左の窓は幅1間、高さ2400ミリ)

IMG_8920.jpg
現地

仕様レベルの引き算でZEH水準は可能手放しで喜べないデベロッパーの対応(2025/8/2)

住宅性能評価の分譲戸建てシェア74% 飯田GHは「ZEH化50%」に舵切りを

カテゴリ: 2025年度

Screenshot 2025-09-19 at 11-54-25 50ce0bdcfb99a0a96830342df29e4dfb913d5273.pdf.jpg
分譲地街並み(左)と1号棟リビング

ポラスグループ中央住宅は918日、「ことのは 越ヶ谷~蔵のある街づくりプロジェクト~」の第2弾の分譲戸建て4棟のメディア向け見学会を行った。価格は8,000万円前後で、〝唯一無二〟の和テイスト・和モダンを演出したもので、隣には同社が耐震補強を施し、越谷市に寄付した江戸末期に建設されたという「蔵」が建っている。街づくり・和テイストで括ればポラスの最高傑作だと思う。

プロジェクトがスタートしたのは2013年。同社は蔵を含む土地・建物を地主から購入し、蔵は壊して全て分譲戸建てにかる予定だったが、「歴史的建造物の蔵を壊すのはあまりにも無神経。地域の方々と協議を重ね、蔵や古材、灯籠なども残してプロジェクトに賛同していただける人に分譲することに決めた」(品川典久社長=当時)。当初はコーポラティブ住宅として分譲する意向だったが、買い手が現れず、蔵は耐震補強を施し、曳家の手法で現在地に移し、第1弾として2017年に戸建て4戸を分譲した。

今回はその第2弾。分譲地の東側は幅員7.9mの旧日光街道に、北側は幅員6mの公道に接道。景観協定を締結し、12号棟と34号棟の間に設けた幅4m、長さ約20mの共有地(地役権設定)には、従前敷地内にあった敷石を再利用し、東屋風のスペースを設け、居住者同士のコミュニティの醸成を図っている。この他、各住戸には従前の古民家に使用されていた瓦、欄間、構造材、梁などをインテリアとして取り込んでいる。

物件は、東武スカイツリーライン越谷駅から徒歩6分、越谷市越ヶ谷3丁目の近隣商業地域に位置する全4戸。土地面積は109.77151.90㎡、建物面積は99.77145.94㎡、価格は7,780万~8,480万円。構造はツーバイフォー工法2階建て・3階建て。引き渡し予定は202511月中旬。

627日から広告を開始し、これまで37組の来場があり、うち市外居住者は18組。1棟は契約済み。街づくりや長期優良住宅認定が高い評価を受けているという。

1号棟は「坪庭のある家」、2号棟は「縁側のある家」、3号棟は「土間のある家」、4号棟は「掘り炬燵のある家」とし特徴を持たせるとともに、旧日光街道に面した3号棟と4号棟は3階建てにし、用途地域が近隣商業地域であることから、多目的に利用できるテラス・土間・フリースペースを1階の道路側に設けているのも特徴の一つ。

見学会で同社戸建分譲設計本部設計二部営業企画設計課課長・池ノ谷崇行氏は「2013年に用地を取得した段階では、敷地内にあった蔵は取り壊して全て分譲することにしていたが、地域文化の価値の創造を理念にのっとって保存することを決定した。蔵は2025年の登録有形文化財に登録される予定で、カフェなどのイベントや空き家相談にも当社も参加して運営していく」と語った。また、同課係長・玉越啓資氏は「当社グループは住まい価値創造企業として地域の価値を創造し、未来に継承することを主眼にしている。今回は宿場町として地域に残っていた和のテイストを取り入れ、和モダンで外も中もデザインした。屋根は瓦屋根とし、外壁もモルタル仕上げとし、古材を再利用して随所にちりばめた」と話した。

Screenshot 2025-09-19 at 11-54-58 50ce0bdcfb99a0a96830342df29e4dfb913d5273.pdf.jpg
区画割

Screenshot 2025-09-19 at 11-55-37 50ce0bdcfb99a0a96830342df29e4dfb913d5273.pdf.jpg
共有地

IMG_8431.jpg
分譲地に隣接する油長内蔵

IMG_8435.jpg
街並み

IMG_8447.jpg
共有地

IMG_8458.jpg
4号棟3階から共有地を望む

IMG_8450.jpg
共有地デザイン

IMG_8465.jpg
左から池ノ谷氏、玉越氏マインドスクェア事業部営業課主任・鈴木祐喜氏

        ◆     ◇

 冒頭に〝唯一無二〟〝ポラスの最高傑作〟と書いたが、心底からそう思った。「ことのは 越ヶ谷」については、これまで5本の記事を書いているので、それらも参照していただきたい。最初に取材したときは10年以上も続くプロジェクトだとは全然思わなかった。注文住宅を含めれば年間3,000戸以上も戸建てを供給する同社が、その0.3%にしか過ぎない宅地にこれだけの時間とコスト(蔵の耐震補強、曳家などには相当のお金がかかっているはず)を掛けて地域に貢献しようという姿勢は賞賛に値する。

同業の記者の方は、近隣物件との価格の差や完売までのめどについて質問したが、記者は〝唯一無二〟物件とごくありふれた〝価格ありき〟の物件(多分5,000万円台中心)と比較などできないし、注文住宅ならいざ知らず、このようなコミュニティ形成をテーマにした、徹底した和モダンの住宅で、桁違いの価格の分譲住宅を購入しようとする人はそう多くはないはずで、完売までにはそれなりの時間がかかると思った。

しかし、モデルハウスには市外からも18組が来場しているように、自然素材をふんだんに採用した商品企画に惚れ込む人は必ずいると思った。蔵を日常的に使える価値は高く、地域の歴史・文化の価値を継承しようという同社の姿勢に共感する人も少なくないはずだ。

 つい最近、自然素材をふんだんに採用した事例を取材した。コスモスイニシアの「イニシア京都御所南」だ。共用部は古材が再利用され、天然石や土壁、和紙クロスなどが至るところに採用されていた。モデルルームのリビングに小上がり障子が用いられているのにびっくりした。マンションのリビングに障子を用いた物件など見たことがない。しかし、これは京都だけでなく、外からの視線が気になるあらゆる地域のマンションにも戸建てにも採用できると思った。

 そして今回。確か3号棟の「土間のある家」だったと思うが、2階リビング窓などの開口部機は全て障子が採用されていた。和風住宅に障子はつきものだが、ここまで徹底しているのに驚いた。床や壁、建具・家具など本物にこだわっているのは「京都御所南」と同じだった。

 価格について。記者は現地に着いてすぐ値段は8,000万円くらいだろうと予想した。内装仕上げを見てむしろ割安だと思った。同社の分譲戸建てがよく売れる理由がよくわかる。これまでたくさん現場を取材してきたおかげだし、劣悪な物件をたくさん見学している検討者もまた学習しているのだと思う。

IMG_8445.jpg
欄間(一部)

IMG_8455.jpg
古代の梁を再利用した一例

IMG_8459.jpg
3号棟(3階から)

IMG_8463.jpg
メープル材の挽き板フローリング

IMG_8468.jpg
旧日光街道に面した3・4号棟

IMG_8470.jpg
3・4号棟外観

        ◆     ◇

 取材とは関係ないが、越谷駅西口の「カフェOB」が最高に素晴らしい。コーヒーは1280円と安く、タバコも吸える(越谷駅周辺にはタバコが吸える飲食店はほとんどない)。そして何より素晴らしいのは、内装は全て本物の木が採用されていることだ。了解を得たので写真を紹介する。本物だからこそ経年の変化が楽しめる。記者はこれが美しいと思う。

IMG_8482.jpg
カフェ OB

IMG_8472.jpg
カフェ OBの床

IMG_8480.jpg
カフェOBの内観

京都好きには堪らない 自然素材ふんだんに コスモスイニシア50周年「京都御所南」(2025/9/13

ポラス 越谷市の中心市街地活性化に一役 築120年の古民家でイベント(2017/2/16

ポラス「ことのは 越ケ谷」戸建て4棟も完成、分譲へ(2017/4/1

ポラス 蔵のある街づくりプロジェクト「ことのは 越ヶ谷」蔵の補修が完了(2015/8/6

ポラス 越ケ谷小3年生107人を対象に「蔵の曳家」体験イベント(2014/10/2

RC造に匹敵する江戸の蔵残す ポラス「蔵のある街」プロジェクト(2014/3/15)

 

カテゴリ: 2025年度

モクコン3.png
「ノキテラス」(山口県長門市)

 大成建設ハウジングは9月18日、建築家の隈研吾氏とのコラボレーションによるデザインシリーズ「モクコンの家」、1棟目となるデザインモデル「ノキテラス」の竣工式を2025年9月16日(火)に行ったと発表。竣工式には、発注者のヤマネ鉄工建設・山根正寛代表取締役をはじめ関係者が参列し、「モクコンの家」が地域のシンボルとなり地域社会に良い影響を与えることを祈念した。

 また、同日、新商品「モクコンの家CUSTOM」を発表した。従来の「モクコンの家」のコンセプトはそのままに、生活スタイルにあわせた間取り変更が可能。デザインの美しさはそのままに、暮らしに寄り添った間取りを提供する。

 新商品「モクコンの家CUSTOM」のプロトタイプは、「ノキノテラス」が1階は81.10㎡(51坪)、2階が89.28㎡(27坪)で、合計170.38㎡(約52坪)。参考価格は11,200万円(税抜き)。「ハコノテラス」は1階が77.13㎡(23坪)、2階が65.77㎡(19坪)、3階が65.21㎡(19坪)で、合計214.67㎡(約65坪)。参考価格は13,900万円(税抜き)。

もくこん1.png
「ノキノテラス」

モクコン2.png
「ハコノテラス」

カテゴリ: 2025年度

Screenshot 2025-09-17 at 18-38-12 メール - 第三企画㈱ 牧田司 - Outlook.png
「ブリスト大宮公園 共庭の景(ともにわのけい)」

 ポラスグループの中央グリーン開発は9月17日、風致地区に位置する分譲戸建て「ブリスト大宮公園 共庭の景(ともにわのけい)」(全2棟)を開発したと発表した。双方の敷地に地役権を設定し、アプローチ空間を共用することで、小規模分譲住宅の敷地延長の課題を解消するのが狙い。

 これまでの敷地延長を含む戸建て開発は、敷地延長部分は通路以外の用途に利用することが難しく、アプローチと車・庭の動線が重なり、プライバシーや安全の配慮に欠けることなどから、価格に差を設けるなどして対応せざるを得ない課題がある。

 この課題を解消するため、今回は2号棟の敷地延長部分と1号棟の風致地区の壁面後退部分に地役権設定し、アプローチ空間を共有することで、日常的に顔を合わせやすい街区計画とした。駐車スペースとアプローチを分けて歩車分離を実現し、安全性を確保している。

 また、地役権設定範囲を中心に、テラスやデッキ、家庭菜園スペースなどを設置し、プライベートな場所とつながりを育むことを自由に調整できる3つの庭を計画している。

 1号棟は主寝室や水回りを1階にまとめ、1階で生活が完結できる住まいとし、2号棟は水回りを2階に集中させるとともに、”半外・半内”の空間を演出しているのが特徴。

 物件は、東武アーバンパークライン大宮公園駅から徒歩10分、さいたま市大宮区寿能町2丁目に位置する全2棟。土地面積は196.32~199.93㎡、建物面積は107.44~118.00㎡、価格は8,180万円、8,480万円。

Screenshot 2025-09-17 at 18-05-49 メール - 第三企画㈱ 牧田司 - Outlook.png

Screenshot 2025-09-17 at 18-06-29 メール - 第三企画㈱ 牧田司 - Outlook.png

 

 

 

カテゴリ: 2025年度

 日本木造住宅産業協会(木住協)は8月28日、会員会社を対象にした「2024年度(令和6年度)木住協自主統計および着工統計の分析報告書」を公表した。調査対象は会員480社で、回収数は393社、回収率は81.9%だった。

 木住協会員会社の住宅着工戸数は79.472戸(前年比92.7%)で、木造戸建て住宅着工戸数に占める割合は18.5%(前年から▲2.0ポイント)となった。戸建て住宅は72,325戸(前年比91.0%)で、うち平屋住宅は12,853戸(構成比17.8%)、3階建て以上は6,921戸(同9.6%)、共同住宅は7,147戸(前年比114.2%)だった。

 長期優良住宅(戸建て)は35,491戸(前年比109.3%)で、住宅着工統計の長期優良住宅に占める割合は25.5%(前年から▲3.3ポイント)で、木住協戸建て住宅に占める割合は49.1%(前年から+8.2ポイント)だった。

 ZEH適合住宅(ニアリーZEHを含む)の着工戸数(戸建て)は23,179戸 (前年比110.7%)で、木住協戸建て住宅に占める割合は32.0%(前年から+5.6ポイント)。太陽光発電搭載住宅(戸建て)は26,286戸(前年度比97.0%)で、木住協戸建て住宅に占める割合は36.3%(前年から+2.2ポイント)となった。

◇        ◆     ◇

 木住協の自主統計に関する記者発表会が行われるたびに、木造ファンの記者が思うのは、調査対象会員が480社もあるのに、全国の木造戸建て住宅に占める木住協の割合は20%前後で推移したままで伸びないことだ。

 木住協は、木造軸組工法の普及と木造住宅産業の健全な発展に寄与することを目的に設立された業界団体だから、同じ木造でもツーバイフォー住宅の三井ホームや三菱地所ホームなどが会員でないのは分かるのだが、全国分譲戸建てシェア27.8%(2025年3月期)を誇る飯田グループホールディングスが加入していないのは分かるようで分からない。仮に、2025年3月期の飯田グループの戸建て販売棟数38,627戸と注文住宅引き渡し棟数2,341戸を木住協の数値に加えると、シェアは一挙に29.0%にアップする。

 ただ、飯田グループの数値を上乗せしたら、全ての数値が向上するかどうかは別問題だ。例えば「設計評価住宅戸数」と「建設評価住宅戸数」の数値だ。飯田グループは「住宅性能表示制度で最高等級の住宅」を前面に打ち出しているが、それは「設計」なのか「建設」なのかを明らかにしていない。仮に「設計」だとすると、全国の設計評価住宅に占める木住協シェア18.4%は49.4%へアップするが、「建設」ではないとすれば、木住協のシェアは23.5%のままだ。また、〝全棟ZEH水準〟を標榜する飯田グループが木住協に加わってもZEH適合住宅の着工戸数に占める木住協シェア32.0%には変化はない。

 住宅性能評価制度は任意だし、「ZEH」と「ZEH水準」は似て非なるもので、これらは住宅の質とは一部トレード・オフの関係にあるので何とも言えないが(記者は功罪があると思っている)、飯田グループも木住協に加入して、協会挙げて住宅の質向上に取り組んでほしい。木住協は門戸を開いているはずだが、会員であることが消費者から信頼を得られ、企業価値を向上させることにつながることをアピールすべきだ。

◇        ◆     ◇

 暇にあかせて自主統計データを読んだ。なかなか興味深い数値が見つかった。以下に紹介する。

【令和6年度木造戸建てにおける木住協シェアベスト3・ワースト3(全国平均18.5%)】

<ベスト3>    <ワースト3>

①愛知県26.1%  ①青森県5.1%

①徳島県26.1%  ②秋田県5.9%

③埼玉県25.6%  ③岩手県7.4%

【長期優良住宅における木住協シェアベスト3・ワースト3(全国平均25.5%)】

<ベスト3>    <ワースト3>

①富山県44.3%  ①沖縄県12.6%

②石川県39.8%  ②北海道15.3%

③宮崎県37.1%  ③青森県16.2%

【木住協戸建て住宅における長期優良住宅の割合ベスト3・ワースト3(全国平均49.1%)】

<ベスト3>    <ワースト3>

①奈良県80.7%  ①東京都31.1%

②岩手県78.4%  ②千葉県33.5%

③香川県77.1%  ③埼玉県36.2%

【令和6年度ツーバイフォー着工戸数ベスト3】

①愛知県  9,436戸

②東京都  7,307戸

③神奈川県6,992戸

【令和6年度ツーバイフォー着工戸数伸び率ベスト3(令和元年100、全国平均111】

①鳥取県 217

②香川県 204

③群馬県 175

消費者に分かりづらい長期優良住宅見直しへ住宅性能表示と一体化すべき(2021/7/5)

カテゴリ: 2025年度

大東建託は826日、都心部の狭小敷地の有効活用と単身世帯のニーズに応えるコンパクトワンルーム商品「Raffan(ラファン)」を91日から東京23区エリアを対象に10棟限定で販売開始すると発表。Raffanの販売状況や入居者の反応を踏まえ、さらなる商品展開の可能性を検討する。

1階は14.58㎡で、洗面一体型のサニタリーキッチンとシャワーユニットを採用、2階は20.15㎡に3.9帖のロフト付き。

新商品は、木造2×4工法2階建て。1階は14.58㎡、2階は20.15+ロフト。販売開始は202591日。販売エリアは東京23(山手線内および都区内の主要駅徒歩5分圏内。販売棟数は10棟。

 

カテゴリ: 2025年度

フットパス (1).jpg
「KITAMOTO SIGNATURE EDIBLE LANDSCAPE」完成予想図

 ポラスグループ中央住宅は8月8日、早稲田大学と地域自治会との産学民連携による「エディブルランドスケープ(食べられる景観)」をコンセプトにした埼玉県北本市の分譲戸建て「KITAMOTO SIGNATURE EDIBLE LANDSCAPE」(全22戸)のメディア向け見学会を行った。当日は、プロジェクトに参加している早大リサーチ・イノベーション・センターの岡村竹史上級研究員、同社戸建分譲設計本部設計一部営業企画設計課課長・山下隆史氏、北本市本町3丁目自治会会長・花形俊夫氏、合同会社暮らしの編集室・江澤雄介氏、伊藤ファーム・伊藤和雅子氏、同社戸建分譲さいたま事業部部長・髙橋明氏がそれぞれの思いを語った。

 物件は、JR高崎線北本駅から徒歩13分、北本市本町3丁目の第一種低層住居専用地域・第一種住居地域(建ぺい率50%・80%、容積率60%・200%)に位置する全22戸。第1期1次10戸(うち3戸は契約済み)の土地面積は125.52~136.93㎡、建物面積は97.50~104.34㎡、価格は4,590万~5,190万円。完成予定は2025年9月22日。構造は木造2階建(在来工法)。施工はポラテック。

 早大との連携は、小規模分譲地をエリアのあちこちに「編み込み、つなぐ」ことで、分譲地自体だけでなく、エリア全体の価値向上を目指す「Interknitted Town」構想に基づくプロジェクト。分譲地の住民と地域の人々が一体となったコミュニティ醸成により、人々のパブリックライフを豊かにしていく試み。

 外構には実のなる樹木を植たり、全住戸に家庭菜園となるポタジェ(1.8m×0.6m)を設けることなどで果樹を育て、収穫して食べるエディブルな暮らしを提案する。

 また、分譲地内中央に長さ約50mの「PATH」(フットパス)をつくり、40坪の提供公園「PLAZA」とつなぎ、公園には食べられる樹木、約10種のバーブ類や食べられる花を植える。

 さらに、分譲地に隣接する約30坪の空き地になっている市有地を「AMU(編む)」として、新旧の居住者が交流できる場として整備する。

 見学会の冒頭、岡村氏は「2020年度からプロジェクトをスタートさせた。研究を進める中で、郊外街づくりビジョンとして『Interknitted Town』構想を取りまとめた。相互に(Inter)編む(knitted)という意味で、これまでは大規模開発で街づくりを行ってきたが、これからは既成の市街地の中に小さな分譲地を埋め込んでいくことが大事で、単に埋め込むだけでなく地域の資源、不足する機能を足し、ステークホルダーを巻き込んで編み込み、地域全体の価値向上、住環境を向上させていくことが重要と考えている。

 ライバルとしてトヨタの『WOVEN CITY(ウーブン・シティ)』構想があるが、『WOVEN』は豊田織機、つまり織物。我々の構想は、手作りならではの温かさ、柔軟性があって身体にフィットしやすい、解きほぐして修正ができる、再利用できるアナロジーを込めた。理論だけでなく、社会実証化したいと考えていたとき、ポラスさんから提案があって協議をして今日に至った。公園を地域に開く、近隣にある空地も巻き込み、ステークホルダーと一緒にやっていこうという『Interknitted』を体現できるいい事例だと思う。空間的にも社会的にも関係性をデザインしていくことが重要で、理論と実践のキャッチボールをしながら構想をアップデートしていく」と述べた。

 続いて登壇した山下氏は「これまでのやり方を超越した分譲地をつくりたいという思いで、スタートさせた。当社初の取り組みだが、全国でも初めてかもしれない。トピックは3つあり、1つ目はEdible(食べられる)を植栽すること、2つ目は公園と道路をつなぐフット・パスをつくったこと、3つめは分譲地に隣接する空き地を取り込んだこと。暮らしの編集室さんと伊藤ファームさんと一緒に今後2年間、様々なイベントを行いコミュニティの醸成をサポートしていく」と話した。

 花形氏は「私は半世紀前、20坪の分譲地を購入した。今回新たな分譲地ができることに感慨深いものがある。自治会の加入率は57%だが、新しい住民の方々と一緒になって盛り上げていきたい。かつては我々が花植えをしていた、今は空き地になっている市有地も再利用して街づくりに力を入れていく」と語った。

 地元居住者で様々な地域貢献・街づくり活動を行っている江澤氏は「様々な活動をしてきて、地域に対する愛着とか感覚は全く違っていることを常々感じている。今回のAMUの新しい取り組みによって共通言語が生まれることを期待している」と語った。

 長野県出身で結婚してから地元に住み、4~5町歩(約4~5ha)の農地で年間150種の野菜を生産している伊藤氏は「暮らしの編集室さんとイベントを一緒に行っていますが、農業体験やイベントを通じ、もともと暮らしている方と新しい住民の方がつながることにお手伝いできることがすごくうれしい」と語り、獲れたての野菜を披露・プレゼントした。

 高橋氏は、北極星の意味を持つ「POLUS」をグループの社名にし、地域密着の事業を堅持している同社にとって「北本は『最北端』ではあるが、豊かな自然を生かした街づくりに皆さんの共感を得られたことに心が熱くなった」と締めくくった。

フットパス (2).jpg
フットパス

IMG_7851.jpg
フットパス

IMG_7841.jpg
提供公園「PLAZA」

IMG_7842.jpg
ハーブ類がたくさん植えられている提供公園「PLAZA」

IMG_7845.jpg
市有地の空き地(手前はトライアとして栽培されているサツマイモ)

IMG_7849.jpg
ポタジェ

IMG_7839.jpg
左から高橋氏、岡村氏、花形氏、江澤氏、伊藤氏、山下氏

◇                 ◆     ◇

 北本駅から現地まで徒歩13分。記者は人の倍かかるので、タクシーで駆けつけることにした。駅に着いたのは13:20分。見学会開始の13:30分は楽勝だと思ったのがいけなかった。待ち時間を計算しなかったのがいけなかった。20分以上待たされた。会場に着いたときは、関係者のスピーチは半分以上済んでいた。上段の記事は各氏のスピーチは同社から送ってもらったテープを起こしたものだ。

 以下の文章は、配布資料を全く読み込んでおらず、各氏のスピーチも聞いていない段階で、いきなり提供公園(PLAZA)に案内されたときの率直な感想を交えたものだ。驚きが伝えられているのではないか。

 酷暑・猛暑の中、どうしてどこにでもある、しかもそんなに広くもない提供公園を見なければならないのかと思ったが、関係者の話を聞くうちに、これは凄い取り組みになると確信した。

 提供公園-ほとんどすべての開発行為には提供公園を設置することが義務付けられている。開発行為の数だけ提供公園があるはずだ。

 提供公園は「都市公園」の扱いを受ける。公園を占用する場合や公園内での物販、イベントを行なう場合は許可が必要だ。さらにまた、「何人も、みだりに…①都市公園を損傷し、又は汚損すること②竹木を伐採し、又は植物を採取すること③土石、竹木等の物件を堆積すること」は禁止されている(都市公園法11条)。可能なのは落ち葉や銀杏などを拾うことくらいしかない(いま話題になっている神宮外苑は都市公園ではなく「都市計画公園」であることに要注意。そして、事業者が整備するのは公園ではなく「広場」)。

 ところが、今回の「PLAZA」は果実が食べられる樹木のほか10種くらいのハーブ・花を植え、地域の人も含めて収穫し、イベントなどを行っていくという。法令に照らし合わせればありえないことだ。「AMU」は公園ではないから、少し違うかもしれない。地域住民の自主的な自治活動を支援するために市有地を地域に開放し、野菜の栽培などを許可する大義名分はありそうな気がする。

 いずれにしろ、全国の自治体は事業者から提供される、ほとんど利用者がいない「提供公園」の維持・管理に頭を悩ましている。今回の取り組みはその難問解決に一筋の光を灯すことになるかもしれない。

IMG_7854.jpg
モデルハウス

◇      ◆     ◇

 岡村氏は「メディアの皆さんに対する留意事項なのですが、大学のスタンス・リーガルチェックとして、消費者の購買意欲を刺激するようなものに大学の名前を使ってはいけないと言われている。私どもが商品にお墨付きを与えるようなイメージでPRはしないで頂きたい」とも語った-このことについては深入りしないが、企業の思惑はともかく、大学の先生方もメディアも単なるプロパガンダ、〝広告塔〟になってはいけないという警句だ。

IMG_7832.jpg IMG_7852.jpg
伊藤氏が披露した獲れたて野菜(オクラ、ニンニク、キュウリ、白ナス、ナス、トマト、タマネギ、宿儺カボチャ、オカワカメ、コマツナ、ピーマン、トウガラシ、カボス、ゴーヤ、エダマメ…)

IMG_7858.jpg
伊藤氏から頂いた冷凍焼き芋と日光トウガラシ(トウガラシは昔懐かしい本物のトウガラシ。普通のスーパーにはまず並ぶことはない。少し口に含んだだけで数分間は後を引く。カレー、ぺぺロンチーノなどに欠かせない)

「街のシンボルになる」来場者公園との垣根なくしたフージャース「つくば」に感動(2021/4/28)

長野市の公園問題制度疲労の法、希薄な人間関係、報道姿勢…社会課題を露呈(2022/12/13)

相模原市初の「児童公園(街区公園)以外の提供公園第1号」トーセイ「相模原」(2020/8/7)


 

 

カテゴリ: 2025年度

Screenshot 2025-08-05 at 10-43-14 全館空調『エアロテック』の「論より証拠のエアロテック」 WEBコンテンツ公開 - pdf_114707.pdf.png
「論より証拠のエアロテック」

 住友不動産を中心とする既存住宅の「断熱・省エネリフォーム推進タスクフォース」発足式が7月30日に行われたその日に旭化成ホームズが、その翌日に三菱地所ホームがそれぞれ「全館空調」に関するプレス・リリースを発表した。住友不動産のイベントを意識したわけではないだろうが、それぞれ紹介する。

◇        ◆     ◇

 7月30日付の旭化成ホームズのリリースは、「全館空調採用者と非採用者の住環境意識・満足度調査」結果を報告したもの。対象となったのは、首都圏在住の30-79歳、10年以内に戸建を新築した人297人(全館空調採用者97人、全館空調非採用者200人)。

 調査結果によると、全館空調を採用した理由の第1位は「家中が1年中快適な温度に保たれるから」が51.5%、「清潔な空気環境を確保できるから」が38.1%、「各部屋の温度差が少ないから」が35.1%だった。

 一方で、全館空調を採用しなかった理由の第1位は「設置費用が高いから」が49.0%、「光熱費が高いから」が37.0%、「メンテナンスが大変だから」が31.5%だった。

 採用者の住まいの満足度は約95%、温熱環境への満足度は約80%と非常に高い数値を示し、温熱環境満足度の差が大きいのは「玄関」「洗面所・脱衣室」「廊下」で、非採用者と30ポイント以上の顕著な差が出た。

 現在の住まいの全体的な満足度では、「非常に満足している」と回答した採用者は40.2%、非採用者は16.5%だった。「やや満足している」と回答した採用者は39.2%、非採用者は52.5%だった。「どちらともいえない」「あまり満足していない」「まったく満足していない」と回答した採用者は20.7%、非採用者は31.0%だった。

 また、採用者に対する「光熱費が抑えられる」「乾燥しにくい」といった質問に対して、「あてはまらない」「まったくあてはまらない」は18.6%、「乾燥しない」は16.4%となり、全館空調の課題として認識されているとしている。

◇        ◆     ◇

 7月31日付の三菱地所ホームのリリースは、同社の全館空調システム「エアロテック」を利用している顧客の声の紹介と、それを裏付ける実測データを紹介するWEBコンテンツ「論より証拠のエアロテック」に関するもの。

 「論より証拠のエアロテック」のWEBページでは、約10項目(室内温度、粉塵、冷房除湿、冷暖房費、臭気、換気、気流、睡眠、故障のしにくさ、その他)の価値について利用者の声を紹介し、それを裏づける最新の実測データ(エビデンス)を年4回にわたり公開していくとしている。

 また、利用者の自宅に設置したセンサーにより、室内の温湿度をリアルタイムで可視化するコンテンツを9月に公開する。

 同社は、1995年に「エアロテック」を開発し、現在は同社の新築注文住宅のエアロテック採用率は97.3%に達しているとしている。

◇        ◆     ◇

 この2社のリリースが明らかにしているのは、全館空調に対する満足度が極めて高いことと同時に、採用者と非採用者の割合はほぼ1:2に留まっていることだ。

 「断熱・省エネリフォーム推進タスクフォース」の発足式でも、断熱・省エネ窓は「消費者への情報発信や普及が不足しており、認知度が高くない実情」が指摘された。全館空地用もその良さは理解されているのに、採用者は3人に1人の割合だ。

 断熱窓も全館空調も、全体の建築コストに占める割合は最大で10%に満たないはずだが、この壁を乗り越えるためには、その快適性をわかりやすく説明するほかない。

 それともう一つ考えないといけないのは、自らの思い通りに建てられるはずの戸建てオーナーは、現在の住まいに対して「どちらともいえない」「あまり満足していない」「まったく満足していない」と回答した非採用者は31.0%、採用者も20.7%いるということだ。

 人間の欲望は尽きないし、より優れた家を建てようと考えるから戸建て市場も成り立つのだろうが、非採用者の実に3割以上が築10年もたたないのに満足できないのは悲しむべきだ。

◇        ◆     ◇

 住まいの快適性は、基本的には広さ-記者は4人家族で30坪(100㎡)が標準だと思う-のほか耐震性・耐火性・断熱性・省エネ性などの基本性能に通風・採光、遮音、ユニバーサルデザイン、天井高、家事動線、空気環境、緑環境…たくさんあり、何を重視するかで人それぞれだろうが、これらを総合的に評価し、費用対効果も含めて可視化(金額換算)できないかをずっと考えている。

 そこで、このことをChatに質問した。Chatは、快適性の各要素(断熱性、通風性、家事動線など)を項目ごとにスコア化し、QOL(身体的、精神的、社会的、文化的に満足できる豊かな生活)とLCC(建物の企画・設計から建設、運用、維持管理、解体・廃棄までの全体にかかる費用)を掛け合わせれば、「快適性評価」の設計が可能であり、将来的には住宅評価ソフト(例:ホームズ君、i-Tree、BIMベースのLCCツール等)を使うのも手だと瞬時に答えた。「i-Tree」を盛り込んでいるのがいい。国も今すぐこの「i-Tree」評価制度を採用すべきだ。「緑環境」はZEHと同レベルの価値があると思う。

 どこがこの総合的「快適性評価」マトリクスを開発するか。

仕様レベルの引き算でZEH水準は可能手放しで喜べないデベロッパーの対応(2025/8/2)

業界の垣根超えた「断熱・省エネリフォーム推進TF」発足住友不など7社・団体(2025/8/1)

 

カテゴリ: 2025年度

IMG_7699.jpg
天井高2.7m、樹脂サッシ高2.4mのポラス「ひととき 流山市松ヶ丘・南柏」

 いつもマンションや戸建ての窓などの開口部の仕様はチェックするが、前日(7月30日)は、住友不動産を中心とする「断熱・省エネリフォーム推進タスクフォース」を取材していることもあり、この日(7月31日)のポラス「ひととき 流山市松ヶ丘・南柏」の開口部に注目した。ざっと数えたら数は20か所くらいあり、ワイド・ハイサッシもかなりあった。これでZEH水準にするのは容易なことではないはずだ。 

 これからの分譲戸建てやマンションはZEH水準が当たり前になるし、このことに疑義を呈するわけではないが、ZEH水準とは断熱等性能等級5と一次エネルギー消費量等級6を同時に満たした住宅のことで、この尺度だけでは住宅の質が高いか低いかは測れないことに注目すべきだと思う。

 むしろ、ZEH水準にして住宅ローン控除や各種の補助金交付の対象とするため、他の快適性にとって重要なことがないがしろにされていないかがとても気になっている。

 極論すれば、建物の出隅・入隅をなくして総2階にすればコスト・工期を圧縮でき、耐震性・断熱性・気密性も高めることが可能だ。また、天井高を下げれば、サッシ高も下げられるし、窓面積も建基法ぎりぎりまで小さくすることもできるし、吹抜け空間はなくし、床暖房もなしにすれば数値はさらに上げられる。心当たりがあるデベロッパーはいるはずだ。

 この考え方は、中央住宅不動産ソリューション事業部不動産開発部企画設計課課長・村田嵩胤氏村田氏とも一致した。村田氏は「様々な仕様を引き算すればZEH水準は可能。当社は居住性・快適性を犠牲にするようなことはしない。足し算で居住性を高めることが重要」と語った。

 そこで、同社を含めたすべてのデベロッパーに提案だ。窓など採光・開口部はその個所や面積、延床面積に対する窓面積の割合を公開してはどうか。差別化につながるはずだ。また、居住面積だけでなく、天井高を計算した体積も公開すれば〝売り〟になる(緑被率も公表すべきだと思う)。

IMG_7696.jpg
1階主寝室の天井高2.4mで、サッシ高もほぼ同じ「ひととき 流山市松ヶ丘・南柏」

ライフサイクルに対応した1.5階プランポラス「流山市松ヶ丘・南柏」好調(2025/8/2)

業界の垣根超えた「断熱・省エネリフォーム推進TF」発足住友不など7社・団体(2025/7/30)

 

カテゴリ: 2025年度

南柏A19-4期 街並み_1120.jpg
「ひととき 流山市松ヶ丘・南柏」完成予想図

 ポラスグループの中央住宅は7月31日、 流山市の分譲戸建て「ひととき 流山市松ヶ丘・南柏」(全67戸)のメディア向けモデルハウス見学会を行った。一部住戸を「1.5階プラン」として1階にキッズルームやベッドルーム、二階にセカンドリビングや大きめのバルコニーを設置することによって、それぞれの空間を家族のライフスタイル・サイクル・ステージに合わせて使用できるようにしているのが特徴。

 物件は、JR常磐線南柏駅から徒歩10~12分、流山市松ヶ丘1丁目の第一種低層住居専用地域(建ぺい率           60%、容積率150%)に位置する全67戸。土地面積は135.01~137.92㎡、建物面積は90.66~123.21㎡、価格は5,490万~6,790万円。建物は在来工法2階建て。

 第1期(14戸)は2023年7月7日から販売開始し、全戸引き渡し済み。2期(17戸)は2024年11月29日に販売開始し、これまで6戸を引渡済み。4期(18戸)は2025年3月28日から販売を開始し、これまで7戸が契約済み。3期(18戸)は2026年9月に販売予定。

 見学会で、同社不動産ソリューション事業部不動産開発部企画設計課課長・村田嵩胤氏は「戸建て住宅を検討されるDINKS、ファミリー層の方は〝今住む〟住宅を求めており、先々のことは考えていない方が多い。供給サイドも同様に、購入者のライフサイクルを考慮した分譲戸建てを供給しない。『1.5階プラン』は、将来、親の介護が必要になった場合のことなど、それぞれのステージに対応する、従来の建売住宅の概念を変えたもの。私は現在38歳。父親は体重100キロ超の62歳。その父親が脊椎手術によって一時期全く動けなくなり、介護を考えたのが、今回の企画につながったきっかけ」などと語った。

南柏A19-1から4期 全体街並み_0321.jpg

IMG_7694.jpg
村田氏

◇        ◆     ◇

 企画意図はすぐ理解した。将来のライフスタイルの変化に対応した分譲戸建てや、可変性に富んだ間取り提案を行っているマンションを取材はしているが、多くはない。その意味で、1.5階プランは現在の分譲戸建て市場に一石を投じるものだと思う(車椅子利用になった場合などに備え、トイレの位置やスペースを変えられるようにすべきだとは思うが)。

 販売が好調に推移している要因として、市の松ヶ丘地区地区計画により宅地開発では最低敷地面積を135㎡以上と定めていることもあるが、隣接する「豊四季みどりの広場」の存在も大きいと思う。

 「豊四季みどりの広場」は、都市計画によって「南柏特別緑地保全地区・松ケ谷特別緑地保全地区」に定められている約0.8haの樹林地で、歴史的財産である「野馬土手」がそのまま残っている。

 取材後にこの樹林地内を歩いた。気温は30℃をいくらか超えたほどだろう。蚊に襲われたのには閉口したが、動植物の宝庫だ。村田氏が「広場を嫌がる人は当社の戸建てを見向きもしない」と語ったように、この種の樹林帯を嫌がる市民は少なくないだろうが、この自然の借景は何物にも代えがたい。

 どのような樹木が植わっており、小動物が生息しているのかなどを調べようと、柏市と流山市のホームページを見たが、ヒットしなかった。将来にわたって守るべき貴重な資源について、きちんと調査すべきだ。

IMG_7698.jpg
現地(手前の影は「豊四季みどりの広場」によるもの)

IMG_7703.jpg
「豊四季みどりの広場」

IMG_7705.jpg
「豊四季みどりの広場」

 

 

カテゴリ: 2025年度
1 / 52
 

rbay_ayumi.gif

 

ログイン

アカウントでログイン

ユーザ名 *
パスワード *
自動ログイン