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左から吉田氏、丸山氏

 アーキテクツ・スタジオ・ジャパン(ASJ)が先月末に行ったメディア向けのセミナー「身近になった建築家との家づくり」に参加した。

 狭小・耐震・低予算など多様化する消費者のニーズに応えるため、建築家住宅をより身近なものにするASJの独自サービスが紹介され、建築家・吉田研介氏が自らの設計実例を交えながら「建築家との家づくり」について講演した。

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 同社は、これまで建築家に住宅設計を依頼するのは富裕層のみというイメージだったのを一般の人でも建築家に相談できるサービスを構築した。

 ①同社の審査をクリアした若手から著名な建築家まで全国の建築家約2,400名を登録②同社と運営契約を結んだ加盟店が設置した全国187カ所のスタジオを通じて年間570回(昨年)の「建築家展」などのイベントを実施してASJアカデミー会員を募集③会員は入会金3万円を払うことで建築家を選定・変更でき、納得できるまで何度でも無料でプランニングやコストについて打ち合わせできる-というのが特徴で、独自に開発したITソフト「COSNAVI」が売りだ。

 「COSNAVI」は、これまで7日~10日間くらいかかった積算を3時間くらいで完成させることができ、図面に沿って寸法などの基本情報を入力するだけで自動計算され、見積書、仕上げの変更も自由自在にできるという。

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 同社は今年2月、5年以内に家づくり・住宅購入を検討する全国の男女516人を対象に「建築家との家づくり」についてアンケート調査を実施。これによると、予算ボリュームゾーンは4,000万円未満で、理想の住宅トップは「建築家が建てた家」の39.7%だった。

 一方で、「建築家との家づくりに不安がある」人も48.1%に達し、「不安がある」と答えた人の不安要素は「費用がかかる」というのが69.8%で、「どんな建築家に依頼すればいいかわからない」が49.2%と高い数値を示した。

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 同社のビジネスは、「建築家の住宅」が理想ではあるが、「設計料が高そうで不安」という難問を「ニュートラル」な立場で解決しようというものだ。セミナーに出席した同社・丸山雄平社長は、イベントを今年は600回くらいに増やし、加盟店を近い将来300店に増やすと話した。会員数は現在3万人。

 同社のホームページには2,400人を超える建築家が紹介されており、受賞歴などのプロフィールや作品、コメントなどが検索できるようになっている。

 そこで考えた。作家や画家、アーティストなどは一つの作品を見れば作風が分かるし、好きか嫌いの判断も容易だが、建築家は難しい。建築家も施主(ユーザー)に媚びるようなことはしないだろうが、施主の要望に応えるのが建築家だ。大勢の建築家の中から自分に合う建築家を選び出すのは大変な作業になるのではないかと。その場がイベントなのだろう。機会があったら取材したい。

 

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 積水ハウスは2月27日、建築研究開発コンソーシアム(CBRD)主催の「第11回 建築・住宅技術アイデアコンペ」で同社が提案した「子どもの安全配慮に関する研究」が最優秀賞に選ばれたと発表した。

 研究をまとめたのは同社技術部の藤井瑛美氏で、ユニバーサルデザインの視点から、住宅内の子どもの事故防止のためのプラン提案、部材・設備などの提案を行ったのが評価された。

 受賞について同社は、「女性ならではの視点も評価されたのでは。2月より『ダイバーシティ推進室』を設け、女性を中心に多様な社員の活躍を目指す中での受賞」とコメントしている。このテーマについて約1年間、社会に還元できる具体的成果を目指して合同研究を行うという。

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 同社のユニバーサルデザインの取り組みは業界では抜きんでており全産業を通じてもトップクラスだろうと思う。しかし、藤井氏も指摘しているように、小さなこどもの事故防止については盲点となっているのも確かだろう。記者も風呂場での溺死が相当あるのに驚いた。研究成果の発表を待ちたい。

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 同社は2月に「ダイバーシティ推進室」を設置したようだが、記者もこれから「ジェンダー」について勉強しようと思う。

 2月15日に行われる予定だった日本学術会議のセミナー「法の世界とジェンダー 司法と立法を変えることはできるのか? 」を楽しみにしていたのだが、大雪で急きょ中止になり参加できなかった。32ページにもわたる資料だけは頂いた。

 そこには、報告を行うことになっていたお茶の水大学名誉教授・戒能民江氏の「立法は政治的意思の欠落を隠蔽する。政治的意思の欠落と結合した弱い法律は、法の効果そのものを蝕む」(国連女性に対する暴力特別報告書クマラスワミ)「新しい理論形態は『顔面を殴るこぶしという現実に関与する』」(マッキノン2005)などの鋭い文言・語句が満たされていた。

 記者が一番注目したのは、ある大学の履修科目「ジェンダーと法」の最終回授業(15回目)では「男らしさと女らしさ」を論じるとあったことだ。男を自覚するようになって60年、記者はこのテーマの解答が分からない。

 それを知りたくて、上野千鶴子氏と角田由紀子氏のそれぞれの近著を買った。同世代の作家、小池真理子氏は「私には両性具有の眼がある」と語ったが、やはり小池氏は素敵な女性だと思う。ミミズやカタツムリを研究するほうが手っ取り早いか。

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「帰宅困難者」受付風景

 三井不動産は2月27日、今後予想される首都圏直下型東京湾北部地震(M7.3)を想定した帰宅困難者受け入れ訓練をテナントなどとともに日本橋「江戸桜通り地下歩道」で行った。

 訓練は昨年4月に施行された帰宅困難者対策条例に基づき中央区の要請により、江戸桜通りの地下歩道での帰宅困難者の受け入れを決定し、ゾーニングから受け入れ態勢の整備、非常用備品の配布など一連の流れを実施した。

 中央区のモデル事業としても実施されたもので、参加者は三井不動産の社員、テナント企業、中央区など。スタッフ20名を含む180名が参加した。

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訓練開始時の三井不動産スタッフによる説明

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 この種の訓練を見学するのは初めてだった。地下歩道は三井不動産など事業者が整備し、管理は区が行うもので、広さは約3,000㎡。帰宅困難者約1,800人を収容可能。非常食やトイレを整備、災害時には約450人が3日間利用可能な水槽を設置している。非常用の自家発電も完備しており、停電時でも3日間電源が確保されている。

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 帰宅困難者に扮した若い女性に声をかけたら、「自家発電? 知ってますよ。3日間大丈夫と聞いています」と答えが返ってきた。びっくりしたが、「三井さんの社員でしょ」と聞いたらその通りだった。

 帰宅困難者には1人分約1畳分のシート、四角い座布団のような断熱クッション、金銀のアルミシートが配布された。アルミシートはサイズ約210×130で、金色は吸熱、銀色は断熱効果がある。「MADE IN CHINA」だった。

 避難場所は禁煙だが、酒については、お巡りさんが「本人の判断に任す」と話した。もちろん参加者は勤務中。酒など飲む人はいなかった。

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金銀のアルミシートで体をくるむ参加者「結構あったかいですよ」

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災害情報も刻々と伝えられた

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「江戸桜通り」の地下歩道

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三枝氏

 東急不動産社長に業界最長身183cmの三枝利行氏-東急不動産ホールディングスは2月26日、東急不動産社長に東急不動産ホールディングス取締役で東急不動産取締役常務執行役員・三枝利行氏が、東急コミュニティーの新社長には同社取締役で東急不動産取締役副社長・岡本潮氏が4月1日付でそれぞれ就任すると発表した。金指潔・東急不動産社長は会長に、中村元宣・東急コミュニティー社長は会長にそれぞれ就任する。

 三枝氏は1958年生まれの55歳。東京都出身。青山学院大卒。身長は183cmで、これまでの大手デベロッパーの社長としては断トツの長身社長になりそうだ。

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三枝氏(左)と岡本氏

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 社長交代のニュースは、同日、ザ・キャピトルホテル東急で行なわれた恒例の東急不動産ホールディングスグループ記者懇親会でもたらされた。記者は会場をセルリアンタワーだと間違えたために、金指潔・東急不動産ホールディングス社長の話を聞きそびれたが、金指社長は準備万端、ずっと以前からこの日を発表の日と決めていたのではないか。

 懇親会の締めで挨拶した東急リバブル・中島美博社長の言葉がそれを裏付けた。中島氏は「わが社の業績は他をしのぐ勢い」と話し、「ホールディングス体制に移行して5カ月、当社グループは化学反応を誘発している」と、経営陣の若返りを「化学反応」に例えた。足し算でも掛け算でもない、さらに高いステージへ止揚する意味と受け取った。

 大手デベロッパーの社長就任年齢としては、昨年52歳で就任した住友不動産・仁島浩順氏や、故・安芸哲郎氏が東急不動産の社長に就任したのは53歳だったようなので、両氏には及ばないが、三井不動産・岩沙弘道会長(72)が社長に就任したのは56歳だった。

 年齢もさることながら、三枝氏の身長は、同社はもちろん同業他社の歴代社長と比較しても断トツの高さだろう。長身の社長としては三菱地所の元社長・高木丈太郎氏や東京建物の現社長・佐久間一氏などを思い浮かべるが、せいぜい170cm台だろう。他の社長は縦糸より横糸のほうがはるかに目立つ短身メタボの方が多数派を占めている。

 三枝氏は圧倒的な背の高さと若さで「化学反応」を進め、業界に旋風を起こすか。金指社長は三枝氏のフットワークの良さにほれ込んだそうだ。

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左から金指氏、三枝氏、岡本氏、中村氏

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 アキュラホームは2月21日、埼玉県住まいづくり協議会が実施した「第1 回埼玉県環境住宅賞」アイディア部門に1 作品が入選、4 作品が佳作、住まい手部門では2 作品が佳作を受賞したと発表した。

 アイディア部門で入選したのは「『輪になって暮らすしあわせ』~Common のあるまちづくり~」。わが国の三軒両隣の住文化をヒントに、5~10戸程度のコモンを持つ住宅群をクラスター状に配置した街づくりを提案したもの。

 埼玉県環境住宅賞は、環境への負荷が少ない新築やリフォームの実践例、住まい方のアイディアなどを募集したもので、4部門72作品の応募の中から最優秀賞1作品、優秀賞3作品、入選10作品、佳作21作品が選ばれた。審査委員長は三井所清典・日本建築士会連合会会長。

 最優秀賞(住まい手部門)は竹田篤史氏による「緑がつなぐ家~街並み・コミュニティ・環境・世代~」(設計者:オーガニックスタジオ)。3世代同居の平屋建て住宅で、パッシブデザインを取り込み、柿、キーウイ、ビワ、ジューンベリーなどの果樹をふんだんに配したもの。講評では「緑を中心に、世代、人、街をつなぐように配慮した家づくりの考え方はとても素敵である」と評価された。

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 アイディア部門で入選した作品に取り入れられている「コモン」は、これまでも多くのデベロッパーやハウスメーカーが提案しているのでやや独創性に欠けるが、風・水・光・土・育・環の仕掛けはすぐにでも実践できる。

 受賞について、同社を代表して商品開発部課長・太田雅彦氏が「今後の住まいづくりが、家単体の環境に配慮する自己満足のハイスペック住宅を供給するという考え方でなく、太陽の熱や光・風などの自然の恵みを有効に利用しながらエコに心地よく暮らすとともに、近隣との絆づくりのサポートを住まいやまちが行うことで、『地域の満足』へとつながることを信じている」とコメントした通りだ。

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「CITY ECOX」モデル

 積水ハウスは1月13日、先に行われた「エネマネハウス2014」で提案した東京大学との共同事業「ゼロエネルギー化を目指した都市型低層集合住宅のプロトタイプの設計とその実証事業『CITY ECOX』」が最優秀賞を受賞したと発表した。2030年の居住者のライフスタイルに柔軟に対応できる集合住宅というコンセプトが明確な点などが評価された。

 「エネマネハウス2014」は、経済産業省資源エネルギー庁事業の一環として実施された事業で、主催はエネマネハウス2014実行委員会(委員長:村上周三建築環境・省エネルギー機構理事長)。

 大学が主体となり企業とチームを構成し、「エネルギー」「ライフ」「アジア」をコンセプトに、2030年の家に求められる先進的なZEH技術や、新たな住まい方を取り込んだモデルハウスを建築・展示し、エネルギー・居住環境の測定成果を競い合うコンペティション。事前審査を通過した5大学(慶應義塾大学、芝浦工業大学、千葉大学、東京大学、早稲田大学)が成果を競い合った。

 政府は日本のエネルギー事情を反映し、全消費電力の31%を占める家庭部門で、住宅のゼロエネルギー化を推進しており、2020年までに一次エネルギー消費賞が正味(ネット)で概ねゼロとなる「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)を標準的な新築住宅とすることなどを掲げている。

「エネマネハウス2014」最優秀賞は東大 ファン投票1位は芝浦工大(2014/2/1)

「エネマネハウス2014」 記者の評価ナンバーワンは東大 早大は? (2014/1/30)

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同社奈良工場

 大和ハウス工業は1月22日、省エネルギーセンター主催の平成25年度「省エネ大賞(省エネ事例部門)」で、同社の「次世代省エネ工場の商品化に向けて」の取り組みが評価され、「経済産業大臣賞(OGO企業等分野)」を受賞したと発表した。

 同社は、CGO(環境担当役員)のリーダーシップにより、生産部門と開発・設計部門が連携して省エネ活動を進めており、2012年度は工場全体で売上高あたりCO2排出量を2005年度比48%削減、とくに北九州の同社モデル工場では64%削減した。

 また、同社は自然の力を生かす「パッシブコントロール」や創エネ・省エネ・畜エネを行う「アクティブコントロール」、建設設備や生産設備のエネルギーを総合的に管理する「スマートマネジメント」を採用した次世代環境配慮型工場「D’SMART FACTORY」を商品化。奈良工場(2013年12月竣工)と竜ケ崎工場第2工区(2014年2月竣工予定)で同商品への建て替えを進めている。

 

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小林教授

旭化成ホームズ 第12回「くらしノベーションフォームラム」

 旭化成ホームズは1月21日、第12回「くらしノベーションフォームラム」を開き、千葉大学大学院教授・小林秀樹氏が「ナワバリ学で家族と住まいを読み解く」をテーマに講演を行った。

 小林氏は、「ナワバリ学は30年前、私が博士号を取ったテーマで、その後長らく空白期間があったが、もともと私の原点」と前置きし、「ナワバリ」とは「その場所を自分(たち)のものだと思い、そこをコントロール(支配)しようとする一定の空間」と定義づけた。そのナワバリを研究しようと思ったのは、外廊下が居住者の〝たまり場〟になっている団地は防犯性が高いことがきっかけだったという。

 そこからさらに「居心地の良い住まいとは何か」に発展させ、昔の封建家族(順位制)=個室のない住宅から居室と個室に分かれた平等家族(ナワバリ制)に移行した結果、家族は平等なナワバリを持つか、夫婦寝室はどうか、子どもは家にナワバリを持つか、親子のナワバリ争いはどう鎮めるかなどを研究。部屋の家具配置やしつらえを誰が決めるか、誰が管理するかがカギであることを突きとめた。

 マンションに多くみられるnLDK(n=居室の数)は母主導型であるとし、こどもが居間で意見を言う度合や子ども部屋を親が決定するのか子どもが決定するのかによって、「自立」「分離」「密着」「従属」の4つのカテゴリーに分類。調査研究の結果、都市住宅は「母主導型」であるとしている。また、人間集団を相互依存的(集団主義)か独立的(個人主義)か、権威を重視する垂直的関係か、契約を重視する水平的関係かを見た場合、わが国の家族は封建家族から順位制を残した温情家族へ、さらに子どもの成長とともに母子による友愛家族へと変化していると結論づけた。

 小林教授は、個室化の進展にもかかわらず家族温情主義が残るのは、玄関で靴を脱いで床上にあがる生活様式「床上文化」が影響していると指摘。日本の住まいの特徴は、①順位制の性格が根強く残る②夫婦平等のナワバリは少なく、夫婦別寝室も多い③親子の触れ合いを重視する「居間中心型」が急増④「床上文化」が家族温情主義を生み出す-とし、「理想の間取りは普通の間取り」とした。「居間と和室がつながる」形態は住みこなしやすい優れた間取りとも語った。

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 記者は社会・経済・家族の環境が人格形成にどのような影響を及ぼすかずっと考えてきた。家族の関係でいえば、昔の囲炉裏は今のLDKよりはるかに優れていると思っている。囲炉裏には家族だけでなく近所の人たちが集まり、農作業の出来不出来や政治の話、色恋沙汰までもあからさまに話し合っていた。子どもは父親が囲炉裏の灰に書く文字で漢字の書き順や足し算引き算も覚えた。読み書きそろばん(そろばんは経済の意味も含む)は囲炉裏で覚えた。

 今のマンションはどうか。田の字型の間取りは相変わらずだし、夫婦二人の主寝室と子ども部屋の大きさがほとんど変わらないマンションも多い。個室は孤独・孤立の「孤室」ではないかとも思う。「子育て」がテーマになればみんな右に倣えだ。似たような間取りのオンパレードとなる。

 そんな現状に飽き飽きしている記者は、小林教授が「理想の間取りは普通の間取り」と話したときは、肩透かしを食らったような気分になった。小林教授は自著「居場所としての住まい ナワバリ学が解き明かす家族と住まいの深層」(2013年、新曜社)で次のように述べている。

 「日本の家族の実態は、言論が示す以上に保守的であり、かつ健全だ。重要なことは、その先鋭的な例が、これからの趨勢になるものの先取りか、それとも、単なる特殊例にすぎないのか見きわめだ」(87ページ)「現実は、言論をあざ笑うようにnLDKの定着へと進んでいる。このような現実を踏まえると、私たちは言論に過剰に反応することなく、個室やLDKを当たり前のこととして受け入れるべきではないだろうか。むしろ、注目すべきはそれとは別の問題だ。具体的には、中廊下形式の見直しと、外部社会に対する住まいの閉鎖性の見直しだ」(88ページ)

 間取りも含め住居が人格形成にどのような影響を与えるかについては、建築学はもちろん社会学、教育学、心理学などの様々な分野からの分析・研究もなされている。この先どうなるか見極めたい。

 ひとつ、これからの住宅の商品化に参考になりそうな小林教授の考えを紹介する。小林教授は「これからの住まいの条件」のひとつとして「地域の人が気軽に訪問しやすいように玄関は引き戸にするとともに、LDKの窓を近くに配置する。引き戸であれば、全開や半開きにしておき、『暇だから、どうぞ入って』というサインとしても利用できる。逆に、プライバシーを大切にしたいときは、引き戸を閉じるとともに、窓のカーテンを閉めればよい」(101ページ)としていることだ。

 本日行われた積水ハウスの新商品発表会でもこの「玄関引き戸」が提案されていた。記者は分譲マンションにも採用できるのではないかと質問したが、同社は「分譲にも十分対応できる」と話した。

〝複合〟でつなぐ地域の暮らしと福祉「もう一つの住まい方推進協議会(AHLA)」フォーラム(2010/11/29)

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 大成有楽不動産はマンションブランド「OBER(オーベル)」の価値向上を目指し、今年1月から新たなコンセプトに基づく商品やサービスを提供するリブランディングをスタートさせたが、そのプロジェクトチームの責任者、同社マンション開発本部企画部管理室室長・土肥(どひ)健作氏に話を聞いた。

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 同社は平成24年4月、大成建設グループの大成サービスと有楽土地が合併して誕生したが、旧有楽土地の設立は昭和28年。これまでのマンション分譲戸数は39,000戸を超え、管理戸数は102,000戸を突破している老舗企業だ。

 リブランディングは2年半前から検討を始めていたもので、満を持しての今回の発表となった。土肥氏がチームリーダーで、同社社長室経営企画部広報室室長・小林久視氏がサブリーダーを務めている。その狙い、背景などについて土肥氏は次のように語った。

 「マンション事業は大手の寡占化が進んでおり、今後も加速する。当社も生き残りをかけてこのプロジェクトをスタートさせました。社内から『うちの売りは何か』など声を聴いたのはもちろん、一般からは4,000件くらいのアンケート調査を行いました。結果は愕然とするものでした。4万戸近い業界でも上位の実績を持ちながら、認知度は極めて低いことを思い知らされました。あぐらをかいていた部分もありました。売り上げが伸びていたときも財産として残せませんでした」

 こうした反省を踏まえ、徹底したリブランディングに取り組んできた。

 「リブランディングに当たってはインナーブランディングが重要と考え、ワーキングチームも構成を変えたりして社員の意識改革や業務改善に取り組んできました。これからはファサード、エントランス、外構などに当社独自のデザインコンセプトを盛り込んでいきますし、品質管理においては1000項目にものぼる品質のチェックを全ての現場で実施する等、独自の品質管理体制『オーベルクオリティコード』を徹底していきます。コミュニティサポートのための部署を設けましたし、居住者向けのワンストップサービスも行っていきます。これからが勝負です」

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 同社の知名度やブランドの認知度の低さにはびっくりもしたが、さもありなんとも思った。記者は約35年間、マンションを取材してきた。もちろん同社のマンションもたくさん見学してきたはずだ。ところが、同社の「売りは何か」と聞かれてもとっさには出てこない。ユニバーサルデザインに早くから取り組んできたこととか、物件ではオードリー・ヘップバーンを起用した「ティアラシティ」、都のマンション環境性能表示で高い評価を得た「桜堤庭園フェイシア」、昨年見学した出色の「オーベル蘆花公園」くらいしかない。

 なぜなのか。考えてみてもよく分からない。元々は東証2部にも上場していた数少ない不動産ポストの老舗企業でありながら、会社の顔ともいうべき広報の部署がなかったのも一因かもしれないが、結局は「大成のブランドや歴史があるということに依存してきた」という土肥氏の言葉に行きつく。

 そうした体質を一掃するために、インナーブランディングを徹底したというのは納得だ。社員の意識を変えないとこうした試みは成功しない。土肥氏と同じことを言った人がいる。昨年10月からリブランディング「野村の仲介+」を開始した野村不動産アーバンネットの執行役員 流通事業本部営業推進部長・神園徹氏だ。神園氏は「当社の売りはサービス。インナーブランディングを徹底しないと効果を挙げられない」と。

 もう一つ、土肥氏が語った「施工会社がどこでも当社の品質管理を徹底する」ことも極めて重要だと思う。土肥氏に話しを聞いた2日前、三井不動産レジデンシャルの「パークホームズ築地」の記者発表会があり、施工が長谷工コーポレーションであったため、ある記者が「どうして長谷工コーポレーションなのか」という質問をした。これに対して同社開発事業本部都市開発二部長・村裕太氏は土肥氏と同じように答えた。「施工がどこでも三井のマンションです」と。

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「O-range STORAGE(オレンジ収納)」

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 リブランディングを具現化した商品・提案を現在分譲中の「オーベルグランディオ千住大橋エアーズ」で見た。シアターの冒頭には「オーベル メッセージムービー」が流れた。ユーザーの声を商品企画に生かす「O-range LABO(オレンジラボ)」では「O-range KITCHEN(オレンジキッチン)」「O-range STORAGE(オレンジ収納)」がモデルルームで提案されていた。

 一つひとつは紹介できないが、「オレンジワゴン」「シンクフロントレール」「サポートカウンター」「マルチシューズシェルフ」「マルチクローゼット」などはスグレモノだ。記者が推奨する「物干しポール」もついていた。

 「オレンジワゴン」「シンクフロントレール」「マルチクローゼット」は他社にはないものだ。とくに「マルチクローゼット」には「長押」のような使い方ができるのには驚いた。

 「キッチン」「収納」は先行するデベロッパーと肩を並べるどころかそれ以上かもしれない。第三弾も準備中と聞いた。間違いなく同社は変わることを実感した。

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「O-range KITCHEN(オレンジキッチン)」

大成有楽不動産 「OBER(オーベル)」リブランディングをスタート(2014/1/8)
 

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左からGK西川、MF青木、MF関根、DF濱田の各選手

 ポラスグループは1月14日、2014年シーズンも浦和レッズのトップパートナーとなり、Jリーグユニフォームの胸部分に同社のロゴが入ることになったと発表した。

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 記者はサッカーには興味がないが、浦和レッズがJリーグでもっとも人気のあるチームだとは聞いている。不動産業界からはトーシンパートナーズが古くからトップパートナーになっている。不動産会社の認知度が高まるのはいいことだ。ポラスには西武ライオンズも応援してほしい。

 

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