表も裏も美しい 東大「ダイワユビキタス学術研究館」完成
「ダイワユビキタス学術研究館」(東大春日門すぐ)
大和ハウス工業と東京大学は5月14日、このほど完成した東京大学大学院情報学環「ダイワユビキタス学術研究館」を報道陣向けに公開した。
同研究館は、大和ハウスが寄贈したもので、同大学大学院情報学環・坂村健教授が監修。世界最先端の技術を導入し、「情報」に関する諸領域を流動的に連携させる研究機関として利用される。
デザイン・設備設計は同大学大学院工学系研究科・隈研吾教授が担当。構内通路側の外観には約15トンの不燃処理を施した杉板をウロコ状に張り巡らし、隣接する懐徳館庭園側の外壁には、わが国を代表する左官職人・挟土秀平氏による土壁を配し、日本庭園と建築との融合を図っているのが特徴。
公開に先立って挨拶した同社代表取締役会長・樋口武男氏は、「創業者の石橋信夫が亡くなる1年前に『創業100周年までに10兆円企業にしてくれ。これか俺の夢だ』と聞かされた。その夢の実現のために邁進しているが、社会貢献も創立時の精神。石橋も草葉の陰で喜んでいるはず。今回の施設を世界に誇れる人材育成の場として役立てていただきたい」と語った。
建物は地上3階地下2階建て延べ床面積約2,700㎡。構造はラーメン構造で、施工は大和ハウス工業。実物大の虚像展示を可能とする空間物アーカイブプレゼンテーションルームや126席の「ダイワハウス石橋信夫記念ホール」、カフェ「厨菓子くろぎ」も併設されている。
挨拶する樋口氏(左)と隈氏
テープカット(左から坂村氏、樋口氏、東大大学院情報学環・須藤修氏、隈氏)
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完成予想図は見ていたが、やはり完成した建物に鳥肌が立つほど感動した。隈氏の〝特許〟と思われる格子は、最近作では「ザ・キャピトルホテル東急」や三井不動産レジデンシャルの「神楽坂」のマンションでも見ているが、今回もどうしてこんなことができるのかと唸ってしまった。
隈氏は、「外観のテーマは、コンピュータ技術と建築デザイン、それと自然をどう融合させるかだ。一枚一枚、杉板の角度を変え、すき間もアトランダムに開けたが、これはコンピュータ技術が可能にしたもの。裏側の土壁は特殊な接着剤を用いて挟土さんが全部作った。懐徳館との融合を図った。庭を借景にしたカフェも設けた。デザインを工事に落すところが難しかった」と語った。杉板は多摩産材で、外壁に5500枚、軒天に2300枚それぞれ使用されている。
表も美しいが裏もまた美しい。この日は懐徳館庭園も公開されたが、挟土氏の土壁は表の杉板とそん色なかった。
こんなことを書くと、貧弱な想像力しか持ち合わせていないプロの建築家は「杉板が朽ちたらどうする」と批判するかもしれないが、隈氏は自らの作品を堅忍不抜、未来永劫にわたってそのままの姿にとどまっているのが美しいとは思っていないはずだ。学問も同様。30、40年後に中身も含めてリノベーションすればまた違った味わいのある建物になるのではないか。
記者は、「我が国の耐火・防火基準は厳しすぎないか」と樋口氏と隈氏に質問した。「耐火基準は厳しいが、緩和の方向にある」(樋口氏)「林農水相(国交省ではない)も建築学会で木造建築物の普及に力を入れると力説された」(隈氏)とのことだった。もっと前向きな答えを期待していたのだが、〝燃えていいのか、死んでいいのか〟という反論に黙らざるを得ない記者の薄弱な論理ではこの問題には踏み込めないもどかしさを覚えた。
隈氏ファンの富裕層には朗報だ。圧倒的な人気を呼んだ東建「Brillia Tower池袋」の次は東京ミッドタウンに隣接する三井不動産レジデンシャルのマンションだそうだ。どんな物件かは知らないが、最低でも坪単価は800万円、ひょっとすると1,000万円になるかもしれない。
構内通路 反対側から撮る
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カフェのコーヒーもおいしい。850円は高いが、それだけの価値はあるし、3~4杯分の量がある。店舗内のデザインは隈氏によるもので、サクラの突板が用いられていた。
懐徳館庭園
懐徳館庭園に面した挟土氏の土壁
カフェ「厨菓子くろぎ」
究極の隈研吾マンション 豊島区庁舎と一体の「Brillia Tower池袋」(2013/3/19)
積水、ミサワ、へーベル、三井ホーム 企業広告で同日競演
積水ハウスの企業広告
本日5月9日付の朝日聞、読売、日経(毎日、産経は確認しなかった)に積水ハウス、ミサワホーム、旭化成ホームズ、三井ホームの4社の全面カラー広告が掲載されていた。それぞれの企業戦略、社風がうかがわれ興味深く見た。
もっとも強烈な印象を受けたのが積水ハウスのものだった。「家に帰れば、積水ハウス。」というコピーはいつもの通りだが、「さすがに、母は、母親としての先輩だった。」というキャッチコピーとともに、濃紺のジャケットかコートを羽織ったきりりとした表情の女性が中央に配されていた。
同社広報に確認したところ、「母の日」に向けて、母とその家族をテーマにした企業広告で、モデルは佐々木志帆さん。母親となったワーキングマザーが仕事を終え、自分と自分の母親の姿を重ね合わせ、大切な家族や、忙しくも充実した日々について思いを語っているものだ。
電話で「いい広告ですね」と伝えたら、電話口の女性から「好みですか」と逆に聞かれた。記者は全体から受ける印象が「好き」と言ったまでで、「女性」のことを言ったのではないが、「好みか」と聞かれれば好みだ。
もう一つ、三井ホームの広告。同社の新しいCMのキャラクターとして起用された菅野美穂さんの姿に「いい空気を吸いに帰りたくなる。そんな技術が今、無料です。」というコピーが添えられていた。新商品のNewスマートブリーズのキャンペーン広告だ。
記者はCMが吉永小百合さんから菅野美穂さんに変わったことについて批判的な記事を書いたが、菅野さんがなかなかいい。テレビはあまり見ない方だが、ゴールデンウィーク中はかわいい菅野さんを何度も見た。吉永さんとちがって、悪女でも見事に演じきれそうな妖しさを兼ね備えているのがいい。同社と菅野さんにお詫びしたい。
同社にも確認したところ、「反響が大きい。三井ホームのイメージにぴったりという声もいただいている」とのことだった。キャンペーンに対する直接の効果はまだ集計していないという。
ミサワホームの広告は、若い女性というより少女のハーフトーンの横顔が大きく中央に配置され、「雨の日もわるくない。こんな家で過ごせるなら。その家はミサワホームでした」のコピーと、「ミサワホームソング」の楽譜が紹介されていた。申し訳ないが、ミサワのホームソングは記憶がない。
旭化成ホームズは、いつもの直截的な表現で「へーベルハウス」の特徴を訴えている。今回は、新商品のPRで、黒地に白抜きの「重鉄三階、耐震革命。」のコピーと、赤の構造材を紹介している。
消費増税の反動で受注が落ち込むのを最小限にとどめようとハウス各社も必死のようだ。
三井ホームのイメージキャラクター菅野美穂さん
旭化成ホームズ広告
三菱地所 タイで3プロジェクト約220億円の住宅開発
三菱地所は5月7日、同社のシンガポール現地法人・三菱地所アジア社と三菱地所レジデンスがタイのデベロッパーAP社とプロジェクト会社を設立し、3つの集合住宅、合計2,074戸の開発を行うと発表した。同社グループとしてはタイでの初の事業で、3プロジェクトの総売上高は約71億バーツ(約220億円)。
3つのプロジェクトは、都心へのアクセスを重視したコンパクトタイプが中心で、主な顧客ターゲットはバンコクのミドル需要層。一部物件では三菱地所設計がデザイン監修を行い、日本で蓄積した商品企画などのノウハウを活用する。
同社はタイをベトナム、シンガポールに続く東南アジアの新たな事業拠点として位置づけており、安定した経済成長、首都への人口流入、核家族化の進展、公共交通機関の拡張により、分譲住宅へのニーズが高まっているとしている。
共同事業を行うAP社は、タイ大手の財閥系のデベロッパーで、長期的なパートナーとして継続的に共同事業を展開していく。
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同社は、これまで中国では5つのプロジェクトで約6,330戸の住宅と約100店舗(第1期)の事業を行っているほか、台湾、ベトナム、シンガポールで住宅、オフィスの開発を行っている。
JETLO(ジェトロ)のデータによると、2012年の日本からタイへの直接投資(認可ベース)は761件,3,484億3,000万バーツで、金額でみた日本の投資シェアは全体の63.5%を占め,前年比約2倍と大幅に増加している。大規模投資ではブリヂストンの約205億バーツ、トヨタの約140億バーツ、日野自動車の63 億バーツなどがある。
住宅開発では、三井不動産が昨年8月、タイの有力な住宅デベロッパー「アナンダ社」と共同で1,875戸のマンション事業「(仮称)ラマ4」を展開すると発表している。積水化学は昨年3月、年間1000棟のユニット住宅の生産工場を竣工した。
創建 首都圏進出10年 初の「心伝える 感謝のつどい」約960名が参加
創建「心伝える感謝のつどい」(帝国ホテル 孔雀の間で)
創建は4月29日、同社の首都圏の住宅を購入したお客さんを対象にした第1回「心伝える感謝のつどい」を帝国ホテルで行った。約260組960人が参加した。
冒頭挨拶に立った吉村孝文社長は、次のように感謝の言葉を述べた。
「今年で創業31年、首都圏に進出して10年目。3年前にも行なう予定でしたが、東日本大震災があり、当社もリーマンショックの影響で初めて赤字を計上して中止しました」
「私が創業以来ずっと考えているのは〝倒産させてはいけない〟ということです。倒産はお客さんに対する裏切り行為です。ですから他の事業には手を出さない、本業に徹しています。さらに社是として〝感謝、希望、工夫、改革、感動〟の5つのKを掲げていますが、大事なのは、利益優先ではなく、お客さんに対する感謝、感激の気持ち。これからも建ててよかった、出会えてよかったと思っていただくように邁進します」
挨拶する吉村社長
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「感謝のつどい」に参加した公務員のSさん(37)に話を聞いた。Sさんは奥さんとお子さん2人の4人家族。稲城市の「ルナオーヴ若葉台」(108区画)を購入して3年目だ。
「それまで住んでいた溝の口のマンションを売却して購入しました。住環境がよく土地が170㎡と広いのが決め手。まるで公園の中に住んでいるようで、外断熱も快適。最寄り駅の若葉台駅までは自転車通勤。勤務先の大手町までは約1時間」と、住み心地を語った。
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同社は平成16年に首都圏進出。翌年、第一号として千葉ニュータウン・西白井で86区画の戸建てを供給開始。これまで670戸を供給。現在173戸を販売中。今後約190戸を予定している。2006年からは外断熱工法の供給を開始している。平成25年5月期の売上高は157億円。
右は同社のマスコット「創犬(そうけん)」くん
三井不動産 「コレド室町2・コレド室町3」開業1カ月で来館者260万人
三井不動産は4月22日、先月20日に開業した「コレド室町2・コレド室町3」と既存の「コレド室町」の1カ月(3月20日~4月19日)の来館者が約260万人に達したと発表した。
新たな客層として増えているのは30代~40代。老舗の新業態店でのショッピングやオープンテラスでのランチ・ディナーを楽しむ様子が見られたという。
これまで日本橋に訪れていた50代~70代もなじみの街で新たな過ごし方を楽しみ、20代は「TOHOシネマズ日本橋」を通じて日本橋に訪れ、これまで縁遠かった老舗店にも足を運んでいる様子がみられたという。
日本橋では4月26日(土)~5月6日(日)のゴールデンウィークに様々なイベントを実施する。
三井ホーム 吉永小百合さんに代わる新イメージキャラに菅野美穂さん
CMカット
創立40周年記念の新商品発表会とあわせ報道陣は過去最多の100人
三井ホームは4月17日、今年創立40周年を迎えるにあたって新たな広告キャッチコピー「オーダーメイドプライド。」を掲げるとともに、TVCFに女優の菅野美穂さんを起用すると発表した。新CMのお披露目と菅野さんと市川俊英社長のトークセッションが東京ミッドタウンで行なわれた。同社の記者発表会としては過去最多の100人を上回る報道陣が詰め掛けた。
菅野さんは、プレスリリースによると「知名・人気・実力ともにトップクラスであり、今最も輝いている女優のひとりとして、性別・年代を問わない幅広い共感と支持を得ている女優」として起用、テレビCFは「菅野さんが語る『理想の家は、住む人の心の中にあると思う。』という家を建てる人の想いを通じて伝えるもの」となっている。
CMカット
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新しいCMが、同社の顔としてすっかり定着している吉永小百合さんではなく、テレビドラマは見ないからなのだが、記者はほとんど知らない菅野美穂さんに代わったことに少なからずショックを受けた。記者は、「清純派女優」のイメージをこの歳になってまで抱き続ける単純なサユリストではない。むしろ逆だ。女優としての吉永さんより「清く、正しく、美しく」を貫く生身の人間・吉永小百合さんが好きだ。三井ホームはもちろんだが、三井不動産グループ全体のイメージアップに計り知れない貢献をしているはすだ。品と格が備わっているのが吉永さんだ。
その吉永さんのカレンダーを同社から貰うのを楽しみにしていたが、昨年はもらえなかった。おかしいと思っていたが、同社によると、吉永さんとのCM契約は昨年3月で終了したという。
理由は分からないでもない。吉永さんも70歳近く。いまの住宅需要層の年代からすれば訴求力は弱まっているのは理解できる。永遠の美女のイメージを壊すようなしわくちゃのおばあちゃん姿の吉永さんのCMなどみたくない。世代交代はやむをえないと思う。
その後継者として「性別に関係なく知名度、好感度ともトップクラス」(同社・長谷裕専務)の菅野さんが起用されたのもわからないでもない。新CFの撮影エピソードとして紹介されている「今回の撮影は…まだまだ寒さが残る3月半ばでしたが、撮影現場にひとたび菅野さんが現れると、まさに一瞬にして温かな空気に変わり、その場にいる全員をやさしく包んでくれるような心地よい存在でした。そのやわらかな眼差しも、本番になると監督をも唸らせる凛とした演技でした」)というニュースリリースのコピーが使い回しでないならば、菅野さんもまたすごい女優なのだろう。
しかし、三井ホームは「暮らし継がれる家」が商品コンセプトではないか。ならば、どうして吉永さんと同社のイメージを断ち切るようなことをするのか。「暮らし継がれる家」と同じように、CMも吉永さんから菅野さんへゆるやかに引き継がれるものにできなかったのだろうか。私だったら吉永さんを母親役、菅野さんを娘役、さらに子役を入れた2世帯3世代住宅の提案を行なう。大ヒット間違いないと思うがどうだろう。
市川社長にこの疑問をぶつけた。市川社長は「お2人一緒というのは理想でしょうが…」と明言を避けた。どんな形でもいい。吉永さんの復帰を願うばかりだ。さらに言わせてもらえば、同社が「世界にひとつだけの家づくり」を目指すなら、イメージキャラクターはオードリー・ヘップバーンしかいない。時代を経るごとに評価が高まっていく、若さが衰えない彼女こそが三井の家にふさわしいのではないか。
フォトセッション
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菅野さん効果か。同社が新TVCF発表会の前に行なった創業40周年記念の新商品「2×6ウォール」「Newスマートブリーズ」の発表会には、同社の過去最多となる68人の報道陣が会場となった東京ミッドタウンに詰め掛けた。菅野さんと市川社長との新CMお披露目会には100人を超える取材申し込みがあったという。これも新記録だ。
そこで同業にこの動員力を聞いた。さすが積水ハウス。同社は平成19年の新商品発表会に138人の記者が集まったという。住友林業も平成23年に行なった新商品「mamato(ママト) 」発表会に130人を集めた。
デベロッパーでは、森ビル「六本木ヒルズ」、三井不動産「東京ミッドタウン」などは数百人の記者が集まった。三井不動産リアルティの「リハウスガール」発表会でも100人くらい集まる。
新CM発表会(東京ミッドタウン)
中井社長の挨拶は簡潔明瞭の3分 野村不動産ホールディングス記者懇
中井社長
野村不動産ホールディングスグループは4月15日、恒例の記者懇親会を開いた。約100人が集まった。
挨拶に立った中井加明三社長は、「足元の住宅市場は順調。とくに都心部は強い需要がある。懸念されるのは建築費の高騰で、まだまだ上がる状況にある。情報収集に努め、適切に対応していく。2016年3月までの中期計画で営業利益650億円、自己資本比率30%を掲げたが、営業利益は2年前倒しで達成できる見込み。今後は年間4,000戸から5,000戸、さらに7,000戸を安定的に供給していく体制を整えていく。財務を強化し、思いきった投資も行なう。今回新設した開発企画本部を通じて複合開発に参入していく。野村らしい事業展開をおこなっていく」と話した。
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中井社長の挨拶は簡潔明瞭。時間にして3~4分だった。同社の歴代社長はもちろん、他のデベロッパーの懇親会を含めても記録的な短さだろう。昔は30分を優に越える社長、会長の挨拶も珍しくなかった。用意されたビールは熱気で沸騰し、参加者は飲む前に〝醒める〟ほど長かった。
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記者が聞きたかったのは3点。一つは「オハナ」。建築費の高騰で坪単価130~140万円の「オハナ」は果たしてどうなるか。これについて宮嶋誠一・野村不動産副社長は、「今期も来期も年間1,000戸供給は大丈夫。多少、価格に転嫁せざるを得ないが需要はある」と、今後も第一次取得層の期待に応えると話した。
もう一つは都市型戸建ての展開について。同社は年間1,000戸供給を打ち出し、これまで独走していた三井不動産レジデンシャルに追い付き、追い抜く勢いにある。当然、三井不動産レジデンシャルが得意とする小・中規模についても用地争奪戦が始まるのではないかとみているが、宮嶋氏も山本成幸常務も「よくバッティングする」と否定しなかった。
3点目は、昨年10月にリブランディングを開始した「野村の仲介+」は「プラウド」と同じ奇跡をたどることができるかどうかだ。この点については、宮島青史・野村不動産アーバンネット社長は、「半年が経過して社員がピリッとしてきた。お客さんに見られている、下手なことができないという意識改革が進んでいる。2020年までにはやる。見ててください」と自信をうかがわせた。
今後注目したいのは野村不動産リフォームと野村不動産パートナーズの展開だ。リフォームの社長でもある山本常務は「当社のマンションや戸建てのお客さん以外に外に打って出ることができていない」と課題をあげた。中井社長も「何とかする」と意欲をみせた。
ビル管理部門と統合し、社名も野村リビングサポートから野村不動産パートナーズに変更した同社・関敏明社長は「売り上げ規模で700億円ですから相当の規模。RBAも両部門を統合して戦う」と、機嫌がよかった。
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天につばすることかもしれないが、集まった報道陣の方々にもひとこと。今回に限ったことではないが、デベロッパーの懇親会にはいつもこれほどたくさんの記者の方が集まる。ところが、マンションなどの見学会となると極端に少なく、せいぜい20~30人。
歳をとるとトコロテンのように編集長やら社長やらに出世し、足腰も弱り現場から遠くなるのだろうが、記者が現場から外れたらただの人。何の取り柄もない。現場には取材ネタが溢れているし、懇親会で聞く話は2倍3倍も中身が深まっていく。
記者懇親会(新宿野村ビルで)
野村不動産アーバンネット「ありがとう、わたしの家」入賞作発表
野村不動産アーバンネットは4月15日、第2回「ありがとう、わたしの家」キャンペーンの入賞エピソードを発表した。
グランプリは、埼玉県の「はなまるさん」の「愛おしい跡」。娘さんが3歳、息子さんが1歳の時に購入した新築の戸建てが、二人が成長するにつれ床やら壁やらがいたずらなどで汚れていくのに「頭から角をだして」叱るのだが、ある日、実家に連れていたったときの出来事をつづったもの。
「先生ごっこが好きだった私」が作って貼った「花丸を付けた拙い字の小さな答案」を、子どもが「物置の片隅にしまわれていた机の裏側」から見つけ、「当時の記憶が鮮明に蘇り」「〝子供の成長の証〟として愛しんでくれている父と母」に感謝し、「嬉しくて涙がこみ上げてきました」と、親から私へ、さらには子どもへと受け継がれる情愛を率直な言葉で表現している。
グランプリには10万円分の、準グランプリの3名には5万円分の、「ありがとう、わたしの家」賞の5名には1万円分のギフトカードがそれぞれ贈られる。今年1月から2月末まで応募を受け付け、198点の応募があった。
詳細はキャンペーンサイトhttp://www.nomu.com/campaign/episode/へ。
三井不動産 新産業を生み出すイノベーション拠点「KOIL」開業
「KOIL(柏の葉オープンイノベーションラボ)」外観
三井不動産は4月10日、柏の葉スマートシティの中核街区として開発を進めている複合施設「ゲートスクエア」に設置した企業や個人が集まり交流を通じて新産業を生み出すクリエイティブなイノベーション拠点「KOIL(柏の葉オープンイノベーションラボ)」を4月14日(月)に開業すると発表した。
「KOIL」は、起業家から生活者まで多様な人々の知識、技術、アイデアを組み合わせることで革新的な新事業や製品・サービスを創造するための場で、国内最大級のコワーキングスペース(会員制共有ワークスペース)のKOILパークや、ベンチャー企業だけでなく大手企業の事業部門が入居するオフィスフロア、一般の方のビジター利用も可能な機能を持つKOILファクトリー(デジタルものづくり工房)、カフェやスタジオなどを併設。これまでにないオープンイノベーション・センターとなる。
広さは3フロア合計で約7,980㎡。KOILパーク会員は「月5プラン」の月額6,000円から、「使い放題プラン(固定席)」の月額27,000円まで。入会金は3,000円。
イノベーションの化学反応を起こすため、起業家のアイデアや技術を事業化につなげ、グローバルな飛躍へと導くメンター(助言・支援者)がKOILに常駐。創業支援プログラムを提供するとともに、大手企業、ベンチャー企業、クリエイターや生活者などと交流できる多彩なイベントを開催していく。
挨拶に立った同社常務執行役員・小野澤康夫氏は、同社のベンチャースピリットについて触れ、三井グループの創業のルーツである「越後家」から、土地をつくる「京葉臨海部の埋め立て事業」、空を開拓する、超高層時代を切り拓く「霞ヶ関ビル」、ライフスタイルを提案する「ららぽーと」「東京ディズニーランド」について語り、街づくりのイノベーション事業として今回の「柏の葉スマートシティ」があることを強調。「わが国にある閉塞感を打破するため、世界の課題解決モデルとなる街を公民学が連携して創造することを企図している」と話した。
さらに、「新産業を生みだす空間としての『KOIL』などのハードと、多様なコミュニティとの融合を図り、プラットホーム事業へと発展させ、イノベーション事業のリーディングカンパニーを目指す」と語った。
また、同社ベンチャー共創事業室長・松井健氏は、今後1年間の目標としてで「KOILパークは400会員をめざし、稼働率は95%くらいを考えている」と話した。この1年間で300を超える内外の団体が「柏の葉スマートシティ」の見学に訪れたことも明らかにした。
「KOILパーク」
「KOILファクトリー」
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つくばエクスプレスが開業して9年。まだ駅舎だけだった「柏の葉キャンパス」駅前に広がる「柏の葉スマートシティ」には今回で何度目の取材になるのだろう。10回はくだらないはずだ。開業当初から、「柏の葉」だけは成功すると読んだ。ビジョン、哲学が示されていたからだ。
しかし、他の沿線は20年たっても街は完成しないだろうし、その多くは失敗に終わるだろうと考えた。多摩ニュータウンや千葉ニュータウンと同じ旧来の開発手法とほとんど変わらないからだ。その思いは今も変わらない。
そして今回。同社が目指す街づくり全貌が見えてきた。小野澤常務も同社ベンチャー共創事業室長・松井健氏も街づくりのビジョンを語った。胸に響くものがあった。例えれば、ジグゾーパズルの穴が順々に開くような、難しい方程式を一つひとつ解いていくようなわくわく感、快感だ。
「柏の葉スマートシティ」は、2011年に国の「環境未来都市」「地域活性化総合特別区域」に指定された。ここでは紹介しないが、2050年の「柏の葉」の近未来像を描いた「提案書」には、「石化燃料を一切使用しない世界が広がり、長寿・高齢化社会は手放しで喜ばしいことと歓迎され、子供たちは、語学ばかりでなく国際的なリーダーシップの取れる人材として育ち、臆することなく世界へと飛躍し活躍する者が多いため、そのような環境を求めて、世界各国から移住してくる家庭も多い」と記されている。
それまであと30余年。記者は間違いなく生きていないが、そのような社会が実現していることを祈りたい。間違っても、建築から40~50年にして早くもさまざまな問題が噴出している多摩ニュータウンや筑波研究学園都市のようにならないようにしてほしい。
会見に集まった記者は約50人(通常のマンションなどの2~2.5倍くらい)
左からTXアントレプレナーパートナーズ最高顧問・村井勝氏、三井不動産常務・小野澤氏、同社ベンチャー共創事業室長・松井氏、ロフトワーク社長・諏訪光洋氏
「柏の葉」の「環境未来都市」 涙が出るほど嬉しい提案書(2012/2/13)
積水ハウス 業界初「字幕付きテレビコマーシャル」開始
テレビCM
積水ハウスは4月3日、住宅業界で初めて「字幕付きテレビコマーシャル」トライアル放送を実施すると発表した。
長年、家づくりで培ったユニバーサルデザインの視点をCMにも反映させるもので、音声情報を字幕で選択表示することで、耳の不自由な人により正確な情報やメッセージの伝達を目指すもの。
BSフジの同社が提供する番組「五木寛之『風のCafe』」内で字幕付きCMのトライアル放送を4月5日(土)から実施する。
わが国の難聴者人口は潜在的な難聴の方も含めると約2000万人と推定されており、デジタル放送への移行に伴って字幕番組は年々増加し、NHK(総合)では83.5%、在京民放テレビ5 社では9 割以上(93.3%)が字幕付きになっている。1週間の総放送時間の約18%を占めるテレビCMへの字幕付与は数社によるトライアル放送が始まっている。