オープンハウスの初値 公募価格を18%上回る2,100円
荒井・オープンハウス社長(上場セレモニーで)
オープンハウスの初値は公募価格1,780円を18%上回る2,100円-9月20日、東証一部に新規上場されたオープンハウスの株価は寄付きから買い気配で値がつかず、ようやく9時32分、2,100円の初値をつけた。不動産市況が好転し、同社の業績も仲介を核に戸建て分譲とマンション分譲が好調に推移していることが市場でも評価されたもよう。
同社の平成24年9月期決算は売上高623億円、経常利益45億円、純利益25億円。セグメント別の売上高は不動産仲介が22億円(1,248件)、不動産売買が597億円(戸建て891件、請負475件、マンション分譲240件)。25年9月期も前期を大幅に上回ると予想されている。
東証一部不動産ポストの新規上場は4月1日のフージャースホールディングス以来。10月1日には東急不動産ホールディングスの上場が予定されている。
オリンピック招致決定 三菱地所レジデンス「晴海」に予約殺到
2020東京オリンピック招致決定で三菱地所がコメント
三菱地所は9月9日、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催が決定したことについて杉山博孝社長名でコメントを発表。
杉山社長は、「開催をきっかけとして、東京が世界から注目され、世界中から多くの来日者を迎えることが期待できる。日本や東京の素晴らしさを世界中の人々に知って頂く機会になると期待したい」「不動産業界にとっては、アジアの諸都市との国際都市間競争が激しくなる中で、東京のより一層の国際化を促進する契機となることを期待する」などとし、同社としても「国際競争力を向上させることを期待してサービスアパートメントや高級日本旅館などの導入を決めているが、今後もハード・ソフト両面において街のグローバル化を進めていく必要があり、オリンピックの東京開催をきっかけとして弾みをつけていきたい」としている。
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記者は開催都市が決まる2日前に、選手村が建設される「中央区晴海」がどのような街になるかの近未来像を記事にした。
招致が決定し、早くも予想通りの展開になってきた。晴海で分譲中の三菱地所レジデンスのマンション「ザ・パークハウス晴海タワー」への予約・来場が8日の早朝から殺到。通常の2倍に上ったことから、スタッフが対応できなくなり予約なしで見学できる措置をとったという。
同社広報によると「様子見をしていた人が、改めて来場されて購入を決断された方もかなりいらっしゃる」とのことだった。
当然のことながらオリンピック関連株も軒並み上昇。不動産株では「晴海」でSOHOを含むタワーマンション1450戸を予定している住友不動産は前場で一時約8%の400円高の値をつけた。
東京オリンピック招致が決定すれば晴海の街はどうなる(2013/9/6)
「質が量を呼ぶ」 積水ハウス阿部社長が業績アップを評す
質が量を呼ぶ-積水ハウスは9月6日、2014年1月期第2四半期決算説明会を開き、阿部俊則社長は主力の戸建住宅をはじめほとんどの事業が好調に推移し、通期でも売上高・利益とも過去最高を予想したことについて「かねて質が量を呼ぶと言ってきたことが現実となっている」と評し、さらに量的拡大を目指す姿勢を見せた。消費増税の影響については「限定的」と語り、それほど業績に影響を受けないとした。
上期の売上高は8,452億円(前年同期比11.5%増)、営業利益は556億円(同67.4%増)、経常利益は576億円(同68.2%増)、純利益は340億円(同99.4%増)となった。
セグメント別では、売上高は戸建住宅事業が254億円(前年同期比11.4%増)、賃貸住宅事業が227億円(同16.3%増)、分譲住宅事業が113億円(同19.4%増)、マンション事業が100億円(同49.6%増)、不動産フィー事業が80億円(同4.1%増)、リフォーム事業が70億円(同12.8%増)それぞれ伸ばした。その要因として外部要因としてアベノミクス効果による円安・株高・企業業績の回復や相続税改正の動き、金利先高感、消費増税の動きなどをあげた。
通期予想も期初予想の1兆7,400億円から12.5%増の1兆8,150億円に上方修正し、配当金も1株36円から43円に増配する。2014年度も売上高は1兆9,000億円に伸ばし、ROE10%(2013年度は9.1%)を達成する見通し。
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「量から質へ」ではなく「質が量を呼ぶ」というのは言い得て妙だ。記者の取材フィールドは主に分譲だが、確かに同社のマンションや戸建て分譲住宅は他社との差別化が徹底しており、質的にもワンランク高い。環境問題にいち早く取り組み、外構・植栽計画やメーターモジュールの積極採用、ソフトクローズ引き戸などユニバーサルデザインの取り組みでも抜きん出ている。
こうしたワンランク上の事業展開が、アベノミクスに敏感に反応した富裕層・アッパーミドルのニーズにマッチし、今回の大幅な業績アップにつながっているとみた。戸数だけではなく1棟当たりの単価が戸建住宅で3,369万円(2010年度比7.0%増)、賃貸住宅で5,944万円(同11.6%増)と高まっているのも、付加価値の高い住宅が評価されているのだろう。
三菱地所の新CM発表会「三菱地所を、見に行こう。ナイター」
東京ドーム 日ハム-ソフトバンク戦に1200人招待
子どもた100人が参加したベースランニング
三菱地所の新CM発表会を兼ねた東京ドームでの「三菱地所を、見に行こう。ナイター」を9月5日取材した。プロ野球日本ハムの主催試合「日ハム-ソフトバンク」公式戦の試合前30分間で行なわれたもので、1万数千人の観客が見守る中、「三菱地所を、見に行こう」のTシャツを着た招待客の子どもたちがグラウンドを駆け巡り、子どもたちによる日ハム・栗山監督、ソフトバンク秋山監督への花束贈呈、CMの主役を務める女優の桜庭ななみさんの始球式も行なわれるなど盛りたくさんな内容。観客の感想も好意的なものが多く、三菱地所も日ハムも招待客も観客も〝3方よし〟のイベントだった。
受け付け
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CMイベントは、日ハム球団の営業サイドから同社に持ち込まれた企画で、同社は新しいCMの発表会とCSR活動の一環である「三菱地所を、見に行こう」を兼ねることで実施に踏み切ったものだと思われる。
同社グループの三菱地所レジデンスクラブ会員や丸の内のカード会員に参加者を募り、1,200名を招待したものだ。試合開始の30分前、招待客の子どもたち100人がグラウンドに下り、全員がベースランニングを行なったほか、招待客の中から選ばれた4人が栗山監督と秋山監督に花束贈呈した。同社のCMの主役・桜庭ななみさんの挨拶、新CM、始球式の模様がオーロラビジョンに映し出された。イベント終了後は、この日登板予定のない木佐貫投手が子どもたちを見送った。
ベースランニング
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西武ファンの記者は同社の広報から取材の誘いを受けたとき、主旨もよく分からなかったし、日ハム-ソフトバンクの試合など見たくもなかった。ただ、昨年、「三菱地所を、見に行こう」を取材しているので、今回はどのようなものなのかを確かめるために取材した。昨年も感動的な取材が出来たのだが、今回もとても面白い取材ができた。
グラウンドの降りるのは、RBA野球大会で60回以上も取材しており、アンチ巨人の記者にとって全然面白くないのだが、何と同社の杉山博孝社長が日ハムの関係者らしき人と談笑していた。
早速、声を掛けた。「社長、どっちのファンですか? もちろん三菱地所ファンですよね」社長が笑った。「もちろん」 聞きもしないのに社長は言った。「プロ野球はアカ(思想ではない)が好きでね」「エッ、広島? どうして」「よくわかんない。僕は東京出身だけどね、小学生のころからのファン」 さらに一言「パリーグは日ハム」「どうして? 」「ハムがおいしい」
このとき、隣にいた人が破顔一笑した。(秘書らしき人から「取材はお控えください」と言われたが、後の祭り。聞きたいことはすべて聞いた後だった。隣の方は日ハムの社長だった)
左から杉山社長、竹添昇・日ハム社長、加藤譲・三菱地所専務執行役員、桜庭さん
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今回のイベントのCM効果だが、同社の広報マンは明言を避けた。しかし、1,200人の招待客の子どもが東京ドームのグラウンドに降り、ベースを1周できるなんて経験はまずできない。プロ野球は興行でもある。ファンサービスの一環としこのようなイベントを行なうのは大賛成だ。
観客にとっては退屈な30分かもしれないが、何人かの観客にも声を聞いた。以下に紹介する。
「選手を絡めたらもっと面白い」「CMソングは結構耳にしている」「赤いTシャツがよかった」「ベースランニングがかわいい。私は子どもはいないが、いたら参加したい」「桜庭さんが可愛い」
選手の反応もうかがったが、日ハムの陽選手や大塚コーチはとても楽しそうに見ていた。栗山監督は今季の成績がいまひとつなのと昨日はパリーグ史上最長の6時間1分の試合に敗れたためか、終始むっつりとしていた。ウルフの投球練習も見た。やはりすごい。大引選手が2回に満塁弾を放ったところで帰った。試合は11-5で日ハムが大勝。に
子どもたちを見送る木佐貫投手
三井不動産 「三井のすまいモール」3号店
武蔵小杉に来年4月オープン
「三井のすまいのモール」武蔵小杉店 位置図
三井不動産9月2日、同社の住まいのワンストップサービス店舗「三井のすまいモール」3号店の「武蔵小杉店」を来年4月中旬にオープンすると発表した。「すまいモール」は、
「新築・中古」「所有・賃貸」「建て替え・リフォーム」などあらゆる住まいに関するニーズにワンストップで応える施設で、2012 年4 月に目黒、同年11 月に横浜にオープンして以来、累計約7,000
組の来場者がある。
「武蔵小杉」店は、東急東横線・目黒線武蔵小杉駅から徒歩1分。出店会社は三井不動産レジデンシャル、三井不動産リアルティ、三井ホーム、 三井不動産リフォーム。店舗面積は約125坪。
また、「すまいモール」の開設と同時に開始したメンバーシップサービス「すまいLOOP」の利用者も増加しており、会員数は約10万人にを突破した。サービス提供店舗・施設数は約350カ所に拡大した。
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3号店の武蔵小杉店は当初から予定されており、いよいよ来年に開設することが決まった。武蔵小杉はマンション供給ラッシュが続いており、その中でも同社がもっとも供給量が多い。今後も駅周辺で2,000戸超(他社とのJV含む)を供給する。坪単価も10年前は220万円だったのが、最近の駅近では300万円近くになっている。晴海や豊洲、川崎などを凌ぐ単価水準だ。
「住んでみたい街」3位 脅威の売れ行き野村不動産「武蔵小杉」
ポラス 中央グリーン開発 「子育てママの理想の家をつくろう!」コンペ
優秀賞モデルハウス上棟式に150組・450人が参加
「パレットコート六町」で行なわれた上棟式イベント
ポラスグループの中央グリーン開発は8月31日、先に同社が行なった「子育てママの理想の家をつくろう!」コンペ大会で最優秀賞に輝いたプランのモデルハウス上棟式イベントを、現在分譲中の足立区の戸建て団地「パレットコート六町」で行なった。入居者や近隣の親子連れなど150組・約450人が集まり、餅撒きや日曜大工体験、交流会、マルシェなどを楽しんだ。
コンペ大会は、地元の「NPO子育てパレット」と共同で立ち上げたプロジェクトで、「パレットコート六町」を舞台に9人の現役ママが 4 チームに分かれ「子育てママの理想の家」づくりに挑戦、プロの設計士の手を借りながら最優秀賞を競うもの。最優秀賞には1階を「華」に見立て、おもてなしの空間とし、2階を「癒」のプライベート空間とした「Give &Take」を提案した宮下記子さんと加藤圭さんのチームが受賞。このプランを団地内に建設して、モデルハウスとして利用されたのち建売住宅として分譲される。完成は11月の予定。
「パレットコート六町」
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別の用件があったので、駆けつけたときには上棟式は終わっていた。上棟式といえば、記者が小さい頃などは「餅撒き」が楽しみだった。上棟した建物の上に大工さんや施主が上り、紅白のもちや〝ご縁がありますように〟という意を込めて5円玉などの小銭(われわれの時代には1円玉もあった。つまり1円がキャラメル代になったので流通していた。10円玉もまれにあった)が撒かれた。拾うのは主に子どもだが、集落の大人もみんな集まった。
このほか、葬式でも運動会の玉入れの籠のようなものから小銭が撒かれ、子どもたちが拾い集めた。結婚式では石ころや材木を道路上に置き、お嫁さんが通れないように「垣」をしたものだ。垣を先導役が取り除くのだが、艱難辛苦を乗り越えて嫁いでいくようような願いが込められていたのだろう。このように冠婚葬祭は村のコミュニティを支えていた。こどもはこのような行事を通じて社会を理解していった。例えば葬式の小銭撒きでも、世帯主などの大黒柱が亡くなった場合は撒かれなかったから、子どもでもその家の死者の位置を知ることができた。小銭の額でお金持ちか貧乏かを判断したものだ。経済を学び、不平等社会を学んだ。
いまはこのような行事はほとんど行なわれなくなっただろう。ポラスでも上棟式で餅や小銭を撒くケースは皆無ではないが非常に少ないという。
コンペ大会の責任者、ポラスグループの中央グリーン開発取締役事業部長・戒能隆洋氏は「これまで分譲した158棟のうち127棟が入居済み・契約済み。街並みが整ってきたことで成約スピードもあがってきた。8月は11戸が成約できた。このようなイベントを行なうことで地域コミュニティが形成されることが嬉しい。商品開発にも生かしていきたい」と話した。
地元のフラダンスのサークルも参加 日曜大工の体験コーナー
大京 戸建てブランド「アリオンテラス」に期待
「アリオンテラス妙蓮寺」はひな壇造成の全9戸
「アリオンテラス妙蓮寺」
大京の戸建てブランド「アリオンテラス」第4弾の「アリオンテラス妙蓮寺」を見学した。妙蓮寺駅から10m以上はあると思われる坂を上り下りしなければならない難点はあるが、現地は南傾斜のひな壇形状で価格もリーズナブルなものになりそうだ。
物件は、東急東横線妙蓮寺駅から徒歩 9分、横浜市区松見町三丁目に位置する全9区画。土地面積は100.10~185.94㎡、建物面積は95.22~104.12㎡、価格は未定。建物は2×4工法2階建て、施工は東急ホームズ、8月に竣工済み。
現地は、妙蓮寺駅から高低差で10m以上はあると思われる坂の頂上の鎌倉街道まで数分歩き、さらに同じぐらいの坂を下ったひな壇造成地。高低差は約6m。一番低いところの建物でも道路面より約2mの擁壁の上に建てられている。
敷地面積を平均約38坪確保し、「アリオンテラス」シリーズでは初の街区を見守る防犯カメラを設置しているのが特徴。大京オリジナルの設備も標準採用している。
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「アリオンテラス」は2011年に第一弾「横濱山手」(7戸、施工イトーピアホーム)に分譲されて以来、昨年分譲の「蘆花公園」(8戸、施工イトーピアホーム)、「西新井」(3戸、施工ポラス)に次いで今回が4物件目。記者が見学するのは「蘆花公園」に次いで2件目だ。
もちろん、見学の目的は、マンションで実績豊富な同社がどのような都市型戸建てで競争が激化している市場に挑もうとしているのかを知るためだ。
結論から言えば、駅からの坂が相当きつい難点を除けば、価格は6,000万円ぐらいに収まりそうなので、追い風の市場もあるので完売までそれほど時間はかからないとみた。
一つ二つ、注文をつけるとすれば、〝大京の戸建て〟をもっとアピールすべきだと思う。設備・機器に関してはマンションに採用している「ライオンズ リビング ラボ」は十分差別化ができていると思うが、外観デザインや植栽計画、間取りプランはまだまだ不十分だ。〝これは素敵〟というものを盛り込まないと勝てないと思う。
今回の物件でも、ひな壇造成はいいが、擁壁の壁面が勝りがちだ。植栽計画によって和らげることもできたのではないか。間取り・プランでは、玄関・ホールが狭く、LDとは幅60cm、高さ1.8mの引き戸によって隔てられているのだが、玄関-ホール-リビングと一体的な空間として演出すべきではないかと思った。壁一杯に親子ドアにでもすれば〝これは素敵〟になるはずだ。
まだ4物件目の段階で厳しいことを言うようだが、一つひとつが勝負だ。現段階ではブランド力はないに等しい。他のデベロッパーの2倍、3倍の努力をしないと勝ち残れない。近く同社は「三鷹」で近鉄不動産と共同で分譲するという。楽しみにしたい。
リビング
3社共同で家具転倒防止商品を開発
三菱地所レジデンス、野村不動産、東京建物「スーパータック フィットMTN」
「スーパータック フィットMNT」
三菱地所レジデンス、野村不動産、東京建物の3社は8月28日、共同でマンションの家具転倒防止器具「スーパータック フィットMNT」を開発したと発表した。北川工業の協力のもとで約100回の加振実験を行い、その知見を基に商品開発を行うことにしたもので、マンションデベロッパーが共同して新たな商品開発の研究・監修をするという取組みは業界初。
実験に用いた家具転倒防止器具のサンプルには、家具頂部で家具側の固定パーツに「粘着ゲル」、壁側の固定パーツに「粘着ゲルまたはビス」を採用。固定パーツを「耐震バンドまたはプラスチック製アーム」で連結し、家具の足元の手前側には「滑り止め器具」を取り付けた。
実験の結果、震度7相当の地震でも家具転倒の危険性を低減させるためのデータを集めたという。
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マンションの家具転倒防止については、三井不動産レジデンシャルが一昨年の12月、新たな防災基準を設け、家具転倒防止対策も発表した。住戸内壁面に家具転倒防止下地を設置するほか、大型テレビなどにも対応できるよう上下二段の転倒防止下地を設置し、戸境壁についても上下二段に転倒防止下地を設置するというものだった。
記者は、三井不動産レジデンシャルが「画期的」な家具転倒防止策を打ち出したことで、他社も対応を迫られると思ったが、それが今回の開発につながったのだろうと考える。
「粘着ゲル」は壁クロスやコンクリート壁に取り付けるのだろうが、はがれないのか心配だが、三菱地所の広報は「下塗りのシーラーに工夫が凝らされているので大丈夫」とし、「それほど強力なゲルなら間違って手にくっついた場合、はがれなくなるのでは」との問いに対しては「私も試してみたがはがれる。事故につながることはない」と太鼓判を押した。
三菱地所レジデンスは来年1月以降に引き渡す物件で1住戸につき1セットと「水性シリコン下塗りシーラー」を無償配布する。東京建物は「詳細は決まっていないが、年内には採用したい」としている。野村不動産も「近いうちに採用していく」と話している。
3大阿波踊りの南越谷と高円寺を見続けて10年
ポラスと第三企画のCSRが意味するもの
「南越谷阿波踊り」フィナーレ
記者はこの10年間、本場徳島を含めて3大阿波踊りと呼ばれる南越谷と高円寺の阿波踊りをほとんど欠かさず見学している。
前者はハウスメーカー各社の広報担当者やメディアとの懇親が目的の「広報連絡会 臨時会」の参加者の一人として、後者は「第三企画」が「第三企画連」として踊りに参加しているのを写真に収めるためだ。前者の場合は、飲むのも目的の一つだから踊りを見るころにはかなり酔っ払ってはいるが、それでも「虹」とか「菊の会」など世界をまたに駆けて公演しているトップクラスの連の舞台踊りをみている。後者もまた、地元の有名連の一つ「殿様連」が第三企画連と一緒に踊っているので、やはりどこにも負けない踊りを見学している。この10年間を振り返って、阿波踊りの果たしている役割などについて考えてみた。
まず、南越谷阿波踊りについて。いうまでもなく、この阿波踊りは徳島県出身でポラスグループの中央住宅の創業社長・故中内俊三氏が呼びかけて始まったものだ。昭和60年8月24日に第1回目が行なわれている。観衆は約3万人だったという。それが、最近では毎年約60万人が集まるという。60万人といえば越谷市の人口の2倍近い数だ。参加連は70を越え、踊りに参加する人は延べ5000人にのぼるという。
中内氏が開催を提唱したころのポラスの売上高はせいぜい数百億円だったのではないか。今ではグループの平成25年3月期の売上高は1,531億円(前期比13.9%増)、経常利益は110億円(同1.1%増)にものぼる。従業員数は2,425人で、これもまた当時より数倍に増えているのではないか。中内氏が亡くなられて8年が経過する。中内氏が存命であれば今日の盛況振りをどう評価するだろうか。
記者がもう一つ考えるのは地域貢献のあり方だ。中内氏は「会社がつぶれても阿波踊りだけはつぶすな」と語ったそうだが、世間には宣伝のためにイベントを行う会社がたくさんある、しかし同社は地域密着企業として、地域と一緒になって努力し、汗をかいてきたからこそ共感を得られたのだろうと思う。CSRはどうあるべきかを考える意味でもこの南越谷の阿波踊りは参考になるはずだ。
ポラス「北辰連」
後片付けをするポラスの社員
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次に高円寺の阿波踊りについて。これももう説明するまでもなく全国に知れ渡っている。今回で57回目を数え、参加連は90を越え、観衆は本場の約130万人に匹敵する約120万人を動員するというから驚きだ。
第三企画はこの高円寺の阿波踊りに平成元年から参加している。同社の社長・久米信廣が連長を務める。徳島出身で若いときはミュージシャンを目指したという久米は重さ10キロもある鉦を軽々と片手に持ち、約10人の大太鼓の「暴れ太鼓」を鼓舞する。久米が「音の魔術師」なら太鼓の部隊は神業師だ。太鼓の部隊のほとんどは第三企画の印刷工場で重さ数十キロの紙と踊る紙業が日課だからだ。
この暴れ太鼓に呼応するのが殿様連の暴れ踊りだ。手に「弓張提灯」を持ち、腰を落として鳴り物を合図に一気に駆け上がる差込が得意技で、ドドドッと十数メートルも駆け回る。
この光景はどう控え目に見ても他を圧する。鳴り物の腕前は、殿様連の連長が「みんな本場に連れて帰りたい」と真顔で語ったほどだ。2年前は「観衆を楽しませた」として「青梅市友好賞」を受賞している。
記者のモットーである「記事はラブレター」は、第三企画の理念「人の前に明かりを灯す」と同義語だ。
第三企画連&殿様連
殿様連(左)と第三企画連
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この10年間の見学でたどり着いた結論は、阿波踊りこそ究極の盆踊りということだ。おんな踊りは極楽鳥ではないかということだ。編み笠は鳥の羽で、背を大きく見せつつも満月の光を遮り、かつ炬火の光で下から顔を照らす効果を狙っているかのようだ。浴衣の赤やピンクの裏地は日本古来の鴇色が基本だという。ステップを踏むごとに裾から白い脛がのぞく。久米の仙人(久米信廣ではない)は、洗濯する女性の白い脛を見て神通力をなくしたと徒然草はいう。記者も日本の女性をもっとも美しく見せるのは阿波踊り以外にないと思う。
第三企画連
殿様連
第三企画連&殿様連
大和ハウス 地方マンションが好調
上席執行役員・高井基次氏がこの1年を振り返る
「リュークス タワー」完成予想図
野村不動産の副社長から大和ハウス工業のマンション事業を統括する上席執行役員に昨年10月に就任してからほぼ1年。高井基次氏がこの間を振り返って、同社の現状や将来について熱く語った。
高井氏はまず、「首都圏で大手と張り合うにはまだ総合力が足りない」と同社の現状を冷静に分析した。しかし、地方の話になるとが然、多弁になった。
「各地方を回って大和ハウスのブランドはナンバー1であることがよく分かった。地方では再開発物件を中心に展開しているが、土地代はだだ同然で、建築費と利益が販売価格になる。再開発は補助金があるので他社とも互角以上に戦える。最近分譲した物件も極めて好調に推移している」と話した。
「プレミスト金沢駅西口」72戸が駅から徒歩4分と近く、単価も125万円と安かったため地方物件では初めて即日完売も記録したのをはじめ、「D’グラフォート盛岡駅前タワーズ」286戸、「ザ・呉服町タワーズ」279戸(非分譲23戸含む)、「ザ・レジデンス宇都宮」86戸(非分譲6戸含む)が早期完売した。
九州も佐賀県を除く各県の物件が好調だ。沖縄の坪171万円の30階建てツインタワーマンション「リュークス タワー」676戸も、8月に完成した「WEST」338戸が完売し、「EAST」も1億円を越える住戸を含め70戸が売れるなど好調に推移しているという。
好調の要因を高井氏は「いずれの物件もポテンシャルが高い最高の立地である」ことをあげ、「野村時代は首都圏と地方は仙台ぐらいしか経験がないが、ネタは豊富なことが分かった」と、今後も地方での積極展開する姿勢をみせた。函館では中心地の五稜郭でコンペの末、同社が事業参画することが決まり、金沢では旧制第四高校の前でも分譲するという。
今後の展開については、ハウスメーカーならではのものづくりの原点に立ち返って中長期ビジョンをつり上げることに力を注ぐという。「プレミストのブランド名を変えようという声もあるが、当面は『大和ハウスのマンションはいい』というお客さまの評価を得ることだ」とブランド名変更には否定的な考えを示した。