細田工務店 「低炭素住宅」「環境共生」ダブル認定の「杉並成田西」
「グローイングスクエア杉並成田西グランフィールズ」
細田工務店は12月18日、「認定低炭素住宅」と「環境共生住宅(システム認証)」を取得した分譲戸建て「グローイングスクエア杉並成田西グランフィールズ」(全20区画) の記者見学会を行った。
「認定低炭素住宅」制度は、建築物の低炭素化を図ることで低炭素・循環型社会の構築を目指す制度で、2014年12月に施行された。一定の基準を満たせば住宅融資、税制面で優遇する措置が取られる。
創エネとしてエネファームを採用した「アクティブ・エコ」と、サッシ形状、雨水タンク、こもれびツリー、スルーウォールなどの「パッシブ・エコ」を組み合わせることで、省エネ法の省エネ基準に比べ一次エネルギー量が10%以上削減される。
配棟計画では、近くを流れる善福寺川の緑地からの風の流れを解析し、街全体のゾーニングや各住宅の窓形状と位置を検証してプランニングしているのも特徴。
物件は、京王井の頭線浜田山駅から徒歩14分、杉並区成田西2丁目の建蔽率40%、容積率80%の地域に位置する全20棟。敷地面積は113.05~119.70㎡、建物面積は89.90~93.77㎡、価格は未定だが、6,000万円台から7,000万円台が中心になる模様。構造は軸組み工法で2階建て。竣工予定は平成27年12月から28年3月。販売開始は平成28年2月中旬。
玄関とは別の扉が付いた自転車置き場
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同社施工の他社分譲の戸建ては結構見学しているのだが、同社が分譲する戸建ては久々に見学した。なかなか意欲的な物件だ。
もちろん「認定低炭素住宅」「環境共生住宅」の認定を受けて、細かな点にも環境への配慮に取り組んでいることを強調したいのだが、一つ驚いた企画がある。
分譲戸建てを見学するたびに、自転車置き場がないことから敷地の外に置かれているのを見る。どうして自転車置き場を設けないのか不思議に思ってきた。
ところがどうだ。この物件には車庫スペースとは別に「自転車置き場」が設けられているではないか。畳3畳分くらいはあり、立派な門扉もついており、水道栓もセットになっている。
同社によると、お客さんの声を企画に反映させた結果で、全てではないが、敷地条件が整えば設置するようにしているという。
こうした細かな配慮がお客さんの感動を呼ぶ。もっとストレートにアピールすべきなのに、これも同社の社風なのか、同業他社と比べ控えめなのが正直に言えば歯がゆい。構造材などはほぼ100%国産材というのも他社にないアピールポイントだ。
植栽とスルーウォール(壁に穴が開いているのがわかる)
三井ホーム 平屋建ての新商品「WESTWOOD(ウエストウッド)」発売
「WESTWOOD(ウエストウッド)」予想図
三井ホームは12月18日(金)から平屋建てのフリー設計商品「WESTWOOD(ウエストウッド)」を沖縄を除く全国で発売する。
少子高齢化社会の進展により、わが国の約8割が3人以下の世帯で、コンパクトな住宅へのニーズが高まっており、フラットに暮らす平屋へのニーズも多くなっていることに対応するもの。
住宅着工に占める平屋建ての比率は増加傾向にあり、平成21年度が25,659戸で6.5%だったのが、25年度は37,248戸で7.4%に伸びている。
「WESTWOOD(ウエストウッド)」は、米国カリフォルニア州ロサンゼルスの街「WESTWOOD(ウエストウッド)」から命名したもの。アーリーアメリカンの外観と開放的で伸びやかなイメージが込められている。
街のランドマークとなるさわやかでインパクトのあるファサード、平屋でありながらのびやかに広がる大空間、こもり感のある+αの快適な屋根裏空間を実現。高い断熱性能や独自の「ダブルシールドパネル(DSP)」、「健康空調」なども随所に盛り込み、ZEHにも対応しているのが特徴。
同社常務執行役員 ・一色隆行氏は14日行われた発表会で、「世帯の少人数化、高齢化が進んでおり、平屋はマーケットメジャーになりつつある。当社は30年以上も前に大屋根の商品を発売しているが、今回、さらに付加価値の高い商品として快適で健康な住空間を提供できる。10月からプレセールを行っているが、すでに10棟を超える受注がある」と語った。
宮城県仙台市若林区に設置したモデルハウスのプロトタイプは建築面積99.81㎡、1階床面積90.12㎡、2階床面積42.31㎡、合計床面積132.43㎡。首都圏参考価格(消費税抜き)は3,447万円(坪単価682千円)。販売目標棟数は年間240棟。
大きな吹き抜け空間があるリビング
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注文住宅市場のことはよくわからないが、一戸建ては平屋がもっとも住みやすく、ぜいたくな暮らしができるのは言うまでもないことだ。大都市では土地の制約がありなかなか建てられないが、70~80坪あれば十分建てられる。同社が平屋を重視するのはよく理解できる。
平屋建ての分譲戸建てもなくはないが、事例は少ない。記者が見た限りでは、いかにも熟年向けの商品企画で、外観が貧相なものが多かった。
コスモスイニシア オーナー、建築家、施工、入居者と五重奏の賃貸戸建て「新座」
建築中の「CUBE17~じゅうなな~(キューブジュウナナ)」
コスモスイニシアは12月6日、コミュニティ形成支援付賃貸戸建住宅「CUBE17~じゅうなな~(キューブジュウナナ)」のメディア向け説明会・構造見学会を行なった。転貸する同社をはじめ事業主の環境開発研究所、設計の島﨑義治建築設計事務所、施工の藤島建設の思想とノウハウを結集した四重奏(カルテット)であり、入居者参加型という意味では五重奏(クインテット)のかつてない賃貸戸建てといえるかもしれない。
物件は、JR武蔵野線新座駅から徒歩12分、新座市大和田に位置する開発面積約2,400㎡、全17区画。一戸当たり土地面積117.70~163.00㎡、建物面積75.89㎡。構造は在来工法2階建て。入居開始は平成28年3月。賃料は未定だが、13万~14万円/月で検討されている。
プロジェクトは、事業主の環境開発研究所(埼玉県新座市)の「野原の中に家があるような、風通しの良い街を残したい」という思いに共感した島﨑義治建築設計事務所(東京都文京区)が基本・実施設計を行い、コーポラティブハウスとコモン付賃貸住宅などコミュニティがキーファクターの住宅を提供しているコプラス(東京都渋谷区)が監修。施工は藤島建設(埼玉県川口市)で、構造材や内外装材に国産材を採用する。
敷地内の無電柱化を図り、敷地境界柵・塀を設置しないでゆるやかに住宅をつなぎ、一戸一戸の住宅の向きを変えることでプライバシーにも配慮し、住宅の構造材には100%国産材を採用、1階床はヒノキの無垢材、天井高は約2.8mのカラマツの現しを採用するなど環境にも配慮しているのが特徴。
コスモスイニシアは8,900戸を超える賃貸運営事業の実績と、住宅分譲事業で行なっている入居者同士のコミュニティ形成支援で培ったノウハウを生かす。入居後もコミュニティサポートを行なっていく。
現地で挨拶した同社賃貸事業部事業推進部部長・塩見良二氏は、「オーナーの〝囲いのない公園の中にあるような街を作りたい〟という思いに島﨑さんが共感され、私どももマンションなどて進めているコミュニティ支援の取り組みは賃貸でも同様に重要だと共感して実現したプロジェクト」と話した。
イメージ図
模型
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これ以上ないレベルの高い賃貸住宅だろう。敷地のオーナーでもある環境開発研究所社長・奥田栄氏の〝こだわり〟がなければ、なにかにつけ(とくに心が)豊かでないと実現しないプランだ。
配布された資料によると、奥田氏は1949年生まれで、地元で300年の歴史を持つ奥田家の後継者のようだ(農地解放でどれだけの土地が残っていたのか)。東京工大大学院から同大学助手-日立製作所研究員-人間環境大教授などを経て環境開発研究所代表取締役に就任している。
基本・実施設計を担当する島﨑氏は1956年生まれ。京大大学院工学研究科を終了したあと内井昭蔵建築設計事務所勤務を経て、現在、人間環境大教授を務める。
この二人の経歴でもわかるように同じ大学で教鞭をとっていることと、コスモスイニシアのサポートが加わったことがプロジェクトの実現につながったようだ。
一つひとつは書かないが、わずか17棟しかないのに無電柱化し、敷地中央に6m幅の道路をつけ、敷地境界柵を取り払い、構造材に岩手県葛巻町の100%国産材を用い、外壁には防火下地処理を施した上でカラマツの下見板を張り、床はヒノキのフローリングとし、2.8mの天井を現しにする-こんな賃貸住宅を郊外に建てるオーナーなどいないはずだ。
敷地境界の柵を取り払った分譲戸建てとしては、横浜市住宅供給公社の定期借地権付き「十日市場」や、タカラレーベンの「大泉学園」がある。
奥田氏は配布資料にある島﨑氏との対談記事の中で次のように語っている。
「高度成長期以降、家の周りをブロック塀で囲むことが流行りだして、いまや囲いを作ることが当たり前になっている。セキュリティの面で言えばそれも当然だとは思いますが、囲いを作って守ることがむしろ犯罪の目隠しにもなりかねない。一見無防備のように感じられる囲いのない家のほうが、住民の目が届く可能性が高いですし、それが最大のセキュリティにもなるように思います」
これに対して島﨑氏は次のように述べている。
「(奥田さんの)考えは自分の考えに近かったので、深く共感しました。国木田独歩の小説『武蔵野』…その風景の面影はどこかに残したいと、新座の地に降り立った瞬間に思いました」「作り手がしっかりとした意思を持って住まう場所を創造しないと、住まい継がれるような名作は生まれない。このコミュニティを設計するにあたり、私はそんな想いを込めてイメージを具現化していきました」
奥田氏(左)と島﨑氏
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施工を担当する藤島建設は、島﨑氏によると「施工会社を選定するにあたり募集をかけたところ、手を挙げてくださったのが、国産材での住宅建設を得意とする藤島建設でした」とある。
この藤島建設については分譲戸建てを見学して改めて紹介する。
工事中の建物(天井の現し部分がよくわかる)
ポラス中央住宅 「坪庭」と「玄関」を一体化 学生コンペ作品を実物件化
「MIRAI’s 三郷中央nextstage『絆ぐ街。(ツナグマチ)』」
ポラスグループの中央住宅は12月3日、「玄関の新しいかたちを考える」をテーマにした分譲戸建て「MIRAI’s 三郷中央nextstage『絆ぐ街。(ツナグマチ)』」のモデルハウス見学会を行った。
同社が2014年に開催した「学生・建築デザインコンペティション」に応募があった全458作品の中から東京工業大学大学院・児玉理文氏(25)の作品「斜め玄関の家」を選び商品化したもので、従来の分譲戸建てにはない斬新なデザインが特徴だ。
物件は、つくばエクスプレス三郷中央駅から徒歩9分、三郷市中央4丁目に位置する全10棟。土地面積は133.05~168.02㎡、建物面積は99.78~110.13㎡、価格は3,880万~5,180万円。構造は在来工法2階建て。引き渡し予定は2016年6月。11月13日から分譲を開始しており、これまでに8棟が成約済み。
見学会に出席した児玉氏は、「提案は平屋建てで、実家で平屋に住んだことがあるのもヒントにした。『玄関』といっても、家の奥行きとか居心地などなかなか言葉では表現しきれないところがあるが、このように実物件化していただき、世の中に発信することができたばかりか、実際に住んでいただけるのがとても嬉しい」と喜びを語った。茨城県出身で独身。
商品企画・設計担当の中央住宅 戸建分譲設計本部 営業企画設計一課 参事・鈴木往道氏は、「分譲戸建てには土地の制限があり、玄関を広くすれば他にしわ寄せがでるのでそのバランスをどうするかで苦心したが、児玉さんのコンセプトを極力生かした。このような和モダンが商品として評価されるか不安もあったが、売れ行きも好調で、プロジェクトとしては成功した」と話した。
また、「学生・建築デザインコンペティション」の責任者、ポラス人事部 部長・石田茂氏は、「就職戦線は売り手市場。同業との競合も激しく人材を確保するのが難しくなっている今、学生さんに新しいメッセージを発信する目的でデザインコンペを行った。応募作品の中から実物件化する意図は当初からあった。今後も継続して行っていく」と、継続して実物件化していく意向を示した。
喜びを語る児玉氏
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モデルハウスはよくできている。コンセプトの「玄関」「坪庭」の提案が斬新だ。西側のデザイン格子に面した部分に外部吹き抜けの坪庭が配されており、エントランスと坪庭が一体となった空間を演出しているのが特徴だ。「前庭」とも呼べるものだ。
西から入る光と風を縦繁障子越しにイグサ畳を採用した和室に取り込み、さらにリビングから南側の窓に抜けるように工夫されている。
1階リビングの床や階段はタモ材、壁は珪藻土の塗り壁「寂び土」、引き戸は高さ2.4m、階段ステップは16段、キッチンカウンターはナラ、メイプル材などが採用されている。
使用されている家具や照明その他のインテリアも分譲価格に含まれているので10棟の中で一番高い5,180万円だが、その価値は十分あると見た。
左の格子戸付き玄関・エントランスと一体となった坪庭
和室から見た坪庭(縦繁障子とその奥の坪庭が見える)
外観デザイン(格子戸の玄関が印象的)
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驚いたのは同社のこれまでの三郷中央駅圏での分譲実績だ。2013年の第1次から今回の第11次まで201棟を供給しており、実に193戸を成約しているというのだ。今後も来年10月の第16次までトータルで293戸を供給するという。
三郷中央駅圏ではこれまで多くのマンションが供給されている。都心へのアクセスが比較的よく、総じて価格が安いことなどから売れ行きも好調だ。
しかし、商業施設の集積がいま一つで、駅周辺でも空き地が目立つ。戸建て分譲は容易でないと考えていたが、同社がこれほど多くの戸建てを供給し、売れ行きもいいというのは初めて知った。
なぜ売れるか。答えは簡単だ。埼玉県に限って言えば、劣悪な分譲戸建てが多すぎることにも一因はあるのだろうが、同社の商品企画は群を抜いているからだ。(外観デザインについてはもっと垢抜けたものにしてはと思うが、現に売れているのだから記者がいうべきことでないのかもしれない)
ケイアイスター不 全98戸の分譲戸建て「川越」街びらき
「北欧ハウスヴィレッジ川越~フレデリクスベア~」モデルハウス
ケイアイスター不動産は11月21日、同社の戸建て分譲としては最大規模全98棟の「北欧ハウスヴィレッジ川越~フレデリクスベア~」街開きを開催した。23日までの3日間で約1,400人の来場者を見込む。
物件は、東武東上線上福岡駅から徒歩20分、川越市大字下松原字鶴見野に位置する全98棟。1期1次(5棟)の土地面積は100.00~120.00㎡、建物面積は101.01~107.64㎡、予定価格は2,900万円台~3,700万円台。建物は木造在来工法2階建て。平成27年10月完成済み。
現地は、尚美学園跡地。全体敷地は南東から北西方向へ緩やかな傾斜が掛かっており、北東-南西軸が長い長方形。
商品企画について同社デザイン部・堀口幸昌氏は、「当初計画では117戸だったが、検討を重ね98戸に落ち着いた。安心・安全の商品コンセプトに集会所を設けることでコミュニティにも配慮した。住宅基本性能をあげるため樹脂サッシを採用。住宅の断熱性能を示すUA値は0.6にした。全体完成は来年7月で、来年度末までには完売したい」と話した。
「塾」がテーマのモデルハウスのリビング
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堀口氏が「来年度末までに(約1年4カ月)で完売したい」と強気な発言をしたのには驚いた。東武東上線の戸建て市場についてはよく分からないが、最寄駅から徒歩20分(現地のすぐ前にバス停があり、駅までは数分か)の立地では年間30~40戸販売が常識ではないかと思ったからだ。絶対的な価格の安さと基本性能の高さで差別化ができていると読んでいるのだろう。
街づくりでは、提供公園に隣接して集会所を設け、自治会を設立して居住者が街の維持管理を行う仕組みをつくることがいいと思った。
約6mのメイン道路が交差する部分と、道路につなぐ約2m幅の路地空間はインターロッキング舗装とし、路地にはLED照明を埋め込んでいる。路地の両端約50センチは居住者の敷地だが、その部分に植栽を施し、管理組合が管理するようにするという。
モデルハウスは3棟。「北欧ハウス」のコンセプトはいまひとつよく分からないが、「塾」をテーマにした1棟はリビングの壁面が書棚になっており、寺子屋のような和室の提案があり面白い。階段ステッフは全て15段。
提供公園と建設中の集会所
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住宅地の目の前のバス停に近所の人らしい年配の方ががいたので、声を掛けた。「ヘーベルタウンは5,500万円でも売れた。ここ(ケイアイスター不動産の住宅地)は造成にお金がかかっているので、価格を抑えるのに苦労したはずだ。4,000万円以上じゃ売れないね」などとその方は話した。確かに対面の住宅地には旭化成ホームズの「へーベルハウス」らしい建物がたくさん建っていた。
「ずいぶんお詳しいですね」と話したら、「僕は旭化成ホームズの社員だったんだ」ということだった。
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提供公園について一言。公園のほぼ中央には樹高約5mのシラカシがシンボルツリーとして植えられている。堀口氏は、「市の指導では、落葉樹はダメで、シラカシも枯れやすく根が張るから難色を示した。ハナミズキはいいと言われた」と話した。
提供公園は市が管理するから管理しやすい木や遊具にするよう指導するのはよく分かる。しかし、シラカシが枯れやすいというのは納得できない。落葉樹はダメなのに、落葉樹のハナミズキがどうしていいのかも理解不能だ。
シラカシはほっといても高さ20mには育つ。逆にハナミズキは繊細な木で、枯れることもある。花はきれいだが、秋から春先までは落葉するから貧相な姿をさらけ出す。成木でも樹高は数mくらいにしかならない。シンボルツリーにはやや貧弱だ。
ハナミズキといえば、最寄駅の上福岡駅西口からまっすぐ伸びる道路の街路樹はハナミズキだった。ほとんど落葉し、枯れてしまったのか植栽舛はところどころ黒く塗り込まれていた。
先日、ポラスのリノベーションマンションを見学した我孫子市天王台の街路樹クスノキは青々と茂っていた。街路樹は街の価値を左右する。余計なことだが、埼玉県は総じて街路樹が貧しい。
街びらきイベント
ナイス 首都圏の注文戸建て強化 同社初のモデルハウス「横浜」にオープン
ナイスホームの「パワーホーム」モデルハウス
このところ一戸建て事業を強化しているナイスグループのナイスホームが11月21日、同社としては初めてのモデルハウスを住宅展示場「tvkハウジングプラザ横浜」にオープンした。横浜を中心とするエリアの戸建て派の需要を開拓するのが狙いで、同社グループが2010年に開発した長期優良住宅の基準を超える基本性能を持つ「パワーホーム」の高性能・健康配慮を売りにリーズナブルな価格設定で差別化を図っている。オープンに先立つ20日、報道陣向けに説明会・見学会を行った。
「パワーホーム」は、住宅性能評価の「耐震等級」「断熱等性能等級」「一次エネルギー消費量等級」「劣化対策等級」「維持管理対策等級」で最高ランクの基準を満たし、国が定める「長期優良住宅」の認定基準を超える性能を持つ。
施工も楽で工期が短くて済み、釘は一切使用せず、同社が独自に開発した強度と粘りを兼ね備えた接続金物のみを用いて組み立てる構法を採用。解体も接続金物を外せば簡単に解体できる特徴を持つ。
説明会で挨拶した同社社長・勝間田清敏社長(ナイス取締役常務)は、「パワーホームはこれまで神奈川県の5カ所の『街かどモデルハウス』で紹介してきたが、今回、日本一の展示場に拠点をオープンすることができてワクワクしている。65年前に材木屋としてスタートしたDNAは生きており、トレーサビリティを含めて一気通貫、ワンストップでやれるところは当社以外ない。また、世界的な潮流として木材のよさが見直されてきており、エコで安心・安全、健康志向の流れを加速させる」などと話した。
また、ナイス取締役執行役員住宅事業本部長・木暮博雄氏は、「これまでパワーホームは地方都市を中心に販売してきたが、これからは『健康』をテーマに加えて販売していく」と力を込めた。
モデルハウスは、3階建てで、1階は同社が仲介店で行っている出入りが自由な〝オープンカフェ〟スタイルを採っており、自由に入ってコーヒーなどが飲めるほか、土地なしユーザーへは土地情報の提供も行う。モデルハウス部分は2階・3階で延べ床面積は126.69㎡。等身大の大きさと設備仕様が特徴。リビング天井は表しの梁、フローリングは2ミリの挽き板、外部デッキは無垢のウッドデッキを使用しているのが特徴。建物標準価格は2,180万円。
勝間田氏(左)と木暮氏
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同社の〝やる気〟度をアピールする説明会・見学会だった。報道陣には見学会後、パワーホームがいかに簡単に組み立てられるか、接合金具がどのようなものかを見せる「パワービルド工法の建て方実演」も行った。
スカート、ハイヒール姿の女性2人を含む数人の同社社員がいとも簡単に組み立て、「素人でも組み立てられる」と木暮氏が話したことが嘘ではないことを証明した。
使用されている接合金物は、EUの基準適合マークCE(日本のJISマークのようなもの)を取得したもので、雨にぬれてもさびにくいスグレモノのようだ。
肝心の販売目標などについては、発言予定時間20分を6分もオーバーして熱弁をふるった勝間田氏も「まずは展示場の手ごたえを見てから」と明言を避けた。10棟なのか200棟なのか、それ以下なのかそれ以上なのか記者もさっぱり分からない。
しかし、〝入りやすい〟〝等身大〟は効果を発揮するのではないか。「tvkハウジングプラザ横浜」には大手ハウスメーカーを中心に66棟のモデルハウスが展示されており、年間の来場者数は約12万人だ。
取材の前後約1時間を使用してほとんどのモデルハウスの外観デザインを中心に見て回った。
記者は木造ファンなので、明らかに鉄やコンクリートでできていると思わせる住宅の評価を低くし、木造の良さがよくアピールできているものを高く評価した。基準は単純、好きか嫌いかだ。
その結果、もっともいいと思ったのは三井ホームの等身大モデル(64)だ。同社のデザイン力にはいつもだが惚れ惚れする。次が住友不動産(80)。これもシックで格子が美しい。3位がアキュラホーム(23)。広い間口で、落ち着きがある。ほかでは積水ハウスのシャーウッド(60)、スウェーデンハウス(67)、一条工務店(38)、イシカワ(33)、住友林業(51)などがよかった。ナイスホーム(29)もベスト10には入る。ミサワホームは鉄骨系(67)がよかった。
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取材とは関係ないが、勝間田氏の挨拶を聞きながら記者は「へえっ、そんなこともあるのか」と、故・勝間田清一社会党委員長とよく似た名前に興味を持った。
取材後、勝間田氏本人に確認した。勝間田氏は「住んでいるところが一緒だった。御殿場です。姻戚関係があるかどうかはわかりません」と答えた。しかし、「うちのスタッフは勝間田清一が誰なのかほとんど知る者はいない」とのことだった。
パワービルド工法の建て方実演(耐力壁ジャパンカップに出場したら施工の簡単さ、解体の速度は間違いなくナンバー1)
ナイス、横浜市・慶大と連携して「スマートウェルネス体感パビリオン」(2015/10/20)
リスト 「深沢」で戸建て分譲 「ZEH」売りに販売も順調
「リストガーデン オーレリアン深沢」
同社初の「セロエネルギー・ハウス(ZEH)」が「リストガーデン オーレリアン深沢」だ。
物件は、東急大井町線等々力駅から徒歩18分、東急田園都市線桜新町駅から徒歩20分、世田谷区深沢5丁目に位置する全5戸。土地面積は94.79~100.48㎡、建物面積は85.28~93.57㎡、現在分譲中の住戸(3戸)は7,688万円・8,198万円・8,398万円。構造は2×6工法2階建て。建物は竣工済み。
「セロエネルギー・ハウス(ZEH)」は、高気密・高断熱の建物に加え、太陽光発電システムで電力を創り、自分の家で消費するとともに余った電力を電力会社に売ったりして、年間の消費エネルギーより創った電力のほうが多いかあるいはゼロになる住宅のことだ。家の電力を賢く使う「エコハウス」をさらに一歩進めたもので、国は2020年までに新築住宅の平均でZEHを実現する目標を掲げている。
同社は、そうした動きを先取りして建売住宅にも採用したもの。販売を担当する同社・杉山正樹氏は「気密性を測るC値は0.7~0.4で業界トップクラス。断熱性能も高く、住宅を丸ごと断熱材で覆っている。世田谷区はネットで検索すると600件近くもヒットする建売住宅の激戦地だが、こうした徹底した差別化で早期完売を目指す。値段の高い住戸から2戸売れており、販売は順調」と話していた。
モデルハウス
◇ ◆ ◇
「ZEH」は時代の流れだ。これまで建売住宅にどれだけ採用されているか知らないが、世田谷区では初めてではないか。
周辺には1億どころか10億円もしそうな邸宅がたくさん建ち並んでいる。リストの物件は土地面積が30坪もないが、ZEHは大きな武器になるはずだ。
リスト 戸建て「鵠沼」 ランドスケープデザインが秀逸
「リストガーデン鵠沼桜が丘」
リストが分譲中の戸建て「リストガーデン鵠沼桜が丘」と「リストガーデン オーレリアン深沢」を見学した。前者は藤沢駅徒歩圏の全14棟の2×6工法の「エコハウス」、後者は高級住宅街に位置する同社初の全5棟の「ゼロエネルギー・エコハウス」だ。まず、前者から紹介する。
物件は、JR東海道本線藤沢駅から徒歩15分、小田急江ノ島線本鵠沼駅から徒歩8分、藤沢市鵠沼桜が岡1丁目の風致地区に位置する全14棟。土地面積は125.38~150.71㎡、建物面積は96.15~99.96㎡、現在分譲中の住戸(2戸)の価格は5,458万円・6,148万円。構造は2×6工法2階建て。建物は全棟完成済み。
現地の従前は邸宅。風致地区にふさわしく一戸当たりの敷地面積を125㎡以上とし、みどりをたくさん採り入れた外構と、建物外観デザインに木製のサイディングを施した同社の「リゾマーレ」スタイルを採用しているのが特徴。
販売責任者の同社販売営業部課長・海藤義弘氏は、「高気密・高断熱で、やさしい家がコンセプト。風致地区なので日照・通風にも配慮した。出来栄えもいい」と話していた。
外壁には本物の杉板が使用されていた
◇ ◆ ◇
同社の戸建ては久々に見学したが、同社の戸建てはどんどん進化しているとみた。
ランドスケープデザインが素晴らしい。各敷地にはカツラ、シラカシ、モミジ、コナラ、ヤマボウシ、ソヨゴ、コブシなどの中高木が数えきれないほど植わっていた。樹種にして20種ぐらいあったのではないか。
建物の外観デザインもいい。全体は白が基調で、ほぼ1棟置きくらいにスギの羽目板をデザインした壁が印象的で、外壁には櫛引き文様の仕上げがされていたものもあった。
設備仕様では、2階リビングタイプには1階の玄関サイドに手洗いシンクが設置されていた。子どもが泥んこになって帰ってきたときなど、ここで手を洗い、泥を落とすのに設置したようだ。これはなかなかいいい。
周辺には立派な一戸建ても建っており、住環境としても申し分ない。11月下旬から第2期の分譲が開始される。
街並み
ポラス 電柱地下化、タウンセキュリティ導入した「春日部」 好調スタート
「春日部ザ・パークアソシエ パレットコート」(既分譲)
ポラスグループの中央グリーン開発が11月14日、全190戸の大規模戸建て住宅「春日部ザ・パークアソシエ」の最終分譲となる「パレットコート」(40戸)の分譲を開始した。14、15日の2日間で第1期1次分譲12戸のうち11戸に申し込みが入るなど好調なスタートを切った。
物件は、東武スカイツリーライン春日部駅から徒歩21分(バス便あり)、春日部市大沼4丁目に位置する開発面積約30,000㎡、全190戸の住宅地の一角。1期1次の土地面積は100.02~140.06㎡、建物面積は97.60~111.78㎡、価格は2,780万~3,990万円。構造は木造2階建て(在来工法)、施工はポラテック。入居予定は平成28年5月。
「春日部ザ・パークアソシエ」は7年前に、東武鉄道とコスモスイニシアが分譲開始した住宅地。電柱を地下化し、幅員8m(舗道2m含む)の道路はインターロッキング舗装、街の出入り口に防犯カメラを設置し、全戸に「セコムホームセキュリティ」を標準装備。建築協定を締結し、管理組合によるコミュニティにも配慮しているのが特徴。
中央グリーン開発は5年前に、コスモスイニシアから事業継承を受け、戸建て58戸を分譲し、そして今回、東武鉄道から事業継承を受けて更に40戸を分譲するもの。
この間、管理組合と協議を重ね、既存の街並みと融合するように通りに面した住宅の外観を揃えるなどの工夫を凝らしている。
14日から分譲を開始し、好調なスタートを切ったことから、同社は来年5月の入居開始まで全戸完売する目標。
モデルハウス
「ペニンシュラキッチン」
◇ ◆ ◇
東武伊勢崎線に居住する方々には失礼だが、春日部にこんな立派な住宅街があるとは全然知らなかった。コスモスイニシアと東武鉄道がかなり力を入れていたことがうかがわれる。それなのになぜ、ポラスグループに事業継承したのかその理由は書かないが、受けたポラスも力があるということだろう。
今回のテーマは「4つのカフェスタイル」。3つの外観に4つのこのカフェスタイル、2つのキッチンを提案しており、全部で24通りの手づくり感が込められているのが特徴だ。外構もよくできている。
モデルハウス2棟を見学したが、よくできている。1階の天井高は約2.7mというのは同社グループの戸建てと一緒で、階段のステップは15段。食洗機は標準装備、引き戸は全て開閉ともソフトクローズ機能付き。
「ペニンシュラキッチン」には、熱・汚れ・傷・衝撃に強い高圧メラミンワークトップが採用されていた。デザインもよく、グレード感もする。
街なみ
インターロッキング舗装と植栽
三井不レジ 都市型戸建て「三鷹フォレストプレミア」 光と風、取り込む
「ファインコート三鷹フォレストプレミア」
3物件目の三井不動産レジデンシャル「ファインコート三鷹フォレストプレミア」。こちらは敷地延長部分やカーポートに工夫を凝らすことで、各住戸に光りと風を取り込む商品企画が抜群だ。
物件は、京王井の頭線三鷹台駅から徒歩20分(三鷹、吉祥寺、久我山、千歳烏山からのバス便あり)、三鷹市牟礼7丁目に位置する全13戸。土地面積は114.66~116.65㎡、建物面積は91.08~92.94㎡、第1期(戸数未定)の予定価格は5,900万円台~7,000万円台(最多価格帯6,100万円台)。構造は2×4工法2階建て。施工はエステーホーム。入居予定は平成28年2月上旬。販売開始は12月上旬。
現地は、三鷹台駅からだと距離があるが、三鷹、吉祥寺、久我山、千歳烏山からのバス便が利用できるのが特徴だ。ここも従前は畑。
建物デザインを担当するのは三井ホームデザイン研究所・稲垣秀晃氏、アレス建築設計事務所・小泉弥生氏、小川建築設計・高橋慶郎氏。マナーハウスの意匠を採り入れた「エーシェントマナー」、木調の垂直ラインを強調した洋館の「ティンバーピラー」、フランク・ロイド・ライトの水平ラインを取り込んだ「インガルスプレーリー」の3つのスタイルを採用している。
工事中だが、手前は3棟のカーポートを集約し、その奥は2棟の敷地延長部分を緑化している
敷地延長部分
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この物件の特徴は、隣り合う住戸の敷地延長部分に緑をたくさん配することで路地風空間とし、カーボードを3棟分連ねることで、空間の広がりを持たせていることだ。敷地境界にフェンスなど設けず、限られた敷地・空間をそれぞれが共有・補完しあい、光と風を取り込む工夫がなかなかいい。
設備仕様などは「つつじヶ丘」とほとんど同様だ。都心に近いだけこちらのほうが価格は高くなりそうだ。
モデルハウスでは、リビングの折上げ意匠天井とそれに続くDENの提案がいい。外観に塗り壁調サイディングを施した住戸もあった。
同社は今年、三鷹市牟礼3丁目で「ファインコート三鷹台」全30棟を分譲したがわずか3カ月で完売したという。こちらも早期完売しそうだ。
敷地延長部分の路地空間(左側は未完成)
外観