各事業・エリアでナンバー1を奪取 大和ハウス・大野直竹社長 年頭所感
2016 年 年頭所感
大和ハウス工業・大野直竹社長
昨年はアベノミクス効果により、企業業績も回復し、消費マインドの持ち直しが見られました。住宅業界でも「住宅購入に対する贈与税非課税枠の拡充」や「省エネ住宅ポイント」などの各種施策により、回復の兆しが見られた年でもありました。
そのような中、当社グループ役職員全員の弛まぬ努力により、創業60周年を迎えた昨年、過去最高の業績を達成することができました。これも企業理念であるパイオニア精神のもと、常に挑戦者の立場で創意工夫を積み重ねてきた結果です。
しかし、好業績でも、決して慢心してはいけません。皆さんは、「大企業病」に陥らないよう、スピード感を持って、謙虚な気持ちで行動し、様々なリスクへの対処も怠らないでください。
本年は2017年4月に控える消費税再増税により、需要の増加が予想されます。一方で、2017年は増税後の反動が顕著に表れる可能性があり、経済情勢も先行き不透明な状況です。
そのため、2016年は「来るべき時に備え、築く年」と考えてください。将来開発可能な物件の購入や用地の仕入れはもとより、多くの方々の役に立ち、喜んでいただける商品開発やサービスの提供に取り組み、来たるべき時に備えてください。
また、売上高4兆円への歩みを着実なものとするためにも、コア事業である住宅事業が業界シェアナンバー1 になることはもちろん、全事業部で改革を推し進め、各事業・エリアでナンバー1を奪取してください。さらに、4月から始まる第5次中期経営計画では、失敗を恐れず、勇気とスピードを持って「プラス2、プラス3の事業」を創出するとともに、国内で培ってきた事業の海外展開を積極的に進めてください。
最後に、東日本大震災の発生から、多くの方が避難生活を余儀なくされています。当社グループは引き続き被災地の早期復興に向け、支援活動を続けていきましょう。
(見出し、改行などは記者が行いました)
ZEH・省エネ、女性活躍など強力に推進 積水ハウス・阿部俊則社長 年頭所感
2016年 年頭所感
積水ハウス代表取締役社長兼COO・阿部俊則
新年明けましておめでとうございます。
社会がめまぐるしく変化する中、住宅産業を取り巻く状況も日々、移り変わっています。
積水ハウスは現在、「請負型ビジネス」「ストック型ビジネス」「開発型ビジネス」の三つのビジネスモデルで事業を展開しています。リーマンショック以降の構造改革、グループ連携などにより、各事業の収益基盤が確立し、利益成長を三つのビジネスモデルでバランス良く支える体制が整ってきたことで、業績が好調に推移しています。
昨年、誕生から30年を超えた「イズ・シリーズ」にオリジナル外壁「ダインコンクリート」の新柄「シェードボーダー」を導入し、木造住宅「シャーウッド」では、天井高の自由度を高めることができる「20周年記念モデル」を発売しました。さらに好調な3・4階建て住宅では、業界最高水準の遮音性能を誇る「シャイド50」を用意するとともに、4階建ては型式認定を取得するなど、ブランドビジョン「SLOW & SMART」を機軸に、 付加価値の高い商品提案でブランドづくりに注力しています。 いずれも性能やデザインなどの付加価値向上というお客様に歓迎される変化、つまり進化です。
これからは施工力の確保がこの業界で勝ち抜く鍵を握ります。生産においては、ロボットやITを活用しながら生産から設計、施工まで全体で改革を進めています。一方で、工事店を含め、施工力向上に向けた人材育成にも注力しています。
また、積水ハウスの成長には、女性の活躍が欠かせません。女性管理職も増えるなど「ダイバーシティ推進室」設置の成果が随所に表れています。
COP21での日本の公約達成に向け、家庭部門のCO2排出量削減の推進のため、2020年に住宅メーカー等の新築の半数以上をゼロエネルギーハウス(ZEH)とし、省エネリフォームも倍増するという政府方針が打ち出されました。
積水ハウスのゼロエネルギーハウス「グリーンファースト ゼロ」の戸建住宅における比率は、2015年度上期で既に74%を占めますが、これまでの目標を上方修正して2020年までに80%に高めるとともに、省エネリノベーションを強力に推進します。
COP21の「建物及び建設部門における共同宣言」に、国内で唯一賛同・署名した企業としても率先してこれらの取り組みを進めて参ります。
「社会に必要とされる会社」であり続けるために、社会の変化に柔軟に対応し、社会課題を解決しながら、中期経営計画の最終年度の今年は、さらなる飛躍を目指します。
(見出し、改行などは記者が行いました)
三菱地所グループ 山梨県産FSC認証木材の企画提案コンペに当選
三菱地所、三菱地所ホーム、三菱地所住宅加工センターは12月11日、藤原造林(代表企業)、林友、林ベニヤ産業と共同で、山梨県が新設した県有林に関する企画提案コンペ「やまなし提案型システム販売(一般製品部門)」に当選したと発表した。
同制度は、国際的な森林認証であるFSC認証を国内の公有林で初めて取得した山梨県有林木材を認証材需要者に直接、安定的に供給することにより、加工・流通の合理化を促進するとともに、認証材の有利性を生かした販売 網を構築し、需要拡大を図ることを目的に同県が本年度に新設したもの。
今回、同社グループが当選したことで、FSC 認証材の安定的な調達ルートが確立され、川上から川下までを繋ぐ流通体制の構築により、環境や地域社会に配慮し経済的 にも持続可能な責任ある木材の利用をこれまで以上に推進することができるとしている。
三菱地所ホームは2011 年8月から木造ツーバイフォー工法による住宅建築においてFSC認証材の採用を進め、主要構造材におけるFSC認証材比率は、住宅メーカーとしてトップレベルの約20%になっている。
スウェーデンハウス 豊洲モデルハウスで藝大染織専攻学生の作品展
聖ルルチア祭をモチーフにしたカーテン「ユールの夜に」(左)と東京藝大での制作風景
東京藝術大学美術学部工芸科染織研究室(菅野健一教授)は11月28日(土)~12月25日(金)、「スウェーデンハウス豊洲モデルハウス」(江東区豊洲6-1-9 スマートハウジング豊洲まちなみ公園)で「東京藝術大学染織専攻作品‐Jul(ユール)」展覧会を開催する。
展覧会は授業カリキュラムの一環として取り組むもので、スウェーデン大使館の後援とスウェーデンハウスの協力を得て、スウェーデンのクリスマス「Jul(ユール)」をテーマにした作品を発表する。
◇ ◆ ◇
同大学の開催案内状には「スウェーデンの長い冬は、住まいを美しく飾るスウェーデン文化を生み出したと言えます。美しいものに囲まれる、心地よい空間を作り上げる、そして季節や行事によって空間をしつらえるという考え方は、住空間とアートの関係を考える上で重要です。暮らしを豊にする藝術作品を制作し、実際にモデルルームで展示する事で、新しい藝術文化の可能性を探ります」とある。
スウェーデンの文化を理解するうえで参考になる小説として、イギリスの作家、トム・ロブ・スミスの近著「偽りの楽園」(新潮文庫、上下)をお勧めする。スミスのお母さんはスウェーデン出身で、そのお母さんがモデルになっているのではと思わせるシーンがたくさん出てくる。読み出したら止まらない。
数年前大ヒットしたスティーグ・ラーソンの小説「ミレニアム」(ハヤカワ ミステリ文庫)とともに最高に面白い。
野村不動産 「飯田橋駅中央地区」の再開発に事業参画
飯田橋駅中央地区再開発準備組合は11月30日、千代田区飯田橋四丁目及び富士見二丁目の一部の再開発計画「飯田橋駅中央地区」に事業協力者として野村不動産を選定し、具体的な計画策定に着手したと発表した。
「飯田橋駅中央地区」は、開発のすすむ飯田橋駅西口地区とアイガーデンエリアをつなぐ重要な地区で、また、JR 飯田橋駅東口と目白通りが交差する人通りの多い立地であるにも関わらず、広場空間がないことがまちの課題とされてきた。
再開発計画では、駅前広場など歩行空間の拡充によって地下と地上をつなぎ、みどりと賑わいのネットワークを強化するとともに、目白通りから奥まった住宅棟周辺はやすらぎを大切にした屋外空間を創出する。施行面積は約1.0ha。
野村不動産は隣接街区の「飯田橋プラーノ」(2009年3月完成)の再開発事業に特定業務代行者・参加組合員として住宅、事務所、店舗を中心とした複合再開発に取り組んだ実績がある。
東急グループ 記者懇談会「自立と共創」理念に納得
「東急グループ記者懇談会」(「ザ・キャピトルホテル東急」で)
「東急グループ記者懇談会」が11月20日、行われた。初めて出席・取材した。
参加企業は東急電鉄をはじめ東急不動産ホールディングス、東急不動産、東急コミュニティー、東急リバブル、東急レクリエーション、東急建設、世紀東急建設、東急バス、東急百貨店、東急ストア、東急モールズデベロップメント、東急カード、東急エージェンシー、イッツ・コミュニケーションズ、東急セキュリティ、東急ホテルズの17社。
当日配布された資料によると、17社の2014年度の売上高総額は2兆1,740億円(うち東急電鉄の連結は1兆670億円)、従業員数は31,500人だ。ほとんどの会社の社長か副社長が出席していた。
冒頭、挨拶した野本弘文・東急グループ代表(東急電鉄社長)は、二子玉川2期プロジェクトの完成で乗降客が2割増えたことを紹介したあと、渋谷ではヒカリエに次ぐ「渋谷駅街区・東棟」「渋谷駅南街区」などについて触れ、「五輪までに100m超の建物が新たに5本できる。スカイツリーに対抗するわけではないが、日本一訪れたい街にしたい。電力の小売りも開始する。仙台空港の監理運営も行う。来年3月には銀座5丁目プロジェクトも完成する。これからも一丸となって『一つの東急』としての連携を強化していく」などと語った。
野本・東急電鉄社長
◇ ◆ ◇
「東急グループ」が「東急電鉄グループ」でないのは不思議だが、三井も三菱も住友も具体的な企業名が付されていないのと同じだろう。売上高構成をみても東急電鉄の連結売上げより他社の売上高のほうが大きいので、「東急グループ」と呼ぶのがふさわしいのかもしれない。
東急グループの経営理念には「自立と共創により、総合力を高め、信頼され愛されるブランドを確立する」とある。東急電鉄が頂点に君臨し支配するのではなく、各企業が連携しながら自立する」ということだろう。
公共的役割が大きく、人口減少社会の到来で運輸業のみでは成長できないことを見越した戦略なのだろう。
記者の取材フィールドは住宅・不動産なので、いつも三井、三菱、住友の財閥系御三家と東急不動産グループの事業を比較してみてきた。「自立と共創」の理念からすれば、不動産グループもまた電鉄からの自立を求められていると理解した。他の電鉄系デベロッパーとはここが違うところだ。
◇ ◆ ◇
東急電鉄の1日当たりの乗降客数は約300万人、東急バスは約200万人。合計で約500万人の人が利用している。「乗降客数は一時期減ったことがあるが、沿線居住者が増えており、毎年1~2%増加し続けている」(今村俊夫東急電鉄副社長)。
これは電鉄会社の大きな強みだ。毎日、これだけの人の〝足〟になっているのだから、利用客をファンにするのは容易なことだ。福祉政策という意味ではなく生活サービスを提供できるという意味で〝ゆりかごから墓場まで〟事業展開できる。
実際に電鉄会社はそうしたサービスを行っているところがあるが、東急にはそれがないのが不思議なくらいだ。タクシー会社も現在はないようだ。
それでも〝東急〟の看板は他の私鉄会社を圧倒していると思う。渋谷と横浜を結ぶ東横線沿線は、私鉄沿線の中でもっとも住宅地として人気が高く、マンション単価も相対的に高い。
田園都市線も〝丘〟〝緑〟〝野〟〝藤〟などの駅名が多く、沿線には東京工大、学芸大、都立大などの大学(駅名)がある。東京都市大と亜細亜大学もグループで経営している。
これだけ他の私鉄会社より優位な位置を占めながら、不思議とナンバー1の業種がないとずっと思ってきた。
ところが、そうではない。東急コミュニティーだ。売上高は1,183億円で、日本総合住生活の1,150億円(12年3月期)を上回り、大京アステージの509億円(15年3月期)の倍以上だ。
同社はマンションとビルの管理が中心で、12月に開業する「JPタワー名古屋」の管理業務を受託する。同社の強みは技術力だと常々思っていた。従業員約13,000人のうち宅建士、管理業務主任者、建築士、マンション管理士などの資格保有者は約14,000人(重複含む)に達する。岡本潮社長は「本気で採用・教育している。そのうちに圧倒的なナンバー一になる」と話した。
「ザ・キャピトルホテル東急」(新しくなった「パレスホテル東京」も素晴らしいが、現時点で日本資本のホテルでは記者は「ザ・キャピトルホテル東急」がトップクラスだと思う。隈研吾氏らしいデザインがふんだんに施されており、隠れ家的な雰囲気もある)
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業界ナンバー1企業は少ないかもしれないが、記者は東急設計コンサルタント、石勝エクステリア、東急ハンズなどとともに東急エージェンシーはずっと気になっている会社だ。東急グループのブランディング戦略の中核企業だと思っている。
そこで、桑原常泰社長に聞いた。「当社はハウスエージェンシーではない。東急グループ関係の売り上げは全体の4分の1以下だ。東急グループに横串を差し、BtoBからその先のBtoCも当然視野に入れている」とのことだ。この会社の動きにも注目したい。
東急不動産グループについてはいつも取材しているのでおおよその動きは分かる。植村仁・東急不動産社長には分譲戸建てに力を入れてほしいとお願いし、榊真二・東急リバブル社長とは「女性活躍」について花を咲かせた。
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読者の皆さんは2014年度 第25回 ミズノスポーツライター賞を受賞した「洲崎球場のポール際」(講談社)という本をご存知か。
選評には「文句なく面白い。忘れられた洲崎球場についての著者の探索は、当時の新聞雑誌の渉猟はもとより、資料や古地図を当たり、川上はじめ生存者の証言を聞き(特に試合を見た当時の少年たちの話が貴重)、新聞の載った球場の航空写真をもとに復元模型まで作ってしまうのである。文章は読みやすく(少し凝り過ぎの表現もあるが)、試合の様子など、新聞記事をもとにしているだけに迫真の表現である」とある。
著者は東急電鉄社長室広報部広報課長・森田創氏だ。お父さんは三重県津市の出身だそうで、森田氏を紹介してもらった東急不動産の広報担当・Iさんも記者も三重県出身なので大いに盛り上がった。今度買って読もう。
森田氏
大和ハウスに拍手喝采 プレス向けに出入り自由のブース設置
「プレスブース」
大和ハウス工業の2016年3月期第2四半期決算は、売上高1兆5,355億円(前年同期比15.9%増)、営業利益1,304億円(同62.8%増)、経常利益1,291億円(同56.8%増)、四半期純利益927億円(同50.4%増)となり、いずれも過去最高を記録。戸建住宅、賃貸住宅、マンション、住宅ストック、商業施設、事業施設の6セグメントで増収増益となった。
好業績を受けて、通期業績予想も売上高3兆1,800億円(期初予想3兆円)、営業利益2,400億円(同2,000億円)、経常利益2,280億円(同1,920億円)、当期純利益1,540億円(同1,250億円)に上方修正。配当金も期初予想の年間70円から80円(創業60周年記念配当10円含む)に増配する。
◇ ◆ ◇
11月10日、飯田橋にある同社東京本社で「マスコミ向けスモールミーティング」が行われた。ミーティング終了後、大先輩記者のF氏から「大和ハウスが自由に出入りできるプレス向けのブースをつくった。入ってみよう」と声を掛けられた。
プレス向けのブースは水道橋駅寄りの1階エントランスを入って左側の角にあった。広さは約10畳大。
中央に4人くらいが掛けられるテーブル付きソファが設えてあり、雑誌約20誌、同社のリリースや社史、パンフレット、大型テレビ、コピー機、広報直通の電話機もある。コーヒーもブラジル、キリマンジャロ、モカ、コロンビア、エスプレッソの5種から自由に飲めるようになっていた。もちろん、パソコンを持ち込めば原稿も書ける。
◇ ◆ ◇
せっかくだからと、F氏とコーヒーを飲むことにした。紙カップにインスタントの粉末を入れて、コーヒーメーカーのお湯のボタンを押したのだが、全然湯が出ない。そこで、「これは広報に連絡したほうがいい。湯が出ないではないかと」F氏をそそのかした。Fしは備え付きの電話機で連絡した。
間もなく広報の女性2人が降りてきて、「ここ(湯が出る口の背後にある突起物のようなもの)にカップを当てながらボタンを押すと出ますよ。チャイルドロックのように、危険防止のためにこうしているんです」と利用の仕方を説明してくれた。
F氏も記者もこの種のウォターサーバーはほとんど利用したことがないことが露呈した。「あなたたちは子どもよ」と言われたような気がした。
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これはいい。大和ハウスもなかなかやるもんだ。どんどん利用したほうがいい。原稿を書くのもよし、雑誌を読むのもよし、広報に連絡し、いろいろと情報を仕入れることもできそうだ(対応してくれるかどうかは分からないが)。タバコも2階に上がれば喫煙室がある。記者はすぐ賃料をはじき出したが、これは書かない。
同社によると、スペースを設けたのは今年5月で、これまで多くの記者が利用しているという。記者ならだれでも利用できるが、受付で利用する旨声掛けすることが必要だ。
F氏によると、かつて積水ハウスが記者向けのスペースを提供していたというが、いまはどこのハウスメーカーもやっていないという。記者の知る限りデベロッパーもこの種のサービスはやっていない。国など行政がやっている記者クラブ制度は、記者は上手に活用していないという意味で反対だが、民間は記者を育てる意味でこの種の便宜は図っていい。大和に拍手喝采。
「国産材を活用し、地方創生にも寄与したい」 三井ホーム・市川社長
三井ホーム市川俊英社長は10月30日行われた決算説明会で、「2×4工法による大規模木造建築は数年前から積極的に取り組んできており実績も積んできた。足立区の老人ホームは3,000坪という巨大な建物。また、2×4とCLTは工期も短くて済み相性もいい。わが国の山林は伐採期を迎えており、コストの問題もあるが、国産材を構造材に活用し、地方創生にも寄与したい」などと語った。
同社は、国土交通省の「木造建築技術先導事業」に選定された足立区の5階建て延べ床面積約9,000㎡の老人ホームの建築を進めており、また、林野庁の補助事業「CLT建築等新たな製品・技術を活用した建築物の実証事業」についても同社グループの三井ホームコンポネトの事務所棟計画が採択されことを受けて発言した。
ナイス 環境・健康が学べるパビリオン 「木造のよさ医学的に証明する」平田社長
「スマートウェルネス体感パビリオン」
ナイスが10月31日(土)、横浜市と慶応大学との共同プロジェクト「スマートウェルネス体感パビリオン」を開設する。「見て・触れて・感じて・知る」をコンセプトに、「温熱」「空気」「睡眠」「安心・安全」「省エネ・エコ」の5つの要素を中心に「スマートウェルネス住宅」の仕組みを学ぶことができる。開設に先立つ27日、関係者らでオープン記念セレモニーが開催された。
「スマートウェルネス住宅」とは、ICT技術と省エネ・創エネ・畜エネの「スマート住宅」の概念を広げ、多様な世代が安心で安全、健康、快適な暮らしを目指すもの。
パビリオンの企画や展示は慶応大学理工学部・伊香賀俊治研究室の協力のもと行うもので、11月から来年2月にかけて様々な実証実験を行い、データの集積などを行う。
ナイスグループは、横浜市が進める「環境未来都市」構想の取り組みの一環として、環境・健康に配慮した建築物の普及、木材の利活用などについて包括連携協定を今年2月に締結している。
セレモニーで挨拶した林文子・横浜市長は「素晴らしいパビリオンが完成して感激している。様々なプレゼンや子どもの授業に使っていく」と話した。
また、平田恒一郎・同社社長は「当社は今年で創業65周年。これまで地震に強い住宅を一貫して造ってきたが、今年からはマンションは全て免震構造とした。わが国の既存住宅約5,000万戸のうち国の断熱基準(平成11年)を満たしているのはわずか5%しかない現状は残念だが、当社は長期優良住宅の認定基準を超えたパワーホームの供給に力を入れている。これまでのCASBEE横浜[戸建]の届け出件数105件のうち103件が当社施工。住宅は木のほうがいいとみんながいうが、感情に走ってきた。エビデンスが欠けている。データを集積して医学的にも木の住宅が優れていることを証明したい」などと語った。
現地は、JR・京浜急行鶴見駅から徒歩5分、横浜市鶴見区鶴見中央4丁目、ナイス本社の対面に位置。敷地面積は約1,338㎡、延べ床面積約620㎡。日産自動車から寄贈された電気自動車や地震体験車も配置されている。
左から伊香賀氏、林氏、平田氏
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なかなか立派なパビリオンだ。スマート住宅のモデルハウスはたくさんあるが、非断熱と高断熱仕様の温度の違いを体感したり、9種類もの樹木の香りを比べたり、様々な内装材を使用した場合の室温と湿度の違いを見ることができる。
敷地の半分くらいは同社が所有しており、残りの半分は借地だという。建設経費もすべて同社が負担したというから立派だ。
パビリオン エントランス
パビリオン 中庭
三菱地所 障がい者のアート作品展10月30日から全国6会場で開催
三菱地所は10月30日(金)から来年2 月にかけて、横浜を皮切りに全国6会場で「第14回キラキラっとアートコンクール優秀賞作品展」を開催する。
「キラキラっとアートコンクール」は、障がい者アートライブラリー「アートビリティ」を運営する社会福祉法人東京コロニーの協力を得て2002年にスタート。「アートビリティ」の登録作家として現在17名が活躍中。コンクール応募作品はこれまで様々な企業の冊子の表紙やカレンダーなどに使用されている。
今回の作品展は、全応募作品1,725作品の中から審査会を経て選ばれた優秀賞51作品を展示するもの。
三菱地所は、本コンクールが障がいのある子どもたちの優れた才能を評価・発掘・展示する機会となり、芸術活動の裾野が広がることを願い応援している。
優秀賞・全応募作品は次のホームページで公開している。
キラキラっとアートコンクールホームページ http://www.kira-art.jp
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一度、この作品展を取材したことがある。われわれは「障がい者」という色眼鏡で作品を観がちだが、それが誤りであることに気づかされるはずだ。われわれがレッテルを貼ることで伸びる芽を摘み取ることが怖い。
今回の絵画展に寄せられたO JUN・東京藝術大学教授と杉山博孝・同社社長の講評を紹介する。
O JUN氏 今年も全国からたくさんの応募があった。コンクールということで入選作品を選ぶわけだが、惜しくも選外になった作品とどれほどの差があるのかといえば、実はないのだ。ではどのように選び取っているのかといえば、私は一瞬にして目を撃つ作品と繰り返し見ていてゆっくり見えてくる作品だ。作品はどれも伯仲している。
昨年は数点だが、強く印象に残る作品があった。いずれも“さみしい絵”“孤独な絵”だった。色彩豊かで描き込んでいる絵の中にあって、しんとした空間が目を惹いた。
今年はそういう絵が見当たらなかった。これは望ましいことなのかそれとも残念なことなのか。
応募の段階で学校や教室と私たちの選考で彼らの作品は数度のフィルターを通過してきている。
私たちは、作品を見る自らの目をいつも見返していようと思う。そういう中で一つの学校から応募された作品が印象に残った。どの作品も描く人の“私は、これを、こう描きたい!”という思いに溢れ、それに見合う画材と技術が効果的に使われている。個々の資質との向かい方や場を作る努力をされている先生やスタッフを想像する。教室の空気がよほど気持ちよいのではないか。
杉山氏 昨年より、障がい者芸術に造詣の深いO JUN氏、青柳路子氏に審査に加わっていただき、西田氏、髙橋氏と共に新たな体制で選定をしております。審査の視点が変わったことと作品全体のレベルアップにより、昨年の優秀賞作品展の会場では、個性豊かな作品が増えたとの評価を数多くいただきました。
第14 回となる今回は、全国から1,725 点もの応募をいただきました。その中から50 作品を選ぶことは非常に困難で毎回頭を悩ますのですが、今回は最後の1作品がどうしても絞り切れず51作品を優秀賞として選定致しました。
また、当社グループの社員も投票に加わっているのですが、毎年応募される特定の方の作品を楽しみにしていたり、離れた職場から投票に駆けつけたりと、社員の間でもすっかり定着した感があります。
これからも本コンクールは、応募者の皆様、審査員の方々、作品展をご覧になる各会場のお客様と三菱地所グループの役員・社員が力を合わせて作り上げて、その価値を高めていくコンクールでありたいと願っております。