柏の葉キャンパスに「未来こどもがっこう」開校 1万人の参加見込む
「未来こどもがっこう」開校発表会(柏の葉カンファレンスセンター)
柏の葉アーバンデザインセンター(UDCK)が7月19日、千葉県柏市・柏の葉キャンパス地域の幼児~高校生を対象とする「未来こどもがっこう」を開校し、カリキュラム提供を開始した。
千葉県柏市・柏の葉キャンパス地域は、2008年に千葉県・柏市・東京大学・千葉大学の4者により「柏の葉国際キャンパスタウン構想」を策定。行政、市民、企業、大学などが連携して課題解決型のまちづくりを進めており、同構想の目標の一つに「国際的な学術・教育・文化空間の形成」を掲げている。今回の開校はその一環。
地域のまちづくりを推進するUDCKを中心に、地域の関連団体と実行委員会を組織して運営していく。テーマは①探究②先端③健康④創造⑤共創-の5つ。講師陣は東大、千葉大の大学教員のほか、アーティスト、地域の関連企業・団体・学生・ワーカーなど。
受講料は1回300円が基本(無料もあり)で、定員は20人が基本。申し込みが定員を超えた場合は抽選。初年度は2016年3月まで毎月、全体で30以上のカリキュラムを実施する。保護者を含め今年度は延べ1万人の参加を見込んでいる。
開校発表会に臨んだUDCKセンター長・出口敦氏は「2005年につくばEXの新駅が誕生して10年。約5,000人が暮らす素晴らしい環境の街ができ上がってきたが、街は暮らしを育てるとともに人も育てる。幸いここには東大も千葉大もあるし、地域の資源も豊富。ここを拠点にして新しい未来を担う子どもたちを育てたい」と語った。
柏市長・秋山浩保氏も登壇。「学びの楽しさを引き出すのは小学校だけでは限界がある。民間のプログラム、知見を取り込んで、子どものもっと知りたいという向学心を育てたい」と話した。
「未来こどもがっこう」のフェローとして紹介された植物学者の千葉大名誉教授・古在豊樹氏は「素晴らしい学校ができた。ここは虫も鳥も自然がいっぱい。子どもたちの好奇心を高め、世界レベルの街にしたい」と支援を約束し、東大国際高等研究所 カブリ数物連携宇宙研究機構 機構長・村山斉氏は「わくわくどきどき、楽しくなってきた。皆さんはどこから来ましたか? 柏市? いや、本当は数十億年前の宇宙のちりからやってきたのです。でも、まだまだ分からないところがたくさんある。一緒に〝どうして〟を考えていききましょう」と呼びかけた。
UDCKアートコミュニケーションディレクター・小山田裕彦氏は「みんなでつくる学校」を強調し、今後も街の多くの人を巻き込んでいくと話した。
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この柏の葉キャンパスシティがどのような街になるか当初からずっと取材してきた。
とりわけ注目してきたのは「産・官・学」の連携だ。2012年に発表された2050年の地域の未来像を描いた「環境未来都市提案書」には、「柏の葉キャンパスの子供たちは、語学ばかりでなく国際的なリーダーシップの取れる人材として育ち、臆することなく世界へと飛躍し活躍する者が多いため、そのような環境を求めて、世界各国から移住してくる家庭も多い。また彼らはやがて柏の葉キャンパスの地に戻り、新たに若者を育てるなど、スパイラルアップの人材育成環境が根付いている」と書かれている。
本当にそうなるのか。今でも疑心暗鬼で見ているところがあるのだが、今回の取材を通じて関係者は本気で取り組んでいることがよく伝わってきた。街が人を育てるというのは記者も確信をもっていえる。子どもの人格を形成するのは街の自然・社会環境であり、地域の人々だ。
このような取り組みは全国的にも珍しいはずで、モデルケースになるのではないか。是非とも成功させていただきたい。
第1回のオープニングカリキュラム「宇宙パラシュート」は、定員50名に対して200名の応募があった。「ふうせん宇宙撮影」で世界最高水準の技術を確立した岩谷圭介氏が講師となり、子どもたちが撮影に使うパラシュートをつくった。
オープニングカリキュラム「宇宙パラシュート」
「柏の葉」の「環境未来都市」 涙が出るほど嬉しい提案書(2012/2/13)
哲学、人材育成で議論集中 国交省 都市公園のあり方検討会
国土交通省は7月6日、第6回「新たな時代の都市マネジメントに対応した都市公園等のあり方検討会」を行った。
今回のテーマは、まちの活力と個性を支える多様な都市公園の運営のあり方を検討することで、これまでのステージだった量的ストックの拡大から、これからは人口減少、少子高齢化、地域経済の衰退などの社会的要請に応えるため、ストックの効果を高め、地域の特性を生かした賑わいのある街づくりや美しい景観、コミュニティ形成などに寄与する公園とは何かを論じることとしている。制度の柔軟な運用ができる人材の確保も重要課題とされている。
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これまで数回、この検討会を傍聴してきた。記者は都市公園や造園については全くの素人だ。しかし、座長の進士五十八氏(東京農大名誉教授・元学長)をはじめとする造園や園芸、環境学が専門の先生方の話はとても面白いし、素人だからこそ考えさせられることも多い。以下、今回の検討会で論議されたことを紹介するとともに、素人の目線で課題も提起したい。
まず、「公園等」の「等」について。進士座長は「この等が極めて重要だが、今回は都市公園にフォーカスを絞るということだから、都市公園そのものについて論議していただきたい」と話した。
進士氏は、都市公園のほかにも豊かで美しい緑などの空間、環境をどうするかが大事だと仰っているのだと理解した。その通りだと思う。
われわれは公園の緑も道路の附属物のようにしか扱われない緑も区別して考えているわけではない。都市公園法など読んだことがない人のほうが多いはずだ。公園のことをよく理解していないからこそ、行政に対して発言力がないし、一部のNPOとしか行政もパイプをつなげることができないのではないか。われわれも公園とは何かを考えないといけない。
次に、進士氏のほか多くの委員か指摘した公園とは何かという哲学、専門的な知見を持つ人材確保・育成について。
岸井隆幸委員(日大理工学部教授)は、「検討課題はそれぞれその通りかもしれないが、それ以前に街づくり全体の中で都市公園をどのように位置づけるかが重要なのに、それが欠けている」と問題提起した。
これを受けて進士氏は、「街づくりの中心になるべき人材がいない。これでは全体をリードするものがいない」と指摘した。
涌井史郎委員(東京都市大環境学部教授)も、「人材がいない。ランドスケープが崩壊しているのに、行政も事務的な手続きに走っている。予算も不足している。専門的にコーディネートする人材を育成するのは喫緊の課題」と話した。
池邊このみ委員(千葉大大学院園芸学研究科教授)は、この点について「パークマネジメントとは何か考えるべき。何かやると収益、成果が求められるが、定量的にしか評価されない。美しくする、愛される街、景観として評価されるよう自治体-NPO-指定管理者が一緒になってやっていくべき。みんな内向き志向になっている」と評価制度などについても言及した。
これらと関連することだが、地方が抱えている問題も明らかになった。
小野敏正委員(東京都都市整備局都市づくり政策部緑地景観課課長)は、「都はいろいろなことをやっている。規制緩和がいいのか悪いのか、指定管理がいいのか悪いのか、自主管理がいいのか悪いのか、パークマネジメントは努力している」と話し、橋本健委員(横浜市環境創造局公園緑地部部長)は、「福祉や防災、共助の視点からいろいろプログラムをつくって裾野を広げる努力を行っている。人材については、いつでもだれでも判断できる基準をつくっている」などと自信を見せたが、石田尚昭委員(岡山市都市整備局審議監)は、地方都市の課題を次のように語った。
「NPOに力がない。指定管理など無理。民間がやるとなっても、それをきちんとコントロールする人材がいない。運用することまで手が回らない」
その一方で、国土交通省大臣官房審議官・舟引敏明氏は、「基本的には目的外に使う以外のことは管理者(首長)の判断で何でもできる。柔軟で自由度の高い成功事例を増やしていこうというのがわれわれの考え」と、自治体の創意工夫を求めた。
また、梶木典子委員(神戸女子大家政学部教授)は、「公園は街づくりの中心にある。(以前はコミュニティ形成の核として機能していた)学校は閉鎖的になっている。いろいろなところと連携していつでも公園は自由に使えるという情報を発信していくことが必要」と、本来持つ公園の機能を引き出す力があるプロの育成を訴えた。
自治体にプロがいないというのは記者も同感だ。これまで街路樹などについて取材してきたが、どのような樹種がどれくらい植わっているか知らない担当者がいたし、緑の質など全然考えていないような印象も受けた。自治体はランドスケープデザイン専攻の学生の採用などしていないのではないか。
なぜ農学、環境、家政学者の会合はおおらかなのか 国交省検討会(2015/3/17)
公園に保育所、マンション 岩盤規制を打ち破れるか 国交省 公園のあり方検討会(2015/2/2)
野村不動産「虎ノ門駅前」の再開発計画 国家戦略特区に認定
「虎ノ門駅前地区第一種市街地再開発事業」完成予想図
野村不動産は6月30日、同社が事業協力者として参画している「虎ノ門駅前地区第一種市街地再開発事業」が東京圏国家戦略特別区域における国家戦略都市計画建築物等整備事業として、内閣総理大臣の認定を受けたと発表した。
国家戦略特区制度は、国の主導により国際的な経済活動の拠点の形成を図ることが目的。本事業は、銀座線「虎ノ門」駅の地上・地下の駅前広場を整備するとともに、業務・商業機能の高度化を図る。
計画地は、港区虎ノ門一丁目の敷地面積約2,800㎡。建物は地下3階地上23階建て延べ面積約45,800㎡。着工予定は平成29年3月、竣工予定は平成32年3月。
Amazon ネット通販「リフォームストア」に積水、大和ハウスグループが出店
左からチャン氏、杉浦氏、阿部氏、山村氏(コンラッド東京で)
Amazonは6月30日、住宅リフォームに関する商品・サービスのネット通販「リフォームストア」(http://www.amazon.co.jp/reform)を開設し、取扱いを開始したと発表した。出店するのは積水ハウスグループ、大和ハウスリフォーム、ダスキンの3社で、“バリエーション豊かな品揃え”“価格やサービス内容の明確化”“簡単に商品やサービスを選べ、購入できる利便性”などを重視している。
積水ハウスは、グループの積和建設がキッチンやユニットバス、洗面まるごと、トイレまるごとなどの小規模リフォームメニューをパッケージ化し、最大21都府県で4011品目の「定額パッケージ型リフォーム」を「リフォームストア」に出品する。
大和ハウスグループの大和ハウスリフォームは、インスペクションを重視してキッチン・洗面室・トイレ・ユニットバスなど内容と価格を明示してサイト上に出店する。対象エリアは8都県。
ダスキンは、全国47都道府県を対象に、エアコンクリーニング、キッチンクリーニング、全自動洗濯機除菌クリーニングなどを定額で販売していく。
会見で、アマゾン ジャパン代表取締役社長 ジャスパー・チャン氏は、①品揃えの充実②価格・内容の明確化③簡単でサービス・商品が買える-の3点を強調し、「素晴らしい商品・サービスの提供ができる」と胸を張った。
積水ハウス代表取締役社長兼COO・阿部俊則氏は、「新築住宅累積とリフォーム売上でNo1の積水ハウスグループだからこそできる高品質、安心、価格以上の価値を提供する。建築請負はネット販売では難しいという常識を変え、小規模から中・大規模リフォームにもつなげ、リフォーム事業のさらなる成長を図る」と、売上高は2016年度目標の1,570億円から近い将来2、000億円に伸ばす足掛かりにしたいと話した。
大和ハウスリフォーム代表取締役社長・杉浦純一氏は、 「出店は、当社が施工したお客様だけでなく一般のお客様のニーズを掘り起こすことにもつながる。水まわり工事には床下点検を無料でセットし、インスペクションも販売する」と語った。
ダスキン代表取締役社長・山村輝治氏は、「これまではフランチャイズ方式で、担当者が1軒1軒お伺いする超アナログ的な仕事をしてきたが、『リフォームストア』は全国一律同一価格で、スピーディに対応できるメリットがある」とし、網戸のクリーニング、庭木の管理などのサービスも検討していく意向を示した。
Amazon「リフォームストア」トップページ
ブルースタジオ 小田急電鉄の社宅再生リノベ「ホシノタニ団地」完成
「ホシノタニ団地」
小田急電鉄とブルースタジオは6月23日、小田急線座間駅前の小田急電鉄社宅をリノベーションした賃貸住宅「ホシノタニ団地」を報道陣に公開した。
物件は、小田急小田原線座間駅から徒歩1分、座間市入谷5丁目に位置するRC(ラーメン構造)5階建て3号棟28戸と4号棟27戸。既存建物竣工は3号棟が1965年、4号棟が1970年。リノベーション完成時期は3号棟が2015年6月、4号棟が2015年3月下旬。専用面積は37.38㎡。月額賃料は70,000~95,000円。管理費は5,000円。企画・設計監理はブルースタジオ。設計・施工は大和小田急建設。事業主は小田急電鉄。貸主は小田急不動産。
小田急電鉄は、建物が老朽化したことから再生手法について10年前から検討を進めていたが、5年前、団地再生に実績があるブルースタジオに依頼して、リノベーション賃貸マンションにすることを決定した。
隣棟間隔が広く多面的に利用できることなどから、サポート付き貸農園やドッグラン、カフェを設けることで地域にも開放した計画とし、座間市の依頼で子育て支援施設も設置。1号棟と2号棟は、市営住宅の建て替えに際し居住者が一時入居する市営住宅用に当てられる。
建物は耐震補強を施したうえ、極力コストを抑えながら間取りの変更、ナラ材の無垢材のフローリング、一部床下げ、断熱材の充填、ウッドデッキの設置などの工夫を凝らすことで魅力付けを行っているのが特徴。
ブルースタジオ専務取締役・大島芳彦氏は、「建蔽率が20%を切っている団地特性を考え、駅前広場も整備し〝この街に住みたい〟と思える豊かな空間を整えた」と話した。
4号棟は募集を開始しており、これまでに22室のうち13室が契約済み。入居者は30歳代の単身者が中心で、地元だけでなく都心方面からの問い合わせも多いという。3号棟の募集はこれから始まる。
サポート付き貸農園
団地のコンセプトなどについて語る大島氏
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築50年も経過し、エレベータがなく面積も約37㎡しかないので、いくらリノベーションをしても入居者が集まるのだろうかと思ったが、企画がヒットしたようだ。確かに豊かな居住空間に生まれ変わっている。
「ホシノタニ団地」というネーミングがいい。名前の由来は、鎌倉の時代に古東海道と八王子街道が交差する宿駅「いさま」があり、その地には「星谷寺(しょうこくじ)」が建立されている。その寺には昼でも星を映す井戸があるほど、星が美しい集落だったという。人と人をつなぐ、人と街を繋ぐ、星がつながり星座になるようにと「ホシノタニ団地」が誕生したのだそうだ。
そういえば、神奈川県横浜市には「星の丘」がある。マンションもよく売れた。
ブルースタジオが携わっているプロジェクトはいくつか見学しているが、それぞれに夢があり優しさ温もりを感じるものばかりだ。古いものと新しいものを融合させる思想、哲学のようなものがうかがえる。
今回も、4棟の建物外観カラーリングは春夏秋冬に分け、それぞれ星座をデザインとして取り込んでいる。玄関サイドの牛乳箱だったものは、居室を示すサインにしている。ささいなことだが人はそういうところに感動する。細かなことにも手を抜かない工夫がある。
1階住戸に設置されたウッドデッキ(左)と耐震補強された建物外観
モデルルーム(キッチンの面材はラワン)
団地エントランス部分
三井不動産グループ「トレアージュ白旗」 有隣堂が新業態の店舗オープン
「有隣堂トレアージュ白旗店」 店内のオープンスペース
有隣堂は6月19日、三井不動産グループの三井不動産商業マネジメントが運営・管理する藤沢市のライフスタイルパーク「トレアージュ白旗ショッピングセンター」に有隣堂トレアージュ白旗店を6 月19 日(金)にオープンした。18日、オープンに先立って報道陣に公開された。
「有隣堂トレアージュ白旗店」は、有隣堂が三井不動産・三井不動産商業マネジメントと協働でショッピングセンター向けに新たに開発した新業態店舗。買い回りの向上を図るため、店舗内にお客様がゆったりとくつろげるフリースペース「トレアージュガーデン」を設置し、モール内の既存店舗と連携した様々なサービスを展開していく。
主な連携サービスは、①「FRESHNESS BURGER」などによるモール限定のデリバリーサービス②「ソフトバンク」など利用時に発生した待ち時間を過ごしてもらうサービス③「Francfranc Le Garage」や「HANAYATA(はなやた)」と連携したインテリアショップやフラワーアレンジメント④「TULLY'S COFFEE」のコーヒースクール、「明光義塾」の出張ミニ授業などイベントの共催と-など。
地元の人の交流の場、サークル活動の場としても無料で利用できるようにしていく。
発表会に臨んだ有隣堂常務・松信健太郎氏は、「三井さんからやってみないか、という声が掛かり、思い切ってやってみることにした。このままでは街からどんどん本屋がなくなっていく。商品を置かないスペースが地域の交流の場になり、笑顔あふれるスペースになってくれればいい。街の書店の本質とは何かをもう一度考える時期に来ている」と話した。
松信氏
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本屋が危機的な状況にあるのは記者も肌で感じている。景気の長期低迷、若者の活字離れ、ネットの浸食など、その原因はいろいろなところで語られている。
苦境を何とか打開しようと本屋さんも必死になっている。今回の有隣堂の決断もその一つだろう。売り場面積約540㎡のうち約90㎡のフリースペースに割くのには勇気がいったことだろうが、成功してほしいと願うばかりだ。同社は恵比寿や新宿でも同じようなサービスを行っているが、「全体の売り上げは落ちると考えていたが、横ばいで推移している」(松信常務)ようで、新業態は売り上げ減の歯止めになっている。
18日の事前内覧会
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松信氏が報道陣の質問に答えているとき、「歩く」ことを強調した。市場を調査するとき、とにかく地元を隈なく歩くのだそうだ。どのような家が建っているか、車はどのような種類か、洗濯物はどのようなものかをチェックするというのだ。
〝なるほど〟と思った。「歩く」ことはデベロッパーの仕入れも、われわれ記者にも共通する仕事のイロハ、鉄則だ。目利き力が試されるのは同じだ。
その意味で、本屋の長期低迷が続くのは、本屋に限らず、出版社や作家、ライターにも努力が足りないと感じてならない。
ある地方の駅前の大きな本屋に寄ったら、雑誌類だけでなく、辞書類、その他の多くの書籍にはビニールがかけられていた。
辞書などは店頭で手に取り、紙の厚さを確認し、文字の大きさ、デザイン、用例の多寡を調べて購入するのではないか。〝ビニ本〟は、中身が劣悪なのを自ら肯定しているようなものだ。「本を殺す」のは本屋自身ではないか。
店舗内
不動産公取協 「不動産広告の適正化の取り組みに支援を」植木会長
不動産公取協の総会後の懇親会(セルリアン東急ホテルで)
植木会長
首都圏不動産公正取引協議会(不動産公取協)は6月12日、定時総会を行い、総会後に懇親会を開いた。
植木正威会長(不動産協会顧問、東急不動産取締役相談役)は、「昭和38年に設立以来、現在まで不動産広告の適正化を推進し、不動産業界に対する一般消費者の信頼を向上させ、ひいては不動産の需要を喚起して、業界全体の利益を向上させてきた」などと語り、一層の支援を訴えた。
来賓として挨拶した消費者庁の菅久修一審議官は、「不動産広告の適正化の取り組みは、消費者の安心安全の環境を整備するとともに、事業者の創意工夫によって評価されるものであり、今後も支援していく」と述べ、国交省土地・建設産業局長の毛利信二氏は、「広告表示はいつの時代も重要。皆さんのおとり広告の防止策や『ポータルサイト適正化』の取り組みは時宜にかなったものであり、事業者全体の信頼につながっている。国交省としても今後、流通シェアの拡大、上物の評価、不動産総合データベースの整備、情報の非対称の解消などに取り組んでいく」と語った。
〝ケロ、ケロ、ケロ〟カエルも歓迎 三菱地所・空土プロジェクト田植えツアー
「空と土プロジェクト酒米づくりツアー」お田植え編
「タウエよりアウェーですが…」三菱ではないM銀行からの参加者も
〝ケロ、ケロ、ケロ〟-絶好の田植え日和の5月下旬、無農薬の田んぼで色とりどりの服を着て、へっぴり腰で酒米を植える、いかにも都会育ちと思える集団をやや嘲笑気味に「初めてにしてはよくぞやった。歓迎の意を表す」とばかりカエルが鳴いた。参加者約30人は、さすがに疲れたのか、作業後は声が出なかったが、みんな満足の表情を浮かべた。
三菱地所グループがNPOえがおつなげて(曽根原久司代表)と連携して山梨県北杜市増富地区で取り組んでいる耕作放棄地・荒廃森林の再生を目指す「空と土プロジェクト酒米づくりツアー」お田植え編に同行取材した。
◇ ◆ ◇
5月23日(土)、9時30分。武田信玄像があるJR甲府駅前にツアー参加者が集まった。早速バスに乗り込み、高齢化率62%、耕作放棄地44%という壮絶な限界集落、北杜市増富地区に向かった。老若男女、その数は約30人。
現地までは途中休憩を挟みバスで約1時間半。早速、車中で自己紹介が始まった。口火を切ったのはCSR活動も担当する同社常務執行役員・吉田淳一氏。初めて田植えを体験するのは8割くらいであることを確認した上、緊張をほぐすためか「田植えはたいしたことない。人海戦術でやれば大丈夫。空気も水もきれいだし、泥に入っても温かい。心身ともリフレッシュしていただきたい」などと話した。
三重県伊勢市の近くの農村で育った、田植えがいかに重労働であるか分かっている記者の番に回ったので、吉田氏に反撃を加えた。「吉田さんは簡単なように仰るが、ヒルやアブ、マムシがいるし、肥溜めもある。私は落ちたことがある。女の人は〝くノ一〟じゃなくて、への字に腰が曲がる」と脅した。(後で聞いたら、吉田常務は山口県下関出身で、肥溜めに落ちたことがあるそうだ)
肥溜めが何たるかをしらない人ばかりなのだろう。笑いは誘ったが、「いい酒米をつくりたい」「キノコは酒のつまみにしたい」などと、記者の脅しなど馬耳東風。いかにも楽しそうな様子で参加者は決意を語った。
オーストラリア人ならぬ豪の者もいた。丸の内のM銀行(三菱じゃない)に勤める若い女性2人組だ。「酒が好きで、ツアーの案内のチラシが入ってきたので参加しました。何だかタウエじゃなくてアウェー状態ですが、よろしくお願いします」と爆笑を買った。
しいたけの収穫と植菌体験
やや不ぞろいだが、地元の協力者は「初めてにしてはよくやった」
◇ ◆ ◇
一行は現地でしいたけ植菌体験・採取体験をしたあと、昼食をはさみ田植えへ。曽根原氏やそのスタッフ、地域の協力者などに植え方などを教わり、一斉に田んぼの中に入った。
その光景は、母親や祖母が菅かさに木綿の野良着(テレビなどで放映される早乙女姿などはなかった)を着て田んぼに這いつくばる姿とは月とすっぽんほどの差があった。
写真①を見ていただきたい。右の女性はともかく、左の女性はスイマーのように全身ピッタリ黒(何と呼べばいいのか)ずくめに、パンツ(これも何と呼べばいいのか)姿。唖然とする記者に「一応、海に入ってもいい姿なんです」と話した。写真②もその女性。脚が長いのはいいのだろうが、腰が高い!
参加者は、ベテランなら一人で4時間くらいかかる田んぼ2枚を約1時間で植え終えた。地元の協力者は「素人にしてはよくやった」と太鼓判を押し、カエルも「ケロ、ケロ、ケロ」と、あざ笑ったのかも知らないが、歓迎の賛意を示したと記者は受け取った。サワガニは踏み潰されてはたまらんとあぜに駆け上がっていた。
最後は曽根原氏の掛け声「お田植えモリモリ」を三唱して締めた。
今回の田植えの翌週5月30日の、三菱地所レジデンスの友の会組織「ザ・パークハウスクラブ」会員を対象にした田植えツアーには定員40人に対し10倍の応募があった。
写真①②
この二人はなかなか様になっていた(アウェー状態のM銀行からの参加者ではなかったか)
〝ええーいぃ めんどうだ、座っちゃえ〟
〝1本、2本、…〟(苗束から5本を植えるように言われ、悪戦苦闘する参加者。熟練者は片手で瞬時に選ぶそうだ)
◇ ◆ ◇
収穫された米は、山梨の老舗蔵元・萬屋醸造店によって純米酒「丸の内」として製造される。この日、当主中込元一郎氏も田植えに参加。
「皆さんが植えられたお米は、これまでの等級チェックではすべて1等米。いい米でないといいお酒は造れない。水もきれい、栽培中は農薬・化学肥料を使わない。何よりも皆さんの気持ちが込められたお酒なのでおいしい」と話した。
「丸の内」は昨年は天候不順が続き、3,400本しか製造できなかったそうだが、今年は4,000本が目標とか。丸の内の酒屋でも販売されるが、瞬く間に売り切れとなる〝幻の酒〟のようだ。記者も飲んだことがある。文句なしに美味しい。
中込氏(左)と労をねぎらう曽根原氏
三菱地所グループ「空と土プロジェクト」体験ツアーに同行取材(2012/1/10/19)
インテリックス 小口化商品の第一弾「原宿」 第1期400口が完売
インテリックスは6月1日、不動産特定共同事業による小口化資産商品の第一弾「アセットシェアリング原宿」第1期400口の募集を4月22日から5月13日まで受け付け、抽選の結果、完売したと発表した。
同社は、「30代から80代の幅広い層から申し込みがあり、原宿という好立地な現物不動産を一口100万円単位(5口以上200口以下)で購入できる点と、運用・管理に手間が掛からない点が支持された」としている。最終期400口は6月6日から募集を開始する。
プレ協・和田会長 ZEHの税優遇、優良ストックの適正評価など訴える
和田会長
プレハブ建築協会の和田勇会長(積水ハウス会長兼CEO)は5月25日、定時総会後に記者会見し、「住宅は課題解決の中心にある」と力説。予定されている10%への消費増税に伴う軽減税率、ZEHに対するインセンティブ、優良ストックの適正な評価の仕組みなどについて政策提案していくと語った。
和田会長は、先の消費増税時では増税の半年前にマスコミに報道され、増税時にも報道されたことから「消費増税が2度行われたような影響を受けた。落ち込みは想定以上だった。マスコミも罪がある」などとマスコミを牽制。
平成27年度に予定されている10%への増税については、「住宅を軽減税率の対象にすべきと訴えているが難航している。優良住宅やZEHなど環境に配慮した住宅に対しては何らかの税制面でのインセンティブも与えるべき」と語った。
もう一つの重要な課題に優良ストック住宅に対する評価の仕組みをあげ、「われわれは優良中古住宅に対する独自の活動を行ってきたが、一般住宅も築20年で住宅の価値がゼロになるような制度の見直しをすべき」などと話した。