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「グランビュースクエア」完成予想図

 大成有楽不動産と三井不動産レジデンシャルが取り組んでいる、埼玉県所沢市のマンション「グランビュースクエア」の入居者ママ支援プログラム「ママココロPROJECT」の疑似体験イベントを取材した。〝ママが子育てしながら自分育て〟できるマンションを目指す取り組みで、入居後は定期的に開催される予定だ。この日7月30日のテーマは「自分と家族のライフプランニング」。「ままのえん」代表・小林あゆみ氏をファシリテーターに20~30代のママさんが近未来の家族年表をつくった。

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 平成25年9月、安倍総理は、国連演説で「女性にとって働きやすい環境をこしらえ、女性の労働機会、活動の場を充実させることは、今や日本にとって、選択の対象となりません。まさしく、焦眉の課題です」と語った。そして昨年10月、安倍総理を本部長とする「すべての女性が輝く社会づくり本部」を内閣に設置した。

 安倍総理が「焦眉の課題」と語ったように「女性活躍」は待ったなしの課題だ。記者は「女性活躍」を阻むものは何かを探るため、取材を開始することにした。この2年間、その準備に当ててきた。いくつかの本を読み人に話を聞いてきた。女性学の第一人者である上野千鶴子氏が主宰する勉強会にも参加した。

 いよいよキックオフの時が来た。第一弾の取材も来週初めに行う。記事がどのような方向に進むのかは見当もつかないが、現場の生の声を伝えられたらいいと思っている。今回の取材も「女性活躍」の取材の一環だ。

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「ママココロPROJECT」

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 「ママココロPROJECT」もいい取り組みだと思う。「子育て」は全デベロッパーの大きなテーマの一つだし、両社も「子育てマンション」をたくさん供給してきた。

 これまでの取り組みと若干異なるのは、どちらかと言えば従来は共用部分に設置する施設などハードの整備に力がそそがれてきたのに対し、今回はソフトの部分からアプローチする試みだ。

 「自分と家族のライフプランニング」では、家族構成から将来想定される家族のイベント、自分がチャレンジしたいことが、将来の夢などを具体的に書きこむ「家族年表 準備シート」と、向こう25年の年代ごとの計画や両親、こどもの年齢・行事などを書き込む「家族年表」が配布され、参加者はそれに書きこむ作業を行った。

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 記者も年表をもらったので書きこんだ。「チャレンジしたいこと」は「70歳まで働く」と、「将来の夢」は「死ぬまで(人間らしく)美しく生きること」と書いた。ママさんたちとは全然違った。ママさんたちは「ネイルがしたい」「山に登りたい」「海外旅行」だった。

 今回のプログラムの目的である「いつも子どもや家族のために奔走しているママが、少しだけでも自分のための時間をもち、自分自身に目を向けてみる。それがママのポテンシャル(能力)を発見し、育てるための、大きな一歩になる」を実践するには、やはり男性の働き方、社会のありようを変えないといけないと記者は思う。

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 物件は、西武池袋線狭山ヶ丘駅から徒歩6分、所沢市東狭山ヶ丘2丁目に位置する12階建て全235戸。専有面積は70.11~88.26㎡。坪単価は140万円。竣工予定は平成28年8月上旬。施工は長谷工コーポレーション。現地は財務省の官舎跡地。
 先月から第1期の55戸の分譲が始まっており、これまで35戸に申し込みがある。食洗機が標準装備。仕様レベルはとても坪140万円とは思えないくらい高い。これほど単価が安い物件は、昨年見学した「高根公団」くらいしか記者はしらない。所沢駅圏でこれから分譲される物件は坪200万円を突破する。

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エントランス

カテゴリ: 2015年度

 次世代に残る優れた分譲マンションプロジェクトを表彰する週刊住宅新聞社の2014年度「首都圏優秀マンション表彰」の最優秀マンションに三井不動産レジデンシャルの「パークマンション三田綱町ザフォレスト」が選ばれた。建物の質に加え、既存樹木を生かすなど都心では希少な緑の保全・創造に力を入れたことが評価された。

 このほか、部門ごとの優秀賞は、都心・大規模部門に住友不動産「DEUX TOURS(ドゥ・トゥール)」、都心・小規模部門に三菱地所レジデンス「ザ・パークハウス元代々木町」、近郊郊外・大規模部門に野村不動産「プラウドタワー立川」、近郊郊外・中規模部門に大和ハウス・コスモスイニシア「ひばりが丘フィールズ1番街」、近郊郊外・小規模部門に三井不動産レジデンシャル「パークホームズ駒沢ザ・レジデンス」が選ばれた。

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 同社の表彰はこれで6回目になる。優れたマンションを顕彰するのは大歓迎だが、気にかかることもある。

 選考対象となった2014年4月~2015年3月に販売実績のあった新築分譲マンションのうち、今回、デベロッパーからの自薦と評価委員からの推薦を合わせた物件数は39件で、初回の92件から半分以下に減少していることだ。

 評価委員のコメントも、大久保恭子氏(マンション評価ナビ主宰、風代表)の「全体的には、突出する物件が少なかった」、櫻井幸雄氏(住宅ジャーナリスト)の「突出した物件が少なかった。地価上昇、建築費が高騰する中、“ほどよく収めた”物件が多かった」、目黒孝一氏(不動産ジャーナリスト)の「秀でたマンションがなかったのが印象だ。中堅デベロッパーからの物件エントリーもほぼなかった」などと物件の少ないことに言及している。

 なぜそうなったか。いろいろ理由はあるのだろうが、これはデベロッパーも考えないといけない。「突出する物件がない」「秀でたマンションがなかった」と専門家に言われているのだ。記者は決してそうは見ていないが、情けないではないか。どんどん自社のマンションの商品企画をアピールし、世に問うてほしい。

 もう一つは、業界紙サイドの取材姿勢についてだ。各デベロッパーが行うマンション見学会に集まるのは多くて30人くらい、少ないときだと10人くらいしか集まらない。先日行われた大手デベロッパーの恒例の記者懇親会には100人近いジャーナリストが集まった。それぞれ取材分野、フィールドが異なるので何とも言えないが、大手デベロッパーのマンション事業は全体売り上げのかなりの比率を占める。どのようなマンションを供給するのかくらいは知っておくべきだ。現場を見ずして企業について語れないはずだ。

 今回選定された物件はそのほとんどを記者も取材しているが、選定されて初めて知るような物件に出会いたい。そのような物件を多くの物件の中から掘り起こすのも業界紙の役割ではないのか。

 主催者にも一言。物件特性の評点を加算する選定方法は、郊外より都心、駅から遠い物件より近い物件、価格の安いものより高いものが選ばれるのは当然だ。しかし、例えば「プラウド」と「オハナ」を同じ土俵の上で論じられるわけがない。コンセプトやターゲットが全然異なる。都心の高額物件は富裕層の、郊外物件は普通のサラリーマンの取得能力を想定して選ぶべきだ。

 記者は昨年の「ベスト3」マンションで野村不動産「プラウドタワー立川」、三井不動産レジデンシャル「パークマンション三田綱町」、コスモスイニシア「イニシア武蔵新城ハウス」を選んだが、それぞれ評価点を付けたわけではない。総合的に判断したのだ。「三田綱町」と「武蔵新城」を戦わせてどうなる。前者の単価は725万円、後者は230万円。前者が97戸の、後者が124戸の顧客満足にそれぞれ応えたという視点から見れば、優劣などつけられないではないか。

カテゴリ: 2015年度

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「イニシア武蔵新城ハウス」

 コスモスイニシアは7月24日、創業40周年のフラッグシップマンション「イニシア武蔵新城ハウス」が全124戸完売し、竣工したのを受けて報道陣向けに公開した。

 同マンションは、居住者にとってやさしい住まいとはどうあるべきかという原点に立ち返り、全体計画から住戸プランの細部に至るまでこだわりを持って「マンションの新しいカタチ」を提案した同社の自信作。

 居室内の梁や柱などの無駄な凹凸を極力減らし、シンプルで美しいカタチを追求。豊かな中庭デザイン、間取りの自在性、リビング空間の広がり、キッチンデザインなどがユーザーに評価され、昨年12月の第1期76戸、今年2月の第2期41戸、今年6月の第3期最終期7戸とも即日完売した。

 同社は「完売予定の8月より2カ月前倒しで完売することができた。地元以外からの集客ができ、モデルルーム来場者に対する購入者の割合が22~23%と歩留まりが高いのが特徴」などと話した。

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中庭

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 このマンションについては、分譲開始前に見学し記事にしており、さらに、昨年の「ベスト3マンション」の一つに選定しているので、そちらの記事を参照していただきたい。

 記事は自信を持って書いたつもりだが、完成したマンションを見学して、改めて商品企画が大事なことを学んだ。きめの細かい商品企画がユーザーからも評価されたのが実感されて嬉しい。ありふれたマンションなら、ここまで早期に完売できなかったはずだ。

 予想外というか想像以上だったのは、エントランスと中庭のデザインの美しさだった。エントランスには本物の杉材が壁と天井部分に格子状に配されていた。左官職人による土壁とよく調和している。中庭の植栽も豊かだった。

 もう一つ、細かいことだが、中庭面した住棟の外階段側に設けられた有孔ブロックがなかなかいい。沖縄にしか用いられない「花ブロック」というもののようだ。

 専有部は、予想した通りシンプルで美しかった。一瞬、鹿島の「加賀レジデンス」を思い出した。白が基調で、壁や梁の出っ張りがないのはよく似ている。同社の企画を担当した建築本部 商品企画部 商品企画課・小山智弘氏も「少し意識した」と笑っていた。

 専有面積約70㎡のタイプが8割くらいを占める。普通のマンションだったら、来場者からは「3LDKにしては狭い」と言われそうだが、それもなかったというのは「シカク」の商品企画がよかったからだろう。

 同業のデベロッパーにも、こういった意欲的なマンションの商品企画に挑戦してほしい。

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エントランスホール

創業40周年記念の「イニシア武蔵新城ハウス」 30年前の「シカク」蘇る(2014/10/9)

記者が選んだ2014年ベスト3マンション(2014/12/25)

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「Brillia Towers 目黒(ブリリアタワーズ目黒)」完成予想図

 東京建物は7月23日、目黒駅前の「Brillia Towers 目黒(ブリリアタワーズ目黒)」第1期495戸と、東京駅徒歩圏の「Brillia THE TOWER TOKYO YAESU AVENUE(ブリリア ザ・タワー 東京八重洲アベニュー)」第1期1・2次全222戸がともに即日完売したと発表した。

 「目黒」は、目黒駅から徒歩2分の40階建てノースレジデンスと38階建てサウスレジデンスの2棟全940戸(分譲は661戸)の再開発タワーマンション。価格は4,850万~4億5,900万円(最多価格帯5,800万円台・5,900万円台)、専有面積30.05~150.11㎡。競争倍率は最高43倍、平均3.5倍だった。

 登録者の年齢は50歳代が約26%、60歳代が約22%、40歳代が約22%、家族数は2人が約45%、一人が約26%、職業は会社役員が約32%、会社経営が約15%、医師が約10%、居住地は港区が約20%、千代田区が約13%、品川区が約9%。

 平成26年11月に物件ホームページを開設して以降約23,000件の問い合わせがあり、平成27年6月にモデルルームをオーブンしてからこれまで延べ約9,000組の来場があった。

 「東京八重洲」は、東京駅から徒歩16分、京葉線八丁堀駅から徒歩1分の30階建て全387戸。価格は4,463万~1億3,048万円(最多価格帯9,900万円台)。専有面積は40.93~83.58㎡。競争倍率は最高9倍、平均1.5倍。

 登録者の年齢は50歳代が約30%、40歳代が約24%、60歳以上が約21%、家族数は2人が約50%、一人が約23%、職業は会社員が約46%、会社役員が約18%、医師が約11%、会社経営が約9%、居住地は中央区が約24%、港区が約7%、江東区が約6%。

 4月にモデルルームをオープンして以降、約2,000組の来場があった。

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 予想はしていたが、すごい人気だ。とくに「目黒」の平均競争倍率が3.5倍にもなったのは驚異的だ。バブル期の競争倍率はダミーや住宅金融公庫の申し込み倍率優遇があったので、実質的に即日完売というのは4倍以上だった。「目黒」はその意味ですごい数字だ。

 「東京八重洲」の即日完売も驚かない。坪単価450万円というのは物件の質からしてもかなり割安感があると思う。

 今回、この2物件が圧倒的な人気で即日完売したことにより、都心部の好立地マンションは人気に一層拍車がかかりそうだ。

今年前半の目玉マンション 「Brillia Towers 目黒」は坪600万円(2015/4/2)

「Brillia THE TOWER TOKYO YAESU AVENUE」は坪450万円(2015/4/24)

 

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「クレヴィアタワー池田山」エントランスホール(完成予想図)

 伊藤忠都市開発の「クレヴィアタワー池田山」を7月17日に見学した。見学した段階で最終期7戸にすべて登録が入っており、19日の抽選会で完売している可能性が高い。分譲開始の3月からわずか5カ月で全104戸が完売したことになり、極めて好調な売れ行きを見せた。

 物件は、JR山手線五反田駅から徒歩4分、品川区東五反田五丁目に位置する23階建て全104戸。専有面積は25.89~76.45㎡、最終期7戸の価格は3,890万~10,570万円(31.57~76.45㎡)。平均坪単価は400万円。竣工予定は平成28年7月末日。設計・監理は浅井謙建築研究所。施工は大末建設。販売代理は伊藤忠ハウジング、三井不動産レジデンシャル。

 建物は免震構造を採用。1フロア4戸が標準で、角住戸比率80%のタワーマンション。建物外観は縦ラインを強調し、基壇部には自然石を多用するなど上質感を演出している。

 共用部のエントランス床は大理石で、壁には木製格子を配し、イタリアの家具「カルパネリ」や金属作家の光本岳士氏のアートを採用している。

 モデルルームデザイン、専有部のインテリアカラーデザインは藤原益男氏を起用。キッチン・洗面室の天板はシーザーストーン、玄関・廊下の床は本物の石のような風合いがあるドルトーニュ・マット、リビングダイニングドアはナグリ調化粧板、把手はブラウンレザーハンドル、浴室の天板には天然石を一部採用。天井高は基本2600ミリで、20階以上は2800ミリ。

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 これほど早く売れるとは思っていなかった。モデルルームの出来はよくできており、立地、単価、設備仕様など総合的に判断して早期完売はもっともだと感じた。

 来場者も〝近隣物件と比較して、価格の割にはグレードが高い〟という評価をしたようで、来場者に占める成約の割合が高いという。

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モデルルーム キッチン

 

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 豊島区が全国初の条例として注目された、マンションの良好な維持管理を行い、居住者間や地域とのコミュニティの形成を推進することを目的とした「豊島区マンション管理推進条例」を平成25年7月に施行して2年が経過する。条例の目的はマンション居住者にどこまで浸透し理解されているのか、今後の課題は何か――区のマンション管理状況届出書集計報告(案)は明らかにしている。

 同条例は平成24年12月21日に制定されたもので、マンションの適正な管理を推進するために区の責務を定め、マンションを所有する区分所有者や管理会社、宅建業者などにもそれぞれ責務を明確にし、マンション代表者に管理の現況を届け出るよう求めている。届出をせず区の指導や要請に従わないマンションについては、名前を公表することができるとしている。

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 区がまとめた「豊島区 マンション管理状況届出書集計報告 平成25年度版(案)」を紹介する。

 同条例11条は「マンション代表者等は、マンションの管理状況のうち規則で定める事項について、区長に届け出なければならない」としており、この届出条項の対象物件は1,103件で、条例が施行された平成25年7月1日から平成26年3月31日までに届出があったのは578件(届出率52.4%)だった。

 届出があったマンションの特徴としては、1981年から1990年に竣工した物件の届出率は42.5%と低く、戸数規模が30戸未満は50%を割っている一方で、100戸以上は75.0%を上回るなど戸数規模が大きくなるにつれて高くなっている。

 区分所有者の名簿があるのが97.9%。居住者名簿があるのが78.3%、ないのが21.2%。修繕履歴があるのが87.2%、ないのが12.1%。長期修繕計画があるのが82.5%、ないのが16.4%。町内会に加入しているのが71.1%、未加入が28.2%。管理員室があるのが88.4%、ないのが11.4%。旧耐震基準マンションは319件(1,103件のうち28.9%)、うち旧々耐震基準マンションは57件(同5.2%)。防災用品を備蓄しているのは21.1%。

 マンション内と地域コミュニティ形成については、自由記述方式で様々な取り組みが紹介されている。マンション内では、「戸数が少ないため家族的にコミュニティは取れている」「組合員同士のコミュニティの会がある」「マンション居住者同士はみな運命共同体の意識で親密。近隣の戸建ての方とはみな古くからの方たちで行き来が多い」など。地域交流については、「町内会に加入し、円滑な地域のコミュニティ形成をとっている」「町内役員会への役員の派遣、町会の防災訓練への協力、町内会清掃活動への協力」「町会への集会室貸与」などが紹介されている。

 届出書に関する課題として、報告(案)には次のような記述がある。全文を紹介する。

 (1)個人情報保護に関する課題

  少数ですが、代表者欄の空欄提出が見受けられました。

  代表者が空欄であった場合の届出者は全て管理業者からでした。

  届出者である管理業者から聞き取りを行ったところ、以下のような理由でした。

  ・個人情報保護のため(理事長に記載の可否を確認せず)

  ・理事長が記載を拒否したため

  ・代表者が輪番制で替わるため

 なお、個人情報保護を理由に代表者欄を空欄にする扱いを会社単位で行っている例はなく、各マンションの担当者(フロント)により判断されていました。今後担当者(フロント)に理解を求めていく必要があります。

 届出書は、提出を代行するものとして管理会社からの提出を認めているものの、管理組合が組織化されている場合は管理組合から提出されるものです。しかし、管理業者が主体となっている例があり、管理組合が届出について知らないというケースもありました。

 今後は管理組合と管理業者が情報を共有して届出を行うよう、また、届出書が管理組合と管理業者との情報共有のひとつのツールとなるよう継続して啓発を行っていく必要があります。

 (2)空欄について

 届出書の記載事項に一部空欄があるケースがありました。届出書の記入方法のパンフレットとともに届出の依頼を管理組合へ郵送しましたが、設問の意義の周知徹底不足や確認に時間や手間を要する場合、または設問の解釈等により空欄となってしまったと思われます。

 空欄となっている箇所は、管理組合が必要性を認識していない部分でもあり、啓発や支援が必要な部分が浮かび上がる結果となりました。

 届出時に聞き取りを行い、空欄を埋めるよう働きかけを行いましたが、今後はよりきめ細かく聞き取りを行い、その項目の必要性についてわかりやすく説明し、支援につなげていく必要があります。

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 届出率52.4%が高いのか低いのか。記者に判断材料はないが、高くはないといえそうだ。区の担当者が「管理会社が非協力的だった」と話したのが気にかかった。届出をする主体は管理組合ではあるが、管理会社は区分所有者や管理組合に対してマンションの管理に関する情報の提供や助言を求め、地域コミュニティの形成を支援することが求められている。

 にも関わらず、「管理組合が届出についてしらない」状況が少なからずあるということはどういうことか。個人情報の保護を楯に設問項目を空欄にすることも理解できない。マンション管理のプロが個人情報保護法に過剰に反応し、名簿の作成などに消極的な姿勢をとっている現状が明らかになっている。

 これは区にも責任がありそうだ。条例の目的を管理会社などとともに周知徹底することが不足しているのではないか。届出書そのものは理事経験者や管理会社の担当者だったら作成するのに10分もかからない程度の内容だ。

 管理組合も管理会社も、マンションは不可侵の私有財産であると共に、都市の緑環境、都市空間、防災・コミュニティ拠点の視点からすれば公共財でもある。

 区は今後、未届けマンションに対して文書による啓蒙、訪問による状況確認などマンション管理支援の活動を行なっていくというが、あらゆる手を尽くしても届出のないマンションについては公表に踏み切るべきだ。

 自らの財産を適性に管理することをせず、地域とのコミュニティ形成に無関心なマンションなどユーザーも買うべきではない。仲介業者も、管理・維持やコミュニティ形成の取り組みを考慮して査定価格に反映すべきだと思う。

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南青山プロジェクト「The Upper Residences at Minami-aoyama」

 三井不動産リアルティは7月16日、南青山プロジェクト「The Upper Residences at Minami-aoyama」の一棟リノベーションマンションのプレス向け内覧会を行った。昨年10月の第1期13戸販売時に行ったのに続くもので、今回の第2期は4戸。

 内覧会で事業について説明した同社コンサルティング営業二部長・吉田裕氏は、「当社の平成26年度の相続案件は三年前の80億円強から150億円くらい、収益不動産の実績も平成22年の50億円強から250億円近くに伸びている。都心不動産マーケットは二極化の様相を呈しているものの総体としては極めて好調。実需に東アジアからの投資需要が高まっている。個人投資家も古いマンションは維持・管理が大変で、売却することで資産を組み替えたり、相続圧縮を図ったりする人が増えている。景気・株高も好調を支える要因になっている。優良立地のしっかり建てられている建物はエコの社会的ニーズも取り込み、一棟リノベで共用部と専有部のデザイン・機能を充実させ、事業を拡大していきたい」と語った。

 また、具体的な物件の特徴について、同部営業2グループ・神義一氏は、「働く女性が美しくなれるモデルルームに仕上げた」と話した。

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吉田氏(左)と神氏

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 この物件に関しては昨年10月にも見学会が行われており、その記事を参照していただきたい。その時の販売対象は4戸だったが、その後、第1期として13戸が成約している。半年足らずでそれだけ売れたということだ。

 当時の坪単価は約600万円。今回モデルルームとして公開された住戸は674万円と690万円。

 記者は中古マンションのことはよく分からないが、最高峰だと思っている「麻布霞町パークマンション」の成約価格はどれくらいなのだろう。もっと高いのか。

 「南青山」といえば、つい先月、隣接地で三菱地所レジデンスが分譲して即日完売した「ザ・パークハウスグラン南青山」は坪単価800万円弱。分譲20戸に対して10倍近い倍率だった。昨年、三井不動産レジデンシャルが分譲して人気になった「パークマンション三田綱町」が坪単価725万円。

 新築と中古を単純には比較できないが、都心希少立地のマンションはまだまだ上昇するということか。これから分譲される物件は間違いなく800万円以上だろうし、1000万円前後の物件も供給されるはずだ。中古もそれにつられてまだまだ強含みで推移するのだろう。

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「ラグジュアリーメークアップルーム」

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クリスタルガラス水栓

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 今回のモデルルームのコンセプトは「社会で活躍する『働く女性』が、心も身体も豊かに、いっそう美しくなれる空間を提供する」とのことだ。

 これにまったく異論はない。記者は最近、「女性はなぜ活躍できないのか」(大沢真知子著、東洋経済新報社)を読んだが、「女性活躍」の環境を整えることがアベノミクスの成否のカギを握っていると心からそう思っている。

 モデルルームは、その企画意図が伝わってきた。86㎡のタイプは、DINKSの入居を想定したもので、女性専用の約2畳大の「ラグジュアリーメークアップルーム」が設けられていたのには驚いた。水栓はグローエ製で、まだわが国では販売されていない、クリスタルガラスの蛇口からせせらぎのように水が流れるものだった。値段は25万円だそうだ。(ただ照明が暗く、見学した女性記者は「照明が暗いと化粧が濃くなる」と話したのにはなるほどと思った)

 もう一つの77㎡のモデルは海外と日本を行き来する単身女性向けに用意されたものだ。このプランの面白いのは、リビング・ダイニング・キッチンが一体となっており、スライドドアでキッチンを隠すことができており、そのキッチンフロアを含めて長さ約10|mにも及ぶ空間が演出できるということだ。コスモスイニシアは先に「INITIA CLOUD」で多目的に利用できるキッチンの提案を行ったがややそれに近い。

 注文もつけたい。ホールとリビングの引き戸の面材は人造皮革だったが、1億5,500万円もするのだからこれは本物にすべきだろう。もう一つ。同社だけではないことだが、不動産流通会社もデベロッパーもハウスメーカーも女性差別的な雇用を改め、ワークライフバランスの徹底を推し進めてほしい。女性がどの業種よりも住宅・不動産会社を選択するような職場環境を整備すべきだ。

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モデルルーム

三菱地所レジ「ザ・パークハウスグラン南青山」 平均9.65倍で即日完売(2015/6/16)

三井不動産レジ 億ションの「三田綱町」第1期80戸がほぼ完売(2014/8/6)

三井リアル 都心の1棟リノベーションマンション加速 「南青山」で見学会(2014/10/29)

 

 

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「SKY TIARA (スカイティアラ)Residence in Forest」 

 住友不動産は7月3日、建設を進めていた板橋区小豆沢の大規模マンション「SKY TIARA (スカイティアラ)Residence in Forest」(全621戸)が竣工したのに伴い、報道陣向けに公開した。一般への棟内モデルルームの公開は7月11日から。ランドプランが素晴らしいマンションだ。

 物件は、都営三田線志村坂上駅から徒歩8~10分、同本蓮沼駅から徒歩9~11分、板橋区小豆沢一丁目に位置する19階建てウエスト棟456戸と13階建てイースト棟165戸の合計621戸。専有面積は57.20~88.40㎡。価格はウエスト棟が南向き74㎡で4,900万円台~5,700万円台、西向き72㎡で4,600万円台~5,000万円台、イースト棟が南向き70㎡で4,800万円台~5,800万円台。坪単価230万円。施工は大林組。

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 同社は、販売開始前に記者発表会を行っており、そのとき書いた記事を参照していただきたい。

 昨年3月にモデルルームをオープンして以来、問合せは5,000件を、来場者は2,000件をそれぞれ突破。これまでに全住戸の4割弱220~230戸が販売済み。竣工を前後して来場、成約者も当初の倍のペースに増えており、問合せ・来場者の居住地も地元中心からかなり広域に広がっているのが特徴のようだ。

 1年少しでこれくらい売れているのは売れ行きとしてはまずまずではないかと思う。当初は価格がやや高いという印象をユーザーの方も持たれたかもしれないが、今となってはかなり割安感もでてきた。広域から集客できているのも、ユーザー自身が価格の上昇を肌身に感じているからだろう。販売ペースはこれから上がっていくのではないか。

 完成したマンションについては、やはり総合設計制度の許可を受けている物件だけに、ランドスケープデザインが素晴らしい。総敷地面積約16,000㎡のうち約4,800㎡が公開空地として整備されており、シラカシ、アラカシ、ケヤキ、スダジイ、サカキなどの中高木が約1,000本植えられている。

 参考ながら、東京都は平成22年に総合設計制度の改正を大幅に行っており、緑や住宅の質、防災面での取り組みを重視するように改めた。それ以降、業界側からは厳しくなったという声が聞かれるが、それは認可件数の数字にも表れている。

 東京都全体で平成20年は37件だったものが、21年は13件、22年は14件で、改正後の23年は5件と3分の1程度に減少。24年も5件しかない。25年以降の数字はまとまっていないようだが、住友不動産のこの物件は25年に認可された案件の一つだ。

 物件全体ではレベルの高いマンションだと思う。ランドスケープデザインだけでなく、二重床・二重天井、グローエの水栓、ミストサウナ、S-マルチコア、フレキシブルプランの採用など水準以上だ。ガラス付きバルコニータイプの住戸も15戸ある。

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公開空地

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エントランス

「ティアラ」にふさわしい外観デザイン 住友不動産「スカイティアラ」(2014/2/27)

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「アールブラン東京サウス仲六郷」完成予想図

 モリモトが7月下旬から8月に分譲する予定の「アールブラン東京サウス仲六郷」を見学した。価格を抑えるためにこれまでは標準装備していた設備をオプションに変更しているが、坪単価261万円はいかにも安い。人気を呼びそうだ。

 物件は、京浜急行本線雑色駅から徒歩6分、大田区仲六郷3丁目に位置する8階建て全57戸。専有面積は55.04~86.05㎡、予定価格は2LDKが4,200万円台~、3LDKが4,600万円台~、坪単価は261万円の予定。竣工予定は平成28年3月中旬。施工はイチケン。設計・監理はIAO竹田設計。デザイン監修は南條設計室、カン・デザイニングオフィス(鈴木ふじゑ氏)。

 現地は東京電力の社宅跡地。用途地域は準工業地域で、敷地東側に変電所があり、その先に京急の線路が走っているが、その他の嫌悪施設はほとんどない。敷地北側にはスーパーが隣接。

 京急線は連続立体交差事業が行われており、雑色駅舎は改装中で駅前広場などが整備される。

 建物は、南向きと東向きのL字形で、北側からのビューが引き立つようにマリオンと縦格子の手すりなどで陰影のあるフォルムとしており、ライムストーン、2層のガラスウォールなどを配している。駐車場が100%ついており、すべて無料。賃貸も可能。

 モデルルームのデザインは鈴木ふじゑ氏が担当。カラーリングはベージュを基調に、オプションだが塗り壁、御影石のキッチン天板などを採用している。

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エントランス

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 最近の23区内のマンションは軒並み坪単価300万円を突破してきているが、記者は立地条件などからそこまではしないと読んだ。しかし、建築費も上昇してきていることから270~280万円くらいtが妥当だろうと考えた一方で、モリモトの企業姿勢からしてあるいはもっと安くなるかもしれないと期待もし、担当者には「250万円くらいでできたらいいよね」と声を掛けるつもりだった。

 結果は261万円。設備仕様は確かに落としているが、これは間違いなく安い。デザイン監修は南條洋雄氏だし、専有部のデザインは鈴木ふじゑ氏だ。(女性と一緒。後姿が美しいマンションが美しい)

 近くのグリコの工場跡地約2.3haは野村不動産がマンションを分譲する。京急蒲田駅前が坪単価320万円だったから、300万円はしないとは思うが、モリモトのマンションよりはるかに高くなるのは間違いない。

 ついでながら、話題をひとつ。今回のモリモトのマンションの近くには、同社が13年前に分譲して人気になった「クレッセント東京サウス」(113戸)がある。画家・俳優として活躍していた片岡鶴太郎氏とコラボしたのが話題になったマンションだ。当時は需要を喚起するためにタレントを起用することが流行っていた。

 片岡氏がコーディネートしたモデルルームも提案されたが、記者はモリモトの標準プランのほうがはるかに優れていると思った。 

 モリモトはその後、川崎・八丁畷でも古田敦也ご夫妻を起用したが、マイナーな立地であるにもかかわらず、千葉や埼玉からも反響を呼んだ。これも早期完売した。

 いまのモリモトはタレントを起用しなければ集客できないということは全然ない。逆にモリモトファンが積み重なっていく一方だろう。マンションデベロッパーは見習うべきだ。

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モデルルーム

カテゴリ: 2015年度

 

 都心も郊外もすさまじい売れ行き-6月29、30日の両日、三菱地所レジデンス、東急不動産、東京建物、フージャースコーポレーションの4社はそれぞれマンションの即日完売のリリースを発信した。都心も郊外も極めて好調な売れ行きを見せている市況がより鮮明になってきた。

 三菱地所レジデンスが即日完売したと伝えたのは「ザ・レジデンス津田沼奏の杜」(全869戸)の最終分譲12戸で、競争倍率は最高8倍、平均3.5倍だった。津田沼駅から徒歩7分の全869(事業協力者住戸187戸含む)で、価格は3,718万~4,488万円(専有面積約60~70㎡)。事業主は同社のほか野村不動産、三井不動産レジデンシャル。

 今回の即完によって、津田沼駅南側で進められている土地区画整理事業地「奏の杜」地区では、2011年12月に分譲開始された第一弾の「ザ・パークハウス津田沼奏の杜」(全721戸)をはじめ「ザ・パークハウス津田沼奏の杜テラス」(全62戸)、「パークホームズ津田沼奏の杜」(全48戸)、そして今回の物件と合わせ1,700戸が3年半の間に完売したことになる。年間に500戸近いペースだ。

 区画整理事業によって街並みが整えられ、都心へもアクセスがいい割に坪単価が200万円前後に抑えられているのが人気を呼んだ。

 同社の杉山博孝社長は7月1日、平成27年の路線価が発表されたことを受けて、「住宅事業においては、好調な株式市場、景気の回復等を背景に、分譲マンションの取得需要は引き続き旺盛で堅調に推移している。『本当に良いものにはお金を払う』顧客が増えてきているとの実感がある」とコメントしている。

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 東急不動産が即完したと発表したのは「ブランズタワーみなとみらい」(全228戸)の第1期150戸で、最高19倍、平均2.4倍だった。専有面積は43~120㎡、価格は4,570万~2億2,870万円(最多価格帯6,500万円台)、坪単価440万円。

 この物件については人気になるのは予想されていたことだが、坪単価が400万円をはるかに越えていることには驚かされた。億ションなどの単価が高い住戸が全体の単価を引き上げている要因だろうと思われるが、昨年当たりは坪380万円くらいではないかと業界内では噂されていただけに、すごい上方修正だ。

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 東京建物の即完マンションは「Brillia日本橋三越前」の全44戸。専有面積は51~72㎡、価格は5,400万~1億90万円(最多価格帯8,800万円台)。最高倍率は13倍。登録者は50歳代~60歳代が約47%で、海外からも5%あった。

 この物件も人気にはなるだろうと予想していた。すぐ側で、野村不動産が分譲した「プラウド日本橋三越前」(88戸)が驚異的な人気を集めていたからだ。年齢の高い方が多数申し込んだというのは、やはり「三越」に歩いていけるという利便性だろう。女性の目線で商品開発する「Bloomoi(ブルーモア)」の企画もヒットしたのだろう。

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 フージャースコーポレーションが即完したのは「デュオヒルズつくばエンブレム」(全352戸)の第1期・第1期2次の110戸。

 つくば駅から徒歩4分で、駅までペディストリアンデッキで結ばれている一等地の立地で、20階建て免震マンション。デザイン監修は光井純氏。リリースには価格が公表されていないが、坪単価は170万円台の半ばにとどまっているはずだ。記者は極めて割安感があると見ている。つくば市では大量の官舎が廃止されることになっており、その受け皿としても注目されているはずだ。

予約殺到 三菱地所レジデンス「ザ・パークハウス津田沼奏の杜」(2011/10/6)

プラン・設備がいい 坪400万円は納得 東急不動産「みなとみらい」(2015/5/13)

“プラウド”に挑戦状 ほぼ同じ単価で「Brillia日本橋三越前」(2015/4/25)

驚!問い合わせ4500件突破 野村不動産「プラウド日本橋三越前」(2015/2/27)

フージャースコーポつくばセンター地区最後の一等地で「エンブレム」(2015/5/1)

カテゴリ: 2015年度
 

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