三菱地所レジデンス 52物件目の賃貸「ザ・パークハビオ 横浜山手」竣工
「ザ・パークハビオ 横浜山手」
三菱地所レジデンスは8月6日、横浜市中区の賃貸マンション「ザ・パークハビオ 横浜山手」が7 月31日に竣工したと発表した。
同社は今年4月、それまで三菱地所が「PARK HABIO(パークハビオ)」ブランドとして展開してきた賃貸住宅事業を承継し、ブランド名も「The Park habio(ザ・パークハビオ)」に改称。前身のパークハビオブランドも含め今回が52物件目。
「ザ・パークハビオ 横浜山手」は、JR 根岸線石川町駅から徒歩2 分の7階建て76戸。専用面積は25.72~59.45㎡。月額賃料は9.8万~22.9万円(管理費別)。
先の「単価上昇…」の記事は削除 異なるデータを同列で扱ったミス
8月5日付で書いた「単価上昇を専有圧縮で覆い隠す近畿圏のマンション/長谷工総研「CRI」データ」の記事について、マンションの調査に詳しい方から次のような指摘を受けた。
首都圏のマンションには投資用のワンルームのデータが入っておらず、それに対して近畿圏についてはワンルームのデータも入っており、調査対象が異なるものを同列にして論じられないと。
記者もこれにはうっかりしていた。長谷工総研のデータの基礎テータは不動産経済研究所に依拠しているのだが、同研究所は首都圏マンションについてはワンルームを除外して集計しているのは記者も知っていた。近畿圏もそうなっているのだろうと勝手に判断していた。ただし、長谷工総研のデータにはその旨の記載がない。
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ご指摘を頂いた方に感謝するとともに、誤解を与えた読者と関西圏の皆さんにはお詫びいたします。よって、先に書いた記事は削除しますが、異なるデータを同列に扱うととんでもない結果を招くという見本になりますので、履歴情報として掲載します。
それにしても近畿圏のマンションの専有面積が大幅に縮小しているのはそれだけ投資用のマンションが激増しているということなのか。長谷工総研もデータの扱い方について検討しているようだ。是非ともそうしていただきたい。
不動産〝今は買い時〟を〝そう思わない〟が上回る 野村アーバン調査
〝今は買い時〟が減少-野村不動産アーバンネットは8月6日、同社の不動産情報サイト「ノムコム」(http://www.nomu.com/)の会員を対象とした「住宅購入に関する意識調査(第9回)」の結果を発表。不動産の買い時感については「買い時だと思う」「どちらかと言えば買い時だと思う」を合わせ46.2%となり、前回調査(2015年1月)と比べると7.3ポイント減少した。「買い時だと思わない」の回答は29.7%で前回調査から5.9ポイント増加した。
買い時だと思う理由については、「住宅ローンの金利が低水準」64.4%(前回比9ポイント減)、「今後、10%への消費税引き上げが予定されている」40.2%(前回比1.3ポイント減)に続き、「今後、不動産価格が上がると思われる」が39.6%。
買い時だと思わない理由は、「不動産価格が高くなった」がもっとも多く64.9%と前回比で16.9ポイント増加した。
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記者は、不動産は金融商品ではなく、買わずにいられない事情があるから購入するのであるから、その時々の市況より購入動機のほうが優先されるという意味で〝いつでも買い時〟だと思っているのだが、〝買い時だと思わない〟人のほうが〝買い時だと思う〟人を上回ったのは注視しなければならない。
記者はアッパーミドルの取得限界は20坪で6,000万円、第一次取得層の取得限界は20坪で4,000万円とみているのだが、実際にはこれをどんどん超えてきている。それでも売れているのは、「まだまだ上がる」「今買わないと買えなくなる」という期待感と不安感が複雑に入り混じり、結果としてユーザーを煽り立てているからだ。
近鉄不・三井レジ「BLUE HARBOR TOWER みなとみらい」第1期184戸が即完
近鉄不動産と三井不動産レジデンシャルは8月6日、「みなとみらい21地区」“最後”の住宅街区で建設中のマンション「BLUE HARBOR TOWER みなとみらい」(全305戸)の第1期184戸が最高22倍、平均3.1倍で即日完売したと発表した。
第1期の価格は4,368万~2億3,990万円(最多価格帯8,200万円台)、坪単価410万円(最高坪単価は661万円)。今年2月からの資料請求は約6,700件、来場は約2,300件。
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これまたすごい売れ行きだが、やはり坪単価の高さに驚いた。先に東急不動産が即日完売したと発表した「ブランズタワーみなとみらい」は坪440万円、そして今回が410万円。
この調子だと、バブル期がそうだったように、これからは期分けするごとに坪単価が上昇することをユーザーは覚悟しなければならない。記者はアッパーミドルの取得限界も超えていると思うのだが、この勢いは止まらないのか。
単価上昇を専有圧縮で覆い隠す近畿圏のマンション/長谷工総研「CRI」データ
先の「単価上昇…」の記事は削除 異なるデータを同列で扱ったミス(2015/8/7)
記者が知らなかっただけなのだが、長谷工総合研究所から毎月送られてくる「CRI(Comprehensive Real-estate Information)」の8月号を読んでいてびっくりした。特集記事「2015年上半期 不動産市場の現状と展望」と「DATA FILE(マンション市場動向)」に出ていた近畿圏の価格動向と平均単価、平均面積に関する数字だった。
今年上半期(1~6月)の平均価格は、首都圏の5,256万円に対して近畿圏は3,634万円で、首都圏の約70%というのは納得できるのだが、平均面積は首都圏が70.31㎡であるのに対し近畿圏は64.61㎡だった。首都圏より10%近くも狭い。
マンションの専有面積は地価や建築費、その他市況により変動しており、調整弁的な役割を果たしてきた。昭和50~60年代の前半にかけては20坪(66㎡)の3LDKが目安だった。その後、バブルの発生・崩壊で拡大・縮小はしたけれども、居住性の向上を求めるユーザーのニーズに押されるように少しずつではあるが専有面積は広くなってきた。3LDKといえば74㎡くらいが標準だ。
しかし、ここ数年の建築費の高騰で面積は縮小傾向にある。これは首都圏も近畿圏も変わらない傾向だろうと思っていた。
それでも3LDKの機能を果たすには70㎡が限界で、それ以上の専有圧縮はどこかを犠牲にしなければ造れないだろうし、居住性でも問題があるとみている。首都圏では2012年の平均が70.43㎡だから、この3年間で0.12㎡(0.2%)しか縮小していない。一方で、建築費は2012年比で16.0%、平均価格は15.8%とそれぞれ上昇している。
つまり、首都圏では建築費の上昇はそのまま価格に反映されており、専有圧縮も全体としてはそれほどでもないということが分かる。
ところが近畿圏では様相が異なる。2012年の平均面積は2012年の70.06㎡から今年上半期は前述したように64.61㎡へ実に5.45㎡(7.8%)も縮小している。府県別でも大阪府は68.46㎡から62.31㎡へ9.0%、兵庫県は73.72㎡から65.97㎡へと10.5%縮小している。
面積の推移と分譲単価、平均価格との関係を見てみると、分譲単価は坪162万円から185万円(14.5%)へと上昇しているが、平均価格は3,438万円から3,634万円へと5.7%しか上昇していない。消費税の増税分を差し引くと実質的には3%程度しか上昇していないことになる。地価・建築費の上昇を分譲価格へそのまま転嫁せず、専有圧縮によって価格を維持している図式がくっきりと浮かび上がる。神戸市では単価が6.2%上昇しているのに価格は逆に10.6%下落し、面積は15.8%も縮小している。
この首都圏と近畿圏の差はどういうことか。これには、住まいに対する考え方や地域・所得格差など様々な要因が絡み合っているのだろうが、やはり関西人の気質に起因するのではないかと考えてしまう。
価格の大幅上昇を見せかけ上はそれほど感じさせないというか〝えらいすんまへん。工事費が上がった分だけ面積を狭くさせてもらいました〟とあからさまに言うデベロッパーと、〝スカートと一緒や。丈が多少短くてもええやないか〟と笑い飛ばす鷹揚な関西人が見えてくるのだが…。
野村不動産「プラウド国分寺」 「いきもの共生事業所認証」取得
「プラウド国分寺」完成予想図
野村不動産は7月30日、計画中のマンション「プラウド国分寺」(全125 戸)が「ABINC(一般社団法人いきもの共生事業推進協議会:エイビンク)」の「いきもの共生事業所認証」を取得したと発表した。同社としては「横浜ビジネスパーク」(横浜市保土ヶ谷区)に次ぐ2回目の認証。
この認証は、企業の自然と人との共生の取り組みを促進することを目的に行われているもので、生物多様性に配慮した緑地づくりなどに取り組む集合住宅やオフィスビル、商業施設を「ABINC」が第三者的に評価・認証している。
「プラウド国分寺」は、敷地内の森2,700㎡を残し、豊かな自然を受け継ぐ「里山」と位置づけ、草刈りや野草観察等、住民参加型の保全・整備プログラムを企画・運営していくことが評価された。
物件は、中央線国分寺駅から徒歩5分の8階建て125戸。専有面積は70.10~87.66㎡。設計・監理・施工は西武建設。竣工予定は2016年9月下旬。9月にモデルルームをオープンする。
人気も納得のレベルの高さ 三井レジ他「パークホームズ豊洲ザ レジデンス」
「パークホームズ豊洲ザ レジデンス」完成予想図
三井不動産レジデンシャル(事業比率85%)と三井物産(同15%)が分譲中の「パークホームズ豊洲ザ レジデンス」を見学した。〝パークホームズ〟だからと高をくくっていたのだが、総合的な商品企画が優れたマンションだ。〝パークタワー〟とそん色ないくらいだ。第1期の336戸がほとんど完売したのもよく分かる。
物件は、東京メトロ有楽町線豊洲駅から徒歩5分、ゆりかもめ豊洲駅から徒歩4分、江東区豊洲5丁目に位置する22階建て全690戸。第2期(戸数未定)の専有面積は56.37~87.90㎡、予定価格は5,300万円台~1億400万円台(最多価格帯7,100万円台)、坪単価は約320万円。入居予定は平成29年3月下旬。施工は大林組。販売代理は三井不動産レジデンシャル。
現地は東京電力の社宅跡地。敷地面積は約1万㎡で、用途地域は準工地域(法定容積率300%)。昭和大学江東豊洲病院と豊洲西小学校へはそれぞれ徒歩1分。建物内に保育園も併設される。準工だが嫌悪施設はない。
物件は総合設計制度の適用を受けており、広い公開空地を整備。建物は免震構造とし、建物を2つにスライドさせたような「雁行配棟」と、建物中央に2つの吹き抜けを設けた設計の「∞(インフィニティ)」とすることで、一般の板状や高層マンションより高い免震効果が発揮でき、梁の出っ張りを少なくする無柱空間を実現。同時に、縦マリオンのデザインを採用することで壁面を分節し圧迫感を抑え、吹き抜け空間に風が流れるようボイド給気スペースを設け、6つの角住戸をつくり出しているのが特徴。
専有部は、玄関に窓を設けた横入りとクランクイン玄関を採用することで、整形の居室を確保するとともにプライバシーにも配慮した設計になっている。キッチン周りも充実しており、ユーティリティシンクのキッチンと標準装備のバックカウンターの天板は御影石。食洗機も標準装備。
共用施設では、オーナーズラウンジ、クリエーターズラウンジ、ゲストダイニング、3つの+αルームを設けている。
昨年9月から資料請求は7,930件で、今年4月からの来場者数は1,780組に達し、第1期336戸はほぼ完売の人気になっている。買い替え層が多いのが特徴という。
オーバルテラス
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同社が3年前、〝パークホームズ〟の仕様を一新したのは知っていたが、今回の「豊洲」は建築費が高騰している折から設備仕様を落としているのではないかと見学する前は考えていたのだが、とんでもない誤りだった。
現地は敷地の最低面積が1万㎡で、建物の高さ規制が70mと定められているため、タワーマンションにならなかったのだが、総合設計制度の適用を受けることで十分な公開空地を設け、既存樹のサクラなども植え、建物の形状にも工夫を凝らし居住性を高めている。
住戸プランもよくできている。設備仕様は〝パークタワー〟と何らそん色ない。白を基調にしたデザインもいい。建具・ドアは全て鏡面仕上げ。
単価については、これくらいが妥当だろう。これから分譲されるある大手デベロッパーの物件は坪300万円をはるかに突破するはずだ。駅前の三井不動産とIHIが行っている再開発プロジェクトで豊洲の開発は完了する。ホテルも併設されるがまだ全然決まっていないようだ。
クリエーターズラウンジ
大成有楽・長谷工「勝島」 全452戸のうち第1期1・2次211戸が完売
⼤成有楽不動産と⻑⾕⼯コーポレーションは7月30日、品川区のマンション「オーベルグランディオ品川勝島」(全452⼾)の第1期1・2次230⼾のうち211⼾に申込みが入り好調なスタートを切ったと発表した。
価格は3,290万~6,090万円(最多価格帯4,200万円台)、専有面積は62.38~85.59㎡。問い合わせ件数は約3,400件、来場者は約1,400件。最高倍率は23倍、平均1.76倍。現居住形態は賃貸が65.2%で、持家が31.1%。
人気の要因は、坪単価が200万円台の前半であるという圧倒的な価格の安さと、①品川駅圏の物件であること②倉庫街のイメージが強かったエリアが住宅街へ変わりつつあること③コミュニティ⽀援プログラムに力を入れた-ことなどがあげられる。
安さだけではない、巧みな需要喚起策 「オーベルグランディオ品川勝島」(2015/4/10)
大成有楽・三井レジ 狭山ヶ丘でママ支援「ママココロPROJECT」
「グランビュースクエア」完成予想図
大成有楽不動産と三井不動産レジデンシャルが取り組んでいる、埼玉県所沢市のマンション「グランビュースクエア」の入居者ママ支援プログラム「ママココロPROJECT」の疑似体験イベントを取材した。〝ママが子育てしながら自分育て〟できるマンションを目指す取り組みで、入居後は定期的に開催される予定だ。この日7月30日のテーマは「自分と家族のライフプランニング」。「ままのえん」代表・小林あゆみ氏をファシリテーターに20~30代のママさんが近未来の家族年表をつくった。
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平成25年9月、安倍総理は、国連演説で「女性にとって働きやすい環境をこしらえ、女性の労働機会、活動の場を充実させることは、今や日本にとって、選択の対象となりません。まさしく、焦眉の課題です」と語った。そして昨年10月、安倍総理を本部長とする「すべての女性が輝く社会づくり本部」を内閣に設置した。
安倍総理が「焦眉の課題」と語ったように「女性活躍」は待ったなしの課題だ。記者は「女性活躍」を阻むものは何かを探るため、取材を開始することにした。この2年間、その準備に当ててきた。いくつかの本を読み人に話を聞いてきた。女性学の第一人者である上野千鶴子氏が主宰する勉強会にも参加した。
いよいよキックオフの時が来た。第一弾の取材も来週初めに行う。記事がどのような方向に進むのかは見当もつかないが、現場の生の声を伝えられたらいいと思っている。今回の取材も「女性活躍」の取材の一環だ。
「ママココロPROJECT」
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「ママココロPROJECT」もいい取り組みだと思う。「子育て」は全デベロッパーの大きなテーマの一つだし、両社も「子育てマンション」をたくさん供給してきた。
これまでの取り組みと若干異なるのは、どちらかと言えば従来は共用部分に設置する施設などハードの整備に力がそそがれてきたのに対し、今回はソフトの部分からアプローチする試みだ。
「自分と家族のライフプランニング」では、家族構成から将来想定される家族のイベント、自分がチャレンジしたいことが、将来の夢などを具体的に書きこむ「家族年表 準備シート」と、向こう25年の年代ごとの計画や両親、こどもの年齢・行事などを書き込む「家族年表」が配布され、参加者はそれに書きこむ作業を行った。
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記者も年表をもらったので書きこんだ。「チャレンジしたいこと」は「70歳まで働く」と、「将来の夢」は「死ぬまで(人間らしく)美しく生きること」と書いた。ママさんたちとは全然違った。ママさんたちは「ネイルがしたい」「山に登りたい」「海外旅行」だった。
今回のプログラムの目的である「いつも子どもや家族のために奔走しているママが、少しだけでも自分のための時間をもち、自分自身に目を向けてみる。それがママのポテンシャル(能力)を発見し、育てるための、大きな一歩になる」を実践するには、やはり男性の働き方、社会のありようを変えないといけないと記者は思う。
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物件は、西武池袋線狭山ヶ丘駅から徒歩6分、所沢市東狭山ヶ丘2丁目に位置する12階建て全235戸。専有面積は70.11~88.26㎡。坪単価は140万円。竣工予定は平成28年8月上旬。施工は長谷工コーポレーション。現地は財務省の官舎跡地。
先月から第1期の55戸の分譲が始まっており、これまで35戸に申し込みがある。食洗機が標準装備。仕様レベルはとても坪140万円とは思えないくらい高い。これほど単価が安い物件は、昨年見学した「高根公団」くらいしか記者はしらない。所沢駅圏でこれから分譲される物件は坪200万円を突破する。
エントランス
週刊住宅 2014年度のマンション最優秀賞に三井レジ「三田綱町」
次世代に残る優れた分譲マンションプロジェクトを表彰する週刊住宅新聞社の2014年度「首都圏優秀マンション表彰」の最優秀マンションに三井不動産レジデンシャルの「パークマンション三田綱町ザフォレスト」が選ばれた。建物の質に加え、既存樹木を生かすなど都心では希少な緑の保全・創造に力を入れたことが評価された。
このほか、部門ごとの優秀賞は、都心・大規模部門に住友不動産「DEUX TOURS(ドゥ・トゥール)」、都心・小規模部門に三菱地所レジデンス「ザ・パークハウス元代々木町」、近郊郊外・大規模部門に野村不動産「プラウドタワー立川」、近郊郊外・中規模部門に大和ハウス・コスモスイニシア「ひばりが丘フィールズ1番街」、近郊郊外・小規模部門に三井不動産レジデンシャル「パークホームズ駒沢ザ・レジデンス」が選ばれた。
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同社の表彰はこれで6回目になる。優れたマンションを顕彰するのは大歓迎だが、気にかかることもある。
選考対象となった2014年4月~2015年3月に販売実績のあった新築分譲マンションのうち、今回、デベロッパーからの自薦と評価委員からの推薦を合わせた物件数は39件で、初回の92件から半分以下に減少していることだ。
評価委員のコメントも、大久保恭子氏(マンション評価ナビ主宰、風代表)の「全体的には、突出する物件が少なかった」、櫻井幸雄氏(住宅ジャーナリスト)の「突出した物件が少なかった。地価上昇、建築費が高騰する中、“ほどよく収めた”物件が多かった」、目黒孝一氏(不動産ジャーナリスト)の「秀でたマンションがなかったのが印象だ。中堅デベロッパーからの物件エントリーもほぼなかった」などと物件の少ないことに言及している。
なぜそうなったか。いろいろ理由はあるのだろうが、これはデベロッパーも考えないといけない。「突出する物件がない」「秀でたマンションがなかった」と専門家に言われているのだ。記者は決してそうは見ていないが、情けないではないか。どんどん自社のマンションの商品企画をアピールし、世に問うてほしい。
もう一つは、業界紙サイドの取材姿勢についてだ。各デベロッパーが行うマンション見学会に集まるのは多くて30人くらい、少ないときだと10人くらいしか集まらない。先日行われた大手デベロッパーの恒例の記者懇親会には100人近いジャーナリストが集まった。それぞれ取材分野、フィールドが異なるので何とも言えないが、大手デベロッパーのマンション事業は全体売り上げのかなりの比率を占める。どのようなマンションを供給するのかくらいは知っておくべきだ。現場を見ずして企業について語れないはずだ。
今回選定された物件はそのほとんどを記者も取材しているが、選定されて初めて知るような物件に出会いたい。そのような物件を多くの物件の中から掘り起こすのも業界紙の役割ではないのか。
主催者にも一言。物件特性の評点を加算する選定方法は、郊外より都心、駅から遠い物件より近い物件、価格の安いものより高いものが選ばれるのは当然だ。しかし、例えば「プラウド」と「オハナ」を同じ土俵の上で論じられるわけがない。コンセプトやターゲットが全然異なる。都心の高額物件は富裕層の、郊外物件は普通のサラリーマンの取得能力を想定して選ぶべきだ。
記者は昨年の「ベスト3」マンションで野村不動産「プラウドタワー立川」、三井不動産レジデンシャル「パークマンション三田綱町」、コスモスイニシア「イニシア武蔵新城ハウス」を選んだが、それぞれ評価点を付けたわけではない。総合的に判断したのだ。「三田綱町」と「武蔵新城」を戦わせてどうなる。前者の単価は725万円、後者は230万円。前者が97戸の、後者が124戸の顧客満足にそれぞれ応えたという視点から見れば、優劣などつけられないではないか。