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「ヴェレーナシティ千葉ニュータウン中央」

 大和地所レジデンス(旧社名:日本綜合地所)が分譲した「ヴェレーナシティ千葉ニュータウン中央」が、全国住宅産業協会(全住協)の平成27年度「優良団地表彰」を受賞した。昨年の「ヴェレーナシティ行徳」に続き2年連続の受賞。

 「ヴェレーナシティ千葉ニュータウン中央」は、北総線・成田スカイアクセス線千葉ニュータウン中央駅から徒歩5分の全217戸。奥行き約4m・広さ約10畳大の「オープンエアリビングバルコニー」、専有面積100㎡超の住戸プランが100戸以上などの商品企画が評価された。

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 今回、同表彰で受賞したのはマンションなどの住宅関連が9件、宅地関連が3件で、同社の物件は首都圏から唯一選ばれた。

 記者もこのマンションを取材しているので選ばれたのは嬉しいのだが、首都圏からはこのマンションだけ受賞というのは、いくら大手の寡占化が進行しているとはいえさびしいではないかと思い同協会に聞いた。その結果、今回の表彰制度は記者が考えていた表彰制度とは全く異なることが分かった。

 この「優良団地表彰」は、同協会が2年前に日本住宅建設産業協会(日住協)と全国住宅建設産業協会連合会(住協連)が合併する前に住協連が行っていた制度で、記者が考えていたのは日住協の「優良事業表彰」だった(同協会への取材を数年前から止めたのが誤解した最大の理由)。

 合併後も「優良団地表彰」と「優良事業表彰」がそれぞれ行われており、「優良事業表彰」は今年6月に8プロジェクトが発表されている。

  選定基準がどうなっているのか分からないが、組織が一緒になったのだから表彰制度も一つにしたほうが分かりやすいと思うのだがどうだろう。

圧巻・約34畳の空間提案 「ヴェレーナシティ千葉ニュータウン中央」(2014/2/4)

カテゴリ: 2015年度

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設備仕様やインテリアカラーなどが体感できるコンセプトルーム

 住友不動産は10月1日、マンション購入を検討する女性限定の住まいさがし相談カウンター「住まいSalon for woman」を首都圏の主要駅で展開する「総合マンションギャラリー」全7 館に10 月3 日から開設すると発表した。

 「女性1人ではモデルルームに入りにくい」「すぐ買う気はないけど、相談に乗ってくれるのかな」「自分にマンションが買えるのかな」「男性の営業マンだと断りにくいな」-などの悩みや不安に対応するため、専任の女性アドバイザーを新たに配置し、女性ならではの視点で住まいさがしを支援していく。

 同社が2012年以降に供給・契約した1LDKタイプでは、女性単身比率が全体の51%を占めており、契約数も年を追うごとに増加していることから、同社は有望な市場として捉え、潜在顧客を開拓するのが狙い。

 同社の年度別・女性単身購入比率のデータによると、各年度とも平均して女性単身購入比率が約5 割を占め、今期実績(8 末時点)では全体の6 割を占めるまでになっている。価格帯別データでも、4,500万円までの価格帯では、女性比率が5 割を超えている。

 同社では初年度となる今期(10~3 月)は50戸の契約を目指している。相談カウンターを開設するのは新宿、渋谷、池袋、秋葉原、田町、横浜、川崎の7館。

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「アールブラン大倉山」完成予想図

 モリモトが分譲中の「アールブラン大倉山」を見学した。大倉山駅と新横浜駅からそれぞれ徒歩14分の中規模マンションで、坪単価239万円ながら販売開始3カ月で全82戸のうち約半分が売れている。単価上昇と〝東横線〟人気を象徴するマンションだ。

 物件は、東急東横線大倉山駅から徒歩13分、横浜市港北区大豆戸町に位置する7階建て82戸。専有面積は53.85~82.53㎡、坪単価は239万円。竣工予定は平成29年1月下旬。設計・施工・監理は新日本建設。デザイン監修はウイ・アンド・エフ ビジョン(石倉雅俊氏)。3か月前から分譲されており、これまでに約半数が分譲済みだ。

 現地は駅からややあるが、周辺は中層マンションが建ち並ぶ住宅街。物件に隣接してロマネスクだかゴシックだかアールデコだかしらないが、かなり派手な尖塔がたくさんある結婚式場が建設中なのは気になったが、嫌悪施設ではないようだ。

 設計プランは、市の高さ規制(20m)があるためか、高密度で、なおかつ容積率(300%)を満たす(消化)ためハーフバルコニータイプが多いのは難点だが、同社のいつもの商品企画レベルにはある。

 逆梁ハイサッシを採用し、2重床・2重天井で、ミストサウナ付き。82㎡のモデルルームのインテリアデザインを担当している鈴木ふじゑ氏の提案もいい。基本は3LDK+Sだが、約5畳大の洋室2室を1室にし、御影石のキッチン天板は幅約2800。

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 以前からこの東急東横線だけは相場観が狂う。坪単価予想はことごとく外れ、予想よりはるかに高い値段になる。

 なぜ外れるか。もちろん、東横線は東京と横浜を結ぶ線で、田園調布駅-日吉駅間は複々線になっており、目黒線(目黒駅-日吉駅間)が並走している。武蔵小杉駅ではJR横浜線と湘南新宿ラインとも接続している。

 このため横浜中華街から宇都宮ライン、西武池袋線、副都心線、半蔵門線、東武東上線、東武伊勢崎線、日比谷線との接続も楽で利便性は飛躍的に高まっているのは理解できる。これがマンション価格を引き上げている最大の要因であるのは分かる。

 しかし、東横線は渋谷から代官山、元住吉、日吉、菊名、妙蓮寺、白楽などは坂が多く、駅のターミナルも街路樹もプア(全部ではないが)で、道路は狭く、しかも蜘蛛の巣みたいに曲がりくねっているところが多い。生活利便施設だって他の沿線より恵まれているということはない。むしろ、昔から開発されたところだから、平地はもちろん坂にへばりつくように住宅が建てられている。平坦な住宅地が多いのは綱島、大倉山くらいだ。

 そんな街でも坪単価は高く、武蔵小杉の350万円を筆頭にみんな坪200万円をはるかに突破し、駅近だと300万円もする。どうして武蔵小杉が豊洲などの湾岸や世田谷と同じか上回るのか。この逆転現象がまったく理解できない。相場観が狂うのはこのためだ。

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 同社の物件ホームページに掲載されている現地案内図をコピーして大倉山駅から現地に向かったのだが、やはり道は狭く、車が通れるかどうかというところもあった。記者は車が嫌いだが、これでは誰が買うのかと思ったほどだ。

 現地周辺は中層マンションが建ち並びまずまずの住宅地を形成していたが、駅から徒歩13分はやや距離がある。最近の地価・建築費の高騰を考慮しても坪単価は200万円台の前半がいいところだろうと値踏みした。

 ところがどうだ。239万円もするではないか。数年前の駅近の相場だ。それでも分譲開始3カ月で半分近く売れているというから驚きだ。

 単価の高さと売れ行きに驚いたのだが、同社の担当者によると、来場者は駅からややあるのもそれほど気にせず、価格も妥当という声が多いという。

 来場者が納得するのは理由がある。最近分譲された大倉山駅から2駅目の妙蓮寺駅から徒歩2分の「プレミアムレジデンス横浜妙蓮寺」(39戸)は坪単価300万円だし、同じ大倉山駅から10分の野村不動産「プラウド大倉山ディアージュ」(40戸)が坪単価290万円で即日完売した事例があり、武蔵小杉では価格が暴騰していることもみんな知っているからだ。

 同社の販売担当者も、「お客さまから価格が高いとはあまり言われない。駅からの距離もそれほど気にされませんし、新横浜までも14分、バスを利用すれば数分の利便性と、モデルルームの提案が評価されています」とのことだった。

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 地元に詳しい関係者によれば、地域住民は子どもの通学コースを大綱小学校-大綱中学校を望む人が多く、中学校は市内でもレベルが高いという評判らしい。

 そこで、取材の帰り、中学3年生の2人連れに声を掛けた。このうちの1人は「藤沢の湘南高校を目指しています。多分受かる」と話していた。

 大倉山の人気はこのあたりにもあるのか。

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「ジオ多摩センター」完成予想図

 阪急不動産が10月に分譲する「ジオ多摩センター」を見学した。京王・小田急多摩センター駅から徒歩12分の全300戸の規模で、多摩センター駅圏では最後の大規模マンションになるかもしれない。

 物件は、京王・小田急小田急多摩センター駅から徒歩12分、多摩市鶴牧3丁目に位置する15階建て全300戸。専有面積は76.33~101.23㎡、価格は未定だが、5階あたりの坪単価は190万円くらいになる模様だ。竣工予定は2017年2月下旬。施工は長谷工コーポレーション。販売代理は長谷工アーベスト。

 物件の最大の特徴は、駅から現地まで完全に歩車分離のアクセス・アプローチであることだ。歩いて12分もしてなおかつ歩車分離の街はそうないはずだ。

 もう一つは、このマンションが多摩センター駅圏の南口では最後の大規模マンションになるかもしれないということだ。後述するようにUR都市機構は近くに広大な土地を所有しているが、多摩市の意向もあり住宅用地として売却される可能性は小さい。

 住戸プランは、南西向き中心に南東向き、西向きで、居住面積は70㎡台の後半が中心。

 コミュニティを重視しているのも特徴の一つで、「みんなのマルシェ」をほぼ2カ月に1回開催する予定のほか、「みんなの花壇」「七夕デコレーション「みんなの本棚」「コンサート」「コミュ・ブック」なども継続して行っていくという。

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 このマンションのことより記者が気になるのは、その敷地北側にUR都市機構が所有する約3.8haの土地と、その東側に隣接する元わんにゃんワールドの跡地約1.8haの土地がどうなるかだ。双方を合わせると5.6haにもなる。東京ミッドタウンに近い広さだ。

 この点についてUR都市機構と多摩市に聞いた。わんにゃんワールドの跡地についてURは「業務・商業施設として引き合いがあれば売却したい。住宅は想定していない」とのことだった。市も「多摩エリアの拠点として賑わいを創出する施設を希望している。住宅建設については考えていない。ここ数年マンションがかなり建設されており、計画数値に近づいているので、要望があれば協議となるが、学校用地などの問題もあるので難しい」と話している。

 一方、今回のマンション敷地の北側についても同様で、URは「今年いっぱいでいま貸しているところの定借期間が切れるので、これから売却をどうするか検討している」としている。

 なので、今後これらの土地がどのようになるか不明だ。多摩センターは他の街と比べても極めてポテンシャルが高いエリアだと記者は考えているのだが、民官学が連携して知恵を絞り、広域的な利用がされる施設を造ってほしいと願っている。

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 多摩センター駅圏のマンションについてはその都度記事にしているのでもう書くこともなくなったが、多摩市の住民でもあるので、多摩センターのポテンシャルが極めて高いことについて触れたい。

 記者は街のポテンシャルを3つの要素でいつも計る。一つは宴会ができるホテルがあること、2つ目はデパートがあること(つまりそこに行けば何でも買えるということ)、そして3つ目は食を中心とする文化が充実しているとことだ。

 読者の方も、自分が住む街をこの3つのモノサシで計っていただきたい。3つ揃う街は、都心部はともかく郊外ではそうないはずだ。

 ところが、わが多摩センターはこの3つが揃っている。これは自慢できる点だ。一言で言えば都心の利便性と緑が共存する街だ。新宿まで30分だ。これほど街のポテンシャルが高く交通の便もいいのに、マンションの分譲単価はずっと低く抑えられている。同じクラスの街と比較して2割は割負けしていると思う。

 例えば、新宿などの都心ターミナルから30分圏といえば町田、清瀬、所沢、志木、武蔵浦和、新越谷、津田沼、あざみ野あたりか。

 これらの街で3つの要素が揃っている街は一つもないのがお分かりのはずだ。こんなことを言ってもみんな取り合ってくれないだろうが、3つの要件が揃っており、多摩センターと比べられる街は新浦安、浦和、大宮、千葉、柏、新百合ヶ丘くらいしかないと思っているが、どうだろう。いま人気の豊洲にも武蔵小杉にもホテル機能はないので、記者の評価もそれほど高くないのだが、単価がべらぼうに高いのはよくご存じのはずだ。

 多摩センターが割負けしているのは、デベロッパーにも責任の一端はあると考えている。街の価値を最大限に引き出す努力(企画力)が足りない。

 努力不足もあって、なかなか高値追求ができないのだ。今回のマンションも坪単価は200万円以下になるのは間違いなさそうだ。仮に新百合ヶ丘駅10分でマンションが分譲されれば、坪単価は250万円はするはずだ。次に書く東急東横線大倉山駅圏は坪200万円台の後半だ。

 にもかかわらず、今回も低く抑えられているのは戸数が多く、面積が広いこと、単価が一次取得層の取得限界に近いことが指摘できる。共用施設にはたとえばゲストルームはないし、設備仕様は取り立てて強調できるものはないのもそのためだろう。(このマンションのほかに、あるデベロッパーがサンリオピューロランドに近いところで分譲するが、坪単価は最低でも230万円はするはずだが…)

 しかし、多摩センターの街の魅力を加味すればものすごく割安だと思う。最近は自分も反省しているのだが、単体としての坪単価よりも共用部・住環境を含めたトータルな価値を計ることが重要だ。記者がマンションの販売担当だったら、共用部分の面積(レンタブル比、有効率)を広告に表示し、その価値を堂々とアピールする。 

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「パークホームズ立川」完成予想図

 当欄でも紹介したが、三井不動産レジデンシャルがすまい(日常)の中にアウトドアライフ(非日常)を取りこむマンションの住戸プラン「半ソト空間」をスノーピークと共同開発し、「パークホームズ立川」に採用すると発表したので、早速見学した。採用するのは1階部分の住戸と共用部分で、なかなかいい提案だ。その他の住戸プランも工夫されており、坪単価も割安感がある。

 物件は、多摩都市モノレール線高松駅から徒歩12分(JR中央線立川駅バス5分、バス停徒歩1分)、立川市高松町1丁目に位置する12階建て全352戸。専有面積は67.87~94.96㎡、第1期(戸数未定)の予定価格は3,400万円台~6,300万円台(最多価格帯4,000万円台)、坪単価は180万円前後。竣工予定は平成29年3月下旬。施工は長谷工コーポレーション。分譲は10月下旬。

 現地は、準工だが周辺に高い建物はない。また、市は建築物の高さ規制を検討しており、このエリアは24mになる模様だ。最寄駅は高松だが、立川からバス便のほうが便利のようだ。今秋オープンする「ららぽーと立川立飛」へは徒歩10分。

 建物は東向き・南東向き・南南西向きで、1階部分の25戸に「半ソト空間」があり、3タイプ選べるようになっている。また、ほとんどの住戸が横入り玄関タイプで窓付き。ゲストルームのほか、学童保育施設も併設される。

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「半ソト空間」(モデルルームで))

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 「半ソト空間」の提案がいい。記者はオプションかと思っていたが、そうではなく、専用庭にセットできるシェード付きで、「くつろぐ」「食べる」「寝る」の3つのタイプから自由に選べるようになっている。購入すれば数十万円はするものだった。専用庭の広さは約24㎡(7坪強)。

 販売事務所の設営・モデルルームがまたいい。共用部分の「インドアパーク」がイメージできるように設営されており、モデルルームは「つなぐ」がテーマで、「半ソト空間」-リビング-キッチン-居室がつながるように工夫されている。廊下スペースを少なくすることで、約75㎡の面積を有効に使っている。バックカウンター、食洗機も標準装備。

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「つなぐ」がテーマのモデルルーム(田の字プランだとこのようにはできない)

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75㎡のプラン

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 ここ数年、同社の〝パークホームズ〟は劇的に進化を遂げているが、このマンションもユーザーの心をくすぐる仕掛け・工夫が随所に施されていた。バス便ではあるが、「ららぽーと」にも近接していることから人気を呼ぶのではないか。設備仕様などから判断して坪単価も割安だと思う。来場者も「安い」という評価をしているという(これは野村不動産のお蔭かもしれない)。

三井不動産レジデンシャルが「半ソト空間」 「パークホームズ立川」に採用(2015/9/24)

 

 

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オープンパークイメージ

 三井不動産レジデンシャルは、すまい(日常)の中にアウトドアライフ(非日常)を取りこむ「半ソト空間」というマンションの住戸プランをスノーピークと共同開発し、10月分譲予定の「パークホームズ立川」に採用する。

 「半ソト空間」とは、マンションの1 階住戸の居室内部と専用庭部分に連続性を持たせた新発想の住戸プランで、テラスから専用庭にかけてオリジナルのトライアングルシェードを設置し、居室内からシェード下のスペースを「半ソト空間」として創出する。この空間と利用目的に合わせたスノーピーク製アイテムを組み合わせることで、“くつろぐ・食べる・寝る”という3 つの生活シーンを提案する。

 「パークホームズ立川」は、JR中央線「立川」駅バス5分、バス停徒歩1分、立川市高松町1丁目に位置する12階建て全352戸。専有面積は67.87~94.96㎡、施工は長谷工コーポレーション。竣工予定は2017年3月下旬。

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インドアパークイメージ

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オリジナルトライアングルシェード

 

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「富久クロス」竣工祝賀会(ホテル椿山荘で)

 タウン名が「富久クロス」の西富久地区市街地再開発組合(理事長・笹野亨氏)は9月18日、都内のホテルに約250名を集め竣工祝賀会を行った。

 冒頭あいさつに立った笹野理事長は、「バブルに翻弄され、街が崩壊の危機にさらされたが、再開発の勉強会を立ち上げたが、当初は行政も銀行も取り合ってくれなかった。それでもみんなコミュニティを大事にしようと頑張ってきたおかげでこの日を迎えることができた。1,000戸を超える世帯が住むことになるが、街のシンボルに誇りを持って新しい街づくりを行っていきたい」と述べた。 

 続いて登壇した野村不動産・宮嶋誠一社長は、「新しい街には3,000人の方が住まわれるが、先進の安心・安全の素晴らしい街づくりに参加できたことが嬉しい。企画に際しては、10万人に上る方々の声を1,000に集約して、そのアイデアをすべて反映させた。1,000戸近い販売戸数ではあったがわずか6カ月というに短い期間に完売できたのも街の価値を評価していただいた結果。建物の管理は私どもの管理会社で行わせていただくが、全国の再開発の見本となるよう今後も継続して街づくりにお手伝いさせていただく」と力を込めた。

 さらに、設計・監理を担当した久米設計・山田幸夫社長は、「東京の宝となる新旧住民が一体となった街が完成した。その立役者はまちづくり研究所(代表)の増田(由子氏)さんであり、共用部分などには野村(不動産)さんの知見が完璧に近い形で反映されている。建物の強度も極めて高い」と語った。

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左から笹野氏、宮嶋氏、山田氏

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 このマンションについては、先の竣工見学会でも記事にしているのでそちらを読んでいただきたいが、なによりも再開発組合が竣工祝賀会への参加を呼び掛けてくれたのが嬉しい。このような祝賀会へのマスコミの取材はほとんどないはずだ。

 何人かの地権者の方に話を聞いたので、話されたほとんどそのままを紹介する。

 まず、笹野理事長(72)。「昭和45年、そば屋を開業した。5坪ですよ。いい大家さんでね、その6年後土地を分けてくれた。昭和60年に3階建てのコンクリに建て替えてね、その2年後に地上げか始まった。坪400万円でも売れたんですがね、街が好きだから売る気はなかった。地権者には(土地が)3坪足らずの人もいるし5坪以下は10軒以上ある。大変苦労しました。そば屋? 怪我をしましてね、先月で店じまいしましたよ」

 次に80歳代の女性。「夫はね、シベリア抑留帰還者でね、頑固者でしゃべりたくないタイプでね、私は都会育ち、どこかって? 深川ですよ。夫? 夫はね、田舎育ち。東北の仙台かそこら。良かれと思って結婚しましたがね、育ちも考え方、価値観も全然違うから、わたしね、一度、子ども連れて逃げ出したんですよ。わたし? 幼稚園の先生をしていたので、アパートを借りて…自分の家が持ちたくて10坪の家を買ったんです。50年くらい前ですかね。新宿は安いものも高いものもたくさんある。住めば都ですよ。夫もね、カラオケなんかに行くようになってずいぶん変わりましたよ。いまはちょっと具合が悪いですけどね」

 60歳代の女性。「生まれたときは10坪の長屋でした。当時はたくさん長屋があったんです。(その後、土地を取得されたのか)地上げ? 大変でしたよ。わたしの職場まで押しかけてきた。コリンズ。30歳代の後半でした。街が好きだから売る気はなかったですね。新居? 今日初めて内覧会がありまして、わたしたちが住むベントテラスを3回も見ましたが、畳が小さかったですね(畳は団地サイズだからやむを得ない)。タワー棟の共用施設が使えないのが残念(管理組合はタワー棟、地権者のベントハウス、賃貸棟などで別々)」

 もう一人、47歳の航空会社に勤務する男性。「親が事業をやっておりまして、土地は60坪くらいでしたかね。バブルの時は学生でしたから、経験がないですね。所有しているのはタワー棟ですが、わたしはマンションに住んだことがないので、中野の一戸建てに引っ越しました。マンションは賃貸にします」

 聞けば地権者それぞれのドラマになると思うが、記者は土地を売却し移転された方々がどのような生活をしているかも気になった。バブルは人も街もある意味では破壊した。「富久」の皆さんはよくぞ再建されたものだ。

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「富久クロス」完成 四半世紀の波乱乗り切り街再生(2015/9/14)

 

 

 

 

 

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「リノグラン東林間アリーナ」エントランス

 小田急不動産とコスモスイニシアの初の共同リノベーションマンション「リノグラン東林間アリーナ/ブライト」が報道陣向けに公開された。小田急不動産がバブル期に企画して所有してきた築24年の賃貸マンション2棟をそれぞれリノベーションして分譲するもので、バブル仕様にコスモスイニシアのノウハウが融合した素晴らしいマンションに再生された。

 物件は、小田急江ノ島線東林間駅から徒歩2分、相模原市南区上鶴間六丁目に位置する4階建てアリーナ棟20戸(販売14戸)とブライト棟19戸(完売)の39戸。アリーナ棟の専有面積は62.02~84.18㎡。9月18日に分譲する2期1次(1戸)の価格は3,398万円(84.18㎡)、全体の坪単価は150万円台の前半。既存建物は1991年3月に竣工。改修工事は2015年1月。施工は大和小田急建設。売主は小田急不動産・コスモスイニシア。

 建物の診断・大規模修繕・共用部の改修・設備の一新・30年の長期修繕計画など一棟まるごとリノベーションを施し、設計変更にも対応する「オーナーズチョイス」を提案。クロス貼り、漆喰塗が体験できる「セルフリノベーション講座」が受けられ、スケルトンの段階で契約し、専門家のアドバイスのもと設計変更にともなう費用負担はローンに組み込めるようにしているのが特徴。

 アリーナ棟の現在の販売対象14戸のうちすでに7戸は販売済み。分譲対象外の4戸は賃借人が住んでおり、賃貸借契約が解除になった段階で分譲に切り替えることになっている。

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小上がり和室があるカリンのフローリングが施されたモデルルーム

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「リトルテーマパーク、が楽しい家」モデルルーム

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「リトルテーマパーク、が楽しい家」モデルルーム

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 バブル仕様の社宅がリノベーションにより分譲されたのは結構見ているが、賃貸マンションは初めてだ。〝さすが小田急〟というか、信じられないプランと設備仕様だ。いかにバブル期とはいえ、よくぞ平均で75㎡(アリーナ棟)、81㎡(ブライト棟)の賃貸を企画したものだ。

 外壁はもちろんバルコニー、階段はタイル張り。一部にはライトコート(吹き抜け)もある。住戸の天井高は2400ミリだが、2重床・2重天井で浴室の段差はほとんどない。当時分譲されていたら、坪単価は300万円台になっていたかもしれない。

 そんなレベルの高い賃貸をコスモスイニシアが最高のものに仕上げた。従前は外部とオープンになっていた地階の駐車場に電動シャッターを設置し、洗車スペースも設けた。設置はされていたが使用されていなかった地階のエレベータを利用できるようにし、駐車場から直接住戸へのアプローチも可能にした。アリーナ棟の駐車場の屋上はテラスに改修した。エントランス部分には高さ5メートルのイロハモミジなどの高木を配した。

 さらに、一部のモデルルームの床は無垢のカリン材のフローリングとし、キッチン天板はシーザーストーン、和室は小上がり仕上げ。食洗機も標準装備。

 販売を担当しているコスモスイニシア マンション分譲二部一課チーフ・田中一如氏は、「二月以降の来場者は131組だが、コンスタントに集客できている。周辺に新築物件が全くなく、やや離れているところでも2,000万円台、3,000万円台がほとんど。当社の物件がプライスリーダーになっている」と話した。

 記者は、いま新たに用地を取得して分譲マンションを建設するとしたら、坪単価は200万円を突破すると考えた。150万円という単価は極めて安い。ただ、こういったリノベーションマンションはそう供給されないはずだ。小田急とコスモスイニシアがコラボしたから実現した。

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セルフリノベーション体験イベント

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共有部のオープンスペース

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駐車場

 

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完成した、「富久クロス」

 野村不動産は9月9日、「富久クロス」(全1,222戸)の竣工記者見学会を行った。このマンションについては既報の記事を読んでいただきたいが、坪単価328万円という分譲当時としては高かったにもかかわらず、1期1~3次、2期まで即日完売し、分譲992戸がわずか6カ月で完売して話題となった。

 完成した建物を見て、人気になるのも頷けるのだが、バブル崩壊-リーマンショック-東日本大震災-建築費高騰などの〝失われた25年間〟の荒波を乗り越えてよくぞ見事な再開発を成し遂げたと感服するほかなかった。

 見学会で挨拶した同社開発企画本部プロジェクト推進部長・渡辺弘道氏は、「バブルによる地上げで虫食い状態になっていたところをバブル崩壊、リーマンショック、東日本大震災などの度重なる(再開発計画の)存続の危機を地権者、地元、行政、大学などが連携して乗り越え、平成2年の勉強会から25年目にして竣工にいたった。当社は平成22年に特定業務代行として事業に参画してきた。商品企画にあたっては、実に10万人の意見を募り、その中から1000件に絞り込み、その声をすべて建物に反映した。わずか6カ月で完売できたのもそのような企画が評価されたからだと考えている。当社はいま約30地区で再開発計画を進めているが、これはデベロッパーのなかでもっとも多いのではないか」と胸を張った。

 渡辺氏は、リーマンショック前の分譲単価は坪400万円くらいが想定されていたことも明らかにした。

 また、総合プロデューサーとして19年にわたってこの計画に携わってきたまちづくり研究所代表取締役・増田由子氏は、「激しい地上げで247世帯が120世帯に半減した。何度もくじけそうになったが、2002年に都市再生緊急整備地区に指定されて流れが変わった。経済状況の悪いときに大変苦労したと」と、計画を振り返った。

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地上げからの〝守り神〟になったお稲荷さんも再生された

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ベントテラス

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 記者は前職のとき、勤務先が近くだったこともあり、当時のすさまじい地上げの実態を取材している。いまの方は理解できないだろうが、この富久も地上げが始まった昭和60年代の初めの地価は坪500万円くらいだったのが、最終的には3,000万円に吊り上った。西新宿も同様に坪300万円がゼネコンに売却されたときは平均3,000万円だった。接道部分などは坪1億円で売買された。

 富久も西新宿もそれこそ街が死んでいた。地上げ屋が怖くて歩くのも怖いくらいだった。

 あれから25年。富久も西新宿も見事な街に生まれ変わった。関係者の努力には頭が下がるばかりだが、どれだけの犠牲を払ったかを考えると言葉が詰まる。

 地上げが結局成功しなかったのは、当地にあったお稲荷さんの権利者が80人くらいおり、その所在が分からない人もかなりいたのがその理由だと聞いた。そのお稲荷さんに賽銭泥棒が入ったことは記者もよく知っている。

 お稲荷さんは〝地域の守り神〟として敷地内に祀られている。

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左側の壁は庵治石が張られ、正面は壁面緑化が施されたエントランスホール

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 完成した建物をみて驚いたのは、まず共用施設の充実ぶりだった。エントランスホールの高さ5mくらいの壁には大きな庵治石が50枚は張られていたはずだ。ホール正面にやはり高さ5m、幅約5mの観葉植物の壁面緑化が施されていた。

 3室あるゲストルームのうちの和室タイプの床は無垢のナグリ仕上げとなっており、フィットネスルーム、パーティラウンジ、キッズラウンジ、スカイラウンジ、図書コーナーなどの10のラウンジも充実している。各フロアの廊下には版画などのオブジェが200点くらい展示されている。

 接地型の住宅に住みたいという地権者向けにペントテラス住戸17戸や地権者が所有する7階建て賃貸住棟(121戸)が併設されている。スーパーや認可保育所も設けられている。

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ラウンジ

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アール状になっている共用部分の配置

新宿・富久町「Comfort Tower」 第1期482戸が即日完売(2013/9/26)

地揚げから30年 坪330万円のマンションに再生「Tomihisa Cross」(2013/9/5)

カテゴリ: 2015年度

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「ユトリシア」

 大成有楽不動産が同社など6社JVの習志野市郊外の大規模分譲マンション「ユトリシア」の最終街区が竣工いたのに伴い、報道関係者向けに完成お披露目会を行った。

 「ユトリシア」は壱番街から五番街で構成される全1,453戸、総開発面積約66,000㎡の大規模分譲マンション。2009年2月に壱番街が竣工して以降、既に1,100世帯が居住。ガーデンや本格的体育館をはじめとする30もの共用施設が集まる「センタープロムナード」、様々な菜園がある中庭など広大な敷地を利用したランドスケープデザインが特徴。共用施設を活用したコミュニティ活動は2014年度の「グッドデザイン賞」を受賞している。

 物件は、京成本線実籾駅から徒歩11分、習志野市東習志野2丁目に位置する14階建て全1,453戸。専有面積は71.34~123.26㎡。施工は長谷工・大成建設共同企業体。売主は同社のほか名鉄不動産、三交不動産、東レ建設、新日本建設、長谷工コーポレーション。

 分譲開始は7年前。当初は坪単価130万円で分譲されていたが、市況の変化を受けて現在は115万円。最終街区の「五番街」272戸のうち約130戸が分譲済み。住戸プランはディスポーザー、食洗機が標準装備、バルコニー奥行きは約2m。

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中庭

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中庭に設けられている菜園(手前はオクラ、その奥にはダイコン、サツマイモ、シソなどが植えられていた。オクラの実はどうして下ではなく上を向いているのか。そう言えば、どうして朝顔のツルや記者の頭は左巻きで、巻貝はほとんどが右巻きなのか)

◇       ◆     ◇

 現地を見学してランドスケープデザインが優れているのに目を奪われた。とくに敷地を南北に貫く「センタープロムナード」と、横軸に配した中庭がいい。提供公園には生け垣の迷路もあった。休日になると子どもたちで大賑わいになるそうだ。

 坪単価115万円というのは、新築の単価では考えられない安さだ。都心へのアクセスはいいとは言えないが、30坪で3,000万円台という価格は魅力だ。竣工を受けて販売スピードは加速するのではないか。

 ゲストルームなどを併設した体育館にも驚いた。2階建てで建坪は約100坪くらいではないか。公式のバスケットボールのコート(縦28m、横15m)も可能だという。同じようなものはこれまで「ガーデンアソシエ」(大船)と「コロンブスシティ」(千葉市)にも建設されたという。

 われわれはマンションの価値を坪単価でしか評価しない測れない習性がある。中小規模マンションにはこれが当てはまるのだが、大規模物件では共用施設とか緑の量と質を適正に評価する指標を持たないといけないことをつくづく感じた見学会だった。

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体育館

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カテゴリ: 2015年度
 

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