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津田氏(左)と佐藤氏

 コスモスイニシアは6月30日、「‘柔らかさ’のある住まい」をテーマにした新ブランド「INITIA CLOUD(イニシアクラウド)」を立ち上げ、近く供給するマンション「イニシアクラウド二子玉川」、リノベーションマンション「パレ二子玉川」、一戸建て「グランフォーラム梶が谷」を皮切りに分譲していくと発表した。

 「INITIA CLOUD」は、Newsweek誌「世界が尊敬する日本人100人」に選出された世界的なデザイナー佐藤オオキ氏が代表を務める「nendo」が監修し、マンション、リノベ、一戸建てなどのカテゴリーの枠を超えて、家族構成やライフサイクルの変化に対応し、あわせて心地よい空間を提案することで、「‘柔らかさ’のある住まい」を実現する。

 基本は、開放的な大きなスペースとスライドウォールを組み合わせ。スライドウォールを開閉することでさまざまな間取りやレイアウトが可能になる。「キッチンなのに廊下にもなる」「廊下なのに収納にもなる」など、従来では考えられなかった柔軟な提案も行っていく。

 発表会に臨んだ同社執行役員レジデンシャル本部副本部長・津田英信氏は、「これまで業界スタンダードになるようなものづくりを行ってきたが、間取りの研究開発余地はまだまだあると考えてきた。しかし、従来の建築関係、学者などとのコラボには発想に限界もある。佐藤さんの『デザインは人を幸せにするもの』の言葉にひかれ、2013年に『建築分野を超えた仕事がしたい』と依頼した」とコラボの経緯を語った。

 佐藤氏は、「住まいとは何か、イニシアって何かなど、大きなフレームで考えたとき、家電などと比べて住宅はハードもソフトも“固い”し、進化していないんじゃないかと考えた。そこで浮かんだのが“柔らかさ”。大事なのは“SCENE(シーン)”“TIME(タイム)”“TOUCH(タッチ)”。これをテーマにした」と話した。

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概念図(SCENE)

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概念図(TIME)

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概念図(TOUCH)

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 なかなか面白い発想だ。詳細は別掲の記事を読んでいただきたいが、同社は昨年、創業40周年記念のプロジェクト「イニシア武蔵新城ハウス」を分譲した。これまで取り組んできた同社のものづくりの集大成の物件といえるもので、素晴らしいものだった。

 今回の新ブランドはその延長線上にあるものと理解した。しかし、津田氏が目標とした「年間供給戸数の10%程度」という目標については注文を付けざるを得ない。

 佐藤が話したように、今の住宅は固くて進化していないというのであれば、同社が先頭に立って変えていくという気構えがほしい。それが新ブランドのコンセプトだ。10%というのは情けない。

 記者は、今後供給するすべての物件に“SCENE(シーン)”“TIME(タイム)”“TOUCH(タッチ)”を採用するのは困難なのは理解できる。コストなど様々な制約があるのも分かる。

 しかし、同社の年間のマンション供給量は1,000戸くらいか。そのうち新ブランドが10%とすれば100戸だ。供給戸数を競う時代ではないが、これはいかにも少ない。ユーザーに浸透しない。これまで分譲してきた物件でも新ブランドのコンセプトに近いものを同社は供給してきている。

 「INITIA CLOUD」は単にマンション、戸建てブランドの一つにとどまらず、同社のマンション事業全体、企業姿勢にもつながるものだ。エッセンスだけでもいい。新ブランドが業界をリードし、やがてはスタンダードにする姿勢をアピールしてほしい。

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「イニシアクラウド二子玉川」完成予想図

創業40周年記念の「イニシア武蔵新城ハウス」 30年前の「シカク」蘇る(2014/10/9)

 

カテゴリ: 2015年度

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「ルジェンテときわ台」

 東急リバブルは6月27日(土)、同社の自社分譲マンションブランド「L’GENTE」シリーズの「ルジェンテときわ台」(総戸数29戸)の建物内モデルルームをオープンする。

 物件は、東武東上線ときわ台駅から徒歩6分、板橋区南常盤台2丁目に位置する全29戸。専有面積は32.57~62.27㎡、予定価格は3,000万円台~5,200万円台、坪単価は270万円前後。施工はトヨダ工業。販売開始は7月下旬の予定。

 全29戸のうち21戸が角住戸で、内廊下方式、全居室スライドドアを採用。共用部では「トリプルセキュリティ」や、ダイエーのネットスーパーと提携し、インターネットから注文可能な食配サービス「食配ラボ」を導入する。

カテゴリ: 2015年度

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「オーベルグランディオ横浜鶴見」

 大成有楽不動産が先に行った「オーベルグランディオ横浜鶴見」の入居済みの人を対象としたコミュニティイベントを見学した。デベロッパーは最近、こうしたコミュニティ支援のイベントを積極的に行っているが、同社は地域の企業と連携した多彩なイベントを行うのが特徴で、この日は、横浜DeNAベイスターズのマスコットダンスやボーネルンドの「キドキドつるみ」が行われた。

 このマンションの商品企画やコミュニティ支援の取り組みについては、別掲の記事を参照していただきたいが、小さなお子さん連れのお母さん方がたくさん集まっているのを見て、改めて居住者同士や地域とのつながりが大きな役割を果たしていることを実感した。

 今回のコミュニティ活動は、全3棟553戸の「オーベルグランディオ横浜鶴見」の3棟別々の管理組合が「共同コミュニティ委員会」を設置し、同社のコミュニティサポート事務局とフォーシーカンパニーの「マチTOMO事務局」がイベントの企画・開催、サークル立ち上げ支援を行うもの。横浜DeNAベイスターズ、キリンビール、横浜国大、京急電鉄、森永製菓、東京ガスなどの企業と連携したプログラムも実施している。2017年3月まで支援していく。今回は入居が始まっている2棟の居住者が対象。

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横浜DeNAベイスターズのキャラクター   

 ベイスターズのイベント参加者の一人で、昨年12月に入居した3人家族の30歳代のお母さんは、「妊娠したとき、マンション購入を検討しました。それまでは戸塚の賃貸マンションに住んでいたのですが、5階建ての4階部分でエレベータはありませんでした。このマンションの決め手は駅に近いこと。コミュニティ支援のプログラムがなければ、自分から積極的に交流することはなかったはず。とてもありがたいです」と話した。

 また、「キドキドつるみ」に参加していた11カ月と3歳のお子さん連れの30歳代のお母さんは、「ママ友ができてとても楽しい。今日も、この会に参加する前にコストコにみんなと行ってきました」と交流を楽しんでいた。

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「ママ友ができてとても楽しい」と語るお母さん

 もう一人の20歳代のお母さんからは、「RBA野球の記事を書いている方でしょ。パパの会社も参加しています」と呼びかけられた(これには驚いた。このパパのことはよく知っているが書かない。仕事も野球も一生懸命の方だ)。

 マンションは「アリーナテラス」(180戸)と「コンフォートテラス」(193戸)が分譲済みで、現在分譲中の最終街区「ブリーズテラス」(180戸)は100戸供給してほぼ完売している。

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敷地内には樹齢80年はありそうな既存樹のケヤキの大木が植わっていた(コンフォートテラス)

大成有楽不などプロ野球観戦イベント コミュニティがテーマの「横浜鶴見」(2014/9/10)

建物の高さ規制は居住性、景観美の視点から見直しを(2013/12/7)

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「パークシティ武蔵小杉 タワーズイースト」完成予想図

 三井不動産レジデンシャル(事業比率50%)とJX日鉱日石不動産(同)は6月24日、記者発表会を行い、川崎市中原区の住宅・商業・文化一体開発のプロジェクト「パークシティ武蔵小杉ザガーデン」(全2棟、約1,200戸)のうちの1棟「パークシティ武蔵小杉 タワーズイースト」(全592戸)」の第1期409戸の販売を6月27日から開始すると発表した。駅から徒歩4分で、坪単価は330万円。人気必至のマンションだ。

 物件は、JR南武線・横須賀線・湘南新宿ライン武蔵小杉駅から徒歩4分(JR横須賀線・湘南新宿ラインのホームまでは連絡通路利用でさらに徒歩6分)、東急東横線・目黒線武蔵小杉駅から徒歩5分、川崎市中原区小杉町2丁目に位置する53階建て全592戸。第1期(409戸)の専有面積は44.93~105.81㎡、価格は4,390万~15,800万円(最多価格帯7,200万円台)、坪単価330万円。設計・施工・監理は竹中工務店。竣工予定は平成29年12月下旬。

 昨年10月からの資料請求は約10,000件、5月からオープンしたモデルルーム来場者は約2,000組。来場者の約45%が中原区在住で、30歳代・40歳代で約55%。居住形態は持ち家が約45%。年収は1,000万円以上が約45%。約95%が実需。

 現地は、総面積が約92haの再開発エリアの一角で、これから開発が進められる駅北口の第一弾プロジェクト。敷地は旧日本石油の社宅・独身寮跡地。10数年前から両社が再開発計画を進めてきた。建物は免震で、敷地の約4割を緑化。敷地南面に約200mにも及ぶ商業施設と、2階には川崎市が所有する約3,000㎡、1,000人規模のコンベンション施設が併設される。

 商品企画では、複層防災プログラム、サステナブルの取り組みのほか、「KOSUGIからCOSUGIへ」というコンセプトのもと、コミュニケーションcommunication)、コラボレーション(collaboration)、コミュニティ(community)を通じ「ともにつながって」、「KOからCOへ」の新しい価値を見出していける取り組みを進めるのが特徴。

 発表会に臨んだ三井不動産レジデンシャル執行役員横浜支店長・徳川浩一氏は、「武蔵小杉は近年人気が高まっており、いつも〝住みたい街ランキング〟の上位にランクされている。われわれは、これまで駅南側の3棟のマンションや商業施設、駅前広場の整備などを行ってきており、街の発展に貢献してきた。開発地はJX日鉱日石の思い入れの強い土地であり、われわれの街を牽引してきたという想いも込めた」と話した。JX日鉱日石不動産取締役開発事業部長・伊藤裕樹氏は、「敷地の旧社宅には最盛期で300人の社員が住んでおり、大きな公園もあり、地域の人との交流もあった。コンセプトにはその思いも盛り込んだ」などと語った。

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「ゲストサロン」(左)と「ビューバス」

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 坪単価は330万円。事前に聞いていた数字とほぼ同じだ。いまから10年くらい前に分譲された第一弾は220万円くらいだった。あれから100万円以上も上昇した。

 第1期409戸という数字も驚きだ。近年の一挙販売戸数の多さでは「勝どき」500戸、「Tomihisa Cross」482戸、「SKYZ」470戸に次ぐのではないか。

 「KOからCOへ」のコンセプトもいい。よく考えたものだ。わが国のローマ字は公式にはヘボン式を採用しているので「こ」は「KO」なのだろうが、別に「CO」と書いても間違いではないはずだ。今回のプロジェクトだけでなく「小杉」は「COSUGI」とアルファベット表記を統一したらどうか。

 モデルルームでは、三井デザインテックの小野京子氏がデザインした価格が1億5,800万円の特別仕様の住戸がいい。。天井高は2850ミリ、無垢のうづくり仕上げの建具ドア、初めて見るような御影石の床、たたき仕上げのドア把っ手などが印象的だった。

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ライブラリーラウンジ

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 ひとつだけ理解できなかったのはコンセプトムービー。「KOからCOへ」を表現したものだが、ママ役の佐藤康恵さんは全然知らないし、小杉のマルシェやら多摩川でのイベントが映し出されても「小杉に川はあったのか」と首をかしげるだけだった。イメージに流れすぎたのではないか。

 その後のプロジェクトムービーは極めて明解。物件の特徴を余すところなく伝えきっていた。逆のほうがよかったのではないかと思った。

 同じ川崎市の注目物件、野村不動産「宮崎台」は最初から田園都市の歴史、思想を伝えた。広告には説得に重きを置いたものとイメージを重視したものとがあるが、さて今回の評価は…。

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モデルルーム

 もう一つ、パンフレットについて。これは重い。優に2キロはある。しかも凝っている。

 大きく分けて2つ。一つは杉板文様をプリントした紙袋で、図面集などが入っている。これはまあ普通だ。

 すごいのはもう一つのほう。スギ独特の香りがする本物の杉の木箱入りで、写真集やタウンガイド、コンセプトブックなどが収められている。「GREEN NEIGHBORHOOD LIFE」と名付けられたガイド誌とコンセプトブックのようなものは、直径が約25センチの半円形の形をしており、開くと横が30センチ強の楕円になる。全部で40ページ以上もある。

 これだけでも面白いが、縦約25センチ、横約5センチの折本がまたユニークだ。表と裏に手書きの文章を印刷したもので、絵が添えられており、すべて開くと3メートルくらいもある。

 これでとどまらない。中身は見ていないが、ジグゾーパズルのようなもの賀ビニール袋に入っている。小さな子どもにぴったりではないか。

 まだある。コースタを綴じたような四角い形のもので、謎解きのようにコンセプトを解き明かしていく内容になっている。

 高価なものでは、桐の箱に入った原価で数万円もするリゾートマンションのパンフレットをバブル期にもらったことがあるが、今回のような面白いパンフレットは見たことがない。将来、プレミアがつくかも知れないので持っている人は捨てないほうがいい。

 ちなみにパンフレットの重さの記録は、三井不動産レジデンシャルが伊藤忠都市開発と共同で分譲した「新浦安」の物件。確か4.2キロだったはずだ。

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モデルルーム

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「ザ・パークハウスグラン南青山」完成予想図

 三菱地所レジデンスは6月16日、三菱倉庫、東京建物とともに分譲した都心のフラッグシップ「ザ・パークハウスグラン」の第3弾「ザ・パークハウスグラン南青山」が6月14日に申し込みを締め切った結果、全20戸が即日完売したと発表した。

 価格は1億5,000 万円~7 億7,000万円(最多価格帯1億5,000万円台・2億1,000万円台・2億4000万円台)、専有面積60.21~222.37㎡、坪単価は800万円弱。問い合わせ件数は約2,500件、登録件数は193件。競争倍率が10倍を超える住戸が6戸あり、最高価格の7.7億円も2倍の申し込みがあった。

 登録者の属性は①年齢:40 歳代(約25%)、50 歳代(約25%)が中心②居住地:港区(約35%)、渋谷区(約15%)を中心に幅広いエリア③家族数:最多は2 人家族(約30%)

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 分譲戸数が少ないので人気になるとは思っていたが、登録数が193件に上ったのは驚きだ。単純に計算しても平均倍率は9.65倍だ。同社もこれほど人気になるとは思っていなかったようで、驚いているとのことだった。

「ザ・パークハウスグラン」 第3弾「南青山」は坪800万円弱(2015/6/4)

 

 

 

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「プラウドシティ宮崎台」完成予想図

 野村不動産が今夏に分譲開始する「プラウドシティ宮崎台」を見学した。田園都市線「宮崎台」駅から徒歩6分という地にありながら、沿線では珍しい全429戸の大型プロジェクトで、田都の歴史を変えるマンションになるかもしれない。

 物件は、田園都市線宮崎台駅から徒歩6分、川崎市宮前区宮前平3丁目に位置するイーストコート204戸、ウエストコート225戸の合計429戸の規模。専有面積59.23~110.91㎡、価格は未定だが、坪単価は300万円を切る模様。施工は三井住友建設。竣工予定は平成28年8月下旬~11月下旬。

 現地は、ケヤキ並木、銀杏並木が美しい高台で、三菱重工の社宅跡地。2年前、メジャーセブンのうち1社のみが入札しなかっただけで、その他6社+ゼネコン1社が入札した、大手デベロッパー垂涎の的のマンション適地。

 イギリスの社会学者エベネザー・ハワードが提唱した「田園都市構想」に基づいて整備された多摩田園都市の美しい街並み似ふさわしい外構・外観としているのが特徴で、随所に水盤を設け、電車の窓から見えることもあって印象的なマリオン、コーナーサッシを採用している。設計が日建ハウジングシステム社という点も、プロジェクトに対する同社の本気度を感じる。

 住戸プランはファミリー向けが中心で、浄水器一体型グローエ水栓、エコナビ機能付き食器洗い乾燥機、LED照明付き浴室などが標準仕様。

 プロジェクトの責任者、同社シニアチーフ三上一人氏は「大規模マンションの用地が出にくい田都沿線において、当社初の100戸超の旗艦事業。恥ずかしい住まいは造れない。相当気合いを入れた」と話す。

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 駅に降りてすぐ思い出したのはリーマン・ショック後の2009年に同社が分譲して即日完売した「プラウド宮崎台」だ。詳細は添付した記事を読んでいただきたいが、このマンションが人気になったことで同社の快進撃が再び始まった。

 そして、今回。田園都市線の駅近のマンションでは久々の大型だ。さらに大きいだけでは無く、周辺環境も申し分無い。これほど環境が整った大型はいつ以来かを考えた。

 真っ先に浮かんだのは、2001年竣工の東急不動産「イディオスあざみ野」(321戸)だ。高台立地でグレード感もあり、近年の最高物件だと思っている。

 それを超えるかどうかが最大の関心事だ。当時と事業環境も異なるのでなんともいえないが、田都のビンテージマンションになるのは間違いない。まさに沿線において比肩するものなしと言ったところだ。実際に商品企画においても同社の力の入れようがひしひしと伝わってくる。デザイン性に優れたエントランスや共用部を始め、専有部においても浄水器一体型グローエ水栓、エコナビ機能付き食器洗い乾燥機、LED照明付き浴室など、昨今の建築費上昇局面においても非常に水準が高いと言える。

 価格はどうか。現地を見た時、坪単価は間違いなく300万円を超えるとみたのだが、戸数が多く、超えてもそんなに大幅には超えないのではと予想した。三上氏が言ったように「300万円を切る」というのが味噌、急所だ。

 首都圏マンション単価はどんどん上昇している。準都心・郊外部でも立地条件のいいところは軒並み坪300万円を超えてきている。普通のサラリーマンの取得限界を超えている。

 同社は極力単価を抑え、早期完売を企図しているはずだ。競合するかどうかはともかく、同じ川崎・横浜のマンションでは東急不動産と近鉄不動産がそれぞれ分譲する「みなとみらい」、三井不動産レジデンシャルの「武蔵小杉」がユーザーの関心を呼んでいる。「みなとみらい」は坪400万円前後かそれ以上、「武蔵小杉」も320万円くらいになるはずだ。

 同社はそれより低めに設定して〝割安感〟をアピールしようという戦略だ。三上氏は「来場者は沿線居住者のほか、世田谷区が多い」と話したように、城西エリアからも需要を喚起できるかどうかがカギだろう。

 田都のマンションの歴史を変える可能性を秘めたマンションだ。

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野村不動産幹部が〝即完〟を確信した「プラウド宮崎台」(2009/4/20)

 

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「BLUE  HARBOR TOWER みなとみらい」完成予想図

 近鉄不動産と三井不動産レジデンシャルが6月9日、「みなとみらい地区」最後の住宅街区の一角で開発を進めている商業・ホテル・住の複合開発プロジェクトのマンション「BLUE  HARBOR TOWER みなとみらい」記者発表会を行い、6月20日からモデルルームをプレオープンすると発表した。

 物件は、横浜高速鉄道みなとみらい線新高島駅から徒歩8分、同みなとみらい駅から徒歩9分、JR横浜駅から徒歩16分、横浜市西区みなとみらい6丁目に位置する27階建て全355戸(販売戸数305戸)。価格は45.91~136.97㎡、価格は未定だが、坪単価は400万円前後になる模様。竣工予定は2017年2月中旬。設計は久米設計。施工は大成建設。

 現地は、みなとみらい地区唯一のオーシャンフロント住宅街区の一角で、大型スーパー「(仮称)オーケーみなとみらい店」と「(仮称)ホテルビスタプレミオ横浜みなとみらい」や就業施設、保育施設が併設される。

 建物は免震構造で、オーシャンフロント住戸比率が約59%。高層階はプレミアム仕様で、著名なデザイナーズモデルルームを提案。コミュニティ形成を図る「クラブサロン」、「そごう横浜」と提携したショッピングサポートも行う。

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 これから神奈川県では三井不動産レジデンシャル「パークシティ武蔵小杉ザガーデンタワーズイースト」(592戸)と、野村不動産「プラウドシティ宮崎台」(429戸)のビッグプロジェクトが供給される。単価がそれぞれ異なり直接対決はないかもしれないが、東京都のユーザーにとっては悩ましい選択になるのではないか。

 この点について、三井不動産レジデンシャル執行役員横浜支店長・徳川浩一氏は「3物件とも〝住みたい街〟の上位にランクされており、注目されているが、地縁性や交通便などもあるので競合するというよりそれぞれで盛り上げていきたい」と語った。

 住戸プラン、設備仕様について。120㎡のプレミアムモデルルームには驚いた。「FENDI」などの高級ブランドの店舗を数多く手掛けるグエナエル・ニコラ氏を起用。2ミリ厚のタモの突板床、収納扉の裏側も含めた布クロス、和紙に金属箔を貼ったモダンな和室の天井、幾重にも折り重ねたような洋室の紙クロス、天然石のようなセラミックタイルなどをふんだんに用いている。

 標準タイプのモデルルームを担当しているいま人気のデザイナー鈴木ふじゑ氏がかすんでしまうほどだ。

 ただ、一つ二つ言わせていただければ、ニコラ氏の玄関・ホール間の引き戸はどうか。玄関そのものはそれほど広くなく、引き戸で仕切ってしまうのはどうか。和風住宅ではなくはないが、マンションではおそらく初の試みだろう。

 もう一つ、惜しいと思ったのはホールや居室の床の隅に設けたLED照明だ。部屋を暗くして照明だけ灯すとかなり強い光が目に飛び込んでくる。

 意図はよく分かる。昔のわが国の住宅は行燈、ろうそくなどのアッパーライトが基本だった。そこまで考えるのなら、光を直接目に入るようにするのでなく、床の壁に当てて優しい反射光を四方八方に拡散するようにしたら最高ではなかったか。残念。

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 来年日本で開かれる主要7カ国(G7)首脳会議(サミット)の開催地が三重県・賢島に決定した。同地では近鉄グループと三井不動産グループがそれぞれホテル・リゾート事業を行っており、わが故郷の久々の朗報なので絶好の機会だと思い質問した。

 これに対して、近鉄不動産常務取締役首都圏事業本部長・田中孝昭氏は、「まことに結構なこと。近鉄グループとしても喜ばしい。三井さん(ねむの里・鳥羽国際)と仲良くやりたい」などと話した。

 三重の野球ファンは近鉄でも阪神でもオリックスでもなく中日が圧倒的に多いが、近鉄と三交は三重県人にとっては足を支える存在だ。ここしばらくは賢島が全国区になる。

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プラン・設備がいい、坪400万円は納得 「ブランズタワーみなとみらい」(2015/5/13)

 

 

 

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「プレミスト高尾サクラシティ」完成予想図

 大和ハウス工業(事業比率80%)とコスモスイニシア(同20%)が6月中旬に分譲開始するマンション「プレミスト高尾サクラシティ」を見学した。この5年間で2棟120戸しか供給されていない高尾駅圏の総戸数416戸の大規模開発で、隣接の敷地には複合商業施設・戸建て・保育園も建設される。坪単価は160万円台の半ばになる模様。大和ハウス関係者は「第1期は即日完売する」と手ごたえを感じていた。

 物件は、JR中央本線・京王高尾線高尾駅から徒歩6分、八王子市東浅川町に位置する14階建て全416戸。専有面積は63.57~92.55㎡、予定価格は2LDKで2,500万円台~、3LDKで2,700万円台~、坪単価は160万円台の半ばになる模様。竣工予定は平成28年2月上旬~28年10月下旬。施工は長谷工コーポレーション。販売代理は野村不動産アーバンネット。

 現地は約16,000㎡の沖電気の敷地跡地。敷地に隣接して複合商業施設と戸建て街区が予定されている。保育所・小学校も隣接。「サクラシティ」は既存樹のサクラが市民にも開放され親しまれていたことから名づけられた。

 建物はほとんどが南向きの4棟分節構成で、エネルギー管理システム(MEMS)、地域コミュニティエネルギー管理システム(CEMS)などを駆使してスマートシティを構築する。

 住戸プランは70㎡台のファミリー向けが中心で、モデルルームは、オプションだが本物の木を壁や調度品に用いた提案がいい。

 これまで来場者は500組超。大和ハウス東京本店マンション事業部事業部長・松岡康成氏は「第1期の戸数は未定だが、必ず即日完売する」と自信を見せた。

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 バブル崩壊までは「高尾」はマンションや分譲戸建ての〝メッカ〟でもあった。都心に近い良好な住宅は1億円を突破していた。ここまで来ないと普通のサラリーマンは戸建ての取得などできなかった。高尾がどのような街であったかを少し紹介しよう。

 記者が真っ先に思い出すのが、「グリーンタウン高尾」(30.7ha、分譲住宅283戸、宅地分譲314区画、合計597区画)、「ホーメストタウン八王子」(34.8ha、総戸数606戸)、「城山手」(29.0ha、総戸数490戸)の3団地だ。分譲時にその都度取材に出かけ記事にしているが、ここで当時の記事を子細に調べる余裕がない。間違っていたらごめんなさいというほかない。

 「グリーンタウン高尾」の分譲開始は昭和60年。事業主は東京都住宅供給公社。高尾駅からバスで15分、土地面積は40~50坪台、建物は31坪以上、価格は3,000万円台の後半。公庫融資が1,000万円くらい付いており、頭金は2,000万円台の後半。公庫のローン金利は10年固定で5.25%、11年目以降は6.15%。施工はハウスメーカーの約10社。

 当時、都公社の分譲事業は低迷を続けており、事業継続をかけたプロジェクトだったが、販売時期が幸いした。まさにバブルの発生時。第1期の分譲住宅は100戸を超えていたが、申し込み倍率は数倍に達した。都公社の担当課長が大喜びしたのを思い出す。

 「ホーメストタウン」はどうか。宮脇檀がランドプランを担当しただけあって素晴らしい街に出来上がった。今でも風格がある。記者の記憶に残る団地の一つだ。

 ただ、開発許可を得るのに難航したため、販売開始はバブル崩壊後の平成5年くらいだった。事業主の殖産住宅は「太平住宅」「日本電建」とともに戸建て分譲の老舗だが、経営難から平成14年、民事再生を申請して破たんした。

 もう一つの「城山手」は相互住宅が事業主で、分譲開始は平成6年。こちらは前2者がバス便だったのに対して徒歩圏であることからまずまずの売れ行きをみせた。価格は6,000万円くらいではなかったか。こちらも街並みが素晴らしかった。

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「グリーンタウン高尾」街並み

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「ホーメストタウン八王子」街並み

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 この3団地でトータル約1,700戸だ。当時の購入者はほとんど60歳以上になっているはずだ。世帯分離で子世帯が独立、転居するケースが増え、世帯の高齢化にともなう様々な問題を抱えていることは容易に想像がつく。

 大和ハウスの今回のマンションがこれら3団地や周辺の戸建て団地から大量の買い替え・買い増し需要を吸収するのではないか。圏央道へも車で約5分という立地もユーザーの購買意欲を刺激するかもしれない。リニア停車駅の「橋本」にも車で約15分だ。もちろん高尾山も近い。

 地元居住者だけでなく、広域からも集客できるかどうか、「高尾」の魅力を訴えきれるかどうかが販売のカギとなる。

 昔の話をしてもしょうがないのだが、当時のローン金利が5%を超えていたのをいまのユーザーはどうとらえるか。

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 「サクラシティ」の取材後、「グリーンタウン高尾」と「ホーメストタウン八王子」の街並みを見て回り、お茶でも飲もうと喫茶店に入った。店の名は「カフェ・ド・ラ・ネージュ」。「ラ・ネージュ」はフランス語で「雪」。こじんまりした古風な内装で椅子はカリモク製、床はレンガ張り。二重窓の中には鮮やかな赤のゼラニウムの鉢がたくさん置かれていた。カウンターには白い可憐なドクダミの一枝が、窓側にはユキノシタの花がさりげなく飾られていた。

 ドクダミは記者の大好きな野草だ。誰からも嫌われるが、匂いはすさんだ心を癒してくれる鎮静剤だ。嬉しくなってオーナーのKさんに声を掛けた。

 店の開業は昭和54年で、Kさんは二代目。戦中の昭和18年、神田の生まれ。「高尾も夏は暑いですが、朝晩は涼しい。空気もきれいだし離れられない」と話した。

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「カフェ・ド・ラ・ネージュ」に活けられていたドクダミとユキノシタ

カテゴリ: 2015年度

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「ザ・パークハウス グラン南青山」完成予想図

 三菱地所レジデンスは6月4日、同社の都心のフラッグシップマンションシリーズ「ザ・パークハウス グラン」の第4弾「ザ・パークハウス グラン南青山」のモデルルームを6月6日にオープンすると発表した。東京メトロ表参道駅から徒歩4分の全101戸の規模で、「南青山5丁目」アドレスでは初の大規模物件。坪単価は800万円弱。

 物件は、東京メトロ銀座線・千代田線・半蔵門線表参道駅から徒歩4分、港区南青山5丁目に位置する7階建て全101戸(事業協力者住戸81戸含む)。専有面積は60.21~222.37㎡、価格は未定だが、坪単価は800万円弱。最大面積住戸は7億7,000万円の予定。竣工予定は2016年8月。施工は東急建設。デザイン監修はアーキサイトメビウス。

 現地は財務省の職員宿舎跡地。「世界が息をのむ青山の邸宅」をデザインコンセプトに、外観はランダムに配置したマリオンと御影石の重厚感、彫の深い陰影デザインが特徴。

 天井高5mを超えるエントランスホールには、ライムストーンを基調に、外観に用いた御影石などを使用し建物としての一体感と上質感を演出。エントランスホール正面の壁面には、植物の屈光性をテーマに漆黒に浮かぶ無数の線を描いた2つのモダンアートを配置。コンシェルジュカウンターの上部には、美しく穏やかな水の流れを表現した名栗仕上げのメタルアート、背後には歌川広重が描いた夕立を思わせるガラスのエッチングアートを配置している。

 ソフト面では、1階のエントランスと地下のサブエントランスにはドアマンが待機。ポーターサービスも行うほか、居住者専用ハイヤーを配備。近隣のコレッツィオーネビル1階のカフェ「アニバーサリー」との提携によるカフェサービスも導入する。

 住戸プランは90㎡台~110㎡台が中心。ミーレ社製食洗機、ドンプラハ社製水栓、ジャクソン社製バスタブを標準装備。6~7階は仕様レベルを上げ、24時間全館空調システム「エアロテック」を採用。

 発表会に臨んだ同社・小野真路社長は、「ザ・パークハウス グランシリーズは用地取得競争が激しく、当初考えていた年間2~3物件の供給は難しいが、このほかにも数物件の計画がある。建築費は高止まりの状態」などと話した。「ザ・パークハウス グラン」シリーズは「三番町」「南青山高樹町」「千鳥ヶ淵」に次いで4物件目。

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モデルルーム

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 まず単価について。現地を昨年見た段階では「坪単価は800万円を超える」と書いたが、「800万円弱」というのは個人的には納得した。同社の皇居を見下ろす「唯一無二」の「千鳥ヶ淵」の坪800万円を同社の物件で超えてほしくなかったからだ。

 公開された220㎡と115㎡のモデルルームの出来はいい。220㎡の建具・面材は額縁付きのマホガニー、115㎡のそれはナラ材。ドアの把手はコロンボ。久々に本物の億ションをみた。

 「エアロテック」の採用は6~7年振りだそうだが、これもいい。専有部に約1畳大の機器のスペースが必要で、居住面積が広くないと採用は難しいとのことだったが、今後積極的に採用していくようだ。

 事業協力者住戸について同社は詳細を明らかにしなかった。まさか相場が上昇したら分譲されるようなことにはならないと思うがどうだろう。

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エントランスホール

カテゴリ: 2015年度

 首都圏などの同じ意見をもつ13のマンション管理組合(総戸数9,309戸)は5月28日、国土交通省などにマンション標準管理規約の「コミュニティ条項」を削除しないよう求める意見書を提出した。

 意見書は、先に国交省「マンションの新たな管理ルールに関する検討会」がコミュニティ条項の削除するよう求めた報告書は「問題点が看過できないほど重大」とし、「コミュニティ条項が削除されると、各マンションは指針を失い、かえって紛争を助長し、裁判費用などの出費も余儀なくされるかもしれず、そのような事態を招いた政府の責任も問われかねない」と、削除しないよう求めている。

 また、①管理組合が行うことのできる業務(権能)にはコミュニティ形成(活動)が含まれること、この業務に関する支出は区分所有法に違反しないことを明記する②管理組合と自治会の目的・業務には一部共通点があること、そのため、一定の条件下においては、管理組合が自治会費の徴収・支払いに事実上関与したとしても区分所有法に違反しないことを明記する③区分所有法に違反しないコミュニティ形成(活動)、支出、費用徴収のあり方に関する設例やベストプラクティスや、区分所有法に違反しない管理組合の自治会費の徴収・支払いへの関与の仕方などを明記する-ことを求めている。

 意見書を作成したのは「アーバンドックパークシティ豊洲管理組合」(東京都江東区、1487戸)と「パークシティ武蔵小杉ミッドスカイタワー管理組合」(川崎市、797戸)で、このほか都内や神奈川県、千葉県、茨城県、大阪府の11の管理組合が賛同者として名を連ねている。

 意見書はこちら

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 記者はこれまで「検討会」に対してかなり批判的な記事を書いてきた。検討会を主導した委員は、まともな論議などせず他の意見も聞こうとせず、最初から「削除」することを強行しようと考えていたのではないかといわざるを得ない。現場のことなどまったく分かっていないと思った。検討会は海外視察も行なったようだが、わが国のマンションはどれくらい見学したのか聞きたい。

 今回、戸数にして1万戸に近い管理組合の総意としてこのような意見書が提出されたのは大きな意味を持つ。

 6月2日に行われたマンション管理業協会の総会後の懇親会でも、山根弘美理事長は検討会が組合の役員についても厳しい要件を設けたのについて触れ、「経済原理も大事だが、所有と利用が分離されている海外に対して、わが国は8~9割が実需。マンションコミュニティは文化。よりよく進化させるため活動していきたい」と、検討会を批判した。

 来賓として挨拶した井上義久・公明党幹事長も「コミュニティ、高齢化対応など総合的な見直しが必要で、強い関心を持っている。時代の変化に対応できるものにしないといけない」と、管理のあり方に関心を示した。

カテゴリ: 2015年度
 

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