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「ザ・パークハウス亀戸九丁目」

 三菱地所レジデンスは12月18日、「ザ・パークハウス亀戸九丁目」の報道関係者向け完成内覧会を行った。共用部に伝統工芸作家が手掛けた江戸鼈甲、江戸切子、ガラスアート作品を設置し、分譲マンションとしては初めて同社の防災ツール「First Mission Box(ファースト・ミッション・ボックス)」を導入し、長谷工コーポレーションの環境配慮型コンクリート「H-BA コンクリート」を同社として初めて地上・地下の両構造に採用しているのが特徴。

 物件は、都営新宿線東大島駅から徒歩8分、JR亀戸駅から徒歩19分、江東区亀戸9丁目の準工業地域(建ぺい率70%、容積率400%)に位置する13階建て全99戸(等価交換物件で、うち38戸は地権者住戸)。専有面積は29.10~73.08㎡、価格は未定。完成予定は2025年12月上旬。設計・施工・監理は長谷工コーポレーション。販売開始は2026年3月上旬。

 現地は、東大島駅からほぼまっすぐ北上し、首都高速7号小松川線を渡ったところ。従前はイタリアンレストラン。建物は東向き。

 主な基本性能・設備仕様はZEH-M Oriented、内蔵梁、直床、リビング天井高2500ミリ、ディスポーザー、食洗機、バックカウンター・食器棚、浴室タオル掛け2か所など。

 10月中旬からエントリーを開始し、これまでの反響数は800件弱。12月13日からのモデルルーム案内予約は70件で全て満席。

 同社第三開発部長・魚住尚史氏は、「東京から7キロの至近距離にあり、公園などの緑や荒川、スーパーなどの商業施設が整っている立地。特徴は3つあり、一つは『伝統工芸応援プロジェクト』として江戸鼈甲、江戸切子などのアート作品を共用部に設置していること、2つ目は当社の分譲マンションとしては初めて『防災ツール「First Mission Box』を導入していること、3つめは長谷工コーポレーションさんの環境配慮型コンクリート『H-BA コンクリート』を地上と地下に採用していること。これにより約20%、370トンのCO2削減効果が期待できる」と語った。

 価格については「全くの未定。急激な価格上昇が続いており、いくらに設定するかは反響が決める要素もあるの、現段階では正直読めない」と語った。

 

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江戸鼈甲アート

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モデルルーム

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魚住氏

◇        ◆     ◇

 同社の防災ツールは、2023年の賃貸「ザ・パークハビオ 中野富士見町ガーデン」を取材しており、「H-BAコンクリート」については、長谷工コーポが最初に採用した物件の記事を添付するので、そちらを参照していただきたい。

 江戸切子のアートは同業他社もかなり採用しているが、江戸鼈甲は初めてのような気がする。小生の小さいころは、鼈甲はごく身近にあったが、最近はほとんど目にすることがなくなった。ラウンジの作品はとても高価なものだろうと思った。

 モデルルームは73㎡で、内蔵梁が用いられているので梁型がほとんどなく、アルコーブも広くてよくできていると思った。

 問題の価格。前段で紹介したように、同社は「価格は未定」としているので、以下はあくまでも記者の予想であることを断っておく。

 記者はこれまで主だったマンションの坪単価をことごとく的中させてきた。同社の物件では、2013年分譲の「ザ・パークハウスマンション グラン千鳥ヶ淵」の坪800万円、同社を含む10社JV「HARUMI FLAG」の当初計画の坪250万円、同社と三井不動産レジデンシャルのJV「三田ガーテンヒルズ」の坪1,300万円などだ。

 しかし、最近は見学物件が激減しており、信じられないような価格の高騰もあり、全く分からないというのが正直な気持ちだ。魚住氏が「読めない」と語ったのは半分は本心ではないか。

 さらに予想を難しくしているのは、記者は都営新宿線「東大島」の手前の「大島」や「西大島」、その先の「船堀」や「本八幡」などのマンションはそこそこ取材しているのだが、50年近くマンションの取材をしているのに、「東大島」は初めてだった。URや都営住宅のイメージしかなかった。東大島は江戸川区だと思っていた(地図を確認したら、物件の東側を数分歩くと江戸川区)。

 それでも、魚住氏などが「東京から7キロ」(約30分圏)を強調し、リリースには東京駅を中心とする略図が掲載されており、同じ距離圏には「池袋」「新宿」「渋谷」「目黒」「品川」などが位置している。

 これらから判断して、坪単価は450万円とはじいたのだが、取材の帰り、タバコを吸いたくてカフェを探したのだが一軒もなく、日高屋はあるのは確認できたが、もう一つ〝街のポテンシャル〟を測る御三家のマクドナルドをネットで調べたら、タイエーにあった店は〝32年の歴史に幕〟とあり、昨年4月に閉店したとあるではないか。

 東京駅から30分圏でこれではマイナス評価せざるを得ない。そこではじき出したのは、モデルルームタイプの73㎡で1億円、つまり1億円÷73×3.3450万円がアッパーだろうと。これから逆算して、坪400万円以下はないだろうから(わが多摩センターは坪400万円くらいだが、これから分譲される京王電鉄のマンションは最低でも坪450万円、限りなく500万円に近いと予想しているが)、平均で坪430万円くらいではないかとはじいた。同社は高値追及しないと読んだ。

 その根拠らしきものとして挙げられるのは、最寄駅が「東大島」なのに、物件名にわざわざ徒歩19分の「亀戸九丁目」を付け、専有面積をやや圧縮気味(70㎡前後が中心)にしていることだ。「亀戸」で訴求力を高め、グロス価格を抑えようという戦略が透けて見える。この予想は当たるような気がするのだが…。

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ラウンジ

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江戸切子デザインアート 

賃貸にも災害時の防災ツール設置三菱地所レジ「中野富士見町」竣工(2023/10/26)

CO2排出量従来の2割削減長谷工コーポ新開発のコンクリート「上池台」で採用(2022/11/22)

カテゴリ: 2025年度

首都圏中古マンション市場動向

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 東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は12月10日、令和7年11月の首都圏不動産流通市場動向をまとめ発表。中古マンションの成約件数は4,435件(前年同月比38.3%増)で13か月連続の増加、成約坪単価は271.32万円(同3.5%増)で67か月連続の上昇、成約価格は5,204万円(同3.6%増)で13か月連続の上昇、専有面積は63.29㎡(同0.1%増)でほぼ横ばい、在庫件数は43,156件(同5.5%減)で4か月連続で減少した。

 中古戸建の成約件数は1,932件(同53.1%増)で13か月連続の増加、成約価格は4,002万円(同2.7%増)で2か月連続で上昇、土地面積は147.74㎡(同5.4%増)で3か月連続の増加、建物面積は104.24㎡(同0.3%減)で4か月連続の縮小、在庫件数は23,523件(同3.2%増)で39か月の増加となった。

首都圏中古戸建て市場動向

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カテゴリ: 2025年度

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「プロミライズ青葉台」 

桜台団地マンション建替組合、横浜市住宅供給公社、URリンケージの3者は1211日、横浜市最大級の「桜台団地建替えマンション「プロミライズ青葉台」第1工区の竣工記者発表会・内覧会を行った。

発表会場には3者のほか、設計・監理を担当した松田平田設計、施工の五洋建設、横浜市建設局、コミュニティ形成・環境整備に協力した団体なども参加し、2つの老い(建物と人)の壁を乗り越え「決定者は組合員」の原則に徹したことが事業成功・人気の要因で、全国の団地再生に新たな指針を提供するものとアピール。〝建て替えありき〟の民間デベロッパーには耳の痛い声もあった。

現地は、東急田園都市線青葉台駅から徒歩1014分、横浜市青葉区桜台の第1種中高層住居専用地域(建ぺい率60%、容積率150%)に位置する敷地面積約44,645㎡。従前の「桜台団地」は昭和41年(1966年)竣工の4階建て延床面積約25,61718棟全456戸。専有面積は52.62㎡・46.60㎡。

従後の「プロミライズ青葉台」は、5階建て5棟全761戸(うち権利者住戸205戸)。専有面積は31.5091.76㎡、価格は3,298万~9,298万円、坪単価290万円。参加組合員は横浜市住宅供給公社、URリンケージ。販売期間は20239月~202410月。入居開始は第1工区が20261月、第2工区が20266月。設計・監理は松田平設計、施工は五洋建設。

主な基本性能・設備仕様は、両面アウトフレーム工法、二重天井・二重床、リビング天井高2450ミリ、ディスポーザー、食洗機、奥行2mバルコニー(一部除く)、廊下幅850ミリ、スロップシンクなど。共用施設は2層吹抜けのエントランスラウンジ、ミーティングルーム&キッズスペース、スタディスペース、ゲストルーム(3室)、シアタールーム、ミュージックルーム、ルーフテラス、パークロードなど。

契約者の属性は、年齢は30代・40代が62.2%、家族構成は23人が75.0%、居住地は青葉区が38.1%、都内が17.9%、その他40.4%、勤務地は都内が61.2%。

記者発表会で桜台団地マンション建替組合理事長・鈴木実氏は、「私たちの活動は一言でいえば(建て替えありきを)誘導しない団地再生」と切り出し、2004年から建て替えの検討を開始してからリーマンショックによる計画のとん挫(挫折・分断)-再出発の取り組みなどについて話し、その教訓として、参加組合員(デベロッパー)任せでは物事は進まない、自己負担も必要(還元率62%)、コミュニティの変化と多様性への対応(安易なコミュニティ論は通用しない)、公平性を持つコンサルやアドバイザーの必要性を強調した。

事業が成功した理由として、①建て替えコンサルの横浜市住宅公社が長期にわたり一緒に歩んだこと(建て替えと修繕の双方の検討と「結論は全員参加」)②検討委員会の組合員への情報提供③目標と期限を設けたこと④外部専門家の有償による起用と講演会・勉強会の実施⑤外部委託は公開プレゼン+公開審査会により透明性を確保すること-などと語った。

続いて横浜市住宅供給公社理事長・小林一美氏は、別掲の通り約4分間のスピーチで「LOVE」「愛」のフレーズを18回も用いて「愛」の必要性を語った。

URリンケージ代表取締役社長・村上卓也氏は、「コンサルとして2016年から約10年間、合意形成に関する支援を行ってきた。プロセスを大事にし、当初建て替え賛成は65%だったのを全員合意に達するよう1年半かけて説明会、個別面談、よろず相談室などを設けて不安解消に取り組んだ」と、合意形成までのプロセスが大事なことを強調した。

松田平田設計取締役・田中義之氏は、「安心して長く住み続けられる街づくりを目指し、バリアフリー、多世代が利用できるコミュニティ施設の整備に力を入れた。合意形成までのプロセスをみんなが一緒になって考えることの大切さを学んだ。社会課題となっている団地再生に対して、設計者として担うべき合意形成を後押しする計画立案にトライしていく」と語った。

五洋建設東京建築支店執行役員副支店長・蓑真弘氏は、「2021年の解体から参画しているが、20266月の最終引き渡しまで皆様に喜んで頂けるよう工事を進めることを約束します」と述べた。

このほか、来賓として横浜市建築局住宅地再生担当部長・梶山祐実氏があいさつし、横浜市住宅供給公社街づくり事業課推進係長・石井浩基氏は、空地率は62.5%で、検討委員会の打ち合わせ回数は110回以上となったことを明らかにし、URリンケージマンション再生本部マンション再生部再生支援課課長代理・坂本肇氏などがそれぞれの立場から団地再生の取り組みについて説明した。

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航空写真(北東側から)

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航空写真(南西側から)

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SOUTH CORE

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EAST CORT

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左から鈴木氏、小林氏、村上氏

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左から田中氏、蓑氏

        ◆     ◇

 今回の取材の目的は、一昨年3月の記事で、見出しに「ランドスケープ、基本性能、価格設定に感動」と書いた内容に誤り・訂正するところがあるかどうかを確認することにあった。約1時間の各氏の話を聞き、さらに約1時間にわたって共用施設・専有部などを見学して回り、基本的に前回の記事を訂正する必要性はないことを確認した。

 特筆したいのは、比高差にして約24m、総延長200m以上の南北に細長い敷地の特徴を考慮し、居住者だけでなく近隣住民の歩道空間「パークロード」を整備していることだ。団地入口に位置する「STATION SIDE」と隣接する「EAST COREの住棟の中央部分に幅十数メートルの公開舗道を設け、そこから中央に配した円形の公開空地へとつなぎ、さらに敷地西側に位置する公園へと市道を整備している。アール形状の公開空地に沿って設けられている「SOUTH CORE」と「EAST CORT」のデザインも秀逸だ。

そして、〝なるほど〟と思ったのは、鈴木氏の熱弁だった。鈴木氏は冒頭のあいさつと事業説明に20数分話した。一つ一つ紹介できないのは残念だが、極めて重要なことを話した。桜台団地は、長期割賦による分譲形式だったため管理組合の設立は1999年と遅く、管理組合活動に対する無関心が遠因となり、長期修繕計画の策定を委託したデベロッパーがリーマンショック後に組合への説明もなく撤退したことから「混乱と分断」が始まったと説明。「民間デベロッパーに任せればいいという賛成派が旗振りをしていた」「アンケートの回収率は64%しかなかったのに、デベロッパーはそのうちの80%が賛成ということを強調した」「建て替えありきの取り組みは騙し」などと話した。

 そしてまた、驚いたのは、前段で紹介した横浜公社の小林氏のスピーチだ。約4分間のスピーチの中で「LOVE」「愛」を18回も口にしたことだ。

マンションの竣工記者発表会でこれほど「LOVE」「愛」を連発した挨拶は経験したことがない。〝記事はラブレター〟が基本姿勢で〝人生は愛〟がモットーの記者も、口先だけは〝愛してるよ〟を連発するが、小林氏は「冷徹さも必要」とくぎを刺した。今後の団地再生のキーワードは「愛」かもしれない。小林氏にスピーチの全文コピーを頂いたので、以下に紹介する。赤字は記者。

        ◆     ◇

横浜市住宅供給公社理事長の小林一美です。

このたび旅第1期の竣工を迎え、鈴木理事長様をはじめ参加組合の皆様、居住者、所有者の皆様、そしてURリンケージ様、松田平田設計様、五洋建設様、関係するすべての皆様にお祝いを申し上げます。

Reborn With LOVE」「もう一度、まちをつくりかえるなら、そこに必要なのは、たぶんだ。」「プロミライズ青葉台」のコンセプトを世にアピールした言葉です。

まさに今回、この長きにわたる事業がこうして竣工を迎えた要因は、様々な特徴的な取り組みがありますが、私は組合の皆様に通底する桜台団地への「愛」、ここでの暮らしへの「愛」であったと思います。

温かな情と固い絆に裏打ちされた、桜台団地への「愛」を居住者、所有者の皆様が持ち続け、大事にしてきたからこそ、今日の日を迎えたものだと思っています。

当社が2010年に建て替え事業に参画し、15年間一貫して大事にしてきたことは、主役は居住者の皆様であること、コンサルタントとして伴走することでありましたが、それ以上に、まさに桜台団地への「愛」を、未来にどう引き継ぎ、継承するか、形づくるか、そのお手伝いをどうやって行うかということでありました。

青葉台駅開設と同時に竣工した桜台団地、高台の緑あふれる風景、そして実に半世紀以上にわたって続いてきた住まいと暮らしは、この地への着、いわば「愛」を毎日毎日育んできました。

長く住んできた土地への、一緒に暮らしてきたお隣さんへの、お祭りをはじめみんなで助け合う温かなコミュニティへの、桜をはじめ四季を彩る花々や緑への、青葉台という地域への、様々なが桜台の住まいと暮らしにはありました。

とかく、団地再生、マンションの建て替えというと、その完成相成った新しい建物の姿や使い勝手のよい住宅のあり様が注目されますが、本事業では、住民本位の意思決定を何よりも大事にして進めてきたことが最大の特徴であり、桜台団地への思いをカタチにしたプロセスこそが特徴であると思います。アピールメッセージにあるように、「必要なのはたぶん」でありました。これは全国の高経年マンションの参考になるはずです。

今日からまた新たなスタートとなります。

Reborn With LOVE」桜台団地で育まれた「愛」を未来に向けて、大きく育てていけるよう、引き続き、当社としても、皆様のお力を頂きながら、なお一層取り組んでまいります。

本日は誠におめでとうございます。

        ◆     ◇

 小林氏と関係者の皆さんへ一言。「愛」は横浜公社の専売特許ではありません。2019年分譲の東急不動産他「ブランズタワー豊洲」も「愛」がテーマでした。

 注文もある。マンションに限らず、優良な建築物に誘導する横浜市の様々な条例は素晴らしいとは思うが、建築物の絶対高さが低ければ低いほど街が美しくなるという時代遅れの都市計画の考えを墨守する高さ規制は如何なものか。今回の建て替えでも高さ規制が15m(13m)であるためにリビング天井高は2450ミリしかなかった。隣接する敷地北側が1低層だからかもしれないが、工夫すれば容積・高さ規制を緩和すれば、もっと豊かな居住空間が実現できたはずだ。

 容積緩和・高さ規制緩和は、地価上昇・事業者の利益増になるかもしれないが、受益者への「愛」にもつながるはずだ。

 もう一つ。空地率は62.5%確保され、1,500本の中高木を植樹しているのはいいのだが、記者が見た限りでは敷地内に植えられていた樹木や街路樹(これから植えるのか)は、シンボルツリーの樹高15mくらいあったクスノキ以外は貧弱に映った。民間の団地型建て替え事業として記者が最高峰と考えている野村不動産・三井不動産レジデンシャル「桜上水ガーデンズ」や、豊富な植栽では最右翼だと思う「HARUMI FLAG」をぜひ見学していただきたい。空地率より緑被率、樹冠被覆率のほうが大事だ。

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SOUTH CORE 

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中央がパークロード

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マンション玄関口(左がパークロード、右が居住者専用エレベーター)

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従前の桜台団地

ランドスケープ、基本性能、価格設定に感動 人気当然 横浜公社建て替え「青葉台」(2023/3/22

ランドスケープ&デザイン、共用施設…最高に素晴らしい「HARUMI FLAG」板状棟(2023/12/11

「愛」をテーマに坪400万円に挑戦 7月下旬にモデルオープン 東急不ほか「豊洲」(2019/6/14

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「ルピアコート川口本町」模型

 ポラスグループ中央住宅は12月9日、12月下旬に分譲開始する「ルピアコート川口本町」のメディア向け見学会を行った。分譲住戸40戸すべてに同社のトレードマークである「ピアキッチン」と食器棚を標準装備しているのが特徴で、キッチンカウンターには秋田県産材のクリの無垢材を採用している。同社は「価格は未定」としているが、いったいいくらになるか。記者もよく分からない。

 物件は、JR京浜東北線川口駅から徒歩7分、川口市本町三丁目の商業地域、準工業地域(建ぺい率76.91%、容積率369.47%)に位置する14階建て全44戸(事務所4戸含む)。専有面積は70.02~73.24㎡、価格は未定。竣工予定は2027年12月下旬。施工は川村工営。販売代理はアートランド。設計・監理は川口土木建築工業。販売開始は2025年12月下旬。

 9月初旬に物件ホームページを開設し、これまでのエントリー数は約500件、11月からのモデルルーム来場者は約70件。

 現地は、川口駅東口周辺に10数本の超高層マンションが林立するエリアから少し離れたところで、建物の南側と西側の道路・歩道の幅員は約21~23mあり、住戸は5階から。1フロア4戸構成で、うち3戸は西向き、南西角住戸が1戸。専有面積は全て70㎡以上(南西角住戸は約73㎡)。

 主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、リビング天井高2400ミリ、全戸ピアキッチン・食器棚付き、食洗機、床暖房、かくれんBOX、全戸浴室・収納窓付き、変身クローク、片寄せマイギャラリー、浴室タオル掛け2か所、ブッシュプルドアなど。

 見学会で同社マインドスクェア事業部マンションDv営業企画課課長・西牟田奈津子氏は、「昨年、『大宮』(ルピアコート大宮The VISTA)を皮切りに、無垢材のヨーロピアンオークのピアキッチンを4物件に採用したが、今回は秋田県産材のクリの無垢材にした。この他の商品企画に対する評価も極めて高い」と語った。

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ピアキッチン

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エントランスラウンジ

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 同社が「新宿落合」に〝ピアキッチン〟を初採用してからこれまで30年くらいか、物件の数にしたら数十物件を見学取材してきた。文句なしにいい。「大宮」で採用したヨーロピアンオークも重厚感があったが、国産材を使用したいという意向があり、メーカーなどと連携して採用にこぎつけたようだ。浮造りで、長さはカウンター部分2400ミリ+テーブル部分1500ミリ×幅850ミリ×厚さ45ミリ。

 そして何よりいいのは、天井まである幅2400ミリのバックカウンター・収納も標準装備としていることだ。価格が高騰している現在、これらを標準装備しているデベロッパーは同社しかないはずだ。

 この価値を計算したらいくらになるか。西牟田氏はピアキッチンだけで100万円以上、バックカウンター・収納棚は約250万円と話した。70㎡に換算すると坪単価は十数万円だ。

 このほか、今回初めて知ったのだが、駐輪場の上段はガススプリング式で女性でも軽々と片手で挙げられるものが採用されていた(記者は二段式の上段に上げられない)。キッズサイクルスペースも設けている。

 もう一つ強調したいのは、ドアノブだ。同社はずいぶん昔から開き戸のドアノブは全てプッシュフル式を採用していることだ。小さな子どもがいる消費者ならプッシュプルがいかにいいか説明するまでもない。事程左様にかゆいところに手が届く商品企画が同社のマンションの特徴だ。

 さて、肝心の価格。同社は「未定」としか話さなかった。これまで注目物件のマンション単価を的中させてきたが、最近は見学物件が激減しており自信はない。それでもなんとか、三井不動産レジデンシャル「パークタワー川口本町」の坪単価500万円、大和ハウス「船橋」の坪単価600万円、三井不動産レジデンシャル「柏の葉」の坪単価430万円、三菱地所レジデンスなどの「赤羽」の坪単価600~700万円(わが多摩センターも坪単価450万円とはじいた)などから最低で坪単価450万円と予想する。

 これでも、川口の〝民力〟〝駅力〟からして高いと思うが、これ以下はありえない。しかし、それ以上となるとグロスでは1億円を突破するので果たしてどうか。優れた商品企画であることを検討者に訴え切れるかどうかがカギになりそうだ。

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片寄せマイギャラリー

駅東側10分、70㎡以上では8年ぶりポラス「大宮」坪単価400万円に挑戦(2024/4/5)

カテゴリ: 2025年度

 東京カンテイは12月8日、2024年の新築マンション年収倍率は、全国平均で10.38倍(平均年収466万円)と前年から0.29拡大し、もっとも年収倍率が高かったのは東京都の17.00倍(平均年収636万円)で、地方圏でも9倍台や10倍台のエリアが前年の16→21に増加したと発表した。

 調査は、各都道府県で分譲された新築マンション価格(70㎡換算)を平均年収で除し、新築価格が年収の何倍に相当するかを算出したもの。年収は内閣府発表の「県民経済計算」を基にした予測値を使用している。

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 記者は同社の恒例となっているマンションの年収倍率リリースに異論をはさむ意図はないが、社会・経済状況が一変した今日、概念があいまいな「年収」と住宅価格を比較して高いか安いかを論じる意味はないと思う。

 そもそも「県民経済計算」の「一人当たり県民所得」とは、居住者(個人、法人企業、行政機関)を対象とした県民所得を県の総人口で割って算出した額で、個人の所得水準ではない。

 また、バブル崩壊までのマンションは、専業主婦層が圧倒的多数派を占めていたファミリー層をターゲットにしていたが、バブル崩壊後の1990年代には専業主婦層と共働き世帯層の比率は逆転し、現在では共働き世帯のペアローン利用比率は3割以上に達している。一人当たり年収ではなく、住宅購入需要層の世帯年収を基準にすべきではないか。

 さらに言えば、住宅ローン金利と購買力は不可分だ。住宅ローン金利は、バブル崩壊までは5~6%が一般的だったのに対し、現在は変動型なら1%を割っている。バブル崩壊前の住宅価格と住宅ローン金利をそのまま踏襲して、年収と単純比較する意味はないはずだ。

 記者は、地域の経済力、生活利便施設の集積度や緑環境、歴史・文化など総合的な住環境と住宅価格水準を比較すべきではないか。その意味で、LIFULL HOME'S総研の「Sensuous City(センシュアス・シティ)」の概念は参考になると思う。住宅価格の価値を測る新しいモノサシをだれか開発しないか。

誰のための調査か森記念財団「日本の都市評価特性」とLIFULL「官能都市」比較(2025/10/11)

「Sensuous City(センシュアス・シティ)[官能都市] 2025」発刊LIFULL HOME'S(2025/9/25)

 

カテゴリ: 2025年度

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「中古・リノベーションマンション市場の動向・展望」セミナー(コスモスイニシア本社が入居する新田町ビルで)

 一般社団法人リノベーション協議会と性能向上リノベの会は11月28日、「中古・リノベーションマンション市場の動向・展望-新築供給の構造的減少により中古・リノベが主戦場に-」と題するメディア向け業界動向セミナーを開催。冒頭、SUUMO編集長兼SUUMOリサーチセンター長・池本洋一氏が最近の新築マンション市場やストック市場、近く示される住生活基本法の重点項目などについて解説・説明し、その後、池本氏もゲストとして加わり、リノベーション協議会会長・内山博文氏がモデレーターを務め、パネリストのエフステージマーケティング企画室/ブランド事業部・伊藤洸氏、コスモスイニシア商品企画部部長・辻井正人氏、NCN環境設計部次長・東憲一氏がそれぞれの立場から現況や展望などについて話しあった。

 池本氏は、新築マンション市場や中古マンション市場について説明したあと、新たな住生活基本計画ではストック活用が最大のテーマになることから、良質住宅が市場で適正に評価される取り組みが重要で、断熱性能やZEHなど〝見えない〟性能を消費者に分かりやすく伝えることが課題であると語った。

 セミナーでは、〝首都圏シェア№1〟のエフステージ伊藤氏は、2024年度の売上高は336億円で、販売戸数は767戸(1戸当たり4,380万円)。2027年度は売上高500億円、販売戸数1,000戸を目指すと語った。

 コスモスイニシア辻井氏は、2026年3月期のリノベーションマンション事業の売上高は255億円、売上高総利益率は16.3%を予想しており、1戸当たり販売額は約1.2億円と話した。

 エヌ・シー・エヌ東氏は、同社と連携している三菱地所レジデンスは販売している中古マンションの60%超がZEH・省エネ化を実現していると話した(配布資料によると、現在、中古マンションのZEH・省エネ化率は18%)。

 一般社団法人リノベーション協議会(旧リノベーション住宅推進協議会)の設立は2009年。理事長には、当時業界最大手のインテリックス社長・山本卓也氏(現会長)が就任。設立趣旨に「消費者が安心て既存住宅を選べる市場をつくり、既存住宅の流通を活性化させること」とあるように、雨後の筍のように乱立し、リフォームなどほとんど行わず、買い取った中古住宅に利益を上乗せして転売する業者も多く、それらの業者と一線を画す狙いがあったようだ。

 現在の会員数は745社。買取再販を手掛ける不動産業者の約3割のようだ。自主規制の「必要な改修工事を施し、その記録を住宅履歴情報として保管する」適合R(リノベーション)住宅」の累計件数は約8万件。

 一方、平成29年度に施行された国の「安心R住宅」の令和6年度末の累計件数は10,942戸で、マンションが過半を占めている。

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内山氏

◇        ◆     ◇

 記者は、リフォーム・リノベマンションについては、2009年のタカラレーベン「ル・アール蘇我」を皮切りにデベロッパー、ハウスメーカーなど供給会社でいえば10社くらい見学取材しているが、買取再販大手のカチタス、レジデンシャル不動産、スターマイカなどはほとんど見学したことがない。

 この業界についてはよくわからないのだが、矢野経済研究所は、2025年度の全国の中古住宅買取再販の成約戸数は前年比18.8%増の62,700戸を予測している。今年度の全国の中古住宅成約件数は16~17万戸くらいになると思われるので、比率は37~40%くらいか。

 また、LIFULL HOME'S(ライフルホームズ)」のリリースによると、2025年4月の築31年以上の中古マンション買取再販物件の掲載割合は、首都圏が43.8%、全国では29.9%となっている。東京23区の買取再販物件の平均価格は5,231万円で、新築マンションの平均価格9,000万円と比べると約3,700万円の差があるとしている。

 業界の課題は、セミナーでも話されたように、省エネ性の向上だ。国は新築住宅については2030年にZEH水準を義務化すると打ち出している。ZEH水準を満たさないマンションや分譲戸建てはもはや市場で流通しえない。中古住宅についても同様にZEH水準とすることが求められる。そうでないものは価格競争力を失うのは必至だ。

 この点について、コスモスイニシアは今年7月、他社に先駆け「住宅省エネルギー性能証明書」取得率を30%にすると発表した。この30%は高いのか低いのか、内山氏に聞いたら「高い目標」「将来的(2030年)にはそうしたい思いはある」と答えたのにとどまった。

 伊藤氏は、購入検討者の省エネ住宅への関心は高いものの、住宅ローン控除は選好に影響がみられないとし、この乖離を縮小するのが課題と話した。

 記者は、リフォームもリノベーションも、陳腐化した間取りを一新し、建具・家具、水回り設備の更新は当たり前で、やはり熱の出入りが激しい窓の断熱化を図るべきだと思う。メーカーの開発も進んでいる。管理組合が断熱窓を採用しなくても、自己負担で取り換えることができるし、補助金も出る。省エネ・ZEH水準にすれば、ローン控除額はそうでないものより累計224万円(省エネ)、269万円(ZEH)控除額が増える。そして何より快適性が格段に向上する。

◇        ◆     ◇

 コスモスイニシアはセミナー後、ZEH水準を取得した築19年の「芝浦アイランドグローブタワー」のメディア向け内覧会を行った。専有面積は84.92㎡で、従前は3LDKだったのを、共働き夫婦の入居を想定し2LDK+WICに変更したもの。〝オーバーラップ〟と呼ぶ設計思想をコンセプトに、動線を効率的にし、それぞれの空間をシームレスにつないでいるのが特徴。LDKを22.8畳確保し、レインボーブリッジが目の前に見える部分にヌック(2畳大か)を設け、キッチンはL型に変更して仕事や趣味に生かせる空間にし、収納は1か所に集約したほか、広い土間空間を設けている。販売価格は27,500万円(坪単価1,069万円)。

 「芝浦アイランド」の記事を添付する。今回販売される住戸の坪単価は276万円くらいだったと思われる。約3.8倍の上昇率だ。当初からペアガラスを採用していたのがZEH水準化を可能にした要因の一つで、天井高も約2600ミリ確保されている。

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ヌック(左)とLDK

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玄関

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キッチンはダークトーンにまとめ、天板も黒系で統一

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洗面(タオル掛けは従前は1か所)

人と人・空間を自在に操る通り土間付きリノベ「湯島ハイタウン」コスモスイニシア(2025/9/4)

「住宅省エネルギー性能証明書」取得率30%の意味 3割打者と同じ価値があるのか(2025/7/17)

Before12.9万円⇒After19.3万円リノベ効果覿面東急不動産×リノべる「北葛西」(2025/6/19)

井戸・池・せせらぎの価値は1億円超/年小田急バス×ブルースタジオ「meedo」(2025/5/17)

14年も前から断熱窓の提案に驚愕インテリックス「青山リノベーションスタジオ」(2025/7/4)

築47年+88年三井不&青木茂建築工房「リファイニング建築®」7件目「本駒込」(2024/3/15)

「死んだ家が蘇った」オーナー空き家リノベラボ「太子堂の家」完成 Jam(2025/3/9)

ミレニアル&Z世代の心つかむか三井不レジ単身女性向けリノベ賃貸「KORAKUEN」(2024/3/8)

大和ハウスリブネス事業買取再販軸に4000億円に拡大事業用にも対応(2024/5/15)

バブル時坪450万円⇒リノベ坪211万円コスモスイニシア「湘南タワーズ」分譲(2021/6/10)

20年、30年前の記憶蘇る大和ハウスリノベマンション「リブネスモア戸田公園」(2020/9/24)

三菱地所レジ 1棟リノベ「ザ・パークリモア白金台三丁目」は全14戸が200㎡超(2017/1/16)

リビタ 一棟丸ごとリノベーション「つくば春日」 30坪で施工は鹿島(2014/6/16)

タカラレーベン 好調リニューアルマンション「ル・アール蘇我」は4日間で120組超(2009/5/25)

賃貸マンションの概念を変える 「芝浦アイランド・エアタワー」(2007/3/8)

街全体の資産性と割安感が人気「芝浦アイランド」(2006/12/12)

「芝浦アイランド地区プロジェクト」島びらき(2007/3/22)

三井不動産など「芝浦アイランド」全体が竣工(2008/9/18)

 

 

カテゴリ: 2025年度

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「プレミストタワー船橋」 

 大和ハウス工業(事業比率75%)は11月27日、千葉県最高層&最高単価となる船橋駅徒歩2分の住宅・商業・広場一体開発の51階建てタワーマンション「プレミストタワー船橋」(677戸)のメディア向け内覧会を行った。予想される坪単価はかつてない600万円になる模様で、関係者の間でも話題になっており、千葉のマンションの命運がかかっている注目物件だ。モデルルームを見学して、アッパーミドル・富裕層をターゲットにした41階以上の128戸は人気を呼ぶ可能性は高いと見た。坪単価600万円もありかと。

 現地は、西武百貨店跡地。同社が2021年に用地を取得。その後、市と協議を重ね、JR船橋駅と京成船橋をペデストリアンデッキでそれぞれ結び、防災拠点や公共施設を整備する計画が評価され、従前の都市計画上の容積率600%が900%に緩和された。

 建物の2階には広場「フォレストアリーナ」を設け、京成船橋駅とペデストリアンデッキで結び、1階・2階には地域用の防災備蓄倉庫、3階にはワークスペースを兼ねた帰宅困難者一時避難スペースを設けている。1階~3階は商業施設、4階~6階は事務所など。

 主な基本性能・設備仕様は、ZEH-M Oriented、低炭素建築物認定、二重床・二重天井、リビング天井高2600ミリ(7~40階)・2900ミリ(41~48階)・3200ミリ(49~51階)、ディスポーザー、食洗機、フィオレストーンキッチン天板、ハイサッシ・ハイドア、LIXILと共同開発したスマートホームシステム、タンクレストイレ、床タイル仕上げ(一部除く)、浴室タオル掛け2か所など。共用施設はフィットネスルーム、ランドリールーム、ゲストルーム、カフェスペース・ワークスペース・ライブラリースペースからなる「パノラマラウンジ」(164㎡)など。

 物件は、JR・東武アーバンパークライン船橋駅から徒歩2分、京成本線京成船橋駅から徒歩4分、船橋市本町一丁目の商業地域に位置する敷地面積約6,668㎡、51階建て全677戸。専有面積は43.71~134.02㎡、全63タイプ。価格は未定だが、坪単価は600万円になる模様。売主は同社のほか東京建物(事業比率12.5%)、京成電鉄(同12.5%)。竣工予定は2028年3月。設計・監理は長谷工コーポレーション、久米設計。施工は長谷工コーポレーション。

 これまでのエントリー数は7,000件で、約6割は千葉県居住者。うち3割が船橋市居住者。都内は中央・港・江東など約3割。持家は約7割。11月からのモデルルーム案内会来場者は約800件。

 内覧会で同社東京本店マンション事業部長・永井壮氏は、「2018年に用地を取得してから地権者から優先交渉権を得て実現した。マンション市場は都心部も郊外部も建築費の高騰などで難しい局面を迎えているが、昭島で分譲したマンション同様、再開発案件ではないが街づくり型の面開発を行い、住戸プランは7~40階のSuperior(549戸)、41~48階のUpper Suite(95戸)、49~51階のTop Suite(33戸)の3グレードに分けた」と話した。

 また、同社東京本店マンション事業部販売事務所長・細川智史氏は、「これまでのペースからしてエントリー数は1万件と予想している。エントリー者のメインは約3割が市内の経営者、1割が医師。年齢は50代以上が2割。都内からの反響は都心部のタワーマンションを回遊している人が中心。Upper、Topの手ごたえは十分。販売は来年2月7日登録を予定している」などと語った。

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外観

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模型(低層部)

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永井氏(左)と細川氏

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130Aモデルルーム

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75Cモデルルーム

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80Fモデルルーム

◇        ◆     ◇

 記者は、同社が9月9月3日に行った「マンション事業計画説明会」で、同社上席執行役員の富樫紀夫氏(62)が「プレミストタワー船橋」について触れ、「地区計画の高さ規制をクリアするため地域の地権者などから全員合意を得て、3年くらいかけて役所との協議を進めてきた…当初の販売価格は坪320~330万円を予定していたが、建築費は倍くらいになったので、販売価格は倍とまではいかないが、かなりそれに近い金額になりそう」と語ったのに、驚嘆した。

 富樫氏も語ったように、土地を仕入れた時点の坪320~330万円というのは極めて妥当な価格だ。その後の価格暴騰は、富樫氏も予想できなかったはずだが、容積率を600%を900%に緩和させたのは天晴れというほかない。従前の容積率だったら、予想される坪600万円は絶対不可だろう。

 ご存じない方も多いだろうから、バブル期の千葉県のマンション価格(単価)がどれくらいだったかを、当時記者が書いた記事から紹介する。バブルがはじける直前の平成2年の坪単価は、3月の「船橋」は448万円、5月の「本八幡」は521万円、7月の「船橋」は414万円、9月の「京成大久保」は465万円、11月の「木更津」は405万円…などとある。「船橋」「市川」などは坪450~500万円が相場となっていた。

 その後、バブル崩壊後の単価は関係者もご存じだろう。直近の最高値は、2024年分譲の東京建物他「Brillia Tower 千葉」の坪単価421万円のはずで、三井不動産レジデンシャル「パークタワー柏の葉キャンパス」(629戸)の坪単価は記者予想の430万円くらいになると見ている。

 これらからして、いかに「プレミストタワー船橋」の単価が突出しているかお分かりだろう。記者は、モデルルームを見学するまで、販売は容易ではないと見ていた。

 ところが、3タイプのモデルルームを見学して、坪単価600万円もありかと考えを改めた。住戸プランはワイドスパンが中心で、設備仕様レベルも高い。そして、大きなインパクトになると見たのは天井高だ。リビングは最低でも2600ミリ、最大で3200ミリあり、Upper、Topはトイレ、廊下も2500ミリだ。ドアも天井まである。このような居住性の高いマンションは、これまで千葉県では供給されたことはないはずだ(記者は、これまでで最も天井高の高いマンションは「パークコート六本木ヒルトップ」だと見ている)。市内を離れられない経営者・富裕層が食指を伸ばすのは容易に想像できる。最高価格は7億円を超えるというから、坪単価にしたら1,724万円だ。これもありか。何も東京を起点にしなくてもいいということか。

 ただ、ボリュームゾーンのSuperiorについては値付けに苦慮するのではないか。県都の「千葉」でも坪421万円だ。同社も売主になっている「西千葉」は坪270万円だ。都内江東区の「小岩」などは坪500万円台の前半だ。細川氏は「竣工までに完売したい」と語ったが…。

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134㎡モデルルーム オプションのキッチン

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オプションの幅1.8mの両開きドア

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ドア天井も2500ミリ

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猫足つき浴槽

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現地

全国のマンション 富裕層やシニア層のセカンド・投資・移住ニーズ継続 大和ハウス(2025/9/15

大和ハウス他「プレミストタワー船橋」(677戸)反響4500件超 単価は500万円超(2025/9/3

第1期90戸は坪421万円 高額住戸中心に人気 東京建物他「Brillia Tower 千葉」(2024/4/17

現段階で最高品質のマンション三井不動産レジデンシャル「パークコート六本木ヒルトップ」(2011/11/16)

 

カテゴリ: 2025年度

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「イノベイシア恵比寿」

 オープンハウスは11月26日、GINZA SIXに開設したラグジュアリーブランド「INNOVACIA(イノベイシア)」専用サロンのメディア向け内覧会を開催。オープンハウス・ディベロップメント取締役マンション開発事業部長・川上智宏氏が同社のマンション事業の特徴などについて説明した。新ブランドの第一号「イノベイシア恵比寿」の坪単価は1,000万円強になる模様だ。サロンでは、VRスペースのほか「Haruki」「Kafka」などアーティストの名前にちなんだ6つの個室を用意している。

 川上氏は、2008年に第一号を供給した当時からの姿勢として①土地の特徴を生かした柔軟性②圧倒的な決断の速さ③(当時は謳っていなかったが)〝便利地・好立地〟のマーケットイン④セールバリューを堅持しており、その結果、東京都の2024年のマンション供給量は4,941戸で、2位の野村不動産ホールディングスの3,584戸を上回り、4年連続トップであることを強調した。

 新ブランドについては、「必要なものをしっかりと見極め、こだわるべきところには徹底的にこだわる。自分にとって大切ものを知る人にこそこれまでにない価値を実感していただけるはず」などと話した。

 「イノベイシア恵比寿」は、JR山手線・埼京線・湘南新宿ライン恵比寿駅から徒歩9分、目黒駅から徒歩11分、目黒区三田二丁目の第一種住居地域(建ぺい率60%、容積率300%=前面道路幅員により160%)に位置する敷地面積約1,909.67㎡、5階建て全46戸(優先・先行分譲募集対象住戸21戸含む)。現在、先着順で分譲中の住戸(5戸)の専有面積は58.19~81.05㎡、価格は17,000万~26,000万円。第1期2次(3戸)の専有面積は56.52~75.93㎡、価格は18,000万~31,000万円。竣工予定は2026年8月下旬。売主はオープンハウス・ディベロップメント。施工は丸彦渡辺建設。設計・監理は共同エンジニアリング。共用部設計はデザイナー・柳原照弘氏。

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「イノベイシア恵比寿」

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「INNOVACIA(イノベイシア)」専用サロン

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「INNOVACIA(イノベイシア)」専用サロン

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「INNOVACIA(イノベイシア)」専用サロン

◇        ◆     ◇

 内覧会が始まったのは午後1時から。記者は2時から野村不動産ホールディングスの記者懇親会の取材が入っており、わずか20分しか取材できなかった。アーティストの名を付けた個室は見ておらず(他の4人のアーティストはだれか、とても興味がある)、おおその見当はくが、マンションの現場も見学していないことを最初にお断りしておく。

 現地は見ていないが、三菱地所レジデンス「ザ・パークハウス 恵比寿南」とは、道路を隔てた対面に位置する。恵比寿ガーデンプレイスに近接している。

 物件概要からすると、坪単価は1,000万円強のはずだ。高いか安いかはユーザーが判断することだが、最近のマンション相場からしたらかなり割安感がある。

 サロンに設けられたサンプルルームは、よくできていると思う。キッチン・洗面天板はシーザーストーン、食洗機(Miele)、ミストサウナなど。ワインセラーが設けられているのはとてもいい。

 取材の帰りに頂いた、柳原氏がクリエイティブディレクターを務める「1616/arita japan」はかみさんが絶賛した。通常の陶器製品の1.8倍の強度があるそうだ。この皿に盛られる食材は幸せだ。味も1.8倍に跳ね上がるのではないか。

 記者は、同社がマンション分譲を始めたころの物件を結構見学している。添付したので参照していただきたい。「南青山」の記事はアクセス数が約6,000件だ。

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柳原氏

恵比寿駅圏の最高峰坪900万に迫る野村不「恵比寿ヒルサイドガーデン」が人気(2019/4/19)

平成最後の寒波もろともせず坪750万円の住友不「恵比寿」竣工(2019/4/12)

〝グラン〟に負けない商品企画三菱地所レジ他「ザ・パークハウス恵比寿南」(2021/3/26)

「有力新人が入った。来年は優勝だ」オープンハウス光永監督吠える(2021/7/23)

オープンハウス「代々木」に続き「銀座2丁目」「虎ノ門」「青山1丁目」など予定(2016/1/18)

光井純氏デザイン監修 オープンハウス「南青山」 上々スタート(2014/10/20)

オープンハウス「オープンレジデンス桜新町Avenue」わずか10日間でほぼ完売(2010/2/11)

人気必至!「オープンレジデンス桜新町」 坪単価は210万円

「オープンレジデンス三軒茶屋」35戸 来場210件 受け付け9日間で完売(2009/6/26)

「オープンレジデンス中野桃園町」(20戸)1カ月で完売へ(2009/11/30)

カテゴリ: 2025年度

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「若松二丁目住宅マンション建替え事業」 

 若松二丁目住宅マンション建替組合と、参加組合員として参画している野村不動産、三井不動産レジデンシャル、旭化成ホームズ、日鉄興和不動産は11月17日、同組合が施行する「若松二丁目住宅マンション建替え事業」を10月31日に着工したと発表した。事業は、千葉県内最大規模の建替え事業で、国土交通省の「令和4年度マンションストック長寿命化等モデル事業」に採択されている。

 「若松二丁目住宅」は、JR南船橋駅に近接、船橋市若松二丁目に位置する敷地面積約42,306㎡、延床面積約30,241㎡、5階建て17棟、総戸数576戸。竣工年は1969年。2007 年ころから管理組合内で建替えの検討を開始し、2012年に建替え推進決議を可決、2014年に事業協力者の選定を行い、2023年3月、一括建替えを決議。工期は2期に分かれており、先行工区の竣工は2028年の予定。

 建築基準法第86条の一団地認定の分割・再設定、総合設計制度の活用などにより、敷地分割を行いながら一体的な街並みの実現を図る。

◇        ◆     ◇

 船橋駅圏では現在、船橋駅から徒歩11分のJR東日本の社宅跡地約45,400㎡で「(仮称)JR 船橋市場町社宅跡地開発計画」が進行中で、同社と同社グループのジェイアール東日本都市開発、東急不動産の3社が2028年完成を目指し約1,000戸のマンションを建設する。

 「若松二丁目住宅」がどれくらいの規模になるかは不明だが、敷地規模と総合設計制度を活用することなどから、「(仮称)JR 船橋市場町社宅跡地」を上回る可能性もある。双方で2,000戸超だ。船橋駅前では、坪単価600万円といわれる大和ハウス「プレミストタワー船橋」(677戸)の分譲が始まる。3物件を合わせると3,000戸くらいになりそうだ。

 常識的に考えたら、需要規模は3物件併せて年間500戸くらいと思われも完売まで6年かかる計算だ。相乗効果を発揮するのか、共倒れになるのか。

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「ルネ加須/ワンハンドレッド・レジデンス」 

総合地所は11月18日、駅圏で34年ぶりの供給となる「ルネ加須/ワンハンドレッド・レジデンス」のメディア向け見学会を行った。価格は「未定」だが、現在の市場からして信じられない低単価に設定し、全117戸の平均専有面積を90㎡確保し、100㎡超も34戸用意するなど、立地のハンディを単価の安さと広さで克服・アピールする意欲的な物件だ。

物件は、東武伊勢崎線加須(かぞ)駅から徒歩5分、加須市元町の商業地域(建ぺい率80%、容積率400%)に位置する12階建て全117戸。専有面積は78.30102.93㎡、価格は未定。竣工予定は202611月下旬。設計・施工は長谷工コーポレーション、販売代理は長谷工アーベスト。12月に分譲開始する予定。

2025年7月に物件ホームページを公開。10月から案内会を開始しており、これまでのモデルルーム来場者は約70件。属性は、居住地は市内が65%、隣接市(久喜・羽生市など)が10%。年代は20~30代が30%、40代が25%、50代が25%、60代超が20%。勤務地は市内が50%、隣接市が10%、都内が20%。家族構成は2人が40%、3人が20%、4人以上が10%、単身者が20%弱。持家は約50%、賃貸は約30%。

現地の従前はパチンコ屋。用地取得は2024年5月(前年に契約)。敷地は東西軸が長い長方形で、敷地と道路を挟んだ北東側の15.9m地先は東武線の線路。建物は1フロア12戸構成で全戸南南西向き。

主な基本性能・設備仕様はZEH-M OrientedLowEガラス、直床、リビング天井高24502500ミリ、床暖房、全戸可動式収納「UGOKURO(ウゴクロ)」、食洗機(オプション)、浴室タオル掛けなど。共用施設は約100㎡のスカイフロア(ラウンジ・パーティルーム・ゲストルーム)。全戸駐車スペース付き。

見学会で同社分譲事業部マンション開発部開発1課課長・石井大祐氏は、「新規供給が34年ぶりというケアなエリア。平均専有面積を90㎡とし、100㎡超も34戸用意、共用施設も100㎡、駐車場も100台確保するなど〝ワンハンドレッドッド〟にチャレンジした。価格は現段階で公表できないが、78㎡で4,000万円を切る住戸も用意する予定」と語った。

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スカイラウンジ

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パーティルーム(左)とゲストルーム

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モデルルーム

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 埼玉県人でも「かす」と読む人は多いはずだが、加須市は人口約11万人のこいのぼりとうどんで有名な埼玉県最北の市だ。市の北側に利根川が流れている。

 昨年は、加須駅より一駅手前の花崎駅圏の調整区域内の分譲戸建てタカラレーベン「レーベンプラッツ加須はなさき公園」を取材しており、価格は4,000万円台だったので、同社が加須駅圏でマンションを分譲することを聞いてびっくりした。正気の沙汰ではないと。

 ところが、石井氏から最低価格は「78㎡で4,000万円を切る」と聞いて、またびっくり。坪単価に換算すると約168万円だ。単価を1層当たり1割上乗せすれば最上階は約200万円となる。その中間を取ると坪単価は185万円となる。100㎡の住戸は5,000万円台半ばから6,000万円台の前半だ。大宮を中心にすれば、3分の1くらいの価格となる。

 これほどまで安い単価で分譲できるのは、用地取得が相当安かったはずで、この予想が当たっていれば、首都圏はもちろん、全国地方都市を含めて今年の最安値の物件になるのは間違いない。記者は今年初め、大和地所レジデンス「ヴェレーナシティ木更津マリーナベイ」(147戸)を取材しているが、坪単価は180万円台半ばだった。

 モデルルーム来場者は初めてマンションを見る人が多いようだ。販売動向からは目が離せない物件だ。今年一番の注目物件かもしれない。坪185万円で郊外・地方のマンションが建つのなら少しは展望が開けてくる。記者は、アッパーミドル・富裕層向けは高値追及しても構わないが(大手デベロッパーの粗利は軒並み30%を超えているのはそのため)、一般的なファミリー層向けは利益率を抑えて供給してほしいと願っている。

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現地

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駅前の商店街(閑散としていた) 

坪単価180万円台半ば 第1期43戸完売 大和地所レジ「ヴェレーナシティ木更津」(2025/1/22

調整区域の平屋41 敷地300㎡超が好調 〝地域のタカラ〟目指せ(2024/12/7

 

 

 

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