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 三井不動産レジデンシャルが10年前に分譲した「パークシティLaLa横浜」のマンションが傾いていると10月14日に報じられてからほぼ1カ月が経過する。その後、連日のようにマスコミで報じられている。国土交通省は旭化成建材に対し11月13日までに詳細な報告をするよう指示している。

 現段階ではどのような報告書になるか分からないが、10日、この問題をマンション販売現場はどう受け止めているのか、影響はどうなのかをアトランダムに電話で聞いた。

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 片っ端から電話した。しかし、「会社に聞いて」「責任者がいない」「答えられない」「コメントを差し控えるよう会社から指示を受けている」というところがほとんどだった。

 これはある程度予想はしていた。販売現場の担当者の口が堅くなったのは、あの構造計算書偽装問題が発覚した10年前くらいからだ。あれ以来、現場の生の声を聞くことはほとんど不可能になった。フィルターのかかった広報を通じてのコメントしか出なくなった。

 少し横道にそれるが、姉歯事件のときの各社の対応を振り返ってみたい。

 事件が発覚したとき、ヒューザーが姉歯と関わっているという噂は当日のうちに業界内を駆け巡った。大手、中小を問わずほとんどのデベロッパーから「当社は姉歯とは関係ございません」という趣旨の〝安全宣言〟が発信された。

 今回はどうか。野村不動産が新聞社の取材に対して「現在販売中のマンションには旭化成建材は関わっていない」旨のコメントを発したが、記者の知る限り、ホームページなどで〝安全宣言〟を発表したところはほとんどいない。

 これは何を意味するのか。姉歯のときは物件数が限られており、特定するのが容易だった。しかし、今回の事件は旭化成建材だけに限ったことではなく、杭打ち業界全体への疑惑が広がりを見せており、デベロッパーも対応に苦慮しているからではないかと思う。

 マスコミ報道も問題の核心にふれる報道など皆無に近い。問題なのは「施工監理」が機能していないことだと思う。マスコミは「管理」と「監理」を混同しており、「設計監理」に触れているところはない。それだけ「設計監理」が有名無実化していることを世間にさらしたということだ。

 設計監理が機能していないのではないかという疑惑はすぐ確信に変った。11月2日に行われた旭化成の会見で平居正仁副社長は「データ流用する環境があった」とコメントし、その前の会見でも「工期を守らないといけないプレッシャーを受けていた」旨の発言もしている。

 「データ流用する環境があった」「工期プレッシャー」は同社に限らず業界全体に蔓延しているということを平居氏は示唆したと記者は受け止めている。

 物件を施工・監理した三井住友建設はどうか。同社は11月12日、事件が発覚してから初めて会見を開いた。

 報道によれば、「横浜のマンション建設で三井住友建設の社員は、2次下請けの旭化成建材が杭を打った473本の大部分で立ち会っていなかったという」「永本副社長は、『試験的に打つ杭に立ち会い、残りは施工報告書で確認すればよい』とする国交省の標準仕様書に沿った対応だとして、『管理に落ち度はなかった』と強調した」(日経WEB版)とある。

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 話しを元に戻す。電話による取材にマンション現場担当者はほとんど口を閉ざしたが、4人だけ答えてくれた人がいる。そのコメントを紹介する。

 「来場者が減ったという印象はない。現場では、お客さんから聞かれるだろうとQ&Aを作成しているが、ほとんど質問はない。肩透かしを食った格好だ。影響は軽微だと考えている」

 「一人二人、聞かれる方があったが、予想したほどではない。引き渡し直前の50戸のマンション現場でも、『大丈夫か』という問合せがあったのは2~3件。影響は少ないのでは」

 「今回の問題になっている件はPC杭。当社は現場での杭打ちが多いので問題はない。それにしても旭化成建材が悪いのは言うまでもないことだが、ゼネコンも施主も見抜けなかったのは残念。大手デベロッパーはたくさん建築系大学卒の社員を抱えており、毎週のように各現場の状況をチェックしているはず。それを見逃すとは。ゼネコンもゼネコン。オフィスビルなどと異なりマンション施工は花形ではないから優秀な人材を配置しない。チェックする人の問題」

 「鴨居は地盤が弱いというのは業界の常識。当社は旭化成建材を使ったことはないが、他の業者に問題が広がらないか心配。どこも安全宣言できないのは、すべての分譲物件を調査するには時間がかかるからだ」

 わずか4件のコメントだけでは現場への影響の度合いは計れないが、事態を静観しているというのが現状ではないか。最近、マンションの現場取材を断られるケースもあり、デベロッパーが非常にナーバスになっているという印象も受ける。

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 何度も書くが、今回のデータ改ざんはあの姉歯の問題で国中が大騒ぎしているさなかに隠然と行われていた。もう救いようがない。建設業界を侵す「宿痾」という言葉以外見つからない。

 元請けの三井住友建設の会見も不可思議だ。施工監理に問題はなく、「信頼を裏切られた」と永本副社長はまるで他人事のように話したが、監理チェックを怠ったと言わざるを得ない。建設業法、建築士法が問われる問題だろうと考える。

 姉歯事件は結局、元一級建築士個人の犯罪という形で結論付けられたが、その後、住宅瑕疵担保履行法の施行、確認・検査の厳格化を定めた建基法改正まで発展した。

 今回はどのような展開を見せるのか。

後を絶たないマンション施工不良「設計監理」機能は働いているのか 姉歯に懲りたはずなのに 建設業界を侵す宿痾(2015/10/17)

 

 

 

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三井不動産レジデンシャル「ファインコートつつじヶ丘シエルガーデン」

 三井不動産レジデンシャルが分譲するマンションと一戸建ての戸当たり単価が逆転した。三井不動産は11月6日、平成28年度第2四半期決算を発表したが、三井不動産レジデンシャルの分譲マンションの計上戸数は2,627戸(前年同期比658戸増)で、戸当たり単価は5,742万円(同190万円増)となり、一戸建ては299戸(同79戸減)で、戸当たり単価は5,424万円(同139万円増)となり、マンションのほうが一戸当たりの価格は318万円高くなった。

 同社の分譲マンションと一戸建ての戸当たり単価が逆転した時期は別表の通り過去にもあった。「パークコート虎ノ門愛宕タワー」が計上された2009年度はマンションが戸当たり5,281万円だったのに対し、一戸建ては5,278万円だった。2010年度には「パークコート赤坂ザタワー」「パークシティ浜田山」などが寄与したため5,515万円となり、戸建て平均の5,365万円を150万円上回った。

 今回、再び逆転したのはマンションの計上物件が「Tomihisa Cross」や「桜上水ガーデンズ」「パークシティ大崎ザタワー」など都心の高額・高単価マンションが多かったためだが、今後も都心部の高額。高単価物件の計上が予定されており、マンション価格が一戸建て価格を上回ることが常態化する可能性が高い。

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 同社と戸建て部門でデッドヒートを演じている野村不動産はどうか。平成28年3月期第2四半期のマンション計上戸数は3,242戸で戸当たり単価は5,308万円、一戸建ては174戸で戸当たり単価は6,779万円だ。戸建て単価は野村のほうが約1,400万円高く、マンションは三井のほうが約400万円高い。

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「ファインコートつつじヶ丘シエルガーデン」

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ソニー不動産・西山社長(左)とヤフー・宮坂社長

 ヤフーとソニー不動産は11月5日、リアルタイムで自分が売りたいマンションの価格を知ることができ、売値も自分で決められ、売却した際の売却仲介手数料がゼロという新しい不動産売買プラットフォーム「おうちダイレクト」を開始したと発表した。

 マンション所有者は、「おうちダイレクト」を利用することで不動産仲介会社を介することなく、自由に価格を決定し、その物件情報を「Yahoo!不動産」内の「おうちダイレクト」上に無料で掲載することができる。

 マンション購入検討者は、まだ売り出されていないマンションについて「購入希望の意思表明」や、売り出し中のマンション所有者に対して「物件に関する質問」を直接できるようになり、より能動的に物件購入を検討することが可能となる。

 マンション所有者による物件の売り出しから、購入検討者による物件見学の申込みまではウェブサイト上で行うことができ、その後の物件見学から売買代金の決済・物件の引渡しまでのオフラインでの不動産取引実務はソニー不動産がサポートする。

 「おうちダイレクト」は、1都3県(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)の約5万棟のマンションに関する豊富な情報をデータベース化しており、マンション所有者はYahoo! JAPAN IDでログイン後、オーナー登録を行うだけで自分の住戸の推定成約価格を知ることができる。

 「不動産価格推定エンジン」の推定精度MER(Median Error Rate:誤差率の中央値)は東京23区で5.39%と、業界最高水準の精度を持っているという。

  不動産の売買契約が成約した場合、不動産仲介会社が受け取ることのできる仲介手数料(税抜)は、売主と買主のそれぞれから成約価格の3%+6万円が法定上限金額とされているが、「おうちダイレクト」では、売主が負担する売却に係る仲介手数料は無料となる。買主はコーディネーター料金として成約価格の3%+6万円の料金をソニー不動産に支払うことになる。

 当面、サービスは東京都心6区(千代田区、中央区、港区、渋谷区、品川区、江東区)のマンションが対象で、その後サービスエリアを順次拡大していく予定。

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 なかなか刺激的な会見だった。共同記者会見が行われた東京ミッドタウンのヤフーの会場には約60名の報道陣が駆け付けた。不動産流通業界に詳しい記者によると、この種の会見などに集まる記者は多くて20人くらいだそうで、今回はその3倍の記者が集まったことになる。ヤフーとソニーの〝集客力〟を見せつけた格好だ。会場のあちこちに「マンション流通革命、はじまる。」のポスターが張り出されていた。

 会見に臨んだヤフー・宮坂学社長は、「われわれは、法人や国、組織しかできないことを個人でもネットの情報技術を通じて可能となるように一貫して追求してきた。これがわれわれのミッションだ。『おうちダイレクト』も個人が法人と同じ環境で、自分の一番大事なものを売れるようにするサービス。我々の業界でよく用いる破壊するという意味のDisruptor(ディスラブター)ではなく、既存の負仲介システムの選択肢を増やすのが目的」と、時々笑みを浮かべ自信たっぷりに話した。

 ソニー不動産・西山和良社長は、「会社を設立してからこれまで1年3か月、売買エージェントとして代理人に寄り添って好評を得てきた。ヤフーのメディア力とソニーの技術力で安心・安全の取引を心がけ、中古住宅市場の活性化に寄与したい」と語った。

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 記者は不動産流通業に疎いので、これが成功するかどうか分からない。これまでも不動産オークション市場に挑戦したところがあったが、どこも成功しなかったのが気にはなる。それはなぜなのか。買う側の不安のほうがはるかに勝るからだろうか。

 もう一つは、「不動産価格推定エンジン」の精度だ。誤差率5.39%が高いのか低いのか。ただ、いまでもレインズの「不動産ジャパン」でかなりのデータを個人でも知ることができるが、自分の所有マンションの価格が瞬時にはじき出されるのはいいかもしれない。「不動産価格推定エンジン」の精度がそれほど高いのなら、新築マンションの価格査定には使えないのか。それが可能になれば、購入希望者が査定依頼に殺到するのではないか。

 それと、やはりマンション戸別の日照、設備の劣化、管理状態は客観的に評価できるかどうか。もちろん売る側は高く売りたいから高値を付けるだろうが、購入希望者との価格のかい離が大きければなかなか成約に結びつかないのではないかという気もする。

 いずれにしろ、不動産情報の非対称性を巡って論議が活発化するのは間違いない。ヤフーとソニー不動産が火に油を注ぐデモンストレーションを行ったということか。 

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不動産流通に関する会見でこれほどの報道陣が集まった例はほとんどないという

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「ノブレス赤羽」完成予想図

 ナイスが分譲中の免震マンション「ノブレス赤羽」を見学した。同社は2005年以降、低層を除き免震を標準としてきたが、今年度から低層を含めすべての物件を免震とすることを決定した。今回の物件もそのうちの一つ。6月から分譲を開始しており、これまで20戸を契約、順調に売れている。

 物件は、JR埼京線・湘南新宿ライン・京浜東北線・東北本線・高崎線赤羽駅から徒歩11分(東京メトロ南北線赤羽岩淵駅から徒歩7分)、北区志茂2丁目に位置する15階建て44戸(事業協力者用住戸8戸含む)。専有面積は26.91~66.18㎡、現在分譲中の住戸(16戸)の価格は3,890万~5,710万円。坪単価は260万円。入居予定は平成28年3月下旬。施工は木内建設。設計・監理は三輪設計。

 現地は、北本通りに面しているが、敷地南側は基本的に高さが10m以下の第一種住居専用地域に指定されている。建物は1フロア3戸でコンパクトタイプ。ほとんどの窓は2重サッシを採用している。

 同社の販売の責任者、横澤圭太氏は「免震が高く評価されており、販売は順調に進んでいる。東日本大震災で大きな揺れに襲われた仙台において、当社は22物件1,500戸以上の免震マンションを分譲している。震災時も地面が大きく揺れているのに建物はそれほど揺れていない画像を販売事務所でも公開しているが、皆さんその効果に一様に驚かれる」と話している。

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 同社がすべてのマンションを免震にするというのは知らなかった。ナイスグループは、首都圏における免震マンション供給棟数はナンバー1で、全国でも、現在計画しているものを含めて70棟7,120戸の免震マンションを供給している。

 横澤氏は帰りがけに、「お客さますべてに配っているものですが、来ていただくお客さまの命を守りたいという気持ちが込められたものです。これを持っていってください」と、ストラップ付きの「ミニホイッスル」をくれた。

 もう20年も30年も昔だ。平田恒一郎社長がまだ役員になったばかりだったか、「うちは戸数など追わない。地域に信頼される企業としてナンバー1を目指す」と語ったのが記憶に残っている。愚直に安全・安心を追求する姿勢は貴重だ。

ナイス 分譲するマンション全てに免震構造を採用(2015/10/30)

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「プレミアムレジデンス横濱妙蓮寺」完成予想図

 三信住建が分譲中の「プレミアムレジデンス横濱妙蓮寺」を見学した。妙蓮寺駅から徒歩2分で戸数39戸、坪単価は294万円。驚くような単価だが、9月から分譲開始し、すでに22戸が契約済みだからよく売れている。

 物件は、東急東横線妙蓮寺駅から徒歩2分、横浜市港北区仲手原二丁目に位置する6階建て全39戸。専有面積は64.98~85.48㎡。現在分譲中の住戸(4戸)の価格は5,878万~6,988万円(70.05~80.16㎡)。平均坪単価は294万円。竣工予定は平成28年6月上旬。売主は同社のほかセコムホームライフ(事業比率は50:50)。設計・監理はIAO竹田設計。施工は三信住建。販売代理は双日新都市開発。

 現地は、道路に面しているところは商業地域で、その奥は第一種低層住居専用地域。建物は東向きと南向き。2重床・2重天井、食洗機、ミストサウナが標準装備。

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 この単価を聞いたときは正直驚いたが、もともと単価水準の高い東急東横線。武蔵小杉を筆頭に駅近物件は軒並み坪300万円を突破しつつある。だから、駅2分で294万円も妥当かなと思えてくる。何よりも22戸が売れていることが証明されている。

 読者の方はご存じないかもしれないが、バブルが終息するころ、佐藤工業「ザ・ヴィスタ妙蓮寺」が分譲された。確か坪単価は330万円くらいで、全61戸ほとんどか億ションだった。

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 それにしても同社の伸びがすさまじい。同社はマンション用地の取得・卸しで急伸している会社だが、会社設立の2006年度は開発・取扱い件数が18件1,409戸、売上高20億円だったのが、2014年度は開発・取扱い件数が45件2,269戸、売上高294億円だ。10年足らずで売上高は10倍に伸びた。

 同社社長・信田博幸氏は長谷工コーポレーション出身。2005年に取締役兼専務執行役員に就任。2006年に退社し、同社を立ち上げた。

 ブランド名「プレミアムレジデンス」は、自社で分譲する物件に冠するもので、今回が3物件目。記者は2年前、第一号の「プレミアムレジデンス府中西府駅前」を見学し、記事にしている。なかなかいい物件だった。この記事は、いま問題になっている横浜市の傾いたマンション問題を考える意味でも参考になるはずだ。

左手にタコ、一筆書きのようにマンション検査徹底 新三平建設・高谷氏(2013/11/19)

 

 

 

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「クリオ駒沢公園」完成予想図

 明和地所が11月下旬に分譲する「クリオ駒沢公園」を見学した。駒沢オリンピック公園に徒歩4分、国立東京医療センターに隣接する全53戸の中層マンションで、同社久々の100㎡、億ションも含まれる。

 物件は、東急田園都市線駒沢大学駅から徒歩16分(JR恵比寿駅からバスで約20分圏)、目黒区東が丘1丁目に位置する6階建て全53戸。専有面積は55.69~124.32㎡、価格は未定だが坪単価は370~380万円台になる模様。竣工予定は平成28年11月下旬。設計は三輪設計。施工は多田建設。

 現地は、敷地南側が駒沢通りに面しており、西側は国立東京医療センターの森に隣接。

 建物は、南向き中心に東向きと西向き。88㎡以上の10戸がプレミアム仕様として億ションになる模様。

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 なかなか意欲的なマンションだ。モデルルームに当てられているのは120㎡の「X type」。インテリアデザインを担当するのはカン・デザイニングオフィスの鈴木ふじゑ氏。玄関は横入りタイプで、廊下幅は1200ミリ以上。床、壁などに大理石やチェリー材など天然材をふんだんに用いており、リビング壁は「セルベジャンテ」と呼ばれる大理石張り。カラーリングは鈴木氏が名付けた〝グレージェ〟。グレーとベージュを掛け合わせた微妙な色を表現している。

 設備仕様からして10戸は間違いなく億ションになる。同社の億ションと言えば、10数年前に分譲された「クリオレミントンハウス文京播磨坂」を思い出す。高額だったが、瞬く間に売れた。

 100㎡住宅も久しぶりだ。「レミントンハウス」もそうだが、もともと100㎡は同社が積極的に手掛けてきたプランだ。元気な明和が戻ってきた。

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モデルルーム 

 

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建築現場で行われた地震体験車(わが国に4台しかないという)

 ナイスは10月30日、今後同社が分譲するすべてのマンションを免震構造にすると発表。日建設計、および日建ハウジングシステムと共同でワークショップを実施し、これまで8階建て以上を免震としていたものを7階建て以下の中層でも採用が可能とみて踏み切ったもの。免震の新ブランド「Noblesse(ノブレス)」を立ち上げ、その第一弾「ノブレス西馬込」(6階建て41戸)の建築現場見学会を行い関係者に公開した。

 同社は1997年に竣工した「ナイスアーバン砧公園」を皮切りに免震構造を積極的に採用しており、2005年以降は仙台市では100%、それ以外のエリアでは8階建て以上に採用している。これまで計画中を含め70棟7,120戸に採用。首都圏での免震マンション供給棟数はナンバーワンとなっている。従来、一般の耐震構造と比較した場合、免震は15~20%程度建築コストが高くなることからタワーマンション、高級マンション以外の中層マンションではほとんど採用されていない。

 同社と日建は、これらの課題について①平面・立面形状の最適化②建物の軽量化③動線・セキュリティ・設備系統④免震部材の組み合わせ⑤基礎形状-などの検討を重ねて実施することにした。

「ノブレス西馬込」は、都営浅草線西馬込駅から徒歩10分、大田区中馬込3丁目に位置する6階建て41戸。専有面積は58.60~73.56㎡、坪単価は270万円。竣工予定は平成28年4月中旬。

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地下の免震装置(マンション全体で16個が設置されている)

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「クレヴィア文京小石川」完成予想図

 伊藤忠都市開発が先に第1期22戸が即日完売したと発表した「クレヴィア文京小石川」を見学した。モデルルームタイプ(89.40㎡)は1億2,000万円からで、総額で1,000万円はしそうなオプション仕様だったが、確かにすばらしい。即日完売も納得だ。

 物件は、都営地下鉄三田線・大江戸線春日駅から徒歩5分、東京メトロ丸ノ内線・南北線後楽園駅から徒歩6分、文京区小石川3丁目に位置する5階建て全38戸。専有面積は53.98~89.40㎡、坪単価は423万円。竣工予定は2016年9月中旬。販売代理は伊藤忠ハウジング。設計・監理はレーモンド設計事務所。施工は佐藤工業。

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 同社はマンションの供給量は少なくないが、都心物件は意外と少なく、坪単価423万円というのは、今年分譲した「池田山」の400万円を超えるバブル崩壊後では最高単価マンションではないか。

 モデルルームのデザインを担当しているのは三井デザインテックの遠藤瑠衣氏。はほとんどオプション仕様だったが、なるほどと思わせるグレードだった。床は玄関からホール-廊下-リビングの一部まで石張り。エントランス、キッチン、リビングの天井は折り上げ、壁面はアクセントクロス、壁面塗装…ざっと計算したが、オプションの総額は1,000万円を下らないとみた。高額マンションは、このように豪華にするのは賛成だ。

 設計は、1919年(大正8年)旧帝国ホテル設計監理のため、フランク・ロイド・ライトと共に来日したアントニン・レーモンドが1921年(大正10年)に開設したレーモンド設計事務所だった。

 先日のジョサイア・コンドル(綱町三井倶楽部)、フランク・ロイド・ライト(大京の日進の戸建て)に続き、今回がアントニン・レーモンド。この1週間で歴史的な3人の建築家の名に接することができた。東京ミッドタウンの隈研吾氏の「つみきのひろぱ」を入れると4回だ。なんという僥倖か。

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モデルルーム

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「イニシア練馬豊玉」モデルルーム

 コスモスイニシアは10月22日、本格的なDIYによる住まいづくりをテーマにしたマンション「イニシア練馬豊玉」を販売すると発表した。日本初の体験型DIYショップ「DIY FACTORY」を運営する大都とのコラボレーションによるもので、"Design It Your Sense"がコンセプトテーマ。

 セルフデコアドバイザーによる無償の「セルフデコレーションサービス」を実施し、DIYサポートをはじめマンション内の1住戸を「セルフデコファクトリー(DIY工房)」として入居開始後約4カ月間開放。DIYイベントやワークショップを実施する。

 「イニシア練馬豊玉」は、西武池袋線・都営大江戸線練馬駅から徒歩13分の7階建て38戸。11月上旬に分譲する第1期1次(6戸)の価格は4,300万円台~5,500万円台(専有面積67.10~72.02㎡)。

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「目黒本町レジデンス」完成予想図

 トヨタホームが三菱地所レジデンスと共同で分譲中の「目黒本町レジデンス」を見学した。東急目黒線西小山駅から徒歩9分の全46戸で、坪単価が341万円と割安であることもあり、第1期(34戸)のうち23戸が契約済み。好調なスタートを切った。

 物件は、東急目黒線西小山駅から徒歩9分、目黒区目黒本町6丁目に位置する5階建て46戸。専有面積は39.29~72.27㎡、現在分譲中の住戸12戸(49.45~72.27㎡)の価格は4,650万~7,990万円。坪単価は341万円。竣工予定は2016年1月下旬。施工は不二建設。

 現地は、西小山の商店街を抜けたあたりから続く立会川緑道を通って少し入った商・住が混在する地域の一角。

 建物は高さ規制(17m)があり、そのたの斜線制限などのため5階建て(15m)。住戸プランは70㎡台の3LDKが中心で、キッチンカウンターはクォーツストーン、食洗機、ミストサウナ、同社とLIXILなどが7年をかけて共同開発した高通風網戸「クリアミド」が標準装備。引き戸は開閉ともソフトクローズ機能付き。バルコニー床はウッド調のシート貼り。

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 同社が2002年に野村不動産と組んで分譲した「セルシオヒルズすずかけ台」が首都圏で初の物件だった。記者は車のことはちんぷんかんぷんだが、物件名に〝セルシオ〟が付いており、カギをかざすだけで玄関ドアが開いたのにはびっくりした。

 あれから10余年。その間、環境に恵まれた「国分寺ゼルクハウス」「テラス大井町」「プラウド駒場」などいくつかの物件を見学してきたが、三菱地所レジデンスとの共同物件(5件目)は初めて見学する。

 「すずかけ台」の〝セルシオキー〟を見たとき〝かざすのも面倒。開けごまのカギをどこか開発しないだろうか〟と思ったが、いまは近づくだけで車のドアが開くスマートキーが開発されているそうだ。

 設備仕様は坪300万円を突破してくるのだから、一定の水準にあるのは当然のことだとだが、341万円というのはリーズナブルな単価だと思う。周辺の物件は軒並み350万円を突破してきているはずだ。

 記者も道すがら考えた。数年前なら320~330万円がアッパーだが、350万円を超えてくるのだろうか、しかし、いくらなんでも400万円はないだろうと…その350万円を切ったというのはさすが世界の〝トヨタ〟と評価したい。(正直に言えば、これが相場。他が高すぎるのだ)

 同社はハウスメーカー、デベロッパーとしては業界の中位かもしれないが、ユーザーからすれば世界的企業が分譲するマンションと受け止める。都心部はいざ知らず、準都心・郊外では高値追求などしないほうがいい。

 ただし、今回の物件には〝開けごま〟のスマートキーはコスト面などで採用していない。外観や建具・面材のデザインがよく、「クリアミド」は薄絹のようでクリアに見える。プランがいいと思ったコンパクトタイプは1戸を残すのみだ。

 首都圏では今回の物件が13件目だということだが、すべてが大手との共同分譲。今後は単独でできればやり、車の技術を応用したものも取り込みたいという。

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キッチン(木目調のデザインがいい)

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