積水ハウス 2022年1月期2Q 戸建て・賃貸事業好調で増収増益 通期予想も上方修正
積水ハウスは9月9日、2022年1月期第2四半期決算を発表。売上高1兆2,236億円(前年同期比4.8%増)、営業利益1,096億円(同18.4%増)、経常利益1,113億円(同22.8%増)、純利益725億円(同22.1%増)と大幅増益となった。国内外の戸建住宅・賃貸住宅関連事業が好調に推移した。
セグメント別では、請負型ビジネスの戸建住宅事業では、コロナ禍の生活提案「ファミリースイート おうちプレミアム」の採用率が91%となるなど好調に推移したほか、賃貸住宅事業が伸長した。
ストック型ビジネスでは、提案型リフォームや省エネリノベーションなどの環境型リフォームが好調に推移した。
通期業績予想は、2021年3月4日に発表した計画から上方修正。売上高2億5,530億円(前回予想比0.0%)、営業利益2,200億円(同10.0%増)、経常利益2,180億円(同9.0%増)、純利益1,480億円(同9.6%増)を見込む。
配当予測は、第2四半期末の配当予想43円から2円増配の43円を予想。通期では前期予想の86円から88円(前期実績84円)を予想。
オープンハウス 2021年9月期3Q 大幅増収増益 主力の戸建関連が業績をけん引
オープンハウスは8月13日、2021年9月期第3四半期決算を発表。売上高5,837億円(前年同期比52.2%増)、営業利益728億円(同89.5%増)、経常利益707億円(同32.8%増)、純利益510億円(同21.7%増)となった。売上高の60%を占める戸建関連事業が引き続き好調で業績をけん引した。
セグメント別では、主力の戸建関連事業の売上高は3,505億円(前年同期2,740億円)、売上総利益率は19.5%(同16.1%)。分譲戸建て販売棟数は2,576棟(前年同期2,478棟)、契約単価は4,360万円(同4,130万円)。
内訳は、オープンハウス・ディベロップメントが売上高2,258億円(前年同期1,784億円)、売上総利益率19.6%(同16.7%)、建売住宅2,612棟(前年同期1,888棟)、土地2,412区画(同1,960区画)、請負1,342棟(同1,172棟)。
ホーク・ワンが売上高881億円(同631億円)、売上総利益率18.4%(同14.2%)、建売住宅1,820棟(同1,528棟)、土地225区画(同90区画)。
通期業績では、期連続過去最高の売上高7,880億円(前期比36.8%増)、営業利益960億円(同54.5%増)を予定している。
第一園芸 独自に考案したオフィス空間デザイン 三井デザインテック新本社に採用
3 階屋外テラスSORANIWA(空庭)
三井不動産グループの第一園芸は8月11日、同社の環境緑化・空間装飾ブランド「OASEEDS(オアシーズ)」が独自に算出した「植栽ボリューム指数」と「緑視率」を活用したオフィス空間デザインが三井デザインテック新本社「CROSSOVER Lab」に採用されたと発表した。
「人は自然と触れ合うことで、健康や幸せを得られる」というアメリカの生物研究者エドワード.O.ウィルソンが1984年に提唱したバイオフィリアの考え方をさらに推し進め、「オフィスの機能に応じた適切な緑のボリュームがあるのではないか? 」という視点から「植栽ボリューム指数」と「緑視率」を算出し、三井デザインテック新本社のデザインを行ったもの。
「植栽ボリューム指数」は、 空間に配置される植栽に対し、植栽のサイズごとに係数を割り当て、数値化したもの(植栽係数の合計÷測定範囲床面積)で、「緑視率」は、視界に入る緑の量を数値化したもの。実証実験を行い、指先脈波による計測で「心の柔軟性」「ストレス度」「リラックス度」「心拍数」「疲労度」を分析し、リラックスに最適な緑量を6~8%と算出した。
「CROSSOVER Lab」はDrive、Co-creation、Communityの3つのエリアと、その3エリアをシームレスにつなぐCROSSOVER ROADが設定されており、エリアの機能に応じた植栽ボリュームを設定し、様々な植栽スタイルを組み合わせて意匠デザインを行っている。インテリアとの調和やメンテナンス、ランニングコストにも配慮し、部分的にフェイクの植物も取り入れている。
例えば、ボリューム指数7.18のCommunityエリアには、リラックスに最適な緑視率6~8%を考慮した床置き・卓上・天井吊りなど多様な植栽スタイルを採用。3 階屋外テラスSORANIWA(空庭)では屋外菜園の実施を提案している。
Communityエリア
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緑の効用は言うまでもないことだ。多少は美醜を分けることができるようになったのは、記者が生まれ育った田舎の豊かな自然環境のおかげだと信じている。
そして、あまりにも貧しい大都市圏の緑環境を何とかしようと無謀にもこの10年間、しつこいほど街路樹の強剪定、マンションや分譲戸建ての販売事務所・モデルルームのフェイクの観葉植物をやめろと書いてきた。トータルすると40~50本はあるはずで、記事1本で1万件のアクセスがあったものも少なくない。
少しは効果もあったようで、本物の観葉植物を置くモデルルームは増えているし、空き地に雑草が生い茂っているとある自治体を批判したら、その直後きれいに刈り取られたという話を聞いたし、公園が雑草だらけと書いたら、間もなくきれいになっていた事例も自分の目で確かめている。
それだけに、今回の同社の取り組みはとても嬉しい。「植栽ボリューム指数」と「緑視率」という視点も興味深い。緑が多ければいいということではないことはよく理解できる。何事も〝過ぎたるはなお及ばざるがごとし〟TPOだ。
もう一つ、プレス・リリースには嬉しい記述が見られる。三井デザインテック クリエイティブデザインセンター・梅岡佐知子氏は「新オフィスのデザインのテーマの一つがWell-Beingであったため、より精神的・肉体的な幸福度を向上させるバイオフィリックデザインを採り入れたいと考え、樹種の選定や緑視率の検証等、たくさんの魅力的なご提案をしていただきました。植物を豊かに配置した3階の空間は、特に社内の評判がよく、コミュニケーション促進に一役買っています」とコメントを寄せているのだが、梅岡氏は「柱や天井に木漏れ日が揺らぐSUNROOMがお気に入り」とあることだ。
同じようなシーンを記者は先日、コスモスイニシアの総合ギャラリー「イニシアラウンジ三田」で体験している。
そこで提案。「三田」ではせせらぎの音も聞こえた。これを発展させ、環境省が選定した「残したい日本の音風景100選」のように、宮城野のスズムシ、広瀬川のカジカガエルと野鳥、北上川河口のヨシ原(宮城県)、水琴亭の水琴窟(群馬県)、称名滝、エンナカの水音とおわら風の盆、井波の木彫りの音(富山県)、春日野の鹿と諸寺の鐘(奈良県)、出水のツル、千頭川の渓流とトロッコ(鹿児島県)などの音も聞こえるようにしてはどうか。香りを演出することだって可能なはずだ。そうすれば労働生産性は飛躍的に高まるのではないか。
木漏れ日、渓流の音…イニシアの世界観を表現 総合ギャラリー「三田」(2021/7/30)
埼玉県 緑被率最低0.04の蕨市とワースト4の0.18の戸田市で異なる街路樹の量と質(2021/6/20)
もう一つのターナーを見た 三井デザインテック 綱町三井倶楽部でセミナー&懇親会(2019/11/20)
ボタニカルが最高4つの商品・開発を発表 三菱地所ホーム(2018/5/30)
1週間に5件 全て売れ行き好調 マンション・戸建ての販売現場に本物の生花・観葉植物(2018/4/19)
いい加減にしてほしい モデルルームのケミカル製品・造花の氾濫(2017/5/23)
デザインが企業・経営者、住宅を変える 三井デザインテックが第2回セミナー(2016/10/20)
またまた「街路樹が泣いている」 千代田区 街路樹伐採で賛否両論(2016/9/8)
東京建物 2021年12月期2Q 増収増益 マンション価格上昇 粗利益率は28.6%
東京建物は8月10日、2021年12月期第2四半期決算を発表。売上高1,625億円(前年同期比同6.7%増)、営業利益303億円(同63.1%増)、経常利益281億円(同65.2%増)、純利益201億円(同86.3%増)となった。
ビル事業は、新型コロナウイルス感染拡大の影響によりホテルの賃貸収益は減少したものの、投資家向け物件売却による収益の増加、オフィスビル賃貸が堅調に推移したことなどから増収増益。
住宅事業は、分譲マンション計上戸数が前年同期の872戸から634戸に減少したものの、1戸当たり単価は6,571万円(前年同期5,344万円)と上昇し、粗利益率も28.6%(同22.9%)と上昇し、また投資家向け物件売却の増加などにより大幅増収増益となった。
飯田グループHD 2022年3月期1Q 分譲戸建て堅調 粗利益率 過去最高の21.1%
飯田グループホールディングスは8月10日、2022年3月期第1四半期決算を発表。売上高3,324億円(前年同期比3.2%増)、営業利益413億円(同162.8%増)、税引前利益402億円(同148.9%増)、純利益276億円(同152.4%増)となり、営業利益、当期利益とも四半期ベースで過去最高益を更新した。
主力の分譲戸建て事業は売上高2,914億円(同2.9%増)、売上総利益615億円。販売棟数は10,235戸(同4.8%減)と減少したものの、1棟当たり販売価格は前年同期比193万円増加した一方で、土地原価は87万円減少した結果、平均価格は2,847万円(同212万円増)に上昇した。粗利益率は21.1%(同8.7ポイント増)と過去最高を更新した。
アキュラホーム 本社機能をさいたま市に移転 面積は8倍以上 建物は純木造
アキュラホームは7月28日、新宿住友ビルの本社機能をさいたま市に移すと発表した。アフターコロナの新たな働き方を実現するためで、オフィス総床面積は、現在の新宿本社面積1,320㎡の8倍以上に増床する一方で、年間費用はほぼ同等とする。移転は2023年を予定。
新本社ビルは、さいたま市西区三橋に位置する敷地面積約9,000㎡、総延床面積約11,200㎡。日本初・純木造で建築し、リアルニーズに応える日本最大級の体験型施設6棟を開設するほか、ショールームも設け地域にも開けた施設とする。
同社はまた、アフターコロナの経営戦略の一環として、全国の都市部オフィスを順次再編し、研究開発機能、リアル体験施設を一体化して展開していく。
ナイス ヤマダHDが筆頭株主へ 資本業務提携し第三者割当で38億円調達
ナイスは7月16日、ヤマダホールディングスとの資本業務提携を結び、ヤマダHDに対し第三者割当による新株式を発行すると発表した。
発行する新株式は、第三者割当増資後の所有議決権割合18.49%に該当する210万株(1株1,867円)で、払込期日は2021年8月2日。新株発行に伴い、同社の筆頭株主はヤマダHDとなる見込み。
手数料などを除いた資金調達額は約38億円で、資金調達額は建築資材事業における物流センター、倉庫の新築及び建て替え、ケーブルテレビ事業における設備投資資金に充当する。
業務提携により、ヤマダHD傘下のヤマダホームズなどの一戸建てを中心とした住宅産業とのシナジーを発揮させる。
ポラスグループ 2021年3月期 増収増益 分譲戸建てがけん引 契約棟数は3,212棟
ポラスグループは6月28日、2021年3月期決算を発表。売上高は2,329億円(前期比3.2%増)、営業利益163億円(同18.9%増)、経常利益176億円(同14.8%増)、純利益50億円(同14.8%増)となり、5期連続で売上高を更新、純利益、経常利益とも2年連続で過去最高を更新した。
分譲戸建てが好調で業績をけん引し、契約棟数は3,212戸(前期比27.7%増)と過去最高となった。マンションも首都圏供給ランキングベスト10に2年連続で入った。
プレカットは、加工ラインの新設・更新などにより外販受注棟数は38,912棟となり過去最高を更新した。
このほか、注文住宅、非木造住宅建築物、住宅展示場での受注棟数、リフォームなども概ね順調に推移した。
2022年3月期業績予想は、売上高2,400億円(前期比3.0%増)、営業利益170億円(同3.8%増)、経常利益180億円(同1.8%増)、純利益51億円(同1.5%増)を見込んでいる。
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記者がもっとも関心がある分譲戸建ての業績について、中央住宅・品川典久社長は、「コロナが発生した当初、住宅は全く売れないのではないかと危惧したが、5月下旬以降はネットの反響数が前年の倍以上に増加し、完成在庫は前期末336戸だったのが、現在は66戸に減少している。当社の商圏エリアでは、本拠地の越谷が伸び悩んでいるが、埼玉エリアの京浜東北・埼京線、東武東上線、松戸・城東エリアの常磐線、京葉線が伸びた。マンションの引き渡し戸数も前期より5.6%増で安定してきた」などと述べ、「大事なのは使命。当社は『住まい価値創造企業』をロゴに掲げているように、より豊かでいい街づくりを最大の目標としている。棟数ではない」と強調した。
これを受けて中内 晃次郎ポラスグループ代表も「(同業他社は)ポラテックのお客さんでもあるのであまり言えないのだが、当社は上場企業のように数字を最優先せず、上棟作業やアフターメンテナンスも社員が行っており、そこの部分を重要視している。人も育てながら力量の範囲内でじわじわと安定的に業績を伸ばすことを経営の基本に据えている」と語った。
同社の幹部がいつも口にするのはこの企業理念の実践だが、今回の決算数字にも、住宅着工が減少している中、同社の商圏での他社物件より500万円前後価格が高いにもかかわらず、シェアを伸ばし(2019年度10.3%⇒2020年度12.7%)、着工棟数を増やしている(2019年度2,300棟⇒2020年度2,455棟)のは、この理念を実践しているからだと思う。
両氏の話を聞きながら記者の念頭にあったのは、分譲戸建て御三家の数字だ。ご存じのように、飯田グループホールディングスの2021年3月期決算のグループ販売棟数は46,620棟だ。2020年度の全国分譲戸建ての着工戸数は129,351戸だから、単純比較はできないにしろ市場の36.0%を占めている。1戸当たりの価格も全国展開しているからでもあるが、2,720万円と他社と比較できないほど安い。
瞬く間に第2位の座に躍り出たオープンハウスの2020年9月期の販売棟数は、オープンハウス・ディベロップメントの2,804戸とホーク・ワンの2,477戸を合わせ5,281戸だ。オープンハウス・ディベロップメントは大都市圏での展開なので1戸当たりの価格は4,160万円と高いが、首都圏のマンション平均価格より2,000万円以上安い。
ケイアイスター不動産の2021年3月期の販売棟数は4,457棟で、これまで3位だったポラスグループを抜き去った。
住宅は〝幸せを売る〟商売でもあるし、記者は最近この3社の分譲戸建てを見学していないので軽々には言えないが、価格の安さと質の担保や緑環境の保全とはどう結びつくのか、それとも背馳するのか、永遠のテーマかもしれない。
ポラスに期待したいのは、行政や同業他社とも連携して埼玉県の緑環境の改善・向上に取り組んでほしいことだ。同社の分譲戸建てが売れているのは、街並みを整備して差別化を図っているからでもあるが、同時に地域全体の価値向上にも貢献する使命を担っているはずだ。
同社か商圏とする越谷、草加、八潮、さいたま市、戸田市、川口市、蕨市、松戸市、城東はグロス志向の強いエリアだ。当然、競争も激しい。一方で、これらのエリアの緑環境は都内の世田谷や杉並などと比べて桁違いに貧しい。この前、蕨市の緑環境について書いたので、こちらも読んでいただきたい。
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最近の分譲戸建て業界の動きとして、オープンハウス、ケイアイスター不動産、三栄建築設計の3社が4月13日付で「「一般社団法人日本木造分譲住宅協会」を設立し、理事長に三栄建築設計の小池信三氏が就任したと発表した。
木造分譲住宅における国産木材の利用を促進することで、国内の森林が持つ多面的機能の維持回復に資する活動を行い、SDGsの課題解決にも貢献するというのが目的のようだ。
詳細は分からないが、結構なことだ。ただ、どうして3社のみか、他社に呼びかけを行って断られたか、それとも排除したのか。機会があったら聞いてみたい。
三井不動産リアルティ 代表取締役副会長・山代裕彦氏が退任
三井不動産リアルティは6月18日、代表取締役副会長・山代裕彦氏が6月25日付で任期満了により退任すると発表した。
DX銘柄2021グランプリ 日立製作所とともに不動産業のSREホールディングス
経済産業省と東京証券取引所が6月7日発表した「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)2021」のグランプリに日立製作所とともに不動産業界からSREホールディングスが選定された。
SREホールディングスは2014年4月設立。主な株主はソニーグループ、Zホールディングス。2021年3月期売上高は7,339百万円(前期比90.6%増)、営業利益1,056百万円(同41.5%増)、経常利益1,023百万円(同42.6%増)、純利益667百万円(同40.9%増)。
同社は、「A DECADE AHEAD 今は先鋭であっても〝10年後の当たり前〟となるソリューションの創造」をミッションに掲げ、実業(リアルビジネス)である不動産事業の知見・データを蓄積し、不動産/金融業界などへ実務有用性の高いAIソリューション・ツールを提供するユニークなビジネスモデルを構築している。
審査員は「破壊的なビジネスモデル」「DXのそもそもの意味を問うた時に、日本になかった商習慣を打ち出している」などと評価した。
「DX銘柄」は、東証に上場している企業の中から、企業価値の向上につながるDXを推進するための仕組みを社内に構築し、優れたデジタル活用の実績が表れている企業を選定することで、目標となる企業モデルを広く波及させるとともに、IT利活用の重要性に関する経営者の意識変革を促すことを目的としている。
このほか、不動産業界では「DX銘柄2021」(グランプリを含む28社)にGA technologiesが、「DX注目企業2021」(20社)に三菱地所が、「デジタル×コロナ対策企業」に東急不動産ホールディングス(カスタマーケア部門)と三井不動産(レジリエンス部門)が選ばれた。