東京建物 2021年12月期決算 売上高は5期連続過去最高 ビル、マンションなど好調
東京建物は1月14日、2021年12月決算を発表。売上高は3,404億円(前期1.6%増)、営業利益は587億円(同18.4%増)、経常利益は462億円(同1.7%減)、純利益は349億円(同10.0%増)となった。売上高は5期連続で過去最高を更新、純利益は6期連続で増益を達成した。
売上高、営業利益が増加したのはビル事業が堅調に推移したことと、マンション分譲事業、投資家向け物件売却が好調に推移したため。経常利益が減少したのは、海外事業の一部プロジェクトで事業計画の見直しを行い、投資損失108億円を計上したため。期末配当は当初予想の24円から3円増配して27円にする。
セグメント別では、ビル事業は「Hareza Tower(ハレザタワー)」(東京都豊島区)が通期稼働し、投資家向け物流施設の開発に注力したほか、中規模オフィスビル、都市型ホテルなどの新規開発を推進した結果、売上高は1,556億円(前期比7.7%増)、営業利益は444億円(同10.0%増)となった。
住宅事業は、分譲マンション計上戸数は前期の1,196戸から1,109戸へ減少したが、戸当たり単価は6,485万円(前期5,388万円)へ上昇、粗利益率も24.4%(前年同四半期22.4%)となったことなどから、売上高1,205億円(前期比21.6%増)、営業利益170億円(同137.6%増)と増収増益。
竣工在庫は83戸(うち契約済み37戸)となり、前期末の177戸(うち契約済み27戸)から大幅に改善。未計上契約戸数は1,968戸(前期末1,314戸)に達している。
2022年12月期の通期予想は、売上高3,600億円(前期比5.7%増)、営業利益600億円(同2.1%増)、経常利益600億円(同29.7%増)、純利益400億円(同14.4%増)の増収増益を見込む。年間配当も59円(前期51円)へ増配する予定。
ショック 分譲戸建ての施工・デザインが最高の西武建設の身売り
ミライト・ホールディングスは1月27日、西武ホールディングスの連結子会社である西武鉄道が保有する西武建設の株式の95%を取得し子会社化すると発表。同時に西武HDは、西武鉄道が保有する西武建設の株式の95%をミライトHD に譲渡することについて決議したと発表した。実行日は2022年3月31日で、取得・譲渡額は約620億円。
ミライトHDは株式の取得について、グループの新たな成長戦略として、「環境にやさしく強靭な街づくり・里づくりへの貢献」「脱炭素化の時代に貢献するグリーン発電事業への参入」など、「みらいドメイン」と位置付ける成長領域への経営資源の結集による事業構造の転換を図るとしている。
西武HDは株式の譲渡について、アフターコロナの社会において「最良、最強の生活応援企業グループ」を目指す上での事業ポートフォリオのあり方を検討した結果、ミライトHDへの株式譲渡が西武建設の今後の中長期的な成長に寄与するものと判断したとしている。
西武建設の2021年3月期の売上高は686億円(前年度比14.5%減)、営業利益は29億円(同33.8%減)、経常利益は30億円(同33.2%減)、当期利益は24億円(同45.7%減)。総資産は698億円。
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もう60余年、西鉄・西武ライオンズファンで、西武建設が施工した分譲した戸建てを数えきれないほど見てきた記者はとてもショックだ。同社は建設工事などを請け負う受注産業であるが故に、企業発信力が弱いとずっと考えてきたが、同社の施工した分譲戸建てのデザインは他社のどこにも負けないはずだ。
西武HDが目指す「最良、最強の生活応援企業グループ」と西武建設の施工力・デザイン力は一致しないのか。
記者は、西武不動産流通が2009年1月に解散したときもショックを受け、「解散によって赤字はなくなるかもしれないが、失う利益のほうがはるかに大きい」などと批判的な記事を書いた。今でもそう思っている。鉄道会社はいまマンションなどの不動産事業や再開発事業に力を入れている。西武HDのみが縮小している。
西武建設の社名も変更されるのだろうが、こちらからアプローチして同社施工の戸建てを継続して見学しよう。「栗山巧の家」はどうなるのだろう。
積水ハウス 取締役室長に井上美穂氏が就任
積水ハウスは1月21日、人事異動・機構改革を発表。秘書部傘下から独立させた取締役室長にコミュニケーションデザイン部 CXデザイン室の井上美穂氏が就任する。2月1日付。
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リリースは9ページにも及ぶもので、飛ばし飛ばし読んでいったら井上美穂氏の名前にたどりついた。とても嬉しくなった。
井上氏とは広報を担当されていた時代からだからもう〇年もお世話になっている。取材申し込みにはすぐに対応していただいた。ヒントもたくさんもらった。記者が馬鹿なことを言うと、やんわりとだがたしなめられることもしばしばで、よくリードしていただいた。
取締役室がどのような部署なのか分からないが、機会があったら聞いてみたい。
2022年 年頭の辞 新たな中計へ極めて重要な1年 野村不動産HD・沓掛英二社長
沓掛氏
2022年は、現在の中計の着実な達成と共に、新たな中長期経営計画がスタートする年である。
特に2030年へ向け中長期的な「成長」と「学び」の意識を強く持ち、グループ挙げて「成長」に向け戦略的に取り組んでいく決意をする極めて重要な1年と位置付ける。
プラウドをはじめとする住宅に加え、芝浦一丁目プロジェクトなど大規模都市開発案件の開発力の向上、海外事業の加速、サービスマネジメント分野での戦略性を持った事業成長などに役職員一丸となって取り組んでいく。
2022年 年頭挨拶 より一層の飛躍へ心新たに 三井ホーム・池田明社長
令和4年の年頭にあたり、謹んで新春のご挨拶を申し上げます。
昨年は、3回の緊急事態宣言を経て、10月以降は、新型コロナウィルス感染拡大が徐々に落ち着きを見せ、社会経済活動についても少しずつ正常化に向い始めました。そのような中、住宅マーケットについては回復基調に転じてはいるものの、木材をはじめとした建設資材価格の高止まりや品薄状態が継続し、新たなオミクロン株による 再感染拡大への懸念も生じるなど、依然として楽観できない状況が続いております。しかし、10月に「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律」の施行、11月に「こどもみらい住宅支援事業の創設」の閣議決定、12月に「新たな住宅ローン減税等の支援策」の公表がなされたことで、今年はポストコロナや脱炭素社会の実現を見据え、住宅ならびに木造施設系建物への新たな需要の活性化が期待されます。
このような事業環境の中、当社はお客さまの「すまいとくらし」へのニーズや価値観の変化、脱炭素社会実現への課題に的確に対応すべく、様々なビジネスモデルの変革に取り組んでまいりました。
主力の注文住宅事業では、昨年4月、新商品『Lascène(ラセーヌ)』を発表いたしました。ニューノーマルにおける「ワーク&ライフ」両面での豊かな暮らしを実現するための機能をふんだんに取り入れ、共働き世帯のお客さまを中心に多くのご支持をいただいております。今後も耐震性・断熱性・耐久性に優れた「プレミアム・モノコック構法」の基本性能はもとより、ZEH等の環境負荷が少ない新商品企画や様々な面でのクオリティ向上に努め、お客さまの「憧れ」に寄り添い、一つひとつ丁寧にかたちにする、ハイクオリティなすまいづくりに注力してまいります。
また、昨年5月、新たにサステナビリティブランド『&EARTH with WOOD』、7月には木造マンションの新ブラ ンド『MOCXION(モクシオン)』を立ち上げ、11月にはその第一号物件となる5階建て51戸の賃貸マンション「MOCXION INAGI(モクシオン稲城)」が竣工いたしました。入居者募集においては短期間で全ての賃貸住戸にお申し込みをいただき、市場における環境意識の高まりを改めて実感しております。
三井不動産グループは、&マークに象徴される「共生・共存」「多様な価値観の連繋」「持続可能な社会の実現」の理念のもと、社会・経済の発展と地球環境の保全に取り組んでおります。当社は、「高品質な木造建築の提供を通して、時を経るほどに美しい、持続可能なすまいとくらしを世界に広げていく」ことを使命と考えておりますので、今後もその取り組みを強化することで、専用住宅や既存の低層賃貸住宅に加え、「MOCXION」をはじめとした木造施設系建物の普及に努め、SDGsや脱炭素社会の実現に貢献してまいります。また、リフォーム・賃貸管理などのストックビジネス、北米圏における海外事業の業容拡大を通じて、より一層の飛躍を目指してまいります。
本年も心新たに、持続的な成長に向け真摯に課題解決に取り組んでまいりますので、今後とも変わらぬご愛顧、ご支援賜りますよう、心よりお願い申し上げます。
2022年 年頭の辞 より高い次元へ 東京建物・野村均社長
昨年も新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、業務の遂行に一部制約があったなか、皆さんの努力のおかげで想定通りの業績が達成できる見込みであること、またESG 経営の重要性を意識して、それぞれの事業において様々な新しい取り組みが進められていることなど、大変頼もしく感じている。
コロナ禍において、駐車場や海外、リゾート事業の一部などが大きく影響を受けた一方、不動産投資市場は活況が継続しており、コロナ禍でありながら飲食を中心とする商業施設やホテルなどの不動産の売却も想定以上の成果を上げ、着実な収益確保に繋がった。
昨年後半からワクチン接種の効果等もあって国内の新型コロナウイルス感染状況は落ち着きを見せており、行動制限も一部緩和されるなど、アフターコロナの社会が少しずつ見えてきている。
賃貸オフィスにおいては、一部エリアにおける空室率の上昇や平均賃料の低下傾向が続いている が、リアルなコミュニケーションを重視し、出社率を戻している企業も一方で見られ始めている。また、働き方の多様化から、セットアップオフィスなど新たな需要が高まっている分野もあり、このような先行き不透明な時期をチャンスと捉え、様々な努力、工夫をしていきたい。
分譲マンションにおいては、働き方やライフスタイル、価値観の多様化から、住宅ニーズの幅が広がっていることもあり、全般に好調な状況だ。関西における当社のフラッグシップマンション「Brillia Tower 堂島」は、世界的に有名なラグジュアリーホテルのフォーシーズンズホテルと一体化したタワーマンション として大きな注目を集めており、販売も含めて事業は大変順調に進捗している。今年は、住宅ローン減税の控除率引き下げ、新型コロナウイルスの変異株動向や原材料供給制約の影響による景気回復の不透明感から、住宅購入マインドの一時的な低下も懸念されるが、ZEHなどの省エネマンションや水害対策も含めた防災機能に優れるマンションなど、Brilliaならではの高品質なマンションの提供を通じて、多様化・高度化するお客様のニーズを着実に捉えていく必要がある。
当社は創業以来、東京駅八重洲口側に本社を置き、八重洲・日本橋・京橋エリアにおいて複数の大規模再開発事業を主導してきた。また同時に、エリア内の保有不動産を活用することで、有望なスタートアップ企業の誘致やSDGs・食・ものづくり等を支援する様々な取り組みを行うなど、このエリアの歴史と文化、多様な地域特性を活かした街づくりを、地域の皆様とともに進めている。これらの取り組み等を通じて、当社グループは八日京エリアの更なる発展と国際都市東京の競争力強化に貢献していきたい。
最後に、今年も引き続き、東京建物グループ各社の社員一人ひとりが、長期ビジョンで掲げた「社会課題の解決」と「企業としての成長」をより高い次元で両立していく意識をもって、自身の健康にも十分留意しつつ、日々の業務に取り組んでほしい。
2022年 年頭所感 その先にある未来の実現へ 三井不動産リアルティ・遠藤靖社長
年頭にあたり、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
昨年は、年初から新型コロナウイルスが断続的に感染拡大し、ワクチン接種は進みましたが、新たな変異株の出現など、新型コロナウイルス感染症との戦いが続き、社会経済活動の正常化へは道半ばの状況でありました。
このような状況下ではありましたが、当社の不動産流通事業における全国売買仲介取扱件数は、コロナ禍以前に近い水準にまで回復しました。駐車場事業は人流が増えたことなどにより、都心部を中心に稼働率が回復傾向にあります。会員制カーシェアリングサービスでは、会員数が30万人を超え、サービス展開を仙台、名古屋、広島、福岡市内へ拡大しました。
コロナ禍を契機に、お客さまの住まい方や暮らし方、ニーズが多様化しており、新たなサービスとしてシニア世代における住まいのお悩みをサポートする「シニアデザイン」と、時間貸し駐車場以外の土地活用を提案できる「ALZO(アルゾ)」を開始しました。今後もお客さまの思いを理解し、様々な要望や課題と真摯に向き合いながら、その思いに応えていくことで、 その先にあるお客さまの暮らしや社会全体のより豊かな未来の実現に貢献してまいります。
最後になりましたが、本年も皆さまの一層のご理解とご支援をお願い申し上げるとともに、 本年が皆さまにとって実り多い一年となりますよう心よりお祈り申し上げます。
2022年 年頭挨拶 「明るく元気に頑張ろう」住友不動産・仁島浩順社長
新年明けましておめでとうございます。
昨年は、新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言が長引き、景気は上向きつつも一進一退の一年となった。足元では、出社再開など人流も回復し始め、正常化が期待される一方で、世界的な供給網の混乱、新変異株の感染拡大懸念など、先行き不透明な情勢が続いている。
こうした状況下で、当社の今年度業績は、主力のオフィスビルのみならず住宅関連部門の貢献により、経常最高益達成がはっきりと見えてきた。グループ役職員の皆さんが一丸となり奮闘していただいた成果が着実に出ている。
4月からは新中期経営計画が始まる。コロナ禍で培った創意工夫の結果が試される時でもあり、全部門で高い目標を掲げ、グループの「総合力」で再び力強い成長を実現すべく邁進して欲しい。
今年も一年間、明るく元気に頑張ろう。
2022年 年頭所感 「臨機応変」に対応 ポラスグループ・中内晃次郎代表
中内氏
2019年12月初旬に中国の武漢で1例目の新型コロナウイルス感染者が報告されてから、2020年・2021年と世界中が新型コロナウイルスに振り回されました。本年で足掛け4年目となり、日本ではパンデミック下での働き方も、変化する状況に適合できてきている印象があり、その対応にも落ち着きがみられるようになってきました。
コロナ禍の影響で、工場の操業停止・物流の停滞や巣ごもり需要が続き、世界的に市場の需給バランスが崩れています。我々の業界でも木材や半導体不足により製品供給が滞るなど、予測困難な時代になっており、「臨機応変」に対応することが求められています。「臨機応変」とは、状況に応じた行動をとること、場合によってはその対応に合わせて適切な手段をとることです。
社員一人ひとりの業務の在り方については、過去の慣例や決まり事に縛られて、「顧客第一」、「安全安心な家を造る」などの目指すべきことと、現状の仕事やその見通しが合致しない場合は「臨機応変」な対応が必要になってきます。常に何のために働いているのかを意識して仕事を進めたいと思います。
2021年の住宅業界は思わぬ追い風となりましたが、2022年も先行きが見通しづらい状況であることに変わりありません。土地や部資材のインフレ傾向も見られていますので、急激な環境の変化に注意しながら、慎重かつスピード感をもって仕事を進め、不測の事態が起きたとしても「臨機応変」な対応で常に前向きな成果が出せる年にしていきます。
2022年 年頭所感 マーケットインからユーザーインへ 三菱地所レジ・宮島正治社長
宮島氏
2021年の分譲マンション市場は、都心物件の人気が続く一方、郊外の広い物件の引き合いも旺盛であった。住宅購入を検討されるお客様の選択肢が拡大する傾向は続いている。「ザ・パークハウス板橋大山大楠ノ杜」、「ザ・パークハウス川越タワー」など
また、気候変動対応などのSDGs達成に向けた取り組みも求められてきており、「ザ・パークハウス」初のZEH-M Ready基準に適合した「ザ・パークハウス新浦安マリンヴィラ」の販売も順調である。
2022年の住宅市場においては、時流の変化を汲み取ったモノづくりがさらに重要になる。マーケットインからユーザーインへ、視点の転換期に来ており、その住まいでどのような生活が送れるかというお客様のベネフィットを体現したい。いま住まいに求められていることは「住み心地」、「環境・社会への配慮」、「資産価値」だと考える。ライフスタイルが多様化する中で、これから購入していただくお客様だけでなく、すでにご入居中のお客様の暮らしからもニーズを見つけ、住まいづくりやアフターサービスに反映していく必要がある。全社員の知見を集積し、暮らす人にとってもそのまちにとっても価値の高い「一生もの」のマンションとして、お客様の感動を生み出すような住まいを提供していきたい。
新型コロナウイルスの影響によるテレワークの普及などに伴い、お客様が住まいに求めるものの変化がさらに加速しているが、住環境や建物の企画、品質に加えて、さらに地球環境に配慮するマンションが選ばれ始めている。
当社グループはSBTイニシアティブ認定済のCO2排出量削減目標やRE100加盟に伴う再エネ電力比率目標等を掲げ、グループ全体での脱炭素化を進めているが、当社はその牽引役として気候変動対策に向けた様々な取り組みを実施している。新築分譲マンションブランド「ザ・パークハウス」の太陽光発電パネルの標準設置(原則40戸以上)など既存の取り組みに加え、新しい試みも織り交ぜながら、お客様はじめステークホルダーの皆様と一緒にマンションのCO2排出量削減に向けた取り組みを進めていきたい。さらに防災についても引き続き注力しており、三菱地所グループの防災倶楽部の活動によって地域社会とともに災害へ備えていく。