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エアロテック概念図

 三菱地所ホームは10月20日、after&withコロナの新しい生活様式に即応するため、全館空調システム「エアロテック」をグレードアップした「新・エアロテック-UV」、都市部の構造資材搬入の問題を解決するトラス床根太「スペーストラス」、マンションリフォームの新メニュー「STYLE-FORME(スタイル・フォルメ)」の3つの新商品を発売すると発表した。

 「新・エアロテック-UV」は、日機装が開発した空間除菌消臭装置「深紫外線LED」とエキスパンド光触媒フィルターを「エアロテック-UV」に装備することでウイルスの除去、消臭とVOCの除去、アレルゲンの除去を可能にするもの。

 従来品では年1回のランプ交換が必要だったのが、10年間機械交換の必要性がなくなり、年1回のフィルター洗浄も容易になるなどメンテナンス性も向上したのが特徴。価格は253.7万円(41.57坪、税別)。10月20日から受注を開始する。

 「スペーストラス」は、旗竿地や道路幅員が狭い敷地では長尺の構造資材の搬入は難しかった問題の解消を図るもの。根太を2分割し重さを108キロから37キロに軽くし、連結金物を用いて現場で組み立てることで、従来は4トントラックが必要だったのを2トントラックでも搬入可能とした。

 これにより、同社独自の構造部材を用いても7P(6.37m)スパンの空間が限界だったのを、最大8P(7.28m)×8P=約53㎡とRC造に匹敵する大空間を可能にした。無理な搬入に伴う事故リスクを回避し、施工者の負担も軽減する。

 「STYLE-FORME(スタイル・フォルメ)」は、新型コロナにより顧客のニーズが多様化しているのに対応するもの。従来の598万円から498万円に値段を下げ、オプションもプラスもマイナスも価格を明示する。オンライン打ち合わせを行うことで顧客の利便性も高める。

 発表会に臨んだ三菱地所ホーム代表取締役社長・加藤博文氏は「新型コロナによって時代の変化は加速しているなか、わたしどもは三菱地所という大きなブランドを背負っているが、会社としてはスモールプレーヤー。だからこそできる機動的、速さで時代の変化に対応していく。前回の『ROBRA(ロブラ)』もそうだが矢継ぎ早に様々な提案を行っていく」としたうえで、3つの新商品の開発経緯、狙いなどを説明した。

 「新・エアロテック-UV」については、「当社は2014年から『エアロテック-UV』を発売しているが、新型コロナによって換気、除菌の重要性がより一層高まっていることから、日機装さんの技術を採用することにした。日機装さんは早くから深紫外線LEDに着目され、2014年にノーベル物理学賞を受賞された赤崎教授、天野教授とともに技術開発されてきた。新型コロナは十分解明されておらず、新商品は見切り発車的な部分もあるが、現時点で一番有効なウイルス対策、除菌機能が付いた装置と考えている」と説明した。

 「スペーストラス」については、「コロナの影響で戸建てを求める顧客が増えている一方で、条件のいい土地情報が減少しているのに対応するため、従来だと検討しにくかった道路状況が悪い土地とか旗竿地でも資材の搬入を可能にした。職人さんの負担を軽減し生産効率、安全性にも貢献できる。時代の要請に合致している」と語った。

 「STYLE-FORME(スタイル・フォルメ)」については、「従来の定額制の『Re Dia』はフルリフォームを前提にしていたが、コロナ禍で様々なニーズが顕在化している中で、もっと分かりやすく、工期を早く、リーズナブルなものに進化できないかと考え開発した。オプションもプラスもマイナスもすべて明らかにした」と話した。

 日機装社長・甲斐敏彦氏は「当社は日本で50%以上の市場シェアを誇る血液透析装置を扱うメディカル事業を柱の一つとして展開している。深紫外線LEDの新型コロナに対する有効性は宮崎大学医学部との共同研究で実証した。10秒の照射で99.9%以上、1秒でも87.4%減少できることがイギリスの科学誌などで発表されている。今年1月に販売開始した『Aeropuer(エアロピュア)』は新型コロナに対応するために開発したものではないが、一般家庭でも求められる社会に変化したことを実感している。当初想定していた計画の数十倍の引き合いを頂いている状況」と述べた。

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加藤氏(左)と甲斐氏

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深紫外線LED(左)と新・UVクリーンユニットの仕組み

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「スペーストラス」施工例

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「スペーストラス」トラス接合イメージ図

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厳しい敷地条件イメージ図

◇      ◆     ◇

 冒頭、司会役を務めた経営企画部広報戦略グループ・横須賀直人氏は「安心で分かりやすい記者発表と質疑応答を行わせていただきます。先月はきれいな会場で、テレビ局さんにもおいでいただき、当社としては派手目な記者会見でしたが、本日はいつもの手作り風ではありますが、発表内容はなかなかの今風でありまして、私たちスタッフが心を込めて説明させていただきますので、ぜひぜひ大きく取り上げていただきたいと思います…また、皆さんのデスクの上には空間除菌消臭装置の「Aeropuer(エアロピュア)」を置かせていただきまして、確かなことは言えませんが、コロナ禍の今、もっとも安心な記者発表会ではないかと思っております」などと、いつものように軽妙洒脱な語りでもって切り出した。軽佻浮薄そのものの小生はこの言葉の意味するところを探ることで頭がいっぱいになり、前回の「ROBRA(ロブラ)」同様、盛りだくさんな内容に頭が空転するばかりだった。

 「新・エアロテック-UV」は専門用語が多く、トラックは4トンと2トンの区別もつかない小生にとって「スペーストラス」の開発がもたらす意味・価値がよく分からなかった。深紫外線LEDの新型コロナに対する有効性や、トラス床根太がRC造に匹敵する性能を持つことを信じるほかない。これによって世の中がどう変わるのか、読者の皆さんの判断に委ねることにする。

 それでも、マンションリフォームの新メニュー「STYLE-FORME(スタイル・フォルメ)」はよく理解できた。これは分かりやすい。間違いなく他社との価格的競争力がある。

 横須賀さん、リリースは9枚、コピペするのは容易ですが、そんなことしても意味がないのでここまでとしました。御社が意図したことを伝えられたでしょうか。一部分だけ文字を大きくしました。コロナ禍での記者発表・見学会の多さは三菱地所グループが断トツ。感謝します。

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記者発表会場(記者席には8畳用で6.4万円の「Aeropuer(エアロピュア)」が2人に1台、計10台置かれていた(日機装さん、LEDを照射すると右手前の人のようにウイルスが光る装置は開発できないか)

三菱地所ホーム 木造の常識を覆す新構法「FMT」 富裕層・非住宅用途に照準(2020/9/4)

勝負に出た 三菱地所ホーム エアロテック+フルリフォームで1,100万円(2017/10/20)

カテゴリ: 2020年度

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「絵画&墨書」絆展 打ち上げ(銀座で)

 銀座アートホール(中央区銀座8丁目)で行われていたOSI (沖縄観光産業) 研究会会長で明治大学名誉教授・百瀬恵夫氏と同研究会代表・篠原勲氏が主催する「絵画&墨書」絆展が10月18日(日)、閉幕した。1週間の入場者はマンションモデルルームをはるかにしのぐ約300人に達した。

 閉幕後の打ち上げで百瀬氏は、「自画自賛するのもなんだが、〝能ある鷹〟の爪を隠していた。能力はあった。篠原さんと一緒に鎌倉の教室に1年間通った。月に2回、年間24回。絵画では篠原さんは先輩だが、学ぶところはなかった。動機づけしていただき、高い会場費を折半していただいたことに感謝申し上げる。それと受付を担当していただいた薬丸さん奥山さんにも感謝申し上げる。二人がいなかったらできなかった。ありがとうございました」などといつもの〝百瀬節〟で締めくくった。

 篠原氏は、「これほど大盛況だったのは人を引き付ける百瀬先生の人徳のたまもの。出品された皆さんにも感謝いたします。「絆」は糸偏に半分の半。これは先生の好きな言葉「道」に通じるもので、中島みゆきさんの〝赤い糸〟は色恋だが、われわれは白と黒…ちょっとこれは具合が悪い…純白の白い糸で結ばれている」などと、酒が入ったせいかどうかは分からないが、絆に勝手な解釈を加え、百瀬氏が作詞し、プロの山本寛之氏が作曲した「武士(もののふ)」を熱唱した。(水彩画も素晴らしいが、歌唱力は百瀬先生をはるかに凌駕し、歌手デビューも果たせるかも=記者注)

 茨城県利根町の敷地が1000坪もある〝豪邸〟から奥さんと車で2時間以上かけて駆け付けたために酒は一滴も飲めなかった玉川憲志氏は、出品者を代表して「大盛会。10人ほどの仲間も驚嘆していた」とあいさつした。

◇       ◆     ◇

 出品者の奥山曄光氏、薬丸順子氏の師匠であり毎日書道会総務・審査会員、創玄書道会常務理事、日展会友を務める渡部會山氏は「普段の墨書展は他流試合のようなもので、弟子を集めてやったことはない。今回は二人に無理やり出品させられた」と語ったが、まんざらでもなさそうだった。(弟子は圧倒的に女性が多いそうだが、苦労も多いようだ)

 記者は、「御酒肴料」と認められた先生ののし袋を半ば強奪(中身ではない、ただの袋)するように頂いた。これはコピー&ペーストすれば何度でも使えそうだ。オークションにかけられるかもしれない。「封じ手」くらいの値はつかないか。

 もう一つ。國分絮虹氏から2020年12月20日(日)~26日(土)まで銀座ギャラリー青羅」で行われる「國分絮虹 個展」の案内状と、正岡子規の高弟として高浜虚子と並び称される俳人・河東碧梧桐(1873~1937)の全集20巻を編んだご主人(昨年亡くなられた)の資料を頂いた。

 資料の一つを紹介する。ご主人は「(碧梧桐)の業績を正しく理解する人はなく、一つの全集さえ編まれなかった。私は自らの使命として、この『河東碧梧桐全集(全20巻)』を提供する。日本詩歌をダメにし、日本人の感性をネムラせた教育者、既成の詩歌俳壇への大いなる警鐘として-。日本人が再び品格を取り戻せるとしたら、ここにこそ鍵があろう。(平20・4記)」(図書新聞2871号)と述べている。

 小生は詩歌をほとんど読まないが、美しい大和言葉にはとても興味がある。20巻は無理だが、挑戦したい。

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渡部會山氏が認めた熨斗袋の表書き

モネ〟百瀬・明大名誉教授と〝マネ〟篠原・OSI代表の絆展 初日大賑わい18日まで(2020/10/13)

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岡本さんお勧めの地ワイン「おっぱまワイン」(2018年2月写す) 

  2018年に取材したNPO法人さくら茶屋の理事長・岡本溢子さんからメールが届いた。

 さくら茶屋は今年10周年を迎え、その活動を一冊の本「さくら茶屋物語」としてまとめ、全国に「つながる居場所」があったらいいなぁと思っている方々に届けるためのプロジェクトを立ち上げ、クラウドファンディングで資金を集めるとのことだった。

 小生も早速、賛同し雀の涙ほどの寄付をすることにしたのだが、クラウドファンディングサイトによると、2021年1月23日までに100万円を集める目標に対して、10月17日現在、支援者は17人で支援額は14万円(達成率14%)だった。

 読者の皆さんもぜひこの活動を広め、支援していただきたい。

 詳細は朝日新聞のA-PORTで。

https://a-port.asahi.com/projects/sakurachaya/

住民主導のもう一つの「奇跡の街」 横浜・金沢文庫 西柴団地「さくら茶屋」見学(2018/2/14)

カテゴリ: 2020年度

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発行:扶桑社
著者名:西口彩乃
判型:四六判 240ページ
定価:1540円(本体1400円+税)
発売日:2020/10/16

 最初、西口さんが自ら著者となり「木のストロー」本を出版すると聞いたときは、だれかゴーストライターに依頼したアキュラホームの企業出版(ビジネス本)の類だろうと思った。世にどれほどこの種の本が出版されているか分からないが、売れるのはせいぜい数千冊、出版された端から忘れ去られるものがほとんどのはずだ。そんな無価値なものを出してどうするのだろうと心配もした。

 同社が10月8日に発表したプレス・リリースには「主人公は著者である、広報担当の女子社員。建築やものづくりに縁の遠い、環境問題もド素人の本社勤務女子社員が、間伐材再利用と廃プラ問題解決のため、世界初木のストローの開発に立ち上がりました。社内の反発、失敗続きの試作品、記者会見当日の大トラブルを乗り越え、木のストローが生まれるまでの成功秘話と心の葛藤を綴っています。挫折しそうなときに、助けてくれた仲間や上司、ひどく傷つけられた一言、逆に元気づけられた言葉など、若い女性の視点で赤裸々に体験談を語る全部実話の本格ドキュメンタリー」とあったが、疑ってかかるのが記者の基本、この時点でも話半分に受け取っていた。

 まあ、しかし、同社の宮沢俊哉社長が好きだし、「木のストロー」も応援したいので、本にも登場する「堀越課長」から頂いた本を読みだした。

 読みだしたらもうどうにも止まらない。どうしてこんな内輪話まで〝赤裸々〟に暴露するのだろうと驚きもした。実に面白い。プレス・リリースは嘘ではなかった。

 テーマは「木のストロー」だが、会社は何を目指すべきか、仕事とは何か、広報とメディアの関係、上司と部下、記者の役割などを考えるのに最適だと思う。

◇       ◆     ◇

 西口さんは、同社に入社した2012年のころ、いかに「日報もまともに書けないだめっぷり」だったかを告白しているので紹介する。

 「『本日の課題』は『ぼーとしない』。『気になった新聞記事』は、『明日から見ます!』という記述が数日続いている。同期はみんな、消費税や太陽光、税制など住宅に関する記事について書いていたのに、私ときたら書いた時でも、『アドベンチャーワールドでパンダが誕生』、『今日は夕方から雨が降るみたいです』という体たらくだった。

 漢字もよく間違えた。言葉遣いがなっていないと怒られ、百貨店の店員さんの言葉遣いを勉強してこいと、百貨店に行かされたこともあった。営業なのにマニキュアを塗っていて、あきれた支店長は『時代はこうも変わってしまったのか』と嘆いていたそうだ」(31ページ)

 「入社後早々、車で帰宅する途中、大きな事故を起こしてしまう。自損事故で幸いけが人はなく、私も奇跡的に無傷だったが、新車で買った車は即廃車。頭を打ち、救急車で病院に運ばれる騒動となった」(32ページ)

 ところが、どうしたことか、車なしの営業で「約1年後、営業成績が、全営業の中で三位、私が所属する等級ではトップになった」(34ページ)とあるではないか。

 その後、東京勤務に異動するが、「『ある朝出勤すると』『西口さん、本社の広報に異動してください』唐突にそう告げられた」(36ページ)

 「木のストロー」に取り組むきっかけになったのは、「2018年8月、お盆休みのさなか、環境ジャーナリストの竹田有里さんら一本の電話がかかってきた…『アキュラホームで木のストローをつくれないかな? 』唐突に、世間話もなく、そう聞かれた」(12ページ)

 しかし、そんな話が会社の稟議に通るはずはない。「(上司の堀越課長に)今回は絶対引き下がってほしくなかったのだが、鈴木役員の逆鱗に触れてしまった。

 『何、言ってるの!うちはストローの会社じゃないでしょ!それでもやりたいと言うならストローの事業計画をつくって役員会に出しなさい!でもそんなことしている暇あるの!? 』鈴木役員の大声が聞こえてきた」(18~19ページ)

 その翌日、堀越課長は鈴木役員からつくば支店に異動を命じられる。西口さんはその後、鈴木役員に直談判して許可を得るのだが…。

 「木のストロー」の反響の大きさについては次のように書いている。

 「(2018年)発表当日の取材は計47社。当日や翌日の新聞、ウェブニュース、ニュース番組やバラエティ番組でもたくさん紹介された。2020年9月現在までに、テレビ、ラジオが61回、新聞の一般紙で77回、専門紙は123回、ウェブメディアでは251回取り上げられていただいている」(116ページ)

 そして、西口さんは「2019年は自社製造、G20での採用、横浜市との地産地消モデルなど、私にとっては、大しけの海で荒波に翻弄されるような一年だったが、ここにきて、ようやく港が見えた気がした」(208ページ)と締めくくっている。

◇       ◆     ◇

 泣く場面もしばしば登場する。

 「『約束破り』『考えられない』『信じられない』とすごい剣幕で怒鳴られ、私は言葉を返すこともできなかった。一番言われたくなかった人に言われてしまった…」(128ページ)

 「A記者はずっと怒鳴っていた。私はただ、A記者の話を聞いていた。そうしてかなり長い時間が過ぎ、電話は切れた。私は、入社以来、初めて泣いた」(130~131ページ)

 「控室に戻ると山本さんがいた。私の顔を見るなり、号泣し始める」(214ページ)

 「私が喜びをかみしめている隣で、山本さんはまたウルウルと目を潤ませていた」(220ページ)

 「このときばかりは、涙が出そうなほどうれしくて、ウキウキしながら会場に向かった」(221ページ)

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 あんな芸当ができるなんて信じられないが、西口さんは趣味のチアガールについても触れている。

 「チアを始めたきっかけは、(立命館)大学で3K(きたない・きつい・きけん)といわれていた土木を専攻したものの勉強には身が入らず、チアリ―ディングの3K(かわいい・きれい・キラキラ)に憧れたことだ。

 チームに入ると、身長が小さい私は、トップというポジションにつくことになった。トップは宙を飛び、技を披露する。一見すると華やかだが、実際は、さまざまな技を習得しなければならず、自分が失敗すれば、チームの責任になった」(46ページ)

◇       ◆     ◇

 実は、この本に小生も登場する。以下に紹介する。

 ◇

 最後に手をあげたのは、いつもお世話になっている住宅系専門紙の年配の記者だった。

 「ワクワクしてうれしくなっちゃいます。このホテルは僕が一番好きなホテルの一つで、デザインがすごく美しいと思っています」

 唐突に話し始めたその記者の方は、ヒノキなどではだめなかのかという質問に続いて、記者から、導入のコストや間伐材のコストなどの質問が多かったことについて、

 「みなさんコストのことばかり話されますけど、有害なものと有益なものを同じ土俵にのせて戦わせること自体、僕は間違っていると思います」

 と、強い口調で語った。さらに、

 「雇用の問題や森林事業の問題をみんなで考えていくべきではないでしょうか。プラスチックをやめてこういうものをどんどん使うべきだと思いますが、いかがでしょうか」

 と問い、マイクを持った伊藤顧問が、一瞬、言葉に詰まった。ほかの記者の方もあっけにとられたようだったが、私はうれしかった。発表の会場で、記者の方がそんなふうに言ってくださることなど、これまでなかった。

 私たちは本当にこの日のためにやってきたんだ……。

 実感がわいてくる。今までの苦労がすべて報われた気がした。

 ◇

 「年配の記者」とは小生のことだ。確かにこの通り質問した。少し補足すると、木造ファンの小生は、性質が異なる鉄やコンクリの土俵に木造を引きずり込んで戦わせるのに辟易している。それぞれがコストでは計れない価値を持っている。その計れない価値を見出し、記事化するのがわれわれの役割だ。

 「木のストロー」が成功したのは、廃プラ・脱プラ、木造の時代、SDGsの流れに合致したからだと思う。西口さんも「ここにきて、ようやく港が見えた気がした」(208ページ)と書いているように、この事業は緒に就いたばかりだ。 

 アキュラホームと西口さん、ストローをつくっているシルバー人材の方々、障がい者施設の皆さん、頑張ってください。廃プラに踏み切れない企業の社長さん、そのうちに世の中から見捨てられますよ。

アキュラホーム「木のストロー」「rooms 41」に出展(2020/10/15)

世界初のカンナ削りの「木のストロー」 アキュラホーム 「Rooms40」に出展(2020/2/23)

〝木を愛する人は美しい〟 アキュラホーム1,000万本の木のストローPJ 始動(2020/1/19)

横浜版「SDGsストロー・ヨコハマ」1本50円で販売開始 麦わらストローはどうか(2019/11/7)

アキュラホーム&キャピトル東急 世界初の「木材ストロー」開発・導入へ(2018/12/11)

カテゴリ: 2020年度

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「キャンパスヴィレッジ多摩センター」

 東急不動産は10月17日、同社が開発し、学生情報センターが運営する学生レジデンス「CAMPUS VILLAGE(キャンパスヴィレッジ)」を2020年度末までに首都圏に3物件、京都市内に1物件を新築し、計1,383室になると発表した。

 新たに竣工するのは「赤塚新町」(東京都板橋区、127室)、「元住吉テラス」(川崎市中原区、97室)、「多摩センター」(東京都多摩市、215室)「京都下鴨東」(京都市左京区、81室)。各物件とも事業主は東急不動産(一部、共同事業あり)で、学生情報センターが管理運営をする予定。

 現在、首都圏6物件、関西4物件が計画中で、2023年4月には合計約2,800室体制になる予定。

 同社はまた、 学生レジデンスでは初めてTRUNKと連携して、入居者専用の就活準備プログラムを10月から開始したと発表。仕事のスキルが身につくオンライン講座とビジネスの今を知り実践的に仕事を体験するライブセミナーを通して学生の就職活動をサポートする。

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アキュラホーム「木のストロー」ブース(「rooms 41」で)

 10月15日開幕した「rooms 41」(主催:アッシュ・ペー・フランス)にアキュラホームの「木のストロー」が出展されているので見学した。

 「rooms 」は、「クリエイターの発信拠点を創造すること」を目的に2000年にスタート。ファッション・ライフスタイル・アートなどあらゆるジャンルからのクリエイターの参加者は延べ1万組が参加しているとのことで、毎年2回開催されているため今回が41回目のようだ。出展ブースは300(予定)で、ビジターは15,000名(ビジネス関係者10,000名/一般5,000名)が見込まれている。イベントは新宿住友ビル三角広場で行われており、10月17日(土)まで。

 記者はファッションにはまったく興味はないが、同社の「木のストロー」を応援したく、今年2月末に行われた「rooms40」も取材している。こちらの記事も参照していただきたい。

 間伐材を活用した「木のストロー」の普及活動は、今年の第29回地球環境大賞「農林水産大臣賞」を受賞している。

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カンナ削りを実演する石田氏

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 今回の取材で一番面白かったのは、大工歴約60年の山徳工務店・石田成徳氏(72)の実演コーナーでの記者と記者よりは若そうだが高齢者であることは間違いない見学者のやり取りだった。

 石田氏には今年1月の「1,000万本の木のストロープロジェクト」記者発表会でもお会いしているが、その腕前も紹介しよう。

 石田氏はいかに薄く木を削れるかを競う「カンナ削り全国大会」に毎年出場しており、これまでの記録は5ミクロン、つまり1000分の5ミリ。これでも優勝はかなわず、3ミクロンくらいでないと優勝できないというからすごい。アキュラホームの宮沢俊哉社長も5ミクロンくらいだそうだ。

 見学者の方は、石田氏がスルスルと削るカンナ屑を見ながら「木には匂いがないのでは」と話したので、記者は「匂いをかいでみてください」と石田氏からもらったカンナ屑をその方の鼻先に差し出した。

 するとその方は「なるほど。かみさんの化粧よりはいい」と返したので、記者は間髪を入れず「香りだけじゃありませんよ。ほら、この薄さ。奥さんの下着より薄いはず」と畳みかけた。その方は一瞬返答に困ったようだが、今度は「うちのかみさんは穿いていないよ」ときた。「そう、うちも同じ」。二人して「ギャハハハハ」

 そこに石田氏が割り込んだ。「カンナ屑の薄さと同じものは一般家庭にはない」と。なるほど。掛け布団とかダウンジャケットに詰めたら「木のストロー」以上にヒットするのではないか。

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「rooms 41」

世界初のカンナ削りの「木のストロー」 アキュラホーム 「Rooms40」に出展(2020/2/23)

〝木を愛する人は美しい〟 アキュラホーム1,000万本の木のストローPJ 始動(2020/1/19)

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公開空地が6,500㎡の空調完備の屋内空間に一変 「新宿住友ビル・三角広場」改修完成(2020/6/30)

 

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「渋谷ストリーム」から写す

 報道では知っていたが、「渋谷川・古川の河川再生」事業により暗渠から姿を現した渋谷川を初めて見た。

 きっかけは、小田急電鉄の素晴らしい「BONUS TRACK」を取材し、わが京王線もこのような線路跡地を活用したウォーカブルな街づくりを行ってほしいと記事に書いたところ、東急線沿線に住む同業の記者の方から東急東横線の線路跡を活用・再生した遊歩道があると連絡をもらったためだ。この記者の方にはお礼申し上げる。

 早速、ネットで調べた。東京都のホームページには次のようにある。少し長いが引用する。

 「渋谷川・古川は、渋谷区内の新渋谷橋~天現寺橋の2.4kmが渋谷川、港区内の天現寺~浜崎橋先の河口までの4.4kmが古川と呼ばれている二級河川」で、「かつては下流部では舟運が栄え、上流部は水車が見られるような田園の中ののどかな川であり、唱歌『春の小川』のモデルになるなど人々に親しまれた川でした。
 しかし、早い時代から流域の都市化が進み、川沿いには家屋やビルが密集して建ち、川沿いを歩けず、護岸は深い掘り込み式となり、水量が少ないこと、悪臭を放っていること等から、人々の川への関心が失われ、まちは川に背を向けるようになってしまいました。
 このため、渋谷川・古川の一部は、蓋をかけ下水道として整備を進める計画となり、渋谷川の上流部と支川は暗渠化され下水道幹線となってしまっています。

 近年、人々の価値観が多様化し、うるおいややすらぎを求めるようになり、川は都市の中の貴重な水辺空間として見直されるようになりました。
 また、河川法が平成9年度に改正され、治水、利水に加え、環境に配慮した河川整備の推進が提唱されたことを受け、渋谷川・古川を地域に親しまれる川に再生していくため、さまざまな取り組みを進めています」

 いつが基点かは分からないが、再生事業の期間は概ね30年間とされているので、向こう10年間くらいはかかるのではないか。

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「渋谷ストリーム」から写す

◇       ◆     ◇

 見学したのは整備済みの「Aゾーン」。2018年に竣工・開業した「渋谷ストリーム」を出発点に渋谷川沿いの遊歩道を歩き、保育所、ホテル、飲食などの複合「渋谷ブリッジ」の前を右に折れ、山手線の線路を渡り八幡通りに出て、東横線代官山駅まで。普通に歩けば20分くらいだろうか。記者は途中、「渋谷ブリッジ」の雰囲気のいいカフェ&バーでビールを一杯飲み小休止し、ゆっくり歩いたので小一時間かかった。

 もちろん、田舎育ちの記者は〝春の小川はさらさら流る 岸のすみれやれんげの花に 匂いめでたく 色うつくしく…〟の春の小川が復活するとまでは思わなかったが、期待は小さくもなかった。

 結論から先に言えば、渋谷川と遊歩道は期待が大きかった分だけ失望もまた深かった。京王線には勝つかもしれないが、「BONUS TRACK」には負けると思う。

 渋谷川沿いの総延長約600mの東横線の線路跡地の遊歩道には、東横線に使われていた高架橋、レールなどのオブジェやベンチが所々に配置され、サクラなどの樹木も植えられてはいたが、渋谷川そのものはとても「川」と呼べるものではなかった。

 川幅は広いところで10m以上あったが、護岸はコンクリで固められているために水生植物が生える余地などまったくなく、しかも水面までは数メートルもありそうな深さで、水面もまた泥の川と大して違わない薄墨を垂らしたような平板ななりをしていた。流れているのかどうかも判別できなかった。

 「貴重な水辺空間」も十分とは言えない。擁壁によって水辺に近づけないようにしているのは他の東京の川と同じだ。事故防止、治水を最優先するからこのような結果になる。川辺を散策できる東京の川・谷は等々力渓谷、国分寺崖線、矢川、玉川上水、善福寺川、多摩川、荒川くらいではないか。

 清流復活水を活用した「壁泉(水景施設)」が擁壁からちょろちょろと水が流れていたが、せめて国道246号線の騒音にかき消されないほどのせせらぎの音くらいの演出があっていい。

 もう一つ気になったのは「川に背を向ける建物群」だ。記者は2008年、日本橋川下りを取材したことがある。その時、「川岸はコンクリート塀になっており、ビルから川を眺めるような設計にはなっていなかった。日本橋川に東京の汚濁を全て注ぎ込もうとするように見えた。こんな悲しい光景は改めなければならない。川ばかりか、川沿いに建つ日銀本館、野村證券ビル、三菱倉庫ビル、日証館などの歴史的建築物も泣いている。建物は後ろ側から眺めるのが美しいといわれているはずだ」と書いた。

 渋谷川も遊歩道が整備された西側はともかく、東側は渋谷川の擁壁に接するように中高層建築物が櫛比し、絶壁のように迫ってくる。

 かなり手厳しいことを書いたが、渋谷区や東急線が嫌いなためではない。区内には公園の再生ではいい見本がある。「宮下パーク」だ。若者でごった返している。

 都は渋谷川・古川の河川再生に数百億円を投じるようだが、今からでも遅くない。もう一度街づくりについて沿道の地主らと協議すべきだ。

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金王橋あたりから渋谷駅方面を写す

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並木橋手前から渋谷駅方面を写す

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正面が「渋谷ブリッジ」

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 代官山では、野村不動産が分譲中の2つのマンション現地もみた。代官山駅から徒歩4分の八幡通に面した12階建て「プラウド代官山フロント」75戸と、その隣接地で駅から徒歩6分の4階建て「プラウド代官山テラス」20戸だ。全て億ションで、全95戸に対して約半分が成約済み。坪単価は900万円弱。

 「フロント」の八幡通りを挟んだ対面では、「代官山アドレス」に隣接した「代官山東急アパートメント」の建替え事業が進行中だ。事業主は東急不動産で施工は竹中工務店。10階建て延べ床面積約21,875㎡。2021年3月着工予定。分譲なら坪1,000万円台に乗るか。

 2016年の土木学会デザイン賞を受賞した東急電鉄「ログロード」が最高によかった。東急東横線の地下化に伴い創出された細長い上部空間約3,464㎡に建設された全5棟延べ床面積約1,874㎡の商業施設で、建物外壁に木造(レッドシダー)を採用したデザインにしばし見惚れた。

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建設中の「プラウド代官山フロント」

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「ログロード」
がんばれ京王!10月1日開業 小田急電鉄「BONUS TRACK」に負けるな!(2020/10/1)

若い人で溢れかえる 「立体都市公園制度」を活用した三井不「MIYASHITA PARK」(2020/9/6)

これでいいのか 川に背を向ける日本橋の街(2008/5/19)

 

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百瀬氏の作品「ケンブリッジ大学とケム川」

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左から百瀬氏、山田氏、篠原氏

 OSI (沖縄観光産業) 研究会会長で明治大学名誉教授・百瀬恵夫氏と同研究会代表・篠原勲氏が主催する「絵画&墨書」絆展が10月12日、銀座アートホール(中央区銀座8丁目)でオープンした。初日には明治大学卒で日展理事を務める彫刻家の山田朝彦氏、明治大学理事長・柳谷孝氏らもお祝いに駆け付け、記帳者だけで50名を突破するなど終日賑わった。(お断り 写真がうまく写っていないのは記者の腕とカメラによるもので、すべて傑作です)

 開催の案内状には、「コロナウイルスの感染拡大防止に伴い様々な活動に制約が生じておりますが、いつまでも『冬眠生活』を送っておりますと温かな心まで冷えて凍えかねません。そこで、趣味の一つとしている透明水彩画や油絵を、日頃から親しくさせて頂いている皆様にご批評を賜りたく、書道家の方々と共に『絵画&墨書』絆(きずな)展を開催することに致しました。絵の方は素人集団ですが、筆を持った時に得られる『無心になれる気持ち』とその一方の『緊張感』にはたまらない魅力があります。ボケ防止にも最高の趣味かとも思います。書につきましては、それぞれがプロの方たちです。どうぞ、お気軽に絵と書をご堪能頂きたく存じます」とあるように、百瀬氏の人脈を通じて各界で活躍されている人の絆を深めるのが目的。

 85歳にして水彩画に挑戦した百瀬氏の作品は「明大記念館」「上高地と穂高」「首里城と守礼門の夕暮れ」「ケンブリッジ大学とケム川」「スキーの思い出(カナダ)」「チェルマット(スイス)の冬」の6点。

 絆展は、10月18日(日)午前11時~午後6時30分(最終日は午後4時)まで、中央区銀座8丁目110番地コリドー街の「銀座アートサロン」で開催される。作品は、両氏の透明水彩画のほか、関口耕二氏と玉川憲志氏の油絵、國分絮虹氏、渡部會山氏、奥山曄光氏、薬丸順子氏の墨書。

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以上、百瀬氏の作品

 百瀬氏は1935年、長野県生まれ。明治大学政治経済学部卒業。後に同大学大学院博士課程単位修得。明治大学政治経済学部教授(政経学部長)、明治大学体育会柔道部長、ケンブリッジ大学客員フェロー(英国)、環球科技大学客員教授(台湾)、モンゴル国立大学客員教授など歴任。NPO法人RBAアジア中小企業研究会会長、NPO法人OSI (沖縄観光産業) 研究会会長、中小企業研究会顧問、沖縄県地場産業・泡盛を育てる会「紺碧会・東京」会長。2017年春の「瑞宝中綬章」を受章。

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以上、篠原氏の作品

 篠原氏は1942年、東京都生まれ。明治大学政治経済学部卒業。東洋経済「会社四季報」編集長、「週刊東洋経済」論説委員、編集局次長、取締役営業局長、取締役出版局長、立正大学講師、鳥取環境大学環境学部教授などを歴任。

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左から篠原氏、國分氏、玉川氏、百瀬氏、権代美重子氏、菅原律子氏

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作曲家・山本寛之氏(左から2人目)と歌手、女優、バイオリニストらと百瀬氏

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 百瀬氏は、70年安保ではゲバ学生を一喝し、バリケードを解除させた武勇伝の持ち主で、スキーはプロ級、柔道は4段と聞いているので多少のことには驚かないが、85歳にして画家デビューを果たされたのには唖然とした。

 呼称がまた面白い。「モネ」だそうだ。なぜ「モネ」なのか、篠原氏が次のように種明かししている。

 「百瀬先生はこれまで豪快にお金を使ってきたため、奥様に『もう家にはお金がまったくありませんよ』と言われたそうです。それで、先生いわく『もーねー』(もう無い)と。つまり『モーネー』―だから『モネ』と」

 小生もこれには合点がいく。思い当たる節もある。百瀬氏は、沖縄・泡盛が東京では全く浸透していなかった頃、泡盛を小脇に抱え、銀座のクラブをはしごしたそうだ。店で自分が飲むためではなく、クラブでも泡盛を取り扱ってくれるよう頼みこむためだった。

 いくらつぎ込んだかは知らないが、ことあるごとに沖縄の酒造組合から一杯数千円もしそうな古酒が惜しげもなく振舞われることからもその貢献度が推し量られる。

 山田氏に「先生はいつから描かれているのですか」と聞かれ、百瀬氏は「昔から恥ばかりかいています。ワハハハハ…」と受け流した。

 篠原氏の呼称がまたいい。「私の場合は、いつも財布の中にお金が空っぽのため、それで羽の付いたお金を追いかける夢を見ます。『マネー、マネー』と」

 百瀬先生、篠原先生、これを機に画壇の頂上を目指していただきたい。もともと画家は長寿が多い。葛飾北斎は89歳、ピカソは91歳、シャガールは98歳まで生きた。文化勲章を受章した上村松園、小倉遊亀、片岡球子は100歳を超えても現役で活躍した。

 渋沢栄一は「四十、五十は洟垂れ小僧、六十、七十は働き盛り、九十になって迎えが来たら、百まで待てと追い返せ」と言ったではないか。

 それにしても、コロナ過にもかかわらず、初日の来場者の多さには驚いた。大手デベロッパーのマンションモデルルームでも1日20組くらいではないか。その3倍はあった。取材のあと、銀座・日動画廊に寄り、そのことを話したらスタッフの方が「それは凄い」と驚かれていた。

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入り口には吉田秀彦氏からの生花も飾られていた

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会場にはたくさん生花が届けられていた

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出品者を一人ひとり紹介する余裕はないが、皆さん只者ではない。

 例えば國分絮虹氏。作品に記者は感動を覚えたが、ご主人がまた凄い。正岡子規の高弟として高浜虚子と並び称される俳人・河東碧梧桐(1873~1937)の研究家で、全20巻の全集としてまとめられたのだそうだ。1巻当たり500ページとして全10,000ページ。値段は1巻約1万円。稀覯本になるのではないか。

 百瀬先生より2歳下の83歳の関口耕二氏の経歴には過去の記憶を蘇らせてもらった。

 関口氏も明大柔道部出身で、1946年の東京オリンピックの無差別級柔道決勝戦であのアントン・ヘーシンクに抑え込まれ、一本負けした神永昭夫より4歳下だという。「当時の神永さんは強かった。押しても引いてもびくともしなかった。ヘーシンクに敗れたときの神永さんは身体がボロボロだった」と語った。

 関口氏の「ひまわり」の作品を山田氏は〝絶賛〟したのだが、山田氏は、「作品に命を吹き込む心眼、つまり、見たままを描くのではなく、見えないものを心で感じて表現することが大切」などと関口氏の質問に気軽に応えられていた。

 奥山曄光氏、薬丸順子氏の〝師匠〟の方は匿名を条件に「二人ともそれぞれ持ち味を出している個性的作品」と評した。

 玉川氏は、沖縄酒造組合を定年退職されてから描かれるようになった。「東京駅」を最初見たときはセザンヌを彷彿させる色づかいに驚嘆した。

 隣駅の有楽町では、添付した3人のアーティストが制作・展示・販売する「ARTIST STUDIO ACTIVITIES」プロジェクトか丸の内・国際ビル1階で行われている。芸術の秋だ。

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以上、國分氏の作品

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以上、奥山氏の作品

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以上、渡部氏の作品

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以上、薬丸氏の作品

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以上、玉川氏の作品

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以上、関口氏の作品

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以上、付け足しの記者の作品

  明大名誉教授・百瀬恵夫氏が主宰中小企業研究会40年の歴史に幕RBAタイムズ2018年12月号dsk18400785-395-3-nishi.pdf

「おーお明治」大学の誇り 百瀬恵夫名誉教授の「瑞宝中綬章」受章を祝う会に300名(2017/8/8)

春の叙勲 三井不会長・岩沙弘道氏が旭日大綬章 明大名誉教授・百瀬氏は瑞宝中綬章(2017/4/30)

3人のアーティストが制作・展示・販売する現場見学 丸の内・国際ビル1階(2020/10/10)

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  pdfはこちら16日間表.pdf

 Go Toキャンペーンに東京都が追加され、外国人入国が一部緩和されてから10日間が経過した。10月10日(土)の東京都の新型コロナ感染者は3日連続200人超の249人となった。感染動向に変化の兆しはあるのかないのか、判断は難しそうだ。

 年代・男女別では、10代男性の感染者は18人にのぼり、1日当たりの感染者数としては8月11日の11人を上回る過去最多となった。(一部報道では大学生のクラスターが発生したとあるが、この10代男性がそうなのかは不明)20代男性の41人も8月22日の58人以来の高い数値となった。

 また、別表に示したように、ここ数日間は各年代とも感染者は増加傾向にある。

 感染経路不明者比率は、10月6日から8日の3日間は60%を超えるなど高い数値になっているのも気になる材料だ。

 経路不明比率が下がらないのは〝思い当たる節がない〟のもそうだろうが、〝経路を明かしたくない〟人も相当数に上るはずで、ここにコロナの恐ろしさがある。

 それにしても累計感染者のグラフはどうしてこのような正規分布(曲線)を描くのか。新型コロナは人種、性別、年齢、富者も貧者も愚者も賢者もあまねく平等に降り注ぐはずだ。外国はどうなっているのだろうか。

 10月8日(木曜日)に行われた東京都新型コロナウイルス感染症モニタリング会議(第14回)での専門家のコメント・意見をいくつか紹介する。

①新規陽性者数は、週当たり1,100 人を超える高い水準で推移しており、今後、再び増加傾向となることへの警戒が必要である。

②無症状や症状の乏しい感染者の行動に影響を受けて、感染経路が多岐にわたり、また、感染経路が不明になっている。

③新規陽性者数に占める65 歳以上の高齢者の割合は14.4%で、依然として増加傾向が続いている。

④経済活動が活発化し、人の移動が増え、感染拡大のリスクを高める機会が増加することにより、新規陽性者数が再び増加傾向となることが懸念される。  

⑤人と人が密に接触する、マスクを外して飲食・飲酒を行う、大声で会話をする等の状況により、感染のリスクが高まる。このような行動に伴うリスクに留意し、基本的な感染防止対策を徹底することが重要である。

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「ARTIST STUDIO ACTIVITIES」制作現場

 三菱地所が先日プレス・リリースした「ソノ アイダ#有楽町」の第3弾企画「ARTIST STUDIO ACTIVITIES」の制作現場を見学した。

 訪ねたのは、雨が降り続きとても寒い日の9日の午後4時ころ。約90㎡の作業場は、コンクリや配線がむき出しになったネイキッドルームだった。創作意欲を書き立てるためか、ラップのような音楽が流れていた。

 小生も一時期油絵に凝ったことがあるので分かるのだが、作家によると他人に見られることを嫌い、ましてや話しかけられたりすると激怒することもある。

 なので、おずおずと名刺を出し、見学の許しを請うたらアーティストの藤元明氏、藤崎了一氏、相澤安嗣志氏とも快く受けていただいた。感謝申し上げます。

 3氏のうち藤元氏は、何やら書き物に目を移したり沈思黙考していたりしていたかと思うと、いきなり黒いビニールのようなキャンパス(と呼ぶのかどうかは分からいが)にいきなり左官道具のテコのようなものに白い絵具(ペンキに見えた)を付け、塗り始めた。

 最初のころは何をしようとしているのかさっぱり分からなかった。油絵のように下塗する作業ではなかった。20分くらいたっただろうか、おぼろげながら人物を描こうとしているのではないかということが分かってきた。このような塗り方をしたら混色し、画面はグレー一色になるのではないかと心配した。(小生は何度も失敗している)

 藤崎氏は、失礼ながらアーティストというよりは大工さんだ。他の二人に遠慮することなく、けたたましい音を立てる電動のこぎりで木を切り、鉋削りをしていた。シャツは半袖だった。

 相澤氏は、岩絵具のようなものを調合していたのは小生も少しは理解できた。もともと日本画を描いていたと聞き納得した。

 かれこれ1時間くらい見学したか。昼食も取っておらず、タバコも吸っていなかったが、時間がたつのもすっかり忘れていた。

  芸術家の制作現場を見ることができるのはまたとない機会だ。向こう1カ月の間にどのような作品が生まれるのか。〝共演〟することで作風に変化が現れるのかどうか。機会があったらまた訪ねることにした。

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藤元氏

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藤崎氏

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相澤氏

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藤元氏

1975年東京生まれ。アーティスト。人間では制御出来ない社会現象をモチーフとして、様々な表現手法で作品展示やアートプロジェクトを展開。主なプロジェクトに「ソノ アイダ」、「TOKYO 2021」、「陸の海ごみ」、「NEW RECYCLE®」、広島-NewYork で核兵器をテーマに展開する「ZERO PROJECT」「FUTURE MEMORY」など。2016 年より開始した「2021」プロジェクトは現在も進化中。

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藤崎氏

1975 年大阪生まれ。京都市立芸術大学大学院美術研究科彫刻専攻修了後、商業造形制作やクリエイティブプラットフォーム(SANDWICH) など様々な場所でテクニカルディレクターとして活躍、2014 年から作家として本格的に活動を開始。自らの身体感覚を媒体として制作行為の軌跡を作品構成の要素とする。「執着(ADDICT)」 をコンセプトに素材を偶発的な物理現象へ変換し、彫刻、写真、映像など様々なメディアを用いて作品表現へと昇華させている。

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相澤氏

1991 年神奈川県生まれ。多摩美術大学美術学部情報デザイン学科メディア芸術コース卒業。自然と人間が交わる境界領域、文明の廃棄物が混在する場、エネルギー消費の場などを、現代の複雑で多様な社会の中で失われていくことになる歴史的な遺産として価値を見出し、物質の存在や運動エネルギーの認識を反映させた作品を制作している。

丸の内・国際ビル1階で3人のアーティストが制作・展示・販売10/8~11/1 三菱地所(2020/10/7)

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