旭化成ホームズ「しぜんごこちの家」大宮のモデルハウスを公開
「無限の間」にもなる「白の間」「月の間」
旭化成ホームズは9月25日、埼玉県さいたま市大宮に完成した「しぜんごこちの家」のコンセプトを搭載したモデルハウス「街かどへーベルハウス大宮東町」を報道陣向けに公開した。狭小敷地の3階建ての身の丈住宅ではあるが、自然の心地よさを巧みに住戸内に取り込みながら、夫婦の居場所、子ども部屋のあり方、一人で思索する場、地域とのつながりなどを様々な仕掛けで見せる盛り沢山・欲張りな家でもある。
モデルハウスは1階が約36㎡(約11坪)、2階が約53㎡(約16坪)、3階が約41㎡(約12坪)の延べ床面積約132㎡(約39坪)。建築面積は約59㎡(約18坪)。周囲は住宅やマンションなどが建ち並んでいるどこでも見られるような地域の一角。
テーマが面白い。名付けて「五更観月の家」。「五更」とは、夜明け前のぼんやりとした4時ごろのことをいう「戊夜(ぼや)」と同義語で、せめて家にいるときは「ON」と「OFF」を切り替えて「ぼんやり」とした時間を過ごしませんかという意味が込められている。「観月」とは文字通り、周囲に建物が立て込んでいる都会で「夜空」を眺められる空間を提案している。
まず、自然の心地よさの提案。門柱と一部の塀には、割栗石をじゃかご風に仕上げたものが採用されていた。最近あちこちで目にかけるが、門柱に採用しているのは初めて見た。これは石のままでもいいが、土や砂などを入れれば自然に草花が生えてくるものだ。玄関ポーチはメンテ不要で30年の耐久性があるという南米・中米産のリグナムバイタ・パルサイト材を採用。
1階は「夫婦の居場所」。ソファーコーナーと小上がりのタタミコーナーにすることで、7.2畳大の広さにもかかわらず多様な利用の仕方を可能にしているのが特徴。別に寝ることも可能だ。
2階は「みんなの居場所」。それぞれがやりたいことをしながら一緒に過ごす団らん=「家居(いえい)」と、みんなが一堂に集う団らん=「円居(まどい)」の二つの団らんを提案したもの。クス材のキッチンテーブルは、家族だけでなく仲間とのホームパーティが開けるよう調理台や座卓にも早変わりするスグレモノだ。このほか、パソコンが利用できる文机コーナー、床上げ和室もある。
3階は「ひとりの居場所」。二人の子どもを想定したもので、それぞれ4.0畳と3.8畳の個室とは別の勉強することを想定した3.9畳の「あいの間」、親やこどもが一人でぼんやりと過ごすことを想定した4.0畳大の「白の間」、さらには「白の間」とつながる「月の間」を設けている。
「夫婦の居場所」について説明する旭化成ホームズ「くらしノべーション」主幹研究員・村松浩氏。右の写真はテーブルを座卓にして質疑応答の場になった「移ろ居の間」
◇ ◆ ◇
住宅は平屋(フラット)が一番いいのは言うまでもないことだが、都市圏ではそんな贅沢はできない。このモデルハウスは実によく考慮された家だと思う。住居のあり方を考えさせられる住宅でもある。
例えば「子ども部屋」を想定した「ひとりの間」。いったい「子ども部屋」の概念はいつごろからわが国に持ち込まれたものか、子どもに個室を与えることが本当に子どものためなのか、「あいの間」では子どもたちはどのような勉強をするのか考えてしまった。「白の間」もそうだ。「白」とは多様な用途に利用できるという意味が込められているのだろうが、記者は「思索の間」「哲学の間」「和合の間」「和解の間」「再生の間」「愛憎の間」「女人禁制の間」「男子入るべからずの間」などにしたら面白いと思った。「無限の間」でもある。
床上げ和室(左)と「白の間」(手前)「月の間」
割栗石を用いた門柱と外構
〝宮脇檀さんにまた会えた〟 積水ハウス「コモアしおつ」
「コモアしおつ」 「トリコパルク」街区
平均70~80坪の広さと植栽計画が特徴
「四方津」を「しおつ」と読める人はそれほどいないはずだが、記者はパブロフの犬のように「しおつ」に条件反射して積水ハウス「コモアしおつ」を見学した。十数年ぶり、造成中を含めると5度目の見学だったが、別荘風の「トリコパルク」を含め約80haの団地を電動アシスト付き自転車で隈なく回った。
物件は、八王子駅から約30分、JR四方津駅を降りて、全長約209メートル、比高差約89メートルを上り下りする斜行エレベータに乗って約5分の山梨県上野原市コモアしおつに位置する開発面積約80ha、予定区画数1,413区画。平成3年から建売住宅や停止条件付き宅地分譲が行なわれている。これまでに1,347区画が分譲済み。
故・宮脇檀氏が基本設計を担当した団地として知られており、ループ状の道路、ボンエルフなど人に優しい街づくり、1区画平均70~80坪のゆったりした区画割が特徴の団地だ。管理組合を設け、共用施設の維持・管理を行なうのも戸建て団地としては先進的な取り組みだった。
「時計のこうえん}(左)と街並み
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団地見学会はプレハブ建築協会が9月13日に実施したものだ。記者は忙しくて参加申し込みしなかった。ところが、前日、積水ハウス「グランドメゾン狛江」を取材したとき、同社の広報担当者から「しおつ」の名が出たとき、条件反射を起こした。過去4度も取材しているように「しおつ」が好きなのだ。それでも1度は断ったのだが、当日に飛び入り参加することを決めた。バス乗り場の新宿西口に着いたのは出発予定の20分前だったが、乗り場が分からず、結局電車で向かった。
現地に着いた11時ころにはすでに見学会は終了していた。ここで、同社から思いがけないプレゼントがあった。電動アシスト付き自転車を貸してくれたのだ。自転車などもう10年近く乗っていない。こぐのが大変だからだ。恐る恐る乗ってみたら、これが速い。団地内の公道は制限速度30キロの表示があったが、車でも追い越せると思った。
この電動アシスト付き自転車のお陰で、徒歩なら数時間かかるはずの取材を1時間30分ぐらいで済ますことが出来た。1丁目から4丁目まで隈なく回った。その成果が写真だ。取材目的の一つだった「宮脇さんに会う」こともできた。つたない記事より写真のほうがよく分かっていただけると思う。
外周道路と街並み
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街路計画では、外周約2.5キロの道路はループ状にし、舗道にはボンエルフ、ハンプ、ピンコロ、インターロッキングを多用。路地空間も設置し、角住戸のコーナーにはカエデなどの色彩鮮やかな草木を配するなどデザインにも工夫を凝らしている。
街路樹・公園樹にはカエデ、ユリノキ、アメリカフウ、マロニエ、モミジ、カツラ、メタセコイア、コブシなどの中高木が植わっている。
車の運転手には注意を促し、歩行者には絵画的な手法で魅せる、宮脇氏の遊び心を見るような団地だ。宮脇氏が手がけた代表的な団地としては東急不動産の〝アイビーとレンガ〟の「柏ビレジ」があるが、「コモアしおつ」こそ宮脇氏の集大成の団地だ。このほか、宮脇氏が手がけた出色の団地としては「ホーメストタウン八王子」「季美の森」「高幡鹿島台」「緑園都市」などがある。
「トリコパルク」は仏語の「トリコット(編み物)」と「パルク(公園)」をあわせた造語だ。完全なオープン外構で、開放的な街並みを実現しているのが特徴。同じコンセプトの街並みは同社の他の団地でもいくつか見学している。
「トリコパルク」の街並み
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平成3年の分譲開始からずっと担当している同社東京分譲事業部しおつプロジェクト課長・岡本正生氏に話を聞いた。
岡本氏は都心の青山に住んでいる。わざわざ1時間半以上もかけて四方津まで通っている。「自分で担当を志願した」。その理由を「1区画80坪という圧倒的な広さと環境に惚れ込みました。他では味わえない楽しさがあった」と岡本氏は話した。
不動産のプロの岡本氏を心酔させるしおつの魅力は記者も理解できる。1区画80坪の団地は地方には沢山あるだろうが、首都圏では昭和50~60年代にはほとんど姿を消した。平成の時代には都市型戸建てが主流になったからせいぜい30~40坪だ。
立地を考えれば、販売スピードは驚異的ですらある。冒頭に書いたように、現在までに1,347区画成約済みだ。年間に換算すると約60戸を成約している計算になる。バブル崩壊後の首都圏の郊外団地では年間20~30戸を販売するのがやっとだったことからも、この団地の健闘がうかがえる。
なぜ売れるのか。時代の変化に対応し、取得しやすい価格帯になってきたのが最大の理由だろう。分譲当初は確か5,000~7,000万円台だったはずだ。それが最近では3,000万円でも取得できる住戸があるという。「ここ数年は20歳代、30歳代の若い世代の購入が増えているのが特徴。大月や上野原に住む親世帯が『資金援助するからしおつに住め』と勧めるケースが多い。団地内で親子が近居するケースもある」と岡本氏は話す。
岡本氏
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4年前に府中から移り住んだ元システムエンジニアの65歳の居住者が、街の魅力を代弁した。
「60年間、府中に住んでいたが、たまたまネットでみここの中古情報をみて現地見学したら、積水ハウスの営業マンに『土地も新築もある』といわれ、土地を購入しようと考えたが、面倒になり建売住宅を買った。値段も4,000万円を切っていた。府中の家もまあ広かったが、夏の西日で室内は50度になった。ここは西側に山があるので西日も入らない。快適だよ。ここは塀がないのもいい。不便? 新宿まで70分、住めばどういうことはない」と。
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今後、この街がどうなるのかも大きな関心事だ。街づくりは最終段階に入った。街の管理は積水ハウスが支援し、管理組合や自治会が中心になって進めていくのだろうが、果たして持続可能な街として機能するかどうか。
岡本氏や住民、市役所などに聞くと、この街は人口も増加しており、隣の大月市民にも人気だという。しかし、高尾あたりの昭和の時代に建設された大規模団地は居住者の高齢化が進み、空き家の発生やコミュニティの崩壊も懸念されている。「しおつ」も成り行きに任せれば、この問題に突き当たるのは必至だ。
積水ハウスは「まちづくり基本方針」として「環境マネジメント」「経済マネジメント」「生活マネジメント」「タウンマネジメント」の4つを掲げる。「経年美化」の看板が評価されるのはこれからだ。
「斜行エレベータ」(同社ホームページから)
ポラス 中央グリーン開発 「子育てママの理想の家をつくろう!」コンペ
優秀賞モデルハウス上棟式に150組・450人が参加
「パレットコート六町」で行なわれた上棟式イベント
ポラスグループの中央グリーン開発は8月31日、先に同社が行なった「子育てママの理想の家をつくろう!」コンペ大会で最優秀賞に輝いたプランのモデルハウス上棟式イベントを、現在分譲中の足立区の戸建て団地「パレットコート六町」で行なった。入居者や近隣の親子連れなど150組・約450人が集まり、餅撒きや日曜大工体験、交流会、マルシェなどを楽しんだ。
コンペ大会は、地元の「NPO子育てパレット」と共同で立ち上げたプロジェクトで、「パレットコート六町」を舞台に9人の現役ママが 4 チームに分かれ「子育てママの理想の家」づくりに挑戦、プロの設計士の手を借りながら最優秀賞を競うもの。最優秀賞には1階を「華」に見立て、おもてなしの空間とし、2階を「癒」のプライベート空間とした「Give &Take」を提案した宮下記子さんと加藤圭さんのチームが受賞。このプランを団地内に建設して、モデルハウスとして利用されたのち建売住宅として分譲される。完成は11月の予定。
「パレットコート六町」
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別の用件があったので、駆けつけたときには上棟式は終わっていた。上棟式といえば、記者が小さい頃などは「餅撒き」が楽しみだった。上棟した建物の上に大工さんや施主が上り、紅白のもちや〝ご縁がありますように〟という意を込めて5円玉などの小銭(われわれの時代には1円玉もあった。つまり1円がキャラメル代になったので流通していた。10円玉もまれにあった)が撒かれた。拾うのは主に子どもだが、集落の大人もみんな集まった。
このほか、葬式でも運動会の玉入れの籠のようなものから小銭が撒かれ、子どもたちが拾い集めた。結婚式では石ころや材木を道路上に置き、お嫁さんが通れないように「垣」をしたものだ。垣を先導役が取り除くのだが、艱難辛苦を乗り越えて嫁いでいくようような願いが込められていたのだろう。このように冠婚葬祭は村のコミュニティを支えていた。こどもはこのような行事を通じて社会を理解していった。例えば葬式の小銭撒きでも、世帯主などの大黒柱が亡くなった場合は撒かれなかったから、子どもでもその家の死者の位置を知ることができた。小銭の額でお金持ちか貧乏かを判断したものだ。経済を学び、不平等社会を学んだ。
いまはこのような行事はほとんど行なわれなくなっただろう。ポラスでも上棟式で餅や小銭を撒くケースは皆無ではないが非常に少ないという。
コンペ大会の責任者、ポラスグループの中央グリーン開発取締役事業部長・戒能隆洋氏は「これまで分譲した158棟のうち127棟が入居済み・契約済み。街並みが整ってきたことで成約スピードもあがってきた。8月は11戸が成約できた。このようなイベントを行なうことで地域コミュニティが形成されることが嬉しい。商品開発にも生かしていきたい」と話した。
地元のフラダンスのサークルも参加 日曜大工の体験コーナー
大京 戸建てブランド「アリオンテラス」に期待
「アリオンテラス妙蓮寺」はひな壇造成の全9戸
「アリオンテラス妙蓮寺」
大京の戸建てブランド「アリオンテラス」第4弾の「アリオンテラス妙蓮寺」を見学した。妙蓮寺駅から10m以上はあると思われる坂を上り下りしなければならない難点はあるが、現地は南傾斜のひな壇形状で価格もリーズナブルなものになりそうだ。
物件は、東急東横線妙蓮寺駅から徒歩 9分、横浜市区松見町三丁目に位置する全9区画。土地面積は100.10~185.94㎡、建物面積は95.22~104.12㎡、価格は未定。建物は2×4工法2階建て、施工は東急ホームズ、8月に竣工済み。
現地は、妙蓮寺駅から高低差で10m以上はあると思われる坂の頂上の鎌倉街道まで数分歩き、さらに同じぐらいの坂を下ったひな壇造成地。高低差は約6m。一番低いところの建物でも道路面より約2mの擁壁の上に建てられている。
敷地面積を平均約38坪確保し、「アリオンテラス」シリーズでは初の街区を見守る防犯カメラを設置しているのが特徴。大京オリジナルの設備も標準採用している。
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「アリオンテラス」は2011年に第一弾「横濱山手」(7戸、施工イトーピアホーム)に分譲されて以来、昨年分譲の「蘆花公園」(8戸、施工イトーピアホーム)、「西新井」(3戸、施工ポラス)に次いで今回が4物件目。記者が見学するのは「蘆花公園」に次いで2件目だ。
もちろん、見学の目的は、マンションで実績豊富な同社がどのような都市型戸建てで競争が激化している市場に挑もうとしているのかを知るためだ。
結論から言えば、駅からの坂が相当きつい難点を除けば、価格は6,000万円ぐらいに収まりそうなので、追い風の市場もあるので完売までそれほど時間はかからないとみた。
一つ二つ、注文をつけるとすれば、〝大京の戸建て〟をもっとアピールすべきだと思う。設備・機器に関してはマンションに採用している「ライオンズ リビング ラボ」は十分差別化ができていると思うが、外観デザインや植栽計画、間取りプランはまだまだ不十分だ。〝これは素敵〟というものを盛り込まないと勝てないと思う。
今回の物件でも、ひな壇造成はいいが、擁壁の壁面が勝りがちだ。植栽計画によって和らげることもできたのではないか。間取り・プランでは、玄関・ホールが狭く、LDとは幅60cm、高さ1.8mの引き戸によって隔てられているのだが、玄関-ホール-リビングと一体的な空間として演出すべきではないかと思った。壁一杯に親子ドアにでもすれば〝これは素敵〟になるはずだ。
まだ4物件目の段階で厳しいことを言うようだが、一つひとつが勝負だ。現段階ではブランド力はないに等しい。他のデベロッパーの2倍、3倍の努力をしないと勝ち残れない。近く同社は「三鷹」で近鉄不動産と共同で分譲するという。楽しみにしたい。
リビング
西武立川 三井レジ&大和ハウス「アユモシティ」好調
三井不動産レジ&大和ハウス「アユモシティ」が好調
「ファインコート西武立川アユモシティ」
西武立川 マンション146戸・戸建105区画が半年で売れる
三井不動産レジデンシャルが西武拝島線西武立川駅前で開発中の戸建て「ファインコート西武立川アユモシティ」を見学した。7月に第1期40戸が分譲され、8月3日には第1期2次として12戸が分譲されるように好調なスタートを切った。
現地は、西武拝島線西武立川駅から住宅街区入口まで徒歩2分、立川市西砂町一丁目に位置する開発総面積が約6.7ha、総戸数259区画の「アユモシティ」の一角にあり、同社の持分は168区画(残りの91区画は大和ハウス工業)。第1期 2次の土地面積は100.10~ 113.92㎡、建物面積は98.02~106.90㎡、価格は3,890万~4,690万円(最多価格帯4200万円台)。建物は2×4工法2階建て。施工は西武建設、エステーホーム。建物は全て完成済み。
4月下旬からモデルハウスを公開。7月7日に第1期として40戸を供給、この8月3日には第1期2次として12戸が販売される。郊外の都市型戸建てとしては売れ行きは好調だ。
「ファインコート西武立川アユモシティ」
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三井不動産レジデンシャルが都市型戸建てシリーズ「ファインコート」の供給を開始したのが1995年。現在まで18年が経過するが、主な供給エリアは東京都多摩地区、横浜エリアが中心で、最近は準都心や都心部でもコンスタントに供給している。年間700~800戸で推移してきた。同社は今期1,000戸ぐらいの売上げ計上を予定しているが、この物件も売上げ増に寄与するのだろう。
今回の「西武立川」は最多価格帯こそ4,200万円だが、4,000万円を切る物件も結構ある。これほど低価格の「ファインコート」を見学するのは初めてだった。街並みも建物の設備仕様もこれまで見学したものとはやはり異なった。それでも3,000万円台がほとんどのいわゆるパワービルダーの建売住宅とは街並みや建物デザインは全く異なるもので、差別化はできている。
駅前の大規模開発で取得しやすい価格帯、駅前のスーパーも開業したことなどが人気の要因のようだ。
◇ ◆ ◇
三井不動産レジデンシャルより先行して停止条件付宅地分譲・戸建て分譲を行なっている大和ハウス工業の「フローラルアベニュー西武立川アユモシティ」も好調のようだ。全91区画のうち7月末現在、53区画が契約済みだ。太陽光発電システム、エネファームなども採用しているので三井不動産レジデンシャルの物件より価格は高いようだが、こちらも売れ行きはいい。
「フローラルアベニュー西武立川アユモシティ」
双方を合わせると100戸・区画以上が半年ぐらいの間に売れていることになる。名鉄不動産のマンション「ソルヴィエントメイツ西武立川」146戸も数カ月で完売している。もともとこの開発はコスモスイニシアが主導していたもので、リーマンショックの影響で開発を断念した。コスモスイニシアは複雑な気持ちで眺めているのではないか。
この西武立川より2駅手前の「玉川上水」では、野村不動産が「プラウドシーズン玉川上水」(全134戸)の第1期分譲45戸を明日(8月2日)から分譲開始する。こちらは最多価格帯は4,500万円台。売れるから供給するのだろ。郊外マンションも戸建ても絶好調だ。
スーパー「ヤオコー」 駅のホームから団地を望む
大和ハウス 軸組工法で異業種コラボ2商品発売
大和ハウス 国産材の採用を加速
木造軸組戸建て住宅 異業種コラボ2商品発売
「BoConcept×xevo( ボーコンセプト×ジーヴォ)」片流れ屋根(左)とフラットルーフ
大和ハウス工業は月23日、同社の木造軸組戸建住宅商品「xevo GranWood (ジーヴォ グランウッド)」と「ボーコンセプト・ジャパン」の北欧デンマークインテリアブランド「BoConcept( ボーコンセプト ) 」とのコラボレーションによる新商品「BoConcept×xevo( ボーコンセプト×ジーヴォ)」を7月26日から発売すると同時に、「私の部屋リビング」が運営するフレンチインテリア雑貨ショップ「キャトル・セゾン」とのコラボレーションによる商品「Maison des quatre saisons×xevo ( メゾン・デ・キャトル・セゾン × ジーヴォ )」のバリエーションを拡充させ、本格展開すると発表した。異業種とのコラボにより販売チャンネルを拡充することで商品販売力を強化するのが狙い。
「BoConcept×xevo」は、30代から50代の男性向けの企画提案型商品。2種類の内装デザインと外観デザインの提案を行なう。無垢フロアやウッドブラインドを標準装備し、オリジナルの「ウォールペーパー」も採用する。「BoConcept」は1952年創業のデンマークの家具メーカー。世界59カ国、日本では18店舗で展開している。
販売価格は、本体工事が2,250万~3,000万円(税込み、太陽光発電システム3kw搭載)。販売目標は年間60棟。
「Maison des quatre saisons×xevo」は、昨年1月から販売を開始しており、20代から30代の女性に人気の商品。フランスのプロヴァンス風の外観に、ライトブラウンを基調とした内装デザインを施し、各空間には雑貨やアンティーク、家に代々伝わる家具なども大切にするというエスプリを感じさせる暮らし方を提案している。今回、新たな提案・仕様を追加し、バリエーションを拡充することで幅広い幅広い年代の顧客のニーズに応えるのが狙い。
販売価格は、本体工事が2,000万~2,500万円(同)。販売目標は年間60棟。
「Maison des quatre saisons×xevo」エレガントスタイル1(左)とエレガントスタイル2
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今回の新商品の発売の狙いは明確だ。同社は今年3月、10年ぶりに工法を一新し、構造軸組材を100%国産材とした木造軸組工法の新商品「xevo GranWood (ジーヴォ グランウッド)」を発売したが、今回、異業種とコラボすることにより販売スピードを加速させようということだ。
記者発表会に臨んだ林直樹執行役員(木造住宅事業担当)も「3年前から国産材の活用に取り組んでいる。当初は65%ぐらいの採用率だったが、強度不足も補えたし供給体制も整いつつある。現在の採用率は90%を越えている。100%達成を目指す」と語った。国産材の採用は国策にかなったものだ。森林・林業の再生に同社が積極的に取り組むことに期待したい。
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ウォールペーパー | 木製ブラインド |
三井不動産レジデンシャル・大和ハウス工業「アユモシティ」街びらきに2000人
三井不動産レジデンシャル・大和ハウス工業
「アユモシティ」街びらきに2000人
当日の様子
三井不動産レジデンシャルと大和ハウス工業は7月19日、西武拝島線西武立川駅前に誕生した「アユモシティ」で6月30日(日)に街びらきフェスタを開催し、約2,000人が集まったと発表した。「アユモシティ」は、「Walkable Bio City≪歩くことが楽しくなる街≫」というコンセプトのもと進められている「西武立川駅南口複合開発事業」のこと。両社はこの一画で総区画数259区画の戸建分譲事業を行っている。
当日は、戸建て居住者だけでなく、周辺地域の居住者も参加。地元で活躍しているアーティスト、農家や生産者、人気飲食店、書店、行政などの関係者も集まった。
物件は、西武鉄道西武拝島線西武立川駅から徒歩2分、立川市西砂町一丁目に位置する総開発面積約6.7ha。三井不動産レジデンシャルが168区画、大和ハウス工業が91区画。工事完了は平成25年2月。
日本土地建物販売 「高井戸」の全戸が即日完売
日本土地建物販売
「ラヴィアンヴェール高井戸」が全戸即日完売
当欄既報の日本土地建物販売の建売住宅「ラヴィアンヴェール高井戸」全12戸が即日完売した。5月25日に抽選分譲した第1期(8 戸)は最高5倍、平均2.3倍、6月8日に抽選分譲した第2期(4戸)は最高6倍、平均3.2倍だった。問い合わせ件数は600件以上、来場者は135件以上にのぼった。
タカラ フェンス排除した驚嘆の戸建て「大泉学園」
タカラレーベン 境界のフェンスを全て排除した
建売住宅「レーベンプラッツ大泉学園」
「プラッツ大泉学園」
タカラレーベンが6月から分譲を開始した建売住宅「レーベンプラッツ大泉学園」を見学した。隣り合う住戸間のゆるやかなコミュニティ を醸成するため全27棟の境界のフェンスなど工作物を一切設置せず、隣戸間の空間には低中木の緑をたくさん確保した。この種の建売住宅の例は首都圏ではほ とんどなく、必見の物件だ。
物件は、西武池袋線大泉学園駅からバス13分、徒歩3分、練馬区大泉学園町8丁目の第一種低層住居専用地域(建ぺい率50%、容積率 100%)に位置する全27棟。敷地面積は100.21~128.95㎡、建物面積は82.39~101.17㎡、価格は4,798万~6,268万円 (最多価格帯5,700万円台)。建物は木造2階建(在来軸組工法)。全棟完成予定は平成25年9月中旬。
◇ ◆ ◇
最大の特徴は、4棟を1ユニットにした「アウトサイドラウンジ」と呼ばれる緑の空間を設置し、東西軸も南北軸も境界にはフェンスなどの工作物を一切設けていないことだ。
記者はこれまで30余年の記者生活の中で、4~5棟で共有するコモンスペースや南北軸の間に舗道(路地)を設けた建売住宅は見ているが、隣戸間の境界にフェンスを設けていない27棟もある団地を見学するのは初めてだった。これには驚愕すると同時に快哉を叫んだ。
記者が子どもの頃の田舎の住宅は垣根こそあったが、隣戸間の境界などあってないようなものだった。隣の敷地を通ろうが敷地に立ち入ろうがとがめるものなどなかった。子どもも親も自由に行き来した。玄関を通らずとも勝手口、台所、居室が出入り口になった。味噌、醤油などの貸し借りは日常茶飯だった。
今回の物件も、フェンスがないから、通ろうと思えばどこからでも出入りできる。おそらく子どもたちはそのような利用をするのではないかと思った。
それだけではない。建物の外壁には薄っぺらいサイディングではなく、厚さ約 1 センチのガラス素材を用いた塗り壁やタイルが採用されている。塗り壁は櫛引仕上げのものが多用去れている。ベランダは黒のルーバーが多用されていた。建物は周囲の建物と調和させるため寄棟のデザインとなっている。
南側道路の住宅の庭
◇ ◆ ◇
いったい、どうしてこのような驚嘆すべきランドスケープデザインのプランを考え出したのか、非常に興味があったので設計を担当した㈱ HIRAMEKI の重松剛氏に電話で聞いた。重松氏は次のように語った。(重松氏は同じようなプランの「はちおうじこまち」で2009年にグッドデザイン賞を受賞している)
「八王子でも同じようにフェンスを設けない戸建てを供給している。そのときは、高齢者には抵抗を示された方もいたが、ターゲット層の30歳代は全然問題がなかった。今回も分譲する以前にアンケートをとったが、八王子と同じような傾向となった。それで『これで行けそうだ』となった。同じようなプランは首都圏では他にないだろうが、全国で見るとゼロではない。
全体的なコンセプトとしては過剰な設備を排除し、できるだけ自然のエネルギーを取り込んだパッシブデザインを採用した。庭などに用いた石は軽石で、敷地北側に中木や軽石を多用したのは、緑や軽石の気化熱を利用して夏場の冷気を北側から取り込み南側に送ろうという狙い。4戸1ユニットにしたのは、これぐらいの規模のほうがコミュニケーションがとりやすいということだ」
左側が北側住戸、右が南側住戸
◇ ◆ ◇
タカラレーベンの建売住宅を見学するのは2度目だった。見学する前は「アウトサイドラウンジ」なるものがどのようなものかチラシには説明されていなかったので、全然知らなかった。〝価格ありき〟の物件で見るべきものがなかったらどうしょうとも思った。
それが冒頭の素晴らしいランドプランだ。よくぞ、このような建売住宅の分譲に踏み切ったとタカラレーベンの決断を賞賛したい。まず他のデベロッパーだったら「ノー」だろう。とはいえ、村山義男社長や島田和一副社長をよく知っているから、ゴーサインを出したのも納得できる。同社には社員のやりたいことをやらせるいい社風がある。ぜひともこのプロジェクトを成功させて欲しい。
モデルハウスのLDK
細田工務店 意欲的な「「木ここち 杢」ショールーム
細田工務店 意欲的な「木ここち杢(きここちもく)」本社ショールーム
「木ここち杢(きここちもく)」のショールーム
細田工務店が先にオープンした注文住宅の新商品「木ここち杢(きここちもく)」のショールームを見学した。注文住宅としては2010年に発売した「L'fits <ラフィス>」に次く3年ぶりの新商品だ。
ショールームは本社内の商談コーナーに設置したもので、外観などは分からないが意欲的な商品であることは伝わってきた。
まず、目を引いたのがナグリ調仕上げコーナーだった。大工さんが現場で釿(ちょうな)で削って仕上げるものではなく、工場で生産されたものだったが、それでも 35,000 円/㎡ぐらいする高価な無垢のオーク材が用いられていた。
このほか建具面材などは全てウォルナット、ブラックチェリー、メープルなどの無垢材や珪藻土、麻などの自然素材が用いられていた。
◇ ◆ ◇
建売住宅が飛ぶように売れた昭和50年代、同社は木下工務店(現木下ホールディングス)、日本電建、殖産住宅、六建建設などとともにトップメーカーとしてそれぞれしのぎを削っていた。バブル崩壊後は、日本電建も殖産住宅も六建建設も破綻するなどで第一線から退き、木下もサーベラス傘下に入り業態はすっかり変ってしまった。
その意味では、現在まで建売住宅の供給・他社受注を継続しているのは同社ぐらいだ。まさに〝老舗〟だ。同社の創業は昭和22年(1947年)だから今年で64年目だ。建売住宅メーカーとしては〝老舗〟の域に達しつつある供給トップの一建設(旧社名、飯田建設工業)は昭和42年(1946年)だし、兼六ホームは昭和43年(1968年)、ポラスは同44年(1969年)だから20年以上も差がある。
それなのに細田だけがバブル崩壊後ずっと業績が低迷しているのがよく分からない。〝老舗〟に胡坐をかいているとは思えない。同社のホームページには 2004 年以降に竣工した法人受注物件のリストがあるが、記者も見学した素晴らしい団地がたくさん掲載されている。しかし、なぜか自社の優れた団地は全く掲載されていない。これは老舗としての謙譲か。記者などは真っ先に「グローイングスクエア杉並和泉」を代表作として掲げる。
とにかく注文も建売住宅も同社には頑張って欲しい。
記者がほれ込んだ阿佐ヶ谷駅前の首都圏不燃建築公社・三菱地所レジデンス「バークハウス阿佐ヶ谷レジデンス」
細田工務店 注文住宅の新商品「木ここち 杢」発売(5/30)
後姿が美しい「マンション環境性能表示」☆3つ 「パークハウス阿佐ヶ谷レジデンス」(2010/3/8)