三菱地所 「丸ビル」「大手門タワー・JXビル」再生可能バイオマス経由の電力活用
三菱地所は3月30日、同社が運営管理する「丸の内ビル」及び「大手門タワー・JXビル」の一部で再生可能エネルギー由来の電力供給を受ける契約をJXTGエネルギーと締結したと発表した。
供給を受けるのは4月1日からで、川崎バイオマス発電が発電する木質バイオマス由来の電力。使用電力のうち「丸の内ビル」が約60%、「大手門タワー・JXビル」が約40%。2棟合計で約10,000t/年のCO2削減を見込んでいる。
三菱地所 新型コロナ対策強化 本社と横浜支店を原則在宅勤務に移行
三菱地所は3月26日、新型コロナウイルスの感染拡大を背景とした東京都などによる在宅勤務及び不要不急の外出自粛要請を踏まえ、3月27日から4月12日まで、本社及び横浜支店の従業員を対象に原則在宅勤務に移行すると発表した。
従前より時差出勤やリモートワークの活用のほか、社内外の会議や面談についてはウェブ会議や電話会議を推奨していたが、対応を強化するものとしている。
「創業100周年時に売上高10兆円の企業グループ」切望 大和ハウス・樋口会長が退任

樋口氏
大和ハウス工業は3月26日、取締役会長・樋口武男氏が今年6月の株主総会で同職を退任し、最高顧問に就任すると発表した。樋口氏は同日付で次のようにコメントした。
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私は、6月の株主総会をもって取締役を退任し、最高顧問に就任することを決意しました。大変長い間、会長職を務めさせていただきましたが、年齢的なことも含め、また、経営層の若返り等も鑑みて、これからは客観的に大和ハウスグループを眺めながら、気が付いたことを若い社員に伝えていきたいと考えております。
私は何よりも会社が繁栄し続けることを一番願っております。長い間、ありがとうございました。
2001年より社長、2004年より会長職として「創業者精神の継承」と「凡事徹底」を掲げ、経営の第一線において様々な経営改革を断行してきました。また、創業者 石橋信夫相談役の薫陶を受けた私が、次代の大和ハウスグループの人材を育成するべく邁進し、役職員が「多くの人々の役に立ち、喜んでいただけるサービスや商品の提供」に務められるよう、新たな価値創造にも挑戦してきました。
2017年11月より芳井敬一社長の新経営体制のもと、経営基盤やガバナンスなどを再構築し、軌道に乗ってきたところで、昨年、最高経営責任者(CEO)を芳井氏に引き継ぎました。
来年には82歳になりますので、私なりに一定の区切りをつけ、経営の第一線から退くことを社長の芳井氏に報告させていただき、本日の取締役会で決議されました。株主総会以降は、最高顧問として体力の許す範囲内で大和ハウスグループをサポートするつもりです。
これまで私が経営者として邁進できたのも、ひとえに、お客さまをはじめ、取引先様、協力会社の皆様、従業員の皆様等多くのステークホルダーに支えられたお陰であります。
これからも大和ハウスグループが、世の中に必要とされる企業となるよう、また創業者の夢である「創業100周年時に売上高10兆円の企業グループ」となるよう、切望します。
引き続き、大和ハウスグループをご愛顧賜りますようお願い申し上げます。
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記者は、樋口氏と積水ハウス元代表取締役会長兼CEO・和田勇氏、住友林業前代表取締役会長・矢野龍氏を〝大阪弁御三家〟経営者と呼んできたが、いよいよ三氏の小気味いい絶滅危惧種の大阪弁を聞く機会がなくなりそうだ。残念。
三菱地所 「大手町パークビルディング」の一部を998億円で譲渡
三菱地所は3月5日、「大手町パークビルディング」の一部を譲渡する契約を結んだと発表した。資産ポートフォリオ戦略の一環としてROAの向上を図るとともに、投下資金を回収し今後の事業資金に充てるため。
譲渡するのは同ビルの土地信託受益権準共有持分の約33.1%と、9~20階の事務所部分・店舗部分・地域冷暖房施設部分における区分所有権の共有持分の49.9%。
譲渡先は東京MN1特定目的会社、ジャパンリアルエステイト投資法人、日本オープンエンド不動産投資法人。
同ビルは土地面積約9,338㎡、29階建て延べ床面積約9,338㎡。2017年1月竣工。帳簿価額は約939億円。譲渡価額は約998億円。
東急不動産HD社長に西川弘典氏、東急不動産社長に岡田正志氏

西川氏
東急不動産ホールディングスは3月2日、新しい代表取締役社長に取締役執行役員の西川弘典氏が、現代表取締役社長の大隈郁仁氏は代表取締役にそれぞれ4月1日付で就任すると発表した。現代表取締役会長・金指潔氏は取締役会長に就任する。大隈氏は6月下旬開催予定の株主総会後の取締役会をへて代表取締役副会長に選定される予定。取締役・榊真二氏は退任する予定。
西川氏は1958年11月12日生まれ。北海道出身。1982年3月、慶應義塾大学経済学部卒。同年4月、東急不動産入社。2004年4月、リゾート事業本部 資産企画部 統括部長、2010年4月、執行役員 総務部 統括部長、2016年6月、東急不動産ホールディングス取締役専務執行役員 一般管理管掌、2019年5月、代表取締役 上級執行役員 副社長(現)などを歴任。
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岡田氏
東急不動産は3月2日、新しい代表取締役社長に取締役上級執行役員副社長・岡田正志氏が4月1日付で就任すると発表。現代表取締役社長・大隈郁仁氏は代表取締役会長に就任する。
岡田氏は1958年8月6日生まれ。岡山県出身。1982年3月、大阪大学工学部卒。同年4月、東急不動産。2010年4月、執行役員 商業施設事業本部長、2015年6月、東急不動産ホールディングス執行役員都市事業担当、2019年5月、東急不動産取締役上級執行役員副社長(現)など歴任。
三井不動産リアルティ 新社長に慶大野球部を学生野球日本一に導いた遠藤靖氏

遠藤氏
三井不動産リアルティは2月28日、新しい代表取締役社長に遠藤靖氏(現代表取締役副社長)が、現代表取締役社長・山代裕彦氏が代表取締役副会長にそれぞれ4月1日付で就任すると発表した。
遠藤氏は、1963年9月生まれ。鳥取県出身。1986年3月、慶應義塾大学経済学部卒。同年4月、三井不動産入社。2016年4月、千葉支店長などを経て、2017年4月、三井不動産リアルティ取締役専務執行役員就任、2019年4月、現任に就任。
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今回の人事異動で、元RBA野球三井不動産リアルティ助監督の吉田裕氏が執行役員に就任する。これで、同社の執行役員は遠藤氏を筆頭に常務執行役員・正木条氏、上席執行役員・石井雄二氏とともに4名となる。部長クラス以上で1チーム造れるくらい同社はRBA野球関係者が幹部を占める。
積水ハウス 世界的サステナビリティ格付け「SAM」で2年連続「Silver Class」

積水ハウスは2月6日、スイスの世界的なSRI(社会的責任投資)分野の調査・格付け会社「RobecoSAM(ロベコサム)社」(S&P Global Inc.)によるサステナビリティ格付け「SAM Sustainability Award 2020」のHomebuilding(住宅建設)部門で「Silver Class」に2年連続で選定されたと発表した。2016年からの3年連続「Gold Class」に続き、5年連続でのClass選定。
ロベコサム社は世界の3,200を超える企業の「経済」「環境」「社会」面での取り組みを評価し、61業種のそれぞれ上位15%の企業を「持続可能性に優れた企業」(日本企業は59社)、うち特に優れた企業を「Gold Class」(同2社)・「Silver Class」(同7社)・「Bronze Class」(同9社)に選定している。
ハウスメーカーで他に選定されたのは住友林業(Gold Class)、積水化学工業(Bronze Class)。
売上高は3期連続、営業利益は2期連続過去最高 東京建物2019年12月期決算 増収増益
東京建物は2月5日、2019年12月期決算を発表。売上高3,230億円(前期比18.2%増)、営業利益524億円(同12.1%増)、経常利益446億円(同6.1%増)、当期純利益297億円(同9.2%増)と増収増益。売上高は3期連続、営業利益は2期連続で過去最高を記録した。配当を前期年間35円/株から6円増配の41円/株とする予定。
ビル事業は、「ザ・スクエアホテル銀座」、「ホテルグレイスリー浅草」などの通期稼働や投資家向け物件の売却の増加が寄与して増収増益。住宅事業は、マンション計上戸数が前期の988戸から1,315戸へ大幅に増加したため増収増益。粗利益率は24.6%の高水準を維持した。
東京八重洲駅前の再開発に伴い、本社機能を「東京建物八重洲ビル」に5月7日付で移転し、「サステナビリティ委員会」を本日付で設置したと発表した。
2020年12月期は、分譲マンションの売上げ減少などから売上高3,300億円、営業利益500億円、経常利益430億円の増収減益を見込む。
同日発表した2020年度から2024年度の5年間の中期経営計画では、営業利益750億円、ROE8~10%、D/Eレシオ2.4倍程度を目指す。グロス投資額は14,000億円。
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マンションの計上戸数は期初予想の1,000戸から1,301戸(前期989戸)へ大幅に増加したのが業績に寄与したが、一方で期末完成在庫は3Qの83戸から216戸(前期94戸)へ激増した。最近ではもっとも多い戸数だ。
この数字に驚いたのだが、同社は「たまたま郊外中心に完成在庫が増えたということで、売れ行きが悪化したというわけではない。引き続き高い利益率を維持している」(広報)と説明している。分かりやすく言えば〝過度に売上げが伸びないよう〟調整したということのようだ。
この言葉を裏付けるように期末契約済み戸数は1,547戸(前期1,577戸)にのぼっている。今期は〝目玉〟になる物件がないようだが、引き続きマンション事業は好調に推移するとみた。
三菱地所 2050年のサステナビリティ経営目指すビジョン策定 RE100へ加盟
三菱地所は2月5日、2050年のサステナビリティ経営を見据えた「三菱地所グループのサステナビリティビジョン2050」を制定し、本ビジョンへのコミットメントとして「RE100」へ加盟し「TCFD提言」に賛同すると発表した。スローガンは〝Be the Ecosystem Engineers〟
「RE100」は、事業で使用する電力の再生可能エネルギー100%化にコミットする国際NGO「The Climate Group」の協働イニシアティブで、同社は2020年1月31日に加盟。2050年までに100%再生可能エネルギー活用を目指す。現在、加盟企業は221社(うち日本企業30社)。
同社は、ハウスメーカー・デベロッパーではヒューリック、旭化成ホームズ、東急不動産、大東建託、大和ハウス工業、積水ハウスに続き7社目の加盟。
「TCFD(Task Force on Climate-related Financial isclosures)」は、G20の要請を受け、金融安定理事会(FSB)により、気候関連の情報開示及び金融機関の対応をどのように行うかを検討するため設立された「気候変動関連財務情報開示タスクフォース」。
同社は、長期経営計画2030で掲げた「三菱地所グループのSDGs (Sustainable Development Goals) 2030」を「サステナビリティビジョン2050」に掲げる内容を達成するための具体的なテーマとアクションを定めるマイルストーンとして位置づける。
分譲戸建て見直し再編 流通は強化 すてきナイスグループ「改善計画・状況報告書」
すてきナイスグループは1月29日、一連の事態に対応する「改善計画・状況報告書」を策定し公表した。昨年8月23日付「第三者委員会調査報告書の受領に伴う再発防止策のお知らせ」で開示した再発防止策の骨子及び自社による原因の分析並びに再点検に基づき、新たに必要と認識した対応策が盛り込まれている。
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「改善計画・状況報告書」は資料を含めて36ページにわたる長文で、一つひとつ詳しく読んではいないが、分譲戸建て、分譲マンション、不動産流通事業などについて問題点を指摘・反省し、一定の方向性を示している。
有価証券虚偽記載・赤字決算対策を行った背景として「当社は、リーマンショックを経て、一戸建住宅部門を収益の柱にすべくさらに、一戸建住宅の販売戸数を伸ばす手段として分譲住宅に力点が置かれるようになり、分譲用の土地購入が増加」し、「平田氏は、営業部門の役職員に対し、『商品は良いのに、売れないのは、販売方法が悪い』といった指導を行い、反論・意見を述べることを認めず、自身が決めたことを徹底して行うよう要求することが多くありました」「役職員人事について、平田氏は、反対意見を述べず、自分の戦略、思いや要望を忖度し、いかに実現するかを考えて行動する役職員を重用する傾向が強く、指示に従わない役職員には懲罰とも言える人事異動等を行うことがありました」「営業部門が最も大切であり、管理部門はコストであるという平田氏の意向を背景に、管理部門軽視の企業風土が醸成されていました」などと、平田氏の独断専行の結果だとしている。
今後の各事業については、一戸建住宅部門のダウンサイジングと収益力の改善を上げ、拠点の見直しを行い、継続させる拠点を絞り込むことで、事業規模の適正化を図り、旧体制下での商品戦略・用地仕入れ・工事発注・販売方法などの見直し、収益モデルを再構築するとしている。
マンション部門については、仕入れ・開発・販売基準の見直しと明確化により、当面は50戸~100戸程度の物件を年間2棟程度分譲する方針で取り組んでいく。
既存住宅流通部門は、ここ数年、当部門から一戸建住宅部門に人員をシフトしていたため、営業基盤が弱体化していたとし、当部門に適正な人員を配置することで収益の拡大を図るとしている。
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戸建て、マンション事業について記者の考えを紹介する。
記者は2017年6月3日付記事で、「すてきナイス 三井、野村と肩を並べた分譲戸建て これからが正念場」と書いた。当時、三井不動産レジデンシャルと野村不動産が熾烈な戸建てトップ争いをしており、記者も競争をあおる記事を書いていた。
断っておくが、トップ争いと言っても、大手デベロッパー(大手デベロッパーの定義づけをどうするかもあるが)に限定したもので、年間4万戸以上も販売していた飯田グループやその他のデベロッパー、ハウスメーカーの分譲戸建てと比較したわけではない。
とはいえ、2011年3月期では207戸しか計上していなかった同社が2017年3月期に831戸に増やしたのには驚いた。このままでは三井、野村を抜くのではないかと思ったほどだ。
しかし、その後は、三井も野村も戸数を減らすことになり、ナイスも目標にした1,000戸は達成できなかった。一言でその理由言えば、圧倒的な価格の安さを誇る飯田グループとはまともに勝負できず、その他のデベロッパー、ハウスメーカーは同じ土俵、つまり、供給エリアも価格帯も同じレベルで戦わざるを得なくなり、その分だけ競争も激しくなったからだ。
そんな競争の激しいエリアですてきナイスは供給を伸ばすのは至難の業だろうと思っていた。
三井がかろうじて大手デベロッパーの中で首位をキープできているのは、バブル崩壊後は「都市型戸建」に絞り込み、一貫して供給してきたからだ。ブランド力がそもそも違い。一朝一夕でトップに立てるほど市場は甘くない。
「平田氏は、営業部門の役職員に対し、『商品は良いのに、売れないのは、販売方法が悪い』といった指導を行い、反論・意見を述べることを認めず、自身が決めたことを徹底して行うよう要求することが多くありました」とあるように、〝良いもの(のみ)が売れる〟時代でないことは平田氏も分かっているはずだ。消費者は〝ない袖は振れない〟。こんなことを言ったら身も蓋もないが、〝地獄の沙汰も金次第〟だ。
すてきナイスは、神奈川では圧倒的な知名度があるはずだ。分譲マンションも不動産仲介もまだまだ伸ばせる余地はあると思う。
マンションは、免震の強みがあるし、一時は外断熱もあった。アッパーミドルに標準を合わせれば勝てると記者は思う。他社の商品企画だって大したことない。
仲介部門はよく分からないが、もうずいぶん前、鶴見の「住まいるCafe鶴見東」を見学して驚愕した。同社ほど地域の実情に通じている不動産仲介会社はないのではないか。既存マンション仲介だってリフォームだって、絶対に負けないのではないか。地域の人に寄り添うことだ。
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今回の「改善計画・状況報告書」は、第三者委員会の報告書同様、平田氏と日暮氏に対しては改めて手厳しい批判を加えている。
しかし、世に七つの大罪とされる「貪食」、「淫蕩」、「金銭欲」、「悲嘆」、「怒り」、「怠惰」、「虚栄心」、「傲慢」のうち平田氏と日暮氏に当てはまるものほとんどない。あれほど〝大罪〟を犯しながら政治家先生はみんなしらを切り、居直り続けているではないか。
両氏はナイスとは縁を切られたが、罪を悔い改めれば、間違いなく執行猶予付きになると思う。〝木の伝道師〟として復帰する舞台は整っている。
裁判の公判日程は未定で、どうやら3月以降になりそうだ。
「新生ナイスグループ誕生の年」に 杉田社長 経営方針発表会に約1,600人(2020/1/27)

