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「新宿中村屋ビル」 

 昨日(10月27日)は、朝から記者が書いた街路樹の記事に対する賛意を示す嬉しい社員のコメントをもらい、昼は三井不動産がマネジメントした「新宿中村屋ビル」の記者見学会で中村彝(つね)などの名画を鑑賞させてもらい感動し、夕方は三井ホームの和モダンをテーマにした素晴らしい川越モデルハウスを見学できた。おまけに夜の懇親会では記者の出身高校の後輩女性記者に会うことができて舞い上がった。話すことに夢中になったおかげで深酔いもせず、興奮のあまりほとんど寝ていない割に頭は冴えている。楽しい記事が書けそうだ。 

 まず「新宿中村屋ビル」。完成した新しいビルは、三井不動産が事業主である中村屋から委託を受けて建物の開発計画の立案から設計・施工管理、テナント誘致などを行ったもので、東京メトロ丸ノ内線新宿駅と直結、地下2階地上8階建て延べ床面積約6,400㎡。中村屋がレストランなど4フロアを自社で利用し、他は「COACH」の日本初となる新コンセプト店など全12店舗が入居。10月29日にグランドオープンする。

 

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中村彝「小女」

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 「中村屋」と言えば印度カレーとパンやお菓子だろうが、是非お勧めしたいのが3階に設置された「中村屋サロン美術館」だ。「中村屋サロン」の言葉は知っており、中村彝の「小女」、鶴田吾郎の「盲目のエロシェンコ」、荻原守衛の「女」などは他の展覧会で見たことがあるが、ほかにも中村不折、高村光太郎、會津八一らの美術品約90点を所蔵していることを初めて知った。額にして数十億円に達するはずだ。

 10月29日から2015年2月15日までは、長野・碌山美術館の協力を得て特別展「中村屋サロン-ここで生まれた、ここから生まれた-」を開く。入場料は一般が300円。

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中村彝「小女」(部分)

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 中村屋のご厚意によりWebで一挙公開する。中村は印象派の影響を強く受けた画家で、ルノワールと同じ、普通の女性をモデルにした裸婦像も多く描いている。記者の好きな画家の一人。

 今回展示されてている「小女」(69.8㎝×65.3㎝)は、相馬家の長女俊子をモデルとして描いたものだ。作品に添えられている開設や館内に展示されている「中村屋サロン」の人物相関図を読むと明治末期から大正にかけての社会・政治状況などが絵を通じて伝わってくる。少し紹介する。

 中村は明治44年、中村屋の相馬愛蔵、黒光夫婦が愛蔵と同郷の荻原守衛ら芸術家・文化人を支援していたことから中村屋裏のアトリエに移り住む。そこで相馬一家と家族ぐるみの付き合いをしながら制作活動に励んだという。

 中村は俊子と結婚したかったそうで、俊子も裸体モデルになることをいとわなかったという。ところが大正3年、俊子の裸体像を展覧会に出品したところ、当時俊子が通っていた明治女学校の逆鱗に触れることとなり、相馬家と感情的な溝を作ってしまい、中村は肺を患っていたこともあり結婚はかなわず失意のうちに中村屋を去る。そして大正13年、肺結核により37歳の若さで生涯を閉じる。

 俊子は、思想家・頭山満や犬養毅からの勧めもありインド独立運動活動家・ラスビハリボースと結婚。イギリスから国外追放されていたボースをかくまうのは大変だったようで、俊子は過労のため夭折。ボースは恩返しのために印度カレーを振る舞ったことが縁となり、中村屋のインドカレーの開発につながったという。

 特別展には俊子の裸婦像習作も展示されている。浴衣から膨らみ始めた乳房が少し見え、俊子は温かいまなざしでまっすぐ中村を見つめている。小品だが静物画もいい。「小女」や「盲目のエロシェンコ」とともにこれらは必見。

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中村彝「牛乳瓶のある静物」

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中村彝「麦藁帽子の自画像」

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高村光太郎「自画像」

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中村不折「始制文字の下図」

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荻原守衛「女」

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荻原守衛「坑夫」

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會津八一「双幅:林下十年夢/湖辺一笑新」

カテゴリ: 2014年度

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第17回「木の家・こんな家に住みたい」作文コンクール表彰式

 日本木造住宅産業協会(木住協)が主催する第17回「木の家・こんな家に住みたい」作文コンクール表彰式が10月25日行われ、応募があった約24,000作品の中から入選した8作品を本人が朗読し、保護者らも感想を語った。

 作文コンクールは、小学生の1年から3年の低学年の部と、4年から6年までの高学年の部に分けそれぞれ「木の家や建物」をテーマに最大1200字以内に綴ってもらうもの。全国47都道府県と海外4カ国の日本人学校5校の1,636校から過去最多の24,079点の作品が寄せられた。

 審査の結果、国土交通大臣賞、農林水産大臣賞、文部科学大臣賞、環境大臣賞の大臣賞のほか住宅金融支援機構理事長賞、木住協会長賞、朝日小学生新聞賞、審査員特別賞、木住協支部長賞の全28点が発表された。

 冒頭挨拶した木住協・矢野龍会長は「私も皆さんの作品を読ませていただきましたが、木の家を通して、木のぬくもり、優しさ、頑丈さ、さらには将来の夢や、おじいさんおばあさんを思う優しい心、自然災害や環境問題、バリアフリーなど、どの作品も小学生らしい純粋な視点で書かれており、とても心を打たれました」と語った。

 来賓として参加した国交省住宅局住宅生産課長・林田康孝氏は「衣食住の中で住まいはもっとも大事な基盤。日本の住宅は森と木をつなぎながら独自の様式を築いてきた。日本が誇れる文化。みなさんがみずみずしい言葉で木の優しさ、香りなどを言葉にして表現されていることに驚きました。みんな素晴らしい作品」と祝辞を述べた。

 審査員を代表してイラストレーターの平松尚樹氏は「心ときめかせて審査しました。視点が広くなり太くなったのを感じました。畑に野菜の種をまくように感動の種を心に育てましょう」と講評した。

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矢野会長

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 約24,000作品も寄せられたというからすごい数だ。低学年は原稿用紙100字から1,200字、高学年は400字から1,200字が応募条件。1作品を400字原稿用紙2枚(800字)として48,000枚。小説なら世界最長、ギネスブックものだ。わが国の最長小説は中里介山の「大菩薩峠」で17,000枚といわれるから、その3倍近くだ。審査する人も大変だったはずだ。入選しなかった作品の中にも素晴らしい作品があるはずで、子どもたちはめげずにどんどん応募して欲しい。

 応募作品の多さは都道府県別で茨城県、群馬県、福島県の順。茨城県は3,226作品。入選作28作品のうち茨城県が4作品、鹿児島県が5作品、福島県が4作品で、上位3県で13作品を占めた。

 作文のテーマとして「家」というのは子どもにとってもっとも取り組みやすいはずだ。各県の教育委員会、学校が競えあえば子どもの書く力を向上させることができるのではないか。森林・林業県のわが三重県は44作品しかなかった。これは情けない。記者は小さい頃、囲炉裏で漢字や算数、村の経済・文化を学んだ。

 文科省、学校に注文するとすれば、もっと森林や樹木について教えるべきではないか。河川や草花は教科書に結構出てくるが、樹木は50種もないのではないか。われわれは木の名前を知らなすぎる。

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 表彰式は約2時間半。そのうちの過半は各賞の発表と受賞者による朗読、インタビューだった。みんな素晴らしい作品であることは、矢野氏や林田氏の話や、審査に関わった木住協担当者の「福島の作品にはもらい泣きした」という言葉からも伝わってきた。

 作文はプロジェクターでも映し出されたが、前方の人しか読めなかったのではないか。後方に設けられた記者席からは読めなかったし、子どもの朗読もほとんど聞き取れなかった。保護者の人も「内容は全然分からなかった」と話していた。

 作品は冊子としてまとめられるというが、入選作品くらいは会場で配布すればもっと理解は深まるはずだ。それにしても子どもたちは立派。途中騒ぐことも退席する子どもはほとんどいなかった。記者はいつも廊下に立たされていた。

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 【写真1】JR武蔵野線新三郷駅西口の街路樹(左がクスノキ、右がケヤキ)

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 【写真1】JR武蔵野線新三郷駅西口の街路樹(左がケヤキ、右がクスノキ)

 【写真1】は、JR武蔵野線新三郷駅西口の街路樹だ。右側と左側でかなり差が違うことが分かる。右は「ケヤキ」、左は「クスノキ」だ。「ららぽーと新三郷」が2009年にオープンした時にも植えられていたから、それから5年が経過する。当時、ずいぶん貧弱な街路樹だと思ったが、それでも5年経過して右のケヤキの樹高は10m近くになり、逆箒型に育っている。

 左のクスノキはどうか。樹高はせいぜい4mくらい。幹周りは20㎝くらいしかなかった。どうしてこんなに差が出るのか。市のみどり公園課によると「風通しが悪く生育がよくない」ということだった。

 成木は高さ20~30mにもなるのは同じだが、ケヤキは落葉樹でクスノキは常緑樹だし、樹形がまったく異なる。メインストリートの両側でそんな高木を植えるのは理解できない。これでは永遠に新三郷駅前のメインストリートの街路樹は非対称、不ぞろい。支離滅裂といっては失礼か。市が掲げる「きらりとひかる田園都市みさと~人にも企業にも選ばれる魅力的なまち~」の看板に偽りはないのか。

 しかしその一方で、写真のメインストリートの奥に左右対称の立派な円錐形をした高木が植わっているのが分かる。昭和48年に開校した市立桜小学校の敷地内に植えられているヒマラヤスギだ。樹高30mはあるはずだ。あまりにも市の街路樹とは対照的だ。

 読者の皆さんはあと20年、30年待てばケヤキもクスノキもそれくらいになるというのかもしれないが、街づくりはスピードも大事だ。せめてメインストリートくらいは街びらきの段階で立派な高木を植えてほしい。

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「LaLa新三郷」の「センペルセコイア」

 【写真2】は、三井不動産レジデンシャルの「LaLa新三郷」の敷地内のエントランス正面に植えられている高木「センペルセコイア」だ。樹高は優に10mを超えていた。ネットで調べたら、常緑樹で「世界一背の高いことで知られる」とあった。雌雄異株と理解されていたが、同じ葉っぱに雄花と雌花が咲く雌雄異花だそうだ。

 【写真3】は、「LaLa新三郷」のエントランスアプローチ部分に植えられている「セコイア」などの高木だ。セコイアも成木は数十メートルにもなる。こちらは落葉樹だ。見事な「ヤマザクラ」も植わっていた。

 さすが三井だと思った。エントランスに落葉樹ではなく常緑樹を植える-これはかつてのデベロッパーの常識だったが、同社はいまもその姿勢を貫いているのが嬉しいではないか。

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「LaLa新三郷」のエントランスアプローチ

続「街路樹が泣いている~街路樹と街を考える」流山と越谷、三郷の差(2014/10/17)

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 三井不動産リアルティは10月24日、「【住まい】クリーンアップサービス」を開始した。

 居住中の自宅、空き家になっている所有物件、相続物件の売却の際に印象をよくするため①お片付けサービス②家財道具保管サービス③不要品買取・改修サービスの3つのメニューを新たに追加する。

 同社が過去3年間に不動産の売却を行った人を対象に行った調査では、「売却過程で困ったこと」の第1位に「見学者が来る際の片づけ」、第4位に「粗大ごみの処分」があり、これらの悩みに対応するもの。

 対象エリアは首都圏で、同社仲介店舗で見積もりをしたうえでそれぞれの料金を決定する。「まるごとパック70(70㎡以下)マンション」は70,000円。

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 野村不動産アーバンネットは11月1日、「野村の仲介+(プラス)」仲介店舗「豊洲センター」と「三軒茶屋センター」の2店舗を開設する。

 「豊洲センター」は、豊洲駅から徒歩1分、江東区豊洲4-1-23 ワタベビル。「三軒茶屋センター」は、三軒茶屋駅から徒歩3分、世田谷区太子堂2-19-5 ライファービル。

 2店舗の開設によって、同社の「野村の仲介+(プラス)」部店舗数は首都圏57部店舗、関西圏4部店舗の合計61部店舗となる。

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 いつも面白いアンケート調査を行うアットホームの情報サイト「at homeVOX(アットホームボックス)」がまたまた面白いアンケートを行った。

 今回は「〝モテ〟県はどこ?」という調査で、全国の20~60歳代の男女(未既婚かは不明)1,410名(各都道府県30人)を対象に「恋人として付き合ってみたい出身都道府県」などについて聞いた。

 「恋人として付き合ってみたい出身都道府県」は男性側からすれば、1位が京都、2位が秋田、3位が東京。その理由はそれぞれ「京都弁がかわいいから」「秋田美人と言われているので」「きれいな人が多そう」。

 一方、女性は1位が東京、2位が神奈川、3位が北海道。その理由は「都会の人は自分をしっかり持っているイメージがあり格好よく見える」「ちょっとハイカラなイメージ」「ゆったりしていそうだから」。

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 三重県出身の記者も勝手なことを言わせていただく。

 三重の男性は、民主主義を重んじた政治家はいたが、総理は一人も輩出していないし、大臣になった人も少ないので正直者が多いのは確かだが、恋人として適当かどうかは分からない。

 男性にとって「恋人として付き合ってみたい女性」はわが故郷三重県の女性しかいない。これは断定できる。なにがいいかと言えば、言葉が美しい。津や四日市は知らないが、伊勢には「伊勢の『な』言葉」とあるように、語尾に「…そうやなぁ」とつけるのである。「あんた、あほ(馬鹿)やなぁ」と言われても全然腹か立たない。愛情がこもっていると感じられる。「あんた」は尊敬語で、東京で使ったら「『あんた』なんて呼ばれる筋合いはない」と若い女性に怒鳴られたことがある。家計の実権は握りながら、男性を立てる働きものも多い。

 京都の女性は、言葉は伊勢の「な言葉」に近いが、何を考えているかさっぱり分からないところがある。極めて保守的だ。2番目に結婚しようと考えた女性は京都・伏見だった。お金がないのに何度も新幹線を往復した。手も握っていないのに見事に振られた。

 最初に結婚しようと思った女性は群馬県出身だった。「花を愛せる人になって」という今でも意味不明の言葉でもって捨てられた。利根川の夕日が真っ赤な涙を流していた。

 わが社の男女にも聞いたら、もう結婚はできないだろうと思うスタッフは「京都」と言ったが、ほかは未既婚問わず「どこでもいい」と言った。これは正確ではなく「出身県など問わない」ということのようだった。

 しかし、人それぞれ生まれ育った環境は絶対に人格形成に影響を及ぼすと思う。イメージだけで人を判断しては絶対にいけない。大事なのはやはり心だと思う。若い女性にアドバイス。生粋の東京人なんてそういない。記者の知っている生粋の江戸っ子は我が強くてへそ曲がりばかり。他はみんな雑種。

 ところで、アットホームのアンケートで三重県はどの位置にランクされるのか、下位であるはずはないが…少し気になる。

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市川海老蔵氏と三井不動産 日本橋街づくり推進部長・新原昇平氏

 三井不動産グループは10月22日、被災3県の水産加工品や特産品を販売する「日本橋室町マルシェ2014」を行ない、日本橋に縁があり復興支援活動も行っている歌舞伎役者・市川海老蔵氏もゲストとして応援に駆け付けた。

 同社グループは、東日本大震災の被災地域企業が抱える経営課題解決に大手企業等の経営資源を効果的につなぐ「地域復興マッチング『結の場』」にプロジェクト実行委員会の一員として参加しており、その一環として行ったもの。

 市川氏は「震災後の翌年、陸前高田や気仙沼を訪れたが、当時は被災したままだった。いま出店されている方々から『工場はできたが、家などはまだまだ』とお聴きし、改めて風化させてはいけないし、継続して支援していくことが大事だと思う」などと話した。短いコメントの中で三度も「継続支援」を口にした。

 市川海老蔵氏は今年、「市川海老蔵古典への誘い講演」として東北三公演(岩手、宮城、福島)も行っており、震災への鎮魂と復興を願っての献華(けんげ)を行っている。

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「日本橋室町マルシェ2014」 関係者の記念写真

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 会場となった日本橋「江戸桜通り」地下歩道にはどこかで見たような男性がせわしなく動き回っていた。同社広報に聞いたら「木下です」だった。

 木下氏を忘れるなんてかなり歳をとったものだが、木下氏こそRBA野球大会の三井不動産のエース・主砲として大活躍した選手だ。元プロの庄司氏を見事三振に斬って取ったのは忘れられない。

 名刺には「復興庁 宮城復興局 政策調査官 木下豪介」とあった。「今年4月から出向しています。仙台です。二年間の予定です。家族三人一緒。『復興が遅い』と言われないよう頑張っています。不動産? 戻っても不動産の仕事ができるよう仙台支店の社員から情報は仕入れています」と話した。

 同社は復興支援のため社員を出向させており、木下氏は2人目か3人目のようだ。いい経験になると思うし、不動産事業にも生きるはずだ。木下氏は35歳。市川氏より2歳下だが、風貌は決して負けていない。

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木下氏

 会場では、今年3月、三菱地所が応援している食の復興支援活動「Rebirth東北フードプロジェクト」の新商品としてお披露目された「山椒香る金華さばとムール貝とたっぷり野菜のお椀(石巻)」も売られていた。

 記者は20+の超辛「雪の松島」、「牡蠣の塩煮」、「ほや珍味」、「ずんだ団子」などを買ったら、おまけとして「ひとめぼれ」をもらった。

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宮城のお酒コーナー

三菱地所グループ、食の東北復興支援オリジナル缶詰販売(2014/3/6)

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 新聞・雑誌の報道によると、世界の自動車メーカーで5位にランクされている韓国・現代自動車がソウルに残された最後の一等地を評価額の3倍の値段で落札したことが大きな話題になっているようだ。9月18日、ソウル江南地区にある韓国電力の本社用地をサムスンと競った競争入札で、同社が10兆5500億ウォン(1兆550億円)という破格の値段で落札したというのだ。

 これには驚いた。韓国の不動産については全く知らないが、日本では単体で1兆円を超える取引などあり得ない。記者が真っ先に思い浮かべるのは、2001年9月、三井不動産などが取得した六本木防衛庁跡地再開発「東京ミッドタウン」の約1800億円だ。入札の半年前、「落札価格は1750億円」と予想したのがほぼ的中したからだ。その後、高値落札が相次いだが、この10年間でもっとも高額だったのは三菱地所などの企業連合が落札した大阪の「梅田北ヤードA・Cブロック」の約3100億円だ。現代自動車グループが買ったのはその3~5倍以上の値段ではないか。

 いったいどういうことだろうと韓国籍の人に話を聞き、韓国の有力紙「中央日報」の日本語版記事を読んだ。

 韓国籍の人は「みんな知っていること」と旧聞であるとしながらも、「韓国では当時かなり話題になった。韓国電力の土地は開発が遅れているところ。距離的には東京と新宿くらいの差。将来性を見込まれて周辺の地価がかなり上昇している」と話した。

 「中央日報」9月19日号には「鄭夢九(チョン・モング、76)現代自動車グループ会長は金額を提示した実務陣に手を振って拒絶を示した。実務陣は下限4兆4000億ウォン(約4598億円)、上限5兆1000億ウォンの3種類のカードを提示した。サムスングループの動向に関する報告もした。しかし鄭会長は注視しなかったという。…鄭会長は自ら金額を言った」「韓国電力公社は18日、『現代車・起亜車・現代モービスのコンソーシアムにソウル三成洞の敷地(7万9342平方メートル)が落札された』と発表した。落札値は10兆5500億ウォン、3.3平方メートル(1坪)当たり4億3880万ウォンだ。寄付進呈(40%)と税金、開発費などを合わせると実質的な3.3平方メートル当たり価格は6億ウォンを越える」などとある。

 興味のある方はこの「中央日報」を読んでいただきたい。なかなか面白い。

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 韓国とわが国を比較しても意味はないが、さっそくそろばんをはじいた。わが国の地価ナンバー1は「丸ビル」だ。敷地面積は約1万㎡(3000坪)。公示地価で坪単価は約1億円だからざっと3000億円ということになる。容積率は従来1000%だったのが特例制度などの適用により現行は1594%だ。

 一方、現代が買った土地はその8倍で、坪単価は約4388万円。つまり、現代は「丸ビル」と比べ広さが8倍、総額では3.5倍だが、単価的には43%の土地を買った計算になる。1種当たりの単価はわからない。100階建てを建設するそうだから、実質的な坪単価はかなり安くなるという計算も成り立つ。

 面白いのは「寄付進呈」だ。先の「中央日報」には「現代車はソウル市に取得税などで約5000億ウォンの税金を出して、土地の40%は寄付進呈しなければならない。土地ではなくお金で支払えば1兆3000億ウォンだ。寄付進呈額は落札値ではない鑑定価格(約3兆3000億ウォン)で算定する」とある。

 韓国の「ハンギョレ新聞社」の記事によると、「結局、ソウル市に納付する金額は寄付と地方税を合わせて1兆8700億ウォン程度となり、政府とソウル市を合計すれば4兆ウォンを上回る」と書かれている。一方で、中央日報には「韓国投資証券ソ・ソンムン研究員は『現代車・起亜車・モービスが保有する現金が24兆ウォンなので財務的打撃を与える程ではない』とし、『長期的には相乗効果を出すだろう』と見通した」ともある。

 10兆5500億ウォンの土地を買ってそのうち4兆ウォン超の税金を払う-わが国では考えられない制度だ。取得した土地の40%を寄付しなければならないとなれば、それだけ地価を押し下げる要因になると思われるが、そうならないのがまた不思議だ。国が民間資金を収奪するのか、それとも官民丸抱えで開発を進めるのか。韓流(還流)とはよくいったものだ。

 これも伝聞・引用によって書いた記事だが、まさか韓国当局から摘発はされないだろう。

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「(仮称)ららぽーと立川立飛」

 三井不動産は10月20日、立飛ホールディングスと共同で開発を進めている立川市のリージョナル型ショッピングセンター「(仮称)ららぽーと立川立飛」の計画概要を発表した。

 JR中央線立川駅から多摩モノレールで2駅の立飛駅駅前に位置する延床面積約154,000㎡、店舗面積約60,000㎡の3階建て。店舗数は約240店舗、駐車場台数は約3,200台を予定。開業は2015年秋を予定。

 東京都内では「アーバンドックららぽーと豊洲」「ダイバーシティ東京プラザ」に続く3施設目のリージョナル型ショッピングモールとなる。

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【写真1】「パレットコート越谷レイクタウンリゾート」

 2年前、「街路樹が泣いている~街路樹と街を考える」記事を8回くらいにわたって書いた。もちろん、その後も外出するたびに街路樹を眺めている。街路樹を取り巻く環境は一向に改善される気配がないばかりか悪化の一途をたどっていると思わざるを得ない。そこで、昨日取材した「越谷レイクタウン」や三郷、新三郷、三郷中央、吉川美南、それとつくばEXの流山おおたかの森で見た街路樹と街の価値について書く。

 行政や関係者には耳の痛いことかもしれないが、皆さんが頑張らないと益々ひどくなるし、市民に対する「見える化」「見せる化」を図らないと街のポテンシャルは下がる一方で、激化する都市間競争に勝てないということを知っていただくことが目的であること断っておきたい。

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 【写真1】は、ポラスが昨日記者発表会を行った「パレットコート越谷レイクタウンリゾート」のモデルハウスだ。詳細は改めて書くが、全98区画の分譲地で、このうち今回分譲の30区画は「ハワイ」の街並みが開発のコンセプトになっている。

 皆さんは左側に写っている「ココスヤシ」の値段はいくらかお分かりか。記者はマンションも分譲戸建てもすぐ価格に換算する。価格がない商品なんてありえないからだ。樹木そのもの価値は分からなくとも樹木・緑が果たしている役割は大きいと思う。そこで参考までに聞いた。同社は1本の値段も教えてくれたのだが、「全体で13本植えるが、書くのなら総額は数百万円にしてほしい」といわれた。マンションの単価予想はあまり外さない記者もこれには驚いた。予想していた値段とケタが違った。

 同社はもともと分譲地の緑化・植栽には力を入れている。それだけがもちろん理由ではないが、よく売れているのも事実だ。東武野田線七光台駅前では10年前から1,035戸の分譲を始めたが最近完売したという。年間100戸というのは信じられない販売スピードだ。

 つくばEX「六町」駅圏では2年前から214区画を分譲しているが、残りは一ケタという。これまたすごい。この分譲地にはシンボルツリーとして「カツラ」が数えきれないほど植えられている。成木だと高さが20~30m、差しわたし数mになる高木だ。記者は〝こんなに植えて大丈夫か〟と思ったほどだ。六町も含め足立区内で立派な街路樹はほとんど見たことがない。

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 【写真2】「越谷レイクタウン」駅南口の街路樹

 【写真2】は、「越谷レイクタウン」駅南口の街路樹だ。この木は高さが20mくらいになる「オガタマノキ」だが、駅前は確か「ハナミズキ」だった。見て分かるようにオガタマノキは直径が数センチ、高さが数mくらいの幼木が植えられていた。ハナミズキも女性と腕相撲をしても負ける記者の腕ほどもない貧弱なものだった。ハナミズキは美しい花を咲かせるが、成木でも数mにしかならない落葉樹だ。メインストリートの街路樹として適当かどうか首をかしげざるを得ない。

 ついでながら言っておくが、駅北口のいわゆるパワービルダーが分譲した戸建てはコンクリートで覆われているからぺんぺん草も生えない。「地区計画」にはいろいろ細かい規制があるが、緑化については何もないからこのようになる。

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【写真3】 三郷駅北口のロータリーの「ケヤキ」

 【写真3】は、三郷駅北口のロータリーの「ケヤキ」だ。皆さんはこの剪定を美しいと思われるか。確かに形よく剪定されているが、どうしてこれほど剪定しないとダメなのか。ケヤキや「クスノキ」はほっといても美しい樹形を形成する。駅前ロータリーにあるケヤキの落ち葉が乱舞しようが枝が張ろうが文句をいう市民などいないはずだ。

 そこで、市のホームページでいろいろ調べてみた。市は2年前に「三郷市景観条例」を施行した。立派なものだ。街路樹の維持管理費は24年度が8,467万円だ。樹木管理維持に要した職員数は「人工」単位として「0.6」とあった。ところが市にはどのような街路樹があり、全体で何本あるのか一切記載がない。担当窓口「みどり公園課」の職員に聞いても「すぐには分からない」と返事が返ってきた。記者も知らなかったのだが、「人工」とは「ニンク」と読むことも知らなかった。本数は調べてもらって高木は約4,500本(越谷市は市域面積が大きいので約7,100本)ということが分かった。

 この職員は担当になってまだ2年しか経過していないそうで、同情の余地はあるが、これではやはり情けない。2年前に書いた戸田市の職員と一緒だ。人事をどんどん変えていく行政のシステムに問題があるし、条例そのものも「右に倣え」で魂が込められていないと思う。街路樹に対する思想・理念がなければ、「伐れ」だの「伐るな」などの素人の市民の苦情に右往左往するだけではないか。

 最初に戻る。あのケヤキの剪定にどれだけの費用がつぎ込まれているのか。市民はだれも知らないでいいのだろうか。議員も質問などしないのだろうか。市の維持管理事業に対する成果は「安全で快適な街路空間や都市環境が確保できるよう、街路樹や緑道の管理維持を行った」とわずか1行しか掲載されていない。これなら毎年、使いまわしで同じ文言で済む。

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 【写真4】「流山おおたかの森」の駅前

 【写真4】は、「流山おおたかの森」の駅前だ。先の越谷レイクタウンや三郷駅前とは異なることがよく分かる。越谷レイクタウンとは駅の開業年は3年しか違わない。おおたかの森の街路樹は立派な樹木が植えられている。

 いま駅前で三井不動産レジデンシャルの「パークホームズ流山おおたかの森ザレジデンス」(257戸)が分譲されている。坪単価は190万円だ。分譲開始から3~4か月で120戸が売れている。駅から10分の分譲戸建て「クイーンズフォレスト流山おおたかの森」(95区画)が昨年4月から建物付きで5,000~7,000万円くらいで分譲されているが、これまで58区画が契約済みだ。

 駅力が異なるので単純な比較はできないが、「越谷レイクタウン」も「吉川美南」「新三郷」「三郷中央」などの駅近マンションは坪130~150万円だ。戸建てで6,000万円を突破すれば苦戦はまぬかれないはずだ。

 記者はこの差は街並みにもあると思う。これは改めて記事にするのだが、「クイーンズフォレスト流山おおたかの森」は、2003年、それまでの「長老政治」を打ち破り市長に就任した井崎義治氏が掲げる「流山グリーンチェーン戦略」に基づいて建設されている分譲地だ。井崎市長とはもう10年くらい前になるか、街づくりについて意気投合したものだ。「柏の葉」という強豪に負けないで頑張っていらっしゃるのが嬉しい。

 とりとめのないことを書いてきたが、木だって生き物だ。醜い姿を見せられると自分を映す鏡に思えて気がめいる。国も学者先生も街路樹・緑の価値をもっと市民に分かりやすい指標を用いて定量化してほしい。

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 【写真4】「流山おおたかの森」の駅前

街路樹が泣いている(8) 奇形ばかり海浜幕張・電柱そのもの府中街道の街路樹(2012/6/5)

 

 

カテゴリ: 2014年度
 

 

 

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