
「中古・リノベーションマンション市場の動向・展望」セミナー(コスモスイニシア本社が入居する新田町ビルで)
リノベーション協議会と性能向上リノベの会は11月28日、「中古・リノベーションマンション市場の動向・展望-新築供給の構造的減少により中古・リノベが主戦場に-」と題するメディア向け業界動向セミナーを開催。冒頭、SUUMO編集長兼SUUMOリサーチセンター長・池本洋一氏が最近の新築マンション市場やストック市場、近く示される住生活基本法の重点項目などについて解説・説明し、その後、池本氏もゲストとして加わり、リノベーション協議会会長・内山博文氏がモデレーターを務め、パネリストのエフステージマーケティング企画室/ブランド事業部・伊藤洸氏、コスモスイニシア商品企画部部長・辻井正人氏、NCN環境設計部次長・東憲一氏がそれぞれの立場から現況や展望などについて話しあった。
池本氏は、新築マンション市場や中古マンション市場について説明したあと、新たな住生活基本計画ではストック活用が最大のテーマになることから、良質住宅が市場で適正に評価される取り組みが重要で、断熱性能やZEHなど〝見えない〟性能を消費者に分かりやすく伝えることが課題であると語った。
セミナーでは、〝首都圏シェア№1〟のエフステージ伊藤氏は、2024年度の売上高は336億円で、販売戸数は767戸(1戸当たり4,380万円)。2027年度は売上高500億円、販売戸数1,000戸を目指すと語った。
コスモスイニシア辻井氏は、2026年3月期のリノベーションマンション事業の売上高は255億円、売上高総利益率は16.3%を予想しており、1戸当たり販売額は約1.2億円と話した。
エヌ・シー・エヌ東氏は、同社と連携している三菱地所レジデンスは販売している中古マンションの60%超がZEH・省エネ化を実現していると話した(配布資料によると、現在、中古マンションのZEH・省エネ化率は18%)。
リノベーション住宅推進協議会(旧リノベーション住宅推進協議会)の設立は2009年。理事長には、当時業界最大手のインテリックス社長・山本卓也氏(現会長)が就任。設立趣旨に「消費者が安心て既存住宅を選べる市場をつくり、既存住宅の流通を活性化させること」とあるように、雨後の筍のように乱立し、リフォームなどほとんど行わず、買い取った中古住宅に利益を上乗せして転売する業者も多く、それらの業者と一線を画す狙いがあったようだ。
現在の会員数は745社。買取再販を手掛ける不動産業者の約3割のようだ。自主規制の「必要な改修工事を施し、その記録を住宅履歴情報として保管する」適合R(リノベーション)住宅」の累計件数は約8万件。
一方、平成29年度に施行された国の「安心R住宅」の令和6年度末の累計件数は10,942戸で、マンションが過半を占めている。

内山氏
◇ ◆ ◇
記者は、リフォーム・リノベマンションについては、2009年のタカラレーベン「ル・アール蘇我」を皮切りにデベロッパー、ハウスメーカーなど供給会社でいえば10社くらい見学取材しているが、買取再販大手のカチタス、レジデンシャル不動産、スターマイカなどはほとんど見学したことがない。
この業界についてはよくわからないのだが、矢野経済研究所は、2025年度の全国の中古住宅買取再販の成約戸数は前年比18.8%増の62,700戸を予測している。今年度の全国の中古住宅成約件数は16~17万戸くらいになると思われるので、比率は37~40%くらいか。
また、LIFULL HOME'S(ライフルホームズ)」のリリースによると、2025年4月の築31年以上の中古マンション買取再販物件の掲載割合は、首都圏が43.8%、全国では29.9%となっている。東京23区の買取再販物件の平均価格は5,231万円で、新築マンションの平均価格9,000万円と比べると約3,700万円の差があるとしている。
業界の課題は、セミナーでも話されたように、省エネ性の向上だ。国は新築住宅については2030年にZEH水準を義務化すると打ち出している。ZEH水準を満たさないマンションや分譲戸建てはもはや市場で流通しえない。中古住宅についても同様にZEH水準とすることが求められる。そうでないものは価格競争力を失うのは必至だ。
この点について、コスモスイニシアは今年7月、他社に先駆け「住宅省エネルギー性能証明書」取得率を30%にすると発表した。この30%は高いのか低いのか、内山氏に聞いたら「高い目標」「将来的(2030年)にはそうしたい思いはある」と答えたのにとどまった。
伊藤氏は、購入検討者の省エネ住宅への関心は高いものの、住宅ローン控除は選好に影響がみられないとし、この乖離を縮小するのが課題と話した。
記者は、リフォームもリノベーションも、陳腐化した間取りを一新し、建具・家具、水回り設備の更新は当たり前で、やはり熱の出入りが激しい窓の断熱化を図るべきだと思う。メーカーの開発も進んでいる。管理組合が断熱窓を採用しなくても、自己負担で取り換えることができるし、補助金も出る。省エネ・ZEH水準にすれば、ローン控除額はそうでないものより累計224万円(省エネ)、269万円(ZEH)控除額が増える。そして何より快適性が格段に向上する。
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コスモスイニシアはセミナー後、ZEH水準を取得した築19年の「芝浦アイランドグローブタワー」のメディア向け内覧会を行った。専有面積は84.92㎡で、従前は4LDKだったのを、年収にして2,000万円の共働き夫婦の入居を想定し2LDKに変更したもの。〝オーバーラップ〟と呼ぶ設計思想をコンセプトに、動線を効率的にし、それぞれの空間をシームレスにつないでいるのが特徴。LDKを22.5畳確保し、レインボーブリッジが目の前に見える部分にヌック(2畳大か)を設け、キッチンはL型に変更して仕事や趣味に生かせる空間にし、収納は1か所に集約したほか、広い土間空間を設けている。販売価格は27,500万円(坪単価1,069万円)。
「芝浦アイランド」の記事を添付する。今回販売される住戸の坪単価は276万円くらいだったと思われる。約3.8倍の上昇率だ。当初からペアガラスを採用していたのがZEH水準化を可能にした要因の一つで、天井高も2600ミリ確保されている。

ヌック(左)とLDK

玄関

キッチン天板に採用されている樹脂系のコーリアン(人造大理石系)

洗面(タオル掛けは従前は1か所)
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