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「さとづくり48」プロジェクト

 みなさん、冒頭の写真を見ていただきたい。今年度から創設された、都市の種々な課題解決や良好な環境の創造、地域の価値向上を図る先導的な取り組みなどを表彰する国土交通省「まちづくりアワード」の特別賞を受賞した、福岡県宗像市の「さとづくり48(フォーティーエイト)~宗像市日の里団地における団地再生プロジェクト~」(西部ガス・東邦レオ)の外観写真だ。

 築50年以上のUR都市機構(当時は日本住宅公団)日の里団地48号棟からネーミングされた複合生活利便施設なので、マンションではないかもしれないが、居住者と利用者が緩やかにつながり、コミュニティを形成するという理想的な街づくりが行われていると思った。

 と同時に、時代は大きく変わったのに、経済設計の均質的な田の字型プランが幅を利かすマンション市場を考えざるを得ない。記者は3年前、「時代遅れの建基法用途規制とマンション『専ら住宅』を見直すべき」の見出しの記事を書いた。「専ら住宅」を取り外せば、「さとづくり48」プロジェクトのようなマンションが実現するのではないか。

◇                  ◆     ◇

 東京都の令和2年の国勢調査データによると、総人口は14,047,594人で、単独世帯は3,625,810世帯で、一般世帯の50.3%を占め、65歳以上の単独世帯も一般世帯の1割を超え、一般世帯の1世帯当たり人員は1.9人で、2人を下回っている。

 つまり、夫婦と子どもからなる「核家族」は崩壊したとまではいわないまでも多数派ではなくなった。家族がいない単身者にとってLDKや部屋数は意味をなさないし、日照条件もたいした問題ではないはずだ。

 だとするならば、多様なニーズを限られたスペースにどのように取り込むかが商品企画のポイントになる。キッチンやトイレ、浴室の水回りをコンパクトにまとめたり、あるいは浴室をなくしたりする試みは、そうした時代の変化に対応したプランといえる。また、コロナを経て在宅勤務、テレワークに対応するのも常識となった。共用部にリモートワーク、洗濯スペースを設置するマンションが増え、東京建物は「上野」のマンションの一部を町内会に開放し、住友不動産のように賃貸だけでなく分譲タイプにもSOHO(Small Office/Home Office)を採用するのもよく理解できる。

 時代は完全に変わった。しかし、変わらないのは国土交通省のマンション標準管理規約第12条にある「区分所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない」の「専ら住宅」規制だ。

 分譲にしろ賃貸にしろ、この「専ら住宅」の規制があるから、起業家は自宅に法人登記はできず、住宅ローン・家賃支払いとオフィス賃料支払いという二重ローン・家賃負担を強いられる。その金額は少なくないはずだ。

◇        ◆     ◇

 いったい「専ら住宅」の縛りがないマンションはどれくらい存在するか考えてみた。国土交通省やマンション管理センター、マンション管理業協会に聞いたが、そのような統計は取っていないということだった。

 そこで、国土交通省の平成30年度マンション総合調査結果から、「専ら住宅」の規制がなさそうなマンションの数を推計してみた。

 それによると、管理規約がある管理組合は98.3%で、1.7%は規約そのものがないと答えている。管理規約がある組合のうち標準管理規約に準拠していない管理組合は2.8%あり、不明も9.8%ある。

 住居以外の店舗や事務所などの複合用途型のマンションは21.1%となっている。また、マンション標準管理規約認知度については「知らない」が21.5%となっており、一方で「民泊」については、「民泊を全面禁止とした」が95.2%を占めている。

 これらのデータから大胆に類推すると、「専ら住宅」の規定がないマンションは少なくとも10%はあるとみた。

 「専ら住宅」を取り外せば近隣とのトラブルが増加するという声もあるが、むしろ逆だ。居住者・利用者どうしのコミュニティを密にすればするほどトラブルは減るはずだ。マンションは地域の価値向上にどうかかわるか、デベロッパーは考えるべきだ。

西部ガス・東邦レオ「さとづくり48」にほれ込んだ 国交省 「まちづくりアワード」(2022/6/22)

時代遅れの建基法用途規制とマンション「専ら住宅」を見直すべき(2019/12/19)

 

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高松氏

 マンション管理業協会は7月14日、コロナ禍で中止になっていた恒例の記者懇談会を3年ぶりに開催。任期満了に伴う役員人事で、前理事長・岡本潮氏(東急コミュニティー特別顧問)に代わって6月7日付で新理事長に就任した高松茂氏(三井不動産レジデンシャルサービス会長)は、「岡本前理事長体制を踏襲し、今年度が最終年度である中期事業計画で掲げたマンション管理業界の成長と発展、従事者の処遇の改善・社会的評価の確立に取り組んでいく。今年4月からスタートした『マンション管理適正評価制度』の普及促進に向け職員が一丸となって説明していく」と述べた。

 マンション管理適正評価制度は、マンションの管理体制、建築・設備、管理組合収支、耐震診断、生活関連の5つのカテゴリーから構成されており、総合点を★6つ(★5つからゼロ)の段階で評価する制度。高松氏は「国との連携も図り、国の認定基準である17項目を含め30項目にわたる客観的なデータに基づき評価制度を作成した。ワンストップで評価することができるので、区分所有者のメリットは大きい」と語った。

 同協会によると、現段階で★5つ(特に優れている)が1件、★4つ(優れている)が7件、★3つ(良好)が4件、合計12件が登録済み。向こう3年間で12,000組合の登録を目標に掲げている。

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 自分が購入を検討しているマンションの管理状況を★の数によって判断できるので、とても分かりやすい制度だと思う。いったい全国のマンションストックの9割以上をカバーしている同協会会員の受託マンション約627万戸・約10万組合(令和3年4月1日現在)のうちどれくらいが登録し、★6つの分布はどうなるのか。

 同協会が掲げる3年間で12,000組合が登録すると仮定すると約1割だ。三井不動産レジデンシャルサービスは全組合に説明を行っていると高松氏が話したように、登録するのは大手デベロッパー系のマンションが中心になるはずだ。★の分布は★5つや★4つが多数を占め、★3つを加えると圧倒的多数を占めると思われる。

 これらのマンションが中古マンション市場で高い評価を受けるのは間違いないが、近隣相場と比較してどれくらいの価格アップになるかはスタートしてみないと分からない。同制度と似たものではCASBEE(東京都はマンション環境評価制度)があるが、最高ランクの「S」(都は★5つ)は極めて少なく、価格にどれだけオンされているかは不明だ。(Sは相場より少なくとも1割高の価値はあると思うが)

 問題は、★2つ以下の〝劣等生〟の評価しか受けられない管理組合はどうなるかだ。常識的に考えたら、自ら劣等生であることをまず管理組合は表明しないだろうから、登録しないと予想できる。つまり、一部の〝優良〟マンション以外はグレーゾーンとして依然として管理状況を把握するのは難しいということになる。優良物件に対するインセンティブが大きくないのも普及促進の壁になる。

 記者が危惧するのは、★2以下の劣等生の烙印を押されたマンションはいつまでたっても「優」はもちろん「良」に浮上することは不可能で、管理不全マンションは根雪のように毎年積みあがっていくのではないかということだ。

 この点について、高松理事長は「管理不全マンションは一定数存在する」と話し、同協会専務理事・広畑義久氏は「協会としてはそれらの管理不全マンションには手が出せない。自治体などがどう支援していくかだ」と語った。

 識者らの推定によると、管理不全マンションは数%存在すると言われており、全国のストック約686万戸(2021年末時点)のうち35万戸以上、数千組合が該当することになる。

 これらの管理組合に自治体などがどのような支援を行うかだが、マンションは公共財の側面がないわけではないが、基本的には私的財産だ。公的機関が財政的な支援を行うのは税の公平性からいって難しい。記者はそれらのマンションを国や自治体が買い取って、セーフティネット住宅にすればいいと思うがどうだろう。

「マンション管理適正評価制度」スタート 第1号は東急リバブルのサイト(2022/7/5)

 

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「レーベン東川口GRANDEST」

 タカラレーベンと共同事業者である埼玉建興は7月13日、埼玉県川口市で今年2月に販売を開始した「レーベン東川口GRANDEST」が6月30日に全戸完売したと発表した。

 物件は、JR武蔵野線東川口駅・東京メトロ南北線(埼玉高速鉄道埼玉スタジアム線)東川口駅から徒歩1分、川口市戸塚二丁目の商業地域に位置する18階建て全143戸。専有面積は56.14~77.13㎡。竣工予定は2023年11月中旬。設計・監理はGA建築設計社。施工は埼玉建興。デザイン監修はウイ・アンド・エフ ヴィジョン。

. 駅前ロータリーに面した、埼玉県の分譲マンションで初となる「PPP(官民連携)事業」に認定されており、(仮称)東川口駅前行政センターや交番などの公共施設が併設される。

 2021年12月にモデルルームをオープンしてから1,190件の資料請求があり、466組の来場があった。

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 価格については触れないという約束で取材し記事にもしているので、参照していただきたい。安いといえば安いし、高いといえば高いマンションだ。

 しかし、わずか4か月で完売したのだから、地元居住者をはじめ検討者はみんな〝安い〟と判断したのだろう。

 武蔵野線沿線(南浦和以東)でこれほどの規模のマンションがこれほどの短期間で完売した事例はあるか、記憶をたどっているのだが一つ思い出した。2016年分譲の京阪電鉄不動産他「ファインシティ東松戸モール&レジデンス」だ。坪単価170万円で、圧倒的な人気を呼んだ。

威力絶大PPP×企画提案力 タカラレーベン「レーベン東川口GRANDEST」(2022/3/17)

〝三方一両損〟で3,500万円の3LDKを死守 京阪電鉄不「東松戸」が大健闘(2016/8/26)

埼玉県で2件目の免震&長期優良住宅認定 三井不レジ・大栄不「パークホームズLaLa 新三郷」(2013/6/12)

大京「グランアルト越谷レイクタウン」駅前の一等地で坪単価130万円を切る模様(2012/10/24)

 

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「イニシア横浜天王町」エントランスホール

 コスモスイニシアは3月13日、3月に入居開始となったマンション「イニシア横浜天王町」(65戸)で、空間デザインブランド「parkERs(パーカーズ)」監修による暮らしに緑や花を取り入れる「Living With Green」サービスの提供を開始したと発表した。

 「Living With Green」サービスは、①切り花一輪お届けサービス(毎月一度、エントランスに配置した生花の中から一輪を自由に持ち帰れる)②専有部内植物育成相談サービス(毎月二度、エントランスホールで専有部内の植物についての育成相談ができる)③建物共用部内の植栽メンテナンスサービス(毎月二度、エントランスホールに配置した植栽のメンテナンスを行う)などからなる。

 物件は、相鉄線天王町駅から徒歩3分、横浜市保土ケ谷区天王町2丁目の近隣商業地域に位置する7階建て65戸。現在分譲中の住戸(5戸)の価格は3,658万~6,398万円、専有面積は35.00~62.15㎡。建物は2022年2月竣工済。施工は木内建設。

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建物共用部内の植栽メンテナンスサービスイメージ

 

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 いいサービスだと思う。同業他社はこのようなサービスを行っていないのだろうか。観葉植物のレンタルサービスもありうるし、嫌われものの雑草を生かすことはできないのだろうか。

 ただ、月に一度、全65戸の家庭が持ち帰れる生花はどんな花なのか。1か月も枯れない花などあるのだろうか。

 

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「オーベル千葉エアーズ」

 大成有楽不動産が分譲中の「オーベル千葉エアーズ」を見学した。東千葉駅から徒歩3分、千葉駅からでも徒歩11分の立地でありながら坪単価は200万円。即日完売してもおかしくない価格だが…。

 物件は、JR千葉駅から徒歩11分、東千葉駅から徒歩3分、千葉市中央区要町3丁目の商業地域に位置する14階建て全78戸。現在先着順で分譲中の住戸(10戸)の専有面積は66.12~74.10㎡、価格は3,298万~4,758万円(最多価格帯3,900万円台)、坪単価は200万円。竣工予定は2023年10月中旬。設計・監理・施工は長谷工コーポレーション。販売代理は長谷工アーベスト。

 現地は、地元の人に良く知られた駅弁・弁当屋の万葉軒の工場跡地で、椿森陸橋に近接。敷地の南側は道路を挟んで葭川が流れ、西側は小公園・要町公園に隣接。2階以上の住戸は全戸南向きで1フロア6戸。66㎡が中心。

 主な基本性能・設備仕様は、直床、リビング天井高2450~2500ミリ、全窓二重サッシ、食洗機、同社オリジナルの収納「O-rangeLABO(オレンジラボ)」、ホームライブラリー、クローゼット一体型スタディインクローゼット(選択制)、浴室タオル掛け1か所など。

 販売状況は、2月にホームページを開設、ゴールデンウィークにモデルルームをオープン。エントリー数は約400件で、来場者は89組。5月30日から第1期20戸を販売開始。これまでに10戸が成約・申し込み済み。

 契約者の約6割が地元居住者、他は市内や船橋市など。DINKS・プレファミリーが多く、3人家族は少ないという。

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ホームライブラリー(左)とクローゼット一体型スタディインクローゼット

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 今年に入って千葉駅圏のマンションを見学するのは、マリモ「グラディス千葉駅前」、新日本建設など5社JV「エクセレント ザ タワー」に次いで3物件目だ。マリモの物件は駅から徒歩2分、新日本建設の物件は千葉パルコの跡地。それでも坪単価は300万円に届かない。埼玉県の浦和駅や大宮駅では坪400万円をはるかに超えているのに、どうして千葉県の県都は取り残されているのか不思議だ(以前から千葉県の物件はそのような評価をされていたが…)。

 今回の物件も、現地を見るまでは信じられないような価格の安さだった。なぜ安いか。ヒントは、椿森陸橋に近接しているため二重サッシを全窓に採用していることと、中央区栄町に近いことだ。記者は名前だけは聞いていたが、栄町に足を踏み入れるのは初めてだった。ファミリー層が二の足を踏むのはよく分かる。しかし、物件を評価するのはマンション購入検討者だ。これ以上書かない。

 もう一つ、タオル掛けについて。小生と一緒に見学した他社の女性記者の方は千葉が地元で5人家族。浴室にはタオル掛けがないが、「使ったら洗濯機に投げ込むだけだから全然平気」とこともなげに話した。1日20枚くらい洗うこともあるという。

 なるほど。人はそれぞれだ。風呂に入る回数を減らす、バスタオルはもっと小型にする、使い回しをする、2度3度使う-こういう習慣のほうが合理的だと思うが、皆さんはいかがか。

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現地

坪270万円 第1期1次100戸 即完スタート 新日本建設など5社JV「ザ タワー」(2022/4/1)

坪300万円の壁厚く…駅2分のマリモ「千葉駅前」はいくらか 競合物件は早期完売狙う(2022/1/17)
 

 

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 大和地所レジデンスが先週7月4日抽選販売した期間72年の定期借地権付きマンション「ヴェレーナグラン門前仲町」(75戸)は、64戸に申し込みが入った。最高倍率は7倍で、平均倍率は1.5倍、坪単価410万円だった。申込者の6割が江東区居住者。

 現在、再登録受付中の住戸(11戸)の価格は7,148万~8,598万円(権利金4,043万3,000円~4,863万5,000円含む)、専有面積は62.54~70.06㎡。

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 現地は見学していないが、近くのホテルには宿泊したことがあるので、おおよその見当がつく。表通りから一歩入った大横川に面しており、住むにはいいところだ。

 同社は7月26日にメディア見学会を行うので、取材してレポートしたい。


 

 

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 東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は7月11日、2022年6月の首都圏の不動産流通市場の動向をまとめ発表。中古マンションの成約件数は3,003件となり、6か月連続で前年同月を下回り、成約㎡単価は66.99万円(坪単価221万円)となり、前年比12.8%の2ケタ上昇、26か月連続で上昇。成約価格も同9.2%上昇、25か月連続で前年同月を上回った。

 地域別動向では、成約件数は東京都区部以外の各地域が前年比で減少が続き、横浜・川崎市、神奈川県他、埼玉県、千葉県は6か月連続で前年同月を下回った。成約㎡単価はすべての地域が前年比で上昇が続き、東京都区部は26か月連続、横浜・川崎市と埼玉県は25か月連続、千葉県は23か月連続、神奈川県他は 19か月連続、多摩は16か月連続で前年同月を上回った。

 中古戸建住宅の成約物件は前年比13.8%減となり、6か月連続で前年同月を下回った。成約価格は同7.9%上昇し、20か月連続で前年同月を上回った。

 

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 先に国土交通省が発表した2022年5月新設住宅着工戸数に注目している。利用関係別では、持家は21,307戸(前年同月比6.9%減、6か月連続の減少)、貸家は25,942戸(同3.5%増、15か月連続の増加)、分譲住宅は19,595戸(同8.5%減、4か月ぶりの減少)となり、分譲の内訳は、マンションが7,569戸(同19.9%減、4か月ぶりの減少)、一戸建住宅が11,905戸(同0.9%増、13か月連続の増加)となっている。

 2022年1月~5月の持家は99,981戸(同7.2%減)で、分譲住宅の107,553戸(同5.2%増)を下回っている。このまま推移すれば持家は年間で2020年の26.3万戸を下回り、分譲住宅が2006年以来16年ぶりに持家を上回る可能性がある。(2006年の持家は358,519戸で、分譲住宅は379,181戸)。

 持家より上回っている分譲住宅ではあるが、戸数そのものは増えているわけではない。1~5月の着工戸数は10.8万戸(前年同期比5.2%増)で、年間で前年の24.8万戸に届くかどうかた。しかも、この数字は分譲戸建てが数字を引き上げているためで、首都圏マンションは21.898戸(前年同期比8.9%減)となっており、令和3年の48,819戸(前年比11.2%減)をさらに下回りそうだ。

 この数字が高いか低いかよく分からないが、コロナ禍で首都圏人口が減少に転じたことなどを考慮すれば、これが常態化すると見るのが正解ではないか。

 1~5月の首都圏マンション着工戸数を都県別にみると、東京都は11,126戸(前年同期比25.8%減)、神奈川県は5,304戸(同10.0%減)、埼玉県は3,183戸(同78.3%増)、千葉県は2,285戸(同65.3%増)となっており、相対的に価格水準が高い東京都と神奈川県の減少が目立ち、郊外部の埼玉、千葉で増加している。

 これは、コロナ禍でファミリー層は広さや住環境などを重視する層が増えたことを受けて、デベロッパーが用地取得を郊外部へシフトしていることをうかがわせる。郊外部の着工増がどのような影響を及ぼすかだが、かつて埼玉や千葉では年間8,000戸くらい供給されていたことを考えると、直ちに市場を乱すことにはならないのではないか。郊外部を得意としてきた中堅デベロッパーの出番ということもいえる。

 マンションの販売動向についても触れたい。不動産経済研究所の2022年5月の首都圏マンション市場動向調査によると、発売物件は146物件で、供給戸数は2,466戸、当月売却戸数は1,732戸、月間契約率は70.2%だ。

 つまり、1物件当たり平均供給戸数は16.9戸で、このうち70.2%に該当する11.9戸が売れたということになる。1棟当たりの総戸数を50戸とすると、完売まで6期かかるという計算だ。

 このことからも、「月間契約率70%以上が好調ライン」というのはあてにならない。

 同研究所の調査による5月末の販売在庫数が5,881戸という数字からも、必ずしも好調でないことをうかがわせる。この数字は決して適正在庫とは言えない。年間供給戸数を3万戸とすると2割近くが残っていることになる。「4月以降売れ足が鈍っている」というデベロッパーの声もある。

 売れるものとそうでないものの二極化が進行しているとも読み取れる。年間3,775戸を計上しながら完成在庫は82戸(2022年3月期)しかない三井不動産もあれば、2,194戸の計上戸数に対して完成在庫は661戸(同)の東急不動産のような例もある。右肩上がりの市場であれば、完成在庫増そのものは懸念材料にはならないが、周辺物件との競争力を失えば販管費の増大などで収益を圧迫する。優勝劣敗の市場は今も昔も変わらない。

 先ほど、中堅デベロッパーの出番とも書いた。大手デベロッパーにはブランド力で劣る。価格にして10%も20%も差があるのではないか。しかし、その分を補って余りある商品企画を武器にする中堅(失礼)デベロッパーは少なくない。詳しくは書かないが、大和地所レジデンス、モリモト、タカラレーベン、ポラス、新日本建設などがそうだ。記者がいまもっとも興味があるのは、そうしたデベロッパーの出現だ。

 

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 マンション管理業協会は7月5日、マンションの管理状態を★6つの段階で評価・表示する不動産情報サイトの第1号は東急リバブルとなったと発表した。

 同協会が令和3年に開発に着手した「マンション管理適正評価制度」に基づいて評価されるもので、中古マンション取引は、立地や間取り、築年数といった情報が評価・購入形成要因の主流となっており、管理状態のレベルはあまり重要視されていないのが実情。購入検討の早い段階から対象物件の管理情報が開示されることにより、適切に管理されているマンションが市場で評価されるようにするのが目的。

 評価制度は管理体制、建築・設備、管理組合収支、耐震診断、生活関連の5つのカテゴリーから構成され、総合点を「特に優れている」★5つから「優れている」★4つ、「良好」★3つ、「改善の必要あり」★2つ、「問題はあるが情報開示あり」★1つ、「(情報開示がなく)管理不全の疑いあり」★なしの6段階で表示される。評価を受けるかどうかは管理組合の任意。

 東急リバブルのホームページ「中古マンションライブラリー」(URL:https://www.livable.co.jp/mansion/library/)では常時88,000 棟以上の分譲マンションデータが公開されており、6段階評価の公表は今夏から。

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 いよいよ「マンション管理適正評価制度」がスタートする。興味深いのはどれくらいの管理組合がこの制度を利用するかだが、同協会は「普及してみないと分からない」としている。

 そして、さらに注目されるのは、6段階の分布だ。これも始まってみないと分からないが、マンション管理問題に詳しい横浜市立大学教授・齊藤広子氏は「わたしの調査では、横浜市の築30年以上のマンションのうち4%は管理不全の兆候があり、その一方で『優』(★4つ)以上は45%以上。二極化している」と報告している。だとすると、「管理不全の疑いあり」とレッテルが張られるマンションは、任意である制度を利用しない可能性もある。

 だが、しかし、そのようなマンションを積極的に購入しようという消費者は果たしているのか。結局、情報開示しないマンションは市場からパージされるのか。

 

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「ソルティア橋本」

 マリモが分譲中の「ソルティア橋本」を見学した。JR・京王相模原線橋本駅圏では初のコンパクトマンションで、今年3月から完成販売を開始し、これまで全40戸のうち30戸を成約するなど販売は順調だ。

 物件は、JR横浜線橋本駅徒歩5分、京王相模原線橋本駅徒歩6分、相模原市緑区橋本六丁目の商業地域(建ぺい率100%、容積率300%)に位置する12階建て40戸。専有面積は31.57~39.73㎡、坪単価は320万円。建物は2021年12月に完成済み。設計・監理はBond Design 一級建築士事務所。施工はCMC。販売代理はシティインデックス。

 現地は、駅前のイオン橋本店や「リビオ橋本タワー」「グラントーレ橋本」のタワーマンションに近接。駅の反対側では2027年開業予定のリニア中央新幹線の新駅&複合施設計画が進行中。

 敷地は北側と東側に接道。建物は東向き、住戸は2階からで1フロア2~4戸構成。主な基本性能・設備仕様は直床、リビング天井高2450ミリ(2階・12階)・2500ミリ(3~11階)、三ツ口コンロ(一部除く)、Low-E複層ガラス、床暖房、浴室タオル掛けなど。

 今年3月5日から販売開始し、これまで30戸を成約、1戸が成約見込みで、実質的に残りは9戸。購入者の属性は女性:男性比率は7:3。女性は20~40代で、地元に勤務する公務員や医療機関従事者が目立つという。男性は会社員が中心で、セカンド・投資需要もあるという。来場者は200件。

 同社マンション事業本部おもてなし課 マンションギャラリー所長・安江裕太氏は「お客さまは橋本をよくご存じの方が中心。リニア計画は現段階で不明ですが、資産性・換金性を訴求しています」と語っている。

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モデルルーム

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 リニア中央新幹線の詳細は不明だが、日本エスコンは再開発エリアに近接する病院跡地約7,700㎡のマンション用地を昨年取得している。140戸程度が予定されており、今秋にも分譲開始される模様だ。

 いくらになるか分からないが、坪単価は300万円をはるかに突破するはずだ。わが多摩センター駅圏ではもはや駅近の開発用地はないが、仮に供給されたら300万円台になるかどうか。

ワイドスパン、多面採光がいい リストが販売復代理の山田建設「橋本」(2020/2/20)

 

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