更なる環境配慮型 三井不レジ・三菱地所レジ「三田ガーデンヒルズ」二期販売へ
「WEST HILL棟」完成予想図
三井不動産レジデンシャルと三菱地所レジデンスは9月12日、旧逓信省簡易保険局庁舎跡地で開発を進めている「三田ガーデンヒルズ」の第二期事前案内会(完全予約制)を9月15日から開始すると発表した。
同物件は、持続可能な社会の実現に向けて既存建物と既存樹木の一部保存・再生、価値ある緑豊かな環境を維持するため約7,700㎡のランドスケープデザイン、太陽光発電設備や燃料電池の実装、全戸ZEH-Orientedの取得など、様々な環境配慮施策を実施しているが、第二期で販売予定の「WEST HILL棟」(8階建て)では、更なる環境配慮への工夫を取り入れたウェルビーイングの向上を目指した企画となっている。
特徴は、①より身近に“緑”を享受することが可能な本物件唯一の8階建て②ウェルビーイングの向上を目指した2つの「自然調和型プラン」③より快適なくらしを実現する「ライフスタイルサポート企画」の3つ。
①では、中庭のみならず、建物の西側にも豊富な植栽帯をレイアウトし、住戸面積約56㎡~約182㎡まで豊富なプランバリエーションを用意し、「大型テラス(平均面積約49㎡)」と「大型ルーフバルコニー(平均面積約44㎡)」を提案する。
②では、「カーボンニュートラルデザインプラン」と「バイオフィリックデザインプラン」の2つを用意。「カーボンニュートラルデザインプラン」では、一次エネルギー消費量削減率約53%を実現。日本家屋に見られるパッシブデザインの考え方を取り込んでいる。また、建築的なプランニングの工夫による省エネへの取り組みとして通風改善(スライドドア)、日射遮蔽(オーニング、ブラインド)、外気温中和(サーマルコンフォートスペース)、断熱強化(高断熱サッシ)、排熱利用(エネファーム)などを採用する。
「バイオフィリックデザインプラン」では、 三井不動産レジのブランドコンセプト「Life-styling × 経年優化」と三菱地所レジのブランドコンセプト「一生ものに、住む。」を元に、室内における植栽育成・配置の工夫、室内におけるインドアグリーンの視認性を高める工夫を行い、“五感”で自然を体感できる映像・環境音、照明、匂い・質感・味覚などの仕掛けを提案している。
③では、家事負荷軽減をサポートするハウスキーパー対応プラン、住戸内の簡易清掃・料理代行・食材買い物代行・洗濯、衣類整理・ネットオークションへの出品代行・コミュニケーションケアサポートなどを行う。
また、三井不動産グループの三井デザインテックと協働し、環境に配慮した建材・家具・小物などを提案する。
物件は、東京メトロ南北線・都営地下鉄大江戸線麻布十番駅から徒歩5分~7分、港区三田一丁目の第二種住居地域・第一種文教地区で建設中の敷地面積約25,246㎡、地下2階地上14階建て全1,002戸。専有面積は29.34~376.50㎡。第二期販売開始は2023年11月。竣工予定は2025年3月。設計・施工は大成建設。
「カーボンニュートラルデザインプラン」
「バイオフィリックデザインプラン」
「グリーンポケット・ハンギングプランター」
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上段は、プレス・リリースを引き写したもので、隔靴掻痒、もどかしさを覚えるが、リリースを読んだ限りでは現時点で基本性能・設備仕様レベルは最高峰だと思う(もう一つの物件もそうではないかとみているが取材は不可)。
9月20日にはプレス向けモデルルーム見学会が開催されるので、しっかり見学してレポートしたい。とくにインドアグリーン、五感で自然を感じる工夫をチェックしたい。これらは個々の物件や一つ二つくらい盛り込まれているものがあるが、全て採用されているものは過去にないはずだ。
単価について。昨年4月にプロジェクトの概要発表のリリースに対して、記者は無謀にも「坪単価は1,300万円でどうか」と書いた。アクセスが殺到し、瞬く間に1万件を突破した。いまのところどこからも苦情は届いていない。当たっているのか外れているのかも確認したい。
「LDK~コミュニケーションラウンジ」
「サーマルコンフォートスペース」
「窓型スマートディスプレイ」
坪1300万円でどうか 旧逓信省庁舎跡地の三井&三菱「三田ガーデンヒルズ」(2022/4/30)
「麻布霞町」を超えるか 三井不レジ「パークマンション三田綱町ザ フォレスト」(2014/7/4)
8月の中古マンション 成約件数は横ばいながら価格、単価は約10%上昇 レインズ
東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は9月11日、首都圏の2023年8月度の不動産流通市場動向をまとめ発表。中古マンションの成約件数は2,367件(前年同月比0.9%増)、坪単価は244.5万円(同10.1%上昇)、成約価格は4,704万円(同9.9%上昇)、専有面積は63.50㎡(同0.2%減)、築後年数は24.19年(前年同月は23.87年)となり、成約件数は3か月連続で前年同月を上回り、坪単価は20年5月から40か月連続の上昇、成約価格は20年6月から39か月連続で前年同月を上回った。
中古戸建住宅の成約件数は873件(同4.6%減)、成約価格は3,725万円(同1.4%減)、土地面積は138.36㎡(同9.1%減)、建物面積は102.68㎡(同2.4%減)、築後年数は22.62年(前年同月は22.62年)。成約件数は22年1月から20か月連続で前年同月を下回った。
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新築マンションと連動しているからだろう、中古マンションの価格(単価)上昇が続いている。成約価格は過去10年間で約85%上昇し、成約件数もほぼ毎月2,500件以上となっている。一方で、中古戸建住宅は、この10年間で約23%しか上昇しておらず、成約件数もマンションの半数以下だ。
いったいこの差は何か。マンションは、戸建てと比べ相対的に耐用年数が長く、交通便など利便性が高く、投資的価値も高いからだろうが、これほど大きな差が開くと、もっと中古戸建て市場が盛り上がっていいような気がするがどうだろう。
戸建て1棟単価4,885万円 5年間て1,000万円増 売上棟数減をカバー 積水ハウス
積水ハウスは9月8日、2023年度2Q経営計画説明会を開催。同社代表取締役社長執行役員兼CEO・仲井嘉浩氏は「2Qの営業利益1,249億円は、突出して高かった前期(1,464億円)に次ぐ過去2番目。下期は利益率の高い3rdレンジの戸建住宅の受注残も潤沢で、他のセグメントもすべてオンラインで推移しており、通期目標を達成できると考えている」と説明した。また、2026年度以降の第7次中期計画の布石としてスタートさせた「life knit design」や「SI事業」に注力していくと話した。
2024年1月期第2四半期決算は、売上高1兆4,624億円(前年同期比2.7%増)、営業利益1,249億円(同14.75減)、経常利益1,252億円(同15.2%減)、当期利益924億円(同11.15減)となった。2024年1月期の業績予想の変更はない。
仲井氏
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別表・グラフは、同社の戸建住宅の売上高、売上棟数、1棟単価、坪単価の推移を見たものだ。売上高は、このところの厳しい市況を反映してほぼ横ばいで推移している。売上棟数も同様に、2020年以降は1万戸を割り込んでいる。それでも持家の着工戸数が今年7月まで20か月連続して減少し、減少幅も令和4年度は前年度比11.8%減と2ケタ減となっていることを考えると大健闘といえる。
営業利益率は資材価格の高騰などから2022年2Qの9.5%から2023年1Qは5.9%へ3.6ポイント落ち込んだが、その後は工場出荷の平準化・価格転嫁が進み、2023年度通期では前年比0.4ポイント増の9.1%を見込んでいる。
注目すべきは1棟単価だ。2023年度2Qは4,885万円となっており、2018年度の3,875万円から約1,000万円、26.1%上昇している。同社は販売価格別で3,000万円未満を1stレンジ、3,000万円から5,000万円未満を2ndレンジ、5,000万円以上を3rdレンジに分けているが、受注棟数比率では2021年度の1stレンジが9%、3rdレンジが22%であったのに対し、2023年2Q時点では1stレンジは3%、3rdレンジは30%となっているように、ZEHの推進(2022年度のZEH比率は過去最高の93%)、スマートホームサービスなどバード・ソフト・サービスの融合が奏功している結果だ。
もう一つ、土地なしの2ndレンジ、3rdレンジの顧客向けの土地分譲事業の伸びにも注目したい。積水ハウス単独の土地分譲事業は2020年度の売上高は429億円だったのが2022年度は575億円と伸び、2023年度2Qは2022年度比59%にのぼり、積水ハウス不動産グループの仲介・不動産事業も2020年度の784億円から2022年度は1,634億円に増加している。1stレンジ顧客向けについて仲井社長は、「政府が求めている断熱性や耐震性の高い住宅を1,000万円台で作るのは難しい」と語った。価格ありきの建売住宅市場には参入しないことを改めて表明し、「SI事業」や「ノイエ」を強化するということだろうと受け止めた。
残念だったのは、記者の取材守備範囲である分譲マンションについて、歴代の社長もそうだったように、仲井社長は一言も言及しなかったことだ。記者団から質問する人もいなかった。
2023年度の売上高予想30,800億円のうち約3.6%、1,100億円でしかないマンション事業について触れないのは当然だし、メディアの方々も関心がないのかもしれないが、記者が先日見学した3階建て全6棟74戸の「The山手プロジェクト」には触れてほしかった。マンションデベロッパーのそれとはまったく異なる商品企画が見事だった。
建ぺい率40%、容積率80%の1低層に全6棟 積水ハウス「The 山手プロジェクト」(2023/9/5)
〝生活を紡ぐ(life knit)〟積水ハウスの新提案モデルハウス「HUE(ヒュー)」(2023/7/27)
性犯罪に加担し隠蔽してきたマスコミの罪は大きい ジャニーズ問題を考える
自動車保険金を不正に請求していた問題で、中古車販売大手のビッグモーターが特別調査委員会の調査報告書を公表したのは7月5日だった。また、前社長が長期にわたって反社会勢力と関係を持っていたことに関して、東証プライム市場に上場している三栄建築設計が第三者委員会の調査報告書を公表したのは8月15日だった。
そして8月29日、故ジャニー喜多川氏の性加害を巡り、ジャニーズ事務所の「外部専門家による再発防止特別チーム」による調査報告書が公表された。
記者はエンターテイメントには全く関心がなく、ジャニーズ事務所がどのような会社組織なのか知らなかったのだが、少しは知るべきだろうと思い、その報告書を読んだ。報告書は70ページ以上にわたるもので、読み進むのもためらわれるほどおぞましい性加害の実態がつづられている。
報告書が指摘する「20歳頃から80歳代半ばまでの間、性加害が間断なく頻繁かつ常習的に繰り返された事実は、ジャニー氏に顕著な性嗜好異常(パラフィリア)が存在していた」「メリー氏はジャニー氏より4歳年長の姉であり、戦前、戦中、戦後の日本とアメリカでの暮らしの中で、幼い頃から姉弟で苦楽を共にしてきた間柄である。ことにジャニー氏が2歳のときに母親が他界してからは、メリー氏は母親代わりとなって末弟のジャニー氏に愛情を注いでおり、両者の関係は姉弟というよりも母親と息子のようであった」ことを初めて知った。
そして、注目したのは「芸能事務所の経営トップでもある芸能プロデューサーが、その芸能事務所所属の中学生・高校生を中心とする未成年の同性のタレント候補(又はタレント)に対して1970年代前半から2010年代半ばまでの間の長期間にわたって性加害(強制わいせつ罪等に該当し得る犯罪行為)を繰り返し行い、その被害者数は多数に上るであろうという、極めて悪質な事件」を暴けなかった背景には「マスメディアの沈黙」があると指摘していることだ。
報告書は「ジャニー氏の性加害の問題については、過去にいくつかの週刊誌が取り上げてきたものの、2023年3月にBBCが特集番組を報道して、その後、元ジャニーズJr.が性加害の被害申告の記者会見を行うまで、多くのマスメディアが正面から取り上げてこなかった」とし、「テレビ・新聞等の日本の主だったマスメディアが性加害の事実を報道せず、その批判にさらされないという状況の下、性加害の実態を徹底的に調査してジャニー氏を解職するなど再発防止を図ることや被害者を救済することを怠った」と批判している。
4時間以上にわたった9月7日のジャニーズ事務所の記者会見も視聴した。東山紀之新社長は「人類史上最も愚かな事件」と述べた。どこかの記者の方が屋号を存続させることに対して、「スターリン株式会社やヒットラー株式会社に匹敵する」と指摘したのに、東山氏は明快に答えることはなかった。「人類史上最も愚かな事件」に加担し、隠蔽し続けてきた「マスコミの沈黙」に言及する記者は、この記者の方を除きほとんどいなかった。
その一部始終を各局はテレビドラマのように延々と垂れ流した。会見を視聴していて、東山氏や前社長のジュリー氏が悲劇を演じる役者にみえた。茶番劇ではないかと。
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この問題に関するマスコミの社説、コメントもチェックした。以下の通りだ。
「メディアも真価を問われる局面となった」「これまでの経緯の検証をしないままジャニーズに関わり続けることは、朝日新聞を含め、もはや許されない」(9月9日付朝日新聞社説)
「国際社会に向けて発信された国辱的な『事件』である」(8月8日付産経新聞主張)「(報告書の)この厳しい指摘には、抗すべき言葉もない。産経新聞をはじめとする新聞、テレビがこの問題の報道に及び腰であったことは事実である」(8月31日付同)
「多くの未成年者が被害にあう中で、メディアとしての役割を十分に果たしていなかったと自省しています。より深く真実に迫ろうとする姿勢を改めて徹底し、取材や番組制作に取り組んでまいります」(9月7日付NHKコメント)
「『(報告書で)マスメディアが正面から取り上げてこなかった』などと指摘したことを重く受け止め、性加害などの人権侵害は、あってはならないという姿勢で報道してまいります」(9月7日付日本テレビコメント)
皆さんはどう読まれたか。朝日新聞はやや踏み込んでいるが、みんな何だかよそ事のようにとらえている。「国辱的な『事件』」を起こしたのはマスコミ自身ではないのか。
作家・作家・辺見庸氏は著書「言葉と死」(毎日新聞社、2007年刊)でマスコミの「社説」について次のように書いている。
「ごくまれな例外を除き、新聞の社説というものが発する、ときとして鼻が曲がるほどの悪臭。読まなくても、べっして困ることはないのだし、中身のつまらぬことは分かりきっているのだから、いっそ読まずにおけばいいのだけれど、ひとたび向きあってしまえば、必ず鼻につく、独特の嫌み、空々しさ、絵にかいたような偽善、嘘臭さ…。あれは、いったい、なにに起因するのだろうか。…世すぎとして言説をもてあそぶ者たちの、無責任な論法と卑怯な立ち居振る舞いを、なによりも新聞社説が象徴していると、まずは難じたくなる。あの古臭く酸化した表現の土壌では、言説のおおかたが、つとに根腐れしているのである」(214ページ)
辺見氏は同著で次のようにも指摘する。「ひとつの芝居が、もはや喜劇の域を超えて悲劇に変じつつある。メディアは、ここは敢えて(アジサイの)花色を変えず、時代の病理を執拗に摘出すべきなのだが、反対に、時代とどこまでも淫らなチークダンスを踊るばかりなのである」(212ページ)「アジサイの花言葉も、そういえば、『高慢』であった」(213ページ)
これら今回の3件の事件に共通するのは、一人の権力者とその同族の暴走を、誰も止められなかったということだ。順法精神など欠片もなく、ガバナンスは全く機能しておらず、取締役も任務を懈怠していたことが白日の下にさらされたわけだ。こうも矢継ぎ早に信じられない事件・犯罪が起きると、これはもう氷山の一角ではないかと思えてくる。なんともやるせない。
もう一人、記者がもっとも好きな作家・丸山健二氏の最新作「BLACK HIBISCUS Ⅱ」(いぬわし書房)の一節を紹介する。
「経済優先の基本に端を発する 非道徳性と違法性にくるまれた厳命を受けたからには 自らを欺くしかないという 勤め人たちの憐れな立場が繁栄の裏に透けて見え」(321ページ)-本質を突いたアイロニーに絶句するほかない。
坪800万円をはるかに突破? 三菱地所レジ フラッグシップの「代々木大山」
「ザ・パークハウス 代々木大山レジデンス」
三菱地所レジデンスは9月8日、「ザ・パークハウス」のフラッグシップマンションと位置付ける「ザ・パークハウス 代々木大山レジデンス」のモデルルームを2023年10月7日にオープンすると発表。同日、メディア向け見学会を行った。坪単価は最寄り駅の代々木上原駅圏の最高値となる800万円を超える可能性が高い。
物件は、東京メトロ千代田線・小田急電鉄小田原線代々木上原駅から徒歩7分、京王新線幡ヶ谷駅から徒歩11分、渋谷区大山町の第2種低層住居専用地域(建ぺい率60%、容積率200%)に位置する敷地面積約8,002㎡、地下1階・地上4階建て全140戸(募集対象外住戸7戸含む)。専有面積は63.05~153.13㎡、価格は未定。販売予定は2023年11月中旬。竣工予定は2025年11月下旬。施工は東亜建設工業。デザイン監修はSKM設計計画事務所
現地は、駅からなだらかな坂を登った標高40mのヒルトップに位置。比高差約1.5層の西下がりの傾斜地。従前は企業社宅。敷地南側は道路を挟んで第一種低層住居専用地域、北側は代々木大山公園。
建物は、南向きのSouth Hillを中心に、東向きのEast Hill、南向き・北向きのNorth Hillの3棟構成。ガラスを多用した陰翳のあるファサードデザインを採用している。建物の絶対高さ規制12mを受けている。
主な基本性能・設備仕様は、ZEH-Oriented認定取得予定、全熱交換式換気システム、全33タイプ平均専有面積92㎡、リビング天井高2500ミリ、奥行き約3mバルコニー、奥行き3~7mテラス、食洗機、ディスポーザー、全戸戸別宅配ロッカー、スロップシンク、共用施設はワークスペース、パーティールーム、ホールドルーム、ルーフトップテラス、ゴルフレンジ、ゲストルームなど。
見学会に臨んだ同社執行役員・岡橋志郎氏は「直近のマンション市場は、当社はマイナーだが『三田』『WORLD TOWER(浜松町)』などが飛ぶように売れており、投資マインドが高まっている。今回の物件は『住む』をコンセプトに、長く住んでいただき、愛着を持っていただけるよう企画した。当社の代表的な物件になるのは間違いない。環境にも配慮しており、住み心地がよく、その先に資産価値がある」などと挨拶した。
物件概要について説明した同社プロジェクト開発部開発第四グループ リーダー・安達圭史郎氏は「希少性高い唯一無二のフラッグシップになりうる。デザイン監修にSKMさんを起用して、どのシーンをとっても象徴的なデザインになるよう企画した。オーダーメイドにも対応する」と語った。
販売概要について説明した同社販売二部販売第二グループ主幹・渡邊聡氏は「年内に南棟と東棟を分譲する。ターゲットは地元のオーナー経営者をはじめ港区や世田谷区居住の方など。多様なニーズに応える。6月27日にホームページを立ち上げてから反響は約2,800件。オンラインによる事前説明会を8月に行い、参加者は960件。近く3回目を実施するが申し込みは200件入っている。『大山』アドレス、100㎡超などに関心を持たれている方が多い」などと話した。
左から渡邊氏、安達氏、岡橋氏
センタースクエア
木調グランドエントランス
◇ ◆ ◇
3氏は〝フラッグシップ〟〝唯一無二〟を連発した。話を聴きながら相当力が入っていることは分かったのだが、105㎡のモデルルームを見学して、その力の入れようは半端でないことを確認した。
玄関を入っていきなり突板〝ナグリ〟仕上げ(一部はシート張り)のシューズインクロークや居室、リビングドアドア、壁が目に飛び込んで来た。織り上げ天井のLDKは約23.5畳大、奥行き3mのバルコニーに面したKは約4.9畳大、L型の約100畳大の主寝室・約8.7畳大もよくできている。食洗機はMiele、水栓はグローエ。家具・調度品・衣類などはエルメスで統一されていたようだ(記者は、あの鮮やかなオレンジの箱がエルメスであることを知ってはいるが、その価値はさっぱりわからない)。ガラスを多用したファサードデザインも秀逸だ。
坪単価について。記者は最高の立地であることから、代々木上原駅圏では最高値となる坪800万円と踏んでいた。記者からの質問に同社は、南棟3階住戸の85㎡住戸が2.3億~2.6億円台、南棟108㎡住戸が3.3億~3.6億円台の予定であるし説明した。ざっと計算すると坪1,000万円前後だ。
これらのほか、地階住戸や中庭に面した住戸の単価は低くなりそうだが、記者予想の坪800万円をはるかに突破する可能性が高い。完敗を認めざるを得ない。この前は、積水ハウスの坪700万円をはるかに突破し、グロスが2億、3億、5億の横浜・山手のモデルルームを見学したが、単価はバブル期のそれに限りなく近づきつつある。
モデルルーム
主寝室
〝ナグリ〟仕上げのドア
エルメスのコーヒーカップ
バルコニー
代々木上原の1低層 デザイン性高く借景見事 小田急不・大和ハ・地所レジ「上原」(2021/3/11)
駅4分の1低層 息をのむほど美しいサペリの建具 三菱地所レジ「代々木上原」(2018/12/14)
三井レジ他「パークコート渋谷大山町」 低層住宅街の大規模 単価は470万円(2014/12/3)
神宮外苑再開発の撤回を ICOMOS(イコモス=国際記念物遺跡会議)が警告
ICOMOS(イコモス=国際記念物遺跡会議)は9月7日、神宮外苑地区再開発事業の撤回を求めるHeritage Alert(ヘリテージ・アラート)を発出した。
ヘリテージ・アラートは、「再開発により、都心の貴重なオアシスに超高層ビルが建設され、野球場、ラグビー場が解体、新設される。これに伴い、9月から開始される第一期工事だけでも、3,000本の樹木が伐採・移植され、100年にわたり育まれてきた森は、完膚無きまでに破壊される」「神宮外苑は、市民の献金と労働奉仕により創り出された世界の公園史でも類例のない文化的資産である」としている。
このため、「三井不動産、明治神宮、日本スポーツ振興協会、伊藤忠商事は、速やかに再開発事業の撤回を行い、国際的企業、宗教法人、公明正大なスポーツ推進者としての社会的責務を遂行すべきである」「東京都は、都市計画公園を削除し、超高層ビルを建設することにより、永久に市民が公園を使用する権利を剥奪したという重大事に鑑み、都市計画決定の見直しを行い、環境アセスメントの再審を行うべきである」としている。
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上段は、ICOMOS JAPAN(日本イコモス国内委員会)のホームページに掲載されている日本語訳の一部をそのままコピペしたものだ。
「Alert」は、スマホが突如けたたましく鳴り響く緊急地震速報や、弾道ミサイルが日本の領土・領海に落下する可能性、または領土・領海の上空を通過する可能性がある場合に発令されるJアラートで知ってはいるが、「100年にわたり育まれてきた森は、完膚無きまでに破壊される」「永久に市民が公園を使用する権利を剥奪した」などと強い調子で警告しているのにいささか驚いた。
〝先物買い〟になるか レベル高い 大和地所レジ・三菱地所レジ「鎌倉深沢」
「ヴェレーナシティ鎌倉深沢」
大和地所レジデンスと三菱地所レジデンスが近く分譲開始する「ヴェレーナシティ鎌倉深沢」モデルルームを見学した。2028年度の街開きを目指す、鎌倉市役所本庁の移転も計画されている約31haの大規模区画整理地内に隣接し、直線距離にして約1,200m先にはJR東海道線の新駅も計画されている。〝先物買い〟となるが、圧倒的な人気を呼ぶ可能性を秘めていると見た。
物件は、湘南モノレール湘南深沢駅から徒歩7分、鎌倉市寺分字上陣出の第一種住居地域(建ぺい率60%、容積率200%)に位置する8階建て全158戸(他にパーティールーム&キッズスペース、オーナーズラウンジ・ワーキングスペースなど)。9月中旬に分譲する第1期1次(9戸)の予定価格は5,100万円台~8,400万円台。竣工予定は2024年11月中旬。設計・監理はプラスデコ 一級建築士事務所。施工は馬淵建設。デザイン監修はインターデザイン・小寺源太郎氏。
現地は確認していないが、街の将来性は担保されているようだ。隣接地には旧国鉄と市役所が所有する約31haの土地の大規模区画整理事業「深沢地区」が予定されており、市役所本庁舎のほか商業施設、業務施設、行政施設、住宅などが整備される。また、現地から直線距離にして約1,200m先には2032年開業を目指す東海道線の新駅も計画されている。
敷地は、比高差約3mの南傾斜地で、三菱電機の社宅跡地。建物は、高さ規制20mの地域にあるため8階建てに抑えられており、南向きを中心に東向き、西向きの3棟構成。オール3LDKで、平均専有面積は74㎡。
主な基本性能・設備仕様は、ZEH-M Oriented認定、BELS最高等級(エネルギー消費量36%削減)、二重床・二重天井、リビング天井高2400ミリ、ディススポーザー、食洗機、御影石キッチンカウンター、ローシルエットトイレ(グロー自閉単水栓付き)、ミストサウナ、Low-Eガラス、リビングダイニング+居室床暖房、メーターモジュール廊下、スロップシンクなど。
販売担当の大和地所レジデンス課長・早川慶氏は、「7月に物件ホームページを開設してからエントリー数は400件。モデルルームオープンは8月28日で、これまで2週間の来場者は満席の90件。うち半数は鎌倉に縁のある方」と語った。
天井高2750ミリのスキップフロア住戸
オープンエアリビング&専用庭
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物件名でも分かるように、幹事会社は大和地所レジデンスだ。記者はマンションデベロッパーを「大手」と「中堅」に分けるのは好きではないが、仮に「大手」をいわゆるメジャー7とすれば、「中堅」のデベロッパーが幹事会社となる物件は極めて少ない。理由は言わずもがな。すぐに思い出せるのはモリモトくらいだ。同社はこれまで東急不動産、三菱地所レジデンス、丸紅などとのJVマンションを供給している。
大和地所レジデンスがメジャー7と組み、幹事会社となるのは今回が初めてという。同社が三菱地所レジに声を掛けたのではなく、従前の土地所有者が三菱電機だったためか、その逆のようだ。商品企画は、大和地所レジのそれで、間違いなく水準以上だ。
坪単価について。見学する前は坪250万円くらいではないかとはじいた。所在地は鎌倉市とはいえ、最寄り駅は湘南モノレール湘南深沢駅だからだ。
早川氏に話を聞くうちに上方修正した。比較検討したのは羽沢横浜国大駅から徒歩1分の、坪単価340万円でも好調の日鉄興和不動産「リビオタワー羽沢横浜国大」(357戸)だ。
「羽沢横浜」は駅に近く、商品企画レベルは高いが、駅周辺には小さな飲み屋が1軒あるだけで、他にはなにもない。それと比較したら、今回の「鎌倉深沢」の方がはるかに価値は高いと踏んだ。問題は、区画整理の街開きまで5年、JR新駅開業まで10年もあることだ。これをどう読むかだが、単価は記者が予想する範囲内に落ち着きそうだ。
参考までに紹介すると、大和地所レジデンスが昨年5月に分譲開始した湘南深沢駅から徒歩3分の「ヴェレーナ鎌倉深沢」(97戸)は坪単価250万円台で完売したという。
余談。早川氏から物件の説明を受けていたときだ。ウルトラファインバブルを生成する「キレイスト」を採用すると聞いた。いかにスグレモノであるかはくどくどと書かないが、その効果に記者は驚愕したことがある。これで手を洗うと(肌もそうだろう)、見違えるほどきれいになった。
早川氏もまた自宅をリフォームして「ウルトラファインバブル」を採用したというので、手の甲をさすってみた。老人斑か死斑かやけどの痕かは判然としない、骨と皮だけの、年を取ると静脈が浮き出る(ハンドペイン)が甚だしい小生の手とは比較にはならないだろうが、例えていえば搗き立てほやほやの餅、あるいは握手のし過ぎでふやけた政治家の手か。写真も添付する。(ただし、早川氏の手の甲が「ウルトラファインバブル」のお陰であることを証明するものではない。念のため)
モデルルームの組子格子のデザイン
汚い手をお見せして申し訳ない。左の写真の右手が「マイクロバブル」で洗った記者の手、右の写真の上が記者の手、下が早川氏の手
駅1分の利便性・資産性受けたか 県外が5割 日鉄興和「羽沢横浜国大」好調スタート(2022/6/25)
タカラレーベン 所在地が全て異なる「北戸田駅」3物件 立地よく販売好調(2021/6/29)
CO2排出量収支200%削減を目指す賃貸住宅の実証実験開始 大和ハウスなど
イメージ図
大和ハウス工業と大和リビングは9月5日、エネルギー事業を展開するサンワ(本社:群馬県前橋市)とともに、雨天時でも約10日間の停電に対応可能な、ネット・カーボンマイナス賃貸住宅の実用化に向けた実証実験を「(仮称)エコンフォート前橋駒形」で開始すると発表した。一般的な賃貸住宅と比較してCO2排出量収支200%削減を目指す。実証実験は2023年12月27日から2025年12月26日までの2年間。
実証実験では「全天候型3電池連携システム」と「カーボンニュートラルLPガス」を採用。前者は、太陽光発電システムとエネファーム、家庭用リチウムイオン蓄電池を大和ハウス工業が開発した「切換盤」で連携させることで、停電時の電力と給湯を確保するとともに、通常時の光熱費を削減するシステム。
後者は、原料採取から最終利用までの全ての過程で排出されるCO2を植林や森林管理などによる環境保全活動などにより差し引き、実質「ゼロ」とみなすことができるプロパンガス。
双方を採用することで、通常時はエネファームで発電した電力に加え、昼間は太陽光発電システムで発電した電力を家庭内で使用することができ、停電時には、家庭用リチウムイオン蓄電池が非常用電源として生活に必要な電力を供給し、雨天でも約10日間の電力と給湯を確保する。
「(仮称)エコンフォート前橋駒形」は、群馬県前橋市駒形町に位置する軽量鉄骨造・地上2 階建て2棟16戸で、総延床面積は935.78㎡。専用面積は52.51~64.46㎡。事業主はサンワ。設計・施工は大和ハウス工業。着工は2023年7月14日、竣工予定は2023年12月6日。全戸「ZEH」仕様、かつ住棟単位で「ZEH-M」の基準を満たし、「BELS」による第三者認証を取得している。
三井不 1,000億円のグリーンボンド発行 サステナブルファイナンス累計7,000億円超
「日本橋室町三井タワー」(左)と「日本橋三井タワー」
三井不動産は9月6日、「日本橋室町三井タワー」と「日本橋三井タワー」の2物件に係るリファイナンスを資金使途とする総額1,000億円のグリーンボンドを発行すると発表した。
グリーンボンド発行は、2023年6月の「東京ミッドタウン八重洲 八重洲セントラルタワー」、「Otemachi One タワー」、「日本橋室町三井タワー」に続く5回目となり、グリーンボンドを含むサステナブルファイナンスの累計額は7,000億円超となり、国内不動産会社として最大規模となる。
三井不動産グループ初 木造4階建てカーボンゼロの賃貸「北千束MOCXION」完成
「パークアクシス北千束MOCXION」
三井不動産レジデンシャルと三井ホームは9月5日、同社グループ初の木造4階建てカーボンゼロ賃貸マンション「パークアクシス北千束MOCXION」が竣工したことに伴う記者見学会を行った。「木」を構造材に用いることで、鉄筋コンクリート(RC)造と比較して建築時のCO2排出量を約50%削減し、再生可能エネルギーの一括受電とオール電化によりCO2排出量を実質ゼロにする。
「北千束」は、三井不動産レジデンシャルが事業主で、設計・施工を担当した三井ホームの木造「MOCXION」技術により、全フロアの構造部材に木を採用し、RCと同様の高気密・高断熱を実現した。共用部の一部には三井不動産グループの保有林から採取した木材を使用している。三井不動産レジデンシャルリースが運営する。
再生可能エネルギーの一括受電×オール電化と「太陽光パネル」の設置によりCO2排出量実質ゼロと創エネを実現。「LEED®認証」のほかBELS に基づく評価「ZEH-M Ready」を取得。国土交通省「優良木造建築物等整備推進事業」にも採択されている。
物件は、東急大井町線北千束駅から徒歩4分、大田区北千束二丁目の第一種中高層住居専用地域(建ぺい率40%、容積率200%)に位置する木造(枠組壁工法)4階建て33戸。専用面積は28.12~54.95㎡。家賃は129,000円~313,000円。平均坪賃料は1.7万円。竣工は2023年8月31日。事業主は三井不動産レジデンシャル。設計・施工は三井ホーム。
耐火・断熱・遮音性能を高めるため界壁厚380ミリ、界床厚490ミリ確保しており、RC造以上の厚さとなっているのが課題のようだ。(柱・梁型はでないが)
見学会では、遮音性能LH55、LL45をクリアしている界床の性能を確認できるよう、実験装置を使って、子どもがバタバタと飛び跳ねる音と同じくらいの音を上階でたて、下階ではどのように聞こえるか体験できるコーナーが設けられていた。記者はまったく聞こえなかった(他の若い記者の方はかすかに聞こえているとのことだった)。
賃料設定は、近隣相場より1割増の坪賃料1.7万円。募集を開始したばかりだが、3戸に申し込みが入っている。
「MOCXION INAGI(モクシオン稲城)」で行っている全館空調の実証実験のデータは収集しているが、実用化にはまだ時間がかかることを明らかにした。
木調バルコニー、ルーバーデザインを施した外観
木調庇デザイン
本物のカバザクラを採用した共用部分の天井
〝三井の森〟から採取した木片を共用部分の壁に採用
◇ ◆ ◇
記者は、わが国で一番美しい女性は吉永小百合さんで、もっとも美しい木造住宅を建てるのは三井ホームだと信じて疑わないのだが、同社の「MOCXION INAGI(モクシオン稲城)」を取材したとき、同社技術研究所研究開発グループマネージャー・小松弘昭氏が「現しにしないといけないというのは木造コンプレックスの裏返し。木の性能、コストなど科学的・合理的なことのほうが大事」と言い放ったアフォリズムがその後ずっと頭の片隅に棲みつき、ことあるごとに〝お前はまだその呪縛から解き放たれないのか〟という叱声がよみがえり、責め苦となっている。
今回も現しを期待はしていなかったが、やはり外観も内観もボードやらクロスなどケミカル製品にほとんどが覆われ、鉄やコンクリ造となんら変わらなかった。歌舞伎の女形は理解できるのだが、赤子の柔肌のように美しい木をなぜ覆い隠すのかさっぱり分からない。
気になったのは、にもかかわらず、プレス・リリース、説明資料にはCO2削減など木造が果たす経済的価値だけでなく、「1階の風除室からエントランスホール、共用部ラウンジの天井には、天然木である赤樺の仕上」「木調庇」「木目のバルコニースラブと縦ルーバーを外観デザインの軸として、『木』を強調するデザイン」「『木』ならではの安らぎを共用部で感じていただけるよう、共用ラウンジの壁面に三井不動産グループ保有林から採取した木材を使用」「木のぬくもりが心地よい」「木の香りに癒される」「室内の湿度を調整する」などと「木」(調を含めて)の効果を強調していることだ。
この建物に入居者は木のぬくもりや香りによって癒されるのか、「木調」デザインは「木」そのもののデザインと同じ効果をもたらすのか。家賃設定は相場の1割増と言うのは「木」の価値を価格に転嫁したためか。
小松さんは、あれ以来発表会には〝お現し〟にならない。もう一度、現しがもたらす効果・価値は経済的価値と比べれば低位なのか、しっかり説明してほしい。小生の呪縛を解いていただきたい。一日千秋の思いでお待ち申し上げております。(それでも小生を説き伏せることは無理だと思うが)
界壁(左)と界床
賃料は「調布並み」でも申し込み殺到 三井ホーム「稲城」の木造5階建て賃貸(2021/12/9)
外貌の呪縛を解き放つか 「現しを求めるのは木造コンプレックス」三井ホーム小松氏(2021/12/9)