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 国土交通省は2月27日、第5回「標準管理規約の見直し及び管理計画認定制度のあり方に関するワーキンググループ」(座長:齊藤広子・横浜市立大学国際教養学部教授)を開催。管理計画認定制度の更なる普及・促進にむけて、管理計画認定基準の見直しの方向性や管理計画認定制度の今後の方向性などについて論議が交わされた。次回は3月26日で、最終とりまとめが行われる予定。

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 記者は、適正な管理・運営が行われている中古マンションが市場で適正な評価を受けられるよう、管理状況を★5つで評価・表示するマンション管理業協会のマンション管理適正評価制度に期待はしているのだが、自治体が主導している管理計画認定制度そのものがよく分からない。前回も書いた通りだ。

 今回の会合で、管理計画認定制度の普及が進まないのは管理会社の協力が得られないからという旨の指摘もあったが、これは当たらない。マンション管理協は自らの制度の普及に懸命で、自治体の制度普及に協力する余裕などないはずだ。

 また、長期修繕計画の積み立て方式について論議されたが、これも記者はよく分からない。建物と居住者の2つの老いに加え、加速度的に進む人口減少社会の中で、マンション管理、修繕積立金制度はどうあるべきか、行政はどこまで踏み込むべきか分からないからだ。

 分からないといえば、修繕積立金の額そのものもそうだ。国土交通省が5年ごとに調査を行っている「マンション総合調査」の直近の平成30年度のデータによると、月/㎡当たりの管理費の総額(駐車場使用料・専用使用料からの充当額を含む)は平均217円となっている。また、月/㎡当たりの修繕積立金の総収入額(駐車場使用料・専用使用料からの充当額を含む)は平均179円となっている。

 この数値が管理費や修繕積立金の額の多寡を判断する目安となるが、現実のマンションではあまり参考にならない。全てを足してその数で割った平均値でしかないからである。言うまでもなく、一口にマンションといっても、地域、戸数規模、エレベータや駐車場の有無、管理レベルによって管理費や修繕積立金の額は異なってくる。建物の維持・管理に必要な適正な修繕積立金の額はいくらなのか、答えられる人など一人もいないはずだ。

 その額が分からないのに、基準額を定め、段階増額積立方式の初期額が均等額の0.6とか最終額が1.1倍とかを示したところで、単なる目安にしかならない。

 ある委員の方が、長期修繕計画に関する資格制度を設けてはどうかと発言したが、これは一法かもしれない。AIを活用すれば、様々な数値を入力するだけで修繕積立金の額を瞬時にはじき出してくれるのではないか。

 また、管理計画認定制度の登録の有無を売買契約の際の重要事項説項目に加えるか加えないかの発言もあった。制度の目的は、マンションの管理不全を防止し、適正に管理・運営されているマンションが市場で適正に評価されることにあるとすれば、登録のお墨付きが実効あるものにすることが先決だ。

反社への譲渡禁止を マンションの実態把握していない自治体が圧倒的多数 国交省会合(2024/2/1)

 

 


 

 

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全景パース(提供:グラングリーン大阪開発事業者)

 三菱地所を代表企業とするグラングリーン大阪開発事業者JV9社(構成企業:三菱地所、大阪ガス都市開発、オリックス不動産、関電不動産開発、積水ハウス、竹中工務店、阪急阪神電鉄、大林組)は2月26日、JR大阪駅前で開発を進めるうめきた2期地区開発事業「グラングリーン大阪(GRAND GREEN OSAKA)」の先行まちびらき日を2024年9月6日に決定しし、事業者JVの組成する「一般社団法人うめきたMMO」(MMO)がうめきた公園指定管理者として指定されたと発表した。

 MMOは、JR大阪駅前に誕生する約45,000㎡の「うめきた公園」のパークマネジメントとまち全体のエリアマネジメントを一体的に行う目的で2023年6月1日に設立された。今回の決定を受け、2024年9月6日から「うめきた公園」の指定管理を開始する。

 パークマネジメントとエリアマネジメントの一体的な取り組みとして、公園と民地での植栽管理水準の統一による良質な景観形成、周辺道路の管理運営・利活用の連動、イベントなどによるまち全体の賑わい形成、まちの魅力と企業価値を共に成長させる。

 プロジェクトは、オフィス、ホテル、中核機能施設、商業施設、都市公園、住宅を有する複合開発事業。先行まちびらき時には、うめきた公園の一部(サウスパークの全面・ノースパークの一部)、北街区のホテル「キャノピーbyヒルトン大阪梅田」、商業施設、中核機能施設「JAM BASE」がオープン予定。

青々とした天然芝を舞台に、日常を彩るプレイスメイキングを展開「提供:グラングリーン大阪開発事業者」.jpg
青々とした天然芝を舞台に、日常を彩るプレイスメイキングを展開(提供:グラングリーン大阪開発事業者)

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うめきた公園サウスパーク(提供:グラングリーン大阪開発事業者)

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先行まちびらき範囲(平面図)

〝ぶっ飛んだみどり〟だけでない 「グラングリーン大阪」タワマンに絶句(2023/10/12)

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「クリオ横濱鶴見セントラルマークス」

 明和地所が分譲中の「クリオ横濱鶴見セントラルマークス」を見学した。同社のマンションを見学するのは久々だが、リニューアルした「クリオ ライフスタイルサロン横浜」の3つのモデルルームはよくできており、「鶴見」はワイドスパンの間取りがいい。

 物件は、JR鶴見駅・京急本線京急鶴見駅から徒歩5分、横浜市鶴見区鶴見中央一丁目の商業地域に位置する11階建て全41戸。専有面積は60.07~75.00㎡、3月末に分譲予定の第2期1次(4戸)の価格は未定だが、坪単価は350~360万円になる模様。竣工予定は2025年4月下旬。設計は共同エンジニアリング。施工は小俣組。

 昨年10月から販売を開始しており、これまで約7割が成約済み。地元だけでなく、東京都大田区などの都内居住者も目立つという。

 現地は、JRと京急線からそれぞれ徒歩5分。鶴見神社に近接。建物は敷地東側と北側に接道。1フロア4戸構成で、南東角住戸以外は北側リビング。主な基本性能・設備仕様は、ZEH-M Oriented、直床(水回り部分は二重床・二重天井)、リビング天井高2400ミリ、フィオレストーンキッチンカウンター、食洗機、リビング&1居室床暖房など。6800~8790ミリのワイドスパンが特徴。

 販売担当者によると、鶴見エリアは港北ニュータウン、二俣川・鶴ヶ峰、上大岡とともに、市内にある4エリアの副都心の一つで、東京都にもっとも近いにも関わらず相対的に価格が安いことなどから盛り上がっているとのことだった。同社の物件のほかにも鶴見エリアでは坪300万円台の前半から中盤にかけての物件が結構供給されており、いずれも販売は順調のようだ。

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「クリオ ライフスタイルサロン横浜」100㎡超モデルルーム

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 現地は、幅員21.9mの区役所前通りが敷地の北西側に走っており、南側の隣地にも中層マンションが建っているので、坪単価は400万円を割り、350万円くらいなら売れるだろうと踏んだ。その通りだった。区役所前通りは交通量も多いが、駅からのアクセスは商業地域であるにもかかわらず信号は一つもなく、交通量も多くない。リーズナブルな価格設定だと思う。

 取材のために訪れた「ライフスタイルサロン横浜」は半年前にリニューアルしたとかで、約40㎡のコンパクトタイプ、70㎡超のワイドスパンのファミリータイプ、100㎡超の富裕層向けもよくできていた。

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 鶴見駅圏では、松尾工務店が本社の隣接地でマンションを今春に分譲する。敷地北側に第一京浜が走っているのは難点だが、三方道路の一等地だ。坪単価は400万円を突破するのではないか。販売代理は伊藤忠ハウジング。取材を申し込んでレポートしたい。

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現地

和モダン見事に表現出色の出来アクタス・モデルルーム明和地所「川越大手町」(2022/10/15)

 

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節(しみ)ひとつない長さ約9メートルのすべすべ肌の北山杉(2階)

 ナイスの本社ビル木質化リノベーションの一つである本社屋外装木質化と、北山杉を活用した階段手摺り・家具などを見学した。木質化リノベーションは2022年から進められているもので、そのとき見学取材しているのだが、また新たな木の魅力に触れることができた。

 本社ビルの外装木質化工事は2023年12月に完成。スギ本来の長所を維持しつつ表面硬度を高めた同社オリジナルの「GywoodⓇ」、耐久性の高い飫肥杉の赤身部分のみを用いた「ObiREDⓇ」、凸凹形状を生み出す「凸凹GywoodⓇ」技術を採用し、木の持つあたたかみを演出したもので、木材使用量は約11.2㎥、炭素貯蔵量は二単価酸素換算で6.5t-CO2。塗装を施した部分と無塗装の部分に分け、経年による変化を検証し、需要拡大、商品開発に生かす。

 北山杉の活用は、北山林業の持続的かつ健全な発展や、北山杉の利用促進に関する相互連携等を図ることを目的に締結された「建築物等における北山杉の利用促進協定」に基づいて実施されたもので、2023年2月に完成。1階ロビーや2階の接客スペースに北山杉の磨き丸太(枝締め・本仕込み)が採用されている。

 北山丸太は、昭和以降に和室の床柱としてピーク時の平成元年には約24万本が生産されたが、和室の減少により需要が低迷し、育林から加工まで一般的な丸太の数倍以上の手間がかかる後継者の高齢化、担い手不足から技術の伝承が大きな課題といわれている。

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北山杉の1階手摺り

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外装木質化

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 百聞は一見に如かずとはこのことを言う。北山杉は東山魁夷の版画、その他写真・映像などでたくさん見てきたが、実際に仔細に眺め、触れ、香りをかぐのは初めてだった。もう50数年も昔の、あのすべやかなしみ一つない絹肌の、まさに芳紀十八、乙女とのほろ苦い出会いがよみがえった。

 育林から加工まで一般的な丸太の数倍以上の手間がかかるという600年の歴史を持つわが国の伝統技術の凄さも伝わってきた。

 「枝締め」とは「伐採する前の年の冬11~3月頃、枝を適度に打ち落として太りを抑えます。こうすることで木肌が引き締まり、表面の干割れを抑え、また色艶、光沢を良くする効果が得られる」(京都北山丸太生産協同組合ホームページ)作業のことで、「本仕込み」とは「伐採した丸太を山で立たせたままの状態で皮を剥き、天日で乾燥させるもの」(京都市ホームページ)とある。

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北山杉を用いたソファ、テーブル

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外装

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外装

素晴らしいの一語 市民に開放を ナイス 本社ビル木質化リノベ/対照的な歩道の雑草(2022/6/27)

 

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「みなとみらい21中央地区 52街区開発事業」

大和ハウス工業と光優は221日、世界初のゲームアートミュージアム、地域熱供給プラント、オフィスを併設した「みなとみらい21中央地区 52街区開発事業」を222日に着工すると発表した。

事業は、「中央地区」「新港地区」「横浜駅東口地区」から構成される「みなとみらい 21地区」で一番広い「中央地区」での開発で、横浜高速鉄道みなとみらい線新高島駅から徒歩約2分、横浜駅から徒歩約10分に位置する敷地面積約11,818㎡、29階建てオフィス棟と3階建てミュージアム棟の延べ床面積約113,898㎡。設計は久米設計。事業主はオフィス棟がDKみなとみらい 52街区特定目的会社、ミュージアム棟が光優。施工はフジタ・大和ハウス工業特定建設工事共同企業体。着工は20242 22日。竣工予定は2027530日。オープン予定は20277月。

敷地の南側には世界初となる最先端のCG技術を用いた体験もできるミュージアム、敷地の北側には様々な業種に対応可能なオフィスと店舗などを構えるオフィス棟、地下には脱炭素社会の実現に向け、地域熱供給プラントを設置する。

また、ミュージアム棟とオフィス棟の間にデッキを設け、周辺の街区との繋がりも形成するなど、『まちを楽しむ回遊性の強化と国際的魅力あふれるビジネス・文化・交流複合拠点を整備した「SMARTOASIS」の実現』をコンセプトに、事業全体の緑地率約 30%を目指す。

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「テラスモール湘南」からみた「THE TOWER 湘南辻堂」(以下、写真提供は全て「THE TOWER湘南辻堂」)

 リストグループのリストデベロップメントは2月22日、JR辻堂駅前の商住一体開発の「THE TOWER 湘南辻堂」のメディア向け見学会を行った。価格は非公表だが、最近の信じられないような価格高騰、辻堂海岸が一望できる〝駅近〟の立地条件などを考慮すると坪単価は400万円を突破するとみた。

 物件は、JR辻堂駅南口から徒歩2分、藤沢市辻堂三丁目の商業地域に位置する29階建て全196戸(一般販売対象外住戸24戸含む)。専有面積は34.90~92.83㎡、価格は未定。竣工予定は2025年9月中旬。外観、住宅エントランスなどのデザイン監修はグラマラス(森田恭通氏)。設計監修は久米設計。設計は久米開発プロデュース、フィールド・デザイン・アーキテクツ一級建築士事務所。施工は鴻池組。販売開始は5月。

 12月から広告を開始し、これまで問い合わせ件数は4,000件。地元が中心だが、約1,000件は都内から。

 現地は、2009年分譲の20階建て「リストレジデンス辻堂タワー」以来のタワーマンションで、高さ約98.90mはエリア最高峰。駅とは2階部分のペデストリアンデッキで結ばれる。建物は内廊下方式を採用し、1~3階と低層棟は商業施設、住戸は4階以上。住戸プランは、辻堂海岸が見渡せる南向きと反対の北向きがほぼ半々か。タイプは1R:約5%、1LDK:約20%、2LDK:約30%、3LDK:約35%、4LDK:約10%。

 主な基本性能・設備仕様は、リビング天井高2500ミリ、ディスポーザー、食洗機など。共用施設はワークラウンジやオーナーズラウンジ、ゲストルームなど。

 見学会で同社経営戦略室課長代理・鈴木篤氏は「5年前に計画はスタート。地権者の方々と対話を重ね、多様な価値観を呼び込み、街の活性化につなげるよう多彩なプランを用意した。森田氏のデザインにもその狙いは表れている。価格は公表できないが、1億円前後が中心となる」と話した。

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外観

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エントランス

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 販売事務所に設置されている模型の外観は、グレーの隔て板以外はほとんどが白。タワーマンションで外観全体が白で美しい物件を見た記憶がない。このデザインは受けるのではないか。とにかく美しい。

 森田氏は「建築物はどうしても、人間のスケールよりも大きなものになってしまい、時に圧というものが出てくるので、その圧を払拭させるような軽やかさを意識しました。そういう意味で『呼吸』というワードが常にテーマになりました」「全体的に、素材やマテリアル、色を極力減らし、カラースキームを強いものを使わず、『シンプルでナチュラルでモダン』を意識しました」と、同社のデザインインタビューで答えている。

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 肝心の価格は公表されなかったが、価格について触れない記事は気が抜けたビールか、冷めた紅茶、夫婦仲だと思うので、外れるのを承知の上で予想する。

 辻堂といえば、駅北側の商業施設「テラスモール湘南」は魅力的だし、何といっても駅直結というのはインパクトがある。湘南の駅近マンションは軒並み坪300万円を超えてきていることを考えれば、常識的には坪400万円を突破しても不思議ではない。モデルルームに充てられている83㎡の東南角住戸の知要望は素晴らしい。このタイプは坪500万円でも人気を呼ぶと見た。北向き住戸の下層階は坪400万円を割るはずだが、均すとやはり坪400万円を突破すると読んだ。27~29階の3フロア12戸は一般分譲の対象外だが、地元の富裕層がターゲットか。ひょっとすると成約のめどが立っているかもしれない。都内居住者の需要開拓が早期完売のカギを握る。

 以下は余談。モデルルームを見学中の時だった。確か生まれが湘南で、小生が若手のホープとして期待している業界紙のA記者(35)が、誰も聞かないのに数年前に「プレミスト辻堂」の70㎡台を坪210万円で買ったと明かし、「そのうちの大半はかみさんのぬいぐるみやコスメ、ジーカワ、キャラクターに占領されている。さ買い換え? 売ればローンを支払って1,000万円は残るが、買えるかどうか…明日(23日)はディズニーに行くが、かみさんは『遠い』とぼやいている」などとしゃべった。

 Aさんよ、プレミストはいい物件だ。あなたの年収じゃ北向きのワンルームがやっと。浦安、新浦安も同様。買い替えを考えるより、粗大ごみとして捨てられないよう考えたほうがいい。

1階天井高2800ミリ、30㎡のルーフテラス付き9戸 日本エスコン「茅ヶ崎東海岸」(2023/6/19)

大和ハウス 湘南最大級全914戸の「プレミスト湘南辻堂」が完成(2021/1/22)

 

 


 

 

 三菱地所と三菱地所ハウスネットは2月22日、ChatGPTを活用した住まいのAI査定サービス(ベータ版)の試験運用を2月20日から開始したと発表した。

 サービスの対象となるのは、住宅系会員組織「三菱地所のレジデンスクラブ」の一部会員で、顧客が営業担当者に質問するような双方向コミュニケーションが可能で、住まいの価格査定結果をはじめ、住まいの所在エリアのマーケット状況、類似物件の売出事例などの情報を提供する。ベータ版の質問は選択式だが、今後フリーテキストでの入力も検討予定。将来的には、対象の会員を広げることや会員以外も利用できるサービスを展開することも検討している。

 両社は2023年9月、住宅購入検討者向けサービス「KAUnSELL(カウンセル)」を共同開発したが、技術開発に当たってはプライスハブルジャパン(PriceHubble Japan)の支援を受けている。PriceHubbleは、スイスを拠点とする200名を超えるスタッフが在籍する不動産テック企業で、デジタルソリューションは全世界1,300社以上に採用されている。

 

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「KIZUKIの家 南桜井」

 昨日(2月22日)の午前中は、新宿駅から1時間以上かかる東武野田線南桜井駅のポラスグループの分譲戸建てを、午後は南桜井駅から約2時間のリストの「辻堂」のマンション(モデルルームは藤沢駅)をそれぞれ見学した。取材時間はそれぞれ1時間くらいだったが、移動に4時間以上かかった。価格はというと、前者は約30坪で3,000万円前後、後者はこの価格ではワンルームの34.90㎡すら買えない〝駅近〟のタワーマンションだ。「南桜井」から先に紹介する。

 ポラスグループの分譲戸建ては、東武野田線(東武アーバンパークライン)南桜井駅から徒歩17分、春日部市西金野井字愛宕の第一種低層住居専用地域(従前は農地)に位置するポラスタウン開発の「KIZUKIの家 南桜井」(全26棟)。土地面積は110.06~132.44㎡、建物面積は93.15~101.70㎡、価格は2,480万~3,380万円。昨年11月17日から販売を開始し、これまで供給した第1・2期18戸のうち9戸が成約済み。残りの8戸は2月23日から販売する。

 「KIZUKI」は、18歳の高校3年生の息子さんと8歳の小学3年生の娘さんを子育て中のフルタイムで働く“家事と暮らしの研究家” 中山あいこさんとコラボした、日々の暮らしの中で感じるストレスを一つひとつ検証して得た〝気づき〟を商品企画に反映したもの。2019年に供給した「川口」(3棟)を皮切りに、これまでさいたま市内の5現場で供給しており、春日部市では初の物件。子どものおもちゃや衣服、カバンなどを簡単に収納でき、棚やハンガーパイプは高さを変えることが容易な「ずぼらクロゼット」は2022年のグッドデザイン賞を受賞している。

 モデルハウスは2棟で、1棟は調理しながら子どもの様子がうかがえる小上がり付きのマルチコーナー(3.4帖大)、メイクや洗濯干し、アイロンがけなども可能な脱衣場、ずぼらクロゼット、大きめのゴミ箱スペース、土間収納などが特徴。

 もう1棟は、エントランス-土間収納-ずぼらクロゼット-パントリー-LDK(16.3帖大)の動線に工夫を凝らし、ランドリールームを広く取り、2階の主寝室(7.1帖大)とベッドルーム(5.2帖大)のほか、もう一つのベッドルーム(9.5帖大)は間仕切りで2ベッドルームにも変更が可能。

 見学会で中山さんは、「どうすれば家事動線・効率がよくなるかを2013年からブログで発信しており、3月には3冊目の書籍も発売されます。建築の専門ではありませんが、常識にとらわれない提案が共感を呼んでいます」と語った。

 販売担当の同社埼玉中央営業所営業課主任・岩瀬純平氏は、「通常の建売住宅の概念を変えられる物件。ありえない価格の安さと『KIZUKI』の訴求ポイントが多いのが特徴。モデルハウスが完成するまでにこれだけ成約が進んでいる。最終3期を販売開始するが、完売のめどが立った」と話した。

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 大きな収穫が2つ。一つは中山さんの説明がとても分かりやすく、提案意図がモデルハウスにしっかり具現化されていたことだ。家事・育児経験者はみんなストンと腑に落ちるはずだ。「辻堂」の取材があったので質疑応答の時間までいられなかったのだが、マンションは分譲価格の高騰で収納スペースが削られ、平均専有面積は昭和50年代の約20坪まで退行・縮小している現状をどう思うか中山さんには聞きたかった。

 もう一つは、「通常の建売住宅の概念を変える」と強調した岩瀬氏の説明が完ぺきだったことだ。岩瀬氏は同社野球部のエースとして〝孤軍奮投〟してきた。最近は肩やら肘の痛みから3回あたりで降板することが多くなったが、ポラスグループ全体の販売エースになれるのではないか。「ありえない価格」とも話したが、基本性能・設備仕様は決して低くない。

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左から3人目が岩瀬氏、その隣が中山さん

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内観パース(1号棟)

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内観パース(2号棟)

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 東武アーバンパークラインについて。同線は建売住宅供給のメッカだった。昭和50~60年代にかけて、同駅もそうだが川間、春日部、豊春、七光台、愛宕、梅郷、江戸川台、初石、豊四季、柏、六実などで年間数千戸が供給されていた。バブル期の南桜井は4,000万円台、5,000万円台ではなかったか。

 この日の日経平均株価終値は3万9,098円をつけ、過去最高値の1989年12月29日の38,915円を更新したが、同沿線の建売住宅の価格は当時の6~7掛けではないか。自治体も事業会社も沿線の魅力を伝えきれていない。大宮、春日部、流山おおたかの森、柏、新鎌ヶ谷、船橋でJR・私鉄と接続できる利便性と緑が多い住環境を考えたらもっと高くても売れると思うが…。

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モデルハウス(1号棟)

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2号棟モデルハウス

ポラス逆転勝ち 〝ノーコン〟の汚名返上 岩瀬1死球のみ完投 次があるオープンハウス(2019/6/13)

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「ザ・パークハウス 等々力」

 三菱地所レジデンスは2月20日、国分寺崖線の南端の第一種低層住居専用地域に位置する「ザ・パークハウス 等々力」を3月上旬から第一期の販売を開始すると発表した。

 物件は、東急大井町線等々力駅・上野毛駅から徒歩8分、世田谷区中町1丁目の第一種低層住居専用地域(1低層)に位置する敷地面積約3,625㎡、地上3階地下1階建て全39戸。専有面積は70.27~133.57㎡、価格は未定。施工は熊谷組。竣工予定は2025年2月上旬。

 主な特徴は、①「等々力渓谷」に近接する風致地区に立地②大型犬飼育可能なプラン(6戸)を設け、ドッグパークやペットルームも設置③全館空調システム「マンションエアロテック」を導入④33%超を緑地化し、生物多様性保全のための取り組み「ビオネット・イニシアチブ」、ZEH-M Oriented の採用-など。

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エントランス

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外観

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 昨年11月に見学取材した同社の「ザ・パークハウス 上野毛テラス」(29戸)もいい物件だったが、国分寺崖線がすぐそばで、1低層の全館空調付きであることを考えると、価格はこちらのほうが間違いなく高くなる。

 等々力崖線がアプローチのマンションは過去に1件見たかどうかだ。真夏の気温は5~6度は低い。こんなマンションを買いたい。取材を申し込んで記事にしたい。受けてくれるかどうか。

全戸全居室に無垢材フローリング&ZEH認定 三菱地所レジ「上野毛テラス」(2023/11/10)

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「モンドミオ沖縄リゾート ライカムヒルズ」

大和ハウス工業は216日、民泊として賃貸が可能で二拠点居住も想定した沖縄県の分譲マンション「モンドミオ沖縄リゾート ライカムヒルズ」の第12次(20戸)の販売を217日から開始すると発表した。

物件は、沖縄県中頭郡北中城村に位置する敷地面積約5,204㎡、14階建て全129戸。専有面積は63.10113.41㎡、第12次(20戸)の専有面積は63.22113.41㎡、価格は3,938万円~14,098万円。竣工予定は20259月。施工は村本建設。

 「モンドミオ リゾートスタイル」は、所有者が住宅宿泊事業者となり、民泊として賃貸が可能で、二拠点生活を前提としたセカンドハウス利用も可能。2024120日から第一期1次として50戸を販売開始しており、契約者の約5割は首都圏を中心とした沖縄県外在住という。

現地は、中城湾を見渡す標高90mの高台に立地。県内最大の商業施設のイオンモール沖縄ライカム、中部徳州会病院、北中城村民体育館、ライカム煌保育園などが徒歩圏。建物は「ZEH-M Oriented」仕様とし、建築物省エネルギー性能表示制度「BELS」による第三者認証で最高等級を取得。管理会社が管理組合運営を行う「第三者管理方式」を導入する。共用施設としてゴルフシミュレーターを設置したゴルフラウンジやプレイラウンジ、BBQテラスなどを備える。

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 同社は単価を公表していないが、価格からして坪単価は300万円台の半ばではないか。これが高いか安いかさっぱりわからないが、この種の民泊対応が可能な所有権付きマンションや分譲ホテル・分譲コンドミニアムが今後どうなるのかに興味がわく。

 沖縄県では、サンフロンティア不動産が20212月に分譲コンドミニアムホテル「HIYORIオーシャンリゾート沖縄」(客室数:203室)を開業した。坪単価は350万円くらいで、開業時までにほぼ完売した。

 このほか、サンケイビルと東急不動産は昨年12月、箱根町仙石原の「BLISSTIA(ブリスティア)箱根仙石原」63室(ホテルコンドミニアム38室、ホテルレジデンス25室)を開業した。2016年竣工の「フォーシーズンズホテルレジデンス京都」180室(ホテルゲストルーム123室、レジデンス57室)のレジデンスは現在13室が分譲中で、専有面積は83.64130.28㎡、価格は46,380万~75,443万円だ。坪単価は1,800万円超だ。201912月竣工の「パーク ハイアット ニセコ HANAZONOレジデンス」(113戸)は現在、坪単価1,000万円以上で売買されているようだ。

今後の物件では、リストデベロップメントが202412月に長野県白馬村でホテルコンドミニアム「ラヴィーニュ白馬 by 温故知新」38室を開業する。専有面積は53.96144.89㎡、第1期(13室)の価格は8,350万円~27,340万円。坪単価は600万円くらいか。

また、ビーロットが箱根芦ノ湖畔に面した国立公園内の敷地面積約33,000㎡で「箱根芦ノ湖ホテルコンドミニアムプロジェクト」を推進している。ホテル(NAGAYA53室とヴィラ(VILLA)21室で構成される。

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このような新しいタイプのホテル・マンションの台頭で、気になるのはバブル崩壊により市場が崩壊した首都圏近郊のリゾートマンションの行方だ。湯河原、箱根、熱海、伊東、下田、河口湖、軽井沢、湯沢、草津、鴨川…トータルすると数万戸に上るはずだ。空き家対策、二拠点居住と絡めさせれば復活・再生はあるのか。

リスト ホテルコンド「(仮称)ラヴィーニュ白馬by 温故知新」来冬開業(2023/12/13

ビーロット 創業来最大の事業 芦ノ湖畔の一等地で分譲ホテル74PJ始動(2021/8/24

サンフロンティア 所有と投資を両立させたホテルコンド「沖縄」開業 販売も順調(2021/2/23

 

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