子どもの芸術家(画家)の芽を摘まないで ポラス 第5回おえかきコンクール表彰式
(左上) 中内 晃次郎代表取締役、(左下) 若色 欣爾審査委員長、(右)受賞されたお子さん
ポラスグループのポラスは11月18日、「第5回ポラスグループおえかきコンクール」(後援:越谷市、さいたま市、草加市、松戸市、松戸市教育委員会、柏市、流山市、吉川市、審査員長:若色欣爾・越谷市住まい・まちづくり協議会会長)の表彰式を開催した。受賞した697作品は11月24日(金)から「ポラスグループおえかきコンクール」ホームページに公開するほか越谷市、松戸市、さいたま市、草加市、流山市の公共施設で展示される。
コンクールは、「住んでみたい夢の家・街」をテーマに2023年4月1日から9 月8日にかけて全国の未就学児を対象に作品募集を開始し、2,366作品(第4回は2,521作品)の応募があった。審査の結果、特別賞17作品、特別優良賞20作品、優良賞160作品、奨励賞500作品を選んだ。
ポラスクループ代表・中内晃次郎氏は表彰式で次のように挨拶した。
「今年もどのような作品が見られるかとても楽しみにしていたところ、全国各地から2,366点と、大変多くのご応募をいただきました。どれも描きたい気持ちが画用紙いっぱいにあふれ、子どもならではの自由な発想で、まさに『夢の家・街』が生き生きと表現されています。大人では考えつかないような作品ばかりで元気いっぱいに描いている様子が伝わり、微笑ましい気持ちになりました。
このコンクールを通して『おえかき』の楽しさを発見し、お子様達の創造力や表現力のさらなる成長に繋がればと願っております。そして、この体験を通して描くことに楽しさを見出し、ご家族一緒に心豊かなコミュニケーションを楽しんでいただけたのでしたら、尚、幸いです」
左から審査員⾧賞 花川咲杜ちゃん(5歳)、越谷市⾧賞齋藤りんちゃん(5歳)、さいたま市⾧賞武藤双葉ちゃん(6歳)
左から草加市⾧賞 関根大志ちゃん(5歳)、松戸市⾧賞 千葉理緒ちゃん(4歳)、松戸市教育⾧賞 佐久間和ちゃん(5歳)
左から柏市⾧賞 安田友葉ちゃん(6歳)、流山市⾧賞 稲垣衣音ちゃん(6歳)、吉川市⾧賞 藤波かん太ちゃん(5歳)
左から越谷市住まい・まちづくり協議会賞 堀元聡太ちゃん(6歳)、同 千葉誠也ちゃん(2歳)、越谷美術協会賞 塚田幸之真ちゃん(5歳)
左から越谷美術協会賞 下山乃愛ちゃん(3歳)、森と木の住まい賞 間下愛香莉ちゃん(5歳)、同 佐々木望吏ちゃん(4歳)
左からポラス審査員賞 中島櫂ちゃん(6歳)、同 福木智遥ちゃん(3歳)
【ポラス_リリース】「第5回ポラスグループおえかきコンクール」表彰式を開催しました
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同社の「おえかきコンクール」の表彰式を見学するのは3度目だ。この種のコンクールでは、毎年50万前後の作品が集まるものもあるが、数はもちろんのこと、入賞したとか入賞しなかったことなど問題ではない。みんな芸術家の素質を秘めている。
子育てに完全に失敗した小生に語る資格はないが、だからこそ世のお父さん、お母さん、保育園・幼稚園の先生方にお願いだ。豊かな子どもの感受性、想像力を摘み取らないで頂きたい。小生の下の息子が4歳のとき、水槽の金魚を「お父さん、金魚が口紅をつけているよ」と、雨が降って来たら「お父さん、お空が泣いているよ」と話したのを今でも忘れない。
何が大事かといえば、その能力を開花させる後押しだと思う。そのために必要なのは、身近なモノ(一番いいのは動植物ではないか)を顕微鏡のごとく観察し、触り、匂いを嗅ぎ、音を聞き、ときには齧らせ、自分で考える力を身に着けさせることだ。その際心がけたいことはとにかく褒めることだ。そして毎日365日、書く(描く)ことを習慣づけさせることだ(今年100歳になった義母は一日も欠かさず日記をつけている。昼は旧字「晝」を使っているのにびっくりした)
同社のプレス・リリースと特別賞17作品を添付した。作品はみんな素晴らしい。素晴らしいが、会場に展示されていた160の優良賞の中にもこれらに匹敵する作品がたくさんあった。小生の目が届いた範囲でその5点を紹介する。17作品と見比べていただきたい。(みんなごめんね。きれいに写っていないのは、おじさんの腕と安物のカメラのせいで、じつぷっはとても素晴らしい)小生も50歳くらいまで絵を描いてきた。多少の審美眼を持ち合わせている。大人になるとよく見せようとテクニックに走りがちになる好例(悪例)を示すために小生の作品も添付する。
左から優良賞 竹中葵ちゃん(5歳)、池内智史ちゃん(6歳)、谷藤諒太朗ちゃん(6歳)
左から関口侑奈ちゃん(4歳)、清川湊崎ちゃん(5歳)
会場に展示された優良賞
小生の作品(6号 油絵)
未就学児対象「第4回ポラスグループおえかきコンクール」表彰式 応募は約2,500作(2022/10/17)
ポラスグループ 第2回おえかきコンクール 昨年の2.5倍の808点の応募 全作品を公開(2020/10/27)
わずか2か月で全戸数481戸の6割強の第1期295戸を成約 大和ハウス「昭島」
「プレミスト昭島 モリパークレジデンス」
大和ハウス工業は11月16日、今年9月から販売を開始した「プレミスト昭島 モリパークレジデンス」(全481戸)の第1期1・2次295戸が2カ月で完売し、第2期1次(76戸)の販売を11月17日から開始したと発表した。
第1期1・2次(295戸)の販売開始は9月9日からで、専有面積は56.57~89.08㎡、価格は3,798万~8,098万円(最多価格帯5,300万円台)、坪単価約250円。11月13日までに完売した。
契約者の属性は、年代は30代が約40%、40代が約20%、50代が約13%、60代以降が約20%。家族数は2人が約45%、3人が約30%、4人が約15%。居住地は東京都内が約90%(うち昭島市内が約40%)。用途は実需が約85%、セカンドハウスが約15%。
評価されたポイントは①昭島駅からフラットで徒歩5分、全長400m超のいちょう並木と、桜並木の二つの歩行者専用通路に面している立地②大型複合商業施設「MORITOWN」やスポーツ施設などが徒歩圏内に集積している住環境③「プライベートサウナ」や「ワーキングラウンジ」「ランドリールーム」「ベジタブルガーデン」などの共用施設。
第2期1次(76戸)の予定価格は3,798万~6,498万円、専有面積は56.57~75.64㎡。受付期間は11月17日~11月19日。
2023年2月に資料請求の受付を開始し、6月3日からオープンしたモデルルーム来場者は約1,200組。
モデルルーム
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同社が報道陣向け内覧会を行ったとき、同社東京本店統括マンション事業部東京マンション事業部販売事務所長・東本剛氏は「来年の6月までに完売したい」と語ったことに対して、「東本さん、頑張れ!」と書いた。
販売開始2か月で全住戸の6割以上を成約したのだから、これは凄い。人気の要因は同社発表の通りだろうが、ゼネコンに丸投げしていたら、このような結果にはならなかったはずだ。記者はタオル掛けが2か所ついていたのに感動した。残り8か月、快挙をやってのけるか。
「先端」と「文化」の境界を越えた交流を誘発 「HANEDA INOVATION CITY」開業
「HANEDA INOVATION CITY」
羽田みらい開発(鹿島建設、大和ハウス工業、京浜急行電鉄、日本空港ビルディング、空港施設、東日本旅客鉄道、東京モノレール、野村不動産パートナーズ、富士フィルムの9社で構成)は11月16日(木)、羽田空港跡地第1ゾーン整備事業「HANEDA INOVATION CITY」(略称:HICity「エイチ・アイ・シティ」)をオープンした。同日、主要施設をメディアに公開した。
「HICity」は、京浜急行・東京モノレール天空橋駅直結の敷地面積約5.9ha、11階建て延床面積約131,000㎡の規模。従前は「旧羽田空港」。「先端」と「文化」の境界を越えた交流を誘発し、新たな価値創造を実現するわが国初のスマートエアポートシティ。研究開発施設・オフィス、先端医療センター、イベントホール、宿泊施設、日本文化施設などを整備している。
見学会は12:45~15:20まで約2時間30分。①メトロポリタンホテル羽田②藤田医科大学東京 先端医療研究センター③termimal.0 HANEDA④表現する素材展 More than Materials(we+)⑤LIFE Scene HANEDA(保井崇志)⑥Lifestyle Marche ⑦SKY MAPPING by Sony Design Consulting Air Lines(尾角典子)⑧&SPACE PROJECT・3D フードプリンター展示⑨AI_SCAPE(デモンストレーション)⑩自動運転バス-の順で3組(1組20人くらいか)に分かれて回った。移動に要した時間を除くと、1施設当たり約12分。質問も可能だったが、時間が限られており記者は完全に消化不良。(この後、フリー取材が17:00まであったが…)しかし、書かないのは主催者に失礼なので、①~⑩まで順番に記者が感じたことなどを紹介する。
①「池袋」のメトロポリタンは好きなホテルの一つだが、ここの宿泊費は40㎡で10万円とか。1㎡当たり2,500円だ。マンション同様、ホテルの値段も暴騰している。イタリアンレストラン「il CIELO」(空という意味)に巨大な馬の張りぼて(ポコンと音がした)が置かれていたので聞いたら、ここは地方競馬発祥の地とか。
ジュニアスイート(左)ルーフトップ
②名古屋市に隣接する豊明市に本部があり、Wikipediaによれば2018年度の「THE世界大学ランキング」で日本11位、私立としては1位にランクされた。1~4階からなる施設は次世代医療の拠点に位置付けている。1階床は突板仕上げ。このほか、世界で3台(うち2台が同大学、あとの1台は慶大附属病院)しかないという立ったままでCTスキャン検査ができる装置、ロート製薬と連携した再生医療研究のためのコワーキングスペースも紹介された。
②藤田医科大学東京 先端医療研究センター
③日本空港ビルからオープンイノベーション研究開発拠点の説明があったが、医療施設見学のあとだったので「termimal.0」にはついていけなかった。
④このイベント・展示が一番面白かった。大田区内の9か所の工場などから収集した廃材などをデザイナーの視点から芸術作品に仕上げている。作品に番号を付け、説明文にひも付けしているのもいい。作品に触るのは不可ということだったが、いくつか触らせてもらった。作品にもよるが、鑑賞するだけでなく触れるというのも魅力の一つだと思う。
取材現場(撮影:仙田 祐一郎氏)
④表現する素材展 More than Materials(we+)
「超絶試作」「ウォーターベールの試作機 厚さ約1mmの超薄膜のウォーターベールで密閉空間をつり出す小型噴水…」とある
石ころ
⑤人気フォトグラファー保井崇志氏が切り取った大田区の様々なシーンの写真展を実施。演出は、空間表装を手掛ける京都の職人・井上光雅堂氏。
⑥何だったのか思い出せない。
InnovationCorridor
⑦風と飛行機の音をアニメ、プロジェクトマッピングで表現しているのがとても面白い。世界200か所の空港の音と画像をリアルタイムで紹介するイベントを行うという。
⑥Lifestyle Marche ⑦SKY MAPPING by Sony Design Consulting Air Lines(尾角典子)
⑧&SPACE PROJECTは、宇宙ロケットの開発廃材を活用し、新しいプロダクトを生み出すプロジェクト。これは面白い。3D フードプリンター展示では、3Dプリンターで作られたウニの部分を少し触らせてもらった。米粒もない微量のウニが指に付いたので舐めてみた。ウニ以上のウニの味が口腔内に広がった。値段を聞いたら、現段階では1万円でも難しいということだった。(世界の金持ちは安いと考えるのではないか)
⑧&SPACE PROJECT
⑧&SPACE PROJECT
⑨川崎重工が産業用に研究しているものだが、飲食店などにも応用できるという。24時間、文句など言わずに働き続けるのだろうから、労働争議も起こらないし、過労死もない。
⑨AI_SCAPE(デモンストレーション)
⑩この前、日本初のレベル4の福井県永平寺町の自動運転移動サービスが事故を起こしたので聞いたら、「大丈夫」とのことだった。
⑩自動運転バス
内覧会の前には、斉藤鉄夫・国土交通大臣、小池百合子・東京都知事、鈴木晶雅・大田区長らも参加して施設のオープンセレモニーが行われた。
オープニングセレモニー 左から羽田地区町会連合会会長・神山忠行氏、大田区議会議長・押見隆太氏、国土交通大臣・斉藤鉄夫氏、東京都知事・小池百合子氏、大田区長・鈴木晶雅氏、鹿島建設代表取締役社長・天野裕正氏
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気になったこともある。平日だったこともあるのだろうが、施設の全面開業という記念日にしては人手が少なかったことだ。なぜか。
大田区の区域面積は61.86平方キロメートル。23区でもっとも広い。しかし、海老取川の右岸に位置する昭和島、京浜島、羽田空港、令和島、城南島、東海など面積比にして34.6%、約21.42平方キロメートル(千代田区のほほ2倍)の地域には289人しか住んでいない。地区計画により住宅建設が不可の新木場エリアの1.52平方キロメートルとはケタ違いだ。
人が住まない理由を大田区に聞いた。羽田空港周辺は航空法による規制はあるが、その他のエリアはほとんど準工業地域で、地区計画などによる用途規制はなく、民間が所有する土地は少ないという説明だった。住民不在の街の賑わいをどのように創出するかが課題だと感じた。
HICitySquare
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取材を終え、セレモニーイベントの出店の山形県のブースで「月山ビール」と芋煮を注文した。ブース内を眺めていたら、「大吟醸500円」の張り紙が目に留まった。山形の日本酒は甘いというイメージしかないが、「楯野川 清流 純米大吟醸」(3,520円=税込み)を飲んでみた。お猪口1杯くらいしかなく、値段の高さ(1合で3,000円)に驚いたが、とても美味しかった。アルコール度数と日本酒独特の絡みつくような甘さを抑えている。洋食にもあう。
山形県のブース
「彩」「祭」「才」と「愛」をつなぐ 三菱地所「SAAI(サイ)」新東京ビルに移転
1Fバー「変態」(提供:三菱地所)
三菱地所は11月16日、「新有楽町ビル」に2020年2月開業したワーキングコミュニティ「SAAI Wonder Working Community (サイ ワンダー ワーキング コミュニティ)」(SAAI)を、同ビルの閉館に伴い「新東京ビル」に移転、2023年11月20日にオープンすると発表した。16日、施設を報道陣に公開した。〝熱狂〟〝変態〟〝チーパパ&チーママ〟〝愛〟など魅惑的なフレーズが飛び交い、記者は圧倒された。
施設は、有楽町の街全体を舞台に、まだ価値の定まりきらない(=microな)人・アイディア・コト・モノをcultivate(交わり・耕し・育み・磨く)し、「次の時代を担うスターが生まれる"仕組み"を有楽町で作り上げる」ことをテーマに2019年12月に立ち上げた「Micro STARs Dev.」(MSD)の活動拠点。
「SAAI」は、彩(=集うヒトの多様性)、才(=異能・異才が集まる空間)、祭(=出会い、交わり、刺激されるイベント)、斎(=好きなことに集中・没頭できる空間)の意を込めた、「差(SA)」と「愛する(AI)」の言葉を組み合わせた造語。①多種多様な会員が集う「事業創造コミュニティ」、会員専用バーを併設し、人と人をつなぐコミュニティマネージャー「チーパパ&チーママ制度」を採用②事業創造を加速させる各種取り組み(VC招聘プログラム、ビジネスプランコンテスト、事業創造カンファレンスの開催など)が特徴。
内覧会で同社プロジェクト開発部マネージャー・牧亮平氏は「人と人の横のつながり、偶発的な出会いを大切にしており、レイアウトにも工夫を凝らした。宣伝など行っていないが、会員の8割は紹介。皆さんの熱気を強く感じる」と説明。
会員として紹介されたSaveExpats代表取締役・岩田竜馬氏は、「大切なのは理解⇒納得⇒共感⇒熱狂」だとし、海外赴任者の健康をサポートする事業は海外拠点を持つ約800社、23か国に広がっていることなどを熱っぽく語った。
また、ゼロワンブースター事業創造教育部スペシャリスト・ブランスクム 文葉氏は「この種の施設は多拠点化したとき、コミュニティマネージャーが不足しがち。欠けているのは〝愛〟だが、ここには〝愛の源泉〟がある」と話した。
施設は、東京駅直結、新東京ビル1階他。面積は約827㎡、企画は三菱地所、施設・管理はオープンエー、施工は船場、運営はゼロワンブースター。月額会費は個室会員264,000円~、固定席会員77,000円、フリーデスク会員33,000円、コミュニティ会員16,500円(1時間550円)。
会員は約300名。開設当時と比較し、資金調達額は16件25億円から30件89億円へ、大企業との連携は7件から15件へ、メディア掲載は53件から156件に増大・拡大している。
1F御座敷(提供:三菱地所)
1F_什器(提供:三菱地所)
APT Women参加者の様子(提供:三菱地所)
ディスカッションの様子(提供:三菱地所)
成果発表会の様子(提供:三菱地所)
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記者は住友不動産が10月24日に開催した「住友不動産ベンチャーサミット」を取材したのだが、会場となった「住友三角ビル」に2,000人超が参加したのに驚いた。熱気にあふれていた。
一方で、起業後の生存率は3年で50%、5年で40%(スタートアップはもっと低いデータもある)と低いことが気掛かりで、優勝企業に選ばれたLeaner Technologies代表取締役CEO・大平裕介氏にその質問をしたら、大平氏は「スタートアップの内側だけで展開する企業が多く、大企業が応援する体制にないのが課題」と語った。
今回の施設は、様々な起業家と大企業、投資家などとをつなげ、マッチング・資金調達。メンタリング面で応援する仕組みをしっかり構築していると感じたる。
施設面積は約827㎡(従前は約1,000㎡)しかなく、同社保有ビル延床面積約3,664千㎡の0.02%にしか過ぎない。売上高に換算したら3億円にも満たない。
しかし、面積の大小など問題ではない。同社は目先の利益など全然追っていない。いま蒔いた種が数年後、あるいは10年、20年後花が咲き、果実を収穫できることを考えているはずだ。かつて〝人の三井、組織の三菱〟と企業風土が語られたことがあるが、三菱地所は〝人への投資〟を少なくとも30年くらい前から強化してきた。今回の施設もその一つだ。無限の可能性を秘める取り組みだと思う。
とてもいいと思った施設の設えは、1階ではビール300円、ソフトドリンク100円のバー「変態」、ピッチイベントができるよう階段状の席を設けたスペース、人に背を向けるのではなく、人の気配が感じられる内向き(窓を背)のシートレイアウト。コンビニ、喫煙所が隣にある地階では、黒を基調とした無機質のデザインだが、低学年用の椅子や太陽光パネル、活版ゲラなどの廃材を活用したテーブル、リラックスして会議などができる和室コーナーなど。これらは、本社オフィスのリニューアルとも関連があるはずだ。
料金も安いはずだ。記者は丸ビルにも新設された「TSUTAYA」の飲み放題・食べ放題の「SHARE LOUNGE」が好きなのだが、飲むなら「TSUTAYA」、仕事するなら「SAAI」がお勧めだ。記者のモットーは〝人生は愛〟〝記事はラブレター〟だ。
左からブランスクム 氏、岩田市、牧氏
1F内観
バー「変態」
メタボ増えたが、あらゆるデータが向上三菱地所「本社オフィス体験・懇親会」(2023/11/12)
スタートアップと大企業を結ぶイベントに2,100名 「住友不動産ベンチャーサミット」(2023/10/25)
三菱地所・丸ビルに「TSUTAYA BOOKSTORE MARUNOUCHI」代官山超える214坪(2022/12/14)
首都圏中古マンション 成約件数は5カ月連続増 単価、価格上昇継続 東日本レインズ
東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は11月10日、2023年10月度の酒不動産流通市場の動向をまとめ発表。中古マンションの成約件数は3,287件(前年同月比7.0%増)で5カ月連続して前年同月を上回り、坪単価は246万円(同7.4%上昇)で42か月連続して増加、成約価格は4,765万円(同8.4%上昇)で41か月連続して前年同月を上回った。専有面積は63.91㎡(同0.9%増加)となった。
地域別動向では、成約件数は多摩と千葉県以外の地域が前年比で増加し、横浜・川崎市と神奈川県他は2ケタ増となった。成約坪単価はすべての地域が前年比で上昇し、東京都区部は42か月連続、千葉県は39か月連続、横浜・川崎市と多摩は4か月連続で前年同月を上回った
中古戸建ては、成約件数1,220件(同0.7%増)、成約価格3,947万円(同5.9%上昇)、土地面積139.06㎡(同2.5%減少)、建物離面積104.47㎡(同0.5%増加)となった。
城東エリアも坪単価400万円超へ 駅1分×沿線最大 住友不「シティタワー綾瀬」
「シティタワー綾瀬」
住友不動産が先月から分譲を開始した、綾瀬駅前の千代田線沿線のタワーマンションとしては1995年以降、千代田線を最寄りとする、かつ、徒歩1分の単独事業主の物件では、最高峰・最大規模の「シティタワー綾瀬」のモデルルーム同社の総合マンションギャラリー北千住館で見学した。販売担当から約1時間、一般のお客さん向けと同様の丁寧な説明を受けた。これまでこのような詳細な説明を受けたことはないので、デベロッパーは消費者に何をアピールするか、消費者の関心事は何かを知ることができた。
物件は、東京メトロ千代田線綾瀬駅から徒歩1分(50m)、足立区綾瀬三丁目の商業地域(建ぺい率80%=防火地域内の耐火建築物による緩和あり、容積率500%=東京都総合設計制度による割増あり)に位置する敷地面積約3,643㎡、32階建て全422戸。これまで約50戸が成約済み。現在先着順で販売中の住戸(19戸)は17階以上で、専有面積は58.93~74.18㎡、価格は7,600万円~12,800万円(最多価格帯7,600万円・9,900万円)。坪単価は約450万円。完成予定は2025年11月中旬。設計・施工は長谷工コーポレーション。
現地は千代田線綾瀬駅東口から徒歩1分。道路を隔てて西側はイトーヨーカ―ドー、東側は東綾瀬公園と一体的な整備が行われる東口駅前交通広場。
主な基本性能・設備仕様は、都の総合設計制度適用、制震構法、ダブルアウトフレーム、内廊下方式、二重床・二重天井、リビング天井高2650ミリ(一部住戸除く)、ディスポーザー、天然石キッチンカウンタートップ、食洗機、二重サッシ(南向き)など。共用施設はテレワークラウンジ、ハーティルーム、キッズルーム&ペアレンツスペース、ゲストルーム、フィットネスルームなど。モデルルームは約72㎡の2LDK。デザインは白が基調。
また、同じギャラリーで顧客対応している、京成電鉄本線千住大橋駅から徒歩5分の42階建て「シティタワー千住大橋」(462戸)は60戸超が成約見込みで、現在先着順で分譲中の住戸(17戸)の専有面積は54.99~75.68㎡、価格は6,500万~12,800万円(最多価格帯7,300万円)。坪単価は390万円。
単純比較はできないが、2013年分譲の「アクア ヴィスタ」の坪単価は182万円だった。10年間で倍増だ。
エントランスホール(天井高は約7.8m)
モデルルーム
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担当者の説明で〝なるほど〟と感心したのは千代田線の利便性だ。大手町駅へ直通21分もさることながら、始発駅なので10分間くらい待てば座れる(※)ことと、朝7時台~8時台の電車の運行本数は49本(うち始発は9本)で、山手線の36本より多いことだった。
※2023年5月時点、状況によっては変更する場合あり
市場の説明も、これは当然だが怠りなかった。大手町駅を起点とすると、綾瀬は代々木上原、池袋、押上、白金高輪と大手町直通21分以内の始発駅と言う意味では同じだ。価格相場は読者の皆さんもご存じだろうから省略するが、押上を除けばみんな坪単価は500万円をはるかに突破している。綾瀬駅北口ではいよいよ坪400万円超に突入したということか。担当者はまた、足立区は待機児童ゼロで、犯罪率も減少していることなども話した。
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総合設計制度についてはもっと時間を割いてほしかった。
同制度は1970年に創設されたもので、敷地内に一定割合以上の公開空地を設けた建築物の容積率制限や斜線制限、絶対高さ制限を緩和する制度。容積率はおおよそ1.5倍増となる。東京都では、これまで777件の建築物がこの制度により許可されている。
説明する意義は、都の許可件数は激減しており、他方でこの制度の適用を受けた建築物の資産性と大きな関連があるからだ(同様の特定街区、再開発等促進地区計画、高度利用地区、都市再生特別地区などを活用するケースもあるが)。
平成22年に許可要綱が改正され、許可要件が厳しくなったことにより、以前は年間数十件あった許可件数は、ここ10年間はもっとも多い年で11件にとどまっている。制度の許可を受けた共同住宅も減少しており、令和2年度は7件のうち1件、令和3年度は11件のうち6件、令和4年度は5件のうち4件だ。この制度の適用を受けた同社のマンションはデベロッパーのなかでトップクラスのはずだ。
もう一つ、関連することだが、この物件は断熱性、省エネ性、再エネ設備・電気、維持管理・劣化対策、みどりの5項目を★の数(最大で15個)で評価する東京都の「マンション環境性能表示」制度の適用を受けている。★の数は12個だ。「みどり」は★1個なのは商業エリアなのでやむを得ないか。
天井高ももっとアピールすべきではないか。いま供給されている首都圏マンションのうち天井高約2650ミリ以上は2割あるかどうかではないか(以前は4割くらいあったが)。マンション購入検討者は今も昔もいわゆる3K(交通便・価格・環境)、3P(PRICE・PLACE・PLAN)が物件選好の要素だろうが、記者はこれに3S-つまり将来の(S)、資産形成と生活スタイル(S)を見据えた総合設計力(S)が必要だと思う。
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以下は蛇足。モデルルームは北千住駅の近く。取材を終え昼食をとった。牛ホルモン盛り合わせと冷やしトマト、ランチビール2杯で〆て1,474円。安い!コンロの炭は本物で、後の祭りだったが〝火に氷〟の威力も知った。〝住むなら北千住〟だ。
牛ホルモンは、記者の故郷・三重県の松阪市が本場なので小さいころからよく食べたが、大人になっても自分で焼くようなことはしてこなかったので焼き方が分からず、一度に肉をコンロに架けた。すると、だしぬけに火の手が上がり、慌てて肉片を皿に取ったら、表は真黒、裏は生焼け。残りの2片は手遅れ。焦げ付いてはがすことができず、肉が炭化するのを茫然と眺めた。
北千住の飲食型
北千住の飲食街
大成有楽不動産が変わる 「OBER(オーベル)」リブランディングを具現化(2014/1/21)
駅近で坪182万円 23区で希少の低単価「アクア ヴィスタ」(2013/10/1)
息をのむ自然共生・歴史継承の取り組み 三菱地所レジ「板橋大山 大楠ノ杜」完成
中庭「翠園」から望む「ザ・パークハウス 板橋大山 大楠ノ杜」
三菱地所レジデンスは11月13日、板橋区大山町の邸宅跡地マンション「ザ・パークハウス 板橋大山 大楠ノ杜」が竣工したのに伴うメディア向け内覧会を行った。敷地内に植わっていたクス(楠)の巨木やソメイヨシノをそのまま残した中庭をはじめ、築100年の母屋や蔵、井戸などの一部を再現した共用部に息を飲み、声を失った。同社の矜持をみた。
物件は、東武東上線大山駅から徒歩7分、板橋区大山町に位置する14階建て全187戸(分譲は185戸)。専有面積は57.76~117.62㎡。価格は5,698万~15,990万円、坪単価350万円。竣工は2023年9月22日。売主は同社のほか三菱倉庫。施工は東亜建設工業。販売開始時期2021は年11月で、ほぼ1年間で完売。総問い合わせ件数は4,230件、総来場件数は1,290件。いきもの共生事業推進協議会(略称ABINC)の第3回ABINC賞「優秀賞」を受賞している。
購入者の属性は、居住地は板橋区29.3%、豊島区10.3%、練馬区6.0%など。年齢層は30代41.9%、40代20.1%、20代14.1%、50代12.5%など。評価された点は①「再開発に対する資産性」「大山駅徒歩7分」「池袋3駅5分」など②中庭やジャグジー付ゲストルーム、地下駐車場、蔵など。
最大の特徴は、同社の生物多様性の保全の取り組み「BIO NET INITIATIVE(ビオネット・イニシアチブ)」を導入し、敷地の約2割に当たる1,000㎡超の中庭「翠園」を設置していること。「翠園」には、小川を設け、敷地内にあった樹齢約90年、樹高10m超のクスの巨木2本や※ソメイヨシノ(樹高12m)をそのまま残し、カキ、ヤエザクラなども移植している。
※ソメイヨシノは2019年5月に行った樹木の精密診断の結果、根元に腐朽が見られたことから、接ぎ木から苗木をつくり、敷地内への植栽を行うことにしている。
もう一つは、歴史の継承。巨木を残すこともそうだが、中庭に面して配置されている約30畳大のコモンハウス「和」は、築100年超の母屋の破れ障子や桐ダンスなどの家具、床・柱・壁材、欄間、天井板などを活用・リデザインしている。
約10坪のマルチルーム「蔵」は、既存の房州石を外観に残し、多目的空間として利用できるよう防音工事を施し、プロジェクターやWi-Fiを完備している。室内の壁はスギの浮造り仕上げ。
このほか、約130㎡の1階のゲストルーム「泉」は、庭園を眺めながら入浴できる大型ジャグジーバス付とするなど大胆な提案を行っている。
内覧会に臨んだ同社プロジェクト開発部長・亀田正人氏は「当社のフラッグシップといえる物件。これまでのノウハウを最大限注ぎ込み、自然との共生を実験し、SDGsにも貢献した」と語った。
施工を担当した東亜建設の技術者らしい方も「難しい部分が多かった分だけやりがいのあるプロジェクトだった」と話した。
中庭「翠園」から望む「ザ・パークハウス 板橋大山 大楠ノ杜」
小川
既存樹のクスノキ
クスノキ
コモンルーム
ゲストルーム
ジャグジーバス
◇ ◆ ◇
分譲開始時の記事を参照していただきたい。見出しに「ランドスケープ抜群」と書いたが、この種のマンションは珍しくはない。記憶に残っているものを列挙すると、同社物件では樹高約23mのケヤキなど40本以上の既存樹を保存した国分寺崖線エリアの「ザ・パークハウス二子玉川ガーデン」があり、徳川邸跡地に植わっていた松を避けるよう配棟したプロパスト「レゾンデパン大磯」、屋上に公園を再現した旧同潤会アパート建て替えの旭化成ホームズ「アトラス江戸川アパートメント」、既存樹約100本を残し「里山」を再現した積水ハウス「グランドメゾン狛江」、樹齢100年超のユリノキをエントランスに配した積水ハウス「江古田の杜プロジェクト」(同社の「東京テラス」「玉川上水」「杉並」「伊勢山」なども素晴らしい)、駐車場を地下化した三井不動産レジデンシャルの最高峰「パークシティ浜田山」…がある。
分譲戸建てでは、江戸末期に建てられた蔵を残したポラス「ことのは 越ヶ谷」、オフィスなどの複合施設では、旧九段会館の一部を保存した東急不動産・鹿島建設「九段会館テラス(KUDAN-KAIKAN TERRACE)」が記憶に新しい。
しかし、敷地規模、単価(記者は納得したが)からして、列挙した物件レベルになるとは全然考えていなかった。完全に読み違えた。同社と読者のみなさんに謝るほかない。亀田氏が話した通りだ。
中庭も素晴らしいが、130㎡のゲストルーム「泉」にも驚いた。この広さと設備仕様レベルから判断して1泊3万円の価値があるはずだ。無料(1家族3連泊まで)とのことなので、1家族につき年間2日は利用できる計算だ。ジャグジーバスは覗かれる心配はないとみたが…(東武東上線池袋駅の階段ステップには「盗撮される貴方、みんなが見ていますよ」とあった。ドキリとし、階段を踏み外しそうになった)
マルチルーム「蔵」蔵
天然スギの浮造り壁(床はシート貼り)
エントランスホール
旧九段会館を保存・復原 最新鋭のオフィスとの融合 東急不・鹿島「九段会館テラス」(2022/9/9)
反響3000件超 ランドスケープ抜群 三菱地所レジ他「板橋大山 楠ノ杜」(2021/12/11)
緑の質量に圧倒 エントランスに樹齢100年巨木「江古田の杜」街びらきに千数百人(2018/9/23)
ポラス 蔵のある街づくりプロジェクト「ことのは 越ヶ谷」蔵の補修が完了(2015/8/6)
里山を見るような見事な植栽 積水ハウス「グランドメゾン狛江」竣工(2013/9/21)
メタボ増えたが、あらゆるデータが向上 三菱地所「本社オフィス体験・懇親会」
「ISLAND」と名付けられた6階(緑は一部がフェイク)
三菱地所は11月9日、メディア向け「本社オフィス体験・懇親会」を開催した。2018年1月に本社機能を「大手町パークビルディング」に移転してから実証実験的に様々な取り組みを行い、その成果を踏まえ、今年6月に大規模リニューアルした6階部分を公開し、その後は3階のカフェ「スパークル」で懇親会を行った。
「大手町パークビル」は2017年1月に竣工した29階建て延床面積151,700㎡。本社移転は2018年1月で、3~6階部分の約3,600坪(1フロア約1,000坪)で、従前の「大手町ビル」などから約20%削減し、共用スペースの割合は従前の約10%から約30%に増床。移転当初の社員数は約800名、座席率100%(現在の社員は約1,100名、座席率80%)。
この結果、紙力枚数を約50%削減、キャビネット本数を約70%削減、会議室稼働率は42%から68%へアップし、生産性は3.8%向上した。また、ペーパーストックレスを実施し、各部署の所有キャビネットを50.6%削減した。
本社移転後の社員アンケートでは、本社ファシリティ満足度は90%の人が上ったと答えたほか、偶発的なコミュニケーションは88%の人が増え、会議は効率化されたと思う人は89%、企業風土が変わると答えた人は86%、新しいアイデアが生まれやすい環境になったと思う人は71%に上った。
その後の調査でも、自席執務環境満足度は74.5%を占めるなど社員の高い評価が継続していることが分かった。ディスカッション特化型ルームの利用件数は1.6倍に増加した。また、平均在館率は2018年の78.0%から2023年には56.3%に減少、本社共用スペース利用率は7.6%から4.8%へ減少した。
こうした働き方の変化や利用実態を踏まえ、「ISLAND」と名付けられた6階は「知のシンカ」「リラックス」の行動(Do)と、「Well-being」の状態(Be)を掛け合わせる空間にリニューアルした。
3階オフィス
◇ ◆ ◇
同社の本社オフィスを見学するのは、大手町パークビルが完成した2017年と、2年後の2018年に続いて今回が3度目だ。
同社ビル営業部担当部長FMコンサルティング室長・竹本晋氏の説明&案内はとても面白く、中身の濃いのはよく分かったが、時間は約40分しかなく、耳も遠くなっていることからよく呑み込めなかった部分も多かった(その前の野村不動産の記者懇の酒は関係ない)。
「ISLAND」で印象に残ったのは、全フロアに配置されていたヤシノキの鉢から波の音などが聞こえ、ガラス張りだが外の人の動きなどを気にしないで済むよう特殊フィルムを張った空間「AQUARIUM」、移転直後はフェイクグリーンだらけだった「VILAGE」はほとんどが本物の緑に変わっていたことだ。
3階のカフェでは、通常は330円のクラフトビール「MARUNOUCHI」(製造はわが故郷の角谷麦酒)も220円の「ASAHIビール」も火曜・水曜日は100円で飲めるのに驚いた。缶ビールの税金は63.35円のはずで、税金の値引きはできないから、同社が負担するということか。懇親会ではビールはもちろん、軽食も振舞われたが、移転後の見学会で頂いたとても美味しかったトマトはなかった(値段が高くなったためか)。
「ISLAND」
「AQUARIUM」
本物の緑がびっしり配された「VILAGE」
本物の緑がびっしり配された「VILAGE」
懇親会場の「夜カフェ」メニュー
◇ ◆ ◇
上段のBefore&Afterの数値は予想できたことだ。へそ曲がりの記者は一つくらいマイナスになったものもあるはずだと考え、見学前に同社が公表しているESGデータのうちS:社会データを調べた。
ダイバーシティ関連では男性育休取得率は2018年が21.2%だったのが2022年は110.6%と飛躍的に増加しており、女性管理職比率も2018年の5.5%から2022年は7.3%に上昇。従業員満足度(ES)/高評価割合は84.5~88.5%と高水準で推移している。
健康経営関連はどうか。社員を対象にしたメタボハイリスク層の割合は1019年の36.4%から年々上昇しており、2021年は42.3%に増加(2025年目標は25.6%)。健康層の割合(40歳以上の従業員が、定期健康診断において、生活習慣病の判定に影響する項目の全てが正常値の範囲内の人の割合)は2018~2021年は10%前後で推移している(2025年目標は20.85%)。高ストレス者は2019年の5.5%から2021年は4.0%に下がっており、全国平均の10%をかなり下回っている。
その他のデータでは、従業員欠勤率は1%を下回り、ボランティア活動費補助利用人数は2018年の16人から2022年は70人へ激増。人権、セクハラ、男女差別などはない。従業員の平均賃金は2018年の約1,248万円から2022年の約1,246万円へ横ばいとなっている。
皆さん、いかがか。小生が読んだ通りマイナスになっている項目があった。メタボハイリスクと健康層だ。
メタボハイリスクだが、これは労働環境の変化というより、コロナ禍で家から外出する機会が減り、食事を摂る時間が不規則になったり間食なども増えたりした結果ではないかと思うが、「メタボ」=「悪」という考えに小生は反対だ。メタボのどこが悪いのか。小生は成人男性より3割近く体重が軽く「痩せ」の部類に入る。腕相撲も女性に負ける。おまけに糖尿だ。それがどうした。人の生き死にを他人がとやかくいうべきはないと思う。
健康層の割合が10%前後ととうのはやや驚いた。オフィス空間の快適性との因果関係はないだろうが、これは考えたほうがいいと思う。
もう一つ、竹本氏に考えて頂きたいことがある。フェイクグリーンと本物の緑の併用についてだ。つい先日見学した御社の「ザ・パークハウス上野毛テラス」は全戸全居室の床は無垢フローリングだった。ぜひ見ていただきたい。やはり本物がいい。小生は、本物とフェイクを併用した場合は、本物の効果は半減すると考えている。学術研究もあるはずだ。「ザ・パークレックス天王洲」にはフェイクはひとつもなかったはずだ。
最後に、同社の皆さんに朗報。RBA野球大会の東京ドーム決勝戦(11月22日0:00~)に三菱地所チームはエース&主砲の社が頑張り、実に28年ぶりに進出することが決定した。これも本社移転の効果の一つではないか。
全戸全居室に無垢材フローリング&ZEH認定 三菱地所レジ「上野毛テラス」(2023/11/10)
三菱地所、社-柴田の継投決まる 鹿島建設は10残塁 再三再四の好機逸す(2023/10/22)
三菱地所 王者ケンコーポを破る 社が投打に活躍 ケンコーポ上松 初回に連打浴びる(2023/7/10)
自然と共生するワークスペース「コモレビズ」実装した「ザ・パークレックス天王洲」(2022/7/27)
有休取得10%増、会議減り、コピー、文具購入ほぼ半減 三菱地所 本社機能移転効果(2019/1/24)
分譲戸建ての現状に一石投じる 外構・植栽計画の分離を HIRAMEKI・重松剛氏
HIRAMEKI提供
記者が見学し、素晴しい商品企画だと思ったタカラレーベン「レーベンプラッツ大泉学園」と総合地所「ルネテラス船橋」の分譲戸建ての植栽計画を担当した株式会社HIRAMEKI・重松剛氏から以下のようなメールが届いた。
◇ ◆ ◇
当社(HIRAMEKI)の業務は、外構や植栽計画の「設計業務」を行っています。
一般的に戸建分譲住宅の外構は、設計と施工を同時に行うような大手造園会社もしくはエクステリア会社に依頼することが多く、そのメリットとしては設計と施工をスムーズに行い、予算管理をしやすくするということです。
しかし、設計と施工(工事費)をインクルーズしているがゆえにデメリットもあります。建築計画にそぐわない資材を使用したり、植栽も環境に合わないものを採用したりするなど、一見すると予算内に収まり、非常に良い業務効率と言えますが分譲住宅の連続する風景や集合体の良さが感じられないようなものとなりがちです。
ローコスト住宅においても、使い勝手や駐車場の出入り、タイヤ痕の残りにくさ、最小限かつ最大限の魅力を作る植栽計画によって、分譲住宅の商品価値を高めることもできると思います。
設計業務と施工業務を分離することで、コスト管理は多少面倒な部分が生まれますが、事業主の商品価値・魅力を最大限に発揮することが出来ると思っています。<株式会社HIRAMEKI><簡易外構植栽図作成サービスについて>
◇ ◆ ◇
「設計・施工分離」か「設計・施工一体(デザインビルド)」かは、古くて新しい問題だ。従来は「設計・施工分離」が基本だった公共事業でも「デザインビルド」を採用する事例が増えている。
現状はどうか、少し考えてみた。記者は取材するとき、設計、施工、デザイン監修は必ずチェックする。物件特性に顕著に表れるからだ。分譲マンションの場合は、「設計・施工分離」方式が採用される物件は大規模など特殊なものに限定されており、デザインビルド方式のほうが圧倒的に多い。比率にしたら8割くらいを占めるのではないか。
このほか、最近増えているのはデザイン監修の形で全体を統括するものだ。例えば、「HARUMI FLAG」では光井純氏がマスターアーキテクトとして街全体のデザインを統括している。今後はこの種のデザイン監修が増えるのは間違いない。
分譲戸建ての場合はどうか。まれに外構や植栽計画を著名な造園会社が担当することを明示している物件はあるが、物件概要を読んでも、「設計・施工分離」か「デザインビルド」なのか分からないものがほとんどだ。
地球温暖化防止、街のポテンシャルアップに緑環境が大きな役割を果たしていることは言うまでもないことだが、残念ながら、現状は退行しているといわざるを得ない。
大手ハウスメーカが参加しているプレハブ建築協会の建売住宅も例外ではない。同協会は環境行動計画「エコアクション」で、敷地の緑化面積率を40%以上確保した建売住宅の供給比率を50%以上とする目標を掲げていたが、2019年実績は14.5%にしか過ぎなかったことからか、この数値データの公表をやめてしまった。
これはやむを得ない部分もある。住宅着工統計によると、首都圏の分譲戸建ての敷地面積は東京都は100㎡を割っており、神奈川県は111㎡、埼玉県は118㎡、千葉県でも133㎡に過ぎない。仮に建ぺい率60%の地域だとして、30坪(約100㎡)の敷地に制限いっぱいの18坪の住宅を建て、残りの12坪すべてを緑化するのは不可能だ。駐車スペースは最低4.5坪必要とされている。残り7.5坪を緑化しても緑化面積比率は25%にしかならない。
プレ協の会員会社ですらそうなのだから、全国で供給されている分譲戸建ては推して知るべし。緑化面積比率を40%以上確保するには建ぺい率が40%のエリアか、屋上・壁面緑化を採用するほかない。1低層の比率が50%を超える世田谷区ですら緑被率は23.6%(23区平均は17.6%)だ。
なぜ、都市の緑化は進まないのか。現行の都市緑化法、都市計画法にも問題があるといわざるを得ない。
都市緑地法第34条は「良好な都市環境の形成に必要な緑地が不足し、建築物の敷地内において緑化を推進する必要がある区域については、都市計画に、緑化地域を定めることができる」と規定しているが、同法第4条により「緑の基本計画」を定めているのは、対象となる都市計画区域を有す全国1,374市町村のうち695市町村(50.6%)にしかすぎない。首都圏では東京都が89.5%、神奈川県が93.8%、埼玉県が73.8%、千葉県が64.6%だ。相対的に埼玉や千葉の緑環境が劣っているのはこのためだ。「緑化地域を定めることができる」とあるように、強行規定ではなく任意規定であることに一因がある。
また、都市計画法施行令第25条第6号では、開発区域の面積が0.3ha以上5ha未満の開発行為では開発区域の3%以上の公園、緑地又は広場を設けることを義務付けているのみだ(条例で対象面積を300㎡に引き下げることが可)。自治体は、用途地域別に1区画当たり最低面積を条例で定めるところが増えているが、緑化地域制度を導入している自治体は名古屋市、横浜市、世田谷区、豊田市しかない。
重松氏から送付された資料を添付する。分譲戸建ての植栽計画に一石を投じるものだと思う。重松氏が外構・植栽計画を担当した冒頭の「大泉学園」「船橋」と、その真逆の事例として「越谷」と「南栗橋」の記事を添付する。
HIRAMEKIホームページから
HIRAMEKIホームページから
敷地100坪 建物30坪の平屋 ミラースHDの戸建て「南栗橋」企画ヒット(2023/11/13)
敷地延長の難点を解消したプラン光る 総合地所「ルネテラス船橋」(2016/10/1)
越谷レイクタウンで見た雑草すら生えない建売住宅の一群(2014/4/29)
タカラレーベン フェンス排除した驚嘆の戸建て「大泉学園」(2013/6/7)
全戸全居室に無垢材フローリング&ZEH認定 三菱地所レジ「上野毛テラス」
「ザ・パークハウス 上野毛テラス」
三菱地所レジデンスは11月10日、同社初の全戸に天然無垢フローリングを採用した物件で、ZEH Oriented、低炭素建築物認定を受けた「ザ・パークハウス 上野毛テラス」の建物内モデルルーム見学会を11月18日(土)から開始すると発表した。10日、報道陣向け完成内覧会を行った。
物件は、東急大井町線上野毛駅から徒歩8分、世田谷区中町4丁目の第一種低層住居専用地域(建ぺい率50%、容積率100%)・第一種住居地域(同60%、同200%)に位置する5階建て全29戸。専有面積は38.70~84.64㎡、価格は未定だが38㎡台で6,000万円台(坪600万円台)、52㎡で8,000万円台(同500万円台)、84㎡で17,000万円台(同600万円台)の予定。販売開始は2024年2月上旬の予定。建物は2023年10月完成済み。引渡予定は2024年5月上旬。施工は木内建設。デザイン監修はスターテック一級建築士事務所。
現地は、閑静な住宅街の一角。敷地西側に幅員15.62m、南側に幅員6.23mの道路にそれぞれ接道。西側道路を挟んだ対面は公園。建物は内廊下方式を採用、住戸プランは南西向きが20戸、北西向きが9戸。
全戸に玄関・洗面所・トイレを除く全居室に厚さ15ミリのチーク材天然無垢フローリングを採用しているほか、螺旋階段付きルーフテラス住戸(4戸)を提案しているのが特徴で、主な基本性能・設備仕様は二重床・二重天井、リビング天井高2500ミリ、食洗機、浴室タオル掛け2か所、Low-Eガラス、キッチンバックカウンター・収納、全戸防災倉庫付きなど。
8月に物件ホームページを開設してからこれまで1,300件超のエントリーがあり、11月18日からの予約制物件案内会は12月まで満席。世田谷区居住者中心だが、目黒区、品川区、大田区や東急線沿線に住む川崎や横浜からの反響もあるという。
内覧会で同社開発二部開発第三グループ グループマネージャー・布田求氏は、「当社のZEH Oriented認定としては都内で最初に竣工する物件だが、国分寺崖線上に立地する特性を生かし、当社初の全戸無垢材フローリングを採用したほか、螺旋階段付きルーフテラス付き、ワイドスパン、専用庭付きなど自然素材や自然環境の心地よさを感じていただける物件にした」などと商品企画意図について語った。
モデルルーム
無垢材フローリング
ルーフテラス
◇ ◆ ◇
記者は天然無垢のフローリングを採用したマンションをこれまで何度も見学している。直近では、三菱地所ホームの「KIGOCOCHI(キゴコチ)」ショールームを見学したばかりだし、最近では「サンウッド青山」、少し前では「グランド ミッド タワーズ大宮」があり、40年前にさかのぼると床も袖壁も厚さ20ミリの無垢材を用いた松戸市の賃貸マンションを思い出す。
思い出といえば、現地に着いたとき既視感を覚えた。既視感ではなかった。現地の対面に建っている三井不動産レジデンシャル「パーク・ハイム上野毛」(71戸)と、近接する日本ランデッィク「上野毛コートハウス」(198戸)は約40年前分譲されたマンションで、見学取材している。惚れ込んだ物件で、当時、圧倒的な人気を呼んだ。現地取材は、過去の記憶を呼び覚ませてくれる楽しみもある。
今回のマンション見学で、もっとも驚いたのは無垢材フローリングだった。モデルルームに入った途端、歓声を上げた。素晴らしい。この一語に尽きる。木は何度見てもいい。素足で歩きたくなったほどだ。本物の木のよさなど改めて書くまでもない。同社は、お客さまの反応をみながら今後採用するかどうか決めるとしているが、いい反応が得られるはずだ。
マンション購入検討者にも一言。デベロッパーは、無垢材は傷がつきやすいとか、反りが生じるとか難癖をつけ、なんとか安く仕上げて高く売ろうと姑息な手段をとるところが圧倒的に多いが、そんなデマゴーグに惑わされてはいけない。皆さんがマンションの歴史を変えるかもしれない。そんな可能性を秘めた物件だ。
記者の希望としては、床は国産材でもいいから、いっそやるなら洗面、トイレなどの水周り、さらには腰壁、巾木に至るまで本物の木を使っていただきたい。
物のついで。メディアにも一言。昨日は野村不動産グループの記者懇と三菱地所の本社ワークスペース見学会が行われた。両方で100人くらいの記者の方が駆けつけていたはずだ。そして今日。見学者は小生を含めて6人だった。野村・新井社長はなんと話したか。「皆さんは大事なステークホルダー。ご質問もありがたいが、有益な意見交換の場にしたい」と。プレス・リリースをコピペして記事にしていては、いつまでたっても意見など交わせない。
取材分担・分野を問わず、デベロッパーやハウスメーカーが声を掛けてくれる見学会は最優先して出席すべきだ。そうでないと、そのうちにAIに職を奪われる。小生は自慢などしたくないが、この種の見学会の誘いを断ったことはほとんどない。(きついことを書くからか、声を掛けてくれない会社があるが、これは名誉だと思っている)
現地(対面の公園から写す)
木質化空間の〝匂い〟は心身にどのような影響をもたらすか 三井不×東大が共同研究(2023/10/29)
木質化PJ「KIGOCOCHI(キゴコチ)」マンションリフォーム提案 三菱地所ホーム(2023/10/14)
サンウッド 創業20周年の集大成 「青山」の全面ヘリンボーン床に驚愕(2017/12/8)
埼玉県の過去最高レベル 近鉄不動産他「グランド ミッド タワーズ大宮」(2010/6/2)
国分寺崖線に重なるランドスケープ秀逸 三菱地所レジデンス「二子玉川」(2014/11/25)
国分寺崖線に沿う高級住宅街の一角 三菱地所「パークハウス瀬田一丁目」(2009/2/23)