省エネ基準、長期優良、太陽光、ZEH伸びる 木住協 令和4年度自主統計
日本木造住宅産業協会(木住協)は8月30日、「令和4年度 木住協 自主統計および着工統計の分析」結果を報告書(A4版54ページ)にまとめ発表した。会員469社を対象にしたもので、回収は406社(回収率86.6%)。
報告書によると、令和4年度の木住協会員の新設住宅着工戸数は89,880戸(前年度比3.5%減)、このうち戸建て住宅は85.647戸、共同住宅は4,233戸(同27.9%減)。住宅着工の木造戸建て住宅に占める木住協シェアは20.5%で、前年度より1.0ポイント増加した。
戸建て住宅の質については、「平成28年省エネルギー基準適合住宅(平成25年度適合住宅含む)」は66,848戸(前年度65,819戸)となり、戸建て全体の78.1%を占め、前年度より2.3ポイント増となった。
「設計評価住宅」は26,030戸で全体の30.4%(前年度は26,267戸、30.1%)、「建設評価住宅」は16,814戸で、全体の19.6%(前年度は17,643戸、20.2%)だった。全国統計の「設計」30.0%、「建設」21.0%と比較すると、「設計」はプラス0.3ポイント、「建設」はマイナス1.4ポイント。
「長期優良住宅」は33,080戸で、全国統計115,509戸に占める木住協割合は28.6%となり、木住協戸建て住宅に占める割合は38.6を占め、前年度の38.7%から0.1ポイント減となった。
「太陽光発電搭載住宅」は26,920戸で、新設戸建て住宅の31.4%を占め、前年度の23,272戸、26.7%と比較すると、戸数、シェアとも増加した。
「ZEH適合住宅」(ニアリーZEH含む)は前年度の15,883戸から増加し20,854戸となり、木住協戸建て住宅に占める割合は24.3%(前年度18.2%)となり、6.1ポイント増加した。
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記者はこれまで、全国住宅着工戸数に占める木住協会員シェアは低すぎると思っていたが、考えを改めた。どこかの玉石混交の団体とは一線を画し、会員増・シェアアップを図るより、「良質住宅」の建設・供給に比重を置いたほうがいいと。
報告書からは、その傾向が読み取れる。住宅着工の木造戸建てに占める木住協のシェアは20.5%なのに対し、全国着工に占める木住協会員シェアは、長期優良住宅が28.6%、太陽光搭載住宅が31.4%だ。省エネ適合住宅とZEH適合住宅は公表されていないが、ともに上回っている可能性が高い。
住宅性能評価の「設計」「建設」とも全国統計より低いのはなぜなのかよく分からない。個人的には、それより長期優良住宅やCASBEEのほうを重視すべきだと思っている。
住宅性能評価の分譲戸建てシェア74% 飯田GHは「ZEH化50%」に舵切りを(2023/8/28)
木造戸建て住宅に占める木住協会員シェア20% 飯田グループの加入はないのか(2021/8/28)
ケイアイスター不 生成AI活用に向けた実証実験開始 リリースもAIが作成
ケイアイスター不動産は8月29日、社員を対象とした生成AIの利用実態調査を踏まえ、生成AI活用に向けた実証実験を10月に開始すると発表した。
実証実験を開始することについて同社は、「生成AIの認知は約84%と高く、認知はあるが業務に活かす具体的な方法が見つからずにいるという現状が見受けられた」としながら、「回答者の99%が生成AIの活用により業務改善や新たな価値創出に期待していることから、こうした技術の活用が組織全体の効率化や新たなビジネスモデルの創出につながる可能性を秘めている」と判断し、生成AIを安全かつ社内で活用しやすくするために独自システムを構築し、実証実験を10月に開始するとしている。
具体的には、まずは社員200人程度を対象とし、対象部署へのヒアリングを行い、どの業務において効率的に利用できるのか、またはどのような問題を解決するのに適しているのかを明らかにすることで、活用方法を洗い出し、文章の要約や調査作業、校正などの業務の簡素化、同社のマインドセットを踏まえた人材育成により、社員一人ひとりの働きやすさと業績向上を図る。
利用実態調査は、6月30日から7月8日まで、Google フォームにより同社社員を対象に行ったもので、有効回答は710件。
調査の結果、生成AIの業務利用時に対する懸念点を回答した人は約60%にのぼり、情報漏洩を懸念事項とした回答者は約26%、生成AIからの間違った情報をそのまま使ってしまうといった回答が約16%、個人のスキルが衰えるといった回答が約14%あったとしている。
同社は、首都圏を中心に全国各地で戸建分譲事業を展開。年間7,176 棟(土地含む)を販売しており、2023年3月期の売上高は2,418億円。一般社団法人日本木造分譲住宅協会の立上げに参加し、国産木材の利用を促進するなどESGにも力を入れている。
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同社のプレス・リリースは、A4版で5ページにわたるもので、冒頭には「本記事は生成AI(GPT-4API版)を活用して執筆を行い、デジタル化推進部の担当者にて校正をしました」とあるので、上段の記事は、入れ替えは行ってはいるが、極力そのままの文書を要約した。
リリースを読んだ感想は、文章は非の打ちどころがない。完璧だと思う。誤字・脱字もないはずだ。難点を指摘すれば、やや饒舌、文書が長すぎることだ。「実証実験の内容」は、画面イメージ図を除いても1,000字を超える。半分以下にすべきだ。同業他社のプレス・リリースにも言えることだが、文章全体ではA4版3ページくらいにまとめられるはずだ。
もう一つ言わせてもらえば、「日本木造分譲住宅協会の立上げに参加し、国産木材の利用を促進する…」は字余り。触れないほうかよかった。
この点に関して書き出せば止まらないのでくどくどと書かないが、協会理事はオープンハウスに吸収されることがほぼ確定した三栄建築設計を含めて3者(社)しかない。一般社団の設立要件に問題はないが、実効あるものにするには多くの同業が参加する組織にすべきだ。業界トップの飯田グループをはじめ、4位のポラス、ハウスメーカートップの積水ハウス、さらにはデベロッパー1位の三井不動産レジデンシャル、2位の野村不動産も参加するような組織にして、分譲住宅の質を高めてほしい。
このことを生成AIに聞いたらどのような回答が得られるか。多分、〝情報を持ち合わせていない〟とでも返ってくるか。
「しわぶき」を「しわ(wrinkle)」と誤訳 高度な言語表現に適応できないChatGPT(2023/7/25)
「ChatGPT」を初体験「感情や主観的な意見を持たない」鵺(ヌエ)が支配する時代へ(2023/7/23)
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「ひだ」「もやい」「照り・むくり」を「結う」デザイン 「HARUMI」賃貸募集へ
賃貸街区「PORT VILLAGE」
三井不動産を幹事会社とする「HARUMI FLAG」の賃貸街区事業主10社は8月29日(火)、賃貸街区「PORT VILLAGE」のオフィシャルサイトを開設したと発表した。賃貸街区は全4棟1,487戸で、2023年9月下旬に入居者の募集開始し、2024年1月下旬に入居開始を予定している。
「PORT VILLAGE」は、街区中央にサクラやケヤキなど62種約700本の植栽を施し、約7,000㎡の中庭空間を設け、噴水とともに水景を配置した「MINAMO GARDEN」、子ども用の遊具などを配置した「KODOMO PLAZA」を整備する。街区内には、保育園が開設されるほか、隣接地には中央区立小中学校が新設される予定。
建築物のスカイラインは「ダイナミックシンメトリー」を採用。日本の洗練された建築の伝統が感じられるスカイラインをデザイン。建物は3層の構成とし、分節手法による「ひだ」「もやい」「照り・むくり」を外装の要素に取り入れ、それらの要素を「結」うランドスケープを創出する。
一般賃貸住宅は、単身者やDINKS、ファミリー、シニア層の入居を想定し、幅広いプランバリエーションを用意。共用部分には約350㎡の大浴場のほか、多目的に使用できるイベントスペース、キッチン付きのパーティルーム、フィットネスルーム、シアタールーム、ワークスペースや会議室を設置する。
シニア・ケアレジデンス、シェアハウス、保育施設の運営は東急イーライフデザイン、シェアハウスの運営はリビタ、保育施設の運営はポピンズ エデュケア。
物件は、都営地下鉄大江戸線勝どき駅から徒歩14~16分(新交通システム「BRT」により新橋駅や虎ノ門に直結予定)、中央区晴海五丁目に位置する敷地面積約26,300.㎡、15~17階建て4棟1,487戸(一般賃貸住宅1,258戸、シニアレジデンス158戸、シェアハウス(71戸/114室)、ケアレジデンス50室)。専用面積は一般賃貸住宅が28.71~103.03㎡・159.20㎡・171.66㎡、シニアレジデンスが36.68~66.31㎡、ケアレジデンスが18.17~20.57㎡、シェアハウスが25.01~92.09㎡。竣工予定は2024年1月15日。入居予定は2024年1月下旬。設計は日建ハウジングシステム、東急建設、施行は東急建設。
「HARUMI FLAG」は、約13haの東京都施行による晴海五丁目西地区第一種市街地再開発事業で、特定事業者11社による5,632戸の分譲住宅・賃貸住宅と商業施設の合計24棟から構成される、人口約12,000人の街づくり計画。
全体敷地配置図
「PORT VILLAGE」配置図
中庭
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戸数規模だけなら、UR都市機構のほか民間賃貸でも今回の「PORT VILLAGE」より大きい物件はありそうだが、これほど多彩なプランを備えたものはまず他にないはずだ。
記者はランドスケープデザイン、建物のファサードに注目した。とくに建物の外観デザインは、超高層の「HARUMI FLAG SKY DUO」もそうだが、シンメトリーなのがいい。それに「ひだ」(プリーツ)「もやい」(結び方)「照り・むくり」(反り・起伏)「結う」(結合)などのわが国の伝統的な建築手法を用いているという。街区名に三井不動産のマンションブランド「Park」(公園)でも三菱地所の「Park」(駐車場)でもなく、「PORT」(港)にし、かつて東急不動産のブランド「VILLAGE」を用いたのは施工が東急建設で、シニア・ケアレジデンス、シェアハウスなどの運営を東急イーライフデザインが担当するからか。完成したらしっかり見学したい。
ファサードデザイン
メゾネット住戸
シェアハウス共用部分
三井不レジ シェアリング型賃貸マンション「SOCO HAUS(ソコハウス)」開発
専用部
三井不動産レジデンシャルは8月28日、都会の〝身軽でゆたかな暮らし〟を目指したシェアリング型の賃貸レジデンス「SOCO HAUS(ソコハウス)」を開発し、同日、ブランドサイトhttps://www.soco-haus.comを開設したと発表した。第一弾の女性専用「SOCO HAUS KORAKUEN」を2024年春に開業する。
同社グループの事業提案制度「MAG!C」を通じて生まれたもので、都市部での家賃は上昇を続けており、若年層にとっては豊かな暮らしをおくることのハードルが高くなっていることに着目し、使用頻度の少ない家具・家電を共用部に配置、自室をコンパクトにしながら自由に使えるスペースを確保しているのが特徴。
共用部には上質な空間や高機能でこだわりのある家具・家電を用意し、入居者の嗜好性にフォーカスし、ライフスタイルや価値観と親和性の高いサービスを厳選して提供する。企画にあたっては、プロジェクトの想定顧客と嗜好性の近い社員モニターを対象とした実証実験を実施している。
第一弾の女性専用「SOCO HAUS KORAKUEN」は、かつて同社の社員寮であった建物をリノベーションしたもので、東京メトロ丸ノ内線・南北線後楽園駅から徒歩9分、都営地下鉄大江戸線・三田線春日駅から徒歩9分、文京区春日二丁目に位置する敷地面積約755㎡、6階建て全76戸。専用面積は15.90~18.00㎡。入居募集開始予定は2023年12月。竣工予定は2024年2月。
ラウンジ
ライブラリー
キッチンスタジオ
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ネーミングの「SOCO HAUS(ソコハウス)」から、記者は徒然草の「心にうつりゆくよしなしごとを、そこはかとなく書きつくれば」を思い浮かべ、あるいはまた、都会の「底」に住むしかない若年層の住まいを連想したのだが、そうではないようだ。
「SOCO」は、「Small Options, City Oasis」というキーワードの略称とかで、狭いキッチンや使用頻度の少ない家具・家電は居室の外に置き、生まれたスペースで住む人が実現したい新しいライフスタイルを叶えるという想いを表現しているのだという。
なるほど。いわゆるZ世代の人と話し合ったことがあるが、些細なことには徹底してこだわる一方で、モノを所有する、独り占めにするという意識は希薄で、共用に対する抵抗感がないことに驚かされた。
賃貸だけでなく、分譲マンションにもこうしたシェアリング型がどんどん増えるのではないか。
「S(スケルトン)」は積水ハウス、「I(インフィル)」はパートナー企業のSI事業
積水ハウスは8月28日、同社オリジナルの耐震技術をオープン化し、賛同を得たパートナー企業と連携する業界初の共同建築事業「SI(エス・アイ)事業」を9月1日から開始すると発表した。木造住宅の耐震性を向上させるのが主な目的で、受注目標は2025年度までに年間300棟。
過去の地震被害では、基礎と耐力壁や土台の接合部が弱点となりやすいとされている一方で、同社は独自の技術「基礎ダイレクトジョイント構法」を採用し、耐震性の高い住宅を提供してきた。
SI事業では、同社が「スケルトン」=「S」部分の基礎、躯体、接合部を請け負い、同社グループの積水ハウス建設が施工を担当。「インフィル」=「I」部分の外装や内装はパートナー企業が担う。双方の利点を生かした地域密着型の顧客対応を可能にするという。
パートナー企業は、2021年の住宅着工総数705棟で兵庫県ビルダー着工棟数1位の関西住宅販売、2022年の住宅着工総数815棟で茨城県ビルダー着工棟数8年連続1位のノーブルホーム、積水ハウス指定工事店として50年・本体工事1万棟を超える日立市の積豊建設。
住宅性能評価の分譲戸建てシェア74% 飯田GHは「ZEH化50%」に舵切りを
飯田グループホールディングス ホームページから
「飯田グループホールディングスTCFDレポート2023」(発行日:2023年7月11日)を読んで驚くとともに、考え込んでしまった。同レポートには「2023年3月時点の基準において、当社グループで供給する約80%の住宅は、ZEH(ゼッチ)水準である『断熱等性能等級5』かつ『一次エネルギー消費量等級6』を取得しています。この性能の住宅は一般的な住宅と比べて約20%の削減効果があります」とあるではないか。
同社はこれまで、住宅性能評価の表示項目10分野33項目(必須4分野10項目)のうち「戸建住宅の4分野で最高等級取得」を最大の〝売り〟にしてきた。4分野とは①構造の安定②劣化の軽減③維持管理・更新への配慮④空気環境だ。
これらで最高等級を取得しているのは結構なことではあるが、同制度の評価機関で構成される住宅性能評価・表示協会の令和3年度のデータによると、同業他社もほとんど建設住宅性能等級の4分野で最高等級を取得している。同社だけが突出しているわけではない。
また、同レポートには「2025年の『ZEH水準比率100%』等の検討を始めております」とあるが、これは文脈からすると、住宅性能評価で「断熱等性能等級5」かつ「一次エネルギー消費量等級6」取得率を100%に引き上げるということのようで、ZEHの必須要件である再生可能エネルギーを含めてネットゼロにすることではないと読める。
ここで、同社が「国が認定した第三者機関が、客観的で公平な品質評価をおこなっているため安心」「住宅性能評価は分譲戸建の36%しか取得しておらず、取得物件のうち当社のシェアは74%」とホームページに記す住宅性能表示制度について振り返ってみる。
同制度は、平成12年(2000年)4月1日に施行された「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」に基づくものだ。同法第一条(目的)には「住宅の品質確保の促進、住宅購入者等の利益の保護及び住宅に係る紛争の迅速かつ適正な解決を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与すること」とあり、住宅性能表示制度は(イ)住宅の性能(構造耐力、省エネルギー性、遮音性等)に関する表示の適正化を図るための共通ルール(表示の方法、評価の方法の基準)を設け、消費者による住宅の性能の相互比較を可能にする(ロ)住宅の性能に関する評価を客観的に行う第三者機関を整備し、評価結果の信頼性を確保する(ハ)住宅性能評価書に表示された住宅の性能は、表示された性能を実現する」(住宅性能評価・表示協会ホームページ)ものだ。
施行当時、建基法に違反しない分譲戸建てはむしろ少数派で、消費者の信頼は根底から揺らいでいた。三井不動産レジデンシャルなどは自社物件に絶対的な自信があったためか、分譲戸建て「ファインコート」の住宅性能評価書の取得を行わなかった(今でもそうか)。
そして、施行の5年後には姉歯事件が起き、9年後には現在の飯田グループの構成会社である一建設の1,365戸、アーネストワンの465戸の戸建てで壁量不足・耐震強度不足が発覚して問題になった。当時、飯田グループの創業者で一建設社長だった故・飯田一男氏に取材したことがあるが、いつも強気の姿勢を崩さなかった飯田氏もさすがこれにはこたえたか、居直りに近い姿勢を見せ、破産も覚悟していたのを思い出す。その後、グループ6社が統合しホールディングス体制に移行したのは2013年だ。
同社グループが住宅性能評価書の取得に積極化したのはそれからだと記憶している。同社グループか住宅性能評価制度の普及に大きな役割を果たしているのは理解できる。
だが、しかし、記者は住宅性能評価制度以上に重要なのは、建物のエネルギー性能を星の数で評価するBELS(ベルス)、住宅の居住面積や建物の維持・管理、可変性、まちなみ、周辺環境への配慮も要件となっている長期優良住宅、CASBEEだと思っている。住宅性能評価制度を含めこれらの認証制度を一元的に管理・運用する機関を設けるべきだ。
同社にも一言。同社は年間分譲戸建て着工戸数の3割近くを占める4万戸を供給する自他ともに認めるわが国の分譲戸建てトップランナーだ。最近の同社グループの分譲戸建てを見ていないので何とも言えないが、敷地規模は30坪、建物は28~30坪、土地代込みの平均価格は約3,000万円で、敷地はほとんどコンクリートで固められ、樹木などは1本も植えられていないのではないか。
国土交通省と環境共創イニシアチブ(SII)のデータによると、令和3年の建売住宅のZEHビルダー/プランナー登録はわずか39件しかなく、注文住宅と建売住宅を合わせても710件(全体で5,044件)で、建売住宅ZEH化率はハウスメーカーは50.7%に達しているのに、全体では2.6%に過ぎない。
このような現状であるからこそ、同社の目指すべきなのは「ZEH水準100%」ではなく、「ZEH化50%」に舵を切ることではないか。太陽光発電や緑被率向上などでコストがアップし、売上・利益率がダウンしても、それを数倍も上回る社会的評価を得られるはずだ。
「第17回キッズデザイン賞」258作品のうちポラス26作品、積水ハウス9作品受賞
キッズデザイン協議会は8月23日、子どもの安全・安心と健やかな成長発達に役立つ優れた製品・サービス・空間・活動・研究などを顕彰する「第17回キッズデザイン賞」受賞作品258点を発表した。
今回は、今年4月に発足したこども家庭庁の後援により新たに「こども政策担当大臣賞」を新設。各大臣賞などの優秀作品は9月20日(水)発表する予定。
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ポラスグループは同日、グループ各社の26作品が第17回キッズデザイン賞を受賞したと発表した。受賞は5年連続で、昨年度は13点だった。
また、積水ハウスは同日、第17回キッズデザイン賞で9作品が受賞したと発表した。
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住宅・不動産業の住宅はファミリー向けが中心なので、受賞作品が多いのは理解できるが、それにしてもポラスグループの26作品、積水ハウスの9作品受賞はすごい。双方で受賞作品の約14%だ。
コスモスイニシア BLEA学園とコラボ 第1弾「北千住の街紹介」SNSで発信
コスモスイニシアは8月25日、型にはまらない若者に合わせた教育を展開する「BLEA学園」とのコレボレーションにより、新築分譲マンションの建設地域周辺の「街紹介」を女子高生が企画・立案・作成した動画として同日からSNSで配信開始したと発表した。第1弾は「北千住の街紹介」。
BLEA学園運営責任者/放課後ぴーす代表:中野純吾氏は「『不動産業界とギャル』というのは、普通ならば絶対に交わる事のない要素ですが、それらが交わった時に今までにない新しいコンテンツが生まれて、尚且つそれが教育にも繋がる内容であればとても素晴らしい企画になると感じました…また今回の“マチカツ”の1つのテーマでもある『“不動産業者は有利な事しか言わない“という消費者イメージを払拭する』を達成するために、自由奔放なギャル学生を起用することで、インタビュー内容に真実味を持たせられるのではないかと考えました。世間的には“勉強が苦手なギャル”というだけで将来を不安視されることもありますが、それぞれの個性や特技を活かせる環境を用意することで、成功体験を積み、自信と経験を付け、いずれは社会で活躍できる大人に成長してもらえたらという期待を込めて、今回の企画を取り組ませていただきます」とコメントしている。
同社はこれまで、マンション建設地域の住民らと花を植える街の美化活動「ハナサカ」、防災イベント「防災コミュニティ」づくりなどの「マチカツ」活動を実施している。
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リリースは何のことなのかさっぱりわからず、スルーしようと思ったが、中野氏の「不動産業界とギャルというのは、普通ならば絶対に交わる事のない要素」「“不動産業者は有利な事しか言わない“という消費者イメージ」「世間的には“勉強が苦手なギャル”」という直截的なコメントに気を引かれたので、「BLEA学園」のサイトを見てみた。
同学園には、高等部・専門部・大学部があり、「美容、芸能、アパレル業界と共に“即戦力となる人材育成”を行っている学校」と紹介されている。画像も見たが、確かに〝普通〟とは異なるようだ。
そんな〝普通と違うギャル〟が、記者歴40年以上の記者ですら見抜くのが難しい〝不動産業者は有利な事しか言わない〟-つまり嘘や不利なことを発見し、どうしてそのイメージを払拭するのか、そのSNS第一弾の「北千住の街紹介」を視聴した。ほんの数秒しか流れなかった。そのあとは「ケセラセラ」。なんだこれは。
マンション管理適正評価制度にインセンティブを 国土交通省へ要望 マンション管理協
写真左は国土交通省 住宅局・下村参事官(左)と同協会 小佐野 業務・法制委員長、写真右は同省不動産・建設経済局・宮本参事官(左)小佐野氏
マンション管理業協会(理事長:高松茂・三井不動産レジデンシャルサービス会長)は8月25日、「マンションの適正な管理を確保するための方策に関する要望」を国土交通省に8月23日に提出したと発表した。要望は以下の通り。
【Ⅰ】マンションの適正な管理を実現するための方策
(1)管理計画認定マンションで長寿命化に資する大規模修繕工事が実施された場合の固定資産税額を減額する特例措置が創設されたが、同協会で行う評価制度において、一定の評価を受けたマンションのインセンティブとして、制度の対象の拡充を検討いただきたい
(2)住宅金融支援機構によるマンション共用部分リフォーム融資(高齢者向け返済特例)の金利について、マンションすまい・る債積立管理組合に適用される金利と同程度に優遇していただきたい。同融資の保証料についても、減免もしくは免除を検討いただきたい。また、住宅金融支援機構によるマンションの専有部分において部分的バリアフリー工事やヒートショック対策工事を行う際のリフォーム融資(高齢者向け返済特例)の金利優遇や保証料の減免もしくは免除を検討いただきたい
【Ⅱ】適正な管理組合運営を担保するための法関連の見直しに関する要望
(1)マンション標準管理規約の改訂を検討いただきたい
(2)分譲マンションにおける管理員配置義務の緩和について、東京都23区では各区毎にマンションに対する条例(規定)が設けられているが、管理員の駐在体制について、廃止もしくは緩和に関する国土交通省の力添えを頂きたい
全て流通材、組子格子耐力壁を現しで表現 AQ Group「8階建て純木造ビル」見学会
建築中の「8階建て純木造ビル」
AQ Groupは8月25日(金)、さいたま市で建築中の新社屋「8階建て純木造ビル」の構造現場見学会を開催した。今年9月10日予定されている上棟式を前に、純木造のよさを理解してもらうのが目的で、1階と6階部分がメディアに公開された。また、建築中のビルをメイン会場にした総勢15,000人の「夏休みの木育課外授業 つくろう!木育フェス」も同日実施した。
「8階建て純木造ビル」は 市場に流通している住宅用のプレカット材を採用し、特殊金物を用いないで地場の工務店が在来工法で建築するわが国初の試み。木材使用量は約3,655㎥(木造住宅300~400棟相当分)、国産材はヒノキ、カラマツなど全体延床面積の7.7%、CO2排出量は非木造の2分の1以下、炭素貯蔵量は約2,578t-co2(スギ約5,104本相当)、11mスパン、階高3800ミリ、天井高3000ミリなどが特徴。耐用年数はRC造と同様の47年の評価を取得する予定。
見学会で宮沢俊哉社長は、「今から100年前に関東大地震が起こり、わたしが生まれた1949年には伊勢湾台風に見舞われ、以来、木造禁止令のごとく、わが国の建築物は鉄やコンクリが中心になった。現在は、木造は世界的に注目を浴びている。大工の一人として、わが国の伝統的な在来工法を広めるのが天職・使命として新社屋の建設を決意した。経営者としては不安だらけ、大きな挑戦だが、トライ&エラーを繰り返しながら、コストの壁、工法の壁、偏見の壁を乗り越え、木造建築物を普及させていく。コストは一般的な鉄骨造と比較すると同じか、やや高くなる程度」と語った。
わが国の木造建築研究の第一人者で、同社の木造建築技術向上に大きな役割を果たしてきた東京大学大学院教授・稲山正弘氏は、「大規模木造ビルとしては昨年4月に完成した免震工法の大林組のビル(11階建て延床面積約3,502㎡の「Port Plus大林組横浜研修所」)があるが、木造軸組工法による耐震構造のビルとしては今回が日本初。阪神・淡路大震災クラスの震度7を想定した5階建て実大実験でも完全性が確認できた。特殊金物を使わず、在来技術と流通材を使用した8階建て6,000㎡超のビルというのが最大のポイント。4階までは2時間耐火、4階以上は1時間耐火で、組子格子耐力壁を室内現しデザインとして採用している。耐力壁は一見してきゃしゃで細いものに映るが、20トンの重量に耐えられる」と話した。
ビルの基本設計・実施設計を担当している野沢建築工房担当者は建築概要を説明し、コストのかかる特殊金物を用いず、大臣認定が少ないサッシ・外壁・区画貫通部材の少なさ、スプリンクラーを設置せず法令の範囲内で現わしを実現した苦労などを紹介した。
施設は、JR大宮駅からバス約15分、さいたま市西区三橋5丁目に位置する敷地面積約9,000㎡(約2,700坪)。本社ビルは敷地面積約5,424.46㎡、木造軸組工法による耐震構造の延床面積約6,076㎡。基本・実施設計は野沢正光建築工房。構造設計はホルツストラ。施工は田中工務店、伊佐建設。このほかショールーム、実験棟、宿泊体験棟6棟合計の総延床面積は約11,200㎡。着工は昨年9月。完成予定は2024年春。
左から宮沢氏、稲山氏、野沢建築工房担当者
見学会会場となった1階部分
完成予想図
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いま、木造による集合住宅、ビル建築が脚光を浴びており、大手ゼネコンやデベロッパーが〝覇権〟を争っている。一方で、AQ Groupは非上場、施工の田中工務店は埼玉を本拠とする地場建設業者だ。耐力壁に使用している木は埼玉県産材や国産材だ。これが嬉しいではないか。
宮沢氏は、今回のビルには「耐力壁ジャパンカップ」「カベワンGP」などで培った技術の一部を注ぎ込んだと語ったが、それは「組子格子耐力壁」に表れていた。稲山氏は「きゃしゃで細い」とも話したが、どうしてどうして、これが強い。特殊金物をたくさん用いた耐力壁と互角の争いをしたのを記者は何度も見ている。写真を見ていただきたい。何かに似ていないか。六角形、ハチの巣、ハニカム構造だ。(坂茂氏が設計した芝浦工大のレストランにもこのハニカム構造が採用されていた)
コストについて。この種の見学会では、必ず鉄やコンクリとの価格が話題に上る。誰もが知りたいことではあるが、記者はもうそんな論議はなしにしたほうがいいと思う。
木造メーカーは鉄やコンクリと比べて安いことを全面に掲げてきた。しかし、考えてみれば、あらゆる商品は価格が安ければいいかということではない。価格に見合う価値があるかどうかで判断するのが普通だし、そもそも木造と鉄、コンクリはそれぞれ特徴があり、単純比較などできないはずだ。例えていえば、ペットは犬か猫か、ナイフとフォークを使って食べる肉と手づかみで食べるウルメイワシのどっちが美味いか、ワインか日本酒かを論じるようなものだ。文化と趣向の違いだ。
もうそんな不毛な論議はやめて、木造であれば、燃やしてもCO2を空気中に増やすことにならず、炭素を固定する脱炭素社会・カーボンニュートラル社会の実現に欠かせない資源であり、国産材の利用はわが国の森林・林業の再生・活性化に貢献しており、さらにまた外観・内観が人にもたらす心理的効果などを定性的かつ定量的にきちんと図るモノサシを確立すべきだと思う。
国産材を採用したハニカム構造の「組子格子耐力壁」
工事中の6階部分
6階部分の天井
接合部分
わが国初の「5階建て純木造ビル」/「カベワンGP」7度目V アキュラホーム(2022/11/15)
木造の英知結集 日本初 現し8階建て 特殊金物用いず低コストで建設 アキュラ本社ビル(2021/10/28)