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「ほの国百貨店跡地プロジェクト」

 総合地所、大和ハウス工業、阪急阪神不動産は11月2日、愛知県豊橋市の「ほの国百貨店跡地プロジェクト」マンション「HONOKUNI RESIDENCE」のメディア向けモデルルーム見学会を行った。地方都市のマンション市場を知るのが目的で、取材した。駅前の一等地で、坪単価は200万円を突破する模様だ。地方都市も坪200万円を突破する時代に突入したことを実感した。

 物件は、JR東海道本線・飯田線・JR東海道新幹線・名鉄名古屋本線豊橋駅から徒歩6分、豊橋市駅前大通二丁目の商業地域(建ぺい率80%、容積率600%)に位置する敷地面積約2,513㎡、15階建て全156戸。年内に販売開始する第1期(戸数未定)の専有面積は72.07~105.42㎡、価格は未定だが、坪単価は200万円を突破する模様。竣工は2024年10月中旬。設計・施工は長谷工コーポレーション。販売代理は長谷工アーベスト。管理は第三者管理者方式を採用する。

 現地は、地元の人によく知られている市内唯一の百貨店だった「ほのくに百官店」跡地。敷地南側は幅員約50mの駅前大通りに面しており、東側は幅員約15m、北側は幅員約6mの道路に接道。

 建物はL字型で、1フロア南向き8戸、東向き3戸の構成。主な基本性能・設備仕様は、市初のZEH-M Oriented認定、直床、リビング天井高2400~2500ミリ、フィオレストーン・人工大理石キッチン天板、食洗機、Low-E複層ガラスなど。長谷工オリジナルの「UGOCLO(ウゴクロ)」も提案する。共用施設はキッズスペース、コワーキングスペース、ランドリールーム、カフェラウンジ、ゲストルームなど。

 総合地所名古屋支店マンション開発部部長・有本光男氏は、「100戸強の物件が毎年1~2棟供給されている。これまでの物件の坪単価は180~200万円。今回は場所がいいので200万円を超える予定。これまでのエントリー数は600件超。11月11日から集客を開始する」と語った。

 「ほのくに」とは、かつて豊橋は「穂の国」と呼ばれたことに由来する。エントランス部分には市の伝統的な技術である組子デザイン、織物の技がモニュメントとして採用される。

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モデルルーム玄関サイドに置かれた飾り物(豊橋市の伝統的手筒花火を模したもののようだ)

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市の伝統的技術を紹介するコーナー

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 豊橋駅に着いたのは午後2時過ぎ。政令指定都市にしては人通りは少なく、広い道路の割には車の数も少ないと感じた。

 他の地方都市と同じように、加速度的に高齢化が進み、人口も減少しているのではないかと考え、市のデータで調べた。総人口は平成22年国勢調査の376,665人をピークに減少に転じ、令和5年10月1日現在は368,996人。この13年間で2.0%減少。「豊橋市人口ビジョン」(平成27年)によると、2030年の将来人口は359,000~364,000人と予測されている。高齢化率も高まっており、平成27年の24.1%から2030年には28.9%に上昇すると予測されている。

 市は令和3年、「豊橋市中心市街地活性化基本計画」を策定、豊橋駅周辺の約125haを「ストック活用ゾーン」として位置づけ、駅東口と西口周辺を重点整備エリアとし、民間による再開発を促すことを打ち出している。

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 モデルルームを見学してから現地を確認した。ここも大通リにしては人通りは少なく、通りを横切るには地下歩道を通らなければならないのに、典型的な車優先の街づくりの街を見た。

 すると突然、現地南側の真正面の建物に目を奪われた。白が基調の正統的デザインのその建物は不思議と古い街並みに溶け込んでいた。品格がある。

 この建物が何者であることを確認しないでは取材したことにはならないと、遠回りして現場を確認した。

 工事中の仮囲いのボックスにB3サイズのチラシが入っており、「『住・商・公』複合開発16階建、総戸数110戸の新築分譲マンション 第1期完売御礼 『ザ・ハウス豊橋WEST』第2期先着順受付開始 」と大書きされているではないか。小さな字に難儀しながら読んだ。

 物件概要には、建物は16階建て総戸数110戸。第2期の販売戸数は20戸、専有面積は56.01~98.60㎡、価格は2,770万円~6,370万円(最多価格帯2,800万円台)。竣工予定は2024年5月下旬。売主は中部ガス不動産。事業主は豊橋駅前大通二丁目地区市街地再開発組合。施工は鹿島建設。設計・監理は北山孝二郎+K計画事務所、アール・アイ・エー。竣工予定は2024年5月下旬とあった。隣接する建物は、2年前に竣工した5階までが公共広場、飲食店、図書館、オフィス&行政サービスなどが入居し、6階以上がマンション「THE HOUSE TOYOHASHI」(129戸)だ。

 早速、インフォメーションセンターに飛び込み、来意を伝えたのだが、「物件概要に書かれていること以外には答えられない。写真撮影も不可」と取材を断られた。仕方なく、専有面積と価格が照応するか分からないが、単価をはじいた。最低は163万で最高は213万円だ。

 施工が鹿島で2年前竣工といえば、RBA野球日曜ブロック屈指の好投手遠藤が名古屋勤務に異動になってからしばらくしたころだ。この物件を担当したに違いない。いい仕事をしたものだ。鹿島は今年の大会も決勝を逃し、3回連続の準決敗退となったが、遠藤は今年年末には東京に戻ると聞いている。チームの負担で、3年連続惜敗の厄払いを兼ねた遠藤復帰の歓迎会をやろうではないか。遠藤は不摂生が祟って、もう投げられる体じゃないかもしれないが…。

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現地

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左が現地、右が「THE HOUSE TOYOHASHI」

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駅前から現地を写す

三菱地所、社-柴田の継投決まる 鹿島建設は10残塁 再三再四の好機逸す(2023/10/22)

ケンコーポ 絶体絶命のピンチ3度凌ぐ 惜敗鹿島 一死3塁 3度生かせず(2019/10/27)

 

 

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「都立明治公園」イメージ図(プレス・リリースから)

 Park-PFI(公募設置管理制度)を活用した東京都初の「都立明治公園」(約61,342㎡)を11月3日、見学した。公園は10月31日に供用開始されたばかりで、この日(3日)は、開園を祝う催しとして地域の団体や学校がブースを出展し、YOGA、Mugic、能などのステージイベントか行われ、様々なフードコーナーも設けられ、多くの人で賑わった。Park-PFIによって都市公園が商業施設化することに懸念する声もあるが、〝公園が街の中心〟になり〝賑わい〟が日常となるのは記者も大賛成だ。「萩山」「せせらぎ」「池袋」「公園の垣根」など過去の記憶が蘇った。来園者も〝いい公園〟と評価した。

 Park-PFIは、平成29年(2017年)の都市公園法改正により制度化されたもの。公募により民間事業者を選定し、都市公園内に飲食店、売店などの利便施設を設置し、設置した施設から得られる収益を活用して、公園の維持管理、周辺の園路などの公園施設を一体的に行うのが目的。令和4年度末現在、全国131か所で共用されており、そのほか132か所で活用が検討されている。

 「都立明治公園」は、都営大江戸線国立競技場前駅・東京メトロ外苑前駅から徒歩9分、JR千駄ヶ谷駅から徒歩10分、新宿区霞ヶ丘町内他に位置する面積約61,342㎡。従来フリーマーケットの場として利用されていた「四季の庭」「霞岳広場」を2016年1月に廃止し、令和4年1月、Park-PFIにより東京建物を代表とする三井物産、日本工営都市空間、西武造園、読売広告社、日テレ アックスオンの6社コンソーシアム「Tokyo Legacy Parks」(TLP」)を決定。契約期間は20年。

 敷地北側は2階部分に設けられたペディストリアンデッキで国立競技場とつながっており、西側は外苑西通り、南側はマンションやビル、西側は再開発「神宮外苑」エリア。事業コンセプトは「世界に誇れる、東京という都市の“レガシー”となる公園を創り、次世代へ継承する」で、園内には約1,000㎡の芝生広場「希望の広場」や渋谷川をモチーフにした水景を取り入れた「みち広場」、多様性をテーマにした「インクルーシブ広場」の3つの広場と、約7,500㎡の樹林地「誇りの杜」が整備された。

 事業地内には、木造2階建て3棟延床面積330㎡、RC2~3階建て2棟780㎡、合計5棟延床面積1,110㎡のカフェ・レストランなどの店舗が完成する。また、スマートポールを導入し、従来は手作業でしか測定できなかった来園者数の測定などをAIが行い、今後の円滑な公園運営に活用する。

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正面が国立競技場

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 偶然の一致か。今回のプロジェクトは都立公園のPark-PFIの第一号だが、東京建物は東京都の民設公園制度を活用した最初にして最後のマンション「Brillia L-Sio 萩山」(全184戸)の売主だ。施工は西武ホールディングスが身売りした西武建設だったが、明治公園の6社コンソーシアムに加わっている西武HDグループの西武造園もランドスケープ・植栽を担当していたはずだ。記憶が間違っていなければ、同社は西武不動産の大規模マンションに雨水を貯留し、メダカを泳がせるせせらぎを設けた。

 同社はその後、建物外周にせせらぎが設けられている東建「Brillia Tower 池袋」も、Park-PFIの「MIYASHITA PARK」にも事業参画している。

 「渋谷川水系をオマージュした水景」のステップガーデンも同社によるものだろう。公園を見学して一番いい、優れていると思ったのはこの水景だ。ステップや地表などは透水性の舗装仕上げで、斜面にはケヤキ、サクラなどの樹木や草花がたくさん植えられていた。3~4歳と思われる子どもが、お父さんに「ほら、ヘビイチゴ」と歓声の声をあげた。確かにそうだった。記者も小さいころ、実を摘んでは食べたものだ。

 しかし、それだけに失望も大きかった。どこにでもある水景と大差なかった。「渋谷川水系をオマージュした水景」を見て、かつてここに渋谷川が流れていたことを連想できる人はほとんどいないはずだ。水路は思い切ってコストをかけて、例えばペディストリアンデッキの高低差を利用して滝を演出するとか、子どもが水遊びし、小鳥が飛来し、様々な動植物が育つ空間にしてほしかった。(敷地規模が小さすぎるか)

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「みち広場」

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「渋谷川水系をオマージュした水景」

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舗道と植栽帯のこの突起部分が気になった(躓かないか)

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環境に配慮した歩道

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ベンチなどは本物の木が採用されている

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工事中の店舗の外観

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 大きいといえば、とても大きな発見もあった。隣接する三井不動産レジデンシャル・野村不動産「THE COURT 神宮外苑」(409戸)と「日本オリンピックミュージアム」との境界標はあるのだが、それぞれの敷地は出入りが可能で、遮るものは全くない。第2回グリーンインフラ大賞「生活空間部門」優秀賞を受賞したフージャースコーポレーション「デュオヒルズつくばセンチュリー」や、小田急バス・ブルースタジオ賃貸住宅「hocco(ホッコ)」と同じだった。この場所を通った夫婦と思われる二人連れが「公園とマンションを一体化しているのがいいわね」と話していた。

 都市公園の課題の一つは、地域と住民を遮断する垣根の撤廃だと思っているが、今回の公園にはそれがない。誰もが気づかない、小さな取り組みかもしれないが、とても大きな英断だと思う。全国に広がることに期待したい。

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「THE COURT 神宮外苑」の敷地(左)と公園とマンションの境界

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マンション(左)との境界標

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「THE COURT 神宮外苑」

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来園者にも話を聞いた。以下に紹介する。( )内は記者。

・すぐ近くの築約20年のマンションに住む40代の男性5,000人規模のイベントを行うという話を聞いたが、今日のような500人くらいの規模がいい。都市と人が成長できるようになってほしい

・渋谷区に住む50代の夫婦 WEBで知ったので下見に来た。店舗が完成すればもっとよくなる

・三鷹市民で、近くの高校の教師を務めている30代の男性 生徒が部活の一環として出店しているので見にきました。とてもいい公園。神宮外苑問題? ノーコメント

・杉並区に住む30代の夫婦 ゴロゴロできるのがいい。神宮外苑は政治的な匂いがする

・30代の出展者&50~60代の地元渋谷区に住む男性二人 若い人を呼び込む空間にしたい。フリーマーケットのときからここはよく知っている

・この出展者や渋谷区居住者と仲間という30代の大阪市民 おばあちゃんが近くに住んでいます。(東京建物はいい会社ですよ)あなた(記者)は東京建物の味方? わたしはあまり好きではない。閥族とズブズブのイメージが強い。神宮外苑も同じ。もっとも東京らしいものを壊そうとしている

・3日連休を利用して新潟から訪れた40代のファミリー 芝生がいい。空も大きい(新潟は人工芝? 空はもっと広いのでは? )アハハハハ。スカイツリーに行こうと考えていますが、どこかいいところないですか(人がいないところがいいと思いますが…)

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イベント

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「希望の広場」

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「インクルーシブ広場」

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「誇りの杜」付近

過度な公園商業施設化に懸念全国一のPark-PFI実績誇る大和リース業界動向勉強会(2023/10/30)

不審者、立入・火気禁止、強剪定…荒んだ世情の表れ桶川駅の街路樹は泣いている(2023/10/28)

〝喬木は風に折らる〟誤解解く取り組みの見える化急げ「神宮外苑地区まちづくり(2023/10/17)

究極の隈研吾マンション 豊島区庁舎と一体の東京建物「Brillia Tower 池袋」(2013/3/19)

ショック 分譲戸建ての施工・デザインが最高の西武建設の身売り(2022/1/28)

第2回グリーンインフラ優秀賞受賞 フージャース「つくば」のマンション(2022/5/2)

出来すぎだ!焼杉! 見どころ多い小田急バス×ブルースタジオ「hocco(ホッコ)」(2021/10/7)

都の民設公園第1号「萩山 四季の森公園」開園祭り(2009/10/5)
 

 

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「プラウドタワー相模大野クロス」

野村不動産の「プラウドタワー相模大野クロス」マンションギャラリーを見学した。伊勢丹相模原店跡地の小田急線最高峰の41階建て全687戸で、立地の良さに加え、基本性能・設備仕様レベルの高さ、環境配慮、地域共生などの商品企画が評価されており、6月下旬から開始したエントリー数は3,000件を突破している。人気を呼ぶのは必至だ。

物件は、小田急線相模大野駅から徒歩4分、相模原市南区相模大野四丁目の商業地域に位置する敷地面積約10,186㎡、地下3階・地上41階建て全687戸。専有面積は32.66125.48㎡。11月分譲予定の第1期(戸数未定)の予定価格は3,900万円台~26,900万円台(予定最多価格帯8,500万円台)、坪単価は未定。竣工予定は202511月上旬。施工は三井住友建設。デザイン監修は日建ハウジングシステム。

現地は、伊勢丹相模原店跡地。建物の高さ約152mは小田急線最高層。敷地内に公共広場と24時間開放の公共歩廊約3,600㎡を新設することなどで駅とグリーンホール、図書館、中央公園のアクセスを確保し、地域の賑わいを創出する。住戸プランは、1LDK67戸、2LDK148戸、3LDK434戸、4LDK38戸。

主な基本性能・設備仕様は、免震、ZEH-M Oriented&低炭素建築物認定、二重床・二重天井、食洗機、ディスポーザー、御影石キッチンカウンター、リビング天井高26002800ミリ、ミストサウナ、高効率エネファームなど。207台収容の平置き駐車場は、従前の百貨店の既存施設を活用するほか、グリーン電力の採用など環境にも配慮している。

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公共広場

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 坪単価は未定だが、記者は400万円を突破するとみている。駅とはアーケードでつながっており、約2.7haの「相模大野中央公園」に近接しているのがいい。小田急線最高層(京王線も西武線もそんな高いマンションはないはず)という価値はどうか知らないが、こんな立地に恵まれたマンションはそうないはずだ。

 物件案内をしていただいた同社住宅事業本部神奈川住宅営業部・安田航大氏によると、12年前に同社が分譲した相模大野駅前の坪230万円だった「プラウドタワー相模大野」の中古価格は坪350360万円だそうだ。

 坪350360万円といえば、新宿からの電車所要時間はほとんど同じのわが京王線聖蹟桜ヶ丘駅や多摩センター駅の一等地でもかなわない価格だ。どうしてそうなるか。参考になりそうな記事をいくつか添付するので読んでいただきたい。

伊勢丹相模原店跡地の沿線最高峰 野村不41階建て「相模大野」687戸分譲(2023/9/17)

野村不動産「プラウドタワー立川」は坪単価342万円 早期完売必至(2014/7/10)

野村不動産&再開発組合「bono(ボーノ)相模大野」15日オープン(2013/3/12)

ハイレベルの野村不動産「プラウドタワー相模大野」(2011/8/12)

「横浜ポートサイド」の再現なるか 横浜市住宅公社「長津田」(2011/7/22)
 

 

大和ハウス工業は1026日、住宅・建設・不動産業界メディアの取材の参考になるための「業界動向勉強会_公園事業・パークマネジメント篇(大和リース)」を開催し、大和リース代表取締役社長・北哲弥氏と、ParkPFIにより同社が運営管理する大阪市の鶴見緑地パークセンター長・池田昂志郎氏が質疑応答を含め約1時間にわたって熱っぽく語った。記者はオンラインで視聴した。

北氏は、「リース会社といえば、親会社の商品をファイナンスリースするのがほとんどだが、当社は親会社にリースするのではなく、自社工場で商品をつくり、外販している。技術者が多いのも特徴で、一級建築士と一級施工管理技士で574名(全従業員の約24%)を数える。20233月期の売上高は2,413億円。建設会社の売上高ランキングは大和ハウス工業が2位、フジタが9位だが、当社も21位。グループ内の売り上げは3%くらいで、全てグループ連結の売上に貢献している。

事業は規格建築事業、流通建築リース事業、リーシング ソリューション事業、環境緑化事業の4本柱で複合展開しているのが強み。公園事業は官民の連携、両輪、両立を目指しており、現在稼働中の公園事業は全国27か所。向こう10年間で100か所に増やす目標を掲げている」などと話した。

池田氏は、2017年に改正されたPark-PFI(公募設置管理制度)によって、収益施設の設置管理許可年数が10年から20年に延長され、建ぺい率は2%から12%へ緩和され、公園施設を整備する際の設置管理許可期間は10年から30年へ、保育所、学童クラブ、老人デイサービスセンター、障害者支援施設なども設置可能になったことなどを説明。

Park-PFIは、現在全国131か所で活用されており、企業別実績では、同社は102件のうち12件を占めるなど、3件以下の2位を大きく引き離して全国一であることを報告した。

一方で、都市公園は急速な人口減少と高齢化、税収減、維持管理費の負担増など多くの課題を抱えており、2003年に導入された指定管理者制度による民間管理公園は全国13,319か所に上っているにも関わらず、現状の維持管理を委託しているに過ぎないなどと指摘。Park-PFIで公園が利益追求する空間となり、公園の価値が低下することに懸念を示した。

同社の公園事業の基本は①OfficialCommonOpenであり、公園整備のマニュアルとして①緑地面積を減らさない②寂れさせない工夫③空間化との創出を掲げ、「『公園』は社会的共通資本であることを理解し、『公の精神』をもって臨むこと」などの5カ条の心得を公表した。

           

記者はこれまで、街路樹だけでなく都市公園についてもその都度、記事にしてきた。親は〝公園は危ないから遊んではダメ〟と言い、子どもは習いごとに忙しく遊ぶ暇もないのだが、それに追い打ちをかけるようにキャッチボール、サッカー、ゲートボール、ゴルフ、大声、楽器演奏、ごみ捨て、花火、犬の散歩、喫煙、飲酒、果実の収穫…を禁止する自治体がほとんどで、中には砂場はネコの侵入を防ぐための防護ネットを張り、利用時間は平日の9時から午後4時まで、土・日曜日は閉園するところまである。

全く利用されず雑草が生い茂っていても苦情は出ないのか、放置されている公園も多い…地価にしたら1種数十万円、数百万円もする都市公園の惨状に心を痛め、それを解消するPark-PFIに期待もしてきた。

同社の話を聞いて、頭をどやされたような気がした。同社のことを全く知らなかったのだ。どこかで建設機器など調達し、高い利率でリースする会社だと思っていた。不明を恥じるばかりだ。

記者団からの売上高についての質問に、北氏は公園事業の売上高はほぼ30億円としながら、「単年度で考えているわけではない。20年の長いスパンで考えている」と語り、「認知度を高める必要性」については「看板を掲げているわけではない」と受け流した。

小生は、情報発信力を高めるべきだと思うが、売上高の多寡は問題ではないと思う。グループ全体の売上高4.4兆円(20233月期)からしたら公園事業は0.07%にしか過ぎない。「公の精神」はお金に換算できない価値がある。その精神はやがて花を咲かせるはずだ。

池田氏が公園の過度な商業施設化に懸念を示したことにもドキリとさせられた。つい先日見学した桶川市の公園入り口に設置されているブロンズ像の台座には真実かどうかみんなに公平か行為と友情を深めるかみんなのためになるかどうか-の4つのテストが彫り込まれていた-これにイエスと答えられる人はどれほどいるか。

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「木と人体」取り組み概要ムービー:https://youtu.be/qfsXp9Z8pn4

 東京大学大学院農学生命科学研究科・農学部と三井不動産、三井ホームは10月25日、産学協創「三井不動産東大ラボ」の共同研究の一環として、木の空間が身体にどのような良い影響を与えるかを科学的に証明する実証研究を開始したと発表した。

 木を使った空間に身を置くと、木の持つ温もりを五感で感じ、リラックス感を得ることができ、“人は自然や動植物などの生命との結びつきを求める”という「バイオフィリア仮説」の側面から木材を利用した建築物への注目が高まり研究もされているが、未知の部分も多いとされている。

 今回は、①木質・木造空間の“匂い”と“光環境調整効果”が睡眠に及ぼす影響②木質建材の発する“匂い”が認知症予防に与える影響――について、東京大学大学院理学系研究科を主担当として、東京大学農学部との連携のもと研究を行う。

 ①の研究を担当する東京大学大学院 農学生命科学系研究科 生物材料科学専攻・恒次祐子教授は「木の空間が人の心身に及ぼす影響について、まだまだ研究を通じて明らかにしなければならないことはたくさんあります。例えば、使用する材の量や木目の影響、樹種による効果の違いや、長い時間をその空間で過ごした時の影響など、検証を重ねることが必要」とコメントしている。

 ②の研究について、東京大学大学院 理学系研究科 生物科学専攻・竹内春樹教授は「人の嗅覚に関する遺伝子数は視覚よりも多く、今回の研究では、適度な木の匂いから得られる刺激を自然に受けられる環境をつくり、その匂い効果が脳に与える影響を神経生理学的・行動学的に検証する」とコメントしている。

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 温度を含めた木質空間が人の心身に好ましい結果をもたらす研究はたくさん行われているようだ。住宅業界関連では、慶應義塾大学理工学部の伊香賀俊治研究室がナイスの「スマートウェルネス体感パビリオン」を用いて、住宅内の木質化がストレス解消、知的生産性向上に効果があることを実証した。恒次教授は、林野庁補助事業「木材利用に取り組む民間 企業ネットワークの構築事業」に関する詳細なレポートをまとめている。

 今回のテーマは〝匂い〟(嗅覚)のようだ。記者は、あらゆる事象を知覚し、嫌悪・好悪の感情を抱くのは、五感のうち視覚がもっとも大きな役割を果たしており、本能的・生理的より「学習」による後天的影響が大きいと考えてきた。

 例えばニンニク、クサヤ。記者の田舎ではニンニクはほとんど使用しなかった。ニンニクの臭いを発散する人は嫌悪された。匂い・味覚は社会的偏見に太刀打ちできなかった。強烈なアンモニア臭を発するクサヤは食べてみると美味しいので好きになった。嗅覚より味覚が勝利した。

 ところが、竹内教授は「人の嗅覚に関する遺伝子数は視覚よりも多い」という。これは驚きだ。樹種による違いも研究されるようなので、どのような結果になるか期待したい。記者などはスギ、クスノキ、イチョウ、マツなどは分かるかもしれないが、ヒノキ、ヒバ、カシ、ケヤキ、キリ、サクラ…などを匂いでかぎ分ける自信はない。効用もさっぱりわからない。この前、三菱地所ホームの取材で「KAMOSHIKA Drinks(カモシカ飲料)」を頂いた。カラマツ、アカマツ、アブラチャン、ヒノキ、タイムなどのエキスを凝縮したものだった。混ぜ合わせたらどうなるのか。

 もう一つ、リリースには「適度」とあるが、少量、あるいは過度の木材が与える影響や、無臭のはずのフェイクグリーンが世の中を席巻しているように、経済効果を優先してケミカル製品で木を覆い隠しても効果に変わりはないのかも解明していただきたい。視覚より嗅覚が勝るとすれば、小生には無用だが、小説の世界にたくさん登場する媚薬・催淫剤の開発にもつなげていただきたい。リリースだけでなく、メディア参加型の発表会も行ってほしい。

木質化PJ「KIGOCOCHI(キゴコチ)」マンションリフォーム提案 三菱地所ホーム(2023/10/14)

東京大学&積水ハウス 庭の生物多様性とメンタルヘルスに関する共同研究(2023/12/2)

わが意を得たり 人工植物は販売促進に逆効果 三井デザインテック調査研究(2017/9/25)

 

 

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桶川駅西口ロータリーの街路樹(樹脂は不明)と駅近のマロニエ

 桶川にはゴルフ場があり、何度か降り立ったことがある。今は昔だが、若くてかわいい女性社員の出身地でもあり、いいイメージしかない。ポラス「yoridokoro(拠りどころ)上尾」の取材を終え、埼玉県日高市が発祥という桶川駅東口直結の「日高屋」(ハイデイ日高)で昼食をとった。ビール2本とイワシフライで税込み950円。1,000円でお釣りが出た。いい店だ。

 タバコが吸いたくて、東口には喫煙所がなさそうなので駅西口に向かった。だしぬけに異様な光景が目に飛び込んできた。駅前の街路樹がことごとく電信柱のように強剪定されていた。街路樹も〝殺されてなるものか〟と、必死でひこばえ、胴吹きで防戦していた。墓碑のような伐採木の株もそのまま残されているなど、ガザの戦場と五十歩百歩の人間界と自然界のすさまじい戦いが展開されていた。タバコを吸う余裕は吹っ飛んだ。その代わりムラムラと怒りが込み上げてきた。一部始終を見てやるぞと、約1時間半、西口周辺を歩いた。

 言葉に詰まった。論より証拠だ。写真を撮りまくった。一つひとつ紹介する。

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見事な非対称のケヤキの街路樹 

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駅前の商業施設の樹木(樹種は不明)

 駅前のケヤキの街路樹だ。右側だけが強剪定されている。左側も樹形が乱れている。予算の関係か、交互に強剪定しているのだろう。街路樹は左右がシンメトリーだからこそ美しい。〝生かさず殺さず〟-ここのケヤキは過去も未来もない。半殺しのままだ。

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「桶川駅西口公園」

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「桶川駅西口公園」

 駅西口から徒歩2分に桶川市シルバー人材センターが維持管理している「桶川駅西口公園」がある。立派な樹木がたくさん植わっており、モニュメントや子ども向けだけでなく、大人向けの健康遊具もあり、素敵な公園だ、しかし、駅前にも拘わらず、人影はまばら。1時間は滞在したが、出会った人は10人もいなかった。何だか変。「禁煙」の看板はないのは、何かの陥穽ではないかといぶかった。

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「健康遊具ひろば」

 「この器具は大人の健康増進のためです。(16歳以下の方は使わないでください)」「この器具を使うときは『使い方』に示す方法を守ってください」とある。記者も使ってみようと思ったが、肝心の「使い方」の文字は消えていた。

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 意味不明の注意書き。「砂場遊具には近づかない。あそびおわったらを洗いましょう」-いったい誰に注意喚起しているのか。

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 「公園内では、花火・たき火などの火気は使用禁止です」-これも分からないではないが、これではPark-PFIは導入できない。「禁煙」の看板はひとつもなかったが、たばこのライターは火気なのだろうか。

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 公園の入り口には地元のローターリークラブが寄贈したと思われるブロンズ像があり、台座には次の「四つのテスト」が記されている。①真実かどうか②みんなに公平か③行為と友情を深めるか④みんなのためになるかどうか-誰のためのテストなのだろうか。

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伐採木サークルがモニュメントになっていた団地エントランス(これもありか)

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 「当団地は犬立入禁止」-犬は文字を読めないはずだから、野良犬には効き目がないと思うが、リード付きも不可なのか。時代遅れの「ペット不可」の団地か。

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 ごもっとも。ビラ配りのため無断でどこかの官舎に立ち入った人が逮捕されたこともあった。記者は団地内の様子を見ようと思ったが、「不審者を見たり聞いたら一一〇番」もあるので、誰何されそうだからやめた。

◇      ◆     ◇

 街路樹が悲惨な目に遭っていたが、とにかくこの街は看板が多すぎる。市民の方々には大変失礼だが、すさんだ心、世情の表れではないか。やんぬるかな。累卵の危機にあるのではないか。わが街多摩センター駅前にも「受動喫煙からあなたを守ります」と大書きされた横断幕はあるが、公園内の注意書きは目立たないし、強剪定される街路樹はそれほど多くない。そんなことをしたら市民は黙っていない。

食・農・緑…地域共生テーマに専門家とコラボポラス全70戸の「上尾」

健全な街路樹を「枯損木」として処分 問われる住民自治 千代田区の住民訴訟(2022/11/12)

埼玉県 緑被率最低0.04の蕨市とワースト4の0.18の戸田市で異なる街路樹の量と質(2021/6/20)

 

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yoridokoro(拠りどころ)上尾」

ポラスグループ中央住宅は1027日、地域共生型分譲戸建て「yoridokoro(拠りどころ)上尾」のメディア向け見学会を行い、モデルハウス内覧会を1028日(土)に開始し、第1期を1110日に開始すると発表した。35区画の分譲地が2つ繋がる全70戸の、同社グループが上尾市内で分譲する最大規模の住宅地。地域と関わる専門家8名とコラボしたプロジェクトだ。

物件は、JR高崎線桶川駅から徒歩17分、埼玉県上尾市大字上字熊野の第一種低層住居専用地域(建ぺい率40%、容積率80)に位置する全70戸。土地面積は120.10185.39㎡、建物面積は90.0495.25㎡、第1期(1213戸の予定)の予定価格は3,000万台前半~5,000万円前半。全体竣工は2024年8月の予定。

コンセプトは「地域共生」。上尾市やその周辺地域で活躍する農業経営、盆栽家、ネコの保護団体、キャンドル製造、タタミ製造、キッズ食育トレーナー、知育・脳育アドバイザー、女性の起業サポーターの8名の専門家とコラボし、入居後もワークショップを開き、個別相談にも対応していくのが特徴。

見学会の冒頭、同社戸建分譲さいたま事業部大宮営業所事業所長・関一匡氏は、「当事業所は浦和・大宮以北を中心に2007年から事業展開している。70戸という規模は当社として過去最大級。地域密着をコンセプトに、様々な専門家の方とコラボした。社内からも期待されているプロジェクト」と語った。

続いて登壇した同社戸建分譲設計本部設計一部営業企画設計課課長・古垣雄一氏は「2年前、伊奈町でマルシェを行っていた農家さんに声を掛けたことがきっかけとなり、今回の提案にたどり着いた」と話し、同課主任・菅原雄太氏は「地域密着に深く踏み込んでプランに落とし込んだ。専門家の好意で成り立ったプロジェクト。入居者の方には新たな豊かな暮らしを発見していただきたい」と話した。

大宮事業所主任・佐々木真央氏は、「この3か月間で問い合わせは58組。モデルハウス来場予約は26件。地元居住者が中心だが、東京・神奈川、千葉も2割に達するなど、子育てファミリーの注目度が高い」と説明した。

伊奈町でマルシェを行っていたのは、ベジタブルボーイズカンパニー代表・大橋一幸氏(38)で、大橋氏は「豊かな暮らしと『食』『農』はつながるものがある。住宅購入者の方と関わると、明日も頑張れというエネルギーをもらえる。様々な提案を行い、小さなつながりを造っていきたい」と話した。

屋号「鉢乃木屋」の盆栽家・齊藤真之氏は「大学の専攻は建築で、ゼネコンに8年務め、30歳になる直前に目覚め、一念発起して盆栽に没入し、今年5月に独立。妻と一緒に店を立ち上げた。アーティストなど様々な分野の方とコラボしていきたい」と語った。

モデルハウスは2棟で、1棟の2階建てには齊藤氏の作品がたくさん展示されており、もう1棟の平屋はキャットウォークが提案されているのが特徴。主な基本性能・設備仕様は、同社の標準である天井高2700ミリ、樹脂サッシ、ソフトクローズの引き戸・開き戸、挽板の床、現しの柱・梁、桐のデザイン壁などのほか、ビルトインコンロ「デリシア」、ハイブリッド給湯器「エコワン」など。

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モデルハウス(2階建て)

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モデルハウス(平屋)

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左から関氏、古垣氏、大橋氏、齊藤氏、菅原氏、佐々木氏

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齊藤氏(左)と大橋氏(大橋さん、貴殿が醜男と言っているのではない。念のため)

        ◆     ◇

 専門家とコラボするマンション・分譲戸建ては珍しくないが、地域に特化したこれほど大掛かりな戸建てプロジェクトは少ないはずだ。

 大橋氏と二言三言話しただけで旧知の仲のような気がした。記者も田舎の農家育ちだからだ。経営する農地は17町歩(1町は約1ha、多くは借地)で、従業員14名、パートを含めて35名の規模というから凄い。その苦労はよく分かる。農業で生計が立てられる世の中になってほしい。

 齊藤氏は、盆栽家として独立したばかりというのに、粋な和服姿がすっかり板につき、その道を究めた大家に見えた。憎たらしいほどいい男ではないか。

 記者はこれまで、マンションや分譲戸建て、その他の施設のフェイクグリーンをやめよと100本くらいの記事を書いてきた。齊藤氏はそれを実現してくれる傑物と見た。記者の目に狂いはない。

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齊藤氏の作品(左からセイヨウガマツカ、セッカヒノキ、ヤツブサイチョウ)

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齊藤氏

        ◆     ◇

 「地域共生」について。同社グループが今年6月に分譲開始した「防災」「環境」「自助」「共助」「コミュニティ」「環境」をテーマにした「ディスカバリープロジェクト東武動物公園 コネクト・コミュニティ」でも感じたが、難しいテーマによくぞ挑戦したと思う。佐々木氏は「どこでもできる」と語ったが、これまでどこも行わなかった。

 上尾市の令和3年度の分譲住宅着工戸数は482戸だ。今回の物件はその約15%だ。常識的に考えれば、完売まで2年、3年くらいかかっても不思議でないが、同社は早期完売を目指しているのだろう。

 価格は、見学する前に4,000万円台の前半だろうと読んだが、ほぼ予想通りだ。同業の記者の方は平屋が5,000万円を突破することに驚いていたが、驚くに値しない。建ぺい率、容積率からして土地を広くしないと平屋は建たないからだ。5,000万円を超えるのはその1戸のみだろう。平屋好きはどこにでもいる。

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yoridokoro(拠りどころ)上尾」モデルハウス(右が平屋)

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現場近くのたわわに実った柿の木(何本もあった)

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桶川駅西口のケヤキの街路樹(予算の関係か右のみ強剪定。街路樹はシンメトリーだから美しいのに、行政はこのようなことを平然と行う。業者はそれに従う。市民は異議を唱えない。つまり、いつまでたっても美しくないということ)

可視化難しい「防災」「コミュニティ」「環境」に挑戦 ポラス「東武動物公園」(2023/6/16

ポタジェ(家庭菜園)活用したワークショップ ポラス「北浦和みのりプロジェクト」(2023/4/23

まるで植物園 五感で体験できる 野村不動産 マンション総合ギャラリー「新宿」(2023/2/21

ボタニカルが最高 4つの商品・開発を発表 三菱地所ホーム(2018/5/30

いい加減にしてほしい モデルルームのケミカル製品・造花の氾濫(2017/5/23

 国土交通省は10月26日、第1回「外部専門家等の活用のあり方に関するワーキンググループ」(座長:鎌野邦樹・早稲田大学法学学術院法務研究科教授)の会合を開催した。外部専門家などがマンション管理組合の管理者となるケースが増加している現状を踏まえ、「今後のマンション政策のあり方に関する検討会とりまとめ(2023 年8月)」にもとづき、管理形態における留意事項を示したガイドラインの整備などに向けた検討を行うのが目的で、来年3月までに5回の会合を開き、答申をまとめる予定。

◇        ◆     ◇

 会合について一つひとつ紹介する余裕はない。詳細は国交省のホームページに掲載されるので読んでいただきたい。以下、記者が気付いたことを書き記すことにする。

 まず、「第三者管理者」について。これまでメディアなどで「第三者管理」などの文言で紹介されるケースが多かったが、これだと管理組合や区分所有者が関わらなくともよいと理解される可能性もあるので、正確を期すため、今後は「第三者管理者」に統一すると同省から説明があった。

 これは賛成だが、記事は文字数の制約もあるので「第三者管理」とすることも許容していただきたい。

 次に、管理会社による「第三者管理者」について。この問題については10年前、「マンションの新たな管理ルールに関する検討会」でも激しいやり取りが行われた。マンション管理業協会などは「利益相反」を招く恐れがあることなどから導入には反対の立場を取っていた。

 記者も、区分所有者の高齢化、建物の老朽化・管理費滞納などを起因とする「管理不全マンション」を第三者が管理するのは現実的でないと書いた。第三者管理者に報酬を支払う余裕のある管理組合は10%あるかどうかだろう。富裕層向けや投資用、大規模複合などは有効だろうと考えていた。区分所有者の代理人を可能にするのも一考だ。

 「利益相反」の問題をどうクリアするかだが、区分所有者第一主義を基本にすれば、これは検討会でもまとまるのではないか。同省の資料にも「『マンション管理トレンド調査(マンション管理業協会)』によれば、2023年時点で管理者業務を『受託して いる』、もしくは『今後受託を検討している』と回答した管理業者は167社となっており、2020年と比べて約3割増加している」「また、管理者業務を受託する管理業者のうち、理事会を設置しない方式を採用している管理業者が約7割存在している」とあるように、これからの新築マンションでは劇的に増えるのではないか。

 同じようなことを、出口健敬委員(不動産協会事務局長代理)が話された。出口氏は、ガイドラインの対象とすべきマンションは、管理不全マンションもそうだが、専門知識が必要な大規模複合マンションとか、そもそも区分所有者が住まない投資用とかリゾートマンション、理事会などに入りたがらない高額マンションなど様々なケースがあるので、これらに対応するものにすべき旨の発言をされた。この通りだと思う。

 驚いたのは、齊藤広子委員(横浜市立大学国際教養学部教授)も「衝撃を受けた」と話された、管理業者と契約を結ばずに第三者管理者契約を結んでいる管理組合が半数以上あることだった。つまり〝丸投げ〟しているということだ。これは、ありえないことだ。管理会社はきちんと説明し、契約書を交わすべきだし、権限、義務、報酬などを明記すべきだ。それを怠っている管理会社に猛省を促したい。

 これに関連することだが、管理会社による第三者管理者は、マンション分譲時の原始規約に盛り込まれることになるのだろうが、購入者には管理会社を選ぶことも含めて選択の余地はない。主体はあくまでも区分所有者だし居住者だ。原始契約には選択できる仕組み(候補をいくつか列挙して、選べるようにしてはどうか)も必要だと思う。専用使用権があるバルコニーでの喫煙を原始規約などで禁ずるのは行き過ぎだ。

 気になった発言もあった。どなたかの委員の方が「大手の管理会社は任せて安心だが、中小業者は事故を起こす可能性がある」「管理会社はピンキリ」と話された。それはそうかもしれない。しかし、こうもあからさまに見も蓋もないことを仰るのはいかがなものか。

 そもそも、国交省担当者も話したように、区分所有マンションの主体は区分所有者であり、居住者だ。管理者(管理者とは何かという論議は必要だが)は区分所有者、居住者の味方であるべきで、大手管理会社は居住者の味方であり、中小業者はそうではないことを示唆する考え方はむしろ危険だ。

 この意見に対して、確か戎正晴委員(弁護士)だったと思うが、「それは間違っている。大手とか中小という問題でない。第三者管理者制度が当たり前になるようなガイドラインにしなければならない」と指摘されたのは正鵠を射ていると思う。戎委員は「権利能力なき社団」「管理組合法人」「管理者方式」「管理組合方式」など難しい話もされたが、法を担保しないといけないので、とても重要なことを話されたのだろう。区分所有法や適正化法などとの整合性を含め、しっかり論議していただきたい。

 最後に一言。同省の論点整理は8項目あったが、完璧だと思った。完璧のガイドラインになることに期待したい。

迷走する「マンションの新たな管理ルールに関する検討会」(2011/8/30)

 

 

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「ザ・パークハビオ 中野富士見町ガーデン」

 三菱地所レジデンスは10月25日、災害時に居住者同士が行動に迷わず助け合うための防災ツール「First Mission BoxⓇ(ファーストミッションボックス)」(FMB)」を設置した「ザ・パークハビオ 中野富士見町ガーデン」の竣工記者見学会を開催し、担当者によるデモンストレーションも行った。同社を含めデベロッパーは分譲マンションの「防災」には力を入れているが、賃貸でこのような取り組みをするのは珍しいのではないか。

 物件は、東京メトロ丸ノ内線中野富士見町駅から徒歩4分、中野区弥生町2丁目に位置する14階建て全115戸。専用面積は25.08~51.84㎡、賃料は100,000(25.92㎡)~227,000円(51.00㎡)、坪賃料は1.5~1.7万円。竣工予定は2023年8月。設計はIAO竹田設計。施工は村中建設。これまで52戸を募集し、80%に申し込みが入っている。

 「FMB」は、長野県飯田市と危機管理教育研究所により考案されたもので、災害時(震度5強以上の地震を想定)に共用部に設置されたボックスを開け、中に入った指示カードの通りに動くことで、自然とその場に集まった居住者同士で災害時の初期活動を実施することができる仕組み。

 指示カードには、「本部の設営」からマンション内の「安否確認」「救護活動」「トイレの設置や運用」「防犯対策」の対応をどのように行動すればいいか、専門知識や経験がなくても誰にでもできるような内容になっている。

 近所との関係が希薄になりがちな単身世帯や、居住者による組合組織がない賃貸マンションでも、万一の時に取るべき行動に迷うことなく、居住者同士で迅速に活動するための初動期のオペレーションを実行することができる。

 同社はまた、長引く被災生活を想定して「Second Mission Box(セカンドミッションボックス)」(SMB)を制作・導入。「FMB」と「SMB」を賃貸マンションに導入するのは初で、このほか屋上に設置した太陽光パネルで発電した電力を蓄電池に貯め、災害時に活用するシステムの構築、各住戸用の備蓄ロッカー(MY防災倉庫)を備えている。

 外観デザインには、外壁には天然の貝などから作られた自然の風合いのある塗材、西面の最上階軒天などには木目調塗装を採用するなど、周辺の並木道や敷地内の豊かな緑地帯と調和するシンボリックなものにしている。

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防災ツール デモンストレーション(左から同社賃貸住宅開発部開発第三グルーフ・日比剛史氏、同リーダー・最田真生子氏、同社経営企画部サステイナビリティ推進グループ サブチーフ・澤野由佳氏)

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「FMB」設置イメージ

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コワーキング

◇        ◆     ◇

 記者はこれまで、同社が分譲した大規模マンション「奏の杜(かなでのもり)」での三菱地所コミュニティとエリアマネジメント組織・奏の杜パートナーズと共同の防災訓練を何度か取材している。どこの集合住宅でも行っている、セレモニーのようなお茶を濁すイベントではなく、市や消防署とも連携した本格的なもので、半日がかりの取り組みだった。

 今回、賃貸マンションに「FMB」と「SMB」を導入するのは、エリア内にいくつかの分譲マンションを供給している背景があるようで、その本気度に感服した。何事にも真剣に取り組むのが三菱地所グループのいいところだ。2014年に立ち上げた同社と三菱地所コミュニティ社員有志によるボランティア組織「三菱地所グループの防災倶楽部」は約140名にのぼっているようだ。

 見学会では、各フロアに備蓄ロッカー(MY防災倉庫)を備えているのに驚いたが、居室はガスとIH設備をフロアごとに替え、半々にしているのもそれぞれの弱点を補うものだろうと理解した。

 デモンストレーションは約15分。実演者も記者連中(とくに小生)は緊迫度に欠けていたが、3.11のとき「新浦安」を取材しトイレに困ったことがある(仕方なく公園の隅っこで用を足したが、女性はそうもいかないだろう)のでその対策の重要性はよくわかる。

習志野市「奏の杜」防災訓練に過去最多1,000名 三菱地所グループ&管理組合(2018/3/11)

 


 

 

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「ルネ花小金井ザ・レジデンス」

 総合地所、積水化学工業、大栄不動産は10月25日、総合地所の〝ルネシリーズ〟として都内初のZEH-M Oriented基準を満たした「ルネ花小金井ザ・レジデンス」(162戸)の販売を開始したと発表した、同日、報道陣にモデルルームを公開した。坪単価310万円には驚いたが、第1期として供給した50戸のうち37戸が成約済みと聞き、これまた驚いた。

 物件は、西武新宿線花小金井駅から徒歩4分、小平市花小金井南町一丁目の商業地域・第一種中高層住居専用地域に位置する8階建て全162戸。専有面積は44.46~88.92㎡。2023年11月上旬に販売予定の1期4次(戸数未定)の価格は4,100万円台~8,500万円台(最多価格帯6,200万円台)、坪単価は310万円。着工は2023年5月。竣工予定は2025年2月。設計は長谷工コーポレーション。施工は長谷工コーポレーション・森組。販売代理は長谷工アーベスト。

 9月30日に販売を開始し、これまで供給した第1期50戸のうち37戸を成約。資料請求は約1,000件、来場者は約280件。来場者の属性は30歳代がもっとも多く約35%、40歳代が約20%。現居住地は小平市が約40%。予算額は今回の物件の最多価格帯6,000万円超は30%で、予算額との乖離は1,000万円以上の差がある。一方で、希望面積は70㎡以上が約50%、80㎡以上も約15%。

 従前土地は金融機関の施設で、主な基本性能・設備仕様は、ZEH-M Oriented認定、リビング天井高2500ミリ、直床、ディスポーザー、食洗機、ミストサウナ、Low-Eガラス(共用廊下側窓)など。

 見学会で総合地所分譲事業部マンション開発部開発1課課長・石井大祐氏は、「駅から徒歩4分の得難い立地で、当社のZEHでは『南柏』『上尾』に次ぐ都内初のZEH対応のシンボリックな物件。また、花小金井は、当社社長・梅津が手掛けた2011年分譲の『ルネ花小金井』に次ぐ〝ゆかりの地〟であり、〝泣かせるシアター〟も思い出させる」と話した。

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左から石井氏、同社分譲事業部マンション開発部開発1課・根岸拓海氏、同・中村瑞輝氏

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エントランスホール

◇        ◆     ◇

 石井氏とは、RBA野球大会の選手として出場していたころだからもう20年くらいのお付き合いか。元気そうな様子だったので、とても嬉しくなった。そのお返しのつもりで、見学会に出席していた約10人の記者の方に〝泣かせるシアター〟のことを話したのだが、一人を除いて何の反応も示さなかった。その一人こそ〝家族の絆〟をテーマにしたシアターに映り出されたサラリーマンと自らをだぶらせて「ほろりとさせられた」と語った記者だ。当時、娘さんは小学生のころか。

 あれからまだ12年しか経っていないのに〝泣かせるシアター〟は通用しない。十年一昔、隔世の感がする。要するに、腰を落ち着けて継続してマンションを見学する記者はいないということだ。ものを見る目がなければ、見たことにはならず、その分だけ時間が無駄ということだ。

 さて、坪単価。前回は、駅から14分で坪155万円だった。今回は駅に近く、用地・資材・人件費の上昇が続いていることから、土地代がただでも坪200万円以下はありえないが、新宿まで似たような電車所要時間ではあるが、街の利便施設の集積度では問題にならないわが街多摩センターの坪250万円以下だろうと予想した。

 結果は大外れ。言い訳はしない。多摩センターと比較したのがいけなかった。私情を挟み過ぎた。冷静に考えたら坪310万円というのはありうる価格だ。工期も従前なら15か月くらいだろうが、今回の物件は21か月になっている。これも建築費を押し上げている要因の一つだ。

 いよいよ郊外部でもマンション坪単価は300万円の時代に突入したということだ。ユーザーの予算額、希望面積との隔たりをデベロッパーはどうして埋めるのだろうか。〝買いあがる〟余力のある人はいるのだろうか。

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建設現場

◇      ◆     ◇

 初めて知ったのだが、花小金井駅南口の駅前ロータリーには車道と歩道が交差しているにも拘わらず信号はなく、すぐ先の東京都道132号小川山田無線と交差する三叉路(幅員4mくらいの市道とも交差するのでほとんど四叉路)にも信号機はひとつもなかった。

 三叉路近くにいたお年寄り夫婦に聞いた。「こんな広い道路(幅員15mくらいか)に信号がなくて大丈夫ですか」と。すると、ご夫婦の方は「車が停まってくれるんですよ」と答えた。嘘だろうと思ったが、女子高校生らしき集団がこの三叉路を渡ろうとしていたとき、確かに車は停まった。全て世の中は車優先かと思っていたが、そうでもないところがあるのに驚いた(別の記者は「それだけ車が少ないということ」と冷たく言い放ったが)。

 ネットで調べた。面白いデータが見つかった。日本自動車連盟(JAF)の調査によると、信号機のない横断歩道を歩行者が渡ろうとした際に一時停止した車の都道府県別の割合は全国平均で21.3%、トップの長野県は72.4%、最低は宮城県の5.7%とある。なぜこんなに差があるのか、その理由は示されていない。

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駅近くの四叉路(左側が今回のマンション販売事務所)

「昭島」1期は262戸/建築費5割アップへ2024年問題からみ深刻化 大和ハウス(2023/9/15)

埼玉県初のZEHマンション 総合地所「ルネ上尾」 第1期45戸が即日完売(2021/6/29)

分譲一筋に30年 〝ルネ〟の総合地所 執行役員・梅津英司氏が語る(2018/4/16)

初めて見た 泣かせるマンション 総合地所「ルネ花小金井」(2011/5/17) 

 

 

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