生物多様性の純増と算出方法の標準化目指す 積水ハウス&シンク・ネイチャー提携
積水ハウスとシンク・ネイチャーは7月27日、2030年のネイチャー・ポジティブの実現に向けて、積水ハウスの「5本の樹」計画やシンク・ネイチャーの生物多様性ビッグデータ、A Iを活用して、「生物多様性の純増と算出方法の標準化(生物多様性ネットゲイン)」を目指し、共同で推進する連携協定を7月1日に締結したと発表した。
積水ハウスは2001年から生物多様性保全・再生を推進する「5 本の樹」計画に取り組んでおり、その効果を琉球大学理学部久保田研究室とシンク・ネイチャーと共同検証し世界初の都市の生物多様性の定量評価の仕組みを「ネイチャー・ポジティブ方法論」として2021年に公開した。
今回の連携提携によって、「生物多様性ネットゲイン」につながる住宅建設に関する新たな商品・サービス、ビジネスモデル、その他の実現アイデアの創出などを行い、「生物多様性ネットゲイン」を最大化できる植栽の樹種・本数のシミュレーション提案ツールの導入を2024年の春頃に考えているとしている。
「5本の樹」計画は2023年1月現在、年間植栽本数は88.6万本、累積植栽本数は1,900万本を達成。また、シンク・ネイチャーとの共同検証を行い、「5本の樹」計画開始前の2000年を基準として、緑地の劣化が著しい三大都市圏2070年までの変動をシミュレーションした結果、地域の生き物にとって活用可能性の高い在来樹種を植栽することで2030年には37.4%、2050年には40.9%、さらに2070年には41.9%まで生物多様性を回復できることが予測されたとしている。
要諦は「名前」を覚えること 「推しの木図鑑」と「5本の樹」計画に期待(2023/6/29)
「木の居心地を徹底追求・従来間取りを解体」 三菱地所ホーム リフォーム新提案
「KIGOCOCHI(キゴコチ)」イメージ図
三菱地所ホームは7月27日、マンションリフォーム新商品「KIGOCOCHI(キゴコチ)」のティザーサイトを同日オープンし、10月中旬に「三菱地所ホーム みなとみらいショールーム」をリニューアルオープンし、販売を開始すると発表した。
「KIGOCOCHI」は、「KI=木」から得られる「IGOKOCHI=居心地」の良さを徹底的に追求し、都市部マンション居住者向けに「木と寄り添う暮らし」を提案するもの。
デザインはトラフ建築設計事務所が監修。ポイントは①住まいに必要な機能を「コア」と定義し、国産ヒノキ材を使用し、木の塊(コア)として設計②狭い廊下と閉じた個室といった従来の間取りを解体し、柔軟で回遊性の高い空間を可能にする③人間の五感に訴えかける木のディティールや木の経年変化により、使い手に愛着をもたらす-としている。
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リリースには、「木の居心地」を「徹底的に追求」し、「従来の間取りを解体する」とある。意欲的なリフォーム提案のようだ。ショールームを10月中旬にリニューアルオープンするというから、見学して失火見学してレポートしたい。マンション向け全館空調「エアロテック」の外販も進んでいると聞いているので、これについても取材したい。
参考までに。昨日見学取材した、積水ハウスのモデルハウス「HUE(ヒュー)」の2階の8m×6mの無柱空間は全て「木」で覆われていた。家族構成やライフスタイル・サイクルによって間取りを自由に選べ、変更できるものだった。
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記事とは全く関係ないが、この前、ChatGPTに次の質問をした。
「XY軸の0の地点にウサギがいます。Y軸のプラス方向1000mの地点に犬がいます。ヨーイドンでウサギはX軸プラスの方向に時速1000mで走ります。犬はウサギが走る姿を見ながら時速2000mで追いかけます。犬がウサギに追いつくのは何分後でしょうか」
ChatGPTは瞬時に次のように答えた。
「まず、ウサギと犬の初期位置からの距離を計算します。ウサギはX軸の0の地点におり、犬はY軸のプラス方向1000mの地点にいます。このため、ウサギと犬の初期位置の距離は次のように計算できます:
初期位置の距離= √((X軸の距離)^2 + (Y軸の距離)^2)
初期位置の距離= √((0m)^2 + (1000m)^2)
初期位置の距離= √(0 + 1000000) ≈√1000000 ≈1000m
次に、ウサギが時速1000mで走るため、犬との相対速度は次のように計算できます:
相対速度= 犬の速度- ウサギの速度
相対速度= 2000m/h - 1000m/h = 1000m/h
ウサギと犬の初期位置の距離が1000mで、相対速度が1000m/hなので、犬がウサギに追いつくまでの時間は1時間(60分)です」
皆さんいかがか。記者は40年も昔、とても美しい中国人女性(国立大の留学生だった)に同じような質問をしたら、すらすらと答えた。〝日本は負ける〟と思ったものだ。
〝生活を紡ぐ(life knit)〟積水ハウスの新提案モデルハウス「HUE(ヒュー)」
「HUE(ヒュー)」
積水ハウスの新デザイン提案システム「life knit design」を体現したモデルハウス「HUE(ヒュー)」を見学取材した。同社が6月20日に発表したプレス・リリースの「life knit design」の〝生活を紡ぐ(life knit)〟ネーミングはとてもいいと思ったが、どのような提案であるかわからず、見学をお願いし、実現した。約1時間、間取り、建具・家具、仕上げ、カラーリングなどを見て回り、疑問は氷解した。月並みな言葉だが〝シンプル・イズ・ベスト〟だ。
モデルハウスは、テキスタイルデザインを中心に衣服、家具や器、店舗や宿など多岐にわたる空間ディレクション活動を行っているデザイナー・皆川明氏が代表を務める「minäperhonen(ミナ ペルホネン)」とコラボし、「駒沢シャーウッド展示場HUE」に建設したものだ。建物は木造軸組工法2階建て延床面積190.25㎡(1F:103.25㎡2F:87.00㎡)。
コラボが実現した経緯について、積水ハウスR&D本部デザイン設計部デザイン企画グループ グループリーダー足立奈穂氏は、「当社の100年住宅は、安心・安全のハードの部分では実現しているが、世代を超えて幸せに住んでいただける空間を提案できないかと、当社と同じように『せめて100年続くブランド』を掲げる皆川さんと意気投合して実現しました」と語った。
「駒沢住宅展示場」と言えば、名だたるハウスメーカーが妍を競う、豪華絢爛の建物ばかり。2020年には三菱地所ホームの「ROBRA(ロブラ)」、2021年には大和ハウス工業「Wood Residence MARE-希-(マレ)」の富裕層向けモデルハウスを見学している。今回も、同様の建物だろうと考えていた。念頭には同社の「新大久保」のモデルハウスがあった。
ところが、見当は大外れ。マホガニー、チーク、紫檀、黒檀などの高級材は使用されておらず、仕上げ材はごく一般的な住宅に採用されているものだった。モデルハウスにありがちな、個性的といえば個性的だが、押しつけがましい、これ見よがしの家具・調度品もなく、実にシンプル。何の衒いもないものだった。何だか肩透かしを食ったような気分にもなった。
とはいえ、シンプルだからこそ〝皆川ワールド〟を垣間見たような気持がした。わが国の伝統的な染めの技法である草木染めがその一つだ。ソファ、クッション、床、カーテンなどいたるところに施されていた。クッションはプリントではなく、織りによるもの。ソファは使い込むと裏地が浮き上がるよう仕上げられていた。
カーペットには、大小の枯葉のような文様が描かれていた。中庭や高窓から差し込む木漏れ日とともに、自然が織りなす不思議な空間を演出しようという狙いのようだ。(わが家のカーペットのコーヒーやらジュースやらその他もろもろの人生の汚点のようなシミかと思ったが)
同じような仕掛けは、1階南側のスリット窓にも施されていた。ロールスクリーンカーテンの文様が壁や床に写り込んでいた。クッションに用いられている丸い文様は洗面室やトイレの壁などにも採用されていた。
そこはかとない安らぎを覚えたのは1階のLDKだった。コの字形に配置したLiving(9.8帖)-Cozy Corner-Kitchen(8.3帖)は中庭の光と風、緑を取り込めるようにしていた。クチーナのシステムキッチンを採用したKitchenは独立型で、南側と北側に窓付き。その隣のDining(12.2帖)は最大2700~最小2500ミリの勾配天井を採用。天井は無垢のピーラー材(ベイマツの良材)。
全てが没個性的かといえばそうではない。皆川氏の個性がよく表現されているのが、中二階の「トレジャールーム」と名付けられている9.8帖の空間だ。天井高は約4000ミリ、壁の四囲は木製リブパネルで張りめぐらされており、天井は「パンチカード天井」。これは、ミナペルホネンがカーペットを製作する際に、織機にパンチする位置を指示するシートを加工したもので、素材は紙だ。
もう一つ、素晴らしいと思ったのは、遊び心もふんだんに盛り込まれている2階の提案だった。8m×6mの無柱空間を家具・収納のみでFamily hall(6.7帖+4.9帖)、kid's room (4.9帖)、Master bedroom(12.9帖)家族構成やライフスタイル・サイクルによって間取りを自由に選べ、変更できるものだ。ここに「life knit design」の真髄が注ぎ込まれていると思った。使用されている家具・収納の木もシンプルなもので、どのような置物や絵画などにもすんなりと馴染むはずだ。
キッチン(同社ホームページから)
1階リビング
1階リビング(左)と中二階の「トレジャールーム」(カーペットはシミではありません)
Dining(手前)とKitchen
洗面
トレジャールーム
トレジャールーム
Family hallとkid's room
Family hall
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同社のプレス・リリースには「美しい空間やインテリアは、空間自体が整ったシンプルな構成と素材で成り立っていることを突きとめました」とあり、従来のインテリア提案の課題として「テイストが増えるたびに部材や素材が増えるが、膨大な選択肢がありながらもテイストが違う部材ラインナップのため、組み合わせ方が難しい」とある。
今回の見学を通じて、「建築美」とは何かを改めて考えさせられた。〝シンプル・イズ・ベスト〟-いつの時代も変わらないということか。記者もそう生きたい。
顧客の“感性”を住まいに映し出す新デザイン「life knit design」始動 積水ハウス(2023/6/20)
「希」に見る設計依頼1か月で来場100組超 大和ハウス 富裕層向け「MARE」(2021/6/2)
業界最高級 駒沢モデルは87坪・3億円 大和ハウス 富裕層向け「MARE-希-」発売(2021/4/28)
三菱地所ホーム 木造の常識を覆す新構法「FMT」 富裕層・非住宅用途に照準(2020/9/4)
地所ホーム、積水ハウスと富裕層向け三重奏・三つ巴 三井ホームの新大久保モデル(2019/6/27)
鉄筋と木の融合語る「モクコンの家」建築家 隈研吾氏と大成建設グループトップ対談
左から大成建設ハウジング 立川洋之社長、隈研吾氏、大成建設 相川善郎社長
大成建設ハウジングは7月25日、建築家・隈研吾氏とのコラボレーションによる新たな壁式鉄筋コンクリート住宅シリーズ「モクコンの家」を今年3月に発売開始したのに伴う隈氏、大成建設相川善郎社長、大成建設ハウジング立川洋之社長の3者による国立競技場でのトップ対談の模様を公開した。以下に一部を紹介する。
◇ ◆ ◇
インタビュアー 「モクコンの家」が生まれたきっかけを教えてください。
相川社長 大成建設ハウジングが手掛けるコンクリート住宅「パルコン」は、強さに絶対的な自信があります。その強さに、隈先生が表現する豊かなデザインと心地よさや時代に合ったスタイルを融合させるアイデアを思いつきました。「新時代の住宅モデル」の提供につながると考え、隈先生にコラボレーションをお願いしたのが経緯です。
立川社長 「パルコン」には50年以上の長い歴史があり、「大成建設グループの技術を結集させた住宅」です。地震や台風などの多くの災害に対して、住まわれているご家族や財産をしっかりと守ってきた実績があります。
隈氏 「コンクリートと木」は性質がまったく異なりますが、強さと柔らかさの融合を象徴する意味では、素晴らしいプロジェクトになると直感的に思いました。「モクコン」は「木」を意味する「モク」と「コンクリート」の「コン」から名づけました。
隈氏
インタビュアー インタビューの場所である国立競技場も、隈先生がデザインに携わり、大成建設グループが施工を担当しました。東京オリンピック・パラリンピックをはじめとした多くの感動が、この場所に来ると蘇ってきます。
隈氏 私の建築物の特徴の1つとして、「大和張り」があります。この国立競技場の貴賓室の天井にもあしらわれているのですが、木を互い違いに組む構造のことです。大和地方を発祥とする伝統的な日本のディテールであり、陰影を生むことで空間に立体感をもたらします。
立川社長 「モクコンの家」では、2つのモデルプランをデザインしていただきました。1つは、2階建て住宅「ノキテラス」。もう1つが3階建て住宅「ハコテラス」です。
インタビュアー 隈先生が重視された空間として、「ミュージアム」があります。博物館を意味するミュージアムを、家の中に設けた意味を教えてください。
隈氏 単なるリビングルームとは異なり、もう少し社会に開かれた、可能性のある場所――。それが「ミュージアム」という空間です。人々がその場所に訪れ、ホームパーティーをすることもあれば、会議をすることもあるでしょう。自分のサロンとして使ってもいいですし、多種多様な社会との接点になりうると期待しています。
自分の好む文化を誇れる展示スペースとしても活用できます。大事なコレクション、あるいは素敵な本。そういう大切にしている趣味や文化をこのミュージアムから発信する――いわばエキシビションができる場所なのです。
インタビュアー 住宅におけるサスティナブルについてのお考えも聞かせてください。
隈氏 安心して長く暮らすためには、空間にゆとりがあってフレキシビリティが高いことが重要になります。「モクコンの家」はそれを可能にします。
狭義におけるサスティナビリティは、どんな材料を使っているかが注目されるでしょう。例えば、地球温暖化が叫ばれる中で、サスティナブルな材料として重宝される木をたくさん使用していますので、SDGsを考えるうえでも誇れる家ではないでしょうか。
相川社長 大成建設グループでは、グループビジョンとして「人々が豊かで文化的に暮らせるレジリエントな社会づくりに貢献する」ことを目指しています。しかし、長く住まうためには「レジリエント」だけでは十分ではありません。
木という日本人の文化を住宅に取り入れることで、「レジリエント」と「サスティナビリティ」の融合が実現すると考えています。
相川氏
立川社長 近年は「サスティナブル」「レジリエント」「カーボンニュートラル」など、さまざまな言葉が注目されています。さらに、コロナ禍を契機にライフスタイルが変わりました。社会の求めるものに対して、強いコンクリート住宅をベースにいろいろな変化が楽しめるフレキシブルな住宅を提供していかなければならないと考えています。
立川氏
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大成建設は今年、創業150周年を迎えた。それかあらぬか、グループ会社の大成有楽不動産の野球部が元気で、今年のRBA野球大会に同社として初めて決勝トーナメント進出を決めた。現有戦力では上位を倒すのは容易でないと記者は考えているのだが、〝奥の手〟はないのか。
「モクコンの家」内観
「しわぶき」を「しわ(wrinkle)」と誤訳 高度な言語表現に適応できない ChatGPT
前回書いた記事「『ChatGPT』を初体験…」の続き。7月24日付朝日新聞デジタルで、今井むつみ慶応大学教授は、「(チャットGPTは)単語や文の『意味』を考えて文章を生成しているわけではない。チャットGPTは、最初に膨大な言語データを読み込み、高速で情報処理をして、言語データの統計的な規則性を抽出します。加えて、人がどんな文章を好むのかというデータと掛け合わせ、文章を生成していく。だから、単語一つ一つの意味は全然分かっていないし、人間の問いかけの意図も考えていません」と語っている。
今井氏の仰る通りだと思う。ChatGPTとの次のようなやり取りを経験したからだ。
記者は大和言葉の魔術師ともいうべき作家の丸山健二氏が大好きで、物事の本質を突く言葉に酔いしれることがしばしばある。
例えば、「聞こえよがしの年寄りのしわぶき一つ」。何の小説だったか、この通り書かれていたかどうか分からないのだが、年寄りを観察していると、そのような場面に出くわすことがよくある。〝バカなことをいうもんじゃない〟とたしなめる意味で、「咳」とか「咳払い」では具合が悪く、「しわぶき」が適切だ。
そこで、ChatGPTに、この言葉を英訳してもらった。回答は「A showy old person with not a single wrinkle of experience.」だった。説明文には「年老いているが経験や知識が全く感じられない人を指します。つまり、見た目や年齢は年配のように見えるが、実際には経験や知識が乏しく、若い人にも劣らないほど無知であることを意味します。
この英文は、そのような人を描写していて、『showy(見せびらかす)』という言葉が、その人が自分を重要視し、自分の見せたい面を強調している様子を示しています。しかし、その実態は『not a single wrinkle of experience(経験のしわひとつない)』と表現されており、その人が経験や知識がないことを強調しています」
ChatGPTは「しわぶき」を「咳(cough)」ではなく、「しわ(wrinkle)」と誤訳したのだ。「しわぶき」は小説の世界ではよく用いられるが、いまの日常会話ではほとんど使われなくなったのでやむを得ない部分はあるが、誤訳も甚だしい。「聞こえよがし」の日本語も理解していないようだ。高度な言語表現にChatGPTは適応できないことが明らかだ。課題も多い。
とはいえ、前回の記事でも紹介したが、質問によっては的確に答える能力を備えている。
記者は今、丸山先生の全4巻で10万円もする「ブラック・ハイビスカス」をある人から借りて読んでいるのだが、その第2巻の冒頭に「萎え萎んでゆく運命にある消化不良な愛」という文言が登場する。「愛」(記者のパソコンはしばしば「哀」に変換する)を経験した人すべてが味わう〝はかない〟愛を表現したものだ。この文章をGoogleで英訳してもらった。「Indigestible love destined to wither and wither」だった。「萎え萎んでゆく」を「枯れる(wither)」と訳した。つまり「愛が枯れる」と。
次に、この英文をChatGPTで日本語に訳してもらった。「枯れゆく運命の消化不良な愛」だった。
説明文には「『Indigestible love destined to wither and wither』 という英語のフレーズは、非常に詩的な表現で、以下のような意味を持ちます。"Indigestible"(消化不良の)という形容詞は、愛情が理解しにくい、受け入れられない、または受け止めがたいことを意味します。"Destined to wither and wither"(しぼんでしぼんで行く運命にある)という表現は、その愛情が次第に弱まり、しぼんでいく運命にあることを示しています。
つまり、このフレーズは、困難な状況下で成立しない、長続きしない、または成長できない愛情の存在を表現しています。愛がうまく育まれないか、受け入れられない状況下であることを示唆しています」とあった。
説明文は的外れではない。「非常に詩的な表現」とあるのは、記者が「詩的な日本語」と質問で用いた言葉に対応したものだろう。質問者に阿る性格を持つのもChatGPTの特徴でもあるようだ。饒舌すぎるのはやや鼻につくが…。
「ChatGPT」を初体験「感情や主観的な意見を持たない」鵺(ヌエ)が支配する時代へ(2023/7/23)
「ChatGPT」を初体験「感情や主観的な意見を持たない」鵺(ヌエ)が支配する時代へ
「ChatGPT」を初めて体験した。素晴らしい!美醜を分けるとか小説などものを創造することなど(記者の仕事もそうだと思うが)は現時点でできないようだが、質問が適正であれば、ほとんど瞬時に正確な優等生的な答えが返ってくることを確認することができた。「感情や主観的な意見を持たない」鵺(ヌエ)が世の中を支配する時代へ突入したということだ。
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物は試しに、令和5年(2023年)4月18日付の横須賀市の横須賀市 デジタル・ガバメント推進担当部長名による、報道機関向けに発表した「自治体初!横須賀市役所でChatGPTの全庁的な活用実証を開始」のプレス・リリース全文を送り、「文章には文法上、または正確ではない文言が4か所くらいあります。それを指摘し、正しい文章にしてください」と質問した。
瞬時に返ってきた回答は、市のプレス・リリースと一字一句違わなかった。
そこで「この文章には誤りがないということですか」と質問したら、「申し訳ありませんが、前回の訂正後の文章にもいくつか誤りがありました。以下に修正後の文章を示します」とし、「①『横須賀市デジタル・ガバメント推進担当部長』の後に『様』を追加します。②タイトル部分で、「ChatGPT」と「全庁的な活用実証を開始」の間のスペースを削除します。③「一部の文の終わりに句読点を追加します」と返事が返ってきた。
「『担当部長』の後に『様』を追加します」と答えたのには驚いたが、記者の聞き方にも問題があったかもしれない。プレス・リリースや手紙などの基本的な体裁を知らせるべきだった。
これはさておき、記者は「市の文章には『質問に答えたり、文章を作ったり、言葉を翻訳したり、文章を要約することができます』とありますが、ChatGPTが質問することはあるのですか」と聞いたら、ほとんど瞬時に「ChatGPTは、自然言語処理技術を活用した言語モデルであり、人工知能が自然な会話を行うことができます。ただし、ChatGPT自体が質問する能力を持っているわけではありません。ChatGPTは与えられた入力に対して応答することが主な機能であり、ユーザーがChatGPTに対して質問をすることが一般的です。
例えば、ユーザーがChatGPTに『明日の天気はどうですか? 』と質問すれば、ChatGPTはその質問に対して天気予報などの情報を元に適切な応答を生成します。そのように、ChatGPTはユーザーが質問を投げかけた際に適切な応答を返すことができますが、ChatGPT自体が自ら質問をすることはありません。
言語モデルのChatGPTは、対話の一方向性である『質問と回答』の形式によって機能するものであり、ユーザーからの入力に対してより適切な応答を生成することを目的としています」と返ってきた。
完璧だ。そこで記者はまた「『質問に答えたり、文章を作成したり、言葉を翻訳したり、文章を要約することができます』の最後の部分は『要約したりすることができる』ではありませんか」と聞いたら、これまた瞬時に「申し訳ありません、おっしゃる通りです。最初の文章において…最後の部分は、『要約したりすることができる』が正しい表現です」と答えた。
やっぱりChatGPTはすごい。「~たり」の用法を理解しているということだ。
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もう一つ、この前のユニソンの「防災トークセッション」の記事の校正をお願いした。
記者が書いた「『東武動物公園』などの固有名詞などもそうだ」は「『東武動物公園』などの固有名詞もそうだ」と「など」を削除した。記者の文章「固有名詞など」も間違いではないが、省いたほうが分かりやすい。記者の記事のトートロージーを指摘したということだ。また、記事では「チャットGPT」と書いたが、「ChatGPT」に変更された。なるほど、その通りだ。
AIによる自動文字起こしは誤変換が多いことについて、「先ほどの文章で( )内はAIが自動文字起こしで誤変換したものです。普通、文脈からして『日本列島』を『二本列島』に、『地震』を『自信』に変換することはありえませんが、どうしてAIはそのようなミスを起こすのでしょうか」と聞いたら、ChatGPTは次のように答えた。
「AIが自動文字起こしで誤変換を起こす原因はいくつか考えられます。
①言語モデルの学習データの偏り:AIの自動文字起こしは、大量のテキストデータを元に学習されています。しかし、学習データには同音異義語の文脈が完璧にカバーされているわけではありません。したがって、文脈から判別する際に誤変換が発生することがあります
②ノイズや口調の影響:音声を文字に変換する場合、ノイズや話し方の個人差などが影響を及ぼすことがあります。特に、話し方が不明瞭な場合や音声の品質が低い場合、AIは適切に認識するのが難しくなり、誤変換が発生する可能性が高まります
③言語の多義性:日本語などの言語には同音異義語が多く存在します。これらの単語は同じ発音であっても意味が異なるため、文脈を考慮しない場合に誤変換が生じることがあります
④モデルの制約:現行のAIモデルは高度な言語理解能力を持っていても、完璧ではありません。文脈を理解して正確な変換を行うためには、さらなる改良や学習が必要となります
これらの問題に対処するために、AIの自動文字起こし技術は常に改善されています。より多くのデータと文脈を考慮した学習、ノイズ対策の強化、言語モデルの進化などが行われ、精度の向上が期待されています。しかし、完璧な文字起こしを行うには、さらなる研究や技術の進化が必要となるでしょう」
この回答も満足できるものだ。外国語もそうだろうが、わが国の言葉は同音異義語が多い。話す人の言葉が不明瞭であった場合も誤変換が起きる。自動文字起こしした文章をChatGPTに校正させたらどうなるのだろう。
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答えられないとは思ったが、「『HARUMI FLAG』の坪単価は適正だと思いますか? 」と質問した。
これに対して、「私はAIであり、情報をリアルタイムで取得することはできません。したがって、『HARUMI FLAG』の具体的な情報や坪単価についての最新のデータは持っていません。『HARUMI FLAG』の坪単価の適正性について判断するには、現地の不動産市場の状況や競合物件の価格など、様々な要素を考慮する必要があります。坪単価は地域や建物のタイプ、設備、築年数などによって大きく異なります。坪単価の適正性を判断する際には、不動産専門家や不動産業者に相談することをおすすめします。彼らは現地の市場動向や詳細な情報を持っているため、より適切なアドバイスを提供することができるでしょう」との回答だった。
これまた完璧。その通りだと思う。
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さらにもう一つ。「わたしは喫煙者です。喫煙は文化であり、個人の趣向であり、基本的人権だと思います。あなたはどう考えますか」という質問にChatGPTは次のように回答した。
「私は人工知能であり、感情や主観的な意見を持ちませんが、喫煙に対する一般的な考え方についてお話しします。
喫煙に関しては、個人の自由や権利と文化的な背景によって、様々な意見があります。一部の人々は喫煙を自由な選択として考え、個人の趣向として尊重するべきだと主張します。彼らにとっては、喫煙が彼らの生活において重要な部分であり、その権利を尊重すべきだという立場です。
一方で、喫煙は健康への悪影響が科学的に証明されており、受動喫煙による他人への健康被害も懸念されます。そのため、喫煙に対しては公共の場所や職場などで制限が課される場合もあります。
喫煙については個人の権利と他者の健康を考慮しながらバランスを取る必要があります。一部の国や地域では喫煙規制が厳格化されている一方、他の場所では個人の選択として尊重されることもあります。
重要なのは、喫煙者も非喫煙者もお互いを尊重し、相互理解を持つことです。喫煙者は喫煙をする際に他者に迷惑をかけないよう配慮し、非喫煙者も喫煙者の権利を尊重する姿勢を持つことが大切です。
社会は多様性に富んでおり、異なる価値観が共存しています。その中で、相互理解と共に健康や環境への配慮も重要な要素となるでしょう」
この回答は、どこかで聞いたような気もするが、大学の試験だったら間違いなく「優」の評価を得るだろう。だが、しかし、学者先生はこの文章はChatGPTが作成したことをこれまた瞬時に見破るだろう。完璧すぎるのだ。
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「対話の一方向性である『質問と回答』の形式によって機能する」ChatGPTの課題も見えた。インタラクティブな双方向の対話は現段階では苦手のようだ。だが、しかし、そのうちこの課題は解消されるような気がする。凄い世の中がやってきたものだ。「感情や主観的な意見を持たない」鵺(ヌエ)が世の中を支配する時代に突入したということか。
自治体初 横須賀市のChatGPT作成リリースの粗探し 文法・用法の誤り発見(2023/4/21)
ユニソン「防災トークセッション」に170名/AIの文字起こしは凄いが課題も(2023/7/15)
断熱等級7の「プレミアム」と天井高2.8mの「平屋」新商品 AQ Group 販売フェア
「剛木造 超断熱の家 プレミアム」(左)「剛木造 超空間の平屋」
AQ Groupは7月22日~8月17日まで、「45周年・夏の大感謝祭フェア」を開催し、新商品の断熱等級7をクリアした「剛木造 超断熱の家 プレミアム」とLDK30帖、天井高2.8mの「剛木造 超空間の平屋」を合計200棟限定で先行販売する。
断熱等級7(地域区分6地域、UA値≦0.26)の「剛木造 超断熱の家 プレミアム」は、オリジナル耐力壁「8トン壁」などを使用することで実現したもので、価格は「AQ地震建替保証」付きで、3LDKの間取りを1,610万円(税抜)~。
「超空間の平屋」は、同社オリジナル「剛木造」のS&I設計(スケルトンインフィル設計)によりLDK30帖の無柱・壁の大空間を天井高2.8mで実現。価格は、「AQ地震建替保証」付きで、3LDKの間取りで1,590万円~(税抜)。
フェア期間中は、最大1,000万円の最新設備などが当たる抽選会を開催する。抽選日は8月19日(土)、当選本数は45本。
歴史・文化の破壊に疑義を唱える声に耳を傾けるべき 神宮外苑再開発 地元説明会
4列のイチョウ並木(今年5月写す)
神宮外苑地区まちづくり計画の代表施行者・三井不動産は7月20日、計画地の近隣住民を対象にした事業説明会を7月17~19日の3日間にわたって行い、381名が参加、41名が質問(意見陳述)、86件の質疑応答が行われたと発表した。
説明会は、計画地の敷地境界から計画の最高建物高さ(約190m)を2倍した距離の範囲内の近隣(約13,000世帯/法人含む)を対象に開催したもので、改めて計画の意義や必要性を説明した。
プロジェクトサイトで説明動画と質問受付ページを公開し、回答は約3週間後を目安にプロジェクトサイトに回答を掲載する予定。
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「神宮外苑地区まちづくり計画概要とまちづくりに関するご説明動画」は全体で約30分。「5つのポイント」として①明治神宮外苑とまちづくりの意義②段階建て替えによる大規模スポーツ施設の更新③オープンスペースの拡充④4列のいちょう並木の保全⑤みどりの考え方-について説明された。
全部を視聴した。①~④は、説明も具体的で分かりやすかった。
一番聞きたかったのは⑤「みどりの考え方」だった。「最後に街づくりについてご説明いたします」と切り出し、「神宮外苑地区街づくりにおいては一本一本の樹木を大切に扱い、施設計画の工夫も行い、可能な限り多くの樹木を保存します。
保存できない樹木は、樹木の活力度などに応じてできる限り移植いたします。移植のための根回し作業ができないほど建物に近い樹木や、移植に耐えられないほど活力度が低い樹木など、やむを得ず伐採する樹木については利活用いたします。
新たに新植する樹木については、献木や苗木の育成も行います。緑の面積と本数を増やしながら、皆さんと一緒に神宮外苑の次の100年に向け誰もが緑を楽しめる空間づくりに努めてまいります」と締めくくった。約5分間だった。
これにはがっかりした。これまでの説明と変わらない。「一本一本の樹木を大切に扱う」のであれば、やむを得ず伐採する734本の樹木の位置と樹種、樹齢を公表すべきだし、そのあとに新植する樹種も公表すべきだと思う。樹木本数は現状の1,904本から1,998本に、みどりの面積は整備前の25%から整備後は30%に増加するのに、多くの疑義・質問が寄せられているのはなぜなのかを事業者は真摯に受け止めるべきだ。
記者は、住民の人たちは神宮球場やラグビー場、ビル・ホテルなどの建て替え・建設そのものに反対ではなく、樹齢100年を超す神宮外苑の森の歴史・文化が破壊されようとしていることに疑義を唱えているのだと思う。記者自身も30年近く〝草野球の聖地〟である軟式野球場に通った。数千試合を取材しているはずだ。敷地内に植えられている巨木には畏怖すら感じる。
もう20年以上前だ。当時のプロパストは大磯の徳川邸跡地にマンション「レゾンデパン大磯」を建設・分譲したが、敷地中央に植わっていた松の大木を避けるように配棟した。積水ハウス「グランドメゾン狛江」も、敷地内に植わっていた20m超のヒマラヤスギ、ケヤキ、イチョウなどの既存樹約100本を残し、約18,000本を植樹した。
「残しながら、蘇らせながら、創っていく」-三井不動産の街づくりのスローガンだ。
威風堂々〝聖地〟神宮外苑野球場の巨木 事業者VS.イコモス 鳥や虫の視点で考えて(2023/5/23)
里山を見るような見事な植栽 積水ハウス「グランドメゾン狛江」竣工(2013/9/12)
共用部をシェアする 小規模でも実現可能 コスモスイニシア「芦屋」が人気
モデルルーム
コスモスイニシアは7月18日、「イニシア芦屋レジデンス」(全27戸)の第1期2次(17戸)の登録申込受付を7月14日から開始したと発表。共用部をシェアする概念×生活の質の向上をめざした設備仕様とすることで、合理的で機能的なゆとりのあるライフスタイルを提案しているのが特徴。
物件は、JR芦屋駅北出口から徒歩8分、兵庫県芦屋市親王塚町の第1種中高層住居専用地域(建ぺい率60%、容積率200%)に位置する4階建て全27戸。専有面積は34.01~141.09㎡、第1期2次(17戸)の価格は3,898万円~9,998万円。坪単価382万円。竣工予定は2023年6月。施工は村本建設。
1階の共用部分約180㎡に「シェアリング・パス」という動線を設け、ワークスペース・ラウンジ・シェアブックス・シェアシェルフ・シェアシンク・ランドリー・井戸付き奥庭などを配置。送り状(伝票)番号が通行キーとなる「ココ配」システムを導入し、インターネットなどで注文した荷物が不在時でも自宅前の戸別宅配ボックスに投函され受け取ることができるようにしている。外観デザインには50六丁掛けタイル、アプローチには淡路瓦を採用している。
同社は人気になっている要因として「共用部のシェアや空間設計とあわせて、周辺物件と比較した際の価格にもメリットを感じていただいている」としている。
外観
シェアリング・パス
◇ ◆ ◇
芦屋へは5年前、東急不動産「ブランズ芦屋 ザ・レジデンス」と大京「ライオンズ芦屋グランフォート」のマンションの取材で訪れている。今回の物件の所在地はよく分からないが、第1期2次で17戸を分譲するのだから、残りはわずかなのだろう。
注目したいのは、戸数が27戸の小規模物件でありながら、180㎡(延床面積の約7.3%)のスペースを共用施設に充てていることだ。その分レンタブル比は下がるが、販売促進に効果的なのは間違いない。同社は首都圏の物件でもこの種の共用スペースの充実を図っている。大規模物件では当たり前の施設をこのように中小規模でも設置できることを証明している。
シェアシェルフ(左)とワークスペース
奥庭
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物件とは関係ないことだが、26歳で今春の市長選に当選したことから、全国最年少市長として話題になった高島崚輔市長(26)は、JR芦屋駅南口で市が計画している市街地再開発計画(施行面積約1.1ha)を見直し、計画の第一目標は「花と緑あふれる街づくり」であることを打ち出した。
こんな再開発計画は他にないはずだ。特定建設者の応募登録者7月24日に決定される。どこが選定されるのか注目したい。
わが国初の大京NearlyZEHマンション 坪単価は東急「芦屋」の3分の1(2018/7/29)
首都圏の億ションに負けない 関西最高峰の坪610万円 東急不「芦屋」(2018/7/23)
「HARUMI FLAG」タワー棟 第1期573戸 平均15.3倍で即日完売 坪単価421万円
三井不動産レジデンシャルなど10社は7月18日、「HARUMI FLAG」の「SUN VILLAGE第二工区(タワー棟)」第1期(276戸)と「PARK VILLAGE 第二工区(タワー棟)」第1期(297戸)の合計573戸(総戸数1,455戸)の登録申し込み受付を7月8日(土)~7月16日(日)まで行い、登録申込数は8,790件となり、最高倍率142倍、平均倍率約15.3倍で全戸に申し込み(即日完売)が入ったと発表した。
好評につき、9月上旬からそれぞれ第1期2次のパビリオン見学会(完全予約制)を開始し、11月中旬に販売する。
「SUN VILLAGE 」の第1期276戸の専有面積は49.38~145.54㎡、価格は5,440万~32,790万円(最多価格帯6,800万円台・6,900万円台)、「PARK VILLAGE」の第1期297戸の専有面積は47.74~161.12㎡、価格は4,840万~34,990万円(最多価格帯6,100万円台)。坪単価は421万円。