ユニコーン企業を育てるインキュベーションオフィス 住友不「虎ノ門タワー」に開設
住友不動産は10月2日、グロービスと連携してユニコーン企業を育てるインキュベーションオフィス「G-STASQUARE」を「住友不動産虎ノ門タワー」内に10月1日オープンしたと発表。両社がタッグを組み、スタートアップ企業が抱える課題の解決に貢献し、さらなるスタートアップエコシステムの強化を推進していく。
「G-STASQUARE」は、銀座線虎ノ門駅から徒歩4分(日比谷線虎ノ門ヒルズ駅から徒歩3分)の「住友不動産虎ノ門タワー」の2階に位置。オープン席100席超、ボックス席(6名利用)6ブースからなり、法人登記が可能で、同社とグロービスが共同開催する定期交流会を開催し、同社が運営する230棟超のオフィスビルに入居するテナントや取引先とのビジネスマッチングを行う。
同社は今年1月から「虎ノ門サミット」と銘打ったピッチイベントを開催しており、これまで6回、延べ参加は732社、1,196名となっている。「虎ノ門サミット」の集大成として10月24日、新宿住友ビルの三角広場で「住友不動産ベンチャーサミット」を開催する。
グロービスは2019年4月、ユニコーン企業を100社輩出するプラットフォーム構築を目指す「G-STARTUP」を開始しており、採択企業と同社双方の合意に基づく「G-STARTUPファンド」の累計投資先総数は40社以上となっている。
樹木保全見直し/ヘリテージ・アラートへの見解 神宮外苑まちづくり事業者
神宮外苑 絵画館前の軟式野球場
三井不動産、日本スポーツ振興センター、明治神宮、伊藤忠商事の4者は9月29日、同日付で東京都都市整備局長と環境局長宛てに「神宮外苑地区のまちづくりにおける樹木の保全について(要請)」報告したと発表した。
東京都が要請していた①新ラグビー場敷地の既存樹木の伐採に着手する前までに、樹木の保全に関する具体的な見直し案を示すこと②その他の区域についても、施設の設計の工夫等による更なる樹木の保全策を検討すること-に答えるもので、見直し案がまとまり次第報告するとしている。
また、令和5年9月7日に国際記念物遺跡会議(イコモス)が発出した「ヘリテージ・アラート」に対して、事業者と認識が異なる記述について見解を示した。以下、「ヘリテージ・アラート」と事業者の見解、記者の考えを紹介する。
◇ ◆ ◇
「ヘリテージ・アラート」が、「神宮外苑が都市再開発によって全体で3,000本以上の樹木が破壊され、そのうち500本以上が樹齢100年以上、さらに500本が樹齢50年以上と推定される」としている点については、「これまでもプロジェクトサイトにて発信の通り、3.0m以上の高木の伐採樹木は合計743本となります」「2023年2月28日付で東京都風致地区条例に基づく伐採の許可を得ております。申請した伐採対象樹木は3,028本となりますが、その約9割は本数がカウントできない群生低木(ツツジ等)であり、面積から推計した数値となります」と回答している。
記者もこの事業者の回答に納得する。ただ、「外苑の計画エリアにおいて一部の方々から『森』と称される場所は建国記念文庫の敷地のみであり、総面積約28.4haの本計画に対して約5,000㎡(約1.7%)、3.0m以上の既存樹木は149本です」との回答は不十分だと思う。
「森(杜)」の定義は広辞苑によれば、①樹木が茂り立つ所②特に神社のある地の木立。神の降下してくるところ。「鎮守の―」とあるように、いかようにも解釈できる。神宮外苑を訪れた人ならみんな、全体を「森(杜)」だと感じるはずだ。「公園」=「森(杜)」でもない。記者もそうだが、反対する人たちは「神宮外苑の森」全体が破壊されると考えているはずだ。
また、「『ヘリテージ・アラート』内で記載されている『建国記念文庫の森を隠す』意図は一切ございません」と回答しているが、工事が休みの日には仮囲いを開放し、どのような樹木が伐採されるのか、移植されるのか分かるようにすべきだ。「(建国記念文庫の)建設費は総て国民の浄財である。これは、現下の国民が等しく建国を思う情熱の結果であり、千年万年の子々孫々に伝え、以て後日の語り草にしたいのが、記念文庫設立の目的である」(新宿区の歴史)とあるではないか。
絵画館前の軟式野球場もしかり。「ご利用者以外立ち入り禁止」の看板が随所に設けられているが、以前はほとんど目立たなかった。野球関係者でなくとも自由に出入りできた。5月にグラウンド内の樹木を見に行ったときも、担当者から「立ち入り禁止」と告げられた。〝森を隠す意図〟がないのであれば、巨木にお別れを告げる人の出入りは自由にすべきだ。伐採する743本についても、どうして伐採しなければならないかの説明は不十分だと思う。
イコモスが指摘している「世界的に有名な公園に高層ビルを建設する」「再開発促進区の導入により、風致地区の高さ制限15mから緩和され、190m、185m、80mの3つの高層ビルの建設が可能となった」に対しては、「神宮外苑の街づくりは、民間事業者が所有する土地において、多くの方が利用できる広場などを整備するものであり、国や自治体等が管理する公園を整備するものではありません」と回答している。これはその通りだと思う。「広場」は「公園」ではない。
神宮外苑再開発の撤回をICOMOS(イコモス=国際記念物遺跡会議)が警告(2023/9/8)
首都圏分譲戸建て着工 埼玉、千葉で増加傾向 東京、神奈川の敷地は100㎡以下
別表は、住宅着工統計の1年間の首都圏都県別分譲戸建て着工戸数推移を見たものだ。月によってバラツキはあるが、コンスタントに毎月5,000戸前後が着工されており、都県別でみると、埼玉県は月ごとの変動が小さく、傾向としては埼玉県と千葉県で着工が増えている。年間では埼玉県が神奈川県を上回る可能性がありそうだ。
都県別の敷地面積、延べ床面積は、東京、神奈川、埼玉、千葉の戸数の多い順に面積、延べ床面積もほぼ小さくなっている。ただし、全てのデータを足して割るとこのような結果になる。あまり参考にはならない。
持家21か月、分譲は3か月連続減 令和5年8月住宅着工
国土交通省は9月30日、令和5年8月の新設住宅着工統計をまとめ発表。総数は70,399戸で、前年同月比9.4%減、3か月連続の減少となった。持家、貸家、分譲住宅とも減少した。
持家は20,994戸(前年同月比5.9%減、21か月連続の減少)、貸家は29,364戸(同6.2%減、先月の増加から再びの減少)、分譲住宅は19,587戸(同15.5%減、3か月連続の減少)。分譲住宅の内訳はマンション7,894戸(同26.4%減、2か月連続の減少)、一戸建住宅11,589戸(同6.1%減、10か月連続の減少)。
首都圏は持家(同5.7%減)、貸家(同3.4%増)、分譲住宅(同8.7%減)とも減少。分譲のうちマンションは同21.9%減、一戸建住宅は同4.7%増。
首都圏マンションの着工戸数は4,204戸(同21.9%減)で、都県別では東京都2,396戸(同13.3%減)、神奈川県1,218戸(同109.6%増)、埼玉県389戸(同63.4%減)、千葉県201戸(同79.4%減)。
記者の一押し「木のえほん」/内閣総理大臣賞に異議あり 第17回キッズデザイン賞
「木のえほん」
ヒョウデザイン代表取締役/デザイナー・白岡崇氏
第17回キッズデザイン賞表彰式を取材し、嬉しかったのは積水ハウス(3点)、大和ハウス工業(1点)、ポラスグループ(1点)が優秀賞などを受賞したことだが、建築物に興味があるので、子どもたちの安全・安心に貢献するデザイン部門クリエイティブ部門で優秀賞(経済産業大臣賞)を受賞したYKK不動産・田口知子建築設計事務所・竹中工務店の「パッシブタウン第4街区 たんぽぽ保育園」が最高に素晴らしいと思った。近ければ取材を申し込みたかった。
そして、一押しは、子どもたちの安全・安心に貢献するデザイン部門で特別賞(審査委員長特別賞)を受賞したヒョウデザインの「木のえほん」だ。
鳥取県産材のスギを用いて一枚一枚手作業で作られた絵本で、厚さ7mm×4枚の8ページ立て。寸法は縦180ミリ×横120ミリ×幅30ミリ。5巻セットで、1巻の価格は4,500円。追加の5巻も発売されている。
審査員からは「地元の杉の木で創られた絵本であり、物語も地元在住の作家に依頼するなど、地域性にこだわった作品。素材や物語、技から地域のことを知り、愛着を育む良質な取組である」と評価された。
売れ行きも好調で、祖父母から孫へのプレゼントを中心に、これまで300セットが売れている。他県の自治体などからの引き合いもあるという。
記者も手に取ってみた。約B6サイズなので、絵本にしては小さく、ページ数が少ない割には分厚く、軽いのに驚いたが、糸鋸で切り抜きされた部分に主人公の絵がはめ込まれているのが面白く、なによりもスギの香りがするのがいい。
47都道府県にはそれぞれ都道府県の木があるし花もある。全国版も可能ではないか。
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もう20~30年間も選挙にいったことがない記者が言及する資格もないかもしれないが(一番の理由は誰にも白紙委任などしたくないから)、最優秀賞の「内閣総理大臣賞」を受賞した「こども選挙」については異議を唱えざるを得ない。同省の目的に合致していないと考えるからだ。
「こども選挙」を企画したのはNPO湘南スタイルで、17歳以下の子どもたちを対象とした模擬選挙プロジェクトだ。2022年10月に実施された茅ヶ崎市長選挙に合わせて、市内11か所に設けた投票所とネット投票により566人(市内の子どもの2~3%)が投票した。実際の候補者に質問するなどユニークな取り組みがマスコミで取り上げられるなど話題にもなった。
受賞理由には、「2022年に成立した『こども基本法』には、『全てのこどもが意見を表明し社会活動に参加する機会が確保されること』が明記された。子どもを社会的弱者と捉えるのではなく、これからの社会をつくり、担う主役として位置づけることはとても重要である。また、今後のキッズデザインのあり方を示すもの」とある。
この「全てのこどもが意見を表明し…」という法文の引用は重要な部分が欠落している。法律では「こども」を「心身の発達の過程にある者」(同法第2条)と定義し、同法3条3項で基本理念として「(すべてのこどもについて、)その年齢及び発達の程度に応じて、自己に直接関係するすべての事項に関して(意見を表明し社会活動…)」としている。
記者は、この法律に照らしあわせ、子どもの発達の程度を考えれば、17歳以下のこどもが実際の選挙に対して疑似投票し、候補者に質問するのは乱暴に過ぎると思う。選挙権、被選挙権の年齢制限が適当かどうかは分からないが、それなりに根拠はあるはずだ。また、受賞理由には「子どもを社会的弱者と捉えるのではなく」ともあるが、社会的弱者であるからこそ「こども基本法」が定められたのではないのか。NPOを批判はしたくないが、同法第7条が定めている「国民は、基本理念にのっとり、こども施策について関心と理解を深めるとともに、国又は地方公共団体が実施するこども施策に協力するよう努めるものとする」国民の努力とも背馳する。
「こども選挙」の問題点は他にもある。選りによって、支持率が30%くらいしかない「内閣総理大臣賞」に、投票率が4割にも満たない選挙区の「こども選挙」が選ばれるというのは、賞を戯画化することにはならないのかということと、賞の顕彰目的である子供向けの製品・サービス、子ども視線の製品、施設、取り組み、調査研究に該当するのかという疑問だ。
もう一つは、マスコミの対応だ。取り組みの模様を地元紙だけでなくNHK、朝日新聞、読売新聞(2022年11月7日付夕刊には全ペーシ特集)の大マスコミが報じたことで全国に広がった。マスコミが提灯持ちの役割を果たした極めて政治的なイベントではないのか。悪臭が鼻を突く。(2022年10月30日に投開票された茅ヶ崎市長選挙は立候補者3人で、投票率は34.69%、現職が当選した-「こども選挙」も現職の得票がもっとも多かったが、大人の知恵がすりこまれていないか心配だ)
審査委員長・益田文和氏(インダストリアルデザイナー/オープンハウス代表取締役)は表彰式後のシンポジウムで、ウクライナ戦争や頻発する自然災害などに触れ、「未来のリスクをわれわれは作っている。子どもたちのストレスも相当高まっているはず」と心配したが、記者は「こども選挙」のような取り組みが内閣総理大臣賞を受賞することに不安を覚える。翼賛政治が復活しないかと。
素晴らしい!親子&木製シースルー玄関ドア 三菱地所ホーム「江北小路」完成
「江北小路」
三菱地所ホームは9月28日、東京都の「都有地活用による魅力的な移転先整備事業」第1号プロジェクト「江北小路」のメディア向け完成見学会を行った。同社が開発したFMT(Flat Mass Timber)構法を採用することで頑丈でフレキシブルな居住空間を造りだすとともに、外観・内装に〝現し〟をふんだんに採用している。素晴らしい建築物だ。
物件は、日暮里・舎人ライナー江北駅から徒歩11分、足立区江北4丁目の第一種中高層住居専用地域(建ぺい率60%、容積率200%)に位置する敷地面積約775㎡、準耐火の木造一部鉄骨造3階建て延床面積約1,142㎡。1階が店舗、2~3階が賃貸住宅16戸。専用面積は29.57~72.13㎡、月額賃料は69,000円(坪7,700円)~。事業主は東京都都市づくり公社。設計監理はスタジオ•クハラ•ヤギ。施工は三菱地所ホーム。管理会社はハウスメイトパートナーズ。着工は2022年3月、竣工は2023年9月。木材使用量は約350㎥。2階の5戸が木密地域からの移転先対象住戸で、うち1戸が申し込み済み。全体では5個が申し込み済み。
移転先整備事業は、木密地域居住者の移転を促すため、コミュニティに配慮した共同住宅を整備するもので、三菱地所ホームなど4者による提案がプロポーザルで採択された。
建物は、南と北の2棟に分棟し、その間に自由歩行空間「みんなの小路」を整備することで、隣接する公園の緑と建物-戸建て住宅街を繋ぎ、設計・施工では、同社が開発した住宅用FMT構法を非住宅用に改良し、最大7.3mスパン(住宅用は6.6mスパン)、キャンチスラブ5.0m(同3.1m)を実現した。さらに、メンブレン防火被覆設計と燃え代設計により、1時間準耐火構造とし、外壁は多摩産材スギ材、床・壁・軒裏はカラマツCLT・集成材パネルを採用するなど、木造現しのデザインとしているのが特徴。
住戸の商品企画では、玄関ドアは1.2mの親子ドアで、ベイマツ材の框ガラスドアを採用。ドアと居室の間を土間空間とすることで、外と内を緩やかにつながる工夫を施している。居室床はカバザクラ、ドアはツガ材。窓はLow-Eガラス。
見学会で、同社常務執行役員ソリューション事業部門 部門長 都市木造開発推進部長・越川喜直氏は「都の木密地域の移転促進を図る事業の第1弾。当社などの4者の提案が採択されたポイントは、公園の緑と道路をつなぐ『みんなの小路』を整備し、コミュニティを醸成するプランにしたこと、FMT構法を非住宅用に改良することで自由なレイアウトを可能にしたこと、燃え代設計で構造を被覆しないで木の温かみを現しで表現したこと」などと語った。
越川氏(背後は現しの国産材の壁)
「みんなの小路」
親子&木製框玄関シースルードア
床、ドアも挽き板仕上げ
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現地に着いた途端、フェイクではない本物の木が現しで採用されている建物が目に飛び込んできた。と同時に、同社本店営業部長・鈴木正人氏(54)から声を掛けられた。もう、これで取材の100%が達成されたと思った。
その通りの結果となった。施設は文句なしにいい。今年の冬に取材したJKK東京「カーメスト興野町」もよかったが、さすが都の公社だ。これほどふんだんに木が使われている賃貸マンションは皆無だろう。玄関ドアが木製框のガラスなのにも驚愕した。かつて建築家の山本理顕氏がUR都市機構の「東雲キャナルコート」でSOHO利用を想定してシースルーの玄関ドアにしたのを見て以来だ。三菱地所ホームと設計監理のスタジオ•クハラ•ヤギに拍手喝采!
鈴木氏からは「わたしがソリューション事業部にいたときに受けた案件。余計なことは書くな」と、球速にしたら50~60キロもない牽制球(記者にとっては痛くもかゆくもない)を投げられたので多くは書かないが、知る人ぞ知る知らない人は知らない同社の〝名物男〟だ。記事を添付したので読んでいただきたい。
鈴木氏
宏遠側からの外観
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取材を終え、一杯飲もうと駅に向かっていたら、「江北小路」に近接する東京女子医大病院の隣接地に「カフェ&バー マリガン」「ビールセット1,000円」の看板・メニューが目に留まった。すぐ店に飛び込み「ビールセット1,000円」を注文した。コロナ禍で〝せんべろ〟を覚えたのだ。
写真を見ていただきたい。これで1,000円だ。ビールはもちろん、つまみのポテトチップス、特大のから揚げ、長崎のゆずドレッシング添えサラダはとてもおいしかった。お腹がいっぱいになったが、もう1杯ビール(400円)を注文した。料金は「興野町」の取材の帰りに飲んだ江北駅前の店の2分の1もなかった。
店内は「江北小路」ほどのスパンはないが、アメリカ・オークランドの飲み屋をイメージさせてくれる。いい店だ。
「カフェ&バー マリガン」の「ビールセット1,000円」
三菱地所ホーム 木造の常識を覆す新構法「FMT」 富裕層・非住宅用途に照準(2020/9/4)
積水ハウス、大和ハウス、ポラスが優秀賞など受賞 第17回キッズデザイン賞
第17回「キッズデザイン賞」表彰式(六本木ヒルズ49階「アカデミーヒルズ49」)
キッズデザイン協議会は9月27日、第17回「キッズデザイン賞」表彰式とシンポジウム「キッズデザイン 開発ストーリー2023」を開催した。
同賞は、子どもの安全・安心と健やかな成長発達に役立つ優れた製品・サービス・空間・活動・研究などを顕彰するもので、今回は応募398点の中から258点が受賞。このうち最優秀賞「内閣総理大臣賞」のほか、「子どもたちの安全・安心に貢献するデザイン」部門9点、「子どもたちの創造性と未来を拓くデザイン」11点、「子どもたちの創造性と未来を拓くデザイン」部門11点、「TEPIA特別賞」1点、「BEYOND COYIC-19 特別賞」4点の合計37点が受賞・表彰された。
ハスウメーカーの受賞作は次の通り。
優秀賞(こども政策担当大臣賞)子どもたちを産み育てやすいデザイン部門
大和ハウス工業「音の自由区」
木口氏(左)と同社住宅商品開発部戦略室商品企画グループ・川上萩子氏
同社住宅事業本部マーケティング室ブランド戦略グループ長・木口正浩氏は「キッズデザイン賞は10年ぶりの受賞。防音ルームは2006年から商品化しており、これまで3,000室を販売。2020年の施工ランキングではヤマハに次ぎ2位。〝音といえば大和ハウス〟と呼ばれるようにする。『音の自由区』は、さらにバージョンアップしたもので、引き合いが増加している。今後、マーケットインの商品開発に力を入れていく」と、受賞の喜びを語った。記事参照。
大和ハウス 天井高+スペックで№1目指す 天井高3mの防音室付きモデルハウス開設(2017/9/22)
優秀賞(こども政策担当大臣賞)子どもたちを産み育てやすいデザイン部門
積水ハウス・青虎会「『一つ屋根の下で一緒に過ごす!』フジ虎ノ門こどもセンター」
ひとつ屋根の下で未就学児、学童期、健常とチャレンジドが一緒に過ごすこどもセンター。インクルーシブな交流空間が高く評価された。
奨励賞(キッズデザイン協議会会長賞)子どもたちの安全・安心に貢献するデザイン部門
ポラスタウン開発「共有地で「共助』を育み、暮らしの中で『自助』を学ぶ家」
分譲地の共有地に「自助」「共助」に繋がる防災施設や、コミュニティ向上につながね仕掛けを施しているのが評価された。記事参照。ポラスグループは今回の「第17回キッズデザイン賞」受賞作品258作品のうち26作品が受賞した(昨年度は13点)。
受賞した同社企画・設計担当の同社埼玉中央事業所設計課係長・内田里絵氏
ユニソン「防災トークセッション」に170名/AIの文字起こしは凄いが課題も(2023/7/15)
可視化難しい「防災」「コミュニティ」「環境」に挑戦 ポラス「東武動物公園」(2023/6/16)
奨励賞(キッズデザイン協議会会長賞)子どもたちの創造性と未来を拓くデザイン部門
積水ハウスノイエ・積水ハウス「『~子育て世代へLIFE IDEASを盛り込んだ住まい提案~積水ハウスノイエ』」
共働きを中心とした子育て世代向けに、家事を楽に子どもと一緒に過ごす時間を楽しめるアイデアやデザインが盛り込まれた「パッケージプラン」を提案。子育て層の悩みやニーズを丹念に拾い、解決策を提示しているのが評価された。
特別賞(BEYOND COVID-19特別賞)
積水ハウス「分譲マンションにおける子育て支援サービスの提案」
コロナ後の生活変化に対応した共用エントランスの自動水栓・ソープディスペンサ、住戸玄関ポーチにネットスーパー用受け取りボックスを設置。ZEH-M オリエンテッドも取得したのが評価された。記事参照。
積水ハウス東京マンション事業部設計室副設計長・尾島篤氏
「小田急ありのまま賃貸」第1号 築100年の古民家スタジオ「studio ICHI」開業
「studio ICHI」
小田急不動産は9月26日、「小田急ありのまま賃貸~空き家活用DYI賃貸~」第1号物件の古民家スタジオ「studio ICHI」を9月28日(木)にオープンすると発表した。同日、メディア向け内覧会行った。
「小田急ありのまま賃貸-」は、小田急線の沿線価値の向上や東京・神奈川エリアの空き家課題の解決を目指す、小田急不動産とDIY賃貸の運営で豊富な実績を持つomusubi不動産(本社:千葉県松戸市)が昨年5月に締結した「基本協定書」に基づくもので、小田急不がオーナーから空き家を借り上げ、omusubi不がDIY可能な賃貸物件として入居者を募集・貸し出すスキームで、リフォーム工事などは行わず、入居者に転貸(サブリース)する。事前申請すれば、原状回復義務を免除する。
「studio ICHI」は、世界を舞台にアーティストやパフォーマーの発掘・育成・マネジメントを展開する日本発のエンターテイメントカンパニーICHIMILE(本社:東京都中央区)が入居し、世界15か国以上で活動する殺陣パフォーマンス集団「刀屋壱」がプロデュースする古民家スタジオ。着付けや写真・動画撮影、侍体験や観光案内などを通じて、外国人観光客に日本の情緒を提供する。
物件は、東京メトロ有楽町線・都営大江戸線月島駅から徒歩3分、中央区佃2丁目に位置する築100年の2階建て木造長屋(2戸)の1戸で、延べ床面積は約42㎡。営業時間は10~18時(不定休)。利用料金は1時間3,500円(3時間から利用可)。2023年12月末まで3時間1万円のオープン記念価格。主な設備はWi-Fi、トイレ、簡易キッチン、冷蔵庫、メイクスペースなど。
以下、内覧会での各氏のコメント。
小田急不動産仲介事業部仲介営業部賃貸管理グループサブリーダー・田中壮伶氏 当社は企業の使命として2016年からリノベ、サブリース事業を拡大してきた。今回の案件は、小田急線にも縁のあるオーナーの方が売却を考えておらず、かといってリノベ費用もかさむことから空き家対策に苦慮されていたことから、当社が借り上げたもの。今後も小田急沿線を中心に事業を拡大していきます
omusubi不動産・日比野亮二氏 空き家対策の一環としてDIY賃貸に取り組んでから今年で12年目。2020年4月には下北沢に「BONUS TRACK」をオープンするなど約250件の実績を積み上げてきました
ICHIMILE・水野郁代氏 当社は11か国13都市でツアーを開催するなど海外活動がメインで、今回は海外で受けた〝おもてなし〟のお返しとして、インバウンドのお客さん向けに様々な企画を考えています
M.A.P.ESTATE・佐藤麻子氏(不動産コンサル) 水野さんからなるべく現状のままという意向を受けましたので、畳、天井、ふすまなどを除き、極力昔のままの姿を残しました
左から日比野氏、田中氏、佐藤氏、水野氏
玄関(上がり框は昭和の時代に改修したもの。右は客間か、奥は4畳半のリビング)
2階 北側居室4畳半に隣接した物干しとトタン屋根
左は床の間、右は箪笥収納
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古いビルやマンションを新築並みにリノベーションした建築物は結構取材しているが、いわゆる木密地域の古家をそのまま活用したこのような現場を見るのは初めてだった。
建物の前面道路は約3mしかなかった。道路は、建築基準法第42条第2項の規定による「みなし道路」と呼ばれるものだ。建物は築100年と聞き、かつての記者の実家の佇まいとよく似ているのになつかしさがこみ上げた。谷中もそうだが、米軍の空襲を免れたのが不思議だ。
そんな築100年の長屋の42㎡しかない古家がビジネスの対象になるのに驚き、1時間3,500円(3時間から利用可)という料金設定にも驚愕した。3回転すれば1日約3万円×30日として90万円、年間1,080万円の売り上げだ。
そんなにうまくいくはずはないだろうが、賃貸住宅と比べれば、利回りははるかに高い。オーナーはもちろん、事業者もメリットは大きい。換骨奪胎とはこのようなことを指すのか。インバウンドのお客さんは何に「日本らしさ」を感じるかはよく分からないが、三方良しになるのだろう。全国展開も可能ではないか。
外観
外観
2階の階段トップの飾り棚
階段室(ステップは11段)と乳白色のガラス戸
1階台所の欄間の上に明かり取のトタン屋根
駅前の再開発タワーマンション 住友不「シティタワー綾瀬」(422戸)販売開始
「シティタワー綾瀬」
住友不動産は9月25日、綾瀬駅前の32階建て再開発タワーマンション「シティタワー綾瀬」(全422戸)の第一期86戸の登録受付を9月23日(土)から開始したと発表した。
「綾瀬駅東口周辺地区地区まちづくり計画」に基づき、隣接地で足立区が開発を進めている「東口駅前交通広場」とともに、敷地内に歩道状空地・広場状空地を整備するなど地域に開かれた憩いのスペースを創出する。
共用部には個室ブースを備えたテレワークラウンジやフィットネスルームなどを備え、専有部は天井高最大約2,620から~2,670ミリ、食洗機、ディスポーザーなどを標準装備。一次エネルギー消費量を現行の省エネ基準値から20%削減する省エネ性能「ZEH-M Oriented」仕様とする。
物件は、東京メトロ千代田線綾瀬駅から徒歩1分、足立区綾瀬三丁目の商業地域(建ぺい率80%、容積率500%)に位置する32階建て422戸。9月23日から9月30日まで登録を受け付ける第1期(86戸)の専有面積は58.93~74.18㎡、価格は7,600万(坪426万円)~11,800万円(坪525万円)、最多価格帯7,600万円台。登録締め切りは9月30日。竣工予定は2025年8月中旬。設計・施工は長谷工コーポレーション。
これまでの問い合わせ件数は2,200件。都心直結、「大手町」駅直通21分の交通利便性、物件から徒歩1分圏内には飲食店や総合スーパーマーケット、公園などが揃う生活環境など資産性が評価されているという。
築50年 髙島屋⇒聖徳学園女子寮 元寮長の娘「これで安心」 ポラス「棟下式」
東京聖徳学園聖徳大学孝和寮跡地
ポラスグループの中央グリーン開発は9月23日(土)、流山市の東京聖徳学園聖徳大学孝和寮跡地で「棟下式(むねおろししき)」を行った。「棟下式」は同社が作った造語で、建物を取り壊す際に、その建物に感謝の意を伝え、地域住民と一緒に楽しくお見送りするイベントで、2017年4月に初めて行ってから、今回は41例目。2019年にはグッドデザイン賞を受賞している。この日、スタッフを含め約100人が参加した。
現地は、東武野田線江戸川台駅から徒歩12分、流山市こうのす台1082番地の第一種低層住居専用地域(建ぺい率50%、容積率100%)に位置する敷地面積約2,974㎡。
敷地内には、昭和48年11月完成(築50年)の5階建て建物が建っている。最初は髙島屋女子社員寮として、その後、東京聖徳学園 聖徳大学孝和寮(44室=女子寮)として10年前まで利用されていた。同社は10月に建物を取り壊し、敷地面積約135~140㎡の分譲戸建て19棟を建設する。
棟下式では、神主による祝詞などセレモニーが行われ、同社千葉支店取締役支店長・小林亮一氏が「10月9日から解体作業に入り、来年の5~6月には工事は完了し、そのあと1年間後に建物が完成する予定です。地域の皆さんにはご迷惑をおかけしますが、安全を第一に取り組んでいきます」と挨拶した。
セレモニーのあと、建物の3階部分から広場に集まった地域住民らに餅135個が撒かれ、敷地内に植わっている桜の生木で作った色鉛筆も子どもたちに配られた。
餅撒き
小林氏
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同社の棟下式を取材するのは、第一弾の埼玉県越谷市の「越谷市南荻島プロジェクト」以来2度目だった。
記事を添付したが、越谷市の棟下式は敷地規模も大きく、他のイベントもあったため約700名が参加した。とても楽しい取材ができた。
今回は人数が少なく、〝当時の寮生と会えないものか〟と思案していたら、記者と同年配と思われる女性2人が隣り合わせで話しあっていた。声を掛けた。
何と、そのうちの一人が寮長をしていた父の娘さんというではないか。近くに住む遠藤京子さん(70)だ。遠藤さんは次のように語った。
「昭和48年11月、高島屋の柏店がオープンすると同時に女子寮が完成しました。わたしの家は取り壊わしていたので(建て替えか)、女子寮に泊めてもらったら、寮長・寮母を募集しているとのことでしたので、父が申し込み、その後約7年間勤めました。部屋は6畳大と小さな廊下しかありませんでしたが、立派な大浴場がありました。(記者の質問「男性を連れ込む? 」に)近くに男子寮があり、敷地内で一緒にバーベキュー大会などイベントもたくさんやりました。とても楽しかったですよ。(敷地内の)そこの2本の桜は、わたしの父がこんなに小さい苗木(50センチくらい)を植えたんです。廃寮になってから幽霊屋敷のようになっていたので心配していたのですが、これで一安心です」」
-地域とつながるというのはこういうことを指すのだと思った。敷地内にはサクラなど立派に育った樹木もたくさん植えられている。全て残すのは無理としても、挿し木・接ぎ木にして街のシンボルツリーなどにしたら住民はもっと喜ぶのではないか。
父が寮長をしていた遠藤さんも餅を1個ゲッとした
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取材していて、一つ不思議に思ったことがある。現地も周辺エリアもみんな用途地域は第一種低層住居専用地域だ。都市計画法による高さ規制は12m以下のはずだが、当地の建物は5階建て(1層3mとして15m)だった。
なぜ、そうなのか。多分、建築基準法第48条ただし書による認可だと思う。東京都でも事例はいくつかある。
分譲戸建ての価格は5,000万円前後になると思う。
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