RBA OFFICIAL
 

 オープンハウスグループ(オープンH)は8月16日、東証プライム市場に上場している分譲住宅大手の三栄建築設計をTOB(株式公開買い付け)により完全子会社化すると発表した。三栄建築設計の全株式の64.21%((13,623,000株)を所有する創業者で元社長の小池信三氏らと買い付けに関する合意に達し、三栄建築設計も賛同する考えを表明した。買い付け期間は8月17日から9月28日までの30営業日で、買い付け価格は1株2,025円で、買い付け予定株数は21,217,079株、買い付け予定代金は約430億円。TOBを受け、三栄建築設計は上場廃止となる。

 三栄建築設計は昨年9月、同社が発注した工事代金の一部が反社会的勢力に流れたとして警察当局から会社法違反(特別背任)容疑で捜索を受けて以降、金融機関からの新規融資が見送られる状況に陥り、同年11月に小池氏は社長、取締役を辞任。今年6月20日に東京都公安委員会から東京都暴力団排除条例に基づく勧告を受けていた。

 勧告を受け、同社は6月22日付で5名の弁護士からなる第三者委員会を設置。第三委員会は8月14日付で調査報告書を作成。

 調査報告書は187ページにわたるもので、小池氏が反社勢力に経済的な利益を供与したものと認定。「(小池氏は)少なくとも20年以上の長期にわたって、当社の特定の元従業員を介して(反社)の便宜を図ったり、(反社)にトラブルの交渉を委ねたり、(反社)から紹介された業者を当社の取引に関与させて(反社)に経済的利益を供与したりといった事実」を、「(反社)の担当となった3名の元従業員を除き、当社及びそのグループ会社の役職員の中に(反社)と直接関わりを持った者は認めらない」と、会社ぐるみの事案ではないともしている。

 小池氏に対するヒアリング調査では、再三にわたって日時などが変更され、結果として2回にとどまったこと、「よく考えてから後日回答する」「簡潔な書面での回答」など不誠実な対応を批判し、「コンプライアンス意識が決定的に欠如している」と断罪している。

 また、役職員などへのヒアリングの結果として、ごく一部を除き、反社との関係を是正するよう進言した者は認められなかったとし、小池氏の意向に反した意見を述べることなどできない社内風土がワンマンな経営体制を許し、小池氏に対する牽制や統制環境に不備があったと指摘。

 再発防止策として、小池氏による影響の排除、取締役会などの監視機能の強化、社外役員に対する情報連携ルートの構築、エビデンスの添付を要するシステムの構築などを挙げている。

 報告書の結語は、「当社は、1993年に有限会社三栄コーポレーションとして設立されたのち…その後30年間で連結ベースの売上高は約1,390億円、役職員は1,200名超の東京証券取引所プライム上場企業に成長したものであり、かかる成長を推進したのは(小池氏)の手腕によるところが多いと車内から評価されていた面もあるだけに、本報告書を読み、衝撃を受けるとともに残念に感じるステークホルダーが多いのではないかと推察する。今後、当社及びそのグループ会社の役職員は、かかるステークホルダーからの信頼を取り戻すべく行動しなければならない」と締めくくっている。

 

着工・供給.png
国土交通省 住宅着工統計から

image001.jpg
住宅着工統計、CRI、レインズデータから作成

 長谷工総合研究所の「CRI」最新号540号(8月号)は、「首都圏 近畿圏 分譲マンション市場動向」を特集し、2023年上半期と下半期の見通しを紹介している。総括として、首都圏の上半期の販売初月販売率は70%を上回り、購入者の多くが選択する変動型住宅ローン金利は低位で推移していること、賃上げの動きも購入マインドに好影響を与えていることなどから、販売状況の見通しでは下半期も販売は堅調に推移し、首都圏の通年供給戸数は31,000戸と予測している。

 詳細はCRIを読んでいただきたいが、注目点は大幅な価格(単価)上昇だ。首都圏上半期の供給戸数は10,502戸で、分譲坪単価は前年比38.9%アップの436万円、平均価格は同41.1%アップの8,873万円となり、ともに過去最高値となった。主な要因として、都心部で大規模物件の供給があり、都内23区の供給比率を46.7%(前年36.5%)に高め、坪単価も同49.4%アップの635万円となったことをあげている。

 ここでは、マンションの基本性能・設備仕様の退行はさておき、CRIで触れられていないことを中心に記者なりの考えをまとめてみた。

カバー率.png
着工統計、CRIから記者作成

 まず、先行指標であるマンション着工戸数と供給戸数の乖離(記者はカバー率と呼ぶ。以下同じ)について。CRIは、総戸数200戸以上の大規模物件は、着工から分譲までの期間が延びる傾向にあるとし、1年超の物件比率は2012年が31.1%だったのに対し、2022年は60.7%に上昇していると指摘している。着工=供給ではなく、タイムラグを考慮に入れないといけないということだ。しかし、着工された物件が途中で工事中止になり、供給されないことはまずありえない。

 その着工と供給の関係を図示した。2009年から2022年のマンション着工戸数は首都圏が823,304戸、近畿圏が325,652戸、合計1,148,956戸で、首都圏:近畿圏は71.7:29.9となっている。一方、供給戸数は首都圏が543,325戸、近畿圏が276,660戸、合計819,985戸で、首都圏:近畿圏は66.3:33.7となっている。着工戸数に占める供給戸数割合(カバー率)は首都圏が66.0%、近畿圏が85.0%となっている。

 なぜこのような結果になっているか。関係者はご存じのはずだが、首都圏の調査対象には専有面積が30㎡未満は除外されており、近畿圏は含まれているからだ。着工比率は首都圏71.7%:近畿圏29.9%なのに、供給比率は首都圏66.3%:近畿圏33.7%になっているのはこのためだ。

 問題は、着工戸数から供給戸数を引いた首都圏279,979戸、近畿圏48,992戸はどうなったかだ。記者は、着工戸数の2割近くが30㎡未満で、約15%が地権者向け・優先住戸とみている。カバー率は好況期で着工が増加したときは下がり、不況期で着工が減少したときは上昇する傾向にある。景況感を判断するにはこのカバー率や価格(単価)動向、在庫数をチェックする必要がある。好例は2008年と2009年だ。カバー率がもっとも高かったのは2009年の90.8%で、もっとも低かったのはその前年の2008年の43.4%だ。リーマン・ショックの影響により中堅デベロッパーが相次いで破綻し、市場が混乱したことを数値は示している。

 次に、市場規模について。マンション着工戸数、供給戸数、平均価格、カバー率などから推計すると、金額ベースでは、過去もっとも供給が多かった2000年(95,635戸)は約4.7兆円で、2022年は約3.2兆円だ。着工・供給が激減しているものの、金額ベースではそれほど落ち込んでいないことが分かる。

 中古マンション市場はどうか。東日本レインズのデータによると、2022年の成約件数は35,429件で、過去最多だった2021年の39,812件を下回ったものの、11年連続して3万戸台を維持した。1戸当たり平均価格は前年比10.5%上昇の4,276万円となり、過去30年間で最も高く、坪単価は前年比12.4%上昇の221.9万円となり、こちらも過去30年間で最高価格になっている。金額ベースでみると、2000年は約5,200億円だったのが、2022年は1.5兆円と2.9倍に拡大している。

 これらの数値から、新築と中古を合わせた市場規模は、2000年が約5.2兆円であるのに対し、2022年は4.7兆円と推測される。リーマン・ショック前に戻りつつあると見ることができる。

 問題はこの先どうなるかだ。新築マンション着工・供給戸数は社会経済動向のほか、高値圏にある価格水準、住宅ローン金利動向などから判断して漸減するのは間違いない。

 中古マンション市場はいま一つよく分からないのだが、在庫件数は成約件数のほぼ同数で、在庫の1戸当たり平均価格も過去30年間で最高の4,064万円になっており、市場では高値警戒感も浮上している。新築と連動しているので注視したい。

Screenshot 2023-08-13 at 14-07-06 summary_shisu_kentiku_2023.07.pdf.png
建設物価調査会「建設物価 建築費指数」

 とはいえ、新築価格が下がる要因はほとんどない。日本建設業連合会(日建連)の「建設資材高騰・労務費の上昇等の現状」パンフレット(2023年7月版)によると、全建設コストに占める割合が50~60%を占める建設資材物価は2021年1月と比較して26%上昇し、全建設コストを13~15%引き上げている。全建設コストの3割を占める労務費も上昇しており、全建設コストは3%上昇。この29か月間で全建設コストは16~18%上昇しているとしている。現在も躯体、仕上げ、設備など幅広い分野で納期遅延が発生し、職人不足による工期への影響が出ており、ウクライナ情勢次第では、さら幅広い資材の納期遅延や逼迫が発生する恐れがあるとしている。

 また、建設物価調査会の2023年7月の「建設物価 建築費指数」では、集合住宅(鉄筋コンクリート造)の工事原価指数は2015年を100とした場合、123.1(木造住宅は131.3)となっており、2020年比で20ポイント近く上昇。日建連のパンフレットを裏付けている。

◇        ◆     ◇

 以上述べたように、建築費の上昇は顕著だが、消費者の住宅取得意欲は旺盛で、今後も堅調な市場が続くと記者も見ている。

 いまひとつ分からないのは工期だ。国土交通省は「適正な工期」を徹底させることを求めており、他業種と比べて圧倒的に高い中小企業比率、常態化している長時間労働、生産性・営業利益率の低さ、人材不足、低賃金など建設業の働き方改革は喫緊の課題とされており、その一環として2024年4月からは「時間外労働の上限規制」の適用も実施される。

 これらはコスト上昇の要因になるはずなので、実態はどうなっているか調べようと思ったが、そのようなデータはない。(かつて長谷工コーポレーションは、工期を最大約40%短縮する「マンションEC工法」を開発した)

 データがないどころか、「適正な工期」を徹底させるためには大きな壁があることを、国土交通省の「適正な工期設定等による働き方改革の推進に関する調査」(2023年5月31日発表)結果は示している。

 注文者から提案された工期について、「妥当な工期の工事が多かった」と回答した建設企業は66.6%であったものの、「短い工期の工事が多かった」は29.2%を占めた。休日の取得状況については、「4週6休程度」が44.1%でもっとも多く、「4週8休以上」は8.6%にとどまっている。

 適正工期を確保するための有効な方法として、発注者の81.0%は「受注者が、発注者に施工に必要な工期を説明すること」をあげたのに対し、建設企業を対象とした調査では76.0%が「注文者の理解が重要」と回答した。

 ここに〝同床異夢〟であり、発注者と受注者の綱引きの構図が読み取れるのだが、ことは容易でない。監視役の国交省の手加減次第で揺れ動く。その背後には消費者の価格下げ圧力もある。

 同省は、全建設プロセスにICTを導入するプロジェクト「i-Construction」により、これまでより少ない人数、少ない工事日数で同じ工事量の実現を図り、2025年までに建設現場の生産性2割向上を目指しているが、どうなるか…。

 東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は8月10日、首都圏の7月の不動産流通市場動向をまとめ発表。成約件数は、マンションは前月に続いて前年同月比で増加し、戸建ては19か月連続で減少した。

 マンションは、成約件数3,236件(前年同月比4.3%増)、坪単価は237.3万円(同5.0%増)、価格は4,563万円(同4.9%増)、専有面積は63.44㎡(同0.03%減)となった。坪単価は39か月、価格は38か月連続の上昇。地域別では、成約件数は埼玉県以外の地域は前年比で増加したが、埼玉県は19か月連続して減少した。坪単価は全ての地域で上昇した。

 中古戸建ては、成約件数1,155件(同1.8%減)、成約価格3,848万円(同1.5%増)、土地面積140.98㎡(同0.6%増)、建物面積103.47㎡(同0.05%増)。地域別では、成約件数は東京都区部と横浜・川崎市以外の地域が前年比で減少し、埼玉県は19か月連続で前年同月を下回った。

松本写真190409_424.jpg
松本氏

既報の通り、千葉大学名誉教授・小林秀樹氏(享年68歳)が昨年(令和4年)1011日、癌のため亡くなったが、小林氏の後輩で旭化成ホームズくらしノベーション研究所・二世帯住宅研究所所長・松本吉彦氏(64)に小林氏のエピソードをお願いし、快諾していただいた。以下に全文を紹介します。

         ◆     ◇

 小林先生とは私が卒論を書いている際に東京大学工学部建築学科の建築計画研究室(鈴木成文・高橋鷹志研)博士課程でご一緒したのが出会いとなります。当時は集合住宅の住まい方調査を基にした居住者の行動や心理の考察など、建築学に心理学や社会学、動物の生態学などの本を参照しながら研究室内では研究を進めていたと思います。今回の追悼する会のコメントで小林先生の研究の特徴としてこうした分野を導入した研究が高く評価されていたのですが、これは当時の研究室内全体のトレンドでした。私が未だに仕事で居住者調査を基に研究しているのはこの時の原体験が効いていると思います。

 その頃の小林先生の研究の多くは1992年刊行の名著「集住のなわばり学」に記されています。集合住宅の共有領域に住人の「日常的支配」が及び、それが防犯の観点からオスカー・ニューマンの「まもりやすい住空間」などで指摘された「自然監視性」を生んでいること(P81-83)、LDKの窓は共有領域に面しているほうが日常的な関わりを生じやすいこと(P82)、コミュニティ形成には10戸前後のクラスターに分割することが有効であること(P153)など、実際の設計に役立つノウハウにまとめられています。

 「集住のなわばり学」は、中古価格が1万円前後の高値となっていることについて、生前小林先生ご本人が、もっとたくさん持っておけばもうかったのに、みたいなことをおっしゃっていました。

 ナワバリ学を家族関係に発展させたものが2013年刊行の「居場所としての住まい」です。住戸内の室配置の構成原理を家族関係から読み解き、二世帯住宅のような親子同居、シェアハウスのような他人同士の集住にも応用した点がユニークで、nLDK型など実際の間取りと家族関係を対照しながら考察しています。この著作を題材として、2014/1/21に第12回のくらしノベーションフォーラム「ナワバリ学で家族と住まいを読み解く」を開催し講演していただきました。

 小林先生の業績では、資産や投資としての建築、といった経済的、実務的な取り組みを扱うことに特徴があるかと思います。学術研究に留まらず、実際に社会で使われるノウハウの開発では、共同研究で大変お世話になりました。二世帯住宅の居住者インタビューや空き世帯の活用を模索した二世帯住宅シェアハウスプロジェクトhttps://www.kobayashi-lab.net/project/2010/nisetai.pdf (最終講義記念冊子プロジェクトNo17)や子育て共感賃貸住宅「BORIKI」の居住者調査(同No19)など、いくつかの共同研究をさせていただきました。

 学生時代より長きにわたってお世話になってきた先輩を失うことが残念でならないのと、近年登山にご夫婦ではまっておられたので百名山全山登頂達成者である私としては、一緒に登山する機会がなかったことが悔やまれるところです。

千葉大学名誉教授「小林秀樹先生を追悼する会」に約210名(2023/8/5

 

IMG_6684.jpg
神宮外苑イチョウ並木(左がロイヤルガーデンカフェ青山)

 「神宮外苑地区まちづくり」の事業者・三井不動産ら4者は8月7日、プロジェクトサイトに設けた質問受付ページに寄せられた質問に対する回答を掲載したと発表した。

 質問は7月17日から7月26日までに受け付けた174件で、質問部分を抜粋し、質問ごとにまとめ全て回答したという。多かった質問は「スポーツ施設における建替えの必然性」「風・日照・騒音など周辺環境への影響」「各施設の施設計画」「高層ビルを建てる目的」「樹木本数やみどりの割合の算定方法」など。

 今後も、「質問受付ページや住民説明会で頂いた意見をしっかりと受け止め、より良い計画となるよう検討を進めていく」としている。

◇        ◆     ◇

 全てではないが、主だった質問と回答を読んだ。再開発は都の公園街づくり制度を適用して行うものだが、適用要件である「未供用区域面積が2.0ha以上」にどうして秩父宮ラグビー場が該当するのか、その理由が分かった。この点について、日本イコモスは疑義を呈しているが、制度の手続き上の瑕疵はないのではないか。その根拠は以下の通り。

 東京都は令和3年7月、公園街づくり制度を適用する旨を事業者に通知した。平成25年12月に東京都が創設した同制度は、センター・コア・エリア(首都高速道路中央環状線内側の地域)内にある長期未供用区域を含む都市計画公園・緑地エリアを対象に、民間の力により街づくりと公園緑地の整備を両立させるのが狙いだ。

 適用要件としては、都市計画決定からおおむね50年以上経過し、未供用区域面積が2.0ha以上ある区域で、「再開発等促進区を定める地区計画」を定め、都市計画公園を削除する面積の60%以上、かつ1.0ha以上を緑地として確保することを求めている。 

 どうして現在も様々な大会が行われている、ラグビーの聖地と言われる秩父宮ラグビー場が「未供用」なのか不思議だが、都によると、明治神宮外苑が完成した大正15年10月当時ラグビー場はなく(完成は昭和22年)、昭和32年に都市計画明治公園として指定されたときの記録は辿れないが、記録が残っている昭和50年当時は「未供用」扱いにされており、昨年4月に削除されるまで「未供用」のままだったという。再開発計画を同制度に適合させるために「未供用」としたものではないと話した。

 つまり、実態として広く一般に開放されていても「開園の告示」がされなかった秩父宮ラグビー場が再開発を可能にした施設であるともいえる。この点について、ラグビー場の所有者で事業者でもある日本スポーツ振興センターに問い合わせたら、「『未供用』の告示を行ったのは東京都だから、この問題については答えられない。『広く一般に開放していた』かという点については、敷地内は公開空地ではない。管理上、日常的に不特定多数の方に開放しているわけではない。開催日に敷地内の立ち入りを可能にしている」(広報)との回答があった。

 都市計画公園とは都市計画決定された都市施設である公園・緑地のことで、「供用」とは、都市公園の開園が都市公園法に基づいて告示され、広く一般に開放されていることをいい、「未供用」は供用以外の状態をいう。 

IMG_6660.jpg
以下、軟式野球場(5月撮影)

◇        ◆     ◇

 今回のQ&Aには本質的な問題に触れる応答がある。

 質問には、「絵画館前の軟式野球場、バッティングセンター、フットサルコートがなくなりますが、何か代替策はお考えでしょうか」「秩父宮ラグビー場脇のテニスコート、軟式野球場、第2野球場などリーズナブルに都民が利用できる施設が減る設計ですが、その代替施設はあるのですか。公園は多くの人が利用できるようにするのが本来の目的だと思います」「建設予定の芝生地域で野球をしたり、テニスをしたりゴルフをしたりできるのですか」などがある。

 これに対して、事業者は「軟式野球場のある絵画館前エリアは、現状、野球をする人しか利用できない施設ですが、創建時の『開かれた外苑』という考え方を継承していくため、誰でも入ることができる広場の整備を計画しております。ゴルフ練習場、軟式球場、打撃練習場の3施設は事業を終了いたしますが、新ラグビー場、絵画館前の広場、中央広場、複合棟Bの低層部に計画している室内球技場を合わせた四つの新たな空間では、スポーツの種類を限定することなく、その時々に応じ、一般の方々の様々なご利用が可能になる計画です。…なお、神宮外苑の街づくりは、民間事業者が所有する土地において、多くの方が利用できる広場などを整備するものであり、国や自治体等が管理する公園を整備するものではありません」と答えている。

 回答は、「広場」「オープンスペース」などは事業者が所有・管理するものであることをはっきり示している。プロジェクトのホームページには、整備する区域内に「公園」設けるとは一言も触れていない。「絵画館前広場」「オープンスペース」「中央広場」などは「都市公園」ではないということだ。

IMG_6653.jpg
 

IMG_6644.jpg IMG_6657.jpg

IMG_6655.jpg

樹木を避けて整備 都の日比谷公園整備PJ/「生き物を殺していいの」 二の句継げず(2023/8/7)

歴史・文化の破壊に疑義を唱える声に耳を傾けるべき 神宮外苑再開発 地元説明会(2023/7/21)

威風堂々〝聖地〟神宮外苑野球場の巨木 事業者VS.イコモス 鳥や虫の視点で考えて(2023/5/23)

 

 

Screenshot 2023-08-07 at 13-28-54 Microsoft Word - ÕÙ躓 - リリース最終校0802.pdf.png
「多摩川住宅ニ棟団地マンション建替事業」

積水ハウス、小田急不動産、長谷工コーポレーションの3社は87日、参加組合員として事業参画している「多摩川住宅ニ棟団地マンション建替組合」の認可を狛江市から受けたと発表した。2024年度に工事着工し、全体竣工は2028年度に全体竣工する予定。

事業は、マンション建替え等の円滑化に関する法律に基づき、1968年竣工の築55年、522戸の住宅団地を1,217戸(分譲戸数未定)の大規模マンションに建て替えるもの。2007年に「多摩川住宅街づくり協議会」の発足以降2014年に「建替え推進決議」を、202212月には区分所有法に基づく「団地一括建替え決議」を可決した。事業コンサルタントはユーディ都市建築研究所。

計画では、約5ha敷地のうち約1haを公園や遊歩道とし、多摩川沿いの自然豊かな立地に調和する緑豊かなまちづくりに取り組む。東~西・南~北と貫通する歩行者空間に沿ってカフェラウンジやキッズルーム、テレワークスペースなどの多様な共用施設を配置する。長期優良周宅の認定を取得する予定。

多摩川住宅は敷地約334,000㎡、賃貸住宅1,826戸、分譲住宅2,048戸、計3,874 戸の大規模団地。団地内の建て替えとしては、昨年8月、今回の事業地に隣接する住友不動産と長谷工コーポレーションが事業参画している「多摩川住宅ホ号棟マンション建替事業」が着工され、「シティテラス多摩川」905(非分譲住戸245戸含む)として今年10月に第1期が分譲される予定。このほか、調布市内に位置する「イ」・「ロ」・「ハ」号棟が地区計画によりそれぞれ住宅再生地区に指定されているが、全体で約820戸の「イ」号棟は組合員以外には情報を公開しておらず、全体で約1,400戸の東京都供給公社の賃貸住宅「ロ」・「ハ」号棟は具体的な建て替え案は上がっていない。

長期優良、ZEHCASBEEレベル高いはず 住友不&長谷工「多摩川住宅」着工(2022/9/2

IMG_9749.jpg
第二花壇

 東京都が8月4日(金)~6日(日)開催した「バリアフリー日比谷公園プロジェクト」に関するオープンハウス会場を見学した。目的は、同プロジェクトで謳っている「整備工事は樹木を避けて実施する」ことが事実かどうかを確認するためだった。都の建設局公園緑地部職員は「このような文言を盛り込んだのは今回が初めて。緑に関する関心が高まっていることを考慮した」と話した。

 同プロジェクトは、令和3年(2021年)7月に策定した「都立日比谷公園再生整備計画」に基づく実施計画としてまとめたもので、「日比谷公園を年齢、性別、国籍、障害の有無などに関わらず、誰もが利用しやすく、楽しめる公園に進化させ、将来の都民へ引き継いでいく必要がある」とし、基本的な考えとして①歴史的文化的な価値を継承しつつ、誰もがより楽しめるWell-beingとなる公園に進化させる②公園の緑を守っていく③アクセシビリティを向上させ、より多くの方が公園を訪れることを目指す-としている。

 樹木の取り扱いについては、①樹木を避けて整備を実施する②移植が必要となる場合には樹木診断を行い、公園内で移植する-としている。

 オープンハウスは、同プロジェクトを都民に告知するとともに、アンケートなどで意見を聞くために実施したもの。3日間で約120名が訪れた模様。

 整備工事は、令和5年9月の「第二花壇周辺」を皮切りに、開園130周年を迎える令和15年(2033年)までに公園を9つのエリアにわけ段階的に行われる。

IMG_9725.jpg
オープンハウス会場

IMG_9740.jpg
第二花壇周辺で行われていたイベント

IMG_9741.jpg

◇        ◆     ◇

 以下は、添付した記事とあわせて読んでいただきたい。都が「樹木を避けて整備を実施する」と謳っているのに満足したのだが、会場の近くで整備計画に反対する人たちに話を聞いて、頭をどやされたような気がした。

 神宮外苑の再開発に反対するビラ配りの活動をしているという「ただひとりの母親としてこの国が心配」の女性に「神宮外苑の四列イチョウ並木を残す? これは本質から目をそらす罠。地下40mまで杭を打つんですよ。イチョウの根が傷つけられないわけがない。伊藤忠のビルは190mですよ。その隣は180m。日陰になっちゃう。神宮球場は古い? 同じくらい古い甲子園球場は改修工事でリニューアルに成功しました。ビル風の影響も受けます。軟式野球聖地もなくなっちゃう。日比谷公園の樹木の移植? 移植すれば樹木に負担がかかるんです。土中にはセミが生息しているんです。ミミズもいる。ものとしか見ていないからそんなことができるのです。生きものを殺していいんですか。そもそも移植にどれだけの費用がかかるか。知らないでしょ。樹種にもよるでしょうが、巨木となると1本1億円もすると専門家から聞きました。都民の税金で賄うんですよ」とやり込められた。

 この言葉に記者は二の句が継げなかった。仰る通りだ。自分で「鳥や虫の視点で考えて」と記事にしたばかりだ。数年から10年、土中にひっそりと暮らすセミを殺してもいいとは思わない。イチョウは劣悪な環境でも育つと思うが…。神宮球場はZOZOマリンの比でない風の影響を受けるかもしれない。

 さらに、別の方から追い打ちをかけられた。「神宮外苑も日比谷公園も主導しているのは三井不動産。あなた、魂まで売っていいんですか」と。

 記者は、基本的には是々非々で取材しているつもりだが、立場・見解が異なるとそのような見方もできるかもしれない。なさけない爺と映るのだろう。「樹木を伐採せず、避けて整備する」に膨らんだ胸は〝ハチの一刺し、二刺し〟でいっぺんに萎んだ。

 すごすごとその場を離れ、目的の一つだった松本楼でクラフトビールを飲み、ビーフカレーを食べ、第二花壇周辺を観察して歩いた。花壇周辺では屋台のイベントも行われており、また一杯。それにしてもキッチンカーのビールは高い。1杯700円とは。多摩センターは500円くらいだ。

IMG_9736.jpg
松本楼

IMG_9782.jpg
心字池

威風堂々〝聖地〟神宮外苑野球場の巨木 事業者VS.イコモス 鳥や虫の視点で考えて(2023/5/23)

日比谷公園の樹木1,000本伐採は本当か 「日比谷公園整備計画」勉強会に参加して(2023/5/22)

 

 

IMG_9701 (2).jpg
「小林秀樹先生を追悼する会」(建築会館ホールで)

 昨年(令和4年)10月11日、癌のため亡くなった千葉大学名誉教授・小林秀樹氏(享年68歳)の「小林秀樹先生を追悼する会」が8月5日、港区芝の建築会館ホールで行われた。会場に用意された約210席は満席となり、関係者らが最後のお別れを行った。

IMG_9715 (2).jpg

IMG_9699.jpg

◇        ◆     ◇

 記者は小林先生が亡くなったのを昨日(8月4日)知った。千葉大学のある先生を検索しようとしたとき、小林先生のことが頭によぎり、「小林秀樹」で検索したら、千葉大学工学部小林秀樹研究室のホームページトップに「小林秀樹先生を追悼する会」が表示された。

 〝万に一つ〟の奇跡が起きることを望んでいたが、そうはならなかった。神も仏もない。

 早速、実行委員会に連絡を取り、追悼の会への出席は許可されたが、遺族の方や関係者への取材は「不可」だった。やむを得ない。

 先生、わたしは、先生の若々しくて格好のよさに、先生とほぼ同学年の西城秀樹さんとダブらせ嫉妬しながらファンになり、陰ながら応援し、これから本領を発揮するのではないかと期待もしておりました。

 それがかなわなくなった。残念至極。さようなら、先生。先生の後継者が現れることに期待しようじゃありませんか。

献杯!

「実践派」の千葉大名誉教授・小林秀樹氏 マンション長寿化フォーラムで講演へ(2022/6/18)

課題山積のマンション・戸建て 再生・活性化の道示す 国交省 住宅団地の再生検討会(2019/4/1)

〝羽ばたけないかごの鳥〟国交省 団地再生検討会 エアコンなし 議論白熱30度超に(2018/6/8)

平成の田園調布になるか1区画200坪の街づくり つくば市の「春風台」(2015/5/26)

厚くて高い法の壁 合意形成の難問も立ちはだかる 国交省「団地再生あり方検討会」(2015/3/18)

国交省 住宅団地の再生検討会 「無反応者」を母数に含めない是非(2014/12/17)

「理想の間取りは普通の間取り」 小林秀樹・千葉大大学院教授(2014/1/22)

〝複合〟でつなぐ地域の暮らしと福祉「もう一つの住まい方推進協議会(AHLA)」フォーラム(2010/11/29)

 

Screenshot 2023-08-02 at 14-05-39 【公式】Brillia 南浦和|JR京浜東北線・武蔵野線「南浦和」駅徒歩2分|東京建物の新築分譲マンション.jpg
Brillia(ブリリア)南浦和」

東京建物が分譲中の「Brillia(ブリリア)南浦和」を見学した。駅西口ローターリーに面した期間72年の定期借地権付きの全59戸で、第128戸に22戸の申し込みが入るなど、好調なスタートを切った。

物件は、JR京浜東北線・武蔵野線南浦和駅西口から徒歩2分、さいたま市南区南本町1丁目の商業地域に位置する期間72年の定期借地権付き15階建て前年同月比70戸(一般分譲59戸、地権者住戸11戸)、他店舗1区画)。専有面積は58.6674.52㎡、価格は5,299万円~6,899万円。坪単価は310万円。地代は10,257円~13,030円(月額)。竣工予定は202411月中旬。設計・施工は長谷工コーポレーション。デザイン監修はParks Architects

現地は、従前は駐車場に利用されていたところで、丸広百貨店に隣接。敷地北側は道路を挟んで武蔵野線の高架。建物は南東向きで、1フロア5戸。2LDK1スパン、3LDK4スパンの構成。

主な基本性能はZEHM、二重サッシ、直床、リビング天井高2500ミリ、食洗機、浴室タオル掛け2本など。

4月にホームページを開設し、モデルルームオープンは6月から。これまで約900件のエントリーがあり、モデルルーム来場者は約200組。第128戸に22件の申し込みが入っている。大半は市内南区居住者で、この他は市内や川口、蕨市居住者など。都民は少ないという。

販売担当のゲストサロン副所長・川本大喜氏は、「高砂小学校も徒歩圏で、〝塾銀座〟と呼ばれるほど塾も多く、学区とモデルルーム(74㎡)の提案に高い評価を受けています。定借ではありますが、坪300万円台の前半で、始発駅でもる駅に近接、専有圧縮が進む中、70㎡以上を確保している特徴をきちんとお客さまに伝えていく」と話した。

        ◆     ◇

 南浦和駅圏のマンション見学は3年ぶりだが、坪単価は想定内だった。東北沿線居住者の都民の方は荒川越えで、定借の坪単価310万円は高いと感じるかもしれないが、今回の物件が竣工する2024年末の赤羽の再開発マンションは坪500万円を、浦和駅直ぐの再開発物件は坪400万円をはるかに超えるはずだ。相対的に値段が安かった総武線沿線の再開発マンションも軒並み坪400万円を突破することになりそうだ。

Screenshot 2023-08-02 at 14-49-47 南浦和_モデルルームガイド - modelroom.pdf.jpg
モデルルーム 

IMG_9690.JPG IMG_9694.JPG
現地

ポラス中央住宅 コンパクトマンション「南浦和」 順調な売れ行き(2020/10/16

 

MCY003652_1.jpg
「ステーションプラザ代田橋」

昭和レトロをテーマにしたコスモスイニシアの1戸リノベーションマンション「ステーションプラザ代田橋」を見学した。建物再生に取り組んでいるヤマムラとコラボしたもので、古民家の建具・家具が随所に採用されている。好きな人にとってはたまらないマンションだ。

住戸に採用されている広縁の5枚障子戸・洋室ドア・洗面室ドア、組子などは、古民家を残す活動をしている後藤大輝氏から譲り受けたもので、シューズクロゼットはタンスをリメイクしたもの。

物件は、京王線代田橋駅から徒歩1分(笹塚駅から徒歩13分)、世田谷区大原2丁目に位置する1991年竣工の7階建て全71戸の1室。専有面積50.87㎡、価格5,480万円(税込)。坪単価356万円。住戸は西向きで、直床・直天、リビング天井高2500ミリなど。バルコニー側に奥行き120cmの「広縁」を設けているのが特徴。

キッチンはスマートフォンと連動させることで火加減を自動的に調整するガスコンロを、食洗機は液体洗剤をタンクに入れておくと自動で必要な量の洗剤を投入する製品を採用。浴室は浴室乾燥・暖房機能付きで、タオル掛けは2本。

MCY003652_8.jpg
LDK(床はサイザル麻のカーペット)

MCY003652_16.jpg MCY003652_14.jpg
玄関(左)とトイレ

MCY003652_21.jpg
キッチンパネルに採用されている組子デザインは欄間に用いられていたもの

        ◆     ◇

 同社が720日に発表したプレス・リリースだけではよく分からないので、お願いし見学が実現した。

記者は、洋室のクロゼット引き戸に採用されている「簀戸(すど)」にほれ込んだ。昔の小説、書物によく登場する、すだれを障子の枠にはめ込んだ建具だ。すだれは天然の籐を編み込んでいるので、色や太さ、曲がり、間隔が微妙に異なり、開け閉めしたときの2枚の簀戸が描く文様は「紗」のようで美しい。

リビング床全面にはサイザル麻のカーペットが敷かれているのもいい。物件説明をしていただいた同社流通事業部商品企画部建築一課課長・高橋晴彦氏は「天然素材なので汚れるとしみになり、好まれない方もいる」と正直に話したが、素足で歩いたときの足裏の感触は、籐やバンブー(竹)とも異なる。少し荒い砂浜や河原を歩くときに近いか。

安いか高いかは購入検討者が考えることだが、小生のような年寄りのかつての「日常」が再現されている。この価値をどう考えるかだ。共用部分などは見学していないが、分譲竣工が1991年であることから推測して、分譲されたのはバブル期であるのは間違いなく、坪単価は500万円くらいしたはずだ。

駅からエントランスまでは50mくらいだったので、広告表示では「徒歩1分」となっているが、エントランスとは別の出入り口があり、1階のコンビニから駅までは約20m(80mを1分とすると15秒)。ほとんど駅直結というのも特徴だ。

IMG_9665.jpg
クローゼット引き戸

IMG_9674.jpg
「簀戸(すど)」

IMG_9681.jpg
カウンター下収納のデザイン

 

rbay_ayumi.gif

 

ログイン

アカウントでログイン

ユーザ名 *
パスワード *
自動ログイン