RBA OFFICIAL
 

地価はさらに上昇基調 いつの時代もマーケットを重視 東京建物・野村均社長

 今回発表された地価公示は、地域や用途により差があるものの、三大都市圏や地方圏でも上昇率が拡大傾向となるなど、地価は全国的に上昇基調を強めている。これは社会経済活動の正常化が一層進むなか、好調な分譲マンション市場に加え、ホテルや店舗需要の回復、オフィス需要の底堅さ、再開発による利便性向上エリアの増加が背景にあると考えられる。

 オフィスマーケットは、好調な企業業績などを背景に、オフィス回帰や業容拡大、人材確保を目的とした好立地・ハイグレードオフィスの需要は引き続き底堅く、空室率も低下傾向にある。新規大型ビルの稼働率も高く、特にサステナビリティやウェルビーイングなどに対応した高付加価値のオフィスビルは今後の需要も一層増大すると見ている。当社も八重洲・日本橋・京橋エリアや渋谷エリアで地権者の皆様と進めている再開発事業において、高い環境性能とワーカーのウェルビーイングなどに配慮した快適なオフィスビルづくりを進めている。

 ホテルや商業施設は、個人消費の回復やインバウンド需要の拡大などにより、国内の人流も増え、観光地や全国主要都市を中心に、ホテルの稼働率や飲食店舗の売上が増加するなど、この先も回復基調の継続が期待できると思われる。当社は今年、ヒルトンのフラッグシップ・ブランド「ヒルトン・ホテルズ&リゾーツ」として京都初進出となる「ヒルトン京都」をオープンする。同ホテルは京都市中京区の河原町三条に位置し、客室数330を超えるラグジュアリーホテルであり、今後、京都観光の拠点の一つとして重要な役割を担うと同時に京都経済の発展にも貢献するものと考えている。

 物流施設は、施設選別の目が厳しくなりつつあるなか、自動化、冷凍冷蔵、環境性能、ウェルビーイングなどの先進性・機能性・快適性を備え、「2024年問題」などの物流課題解決に資する付加価値の高い施設が一段と求められている。

 分譲マンションマーケットは、建築費高騰や土地代の上昇などにより価格は上昇したものの、低金利の継続やローン減税等の支援策を受け、共働き世帯の増加等もあいまって、市場は好調を維持している。特に、資産性を重視する富裕層やパワーカップル層を中心に、都心部や駅近物件の販売は好調が続いている。当社等が大阪で開発を推進し、今年竣工を迎える「Brillia Tower 箕面船場TOP OF THE HILL」「BrilliaTower 堂島」は、いずれも将来の資産性を重視した顧客層から高い評価を受け、販売は好調である。具体的には、「Brillia Tower 箕面船場TOP OF THE HILL」は、北大阪急行延伸部の新駅となる「箕面船場阪大前」駅にペデストリアンデッキで直結し、駅前整備進展による将来の利便性向上による資産性に、「BrilliaTower 堂島」は、日本初となるフォーシーズンズホテルと一体となった超高層複合タワーという希少性に高い評価をいただいている。

 先日発表された日銀の政策変更による金利上昇はそれほど大幅なものにはならないと見ており、当面不動産市場への影響は少ないと思われる。その他、地政学的リスクや為替変動の影響、国内外の物価動向や人手不足問題等、今後の景気への不安要素もあるが、アフターコロナとなった現在、社会経済活動がさらに活発化し、原材料上昇分の製品価格転嫁、賃金上昇などが進むと、商業地、住宅地、工業地を問わず利便性の高いエリアを中心に、地価はさらに上昇基調を強める可能性がある。

 地価動向には引き続き注視するととともに、当社はいつの時代もマーケットを重視し、お客様のニーズを的確に捉え、お客様が満足する商品の提供と人々が安全・安心・快適に過ごせるまちづくりを推進していく。

経済活動の回復の反映 産業競争力強化に貢献 三井不動産・植田俊社長

 今般発表された地価公示では、全国の全用途平均・住宅地・商業地のいずれも3 年連続で上昇し、上昇率が拡大しました。また、三大都市圏・地方圏においても、上昇が継続し、上昇基調を強めています。

 都市部においては、コロナ禍以降、インバウンドを含め人の流れが活発化し、経済が回復基調にあることが、今回の地価公示上昇に反映されていると考えています。オフィスにおいては出社回帰の動きがみられるほか、ホテルや商業施設における集客がコロナ禍前以上の水準で推移、さらに、住宅については堅調なマーケットに支えられて引き続き好調です。足元もこの動向は継続しており、今後のわが国の経済回復に一層寄与すると考えております。また、都市部以外においても、大手半導体メーカーの工場が進出する地域や、Eコマース事業伸長により、大型物流施設用地周辺での地価上昇も見られ、新たな需要創造により経済が活性化されていくということも、今回の地価公示で注目すべき点と考えています。

 先月には日経平均株価が過去最高値を更新し、日銀によるゼロ金利政策も解除されましたが、バブル崩壊後の「失われた30年」にピリオドを打ち、デフレから完全脱却ができるかどうか、2024年はその見極めをする勝負の年だと考えています。デフレのもとでは、付加価値創出のための努力が報われず、中々イノベーションを起こすのは困難でした。しかし、賃金上昇も伴った持続的・安定的なインフレに移行することで、投資の拡大、イノベーションや付加価値の創出、そして、その付加価値をお客様に正当に評価いただく、という好循環が生み出されます。この好循環のもと、日本経済が持続的に成長していくことを期待しています。

 当社グループは、これまでも、日本橋におけるライフサイエンスや宇宙領域での「場」と「コミュニティ」の提供などを通じて、集まる人々や企業のイノベーションや付加価値向上のお手伝いを行い、共に成長してきました。また、スポーツ・エンターテイメントの力を活用するなど、コロナ禍が明け再認識された「リアルの価値」を最大限に高めるミクストユースの「行きたくなる街づくり」も推進しております。

 今回の地価上昇については、我が国の経済活動の回復が反映された結果ととらえています。この経済活動の回復に伴い需要が創出され、日本の産業競争力強化、そして、国富増大に結び付いているとも言えます。当社グループとしましても、イノベーションや付加価値を創出することで、日本の産業競争力強化に貢献してまいります。

マイナス金利解除の影響は大きくない 野村不動産・松尾大作社長

 今回の地価公示は、全国平均で全用途平均・住宅地・商業地のいずれも、3年連続で上昇し、上昇率が拡大した。住宅地については3大都市圏・地方圏のいずれも3 年連続で上昇し、三大都市圏においては上昇率が拡大。地方圏では、地方四市が11 年連続で上昇した。商業地については大阪圏が2年連続で上昇、三大都市圏・地方圏いずれにおいても3年連続で上昇し、上昇率も拡大した。

 住宅市場に関しては、引き続き需要が堅調であることに加えて、マンション供給数が減っていることもあり、需要と供給のバランスが取れていることから売れ行き好調な状況が続いている。日銀が「マイナス金利政策」解除などの政策修正を発表したことを受けて、今後の金利上昇も予想されるが、当社のお客様の多くが変動金利の住宅ローンを利用されており、同ローンの過去の変遷を見る限りでは急激な上昇になるとは考えづらいことから、この影響は大きくないと考えている。但し、建築費高騰は今後も継続すると考えられることなどからも価格下落も想定しにくく、価格に見合った付加価値のある商品を企画していく必要がある。お客様のニーズが益々多様化する中、今後は「サステナビリティ」や「激甚化する災害」に対応した設備も一層求められてくる。

 オフィス市場に関しては、2025年に東京での新規供給が集中するものの、23 区全体のマーケット規模と過去からの供給量を鑑みると、需給バランスが急激に悪化することは考えづらい。当社主力ブランドのPMOを例に話すと、コロナ禍を経て出社や採用を増加している企業が増えてきており、PMO に加えて、サービス付き小規模オフィスのH1O、時間貸しシェアオフィスのH1Tの組み合わせにより、コロナ後の働き方の多様化にも対応出来ていることから、リーシングも順調に推移している。

 2025年にいよいよ竣工予定の「芝浦プロジェクト」S棟では、ワーカーの皆様が多様で新しい働き方を実現できるように、「TOKYO WORKation」をテーマに、都心で空・海・緑を圧倒的に感じられる立地特性を活かした新しい働き方を実現する。ビルの高層階1フロアの約1,500坪全てを「テナント様専用の共用施設」として用意するなど様々な工夫を予定している。

 ホテル市場に関しては、単月ではコロナ前の2019年を上回る訪日外国人数の月も出てきており、ホテル稼働率やADR も高い水準で推移している。商業施設についてはコロナ後の人流回復を受けて店舗需要が回復し、売上高が伸長している。

 物流市場に関しては、4月からの労働規制強化により、長距離ドライバーが不足する2024年問題を眼前に控えている。一方でEC拡大により、業務荷物量は増加傾向にあり、引き続き、物流オペレーションの自動化導入など、物流・荷主企業の抱える課題への解決策を今後も提供していく。

 当社グループでは、「将来自分たちが、どのような価値を社会やお客様に提供している企業グループになりたいのか」の目指す姿を明確にするため、2030年をターゲットとするグループビジョンとして「まだ見ぬ、Life&Time Developerへ」を掲げている。不動産開発や関連サービスの提供を通じて、お客様一人ひとりの様々な生活「Life」や、お客様一人ひとりの過ごす時間「Time」に寄り添うことを大切にしてきた。様々な社会課題に直面し、お客様の生活スタイル・価値観も多様化する中で、当社も変化していく必要がある。自らも変革していくことで、新たな価値を創造し、お客様に多様な付加価値を提供できる不動産関連商品・サービスをこれからも提供していく。

 地価公示は、不動産の取引動向や中期的な展望を反映したものであり、様々なマクロ指標と合わせて今後も重要指標のひとつとして注視していく。

不動産業界全体の好機 本質的な価値提供 三菱地所・中島篤社長

 令和6年地価公示は、全国平均で全用途平均・住宅地・商業地のいずれも3年連続上昇し、上昇率が拡大した。利便性や生活環境に優れた地点の上昇傾向が継続していることや、インバウンド需要を背景とした上昇が目立つ地価動向であったと認識している。

 足元では、日経平均株価の上昇、企業による力強い賃上げ、マイナス金利政策の解除など日本経済が大きく転換しようとしている。この動きを不動産業界全体の好機と捉え、本質的な価値提供を続けていきたい。

 分譲住宅は、都心の高額物件の需要が引き続き旺盛であり、都内では「ザ・パークハウス千代田六番町」の販売が好調に推移している。大阪では、梅田駅前の再開発事業「グラングリーン大阪」至近に計画中の「ザ・パークハウス 大阪梅田タワー」の反響が大きい。賃貸住宅では、フレキシブルな働き方が社会に根付いたことに伴い、居住者が24時間使用出来るコワーキングスペースを併設した「The Parkhabio SOHO」シリーズの引き合いが強い。

 順調なインバウンドの回復を背景に、ホテルやアウトレットも好調に推移している。ホテルでは、インバウンド比率がコロナ前を上回る水準になっており、市況を牽引している。今年2月に開業した「ザ ロイヤルパークホテル アイコニック 名古屋」や、今年5月に開業予定の「ザ ロイヤルパークホテル 銀座6丁目」などでもこの旺盛な需要を取り込んでいきたい。アウトレットにおいても、インバウンド比率が高まっており、「御殿場プレミアム・アウトレット」などが好調。昨年12月は御殿場を含む複数施設にて過去最高の月商を記録した。

 オフィスは、経済活動の正常化が一段と進んだことで、出社率が上昇傾向にあり、丸の内エリアへの集約移転や業容拡大による増床の動きが活発化している。同エリアの空室率は昨年12月時点で2.88%と低水準を維持しており需要は底堅い。今期は東京駅前の「TorchTower」の他、渋谷や赤坂でも新たに大型複合ビルを着工した。オフィス、商業、ホテル、エンタメなど多様な機能をハード・ソフト両面から整備し、人・企業を呼び込み、巻き込みながら、新しい価値を生み出し続けるまちづくりを実現したい。

 

Screenshot 2024-03-26 at 22-29-35 三井ホーム ニュースリリース - 240326.pdf.jpg
「キャンパスヴィレッジ生田」

東急不動産、三井ホーム、学生情報センターは326日、2RC造と4層木造の混構造の学生レジデンス「キャンパスヴィレッジ生田」が竣工したのに伴うメディア向け見学会を行った。家具家電付きで、「ZEH-M Oriented」を取得しているのが特徴。専用部の内観はほとんど同じだが、RC造と木造とで住み心地は変わるのか変わらないのか注目される。

物件は、小田急線生田駅から徒歩9分、川崎市多摩区三田四丁目に位置する敷地面積約1,5511㎡、6階建て(1~2階:RC造、3~6階:木造枠組壁工法)延べ床面積約3,197130室。専用面積は15.8716.71㎡、月額賃料は56,50070,000円。14階は男性、女性の区別はなく、5階以上は女性専用フロア。食費(任意)は25,300円。建築主は東急不動産、設計・施工は三井ホーム、管理運営は学生情報センター。工期は202212月着工~2024年3月竣工。

内外観に木を多用しているのが特徴で、エントランスや共用スペースの壁面に天然木をランダムに張り付けたデザインを施し、キッチンと一体となったダイニングテーブル、ソファ、ベンチなども木調で統一。居室番号板、EVCVCAFEサインには東急リゾートタウン蓼科で伐採されたカラマツを活用。共用部置き家具(アクタス)も使用後は廃棄物にしない仕組みを導入している。

エリア内に存在する明治大学、専修大学などの学生の入居を想定しており、2年後の満室を目指す。

東急不動産の学生レジデンス「CAMPUS VILLAGE(キャンパスヴィレッジ)」としては23棟目で、木造を採用するのは今回が初めて。脱炭素社会の実現に向けた取り組みの一つで、同社は着工ベースで2025年度以降に開発する学生レジデンス「CAMPUS VILLAGE(キャンパスヴィレッジ)」シリーズはすべてZEH水準にするとしている。

施工を担当した三井ホームとしては、木造マンション「MOCXION」の 6階建ては同社初で、スギの木1,526本分(炭素貯蔵量 771t-CO)に相当する炭素を固定化し、「ZEH-M Oriented」を取得。天然木や木調のデザインを豊富に採用しており、木のぬくもりを感じられる空間設計としている。

IMG_5853.jpg IMG_5865.jpg

RC(左)と木造

IMG_5860.jpg
部屋番号サイン

IMG_5876.jpg
1階共用部分

        ◆     ◇

 賃料が1階と最上階では1万円近く差があるのは理解できるのだが、どうして56階が女性専用なのかはよく分からない(親の気持ちはよく分かる)。

 そんなことより、記者が注目したいのはRCと木造の部屋とでは住み心地が同じなのか異なるかだ。混構造だからよりはっきり分かるはずだ。三井ホーム担当者は「可能であれば入居者アンケートを実施し、結果を公表したい」と語ったが、実現するかどうか。メディアを含めて関係者はコストの話をするが、環境負荷、住み心地の価値を金額に換算したら木造がいいに決まっているが…。

 今回の物件でも明らかに異なるのは居室内の柱・梁型だ。間取り図でもそれは確認できる。ところが、専用面積を調べたら逆だった。面積は壁芯で計算するのでRCも木造も同じはずだが、例えばRC12階は16.03㎡なのに対して36階は15.87㎡だった。その差0.16㎡。どうして木造のほうが狭いのか聞いたら、メーターボックスは木造のほうが0.09㎡だけ広いことなどによるとのことだった(メーターボックスは専用面積に入らないはずだが…些細なことなのでそれ以上聞かなかった)。 

IMG_5850.jpg
左から松澤氏、井野氏、齋藤氏(東宝日比谷プロムナードビル6階 セミナールーム「FRONTIER HALL」で)

 サンフロンティア不動産は3月25日、各界の有識者と環境保護・地域創生・人財育成をともに考えるライブ型セミナー「FRONTIER JOURNEY Live!」第1回目を開催。ゲストに1696年(元禄9年)から300年以上にわたって不動産業を営む銀座丸八代表取締役・松澤芳邦氏と、スイス発のラグジュアリーブランド「Akris(アクリス)」日本代表・井野智恵子氏を招き、同社代表取締役社長・齋藤清一氏の3者による「東京を世界一愛されるグローバル都市へ! 『銀座』流の街づくり」をテーマにトークセッションを行った。セミナーは年に4回程度開催する予定。

 松澤氏は冒頭、銀座の江戸-明治-大正―昭和の時代を紹介。関東大震災、第二次世界大戦によって壊滅的な被害を受けながらその都度再生し、建築物の絶対高さ56m規制を中心とする「銀座ルール」によって〝地価日本一〟を維持し続けていることなどを紹介した。

 トークセッションでは、ほとんどの敷地が1,500坪以下という銀座の弱点を逆手にとった街づくり、駐車場付置義務の緩和、古いものと新しいものの調和、〝ルールのないのがルール〟などの独自の街づくりなどが語られた。

◇        ◆     ◇

 昨日(3月24日)は、再開発の名のもとにいとも簡単に地区計画が変更され、風致地区が緩和されることに反対する千代田区や新宿区住民のセミナーを取材した。民主主義は死滅し、住民間のコミュニティはずたずたに切り裂かれ、疑心暗鬼が跳梁跋扈する現実社会を見た。

 そしてこの日(3月25日)は、何でもありの商業地域しかない中央区銀座の建築物の絶対高さが地区計画によって56mに規制されていることを初めて知った。1998年に決定したという。エリア最大の商業施設「GINZA SIX」の計画段階では特例として高さ200mに緩和する案も浮上したが、地元の反対で従来通りの56m抑えられ、特例は認めない方針が再確認された。エリア内に50棟のビルを所有するヒューリックも異を唱えなかったという。

 56mと言えば、オフィスビルなら12~14階建てしか建てられない。敷地は広くても1,500坪しかなく、細分化されていることが大規模ビルなどの進出を阻んでいる。

 地区計画の見直しは20年ごとに行われるのが慣行となっているが、松澤氏によるとその可能性があるのは50年後くらいという。

 デザイン協議会がまたユニークだ。新築の場合は、奇抜なデザインはまず確認申請が下りないそうで、既存のビルなどはその都度協議して決定するという。つまり、ルールがないのがルールなのだそうだ。ルールを定めないほうが柔軟な対応ができるという強かな計算だ(どこかで聞いたような気がした。前ソニー社長、会長の平井一夫氏の基本姿勢だ)。

 東京駅では高さ日本一の385mの「トーチタワー」、日本橋では高さ283mの「日本橋一丁目中地区」が進行しているというのに、銀座の地権者は自らの手足を縛り、歴史と文化を守ろうとしている。

 他に例をみない「銀座ルール」に、齋藤社長は「みんなで決めたルールは尊重しないといけない。持続可能性な街とは人が幸せになること。地域密着が基本」などと語った。

◇        ◆     ◇

 令和5年の商業地の地価公示価格日本一は、17年連続の東京都中央区銀座4-5-6(山野楽器銀座本店)の5,380万円/㎡(1億7,754万円/坪)だ。容積率は800%なので1種当たり単価は2,219万円。

 もうすぐ発表される令和6年のこの地点はいくらになるのか。銀座の実勢地価が坪1億円を突破したのは確か昭和61年だった。すっぱ抜いたのを思い出す。

 

IMG_5770.jpg IMG_5822.jpg
石川氏(左)と大城氏

東京1区市民連合は324日、第8回憲法フォーラムを開催し、石川幹子・中央大学研究開発機構教授が「都市の再開発と身近な緑Quality of Life(生活の質)」と題する、大城聡・弁護士が「千代田区・外神田の再開発を考える3つの視点」と題する講演をそれぞれ行った。リアル81人、オンライン36人の合計117人が参加した。

石川氏は、「詰め込み」と断ったうえで、神宮外苑再開発について「わたしたちプロもよく分からない『公園まちづくり制度』『再開発等促進区』『市街地再開発事業』によって巨額の利益を生み出す構図ができあがった」とし、「この問題は神宮内苑と一緒にして考えないといけない」と強調した。また、「神宮外苑地区第一種市街地再開発事業」に対する314日付の日弁連会長声明について、「適切な指摘に感動した」と称賛。さらに、神宮内外苑や新宿御苑エリアは世界遺産となる可能性を有しているとし、市民が申請に手を挙げることに期待を寄せた。

大城氏は、外神田一丁目南部地区第一種市街地再開発事業(約7.800㎡)は、エリアの3分の1を区、都、国が所有しており、行政主導によるまちづくりは市民の声が反映されていないと批判。「話し合いが不十分なのは、持続可能な街づくりのチャンスでもある。若い世代が参加できるプラットフォームを構築し、世界のアキバとして誇れるようなモデルにすべき」と語った。

市民連合は、憲法違反の安保法制の廃止と立憲主義の回復を求め、「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」「安全保障関連法に反対する学者の会」「安保関連法に反対するママの会」「立憲デモクラシーの会」「SEALDs」の5つの団体の有志の呼びかけによって201512月に発足。東京1区市民連合は、東京1区で立憲野党と市民連合の希望を託す統一候補として海江田万里氏を候補に決めている。

IMG_5721.jpg
フォーラム会場(千代田区・エデュカス東京)

        ◆     ◇

記者は、この種の政治的な団体・会合は好きではない。敬愛する百瀬恵夫・明治大学名誉教授は「政治家は大馬鹿野郎か詐欺師のどちらか」と語った。記者は馬鹿を自認するが、「大」が付くほどではないし、多少の嘘はつくが詐欺事件に発展するような悪事を働いたことはない。大馬鹿野郎か詐欺師を応援する気にはなれないので、もう何十年も選挙に行ったことはない。選挙権を放棄しているので、政治について語る資格もない。何年か前、投票ハガキを持って投票会場に行き、「投票しません」と言ったら投票用紙は没収された。これは投票者にカウントされないのか、無効票なのか聞くべきだった。

しかし、政治には関与したくないが、住民自治はとても大事なことだし、フォーラムには石川氏と大城氏が講演するというので、参加費500円を払ってリアルで参加した。会場となった千代田区・エデュカス東京は、記者のような高齢者を中心に立ち見もでるほどの大盛況で、事務局からは会場参加81人、オンライン参加36人と報告された。過去最多クラスのようだ。

ここでは石川氏と大城氏の講演内容について詳しくは触れないが、石川氏が資料として配布したコピー「危機に瀕する外苑いちょう並木」(岩波書店「世界」20243月号)はとても参考になる。神宮外苑だけでなく、神宮内苑の400年昔の史料を渉猟し、自らのフィールドワークによる科学的データを提示する。ぐうの音も出ない。反証できる人は一人もいないのではないか。

惜しむらくはページ数が少ないことだ。石川氏も「詰め込み」と話したように、ページ数は10ページ、図版などを含めても400字原稿用紙にして25枚くらいではないか。素人に読ませるにはこの数倍は必要だし、〝持って歩く〟のがわれわれ世代のステータスだった「世界」はどれほどの若者に読まれているのか。どこの出版社・メディアでもいい、「悠久のときを共有できるこころ豊かな日々の暮らし」を願う石川先生の思いのたけを書籍化すべきだ。

もう一つの秋葉原の再開発は、手続き的な瑕疵はないはずで、大城氏もそのように話した。驚いたのは、大城氏が区の都市計画審議会関係者の利益相反に言及したことだ。「混迷する行政を象徴している。行政マンの矜持が問われる。行政システムは機能していない」と語った。区では今年1月、元区議会議員と元職員が官製談合防止法違反の容疑で逮捕された。

神宮外苑再開発 全エリア全樹木データ 保存・移植・伐採と移植難易度の関係は不明(2024/1/19

最多はカイヅカイブキ 外来種のヒマラヤシダー、フウなど目立つ神宮外苑の既存樹木(2024/1/9

氷の微笑、根回し、考え方更新、都市公園とは…神宮外苑を考えるシンポ千葉商大(2023/12/19

うろつくだけで工事妨害!? 暗黒社会へ突入 千代田区 イチョウ守る会を犯罪扱い(2023/12/1

異常事態に発展 二番町と外神田再開発、街路樹伐採 反対する区民ら共同声明(2023/3/14

 経済産業省と東京証券取引所が共同で選定、公表している「健康経営銘柄」「なでしこ銘柄」「Nextなでしこ 共働き・共育て支援企業」「健康経営優良法人(ホワイト500)」に選ばれた主な住宅・不動産会社は次の通り。

 「健康経営銘柄」は、長期的な視点から企業価値の向上を重視する投資家にとって魅力ある企業として紹介することを通じ、企業による「健康経営」の取組を促進することを目指すもの。第10回目の今回は27業種から53社を選定した。

 「なでしこ銘柄」は、女性活躍推進に優れた上場企業を選定し、「中長期の企業価値向上」を重視する投資家に魅力ある銘柄として紹介するもので、今回は27社を選定した。

 「健康経営優良法人(ホワイト500)」は、優良な健康経営に取り組む法人を「見える化」することで、従業員や求職者、関係企業や金融機関などから「従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる企業」として社会的に評価を受けることができる環境を整備するもので、大規模法人部門の上位層には「ホワイト500」を冠する。

「健康経営銘柄2024」

野村不動産ホールディングス 初選定。同社はグループ5社(同社、野村不動産​ソリューションズ、野村不動産​、野村不動産投資顧問、野村不動産ライフ&スポーツが初めて「ホワイト」に選出されたと発表。

令和5年度「なでしこ銘柄」

LIXIL 2年連続、8回目の選定。同社取締役 代表執行役社長兼CEO・瀬戸欣哉氏は「この度、通算で8回目のなでしこ銘柄に選ばれたことを大変うれしく思います。世界がかつてないほどのスピードで変化する中、当社は環境や社会の課題と真摯に向き合い、それに対応する革新的な製品やサービスを通じて、LIXILのPurpose(存在意義)である『世界中の誰もが願う、豊かで快適な住まいの実現』を追及しています」とコメント。

三井不動産 3年連続の選定。同社は「ダイバーシティの一層の推進および女性の活躍推進は、グループ長期経営方針『VISION 2025』に掲げている取り組みを支えるインフラであり、当社の変わらぬ基本ストラテジーである『顧客志向の経営』を推進し、多様な顧客に満足いただく商品やサービスを提供するための経営戦略として位置付けています」と発表。

「健康経営優良法人2024(ホワイト500)」

東京建物 4年連続7回目の認定。同社は「2023年度は、適正飲酒を啓発するセミナーや運動習慣促進を目的としたプログラムのほか、対面歯科検診や約1,700名が参加した過去最大規模のウォークラリーイベントを実施し、役職員が健康に働き続けられる環境づくりを推進してまいりました。今後も「東京建物グループ健康経営宣言」のもと、グループを挙げて健康経営を推進し、役職員のウェルビーイング向上に努めてまいります」と発表。

平和不動産  同社は「中期経営計画において、有給休暇取得率:70%以上、がん検診(2年毎)実施率:35歳以上100%、健康診断実施率:毎年100%をKPIとして公表。がん検診費用の全額会社負担、インフルエンザ予防接種費用の全額会社負担。役職員および家族も視聴できる健康や運動、食事に関するWEBセミナーを開催している」と発表。

大東建託 4回目選定。同社は「本年は、大規模法人部門で2,988法人、中小規模法人部門2で16,733法人が認定されるなか、大規模法人部門の上位500法人が認定を受けることができる『ホワイト500』に大東建託を含むグループ5社が選出されました」と発表。

大東建託パートナーズ 初選出

大東建託リーシング 5回目・4年連続選出

日鉄興和不動産 5 回目の認定。同社は「2023 年は社員の『健康意識の向上』『風土醸成』を目的とした【健康増進月間】を年2回に分けて設定し、社員の自律的な健康づくりのサポートを実施した他、グループ企業と一体となったウォーキングイベントも展開し、従業員同士のコミュニケーション活性化にも取り組んできた」と発表。

長谷工コーポレーション 今回で6回目選定。社内診療所「HASEKO CLINIC」が実施する定期健康診断の他に、PET-CT検査(対象:一定年齢以上の社員)の検査費を全額会社負担しており、病気の早期発見による重症化予防対策に取り組んでおり、特定保健指導「長谷工ヘルスチャレンジ」や30代を対象とした健康教育、禁煙施策を実施していると発表した。

森ビル 3年連続認定、業種(不動産業)トップのスコア獲得。「社員一人ひとりが健康で意欲的に仕事に取り組み、ヒルズの先進的な働き方のモデルとなること」を目標に掲げた「戦略マップ」の開示、社員参加型企画「森ビルウェルネスプログラム」の実施、運動器具等の設置、社員およびグループ会社、取引先の社員を対象とした介護セミナーの実施などが評価されたとしている。

野村不動産ホールディングス 

ミサワホーム 認定は6年連続。同社は、社員の健康増進の一環として2018年から毎年開催しているウォーキングイベントでは、対象企業を昨年から拡大し4,600名以上が参加。新たな取り組みとして、ウォーキングイベントへのポイントを加算し卒煙を促す施策や、女性社員向けの健康セミナーなども実施したと発表した。

三井不動産レジデンシャルリース 初認定。同社は、「多様な人材(=社員)が持てる力を最大限発揮するためには、社員一人ひとりが心身ともに健康であることが欠かせない重要事項と捉え、社員が生き生きと働ける職場環境を目指して、健康維持・増進に取り組んでまいりました」と発表した。

パーク24 初認定。同社は、従業員一人ひとりの経験値やノウハウを高め、その能力を存分に発揮できる環境構築の一環として、従業員とその家族に対し、健康を保持増進できる環境づくりを重要視していると発表した。

東急リバブル、イーウェル 東急不動産ホールディングスは、同社とグループ企業6社(東急不動産、東急コミュニティー、東急リバブル、東急住宅リース、東急スポーツオアシス、イーウェル)が「健康経営優良法人2024」に認定され、東急不動産、東急スポーツオアシスの3社は2017年度の認定制度開始より8年連続で認定され、東急リバブルとイーウェルは「ホワイト500」に認定されたと発表した。

design_img_new_1.jpg
「プロミライズ青葉台」

 横浜市住宅供給公社とURリンケージが参加組合員として事業参画・分譲している築50年の「桜台団地」建て替えマンション「プロミライズ青葉台」を見学した。ランドスケープデザイン、基本性能、価格設定が素晴らしい。これまで見学した建て替えマンションでは最高レベルだと思う。販売総戸数556 戸のうち半数を超える343戸が成約済みというのも納得できる。第3期販売は今夏を予定している。

 物件は、東急田園都市線青葉台駅から徒歩10~14分、横浜市青葉区桜台の第1種中高層住居専用地域、第2種中高層住居専用地域に位置する総開発面積約44,635㎡、5~6階建て6棟全761戸(地権者住戸205戸含む)。竣工予定は2025年9月〜2026年5月。設計・監理は松田平田設計。施工は五洋建設。管理は横浜市住宅供給公社。販売代理は長谷工アーベスト、東急リバブル。

 現地は、1967年竣工の「桜台団地」(4階建て全18棟456戸)の建て替え事業で、両社は参加組合員として事業参画。市内の建て替えマンションとしては最大級。昨年4月下旬に物件ホームページを開設し、同7月下旬にモデルルームをオープン後、9月下旬から第1期横浜市民優先枠の登録を開始。これまで2月末現在、問い合わせは4,000件超、モデルルーム来場数は延べ1,180件超。

 供給戸数は385戸(横浜市民優先枠93戸含む)で、2月末で343戸を成約。専有面積は31.50~91.76㎡、販売価格は3,298万~9,298万円。坪単価は290万円。契約者は地元青葉区を中心に横浜市内在住の30代プレファミリー、ファミリー層や東急田園都市線沿居住者、60歳以上のシニアなど。幅広い層から支持されている。都内居住者も2割弱。

 評価ポイントは、①東急田園都市線急行停車駅青葉台駅という都心へのアクセスの良さ②大規模敷地を活用した“自然との一体感”と“充実した共用施設”③将来を見据えたユニバーサルデザインや利便性を叶えた設計や設備④横浜市住宅供給公社とUR リンケージが手掛ける建替え事業という“安心感”-など。

top_mv_1.jpg

design_img_new_3.jpg

◇        ◆     ◇

 上段は、物件ホームページと3月8日に公表されたリリースをほぼそのままコピペしたものだ。記者は、単にコピペするだけでは〝か・ち・も・な・い〟と判断し取材を申し込んで実現した。これまで見学した横浜市公社のマンションの質が保たれているのかどうかを確認するのがその目的だ。

 最初に約9分のシアターをみたのだが、記者はシアターを聞き流すことにしている。販促に結びつきそうもない、こけおどしの技巧を凝らしてどうするのだと辟易している(例外は野村不動産他「Tomihisa Cross」だ。「第九」が流れたのには感動したし、商品企画も素晴らしかった)。

 今回はどうかというと、だしぬけに在原業平の「世の中にたえて桜のなかりせば春の心はのどけからまし」の歌が流れた。なかなかの導入だ。テーマは「愛」だった。地域への、建物への、自然への、人々への「愛」を分かりやすく説明されていた。この時点で、どうして人気になっているのかを理解した。質は落ちていないと。「人生は愛」-これが小生のモットーだ。

 ここで「愛」の一つひとつを紹介しないが、比高差20mの高低差を生かしたランドスケープデザインが素晴らしい。敷地の東西軸ほぼ中央に幅24.5m(一部は公道)の「センターウォーク」「シーズンズウォーク」「セントラルガーデン」や共用施設などを配置し、隣接する桜台公園とマンション入り口のバス停を結んでいる。敷地が広いから可能になったのだろうが、設計した松田平田設計はさすがというべきか(同社は東建の諏訪団地の建て替え「Brillia 多摩ニュータウン」も担当している)。

 基本性能・設備仕様では平均72㎡、二重床・二重天井、ディスポーザー、食洗機、Low-Eガラス(廊下側のみ)、浴室タオル掛け2か所、スロップシンク、奥行き2mバルコニーなど。

 これは、他の優れたマンションと変わりはないのだが、嬉しいのは単価設定だ。記者は見学する前、坪単価は300万円を超えても不思議ではないと思いつつ、ひょっとしたら300万円を切るかもしれないと考えていたのだが、290万円と聞いて公社、URの〝良心〟を見た。(敷地に隣接している、駅に近い野村不動産「プラウド青葉台」は坪単価320万円で早期完売したようだが、これはこれで納得)。

 全国の住宅供給公社について。ネットで調べたら全国住宅供給公社等連合会の会員は公社が37団体(他に4法人)とあった。この中で分譲事業を継続して行っているのは横浜公社のみではないか。今後の事業展開について、案内していただいた同公社街づくり事業部街づくり事業課事業推進担当係長・石井浩基氏と同課主事・都出祐司氏に聞いたら「未定」とのことだった。ただ「他の公社と異なり、当公社は賃貸は約700戸しかなく、今後も建て替えを中心に分譲事業を継続して行っていく」とのことだった。

 横浜の建て替えマンションでは、新日鉄都市開発・三菱地所「横濱紅葉坂レジデンス」がいい物件だった。設計は日建ハウジングシステム。

IMG_5700.jpg
現地

IMG_5709.jpg IMG_5703.jpg
桜台公園

今度は横浜のど真ん中人気必至の横浜公社「横浜MIDベースタワー」(2016/1/28)

横浜市住宅供給公社定借戸建て「十日市場」全11戸即日完売へ(2011/2/2)

「横浜ポートサイド」の再現なるか横浜市住宅供給公社「マークワンタワー長津田」(2011/7/22)

横浜市住宅公社&伊藤忠都市開発「アイマークス横浜桜木町」(2009/2/9)

横浜公社が全国初の億ション その英断に拍手喝采(2007/11/2)

東京建物「Brillia 多摩ニュータウン」1期から3期2次まで617戸が即日完売(2012/10/22)

花咲団地建替えマンション 人気必至 新日鉄都市・三菱地所「横濱紅葉坂レジデンス」(2010/5/24)

 


 

 

mv.jpg
「ジオ板橋大山」 

 阪急阪神不動産が分譲中のマンション「ジオ板橋大山」を見学した。ハッピーロード大山商店街から一歩入った、お茶の水女子大学国際学生宿舎跡地の事業期間(居住期間)70年の定期借地権付き分譲マンション(総戸数285戸)。昨年12月から販売を開始しており、年明けからも勢いは変わらず成約数は100戸を突破している。

 物件は、東武東上線大山駅から徒歩6分、板橋区仲町の第1種住居地域(許容建ぺい率60%、許容容積率254.52%)に位置する敷地面積8,000㎡超、10階建て総戸数285戸。専有面積は55.85~88.65㎡。3月10日現在の先着順で分譲中の住戸(9戸)の専有面積は68.42~72.16㎡、価格は6,190万~7,430万円(最多価格帯6,300万円台)。平均価格は6,900万円台。借地期間は2098年7月31日まで(建物解体期間を含む)。月額地代は13,350円~14,080円、月額解体準備金は11,640円~12,270円。竣工予定は2025年2月。設計・施工・監理は長谷工コーポレーション。販売代理は伊藤忠ハウジング。

 昨年6月からのエントリー数は約1,700件、9月からオープンしたモデルルーム来場者は約500件、12月から第1期(1・2次)を供給。追加供給も含めて約100戸を成約済み。

 現地は、お茶の水女子大学国際学生宿舎跡地で、事業期間(居住期間)は70年。敷地南側と西側に接道。隣地との間隔は東側が約14m、西側が約16m。建物はコの字型で、標準階の住戸プランは南向きが8戸、東向きが13戸、西向きが12戸。

 主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、リビング天井高2450ミリ、ディスポーザー、食洗機、御影石キッチン天板、Low-E複層ガラス、廊下960ミリ(一部除く)、防犯ガラス(一部)、浴室タオル掛け2か所など。共用施設はブックラウンジ、ワークラウンジ、パーティラウンジ、ゲストルームなど。他に棟内児童福祉施設の開設が予定されている。

 販売担当の同社住宅事業本部首都圏マンション事業部販売グループ・生方遼氏は、「フラッグシップの位置づけ。販売は順調で想定内。御影石キッチン天板は当物件の標準仕様。販売は伊藤忠ハウジング様に委託していますが、今後供給予定の物件については自社での販売体制を強化していきたい」と語った。

sec03_img_green.jpg
緑道

sec04_img_hall_pc.jpg
エントランスホール 

◇        ◆     ◇

 同社単独のマンション見学は2017年の隈研吾氏がデザイン監修した「ジオグランデ元麻布」(19戸)、2018年分譲の「ジオ元赤坂」(22戸)以来久々だった。

 坪単価はこれくらいだろうと予想していたのでぴったりだった。少し気になったのは、同社に限ったことではないが、モデルルームを約68㎡にしているように、全体として専有圧縮型が中心だったことだ。

 これは、坪500万円をはるかに突破している池袋駅圏や東武東上線のマーケット、大山の地域特性を考慮した結果だと思う。ストライクゾーンを外さない戦略と見た(冒険もしてほしかったが…100㎡超でも何戸かは売れるはず)。商品企画では御影石キッチン天板、浴室タオル掛け2か所、タンクレストイレなどに同社のこだわりがみられる。

 定期借地権付きはネックにならないはずだ。平成3年(1991年)に借地法と借家法が改正され、定期借地権制度が創設されてから30年が経過した。すっかり市民権を得ている。最近の首都圏マンションでは東京建物の「西早稲田」(454戸)や三菱地所レジデンス「市谷加賀町」(228戸)が人気になっている。

 平成6年に分譲された首都圏初のサミュエル「グランビューあざみ野」(34戸)は定借期間は確か40年のはず。カウントダウンが始まった。中古市場でどのように評価されているか分からないが、残存期間の賃料に換算した価格で取り引きされているのではないか。

 販売部隊を拡大というのは正解だと思う。販売部隊を持たない大手(系)マンションをたくさん取材してきたが、貴重な顧客情報が蓄積されず、物件によって商品企画が異なり、売れ行きにばらつきがみられる。

 マンションだけでなく、同社はビル事業なども首都圏で強化するというから見ものだ。

坪単価399万円 圧倒的な割安感あり 野村不・阪急阪神不「平井」最終分譲へ(2024/2/10)

息をのむ自然共生・歴史継承の取り組み 三菱地所レジ「板橋大山 大楠ノ杜」完成(2023/11/13)


 

 

外観写真(1).jpg
「CASSA」

 ポラスグループのグローバルホームは3月19日、同社の注文住宅商品「CASSA」が一般財団法人日本地域開発センター「ハウス・オブ・ザ・イヤー・イン・エナジー2023」の特別優秀賞と同時に4年連続で省エネ住宅特別優良企業賞を受賞したと発表した。

 「ハウス・オブ・ザ・イヤー・イン・エナジー」は、建物躯体と設備機器をセットとして捉え、トータルとして省エネルギーやCO2削減などへ貢献する優れた住宅を表彰する制度。省エネ住宅特別優良企業賞は、大賞/特別優秀賞/優秀賞のいずれかを5年以上連続で受賞している企業に贈られる賞。

◇        ◆     ◇

 同社グループの中央グリーン開発は、国土交通省の第2回「地域価値を共創する不動産業アワード」の特別賞を受賞し、表彰式が3月12日に行われた。

 アワードは、不動産業者などが地方公共団体や住民、他業種などの関係者と共に地域づくり やコミュニティづくりに取り組み、新たな地域価値を共創する活動を顕彰するもの。

 同社の「みずべのアトリエ」(南荻島出津自治会館Ⅱ)は、戸建分譲の開発要件に沿って新設された自治会館。オープンから5年が経過し、今日では年間延べ2,000名以上が来訪し、様々な集いやイベントが開かれる「予約の取れない自治会館」となっている。

ポラス3か所目の単独住宅展示場「体感すまいパーク東浦和」 開設2か月で550組来場(2019/3/19)

生物多様性保護などグリーン・インフラ取り組み ポラス「北越谷」分譲地でイベント(2018/5/14)

 

IMG_5653.jpg
角田氏(同社東京本社で)

 大和ハウス工業は3月19日、記者レクチャー会<2024年公示地価>を開催。分譲マンション、分譲戸建て、ホテル・オフィス、物流施設市場の現状と同社の取り組みなどについて説明した。レクチャー会は、近く発表される公示地価の記事を書く際に参考になるよう同社がセットしているもの。

 分譲マンションについては、同社マンション事業本部事業統括部部長・角田卓也氏は、全国的に地価、建築費、仕入れ価格が上昇しているとし、首都圏では坪単価1,000万円超の物件でも富裕層の投資、セカンド、相続対策や円安によるインバウンド需要が引き続き旺盛と語った。しかし、入札物件は高値落札が目立ち、応札者は少なくなっているとした。郊外部も堅調な市場が続いているものの、ファミリー層が簡単に取得できる価格を越えてきており、今後は23区の状況に左右されるため注視が必要としている。

 近畿圏は、東京建物「堂島」をきっかけに坪単価400万円の壁が取り払われ、坪500~600万円が供給されるようになり、都心部は首都圏と同様に販売進捗は安定。建築費上昇を吸収できる可能性があり、用地取得環境はさらに厳しくなるとみている。京都は供給過多で、立地のいいものとそうでない物件との格差が拡大すると推測している。

 地方圏は、一部エリア(札幌、仙台、福岡、沖縄)は、本州からの富裕層やシニア層のセカンド、投資・移住ニーズの高まりから用地価格の上昇が続いているとした。名古屋、金沢は価格の高騰、在庫物件が増加していると説明した。

 投資需要は、金利の先高観、リート指数の低下などを受け、投資家の買収意欲は中立的とし、エリアや築年数による案件の選別化が進んでいるとした。

 同社の物件では、東武鉄道とのJV「ソライエ新柏プレミスト」(114戸)は坪250万円で、第1期1次60戸は完売のめどが立ち、昨年7月から販売開始した同社初の沖縄で400万円超の「プレミスト那覇新都心」(16戸)も残り3戸と好調。

「販売のネックになるものがない」全241戸竣工完売へ大和ハウス他「大倉山」(2024/3/16)

〝どう見ても美しい〟大阪の市場を変える東京建物「堂島」は坪単価650万円(2021/11/25)

IMG_5634.jpg
中岡氏

 分譲戸建てについては、同社住宅事業本部事業統括分譲住宅グループ次長・中岡敬典氏は、注文住宅の着工戸数は26か月、分譲戸建ては15カ月(2024年1月現在)連続でそれぞれ減少しており、建築費の高騰、消費者の実質賃金の低下などにより、市場を取り巻く環境は厳しいと語った。

 一方で、同社の事業は堅調で、2023年10月~2024年2月累計では金額比で前年比25%増で、東京、埼玉などで大幅に増加しているとしている。

 戸建て7,000戸体制については、注文住宅と分譲住宅の「ちょうといいとこどり」を全国に展開し、「ReadyMade Housing」を掲げ、「設計力+基本性能+アフター&長期保証により〝価格以上の価値〟を提供していくと語った。用地取得については、10戸以上の入札案件よりも数戸~10戸未満の用地取得に力を入れ、大型案件ではグループ内での複合開発も検討していく。来期販売目標2,650戸のうち木造は3割で、差来期の木造化を50%に引き上げたいとした。「ZZEHは100%、既存の戸建てビルダーとは一線を画す」と明言した。

IMG_5644.jpg
和田氏

 ホテル・オフィス事業については、同社流通店舗事業本部事業統括部開発事業部グループ長・和田康紀市は、商業分野は、コロナ禍に伴う自粛モードが解除され、パンデミック以前の社会に戻りつつあるとしながらも、既存の商業施設の建て替えや再生がポイントとなり、もの消費からコト消費に変わり、新しいアイデアが求められていると話した。オフィス分野は、引き続き潜在的なニーズが高い地方に注力していく。

 ホテル分野は、インバウンド需要が回復しているとはいえ、観光需要の高いエリアでは競争が激化、宿泊単価の上昇は見られるものの稼働率の上昇につながっているとはいいがたく、従業員の雇用問題が深刻化していると話した。

 地価公示については、取引価格との乖離が目立っており、都心部(東京、大阪、名古屋)では公示地価の3倍から5倍の取引価格が日常化しており、地方でも人気の高いエリアは同じ傾向がみられるとしている。

廣瀬.jpg
廣渡氏

 物流施設については、同社建築事業本部 営業統括部Dプロジェクト推進室担当次長・廣渡政和氏は、テナント入居地域の傾向として都心好立地案件と地方メーカー向け立地に大きく二分化され、リーシングに時間がかかる状況から調整局面に突入しつつあると指摘した。

 首都圏の需給バランスでは、2024年4Qの新規供給は前年同期比半減し、空室率は2023年4Qの9.3%からやや改善はされているもの8%台の半ばに達しており、2%台で推移していると思われる築1年以上の施設との差が目立っている。廣瀬氏は「物流施設は建築費のウエイトが高く、ゼネコンが見つからない例や賃料に転嫁できない環境が続いている」と語った。

「昭島」1期は262戸/建築費5割アップへ2024年問題からみ深刻化 大和ハウス(2023/9/15)

 

 

18.jpg
「三井みらいチャレンジャーズオーディション」(日本橋三井ホールで)

三井グループ350周年記念事業実行委員会(委員長:菰田正信・三井不動産会長)は319日、三井グループ350周年記念事業の最大イベントである「三井みらいチャレンジャーズオーディション」最終通過者30人を発表した。イベントには130人が参加した。

プロジェクトは、三井グループの元祖「三井高利」が日本橋に越後屋を出店した1673年から350年の節目の年に当たり、様々な社会課題を解決し、未来を切り開く若者を発掘・支援するもの。「事業・社会活動」「研究・留学」「カルチャー創造」の 3分野722人の応募者の中から各分野10人が選ばれた。

応募条件は2024331日時点で16歳以上31歳未満の個人で、昨年8月から10月まで募集された。募集部門は①研究・留学部門(応募:241人)事業・社会活動部門(応募:319人)カルチャー創造部門(応募:162人)。総勢10名の審査員による「みらい履歴書・計画書の審査」「動画審査」「対面審査」の3段階の審査を経て決定された。最終通過者30人は 2027年度まで三井グループ25社が継続的に支援していく。支援金として一律500万円のほか、追加の支援金(2年目からの最長3 年間)が提供される。

菰田氏はイベントの冒頭、「オーディションは、三井高利のイノベーション精神を継承し、夢や目標を持ちチャレンジをする次の時代を担う若者を発掘・応援しようというプロジェクトです。昨年8月に応募受付を開始しましたが、締め切りまでの3か月間に722名のチャレンジャーが名乗りを上げてくださいました。『熱い想い』と『高い志』で『これからの世の中に大きな影響を与えたい』という強い決意を感じる方ばかりでした。自らの意思で一歩を踏み出し、このオーディションに参加をしてくれた若いチャレンジャ―たちは、みな未来を担う有望な人材です。応募をしてくださった全てのチャレンジャ―に敬意を表します。そして最終通過者を含めたチャレンジャ―達全員のこれからの飛躍・活躍を、心より祈念いたします」と述べ、閉会の挨拶では「1昨年やろうと考えたときは不安でいっぱいだったが、本当に素晴らしい結果となった。大激戦の末30人が選ばれたのもよく分かる。委員長としてもほっとしている。ただ、このプロジェクトの成功は、選ばれた皆さんの夢が実現し、日本を世界を変えること。そのために三井グループはしっかり支えていきます」と締めくくった。

02.jpg
菰田氏

           

 記者は昨年10月、スタートアップ企業と大企業をマッチングさせるイベント「住友不動産ベンチャーサミット」を見学・取材した。「新宿住友ビル」三角広場に約2,100人が集まったのにびっくりした。

 今回、「日本橋三井ホール」に集まったのは約130人だが、内容は全然負けていないと思った。グランプリやら大賞やら○○賞を設けていないのもとてもいい。菰田氏をはじめ審査員の方々も〝素晴らしい〟を連発した。プレゼンターを務めた三井物産社長CEO・堀健一氏は「全員をわが社に迎えたいくらい」とまで述べた。

 記者も、最初の受賞者・王方成さんの「宇宙に住む」に圧倒され、最後の方まで必死にメモを取った。約1時間30分。くたくたに疲れたが、これほど楽しい取材を行ったのは久々だ。

 一つひとつ紹介したいのだが、そんな余裕はない。事業・社会活動部門で選ばれた小樽商科大3年生の大砂百恵さん一人だけ紹介する。事業タイトルは「ekombu」-廃棄される昆布を牛に食べさせ、げっぷを減らしてCO2削減に貢献するというものだ。

大砂さんは「2年前、大学1年生のときです。ひいおじいちゃんがコンブ漁をやっていて、大量に捨てられる昆布がめっちゃくちゃもったいない、何とかできないかと。牛に食べさせることを思いつきました。賞金? 牛の購入費に充てたいです」と語った。(小生は牛肉をほとんど食べない。牛の体重は人間の10倍近くあり、大量のCO2を吐き出すし、輸入飼料によって大量の水(バーチャルウォーター)を消費する。そもそも牛は昆布を食べるのか。ネットで調べたら、昆布を飼料にしたブランド牛もあるそうだ。本当にげっぷは減るのか)

審査委員の講評も一人紹介する。カルチャー創造部門審査員で、プロダクトデザイナー・グラフィックデザイナー・建築家の肩書を持つ太刀川英輔氏だ。太刀川氏は次のように話した。

「おめでとうございます。何か…なんていうかなあ、すごくね…胸がいっぱいで、不思議な気分なんですよね…今。こういう皆さんを応援できる時間をいただいた委員会の皆さんにお礼を言いたい。みなさんになにを伝えようかと考えたとき、真っ先に出てきたのは、まず、すぐにヒーローになろうとするなって思ったんです。馬鹿に発見されると大変なんで、まずは没頭したほうがいいと。徹底的にいま目の前にある道を、皆さんはその先に何かの光が見えているはずですが、だけどその道はジャングルだけだと思う。進んでいると痛いこともあるし、出る杭を打つ人もいる。(そんなことを気にしないで)没頭することが大事。僕はね没頭することは幸せだと思う。それ以外にない。僕もデザインしているが、没頭することを心掛けている。結果出そうと考えないこと。結果はね、うしろについてくるもの。

そう思うと、今日貰った500万円、凄いね。だけど、お金だと思うと大した額じゃないんですよ。僕らおじさんにとってはね。ただ、こう考えてほしいんです。皆さん、3,000時間あったら何ができますか。3,000時間、これは皆さんが時給2,000円の高収入バイトをし、積み上げてできる…それが500万円なんです。大事なのは額じゃない。時間とつながりなんです。これは得難い。4年後、この3,000時間のあとに、皆さんが成し遂げてくれる景色を、ちょっと痛かったなどといいながら一緒に振り返られたらいいなと思います」

実をいうと、記者は最初から最後まで金の計算をしていた。30人のうち4年後に花を咲かせる人は何人いるか、三井グループはいくら投資するのかと。初年度500万円はともかく、成否のかぎを握るのは徹底して支援できるかどうかだと考えた。額は一人(1プロジェクト)1億円いや10億円はどうかと。10×30300億円だ。

そして、三井グループ25社の総売上高を計算した。トヨタ自動車も入っているから100兆円くらいではないかと見当をつけた。300億円は巨額だが、比率にしたら0.03%だ。うちに帰って三井グループの直近の総売上高を調べた。売上高は878,615億円、連結従業員数は817,123人だった。売上高はわが国のGDP591兆円の14.9%を占める。一人当たり売上高は約1億円。国民1人当たりDGPの約2倍だ。

 大企業のこの種の支援事業が増えるのに期待したい。

14.jpg
太刀川氏

三井グループ.png
  .pdf

スタートアップと大企業を結ぶイベントに2,100名 「住友不動産ベンチャーサミット」(2024/10/25

 

rbay_ayumi.gif

 

ログイン

アカウントでログイン

ユーザ名 *
パスワード *
自動ログイン