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 東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は10月10日、令和7年9月の首都圏不動産流通市場動向をまとめ発表。中古マンションの成約件数は4,475件(前年同月比46.9%増)となり11か月連続で増加、成約坪単価は281.1万円(同12.3%増)と20 年5月から65か月連続で上昇、成約価格は5,352万円(同10.1%増)と11か月連続で上昇、専有面積は62.83㎡(同2.0%減)と2か月ぶりに縮小。在庫件数は43,850 件(同3.4%減)と2か月連続で減少した。

 中古戸建ての成約件数は1,986件(同55.0%増)と11か月連続で増加、成約価格は3,906万円(同3.8%減)と3か月ぶりに下落、土地面積は142.85㎡(同2.3%増)と2 か月ぶりに増加、建物面積は102.62㎡(同1.1%減)と2か月連続で縮小、在庫件数は23,538件(同5.3%増)と22年9月から37か月連続で増加した。

 

「日本の都市特性評価DATABOOK 2025」合計スコアトップの大阪市のチャート

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「日本の都市特性評価DATABOOK 2025」23区合計スコアトップの港区のチャート

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 LIFULLの社内シンクタンクLIFULL HOME'S総研が「Sensuous City(センシュアス・シティ)[官能都市] 2025」報告書を発刊したことは先に紹介した。モノサシが異なるものを同じ俎上に載せ批評するのは適当ではないことを承知のうえで、ほぼ同時期に発表された森記念財団都市戦略研究所「日本の都市特性評価DATABOOK 2025」とどこが同じで、どこが異なるのか比べてみた。改めて分かったのは〝何のためか、誰のためか〟ということだ。

 まず、「日本の都市特性評価」から。これは、森記念財団都市戦略研究所が2018年から調査・発表しているもので、国内の政令指定都市、都道府県庁所在地、人口17万人以上の136都市と東京23区を対象に、「都市の力を定量・定性データをもとに相対的かつ多角的に分析し、都市の強みや魅力といった都市特性を明らかにすること」が目的となっている。

 調査は、「経済・ビジネス」「研究・開発」「文化・交流」「生活・住居」「環境」「交通・アクセス」の6分野の28指標グループごとに平均値を算出し、合計スコアとしてまとめたもの。配点は2,800点満点(経済・ビジネス600点、研究・開発200点、文化・交流500点、生活・居住700点、環境500点、交通・アクセス300点)。

 調査の結果、23区を除く全国上位10市は、1位大阪市、2位名古屋市、3位福岡市、4位横浜市、5位京都市、6位神戸市、7位仙台市、8位金沢市、9位札幌市、10位つくば市の順。東京23区は1位港区、2位千代田区、3位中央区がベスト3で、最下位は江戸川区。合計スコアは、中央区(1,378.1点)より大阪(1,355.8点)のほうが低い。

 大阪市は、経済・ビジネスと文化・交流の両分野で高い評価を維持。名古屋市は、研究・開発と交通・アクセスで高い評価を獲得した。福岡市は、経済・ビジネスでは2位を維持し、特に「ビジネスの活力」の新規不動産業用建築物供給面積でスコアが上昇した。横浜市は、文化・交流で3位と高評価を得ている。京都市は、文化・交流で昨年に引き続き首位を維持している。

 分野別では、経済・ビジネスは大阪市、研究・開発は名古屋市、文化・交流は京都市、生活・住居は名古屋市、環境は鎌倉市、交通・アクセスは大阪市がそれぞれトップ。アクター別では、シングルは名古屋市、ファミリーは福岡市、シニアは松本市、観光客は大阪市、経営者は大阪市、従業員は大阪市がそれぞれトップ。

 47都道府県庁所在地のワースト3は那覇市(136位)、高知市(134位)、福島市(86位)。那覇市は、分野別スコアで「文化・交流」は15位にランクされたが、「経済・ビジネス」は78位、「交通アクセス」は70位で、「研究・開発」「生活・居住」「環境」は最下位になっている。47都道府県庁所在地より上位は10位つくば市(水戸市は72位)、12位松本市(長野市は17位)、21位浦安市(千葉市は50位)の3市。

 首都圏では、東京都は全国合計スコア25位府中市、26位三鷹市、39位調布市、47位立川市、48位八王子市、73位日野市、75位小平市、107位町田市、108位西東京市。人口17万人未満の武蔵野市などは調査対象外。

 神奈川県トップは全国合計スコア4位の横浜市で、16位鎌倉市、60位藤沢市、109位相模原市、110位横須賀市、111位平塚市、112位茅ヶ崎市、113位大和市となっている。人口14万人の海老名市は調査対象外。

 埼玉県のトップは全国合計スコア32位のさいたま市で、92位川越市、93位熊谷市、94位川口市、95位所沢市、96位春日部市、97位上尾市、98位草加市、99位越谷市の順。人口17万人未満の新座市、久喜市、三郷市などは調査対象外。

 千葉県は、浦安市、千葉市の次は76位に流山市が入り、100位市川市、101位船橋市、102位松戸市、103位習志野市、104位柏市、105位市原市、106位八千代市。人口17万人未満の佐倉市、野田市、木更津市などは調査対象外。

 三県とも5~8市が〝群(塊)〟として連続してランク入りしているのが特徴。他の地域も同じような傾向がみられ、81位の函館市から85位の八戸まで北海道・東北が、116位富士市から120位鈴鹿市までは東海が、121位堺市から130位加古川市までは大阪圏が、131位呉市から136位那覇市までが中国・四国・九州がそれぞれ連なっている。

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 「官能都市」の順位は別表の通り。島原氏は「本来の趣旨は都市に優劣をつけて序列化することではない。ランキングは、あくまで、こういう指標で測ればこういう結果になった、というかたちで指標のアイデアにリアリティを与えるものであり、それ以上でもそれ以下でもない。また、すべての都市がセンシュアス・シティを目指すべきだと主張する意図もない」と断っているので、そのつもりで見ていただきたい。

 島原氏は、市街地再開発に対しては辛らつではあるが、致命傷になる、修復が不可能になるような攻撃を加えていない。大手デベロッパーの地道なエリアマネジメント活動などをきちんと評価している。「官能都市」が何よりもいいのは、主語が「私」であり、述語は「キスした」などの動詞であることだ。ただの願望に過ぎない「ナンパしたい」「住みたい」などの助動詞でないことだ。

 島原氏は終章で次のように記している。

 「自分にとっての意味によって語られる物語のことを『ナラティブ』と呼び、『昔々あるところに』で始まるようなストーリーの物語とは区別される。私たちが自分で住んでいる都市について誰かに語るとき、そこで語られるのは、よほど特殊なシチュエ―ションでない限り、緯度経度や面積や人口やGDPなど客観的なデータではなく、自分自身のナラティブである。だから自分が住んでいる都市に対して大して語る言葉がないとすれば、それは自分が住む都市が、自分にとってあまり意味化していないことを表している」

 そして、またナラティブ度順位の高い横浜市中区、千代田区・中央区、文京区、横浜市西区、目黒区、港区、松本氏、函館市、世田谷区、武蔵野市などを紹介し、「下関市(都市特性評価133位=記者注、以下同じ)、那覇市(同136位)、高知市(同134位)、長崎市(同43位)、奈良市(同18位)、山口市(66位)、川越市(同92位)などもナラティブ>センシュアスギャップが大きい」としている。

 島原氏が絶賛している吉江俊氏の「<迂回する経済>の都市論」(学芸出版社)を買って読んでいる途中だ。記者のような素人を対象にしていないのだろうが、全体の骨組みを補強する役割を果たす金物(参考文献の古典・論文)が多すぎる(ハワードの田園都市構想は分かるが、「都市と農村の結婚」「農工両全」はありえないことは過去の歴史が証明していると思う)。ただ、「『何か大切なことが書いてある気がする。手元に置いておこう』と思ってくれる人がもしいたならば、私の試みは半分、実現したようなものだ」(序章)と述べられている、その一人だ。著作で紹介されている「下北線路街」もこの前見学・取材してきた。機会があったら記事にしたい。

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 以下は、双方を比較して思いつくままに記すものだ。

 「都市特性評価」上位のつくば市(10位)、浜松市(15位)、鎌倉市(16位)、奈良市(18位)、豊田市(26位)、浦安市(21)、府中市(25位)、三鷹市(26位)、豊橋市(29位)、盛岡市(30位)、松山市(33位)八王子市(48位)などは「官能都市」の106位までに入っていない。これはなぜか。

 逆に、「都市特性評価」136位まで入っていないのに、「官能都市」106位までにランクインしているのは武蔵野市(39位)、狛江市(調布市とともに46位)、日野市・多摩市・稲城市(1括りで94位)、国立市・国分寺市・小金井市(1括りで95位)。人口17万人未満の武蔵野市を敢えて入れ、複数市を1括りにしているのはある程度理解できる(記者は調布市、三鷹市、日野市、多摩市に居住経験があるが、住宅選好で重視したのは子育て環境と緑環境)。ただ、調布市と立川市が入っているのに三鷹市と八王子市が入っていないのは解せない。また、〝住みたい街ランキング〟などで上位にランクされるつくば市、浦安市、鎌倉市などが106位以下なのはどうしてか。

 「都市特性評価」の配点にも疑問を挟まざるを得ない。2,800点満点で「環境」の配分は500点。比率は17.9%だ。記者が重視する「都市地域緑被率」は全体で87項目のうちの1つに過ぎないこれは少な過ぎないか。環境は何よりも重視すべき指標ではないか。お金持ちは緑被率の高い区に住んでいるという研究論文はあるが、お金を出せば環境を買えるということか。

 また、「生活・住居」では、23区はほぼ地価水準・マンション価格水準の高い順にランクされているが、これは何を意味するか。23区内のマンション価格は、どんなに駅から遠いところでも坪単価は300万円をくだらない。利便性の高いところは500万円以上だ。早晩、都心の一等地は坪3,000~5,000万円になると記者は見ている。一般的な給与所得層は住めなくなる。「住宅の広さ」「住宅コストの低さ」を重視したら、庶民にとっては最悪の点数どころかマイナスだ。調査は、地価が高く、居住水準が低いほど高い評価となっていることが分かる。

 全ての調査・ランキングに言えることだが、何のためか、誰のためかを考えることが必要だ。積水ハウス「男性育休白書」では、「男性の家事・育児力全国ランキング2025」は2年連続して沖縄県がトップだ。

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 長谷工総研の「CRI」10月号からエッセイスト・広瀬裕子氏の巻頭エッセイが紹介されている。「官能都市」報告書のセンシュアス、ナラティブに通じるものがあると思うので、以下の通り「『住む』は『生きる』」から少し引用する。

 「毎朝、目覚めた時に漂う静けさ、帰宅して窓を開けた時の風景、駅に降り立った時の香り、近隣から流れてくる音。

 条件やそれに伴う事項は、金銭的な余裕があれば、いくらでも選択できます。でも、条件に掲載されていない多くのことや五感が、『生きる』ことを形作っていきます。

 不動産情報で条件が合い内見したけれど『ここではない』となることが度々ありますが、それは、条件には挙げられていない本質的なことが『そこではない』と感じるからだと思います。

…『住む』は、すべての『生きる』とつながっている-。あの家の、あの季節の、あの場所だから、気づいたことです。大切なことは、情報として発進されること以外、日々のなかで展開することがほとんどです」

所得の多い人は緑被率の高い地域に住むその差100万円立正大・榎本氏の論文(2025/9/28)

「Sensuous City(センシュアス・シティ)[官能都市] 2025」発刊 LIFULL HOME'S(2025/9/25)

夫の育児・家事の満足度高いのは佐賀、沖縄、山梨、三重積水ハ「男性育休白書」(2025/9/22)


 

 

Screenshot 2025-10-09 at 21-29-16 【News Release】約8割が知らない売却できる資産 全国845万戸の”共有持ち分付き住宅”の持つ課題とは 訳あり不動産市場調査.pdf.png
(提供:「株式会社モニタス」) 

空き家・訳あり不動産の買取再販サービス「ワケガイ」・空き家・訳あり事業を展開しているネクスウィルは109日、メディア向け「訳あり不動産の実態に関する勉強会」を開催し、「共有持ち分」に関する訳あり不動産実態調査結果を発表した。

調査は、全国40歳以上の男女11,199人を対象にインターネットリサーチにより「株式会社モニタス」が実施したもの。「訳あり不動産」とは、相続や権利関係の複雑さなどにより、売却や活用が難しい不動産を指す。

調査の結果、40歳以上家計主世帯における3,112戸の現住戸の持ち家数のうち、共有持ち分付き住宅は全国で845万戸(現住戸が612万戸、現住戸以外が233万戸)にのぼり、大都市圏に集中し、「隠れ資産」の存在感が浮き彫りになったとしている。

「共有持ち分の住宅や土地を売ることができる」と認識している人は全体で16.5%にとどまり、共有持分所有者の売却可能性の認知度は28%にしか過ぎないことも分かった。相続後に必要となる手続きや、手続きを行わなかった場合に起こり得るリスクの理解も2割程度にとどまっている。

共有持ち分を所有する人の9.4%が「困っている」と回答し、その悩みとして「税金や管理費用などの費用負担があること」(46.7%)のほか、「共有者との関係が良くない」「一部の共有者だけが使用しており、自身にメリットがない」「共有者の所在や連絡先が不明である」などと、人間関係や権利の不透明さに悩みを抱えていることがわかった。

このような悩みを抱える人のうち約7割が「時期を問わず解決したい」と考えており、「すぐにでも解決したい」と答えた人は10.3%にのぼった。

一方で、共有持ち分に関する専門家などへの相談経験がある人はごくわずかで、「相談したことはない」と答えた人が88.7%を占めた。

同社は結果について、同社代表取締役・丸岡智幸氏は、「買取再販業は、銀行からの融資を受けて事業展開しているが、このような『訳あり物件』は融資が下りない。当社はこれまで約300件の実績を通じてノウハウを蓄積してきた。問題を次の世代に先送りするのではなく、早め早めの対応が求められる。当社は、空き家対策に悩んでいる全国の自治体と連携を強化し、社会的課題の解決につなげたい」と話した。

同社の2024年度の買取実績は27.4億円(425件)で、うち「共有持ち分物件」は116件。2025年予測は42億円(800件)で、うち「共有持ち分物件」は200件を予測している。累計の「共有持ち分物件」取り扱い件数は約300件。自治体との連携による成約件数は約10件。

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丸岡氏

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 空き家問題に関心がないわけではないが、テーマが大きすぎて、手に負えないのでこれまでほとんど取材してこなかった。絶対的・排他的に保障されている財産権に踏み込むのは一筋縄でいかないからでもある。

 なので、同社のような取り組みをしている会社があるのにびっくりした。累計で約300件の買取実績があるというではないか。しかも、連携している自治体は岩手県紫波町、愛媛県八幡浜市、沖縄県宮古市、大阪府阪南市といえば、阪南市はともかく、往復の交通費だけで数万円、日帰りは無理だろうから1回の出張代を考えたら、ペイするとはとても思えない。それを社員が直接出向いて交渉するのだという。近親憎悪という言葉があるように、親族間のトラブルは容易に修復できないのはみんなよく知っていることだ。気の遠くなるような、複雑に絡み合った糸をほぐす、このようなビジネスモデルを構築した同社を応援したい。専門家に相談したら、アドバイスは得られるだろうが、解決策を提示する専門家は皆無のはずだ。

 国土交通省の空き家対策総合支援・空き家再生等推進事業費の令和8年度予算概算要求額は70.80億円、1都道府県当たり額は約8,700万円だ。この額が多いのか少ないのかよく分からない。空き家の増加による社会的・経済的損失額をAIに聞いたら、「約3.89兆円の経済損失や、固定資産税の負担、資産価値の低下をもたらし、社会的損失としては、治安の悪化や犯罪の温床化、景観の悪化、近隣への被害、地域経済の衰退や過疎化を加速させるなどの問題を引きおこします」と返ってきた。

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いつか記事化を考えているのだが、国や業界に言いたいことが一つある。「有料老人ホーム」「特別養護老人ホーム」「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」もそうだが、「訳あり不動産」「事故物件」「嫌悪施設」「心理的瑕疵」などの文言を改めていただきたいということだ。

消費者は「訳」があるから不動産を売ったり買ったりする。空から人が降ってくる時代だ、世の中は「事故」だらけではないか(これは微妙な問題だが、「自死」はどうして「事故物件」になるのか。生きようが死のうが自由ではないか。生きづらい世の中を変えるべき)。「嫌悪施設」はほとんどエッセンシャルワーカーが勤務する施設だ。先祖代々が祭られている「墓地」を嫌悪することは、自己を嫌悪することにならないのか。

これらの文言・不動産用語は、問題を解決するのではなく、より問題を複雑化し、社会的・経済的格差を助長しているように思えてならない。

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「フォレストレ大和田GXgrade」

 ポラスグループのポラスマイホームプラザは10月3日、ZEH水準を上回る「GX志向型住宅※」の要件を満たした分譲戸建て「フォレストレ大和田GXgrade」(全17戸)のメディア向け見学会を行った。「GX志向型住宅」の要件を満たしている分譲戸建てを見学するのは初めてだったが、ZEH水準の断熱仕様で、延床面積に対する開口・窓面積比率を一般的な住宅の約半分の12.4%にすることでGX志向型に対応しているのが特徴。また、同社初の床下に大容量の貯水用タンクを搭載しているのに驚いた。

 「GX grade」の特徴は、①ハイブリッド給湯器や太陽光パネルによって、ZEH水準の住宅と比較し、年間85,259円(うち太陽光発電分75,369円)の水道光熱費を削減②住宅の室内は、断熱等級5と比較して冬場で1.8~2.0度の差がある③高出力・高効率を実現させた太陽光モジュールを採用④ハイブリッド給湯器「ECO ONE X5」を採用⑤アルミ樹脂複合フレームとLow-E複層ガラスにより国内最高レベルの断熱性能を実現したアルゴンガス入り窓を採用-していることなど。

 また、レジリエンスの取り組みでは、①太陽光発電時でもスマートフォンの充電や家電の使用が可能②床下に大容量貯水タンク「マルチアクア」を搭載していることで常時36Lの水を貯蔵。水道水を普段使いしながら、災害時は4人家族3日分の飲用・調理用水が確保される③大型パントリーや保安灯を設置することで、多めの食材をストックでき、停電時も足元を照らすことができる。

 見学会で、同社営業企画設計課課長・内野貴通氏は、「昨年、子育てグリーン住宅支援制度が創設されたのをきっかけにGX住宅開発に取り組んでいる。GXは世界的課題でもあり、分譲戸建てで取り組むことで業界をリードしていく。注文住宅検討者や未来志向のお客様にアピールできており、補助金(160万円)も販売促進材料になっている」と話した。

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内野氏

 また、同社営業企画設計1課係長・髙橋健太郎氏は「コンセプトは〝街と人のかけがえのない出逢い〟。ハード面だけでなくソフト部分のレジリエンスの取り組みを重視しているのが特徴」とし、細かな点についても配慮していることを説明した。

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高橋氏

 ポラス暮し科学研究所住環境Gグループ長・野田将樹氏は「当社グループは年間供給している2,500~2,600戸の分譲戸建ては全てZEH水準だが、この物件は性能の高い樹脂サッシと2重天井断熱を採用し、ZEH水準の断熱材と、高性能のサッシを採用することでGX型に対応できているのが特徴。延床面積に対する開口・窓面積比率は通常20%前半だが、この物件は12.4%。窓面積を半分にしたことが正解かどうかは分からないが、私は違和感を覚えなかった。2027年に予定されている改正ZEH基準の先行チャレンジになる。また、床暖房も搭載していないが、搭載してもGX型住宅に対応できることが確認できている。ちなみに省エネ率基準は35%以上だが、ここは42%確保できている。現在、30棟を対象に実証実験を行っているが、ほぼ狙い通りの数値が得られている」と語った。

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野田氏

 続いて、同社・森田昌久部長は同社の歴史や今後の展開について「当社グループの中では歴史の浅い会社だが、埼玉県子育て応援住宅供給量ではトップの418戸を供給しており、GX型住宅の取り組みを行っているのは当社のみ。今後も子育て、GX、レジリエンスに力を入れていく。蓄電池搭載も考えている」などと話した。

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森田氏

 物件は、東武アーバンパークライン大和田駅から徒歩14~15分、さいたま市見沼区堀崎町の第一種中高層住居専用地域に位置する全17戸。土地面積は100.10~109.45㎡、建物面積は93.46㎡~95.93㎡、価格は4,490万~5,990万円。

 今年8月に第1期として10戸を分譲開始し、これまでに4戸が成約済み。反響数は61件。顧客の属性は年齢は30代後半、年収は900万円前後、注文住宅を検討している近隣居住者が中心。

 同社はこのほか、昨年から「北浦和」(12戸)「桶川」(2戸)などを含めGX志向型37戸を分譲しており17戸が成約済み。GX志向型にすることで、ZEH水準よりコストは100万円アップするが、補助金や光熱費の削減で吸収できるのがセールスポイントになっているようだ。

※「GX志向型住宅」は、①断熱等性能等級6以上②再生可能エネルギーを除く一次エネルギー消費量削減率35%以上③再生可能エネルギーを含む一次エネルギー消費量削減率100%④高度エネルギーマネジメントの導入の4つを満たすことが必要

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「マルチアクア」

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 各氏がプレスリリースや配布資料に基づいて説明したのを、ふむふむと頷きながら聞いていたのだが、野田氏が話の途中で、リリースにも配布資料にもない窓面積比率に言及したのにびっくりした。ちょうど、大腸ポリープを切除したことで腹痛から解放されたときのように、ずっと疑問に思っていたことがストンと腑に落ちた。

 なぜ腑に落ちたかについて、少し長くなるが説明する。記者は、2025年度の子育てグリーン住宅支援事業にGX志向型住宅と長期優良住宅とともに、ZEH水準住宅も対象になったのにはいささか驚いた。良質住宅の普及に誘導しようという意図は分からないでもないが、政府は2030年までにすべての新築住宅がZEH水準を満たすことを目標に掲げている。つまり、ZEH水準はあと5年で当たり前になる。当たり前になる住宅に対して国費を投入するのは如何なものかと思ったからだ。

 この事業に、全国分譲戸建てシェア約3割を占める飯田グループホールディングスが敏感に反応した。同社は一昨年の「飯田グループホールディングスTCFDレポート2023」で、「2025年の『ZEH水準比率100%』等の検討を始めております」と謳っており、今年6月、2025年4月以降に確認申請を取得した新築分譲戸建住宅全棟でZEH水準に対応し、達成率が100%となったと発表した。

 これはこれで結構なことだが、制度は全体的な住宅の質・快適性は問われないから、断熱等級を上げるには延床面積を小さくし、さらに熱の出入りが激しい窓面を少なくすればいいことになる。

 記者はここに注目している。住宅の開口・窓面積と質・快適性との相関関係はいまひとつ分からない。ただ、最近はめっきり減ったが、各デベロッパーはかつて〝ワイドスパン〟〝ワイドサッシ〟〝ハイサッシ〟を3点セットにしてマンション広告で謳っていた。その効果があるのだろう。しかし、窓面積を広くすることは断熱性能を低くすることにつながり、断熱性能を高めるには窓面積を小さくすればよいことになる。住宅の質・快適性と窓面積はトレード・オフの関係にあるといっても言い過ぎではないと思う。

 そうした疑問をずっと抱いていたので、今年7月に行われた中央住宅「ひととき 流山市松ヶ丘・南柏」見学会で、同社不動産ソリューション事業部不動産開発部企画設計課課長・村田嵩胤氏に質問したところ、村田氏は「様々な仕様を引き算すればZEH水準は可能。当社は居住性・快適性を犠牲にするようなことはしない。足し算で居住性を高めることが重要」と語った。

 この日の野田氏の話と村田氏の考えは矛盾するようだが、森田氏が「GXに取り組んでいるのはポラスグループの中で当社のみ」と語ったことで説明がつく。「窓面積を小さくすることが正解かどうかは分からないが、国土交通省が改正を考えているZEH基準の先行チャレンジプロジェクトになるのではないか」(野田氏)。同社にはぜひとも実証実験の結果を報告してほしい。

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モデルハウス(左の窓は幅1間、高さ2400ミリ)

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現地

仕様レベルの引き算でZEH水準は可能手放しで喜べないデベロッパーの対応(2025/8/2)

住宅性能評価の分譲戸建てシェア74% 飯田GHは「ZEH化50%」に舵切りを

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「ルネグラン上石神井」

 総合地所は10月2日、首都圏初の最高峰ブランド「ルネグラン」の「ルネグラン上石神井」のメディア向けプロジェクト見学会を行った。駅から徒歩5分の1低層の大型で、高さ規制の緩和を受けた4階建て全106戸の大規模物件で、ZEH・M Oriented、低炭素建築物認定、ABING認定、柱・梁型が少ない厚肉床壁構造など、全体的にレベルの高いマンションだ。第1期25戸が即日完売した。

 物件は、西武新宿線上石神井駅から徒歩5分、練馬区上石神井四丁目の第一種低層住居専用地域(建ぺい率50%、容積率100%)に位置する敷地面積約7.688㎡の4階建て106戸(販売対象戸数105戸)。専有面積は58.28~91.37㎡、第2期(戸数未定)の専有面積は67.55~75.66㎡、予定価格は8,000慢円台~12,000万円台、坪単価は470万円。竣工予定は2026年8月。販売代理は長谷工アーベスト。設計・施工は長谷工コーポレーション。

 エントリー開始は昨年10月からで、これまでの反響数は約1,300件、7月から開始したモデルルーム来場者は約220件。9月28日に第一期25戸の販売を行い、即日完売した。反響・契約者の約3割は練馬区居住者で、他は23区広域にわたっており、30代から40代の年収1,000万円台~1,500万円台が中心。

 現地の従前はテニスコート。用地は長谷工コーポレーションが土地所有者から相対で取得。駅徒歩5分の1低層の敷地5,000㎡以上の物件は過去20年間で23区では3物件(0.1%)しかない希少物件。

 建物は都市計画法55条2項の適用を受け、高さ規制は10mから12mに緩和されている。形状はコの字型で、敷地南側は都の都市計画道路予定地で、その先は西武線の線路。同線は令和22年度完成予定で高架化(4層レベル)が決定されている。敷地東側は道路を挟んで小学校の校庭、北側は住宅地を挟んで中学校の敷地。西側は低層住宅地。敷地中央に約1,000㎡の中庭「五感の庭」が設けられる。

 主な基本性能・設備仕様は、ZEH・M Oriented、低炭素建築物認定、ABING認定、柱・梁型が少ない厚肉床壁構造、環境配慮型コンクリート「H-BA」、二重床・二重サッシ、リビング天井高2450ミリ、2.3mハイサッシ、ディスポーザー、食洗機、フィオレストーンキッチン・洗面天板、分譲マンション初のTOTOの便スキャン付きトイレ「ネオレストAS-W」、可動式収納「ウゴクロ」(75戸)、洗濯物干し(4階のみ)、全熱交換型換気システム(パナソニック製)、管理会社管理者方式「smooth-e」(スム―シー)、T-2サッシなど。住戸のバルコニーにプランターが設置されるのも特徴の一つだ。

 見学会で同社分譲事業部マンション開発部開発1課・岩月祥子氏は「駅から徒歩5分の1低層の小・中学校に近い希少立地、1,000㎡の中庭、柱・梁型が住戸内に出ない工法、2.3mのハイサッシなどが高い評価を得ている」などと話した。「ルネグラン」の首都圏第2弾はいまのところ予定はないそうだ。

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中庭「五感の森」

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外観

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 同社の最高峰ブランドマンション「ルネグラン」(関西圏は3物件の供給事例あり)を初めて見学した。先の「ルネタワー八王子」もそうだったが、今回の物件の基本性能・設備仕様レベルは高い。坪単価470万円も安いと思う。都心へのアクセスはともかく、西武池袋線石神井公園駅圏のマンションの坪単価は600万円超だ。

 販売事務所・モデルルームの観葉植物が全て本物だったのにも記者は感動を覚えた。「ルネグラン」への自負がうかがえる。〝フェイクをやめよ〟としつこく書いてきたことが理解されてきていると思うととてもうれしい。

 以下は余談。前回の「八王子」もそうだったが、今回もメディア見学者は10人もいなかった。一昨日の三井不動産レジデンシャル「笹塚」の見学者はその倍以上の20~30人だったはずだ。

 なぜ、こんな差が出るのか。既存メディアの〝大手志向〟〝事大主義〟が理由の全てだ。各メディアの取材体制は40~50年昔の紙媒体が中心で、大手デベロッパー、ハウスメーカー、行政担当、中小不動産会社などに細分化されている(もはやそんな垣根はない)。マンション取材もまたこの旧態依然の体制が基本なので、一部の大手マンションデベロッパー以外の見学会は極端に人数が減る(記者はそんな差別的な扱いをしたことがない。「ルネ」は数少ない老舗ブランドだ)。つまり、この日の見学者のほとんどは「笹塚」を見ていないはずで、双方を見学したのは記者だけかもしれない。

 しかし、消費者の立場で見れば、物件の質・価値がもっとも重要で、大手も中小も関係ない。専門誌・紙の記者は双方を見ないと、その良し悪しは分からないはずだ。良し悪しが判断できなければ、見学するのは時間の無駄。見ないほうがいい。ただ、モノを見なければ、そのうち「記者」の職業は、AIにとって代わられるのは必至だ。「考える力」が備わっているのが人間だ。

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バルコニープランター

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キッチンカウンター(オプション)緑は全て本物

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模型の周りの床(チップも観葉植物も全て本物)

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現地(手前から西武線線路、都市計画道路予定地、マンション)

〝ルネ〟最高峰で初の〝ルネタワー〟総合地所・JR東日本都市開発「八王子」(2025/8/28)

 

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「パークタワー渋谷笹塚」

 三井不動産レジデンシャルは9月30日、「パークタワー渋谷笹塚」のプレス内覧会を実施。第2期(約100戸の予定)の販売を10月11日に開始すると発表した。これまでのエントリー数は約15,000件、サロン来場者は約1,500件に上っており、平均坪単価は第1期と同様700万円になる模様。第1期230戸は販売済み。

 物件は、京王線笹塚駅から徒歩4分、渋谷区笹塚1丁目の商業地域に位置する、敷地面積約8,100㎡、期間70年の定期借地権付き28階建て全659戸(一般販売対象住戸643戸)。10月11日に登録を開始する第2期(戸数は100戸程度)の専有面積は43.94~108.56㎡、価格は7,000万円台~32,000万円台(前払い地代!含む)、最多価格帯は11,000万円台。坪単価は約700万円になる模様。竣工予定は2027年12月下旬。期間70年の定期借地権付き施工は大林組。

 昨春にエントリーを受け付け、これまでの反響数は約15,000件、サロン来場者は約1,500件。今夏に分譲した第1期(230戸)は最高12倍、平均1.8倍で登録完売している。購入者は30~40代のプレファミリー、ファミリーが中心。

 現地は、新宿・中村屋の本社・工場跡地。用途地域は商業地域で、従来の高さ規制は50mだったが、「笹塚駅南口地区まちづくり構想」により100mに緩和された。敷地北側には京王線の線路が走っているが、南側は20m以下(一部30m)の住居系エリアが広がっており、中・高層住居の日照・眺望が担保されている。駅からは高架下を通れるので、ほとんど雨に濡れない。

 敷地内に650本の樹木を植栽、じゃぶじゃぶ池、広場などを設け、建物は制震構造で、外観デザインは、フィン、水平ルーバー、グラテーションガラス、石柱など玉川上水の自然を取り込み、形状はロの字型。1~3階は商業施設、共用施設などで、住居は4階以上。北側住戸は16階までは二重サッシ(住戸側は樹脂サッシ)。

 主な基本性能・設備仕様は、ZEH-M、Oriented認定、二重床・二重天井、26階までのリビング天井高2550ミリ(27・28階のプレミアムフロアは2650ミリ)、ディスポーザー、食洗機、フィオレストーンキッチン天板、バックカウンター・食器棚、クォーツストーン洗面カウンター/陶器製ボウル、ローシルエットトイレ、Low-Eガラス、指はさみ防止玄関ドア/建具など。共用施設はラウンジ、ゲストルーム(5室)、ライブラリー、パーティルーム、プレイ&ライブラリー、スカイテラス、ランドリーなど。アートディレクター北川フラム氏が率いるアートフロントギャラリーが監修し、アーティスト7組のアート・オブジェなどか設えられるほか、パラアートも展示される。

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外観 広場

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じゃぶじゃぶ池

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スカイデッキ

◇        ◆     ◇

 まず、単価、昨年末の三井不動産グループ記者懇親会で、記者は嘉村徹社長に「坪単価は700万円でどうですか」と聞いたところ、「いい線だ」という回答があった。まさかその通りになるとは思っていなかったが、どんぴしゃり(価格は市場が決めるもの。記者はコメントしないが、京王線の最高値=所有権に換算して)。

 問い合わせが15,000件に達しているのは正直驚いた。内覧会資料には、渋谷区内のこれまでの「広尾ガーデンフォレスト」「代官山アドレス」「パークコート渋谷」「パークコート神宮北参道」「青山パークタワー」「シティタワー恵比寿」「センチュリーフォレスト」などの人気物件が紹介されていたが、「笹塚」の規模はこれらを上回る区内最大級という。これが反響の多さにつながったのか。(同社はこれまで最寄り駅が京王線幡ヶ谷駅の「パークコート渋谷大山町」や「パークホームズ代々木西原」を分譲しているが、物件名にわざわざ「渋谷」「代々木」を付け、「幡ヶ谷」を付けなかった。今回も「渋谷」を付けている。「代々木西原」は「代々木上原駅」から徒歩9分、「幡ヶ谷駅」から徒歩5分、坪単価は780万円で早期完売した。すぐ隣の世田谷区、杉並区、京王電鉄は考えたほうがいい)

 74㎡のモデルルームのスパンは9.8mのワイドスパンで、北向き住戸の45㎡でも6.17m。人気になっているのはよくわかる。この種(写真)の指はさみ防止ドア・建具は初めて見た。

 もう一つ強調したいのはパラアートだ。この種のアートは同社をはじめ、三菱地所、野村不動産、東京建物もマンション、その他の施設に積極的に採用している。素晴らしい作品ばかりだ。記者はこれまで絵画などを鑑賞する際、作者の出自、経歴などを一応調べたりはするが、規制・固定概念は捨て、美しいか美しくないかの私自身のモノサシで測る。〝パラアート〟なる言葉が死滅することを願っている。

 また、配布資料の最終頁(25ページ)に〝つけたし〟のように紹介されていた「東京都マンション環境性能表示」に記者は注目した。この制度は断熱性、省エネ性、省エネ設備・電気、維持管理、みどりの5項目を★セロから★3つで評価する「東京都マンション環境性能表示」で、「省エネ設備・電気」が★2つだったため、満点の★15個に一つ欠けてはいるが14個を獲得している。(自治体の〝お墨付き〟をどう評価するかだが、記者はこの制度はとてもいいと思う)

 ひとつだけ残念だったのは、サロン内の観葉植物だ。ほとんど全てがフェイク・グリーンだ。野村不動産の「BLUE FRONT SHIBAURA」や新宿のマンション総合ギャラリー、日鉄興和のギャラリーなどを同社関係者は見ているはずだが…。(余談だが、記者はこのように思ったことを書く。是々非々だ。ある大手デベロッパーは、記者が批判的な記事を書いたためか、一切取材の呼びかけがなくなった。三井不動産はそのような愚行をこれまで一度もしたことがない。念のため)

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指つめ防止ドア建具

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パラアート

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パラアート

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サロン(グリーンはほとんどフェイク)

三井レジ他「パークコート渋谷大山町」低層住宅街の大規模単価は470万円(2014/12/3)

 


 

 

 東京都の緑被率(都はみどり率の指標を用いている)を調べていたら、凄い調査研究論文を見つけた。立正大学の榎本毅氏による「東京23区における緑化の現状に関する研究」だ。

 榎本氏の論文によると、「緑被率の低い地域は緑被率の高い地域に比べ全ての調査区において7.6%~52.9%二酸化炭素排出量が増加していることを確認できた」とあり、「所得においても関係があるのか、野村総合研究所のエリア別の推計結果『世帯当たり年間総所得』を参考にした(緑被率の高い地域、低い地域)における年間総所得は千代田区(950~1,100、580~620)、中央区(680~720、580~620)、港区(1,250~1,500、1,100~1,250)、新宿区(850~950、650~680)、文京区(720~780、580~620)、台東区(650~680、580~620)、墨田区(580~620、580~620)、江東区(650~680、580~620)、品川区(650~680、560~580)、目黒区(950~1,100、650~680)、世田谷区(720~780、580~620)、渋谷区(950~1,100、850~950)、中野区(580~600、500~530)、杉並区(680~720、530~560)、豊島区(680~720、580~620)、練馬区(680~720、580~620)であった(単位:万円)。この結果から墨田区においては解明する点もあるが、緑被率と所得については相関関係があると考えられる」としている。

◇      ◆     ◇

 緑被率の低い地域は緑被率の高い地域と比べて二酸化炭素排出量が増加するというのは理解できるのだが、緑被率の高い地域に住む人のほうが低い地域に住む人より所得が多いことが調査で確認できたことが凄い(記者は、金持ちは絶対緑が多い山の手に住むと考えてきたが)。

 例えば千代田区。緑被率の高いエリアに住む人の年収は950~1,100万円で、緑被率の低いエリアに住む人の580~620万円と比べ実に370~480万円の差がある。この他、目黒区は300~420万円、世田谷区は140~160万円、文京区は140~160万円、区全体として緑被率が低い台東区でも70~60万円の差がある。平均すると100万円くらいの差がある。緑被率が高い戸建てに住んでいる人のほうが年収が高いということだろうか(最近の分譲戸建ては敷地面積が狭く、ほとんどコンクリで固められるので、ぺんぺん草も生えないが)。

 やはり区全体の緑被率が低い墨田区は所得差がないことについては記者もよくわからないが、緑被率より他の要素を重視するアジア系のコミュニティが形成されているのと関係がありそうな気がするのだが…。

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三井不動産レジデンシャルとヒルトンは9月25日、三井不動産が参加組合員として参画・推進している「日本橋一丁目中地区第一種市街地再開発事業」の三井不動産レジデンシャルが事業推進する賃貸レジデンスの名称を「ウォルドーフ・アストリア・レジデンス東京日本橋」と決定し、ヒルトンの最上級ラグジュアリーブランド「ウォルドーフ・アストリア・ホテルズ&リゾーツ」の名を冠したアジア太平洋地域初のレジデンスとなると発表した。入居開始は2027年秋の予定。

レジデンスは、プロジェクトのメインタワー(高さ約284m)の4851階に誕生し、3947階に開業予定のホテル「ウォルドーフ・アストリア東京日本橋」と連携し、「ウォルドーフ・アストリア・ホテルズ&リゾーツ」ブランドの象徴であるお客様一人ひとりに合わせたきめ細やかなサービスを居住者に提供する。

ヒルトンは、ウォルドーフ・アストリア・レジデンスをニューヨーク、ラスベガス、シカゴ、ドバイなど現在9軒展開しており、アジア太平洋地域では同ブランドのレジデンスは初となる。居住者専用の共用施設として50階にキッチン付きパーティーラウンジ、マルチルームを備えたテラス付きロビーラウンジを用意。50階ラウンジ一面に広がる屋外テラスは地上約250m。住居には、ホテルスタッフによるポーターサービス、ヴァレーサービスのほか、ランドリー・クリーニング、ハウスキーピング、ルームサービス、出張シェフ・ケータリングサービスなどを提供する。また、ホテルのレストラン、プール、スパ、フィットネスなどの共用施設の利用に際しては、レジデンス各フロアから居住者専用エレベーターでホテルフロアにアクセスできる。

日本橋一丁目中地区第一種市街地再開発事業は、東京メトロ日本橋駅直結の総敷地面積約18,990㎡で、A街区は業務・商業施設からなる4階建て延床面積約約 5,100㎡、B街区は住宅・商業施設からなる7階建て延床面積約約 6,500㎡、C街区はフィス、商業施設、ホテル、居住施設、MICE施設、ビジネス支援施などからなる52階建て延床面積約約368,700㎡。都市計画・事業コンサルタント・基本設計・実施設計・監理は日建設計。外観デザインは日建設計、Pelli Clarke & Partners Inc。施工は日本橋一丁目中地区第一種市街地再開発事業建設共同企業体。全体竣工は20269月末。

「ウォルドーフ・アストリア・レジデンス東京日本橋」は、C街区の4851階に設けられ、延床面積は約14,800㎡。専用面積は約60~約430㎡。総戸数は71戸。入居開始は2027年秋の予定。

        ◆     ◇

専用面積が最大で約430㎡なのに驚いた。三井不動産レジデンシャルは2016年に分譲した「パークマンション檜町公園」では約580㎡、価格にして55億円(坪単価3,129万円)の供給実績があるが(麻布台ヒルズはもっと広くて高いのか)、賃貸レジデンスはどうなのか。

 

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「Sensuous City(センシュアス・シティ)[官能都市] 2025」

 LIFULLの社内シンクタンク「LIFULL HOME'S総研」は9月24日、「Sensuous City(センシュアス・シティ)[官能都市] 2025」報告書を発刊した。2015年に発刊した第一弾の「Sensuous City(センシュアス・シティ)[官能都市]」に次ぐもので、第一弾の「センシュアス」(官能性)に加え、「ナラティブ」(物語)の概念を新たな調査項目に加え、「ナラティブ」が「センシュアス」や「ジェネリック」(普遍的魅力)に大きな影響を与えていることを浮き彫りにした。業界関係者必読の報告者だ。

 調査は、47都道府県の県庁所在都市や政令指定都市、中核市に居住する20歳~64歳までの男女を対象に、時代の変化を捉える8指標・32項目について設問したもので、有効回収数は167都市の44,472件。

 調査の結果、「センシュアス・シティ」総合ランキングは1位が千代田区・中央区、2位が横浜市西区、3位が豊島区、4位が大阪市北区・福島区、5位が横浜市中区、6位が渋谷区、7位が港区、8位が大阪市中央区、9位が福岡市博多区、10位が大阪市天王寺区・浪速区となった。2015年は上位だった武蔵野市、目黒区、金沢市、品川区、静岡市、盛岡市などは順位を下げるか、圏外となった。一方、宮崎市、松本市などの地方都市がランキング入りした。

 同総研はセンシュアス度が向上した都市の特徴として、①カフェやレストランが多く、地元産の食材を用いた料理や地場のビールなど、豊かな「食」の経験が維持されること②きれいな青空や夕焼けや小鳥のさえずり、木陰での気持ちよい風など感じられる環境であること③路上での演奏・ライブなど都市の喧騒だけなく、歩くこと自体を楽しめること-なことが分かったとしている。

 報告書は、A4版270ページに及ぶもので、同総研所長・島原万丈氏のほか、横浜市立大学都市社会文化研究科准教授・渡會知子氏、一橋大学大学院ソーシャル・データサイエンス研究科教授・清水千弘氏、ディ・プラス橋口理文・吉永奈央子氏、九州大学大学院人間環境学研究院都市・建築学部門助教・有馬雄祐氏、柏市役所副市長・山田大輔氏、東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻講師・吉江俊氏、LIFULL HOME'S PRESS編集部・渋谷雄大氏、東京情報堂代表取締役・中川寛子氏、スピーク共同代表/東京R不動産ディレクター・林厚見氏の論文・寄稿文が掲載されている。

 島原氏は「2015年に発表した『Sensuous City[官能都市]』は、『動詞で都市を測る』というユニークな評価方法を提案しました。それから10年。私たちの都市は大きな転換点を迎えています。全国的に広がる市街地再開発は、土地の高度利用を進め、機能性や安全性を高める一方で、街の『らしさ』を希薄にしてきました…『Sensuous City 2025』では、前回から継承する『関係性』と『身体性』のフレームを基盤に、評価指標となるアクティビティ項目を時代に合わせてチューニングしました。さらに今回は、新たに『ナラティブ』という概念を導入して都市がセンシュアスであることの意義について深い分析を試みています。ナラティブとは、人々の経験や記憶、さらには歴史や文化が重なり合って紡がれる都市の『語り』のことです…ナラティブが都市の幸福やシビックプライドを増幅させる――この循環こそが、センシュアス・シティの大きな意義です。本調査が、これからの都市政策やまちづくりの新たな指針を描くための契機となることを願っています」とコメントしている。

 報告書は希望する人に無料で進呈される(なくなり次第終了)。希望する人はLIFULL HOME'S総研公式サイト:https://www.homes.co.jp/souken/report/202509/へ。

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島原氏

◇       ◆     ◇

 「官能」といえば「小説」しか思い浮かばない記者は、取材案内メールに「官能都市」の文言がちりばめられていたので、スルーしようかと思った。どうせ、根拠など全くない、ただ面白おかしく紹介するSBIアルヒ「本当に住みやすい街大賞」(昨年から公表されなくなったが、同社はその功罪を明らかにしていない)か、デベロッパーの影が透けて見える〝住みたい街〟やら〝住みやすい街〟の類だろうと考えたからだ。

 まあ、しかし、時間はたっぷりある。同総研副所長・チーフアナリストの中山登志朗氏のような楽しい人が登壇するのだろうから、冷やかしの一つや二つ浴びせかけてやろうと参加することにした。

 ところが、豈図らんや。予想した発表会とは全然異なった。島原氏は同社のシンボルカラーのオレンジで身を固めて登場するのかと思ったら、濃紺のスーツだった。

 報告書は前段で紹介した通りだ。「官能」の本来的な意味である「五感で感じる」をモノサシにして都市を評価したものだ。島原氏は第1章で「雑多さや猥雑さ、いかがわしさ、夜など、政治的な〝正しさ〟で武装した資本とアカデミックな工学が重視してこなかった、あるいは意図的に排除した、人間が生きる場所であるところの都市の本音を救出する意図もあった」と、発刊した理由を述べていように、官製の報告書では絶対ない、主人公である居住者の生の声であふれかえっている。〝路上でキスした〟〝素敵な人に見とれた〟〝地元産の食材や郷土料理を楽しんだ〟〝木陰で気持ちよい風に吹かれた〟などだ。総合ランキング1位の「東京都千代田区・中央区」だって容赦しない。ウォーカブルの指標では3位になった理由として、「『道端でくつろぐ猫を見かけた』の144位が足を引っ張った」ことを挙げている(記者は千代田区、中央区はウォーカブルな街づくりのトップランナーだと思っている。ネコを見かけないのがマイナス要素になるとは…)。

 嬉しくなる指標項目もある。「グラングリーン大阪」の街づくりの評価が高いのもそうだが、都市のリトリートでトップは「日野市、多摩市、稲城市」となっていることだ。「木陰で気持ちよい風に吹かれた」のが評価ポイントだという。わが多摩市が素晴らしい街であることをこれまで何度も記事にしてきたが、居住者も同じ考えのようだ。一方で「江東区」がこの指標で2位となっており、「公園や水辺で緑や水に直接ふれた」というのがその理由なのは解せない。江東区は多摩市と対照的に住居系用途地域が極端に少なく、工業系ばかりで緑が少なすぎると思っているのだが…だからこそ住民は少ない公園や水辺を評価していると理解することにした。

 参考までに、記者は街のポテンシャルを測るモノサシを紹介すると、①大勢の人が集まり、おいしてものが食べられるホテルがあること②なんでも揃うデパートがあること③歴史・文化施設があること-この3つが基準で、最近はやや軌道修正し、タバコが吸えるドトールとせんべろが可能な日高屋があることを追加した。これにマクドナルドを加えた〝御三家〟が不動産進出の決め手になることを同業の記者から教わった。

 各氏の論文を一つひとつ紹介する余裕はないが、島原氏は序章で「もしこの10年間に国内で出版された都市論の中から最も重要な10冊を選べと言われたら、吉江俊氏の『<迂回する経済>の都市論』(2024年)は、その筆頭に上げたい画期的な一冊」と綴っている。「<迂回する経済>の都市論」を早速ネットで購入した。 

 林氏の寄稿「みんながデベロッパーになる時代」は現在の街づくりに警鐘を鳴らしている。「デベロッパーは意味的には終わった」の言葉には肺腑をえぐられた。

 ただ、報告書に注文・疑問もある。記者は、調査範囲をもっと広げ約260ある人口10万人以上にしたらどうかと質問したら、島原氏は「広げたいのだが、コストがかかるので…」と話した。ならば、先日発表された積水ハウスの「男性育休白書」と連携したらどうか。素晴らしいものになるはずだ。疑問点は、先の「日野市、多摩市、稲城市」は似ているようで似ていない。「豊島区」は風俗も所在する池袋もあれば、戸建て住宅街もある。他の区市もそうだろう。広域・狭域の視点も必要ではないか。

 -読みだしたら止まらない。書き出したら止まらない。もうやめる。とにかく面白い。業界関係者必読の書だ。

◇       ◆     ◇

 報告書で興味深いことを発見した。経歴だ。島原氏は「1989年リクルート入社」で、LIFULL HOME'S総研所長に就任したのは2013年とある。1989年といえばリクルート事件が発覚した翌年だ。所長に就任した2年後に「官能都市」を発刊したことになる。

 島原氏のほかにもリクルート出身の執筆者は3人いる。林氏は、リクルート創業者の江副浩正が立ち上げたデベロッパー・スペースデザインに在籍していた。清水氏は2000年11月に        リクルート住宅総合研究所主任研究員に就任している。橋口氏もリクルート入社とある。

 なぜ、このようなことを書くかといえば、記者にとってリクルートは特別な存在だからだ。リクルート事件では数回にわたって特集記事を書いた。コスモスイニシアは創業時からずっと取材してきた。〝デベロッパーの頭脳〟と呼んでいいほど商品企画が優れている。それは、江副の「自ら機会をつくり、機会によって自らを変えよ」という起業家精神がずっと引き継がれているからだと思う。「官能」と「都市」を結びつけ、さらにまたナラティブ(語り)を付加した島原氏もまた創業時のDNAを受け継いでいるに違いない。

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〝負けたらあかんで東京に〟返上「グラングリーン大阪」南館3/21オープン(2025/3/17)

〝都落ち〟考えるヒントに「都県境の家賃が安い駅ランキング」 LIFULL HOME'S(2024/12/19)

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不快な臭い芬々〝住みやすい〟街ランキング調査無聊をかこつ記者のつぶやき(2020/12/14)

 


 

 

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「レーベン京都河原町五条ONE SUITE」

 タカラレーベン(事業比率40%)・パナソニックホームズ(同35%)・積水化学工業(同25%)の3社JVマンション「レーベン京都河原町五条ONE SUITE」のモデルルームを見学した。京都市の中心地「田の字地区」の玄関口に位置する11階建て(高さ規制31m)の大規模物件で、敷地南側に寺院がある関係で、南側住戸の日照が担保され、共用施設が充実しているのが特徴。販売担当者は「田の字エリアでこの価格で分譲できる最後の物件」と強調した。

 物件は、京都市営地下鉄烏丸線五条駅から徒歩4分、京都市下京区の商業地域、近隣商業地域(建ぺい率80%、容積率574.07%)に位置する11階建て全186戸。第2期(戸数未定)の専有面積は50.68~85.03㎡、予定価格は5,300万円台~10,500万円台(最多価格帯7,300万円台)。竣工予定は2026年9月上旬。デザイン監修はウイ・アンド・エフヴィジョン。施工は日本国土開発。

 第1期(72戸)の契約会を9月6日に実施し40戸が契約済み。申込者の7割が京都市内居住者で、その他は東京都を中心に広域に広がっておいる。これまでのエントリー数は約1,000件。

 現地は、市内中心地の「田の字地区」の玄関口にあたる五条駅が最寄り駅で、敷地形状は凸型に近く、底の部分に当たる北側が高さ規制31mの五条通に面しており、突き出た部分は駐車場に当てられている。駐車場の左右(建物の南側)は長さ数十メートルにわたって墓地が広がっている。

 標準階の住戸は内廊下を挟んで南向きが10戸、北向きが8戸。プランは南西角の85㎡台が10戸、南東角の81㎡台が10戸、北東角の74㎡台が10戸。このほかは50~60㎡台。

 主な基本性能・設備仕様は直床、リビング天井高2400ミリ、ガス洗濯機・乾燥機「乾太くん」など。共用施設はフィットネスルーム、ゴルフシミュレーションルーム、ゲストルーム、マルチルーム、屋上テラス、ラウンジなど。

 同社マンション事業本部西日本支社営業推進部第2営業部1課・上田遼氏(26)は、「おそらく、田の字地区を中心とするエリアでこの価格で買える最後のマンションになるはず」と語った。

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ラウンジ

◇          ◆     ◇

 価格については詳しくは触れない。現地を見ていないし(見る余裕がなかった)、価格は市場(消費者)が決めるものだ。ただ、上田氏が語ったように、単価は割安感があると思う。今後は、調整区域だろうが土地代がただだろうが、坪単価250万円以下はありえず、建築費・人件費の上昇を考えると、早晩300万円になるのは間違いない。

 ましてや、この物件は京都駅から歩こうと思えば約20分の至近距離だ。関係者によると田の字エリア内は坪400万円を軒並み突破しており、とくに人気の高いエリアの物件は坪800万円しているそうだ。

 そして何よりこの物件の特徴は、隣接する墓地はほとんど永代所有権が設定されているので、他の用途に転用される可能性がない、つまり、マンションの南側に面した住戸の日照が担保されているということだ。商業地域立地で、敷地の南側数十メートルにわたって高い建物が建たないマンションなど100に一つあるかないかだろう。第1期に申し込んだ人は圧倒的に地元居住者が多いのは、この日照権が担保されている実利を選択したからだろう。同社もまたそこにターゲットを絞り込んだと思われる。

逆もまた真〝京都らしくないが、京都を知る人の評価高い〟大和ハウス「三条堀川」(2025/9/13)

京都好きには堪らない自然素材ふんだんに採用コスモスイニシア50周年「御所南」(2025/9/13)

雲散霧消した不動産流通推進センターに対する積年の疑問「嫌悪施設」取材(2024/10/25)

「心理的瑕疵」「嫌悪施設」とは何か釈然としない国交省「死の告知ガイドライン」(2020/10/10)

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