81㎡の広さが受けたか よく考慮されたプラン コスモスイニシアのリノベ「武蔵新城」
「ヴィラヴェール武蔵新城」
高齢の一人暮らしの親と子どもの同居を想定した、コスモスイニシアのリノベーションマンション「ヴィラヴェール武蔵新城」を見学した。2月中旬に販売開始し、すでに成約済み。契約者は企画意図と異なる夫婦二人だが、専有面積81㎡の圧倒的広さが評価されたようだ。
物件は、JR南武線武蔵新城駅から徒歩7分、川崎市高津区千年新町に位置する5階建て全60戸。専有面積は81.76㎡。売り出し価格は5,980万円(坪単価242万円)。竣工は1992年2月。分譲時の事業主は荏原製作所。
プランは、高齢の独り暮らしの親と成人した単身の子の二世帯が同居することを想定。12.8帖大のリビング・ダイニングは、親の部屋の間の間仕切りをなくし(スライドドア付き)、親の部屋と子どもの部屋は収納スペースを挟んで直接接しないように配置。洗面はL型とし、二人が同時に使用できるようにし、浴室は16×16サイスで引き戸を採用。子ども部屋にはシンク付きバーカウンターを設置。親と生活スタイルが異なっても、気兼ねなく過ごせるようにしている。6帖大のゲストルームも設けている。
子ども部屋
before and after
幅1.4mの玄関(他社はどうしてやらないのか)
L型洗面
◇ ◆ ◇
同社の2023年3月期のリノベーション事業は、売上高160億円(前期比5.3%増)、売上総利益率13.4%(同0.3ポイント増)、引き渡し戸数313戸(同42戸減)だ。単純計算すると、戸数は新築の427戸より114戸少なく、利益率は新築の22.5%より低いが、1戸当たり価格は5,135万円で、新築の4,699万円より高い。利益率が新築より低いのは、リノベ費用が掛かり、手間・暇を掛けるからだろう。
他社のリノベ物件は見ていないので比較は難しいが、同社の物件は結構見ている。ターゲットを絞り込む戦略が奏功しているとみた。近い将来、新築を逆転するかもしれない。
今回の物件もよく考慮されたプランだ。玄関・ホールの演出がいい。従前は尺モジュールだったのを、下足入れを犠牲にして幅約1.4mに広げている。住宅の顔である玄関の演出に力を入れているのは、同社のマンション、戸建ての十八番だ。リノベーションでも生かされている。
シンク付きの子ども部屋も納得だ。夫婦間でも別室を希望する人は一定数いるし、生活スタイルが異なる親と子には受けるはずだ。多目的に利用できるゲストルームの提案もいい。
購入者は企画意図とは異なる夫婦二人と言うことだが(これはよくあるケース)、圧倒的な広さと、武蔵小杉の新築のほぼ半値という価格が評価されたのではないか。従前は荏原製作所の社員寮と聞いたが、全体的にレベルは高い。天井高は2400ミリだが二重床。周辺は戸建て住宅街。駅からのアプローチも「江川せせらぎ遊歩道」を利用できる。取材の帰り、シラサギをみた。
同社が10年前に分譲した「イニシア武蔵新城」の記事も添付する。
現地
「江川せせらぎ遊歩道」
天晴れ 大和ハウス・芳井社長&大東建託・竹内社長の即断即決 賃貸に関する災害協定
竹内氏(左)と芳井氏
大和ハウス工業と大東建託は3月5日、両社グループが管理する賃貸住宅約189万戸の平時・有事の協業・情報共有を推進し、地域の防災力向上と入居者の安心・安全の暮らしを提供する「災害における連携及び支援協定」を締結したと発表した。
協定の対象となるのは、大和リビングか管理する約65万戸、大東建託パートナーズが管理する約124万戸、合計189万戸で、平時では全国の賃貸住宅入居者のほか、オーナー、地域住民を対象としてAEDの講習や水災・火災のVR体験、消火訓練などの防災イベントを共同開催するなど、有事を想定した情報連携により、地域防災力の強化を図る。
震度6弱以上の地震の発生もしくは警戒レベル5「特別警報」が発令される有事の際には、両社グループで協議のうえ、共同対策本部を設置。被災地域の状況調査結果や空室情報、被災者支援策を共有することで、被害状況を把握し早期の災害復興に役立てるとともに、被災地域の賃貸住宅入居者の仮住まいを融通し合あう。
あわせて、大和ハウスグループのロイヤルホームセンターとも連携を図り、災害用備蓄品や復旧用資機材を必要に応じて供給し、大和ハウス工業の全国9か所の工場に移動式貯水タンクを設置し、有事の際、被災地域の賃貸住宅入居者に生活用水を配給する。
会見に臨んだ大和ハウス工業代表取締役社長・芳井敬一氏は協定締結の経緯について、「2018年の岡山水害の現場を見て、当社が施行した建物は何ともないのに隣は大きな被害を受けていたりその逆もあったりした。同じ被害であるのに、このような差が出るのか、1日も速く賃貸住宅の平和をとりもどせないかずっと考えてきた。そんな折、昨年、三井住友海上さんから大東建託さんの取り組みを紹介された。大東建託さんとはお会いしたいと考えていたので、竹内(社長)さんにお会いし、非常に素晴らしい、ぜひ進めましょうと即決していただいたのがスタート。(管理戸数)業界トップの大東建託さんと組むことは世の中に大きなインパクトを与える。いかに被災者の方々の笑顔を取り戻すかが協定締結の主旨。このような輪を広めていただきたい。トップ同士の決断が大事だということも分かった」などと話した。
大東建託代表取締役社長執行役員・竹内啓氏は、「当社グループはこれまで個社で平時の防災イベント・訓練を実施してきており、有事には被災地の状況調査、そしてオーナー、入居者様の支援策に取り組んできた。(昨年には)『大東建託グループ防災ビジョン2030』を策定した。ビジョンは『地域の“もしも”に寄り添う』という理念のもと、地域防災を平時と有事の両輪で支援し、当社グループ全体で災害時の地域の早期復興に寄与していくことを目指すもの。今回の連携によって、安心・安全により効果的な活動ができると考えている。両者の基盤をいかし、密に連携し迅速な対応を行っていく。地域全体の防災力の向上、地域住民の命と財産を守ることに少しでも貢献できればと考えている」と語った。
◇ ◆ ◇
両社から共同会見の案内を受け取ったときは、双方は敵ではないにしろ、オーナーを奪い合う競合関係にあるはずで、協定締結の意図は何なのかよく分からなかった。
しかし、この日(5日)、芳井氏と竹内氏の話を聞いて、疑問は氷解した。考えてみれば、公助はあてにできないことをみんな知っている。ましてや防災・防犯は個社の力でできるものではない。日ごろから地域全体の防災・防犯の取り組みを行っていくことが大事なことも分かっている。問題はだれがやるかだ。
それを両社は決断した。両社グループが管理する賃貸住宅は、全国の賃貸住宅約1,500万戸の12~13%にしか過ぎないと考えることもできるが、大変な数字だ。いかにこの種の取り組みが困難であるかの例を示す。。
マンションの管理計画が一定の基準を満たしていれば地方公共団体が認定する管理計画認定制度が令和4年度からスタートした。令和5年12月末時点で認定実績は378件(国土交通省が把握しているもの)しかない。全国のマンションストック約694万戸(2022年末時点)に対する戸数割合は示されていないが、0.3%程度と思われる。制度は遅々として進んでいない。
これとは別に、マンション管理状況を★5つで評価するマンション管理業協会のマンション適正管理評価制度がある。2023年12月末現在、登録件数は2,624件となっている。同協会は令和6年度末までに1万件の登録を目指している。
この1万件がどのような数字かについて、同協会副理事長・小佐野台氏(日本ハウズイング代表取締役社長CEO)は2023年6月の総会後の懇親会で「一言だけ皆さんにお願いしたい。2年後のマンション適正管理評価件数を1万戸にするには、会員354社の管理件数の1割で達成できます。ちょうど1割、たった1割で達成できます」と呼び掛けた。これまた容易な数字ではない。
賃貸住宅は両社が管理しているから可能なのだろうが、芳井氏も話したようにトップダウンで即決即断したのが決め手ではないか。仕掛け人の芳井社長は元ラガーマンだが、最前線の押し合いへし合いのFWではなかった。確かBKで司令塔的な役割を果たしていたはずだ。今回の協定も賃貸市場を冷静に俯瞰し決断したはずだ。ラグビーは試合が終わればノーサイド。お互いが健闘を称えあう-そのようなスポーツマンシップが生かされたと記者は理解した。ボトムアップだったら途中で頓挫していた可能性が高い。両社長の決断に天晴れ!座布団5枚!
◇ ◆ ◇
会見で、大東建託は全国58拠点で18の自治体と防災協定を締結していることを知った。災害時に飲食料、防寒具などの災害支援物資の提供、帰宅困難者の一時的な受け入れ、災害時にガス・電力・水などのインフラの提供などだ。
マンションを避難ビルに指定したり、施設を帰宅困難者に提供したりする事例は聞いているが、これほど多くの拠点で自治体と協定を結んでいる企業は他にあるのか。
生活用水用の1000リットル入り貯水タンクを前に、左から大東建託取締役常務執行役員・守義浩氏、竹内氏、芳井氏、大和ハウス工業取締役常務執行役員 集合住宅事業本部長・出倉和人氏(大東建託は能登半島地震でも二缶セットで10回現地に運んだという)
1低層・国分寺崖線・全館空調 三菱地所レジ「等々力」第1期13戸/15戸に申し込み
三菱地所レジデンスは3月3日、第一種低層住居専用地域位置し、かつ国分寺崖線に近接する全館空調システム付き「ザ・パークハウス 等々力」(39戸)の第1期分譲15戸を販売した結果、3戸に申し込みが入った。
坪単価は非公表だが、74㎡で11,980万円(535万円)、124㎡で25,780万円(686万円)だった。(記者は坪700万円を突破しても売れると見ていたのだが…)
国分寺崖線に近接する1低層&全館空調採用 三菱地所レジ「等々力」分譲(2024/2/20)
ケイアイスター不 オーストラリアの戸建て・タウンハウス事業が好調
ケイアイスター不動産は2月27日、オーストラリア現地法人KI-Star Real Estate Australia Pty Ltdの戸建てやタウンハウスの販売が好調に推移していると発表した。
同社は2020年に海外事業部門を立ち上げ、2021年にオーストラリア ビクトリア州に現地法人のKAU社を、2023年5月にKAU社と現地デベロッパーの合弁会社MunCorp Pty Ltdをそれぞれ設立。以降、これまで2年間で累計100区画を開発。現在、7つのプロジェクトを推進中。
同社独自の「ケイアイプラットフォーム」の目利きとデータドリブンのアプローチがオーストラリア市場でもその効果を発揮しているとし、今期・来期に累計600区画以上の用地確保を目指し、今後ビクトリア州を中心に豪州での戸建住宅の開発を推進していく。
大和ハウス ベトナム北部初の物流着工/三井不 米国初の物流2事業に参画
大和ハウス工業は3月4日、タイ王国で物流施設や工場の開発などを展開する最大手のWHA Corporation PCLが共同出資するベトナムの現地法人と、首都ハノイから東へ約40kmのフンイエン省「ミンクアン工業団地」内のマルチテナント型物流施設「DPL Vietnam Minh Quang」(平屋建て敷地面積約70,109㎡、延床面積約42,330㎡)を着工したと発表した。同社のベトナム北部での初の開発物件。
同社は、「第7次中期経営計画(2022年4月~2027年3月)」で、海外事業は2026年度には売上高1兆円、営業利益1,000億円を目指すとしており、ASEAN・東アジアでは売上高500億円を計画している。
◇ ◆ ◇
三井不動産は3月4日、米国子会社Mitsui Fudosan America, Inc.を通じ米国を代表する不動産開発・投資会社であるTishman Speyerと共同事業契約を 締結し、2事業へ出資したと発表した。同社初の米国物流施設事業に参画するもので、出資上限額は5億ドル(約680億円)。
2事業は、カリフォルニア州オレンジ郡アーヴァイン市に位置する「(仮称)Great Park Parcel 1」(延床面積約55,300㎡)と、カリフォルニア州サンフランシスコ市の既存物流倉庫を取得し、リニューアルする「(仮称)2225 Jerrold」。
大谷効果で加速するか デベロッパー、ハウスメーカーのスポーツ・スポンサーシップ
MLB最優秀賞に輝いたエンゼルス大谷翔平選手が、10年間で1,000億円を超える契約金でドジャースに移籍したことで世界は沸き立った。2023年12月22日付日経新聞は「関西大の宮本勝浩名誉教授は――ドジャースに移籍したことによる2024年の経済効果が約533億5,200万円に上るとの試算を発表した」と、2024年3月2日付日刊スポーツは「大谷の『商品価値』」は、やはり10年総額1,000億円超の年俸だけでは計れそうにない」とそれぞれ報じた。
野球だけでなく、最近は従来のサッカー、ゴルフなど一部のスポーツだけでなく、パリオリンピック2024の開催年でもあることから卓球、バトミントン、バスケット、スケートボード、スポーツクライミング、サーフィン、フェンシング、パラスポーツなどメダルが有望な選手・種目にも注目が集まっている。
そこで、主なデベロッパー、ハウスメーカーのスポーツ・スポンサーシップ、CSRの取り組みを紹介する。従来は、「ブランド力向上」「販売促進」などが主な目的で、自社のロゴや看板の露出時間をテレビ広告料に換算してスポンサーシップの効果を計ってきたが、最近は様々なイベントを活用してSNSなどで直接消費者にアピールし、ビジネスにつなげているのが特徴だ。(あいうえお順)
・いちご Jリーグトップパートナー。ウエイトリフティング部、ライフル射撃部の部活動も。
・エイブル スキージャンプ髙梨沙羅、プロテニスプレーヤーダニエル太郎、スノーボードアルペン竹内智香などのスポンサー。首都大学サポート企業。
・オープンハウスグループ ヤクルトスワローズのトップスポンサーとして知られており、村上選手が史上最年少で三冠王を獲得した2022年に「3億円の家」をプレゼントし全国区になった。3億円は2023年9月期決算の経常利益1,369億円の0.002%。このほか「つば九郎ハウ巣」を建設したり「日本で一番スワローズな家」を販売したりした。
・木下グループ フィギュアスケートでは圧倒的なテレビ露出時間を誇る。卓球、サーフィンなどのスポンサーにもなっている。
・ケイアイスター不動産 2015年から障がい者アスリートを継続して雇用しており、2019年4月にケイアイチャレンジドアスリートチームを発足。「デフフットサル」、「デフサッカー」「ろう者柔道」「車いすバスケットボール」「車いすバドミントン」などで活躍中。
・コスモスイニシア 2007年に発足した小学校4年生以下を対象とした野球大会「コスモスイニシアJr.カップ」に協賛している。
・サンフロンティア不動産 日本トライアスロン連合(JTU)のオフィシャルスポンサー。
・スターツ 日本卓球協会トップパートナーで、伊藤美誠選手などが所属。陸上競技部を持ち、東京マラソンなどのスポンサーにもなっている。
・積水化学工業 卓球早田ひな、テニス内山靖崇などの支援活動を行っている。
・大成有楽不動産 国立競技場の施設運営会社。
・大和ハウス工業 日本サッカー名蹴会、日本パラ水泳連盟、日本トライアスロン連合、全国野球振興会、湘南ベルマーレ、日本視覚障害者柔道連盟などのスポンサー。
・東急不動産 会員制フィットネスクラブ「東急スポーツオアシス」を運営しており、2022年度の売上高は155億円。
・東京建物 2024年秋開業予定の東京都の「有明アーバンスポーツパーク」の整備・運営を行う事業者の代表企業に選定されている。日本障がい者スポーツ協会のオフィシャルパートナー。
・日本エスコン エスコンフィールド北海道日本ハムファイターズのネーミングライツを取得。球場周辺の大規模開発「北海道ボールパークF ビレッジ」内で様々な不動産開発事業を展開している。
・野村不動産 野村不動産パートナーズはパラアスリート支援を行っており、「東京都スポーツ推進企業」に7年連続、文化庁「スポーツエールカンパニー2023」に6年連続でそれぞれ認定されている。スポーツクラブ「メガロス(MEGALOS)」を運営する子会社・野村不動産ライフ&スポーツの売上高は 150億円(2023年3月期)。
・長谷工コーポレーション 「学生駅伝」オフィシャルパートナー。
・ポラスグループ 本場徳島、東京高円寺とあわせ日本三大阿波踊りの南越谷阿波踊りの協賛会社として知られるが、スポーツでは浦和レッズのトップパートナースポンサー。
・三井不動産 同社は3月1日、商業施設事業とスポーツ・エンターテインメント事業の連携を加速させるため、「商業施設本部」を「商業施設・スポーツ・エンターテインメント本部」に改称し、ソリューションパートナー本部の「東京ドーム事業部」を同本部に4月1日付で移管すると発表。組織改正に伴い、常務執行役員・若林瑞穂氏が同本部長委嘱に就任し、副本部長委嘱に肥田雅和氏が執行役員として昇格すると発表した。
2021年に株式の80%(残りは読売新聞社)を取得し子会社化した東京ドーム運営では、シェアオフィスなどのリニューアル工事を施した。2023年3月期の売上高は731億円。年間来場者数は4,000万人。来場者の数は、新宿伊勢丹の約2,500万人、東京ディズニーランドの約2,200万人をはるかに超える。
2016年から子どもを対象とした「三井不動産スポーツアカデミー」は2024年2月現在、開催件数は26回を数える。
また、同社は2027年開業予定の新秩父宮ラグビー場の運営企業として鹿島建設(代表企業)、東京建物、東京ドームなどとともに参画することが決定している。
・三菱地所 同社グループは「三菱一号館美術館」の運営のほか、メセナ大賞に輝いた「Shall Weコンサート(出張コンサート)」「キラキラっとアートコンクール」「藝大アーツイン丸の内」「アートアワードトーキョー 丸の内」など文化・芸術活動支援に力を入れている。
スポーツ分野では、日本開催のラグビーワールドカップではオフィシャルスポンサーとなり、様々なイベントを開催した。日本障がい者スポーツ協会のオフィシャルパートナー。
・リスト 横浜FCのドリームパートナーのほか、横浜マラソン、トライアスロンなどに協賛し、プロスキーヤー佐々木明選手とスポンサー契約を結んでいる。
◇ ◆ ◇
従業員の健康増進のためにスポーツ活動の促進に積極的に取り組む企業を認定する文化庁の「スポーツエールカンパニー」は1,246社、従業員のスポーツ促進やスポーツ支援に取り組む企業等を認定する東京都の「東京都スポーツ推進企業」は483社。
企業メセナ協議会の「Mécénat Report2022」(回答企業517社)によると、メセナ活動費総額は663億円で、内訳は企業が183億円(n=254)、財団(n=166)が480億円。令和4年度の企業版ふるさと納税実績は、金額が341億円(前年度比1.5倍)、件数が8,390件(同1.7倍)となっている。
経団連が1990年度から毎年度報告してきた、会員企業による社会貢献活動の動向調査「社会貢献活動実績調査」は2017年度で終了しており、2019年4月、任意団体としての「1%クラブ」を解散し、経団連企業行動・CSR委員会(2019年5月に現委員会名称に変更)の下部に「経団連1%クラブ」として位置づけ、活動している。2017年度の社会貢献活動支出額は回答企業全体で1,997億円、1社平均では5億9,300万円となっている。
これらの額が多いか少ないか分からないが、東証日経平均株価が4万円を本日(3月4日)突破したことを考えると、圧倒的に少ないような気がするが…。
新大阪駅南口エリアまちづくり協議会設立 野村不、東急不、西松建設など参画
対象エリアは青の部分
スリー・ワイ・エム・ディ・オールコーポレーションをはじめとした30者(個人含む)は3月1日、新大阪駅南口エリア(本地区)のまちづくりを検討する組織「新大阪駅南口エリアまちづくり協議会」設立し、運営推進パートナーの野村不動産、計画作成パートナーの東急不動産、西松建設、丸紅都市開発とともに本地区の活性化、街の価値や魅力の向上などの取り組みを行っていくと発表した。本地区の対象エリアは約13ha。
協議会設立の背景・経緯として「本地区において2023年より民間主導の勉強会等を開催し、地権者の皆様と意見交換等を行ってきました。その中で、本地区では駅の乗降客数が多いにもかかわらず、駅から外への人の流れが少ないことや、築40 年の老朽化した建物が増加しているなど多くの課題を抱えていることを共有し、将来のまちづくりビジョンなどを組織として検討する」ためとしている。
今後、勉強会の実施、知名度向上のための各種イベント、行政機関などとの連絡、協議、調整、「まちづくりビジョン」や「地区整備方針」などの策定を行っていく。
◇ ◆ ◇
新大阪駅は、取材のために数えきれないくらい乗り降りしたが、駅構内から外に出た記憶はない。どのような街か全然知らない。「うめきた」に負けない街づくりはできないのか。参加企業は「うめきた」にも加わっていない東京の会社ばかりというのはなぜか。13haといえば「HARUMI FLAG」と同じだ。
電話・FAXが主流 アナログ物流業界 24年問題に対応できるのか 大和ハウス勉強会
更科氏(左)と坂田氏
大和ハウス工業は3月1日、物流「2024 年問題」への取り組みと「業界動向勉強会<物流施設事業篇>」をテーマにした業界動向勉強会を開催。同社執行役員東京本店長建築事業本部営業統括部長・更科雅俊氏が同社の物流事業の24年問題の取り組みを説明し、ゲストのHacobu取締役COO・坂田優氏は物流業界の現状と今後の方向性などについて話した。
更科氏は、2007年に事業参入してから物流施設(Dプロジェクト)の開発実績は海外を含み384棟、開発延床面積約1,335haを開発。投資計画も「第7次中期経営計画(2022年4月~2027年3月)」での計画投資額約1兆1,660億円に対し、2年間で約半分のペースで堅調に投資を行っていると説明。2024年度(86期)竣工予定物件は20件で、①災害対策➁ダイバーシティ➂環境配慮➃地域交流-に力を入れていると話した。
2024年4月から施行される年960時間の時間外労働規制に対しては、フレームワークス、アッカ・インターナショナル、Hacobuなどとの連携を強化し、ドライバーの時間外労働の上限規制・割増賃金の引き上げ・作業員の絶対数不足に取り組んでいくとした。
坂田氏は、わが国の企業間物流が買換えているアナログ体質を紹介し、法律改正により事業者に対する荷待ちへの罰則を設けるなど、政策への対応、デジタル技術の活用が求められると話した。
同社が展開するMOVE Berth利用事業者は約4年間で2,715か所から15,855か所へ約6倍、利用ドライバー数は117寝518人から546,300人へ約5倍増加したと報告。①どのような荷物が②どこからどこへ③どのような手段で運ばれているかの情報を蓄積し、活用することが重要と語った。
◇ ◆ ◇
大手ハスウメーカーやデベロッパーが24年問題に対応しているであろうことは容易に想像できる。しかし、今回の勉強会では、坂田氏も指摘したように、何年も前から指摘されているアナログ体質が物流業界では解消されていないことがクローズアップされた。29兆円にも達する企業間物流が電話やファックスが中心というのは信じられない。約3兆円の宅配便の再配達の課題は解消されつつあるではないか。
ほんの一握りの大手企業の取り組みが末端まで浸透させるためには何が欠けているのかを知りたかったが、勉強会では分からなかった。
課題山積アナログの物流業界荷待ち・再配達は有料化すべきだが…大和ハウス勉強会(2024/3/2)
総数8か月、持家26か月、分譲戸建て15か月連続減 国交省 令和6年1月住宅着工
国土交通省は2月29日、令和6年1月の新設住宅着工戸数をまとめ発表。総戸数は58,849戸(前年同月比7.5%減、8か月連続の減少)で、内訳は持家14,805戸(同11.0%減、26か月連続の減少)、貸家24,681戸(同2.7%増、6か月ぶりの増加)、分譲住宅19,039戸(同16.1%減、先月の増加から再びの減少)。分譲住宅の内訳はマンション9,020戸(同24.8%減、先月の増加から再びの減少)、一戸建住宅9,867戸(同6.7%減、15か月連続の減少)。
首都圏マンションは4,442戸(前年同月比33.1%減)、都県別では東京都3,287戸(同19.7%減)、神奈川県459戸(同66.8%減)、埼玉県574戸(同22.0%減)、千葉県122戸(同71.6%減)。
課題山積 アナログの物流業界 荷待ち・再配達は有料化すべきだが…大和ハウス勉強会
物流業界がアナログ業界であることは以前から聞いていた。この日(3月1日)の物流業界をテーマにした大和ハウス工業「業界動向勉強会」で配布されたHacobuの資料にもその後進性が示されていた。国土交通省は「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律」を改正し、荷待ちルールなどを守らない事業者の罰則強化を図るようだが、魑魅魍魎の世界をどう変えるのか。
資料によると、物流は企業間物流と宅配便ラストワンマイル(宅配便をこう定義づけているようだ)に分けられ、前者の市場が29兆2,750億円、後者が2兆9,250億円。圧倒的多数を企業間物流が占める。関係する業種はメーカー、メーカー倉庫、流通事業者、小売事業者で、それぞれfirst、second、third の運送業者と電話・ファックスでやり取りするのが主流になっている。
このアナログ的なコミュニケーションが様々な問題・課題を抱えているようで、国土交通省が調査した「荷待ち時間の発生有無に対する認識」では、「発生している」は荷主出荷(n:296)が24.0%、荷主入荷(n:297)が20.6%、実運送(n:1022)が73.4%、元請(n:599)が54.5%となっている。認識に大きなずれがあることが分かる。これは男女間、恋人同士でもよくあることだ。捨てられるときは、永遠に待っても返事すらないのが普通だ。
もう少し詳しく知ろうと、元データである国交省のアンケート「R3年度トラック輸送状況の実態調査結果」を調べた。対象者は運送委託者(荷主)が5,200社、運送事業者が5,000社で、回答数は前者が666 社(回収率12.8%)、後者が42社(同19.7%)だ。運送委託者(荷主)の概要は、従業員数50人以下が79.7%、資本金5,000万円以下が86.2%となっており、中小・零細企業が大多数を占めている。
記者はこの回収率の低さに驚いた。どこかの調査機関のアンケートなら分からないではないが、市場改善を図るための国の調査であるにもかかわらずこの低率だ。回答しないその理由を聞きたい。
調査は86ページに及ぶもので全てを紹介することはできないが、問題が山積していることが分かる。例えば「荷主等に対して燃料費上昇分を不当に据え置くことが勧告・公表の対象となることについて質問をしたところ、実運送では67.6%、元請では71.1%が『知っている』との回答であったが、実運送では32.4%、元請では28.9%が『知らない』と回答」とある。また、「標準貨物自動車運送約款について質問をしたところ、『知っている』が49.5%であったが、『改正された約款の存在も内容も知らない』と答えた荷主企業が49.8%で半数を占めていた」「『トラック運送業における下請・荷主適正取引推進ガイドライン』について質問したところ、ガイドラインの存在について知っているとの回答が半数以上の52.7%を占めたが、『ガイドラインの存在も内容も知らない』との回答が47.3%もあった」とある。
「標準運送約款」「ガイドライン」がどのようなものか、記者はもちろん知らないが、マンション標準管理規約を知らない管理組合が多いのと一緒。守るべきことを知らなければ業務改善ができるわけがない。
今後の課題や国に対する要望も多数寄せられている。以下に列挙する。
・納入日や納入時間は、納入先の要望によるため断ることが出来ない。納入先によっては待機場所が無く、待ち時間が多くなる場合がある。
・ 零細企業では、運賃や条件等の要望が受け入れてもらえない現状があり、運送事業者から言われるまま対応するしかない。
・ 送料無料を廃止しなければ、運送業界の待遇は改善されないと思う。物流にはコストがかかっていることを認識させる必要がある。
・送料無料に対し、運賃は運送事業者に支払うものであるという認識が浸透してほしい。
・荷物を運んでもらえないと困るので、運送事業者の言いなりになっている。顧客と運送事業者との板挟みになることも少なくない。
・繁忙期では明らかにドライバーの疲労がみられる。物流量に対してドライバーが不足している。
・出荷先・納品先との相互理解が必要であると考える。
・荷主への罰則がないと、協力を求めても改善は実現しない。
・荷受・荷卸先、倉庫等関係者が多く、荷主との交渉では(労働時間は)改善されない。
・時間帯指定が多く、保有車両の削減ができない。
・最低運賃が設定されない限り、低運賃の事業者と競争となる。
・休息をとるための駐車スペースがないため、沿道の空きスペース活用してトラック専用の駐車場の整備をして欲しい。
◇ ◆ ◇
課題・要望はみんなよく理解できる。テレビショッピングで当たり前となっている「送料無料」もそうだ。あらゆるサービスがそうであるように「無料」はありえない。小生はAmazonで書籍をよく購入するが、本体(書籍)より送料のほうが高いものも少なくない。いまネットで調べたら、「モデルハウス先着10,000組へQUOカードなど゜20,000円進呈」とあったが、「進呈」は正確ではない。「裏金」処理のように収支があいまいにされることもあると思うが、普通は商品に価格転嫁されているはずだから、これは消費者負担だ。わが住宅・不動産業界も多くの問題を抱えている。
「荷待ち」「再配達」の有料化について。宅配便は、送り主と受け手が契約を結んでおらず、送り主が一方的に送るケースも少なくないので、再配達料金を受け手が支払う義務はないような気もするが、企業間物流は、きちんと契約を書面化(データ化)すれば、荷主-配送業者-受け手それぞれの責任の所在が明確になり、契約を履行しない事業者が荷待ち、再配達料を負担するのが当然だと思うが…。
電話・FAXが主流 アナログ物流業界 24年問題に対応できるのか 大和ハウス勉強会(2024/3/2)
待ったなしアナログ一掃建設DX取り組み加速セーフィー 360°カメラ提供開始(2024/1/30)
宅配ドライバーの負担軽減へ Amazon&三井レジリース「置き配」で協業(2023/3/3)
「物流」に「AI」ドライバーに「愛」大和ハウス&日立物流コンテスト説明会(2022/12/1)
アナログの世界に楔 IoT活用で物流市場を変える Hacobu多業種と連携し課題解決構想(2019/9/22)