代々木上原の一等地〝徳川山〟大京の最上位ブランド「リジェ」全12戸が人気
「リジェ代々木上原テラス」
大京は1月11日、最上位ブランド「リジェ」を冠した首都圏では21年ぶりのマンション「リジェ代々木上原テラス」のエントリーの受付を開始した。同日、メディア向けモデルルーム見学会を行った。
物件は、小田急小田原線・東京メトロ千代田線代々木上原駅から徒歩5分、渋谷区西原3丁目の第一種低層住居専用地域(建ぺい率60%、容積率150%)に位置する敷地面積約1,126㎡、地上3階、地下2階建て全12戸。専有面積は85.85~214.37㎡(平均141㎡)。価格は非公表。竣工予定は2025年3月27日。設計はアーキサイトメビウス(長島芳弘氏)。施工は佐藤工業。
昨年9月から非公開で分譲を開始しており、価格は北向き住戸が2億円台(85㎡、坪単価776万円~)で、全12戸のうち10戸が販売済み。一般分譲対象は専有面積177.80㎡と214.37㎡の2戸で、2月に分譲する予定。首都圏〝リジェ〟シリーズとしては「リジェ御殿山」30戸(2003年竣工)以来21年ぶり。
現地は、代々木上原駅から比高差約10mの標高約40mのヒルトップに位置。明治時代の初期に木戸孝允が開発し、その後、徳川家が所有していたことから一帯は「徳川山」と呼ばれ、戦後の1931年、西武グループの創業者・堤康次郎によって「徳川山分譲地」として分譲された低層住宅街の一角。区の土地利用調整条例により最低敷地面積は200㎡、建物の絶対高さは10mと定められている。
敷地は、幅員約5.4mの東側道路に接道。形状は東西軸が長いL字型で、東側から西側にかけて約1層分下る傾斜地。西側隣地とは8~9m高く、敷地南側はマンション、北側は邸宅地。
主な基本性能・設備仕様は、「ZEH-M Oriented」、「BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)」認証取得、リビングなど居室天井高2.65m超、サッシ高約2.18m、廊下幅約1.1m、駐車場設置率150%(18台)、フローリングはホワイトアッシュ突板&600×1200ミリタイル、アッシュ柾目ドア、Miele製食洗機など。
模型(写真提供 撮影・ジャーナリスト長谷田一平氏)
モデルルーム(写真提供 撮影・ジャーナリスト長谷田一平氏)
モデルルーム(写真提供 撮影・ジャーナリスト長谷田一平氏)
◇ ◆ ◇
代々木上原駅圏のマンションは、駅前の「ペアシティ代々木上原」をはじめ10物件は見学している。これらの物件と比較して、今回の物件の立地は互角以上であるのは間違いない(規模などを総合評価すると「プラウド上原」がトップか)。
モデルルーム(130㎡)もよくできている。ソファや椅子が80万円とか40万円とかで、冷蔵庫はドイツLIEBHERR(リープヘル)社製、ソープはフランスFER A CHEVAL(フェール シュヴァル)製。ワイングラスは小生の顔くらい大きかった(ちょっと大げさか)。その他の備品も一見して高価そうなものばかりだったが、奇を衒ったものは一つもない正統的な億ションだ。人気になるのもよく分かる。同社は価格を公表していないが、最低価格とモデルルームの設備仕様レベルから判断して安いと思う。現時点で同駅圏の最高単価かどうかは微妙。
同社のこれまでの物件との価格、単価比較について。記者は「リジェ」シリーズを知らないし、2003年竣工の「リジェ御殿山」はいくらだったのかも分からないので何とも言えないが、単独事業としては今回の物件が単価、販売価格とも同社のバブル後の最高値になるのではないか。
共同事業では、2017年分譲の同社(事業比率30%)とオリックス不動産(同30%)・東急不動産(同40%)の3社JV「ブランズ六本木 ザ・レジデンス」は坪単価950万円だった。これとどうかではないか。
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昨年末にお会いし、今回の写真の提供を提供していただいたジャーナリスト・長谷田一平氏の記事も添付する。最高に面白い。URLは以下。
http://kamakura-photo-press.cocolog-nifty.com/blog/
記者とは無縁の「融通無碍」ブログ発信者 長谷田一平氏(76)とバッタリ(2023/12/26)
現地(北東側から写す)
現地(南東側から写す)
これぞ本物の億ション 坪950万円はむしろ安い 東急不動産ほか「六本木」(2017/12/11)
坪800万円をはるかに突破? 三菱地所レジ フラッグシップの「代々木大山」(2023/9/9)
代々木上原の1低層 デザイン性高く借景見事 小田急不・大和ハ・地所レジ「上原」(2021/3/11)
駅4分の1低層 息をのむほど美しいサペリの建具 三菱地所レジ「代々木上原」(2018/12/14)
三井レジ他「パークコート渋谷大山町」 低層住宅街の大規模 単価は470万円(2014/12/3)
環境・都市・住宅政策の取り組み強化 不動産協会・吉田理事長 新年賀詞交歓会
吉田氏(オークラ東京で)
不動産協会と不動産流通経営協会は1月10日、新年合同賀詞交歓会を都内のホテルで開催した。会の冒頭、参加者全員が能登半島地震で亡くなられた方々のご冥福を祈る黙とうをささげたのち、不動産協会理事長・吉田淳一氏が以下の通り挨拶した。参加者は1,050人。
皆様、それぞれお健やかに新しい年をお迎えのことと存じます。不動産協会理事長の吉田でございます。
本日は不動産協会、不動産流通経営協会合同の新年賀詞交換会に、堂故(どうこ)国土交通副大臣をはじめ、日頃よりご指導いただいております国会議員の先生方、関係諸官庁・友好団体や報道関係の皆様など、多数ご出席いただき、まことにありがとうございます。主催者を代表いたしまして、ひとこと年頭のご挨拶を申し上げます。
まずは、今般の能登半島地震で亡くなられた方へご冥福をお祈りするとともに、被災された方々へ心よりお見舞いを申し上げます。被災地の一刻も早い復旧・復興を心から願っております。
さて、今年の新年賀詞交換会は人数制限なく通常にお食事を提供して開催しております。活気ある会にしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
昨年を振り返ってみますと、コロナの5類移行により完全にコロナ禍からの脱却が図られ、社会経済活動の正常化が進められてきました。インバウンド観光客もコロナ前を上回る勢いで増加しており、経済の活性化に貢献しています。
スポーツにおける明るい話題もありました。WBCでの侍ジャパンの優勝をはじめ、バスケットボールやラグビーのワールドカップでの日本チームの健闘には、大きな感動を覚えました。スポーツの力の大きさを改めて実感した次第です。スポーツやエンターテイメントへの取り組みを魅力的なまちづくりにも活かしていきたいと考えています。
一方、ロシアによるウクライナ侵攻は、いまだ終結の兆しがなく長期化しており、さらにはパレスチナでの紛争が勃発し、こちらも停戦の兆しが見えません。国際秩序の維持に向けて、各国が連携を深めていくことが期待されます。
そうした中で、我が国の経済は緩やかな回復基調にありますが、物価上昇や世界経済の下振れリスク等の不透明な状況により、先行きについては予断を許しません。また、少子化・人口減少をはじめとした構造的な課題にも直面しています。
こうした中、GXやDXを加速させ、経済社会の変革を進め、持続的な成長を実現するためには、様々な社会課題の解決を経済成長のエンジンに変え、民間投資を拡大、我が国の競争力を一層強化するとともに、分厚い中間層を形成していくことが不可欠です。
当協会では、そうした観点から、税制について、要望活動を積極的に進めてきました。先日決定された令和6年度与党税制改正大綱では、最重点要望であった住宅ローン減税の借入限度額の維持について、1年間、子育て世代に対して認められたのをはじめ、土地固定資産税の負担調整措置や国家戦略特区の特例の延長など、当協会の主要な要望は概ね認めていただいています。経済の力強い成長に寄与する措置として大いに歓迎したいと思います。ご尽力いただいた先生方、関係の皆様方に、厚く御礼申し上げます。
さて、今後の協会の活動について簡潔にお話しいたします。
2050年カーボンニュートラルの実現に向け、官民連携してGXを促進する取り組みが進んでおります。環境政策につきましては、持続的成長と経済合理性、社会課題解決、顧客共感という三要素の共通理解・同時実現が不可欠です。当協会としても不動産業界におけるGXを加速させるための環境整備に引き続き取り組んでいきます。
そうした中で、普及促進の途上にあるZEH、ZEB水準への取り組み加速や、中高層建築物の木造化促進、SCOPE(スコープ)3への取り組みについてもしっかりと行っていくことが重要です。
都市政策につきましては、都市の国際競争力の強化が引き続き重要です。世界中から多様な人を呼び込むビジネス・生活環境の整備として、都市の魅力を高める機能集積を図り、質の高い賑わい空間を創出すべく、まちづくりGXの推進、ウォーカブルな空間形成、エリアマネジメントの着実な進展に取り組みます。
住宅政策につきましては、豊かな住生活の基盤となる安心・安全で良質な住宅ストックの形成・循環に向け、質の高い住宅の供給、こども・子育て世代等、多様なニーズへの対応を進めてまいります。
とりわけ、マンションにおいては建物と居住者の両方における高齢化の「2つの老い」が進行し、課題となっています。今後、高経年マンションストックの急増が見込まれる中、区分所有法の改正が議論されており、マンション建替え決議の多数決要件引下げなど合意形成の円滑化、適正な管理の推進に向けて取り組んでいきます。また、子育て世帯等を支える住まいと環境づくりについては、今般、政策支援をいただいておりますが、継続・充実化に努めてまいります。
その他、国際化への対応を進めるほか、事業環境の整備について、2024年問題への対応も踏まえ ますます重要性を増す物流不動産、インバウンドの回復により事業機会が拡がるリゾートの開発なども対象として、幅広く取り組んでまいります。
当協会としては、国民の暮らしを豊かにするまちづくりや住環境の整備を通じ、我が国の経済・社会の発展に向けて、貢献していきたいと考えておりますので、引き続きご理解、ご支援賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
結びにあたりまして、皆様の一層のご活躍とご健勝をお祈りし、また今年一年が皆様や国民にとって明るく良い年となることを祈念申し上げて、私の挨拶とさせていただきます。
ありがとうございました。
左から三菱地所元社長・杉山博孝氏、三井不動産会長・菰田正信氏、吉田氏
吉田氏(左)と鹿島建設・押味会長
「元大京の林」「地域社会のタカラ」「鹿島自社ブランド・戸塚」不動協 賀詞交歓会
〝地域社会のタカラになるぞ〟右から島田氏、手島氏、秋澤氏、岩本氏
本日(1月10日)行われた不動産協会・不動産流通経営協会(FRK)の合同新年賀詞交歓会は、不動産協会理事長・吉田淳一氏(三菱地所会長)の挨拶を聞いたらすぐに帰ろうと思っていた。元旦の能登半島地震に始まり、2日は羽田衝突事故、5日には写真家・篠山紀信さんの死亡が伝えられ、昨日は〝お酒はぬるめの 燗がいい肴はあぶった イカでいい〟の歌手・八代亜紀さんの死去報道にとどめを刺された。新年を祝う気分にはなれない。
帰ろうと思ったときだ。だしぬけに「元大京の林です」と声を掛けられた。名刺にはワールドレジデンシャル取締役営業本部長とあった。年齢は68歳。一挙に30年前、40年前の記憶が蘇った。林氏が大京横浜支店に勤務していたとき、マンションの商品企画や販売状況なとについて定期的に話を聞いていた。生の情報を得られるのはとても貴重だった。
ワールドレジデンシャルは現在、仙台で大手デベロッパーとの共同事業マンションを手掛けているそうで、首都圏では「王子神谷」で分譲中と聞いた。取材を申し込もう。
林氏
◇ ◆ ◇
林氏とお会いし、もう帰ろうとしたときだ。今度はMIRARTHホールディングス(ミラースHD)の島田和一社長をはじめ、タカラレーベン・秋澤昭一副社長、同社・手島芳貴専務、同社執行役員・岩本大志氏の〝タカラのカルテット〟とバッタリ出くわした。
こちらから聞きもしないのに、4氏は異口同音に「今年は進化(メモにそう書いたら)、そうではなく深化。長期ビジョンに『地域社会のタカラであれ』を掲げた」と語った。手島氏は「今年は(RBA野球大会で)優勝するぞ」とほらを吹いた。
法螺は聞き流したが、打ちひしがれていたときだったので、「地域社会のタカラであれ」には感動した。首都圏マンションは激減しているが、東北をはじめ地方都市で供給を伸ばしているのは分かっている。今年は地方のマンションを取材しよう。地震にびくともしないマンションを造ってほしい。「甲府」がそろそろ始まるのではないか。
島田社長!お願いだ。来年は常務執行役員マンション事業本部東日本支社長・原忠行氏と〝業界のレディー・ガガ〟取締役兼執行役員事業開発推進室長兼事業開発推進部長・髙荒美香氏も連れてきてください。
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このあたりからいつもの調子に戻っていた。ワイングラス片手に鹿島建設会長・押味至一氏に突撃取材した。「会長、わたしは鹿島のファン。マンションを造らせたら右に出るものはいない。しかし、鹿島の社員も買える大衆マンションを供給していただきたい」と。(大手ゼネコンで自社開発マンション事業を手掛けているのは同社のみ)
押味会長は微笑を浮かべながら「今年は大変な年になる。お客さんとよく話し合って事業を進めたい」と語り、大衆マンションの供給については〝ウン〟とは言わなかったが、代わりに同社開発事業本部本部次長事業部長・梅田慎介氏が「戸塚がある」と話した(「戸塚」は知っているが、「鹿島」ブランドにふさわしいか…見学を検討しよう)。
押味氏
「経済・社会の発展に貢献」不動協・菰田理事長/日本を「菅」変える 新年賀詞交歓会(2023/1/7)
三井不の岩沙氏・菰田氏・植田氏、野村不HDの沓掛氏の今年に託す漢字(2023/1/7)
最多はカイヅカイブキ 外来種のヒマラヤシダー、フウなど目立つ 神宮外苑の既存樹木
神宮外苑イチョウ並木(青山通りから写す)
全樹木の樹種分布
年末年始は神宮外苑再開発の既存樹調査に没頭した。昨年末に行われた千葉商大主催のシンポジウム「神宮外苑の歴史的文化的資産の価値を守る-イチョウ並木と100年の森-」で、基調講演を行った中央大学研究開発機構教授・石川幹子氏(イコモス日本国内委員会理事/東京大学名誉教授)が「なぜマスコミは事実を報道しないのか」の一語に触発されたからだ。
小生もメディアの端くれだ。「事実」とは何かという問題はあるが、どのような樹木がどこにどれだけ植えられているかを伝えるべきと判断して調べることにした。誤解を招かないように改めて旗幟を鮮明にする。記者は再開発に反対ではない。秩父宮ラグビー場には一度も行ったことがないが、神宮球場は老朽化か進んでいる。西武球場や東京ドームもいいが、エスコンフィールドのようないい環境でヤクルト(対戦相手も同様)、六大学、東都大学の野球選手が活躍できるようにしてほしい。
問題なのは、再開発の根拠になっている東京都の公園街づくり制度であり、神宮外苑を都市公園と考えている人たちへの説明が不足しており、歴史的、文化的に貴重な巨木を大量に伐採する計画であることだ。これらについては何回も記事にしてきた。再開発を主導している三井不動産は「parkシティ浜田山」や「HARUMI FLAG」などで素晴らしい街づくりを行っている。どうして今回は分かりやすい説明をしないのか、不思議でならない。
まあ、こんな繰り言はともかく、既存樹木のデータは揃っている。事業者は2022年8月、ホームページに85ページにわたる膨大な「既存樹木調査データ」(PDF)を公表した。3m以上の樹木が対象で、本数は2,470本。秩父宮ラグビー場、イチヨウ並木、野球場、建国記念文庫、軟式野球場などエリア別に樹種名、樹高、幹周りなどの規格、活力度評価、保存の必要性、移植の難易度、現況などの関連事項、保存・移植・伐採などについて1樹木につき43列の詳細な調査結果がまとめられている。
しかし、データはPDFであるため1本1本の樹木の現況は把握できるが、全体として神宮外苑の森がどうなっているのかを把握するのは難しい。
そこで、弊社のスタッフに全データをエクセルに変換してもらい集計した。別表がそれだ。確認できたのは1,931本。内訳は保存が901本、移植が253本、伐採が777本(うち秩父宮ラグビー場のイチョウ18本は移植検討)となった。公表データより539本少ない。(事業者は「既存樹木については、一本一本を大切に扱い、様々な工夫により、極力、保存又は移植し、四列のいちょう並木は保存するとともに、新たなみどりも創出することとして、みどりの割合は約25%から約30%に、樹木の本数は1,904本から1,998本に増加させる」「3m以上の樹木の伐採本数は743本」としている)
集計ミスだろうと何度もやり直した。結果は変わらなかった。理由は分かった。PDFデータには連番が付されているが、ほとんどのエリアで番号が飛んでいる。例えば軟式野球場西側は445本のはずが330本しか表示されない。軟式野球場東側も277本のうち207本しかない。
なぜか。考えられるのは、調査を行ったのは2018年12月25日~2019年1月28日で、2022年5月12日に436本を対象に追加調査した結果をデータとして公表しているので、この間に枯損木として処分された樹木に敬意を払い、永久欠番にしたではないかということだ。
それにしても539本の差は大きい。消えた樹木はどうなったのか、3m未満なので切り捨てたのか、通し番号通りになっていない理由を聞きたいものだ。(小生の集計ミスか)
しかし、そんなことを考えていてもらちが明かないので全樹木のリストを紹介した。一般的な寺社仏閣とは全然異なることが分かる。わが故郷・伊勢神宮の象徴であるスギ(学名:Cryptomeria japonica=日本の隠れた財産)(は2本のみで、〝松竹梅〟のうち松はクロマツとアカマツ合わせて33本、梅は2本、竹は1本もない。その逆に、樹高が20mを超えるヒマラヤシダー73本、フウ18本、ユリノキ9本、プラタナス9本、メタセコイア7本、タイサンボク5本など明治時代以降に輸入された外来種が存在感を示していることが分かる。
伐採樹木でもっとも多い204本のカイヅカイブキも同じだ。コニファーに似ていることから昭和の時代に洋風生垣として多用されたようだが、小生の田舎で生垣といばマキノキが主流だった。創建の目的が明治天皇を奉ることであり、デザインもそうだが欧米の文化を積極的に取り込んでいた当時の社会状況を反映しているのは明らかだ。
カイヅカイブキはこのうち164本が伐採されることになっており、全伐採樹木777本の21%を占める。樹高はほとんど5m以下なので代替えもきく。みどり環境に及ぼす影響は少ないのではないか。同様に樹高が5m以下の樹木は49本のサンゴジュ、25本のモクセイ、13本のツバキ、9本のサザンカなどもそうだ。
これらのことを考慮すると、事業者が現在のみどり率25%を30%に引き上げる計画としているのはそれなりに説得力がある。再開発に反対する人たちは屋上緑化も「みどり」に含めると批判しているが、足元のみどりを増やすことは可能だと思う。
2番目に多い166本のマテバシイはどこにでもよくある常緑広葉樹で、3番目の158本のイチョウはほとんど樹高が20mを超えている神宮外苑のシンボルだ。
鈴木敏・澤田晴智郎氏著「公園の話」(技報堂出版)によると、このイチョウ並木は「1923年(大正12年)から4年がかりで、新宿御苑の一本のイチョウから取れた実を育て、その苗を植えたものだそうです」とあるから凄いではないか。みんな兄弟姉妹だ。地下では根を絡ませて仲良くしているのか、分捕合戦を演じているのか。「母」の枕詞として知られる垂乳根は雄株にも生えるというのも面白い。施設に近接している西側より東側のイチョウのほうが樹高が2mくらい高いのは、その東側に植樹帯があるためだ。
このほか、総じて常緑樹が多いのも特徴で、〝なんじゃもんじゃ〟の愛称で知られるヒトツバダコは59本。
細かいことだが、気になった樹種名もある。シダレザク48本、ヤエザクラ33本、ヤマザクラ18本、ソメイヨシノ29本、カンヒザクラ」4本、カワヅザクラ1本と品種で表示されているのに、「サクラ」も39本ある。このほか、43本のモクセイと9本のキンモクセイは異なるのか、24本のイロハモミジと6本のノムラモミジ、7本のモミジはどうなっているのか。
以下は小生にもなじみが深い樹木について。カキやビワ、イチョウ(銀杏)はもちろんだが、ヤマモモが最高に美味しかった。裏山の至るところに自生しており、初夏のころになると、父親と木に登ってかごいっぱいに収穫し、砂糖をふりかけて食べた。クワの実もなかなか美味しい。カヤノキの実は、形はアーモンドに似ており、拾っては家に持って帰り、炒ってもらってよく食べた。それほど美味しいものではない。シイノキの実も美味しくはないが、よく食べた。モチノキは、実を擦ってメジロ獲りに使った。これも美味しくはない。カクスノキはもっとも好きな木の一つで、いつも葉っぱをちぎっては匂いをかぐことにしている。ドクダミの葉っぱと同じで、記者にとって鎮静剤だ。
各エリアの樹木については稿を改めて紹介する。活力度と保存・移植・伐採の関連性も探ってみたい。
カイヅカイブキ
日本イコモスなどは左側の「ロイヤルガーデン カフェ青山」に面するイチョウが弱っていると警告している
秩父宮ラグビー場のイチョウ(立派な垂乳根もある。雄株か雌株か)
,メタセコイアの葉っぱ
ヒトツバダコ(絵画館前広場)
日本一の木造建築会社へ AQ Group・宮沢俊哉社長 年頭所感
宮沢氏
まずは令和6年能登半島地震に被災された皆さまならびにそのご家族の皆さまに心よりお見舞い申し上げます。
昨今のコロナ禍による分断、各地で相次ぐ戦争、気候変動による記録的猛暑など、わずか数年で私たちを取り巻く環境は激変しました。環境と社会が変わることで、企業活動の在り方も大きく変わってきています。そこで、私たちは社会から求められるニーズに応えるため、住に関するサービスを全て提供できる体制を構築。アキュラホームからAQ Groupとして新たな一歩を踏み出しました。
組織体制を見直すなかで、社員の強みを活かす「達人チーム」が成長。ローン等を扱う専門部隊が株式会社AQファイナンスとして独立しました。さらに新設事業として「AQスマートな家 事業部」が誕生。「スマート」「アキュラホーム」「レジデンス」と手頃な価格から高級邸宅まで、フルラインナップの提案ができる体制を構築することができました。組織の総合力を活かし成長を続けたことで、今期の業績は3年連続で過去最高売上を更新する見込みで推移しています。
今後も住宅価格高騰や住宅ローンの金利上昇など、お客様の住宅取得はさらに困難な状況になることが予測されます。創業から45周年を迎えた2024年。AQ Groupは過去最大規模のお正月フェアで新春をスタートします。お客様の住宅取得の不安を解消する商品、サービスを展開し、豊かな暮らし実現に寄り添ってまいります。
本年4月には新社屋となる日本初の「8階建て純木造ビル」(埼玉県さいたま市)と木造技術研究所(埼玉県上尾市)が完成します。「8階建て純木造ビル」はショールームとしても活用する予定です。多くのお客様にご覧いただき、木の良さを体感してもらいたいと思います。木造技術研究所には、木造建築技術に特化した研究員を配置し、これまで以上に技術開発を推進していきます。
中大規模木造建築は、森林資源の循環やCO2排出量削減など世界的な課題であるカーボンニュートラル実現に大きく寄与することから、世界中から注目されています。しかし、日本国内における1年間の着工建築物全体の木造率は45.5%に留まっており、非住宅建築物や中高層建築物のほとんどは木造以外の構造で建築されている状況です。
そこで私たちは「普及型純木造ビル」を開発し、日本の街並みに木造建築物を復興する「Re:Treeプロジェクト」を推進しています。国内で最も普及する材と構法を活用し、5階建て以下の領域で木造ビル、木造マンション、木造商業建築を展開していきます。現在、5階建て以下の非木造建築物の床面積は合計で3千9百万㎡とされており、㎡単価を40万円とすると約15.7兆円の市場規模となります。本年は、その大きな市場を木造化していく船出の年となります。
昨年採択された国と連携する「中大木造建築普及加速化プロジェクト事業」を活用し、4階建ての木造マンションをはじめとする中規模木造建築が地域の設計者・施工者の間で広く展開できるよう一般化を目指していきます。そして、「Re:Treeプロジェクト」を加速させ、地域の工務店やゼネコンの皆さまと新たな企業価値の創造に挑戦するとともに、都市の木質化を進めてまいります。
純木造ビルを実現する技術は注文住宅のオリジナル構法「剛木造」に活用しています。「平屋から5階建てまで」を完全自由設計・適正価格で実現し、コストパフォーマンスの高い住宅を提供していきます。そして昨年に引き続き、新たなエリアに進出するとともに多くの出展を継続してまいります。フランチャイズ加盟希望も100件を超え、さらなる拡大を実施する予定です。AQ Groupの技術力とブランド力を地元愛溢れるビルダー・工務店とともに全国へ展開してまいります。分譲事業も各エリアでさらなる出店を行うとともに新規エリアへ進出し、分譲No.1を目指して成長を続けてまいります。
AQ ファイナンスは貸金業の免許を取得し、独自の金融商品の開発を目指していきます。また、資産活用事業やランドサーチ事業も既存の事業とシナジーを発揮することで大きく成長しており、グループの総合力を強みに展開してまいります。
これらの事業の拡大には人財の確保と成長が必要不可欠です。「多様性」をキーワードに国籍・性別・学歴に拘らない採用を一層強化するとともに、若手社員の管理職登用を加速し、大きく成長してもらいたいと思います。
社会が大きく変化する現代だからこそ、企業はいま、時代の流れにあわせ変化しなければなりません。新たに策定した中期経営計画を新たな指針としてさらなる飛躍を目指してまいります。日本一の木造建築会社へ。今年も成長と進化を続けてまいります。
「時を経るほどに美しい住まいと暮らし」提供 三井ホーム・池田明社長 年頭所感
令和6年の年頭にあたり、謹んで新春のご挨拶を申し上げます。
まず初めに、この度の「令和6年能登半島地震」により被災された方々、亡くなられた方々に、心よりお見舞いとお悔やみを申し上げます。被災地域の被害状況については、現在も確認中でございますが、点検および補修対応には安全を最優先にしながら取り組み、一日も早い復旧を心からお祈りいたします。
昨年は、新型コロナウイルス感染症が5類に移行し、社会経済活動は回復基調にありますが、戸建ての注文住宅市場については、部資材価格の高騰、円安や物価上昇等の外部環境の激変に加え、将来のインフレ懸念による消費マインドの低下等により、厳しい事業環境が続いております。しかしながら、12 月に補正予算が成立した「子育てエコホーム支援事業」の創設や、若年層・子育て世帯に配慮した「住宅ローン減税の継続やリフォーム減税の拡充」の公表等を追い風に、今年は脱炭素を見据えた住宅や木造施設系建築への新たな需要の活性化が期待されます。
当社は、昨年7月に木造による「脱炭素の可視化」「中大規模建築物の木造化」および「使用木材の国産化」を更に推進すべく、木造SDGsプロジェクト「MOCX GREEN PROJECT(モクス・グリーン・プロジェクト)」をスタートいたしました。
「脱炭素の可視化」においては、当社が創業以来供給した木造建築の炭素固定量が昨年3月末の時点で約383万トンに達したことを発表し、昨年4月以降に新築された木造建築においても、出荷ベースでの木材使用量に基づいた正確な炭素固定量を算出し、累計炭素固定量を特設ウェブサイトにて随時発信しております。
「中大規模建築物の木造化」については、木造マンション「MOCXION(モクシオン)」の訴求を強化し、「ウッドデザイン賞2023」を受賞した木造4階建て賃貸マンション「MOCXION 四谷三丁目」や、三井不動産レジデンシャルと協業で国際的環境認証「LEED 認証」ゴールドランクの予備認証を取得した木造4階建て賃貸マンション「パークアクシス北千束MOCXION」など環境性能・事業性能に優れた実例が続々と完成しています。その他の分野においても、「Rugby School Japan」の食堂棟や阿蘇くまもと空港の屋根工事など大架構の「MOCX roof(モクス・ルーフ)」を用いた混構造建築が完成しており、木造化・木質化を推進しております。
「使用木材の国産化」については、「ツーバイフォー建築における国産木材活用協議会」や北海道における「建築物木材利用促進協定」等に基づく活動を通じて、木材産業の成長産業化および地方創生への貢献に努めてまいります。
三井不動産グループは、&マークに象徴される「共生・共存」「多様な価値観の連携」「持続可能な社会の実現」の理念のもと、社会・経済の発展と地球環境の保全に取り組んでおります。
同グループの当社は、「高品質な木造建築の提供を通して、時を経るほどに美しい、持続可能なすまいとくらしを世界に広げていく」ことを使命と考えており、今後もその取り組みを強化することで、脱炭素社会の実現に貢献してまいります。また、当社は今年で創立50周年を迎えますので、節目の年にこれまで以上に専用住宅や「MOCXION」をはじめとした賃貸住宅、木造施設系建築の普及・拡大に努め、また、リフォーム・賃貸管理などのストックビジネス、北米圏における海外事業の業容拡大を通じて、より一層の飛躍を目指してまいります。
本年も心新たに、持続的な成長に向け真摯に課題解決に取り組んでまいりますので、今後とも変わらぬご愛顧、ご支援賜りますよう、心よりお願い申し上げます。
「まだ見ぬ、Life & Time Developer へ」 野村不動産HD・新井聡社長 年頭の辞
新井氏
まず、このたびの能登半島地震でお亡くなりになった方々のご冥福をお祈りします。また、被害のあった地域の一日も早い復興を心から願っています。
世の中の変化が加速し、お客様のニーズがますます深化・多様化する中で、私たちも考え方を変えてゆく必要があります。ベースである不動産開発で強みを発揮しながら、新たなステージへ進化して、今までとは違う商品やサービスもお客様に提供していかなければなりません。
その意思を示すのが、野村不動産グループ2030年ビジョン「まだ見ぬ、Life & Time Developerへ」であり、お客様を豊かにする新たなLifeとTimeを創り、それを提供できるグループになることが私たちの目指す方向だと考えます。
大切なのは、私たち一人ひとりが日々努力して進化していくこと。
今年は全員で「まだ見ぬ、Life & Time Developer へ」進化を加速させる年にしてゆきましょう。
倒壊した5階建て(7階建てか)ビル含む約3割の建築物が旧耐震 石川県
北國新聞は1月1日20時30分、令和6年1月1日16時10分に発生した最大震度7の令和6年能登半島地震によって「輪島市内で大規模な火災が発生し、中心部の河井町では輪島塗の五島屋のビルが横倒しとなった。中に人が取り残されているとの情報がある」と報じた。
五島屋のホームページによると、創業は大正13年(1924年)で、「昭和47年(1972年)地上7階地下1階(現在地下は埋設)工場兼店舗の社屋建設」とある。
昭和56年(1981年)6月1日施行の新耐震基準以前なので、いわゆる旧耐震基準によって建設されたものと推測される。(耐震補強が行われているかどうかは不明)。
石川県県ホームページには、平成25年(2013年)現在、県内の住宅戸数439,900戸の約32%(139,000 戸)、多数の者が利用する建築物では、総数約5,500棟の約36%(1,959 棟)が旧耐震(昭和56年以前)の建築物で、同県では平成37年度(2025年度)までに住宅は95%、多数の者が利用する建築物は95%の耐震化を目標としている。
また、「平成19年3月25日午前9時41分、最大震度6強の能登半島地震が発生し、約700棟の住宅が全壊し、2,600人を超える人が避難所生活を余儀なくされました」とあるが、今回の地震は最大震度7なので、被害の拡大が心配される。
創業55周年「迅速果断」に判断・実行 ポラスグループ・中内晃次郎代表 年頭所感
中内氏
2023年5月より新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが、インフルエンザと同じ、5類に移行され、4年ぶりに行動制限等がなくなりました。訪日観光客数も回復基調で、コロナ前と変わらない状態になってきています。
国際情勢に目を向けると、ロシアのウクライナ侵攻による戦争状態が長期化している他、中東におけるイスラエルとハマスの戦闘は予断を許さない状況です。
一方、国内経済では人手不足を背景とした賃金の上昇に加え、円安、資材価格の高騰、インフレ基調、金利上昇の気配など、目まぐるしい変化を続けていますので、経済に影響を与える大きな出来事の予兆や変化を注意深く感じ取ることが必要になります。
2023年の住宅業界は、土地や資材価格の高止まりによる、新築住宅の売れ行き鈍化等、市況は芳しくありませんでした。当社においては、街づくりやデザイン性の高い住まいづくりを推進すると共に、リフォーム事業は補助金等の影響により蓄電池や高効率給湯器を中心に引き合いが強く、また不動産売買仲介も堅調な一年でした。本年も住宅取得促進として税制優遇や補助金等の継続的な施策も予定されていますが、当社の強みに、より一層磨きをかけて、お客様にご満足いただける商品・サービスの提供に努めます。
景気の状況や社会での出来事などに対して、素早く物事を判断し、勇気を持って決断し実行することを「迅速果断」と表現します。「果断」とは「決断すること」を意味しています。
ポラスグループは本年、創業55周年を迎えます。無事に55周年を迎えられることに感謝するとともに、社会情勢や環境の変化に「迅速果断」に対応し、より強い会社として歩む1年としたいと考えています。
デフレから完全脱却できるか、見極める勝負の年 三井不動産・植田俊社長 年頭所感
謹んで新年のお慶びを申しあげます。
昨年は、Chat GPT4の登場による生成AIの急速な普及や、ウクライナ戦争の長期化・パレスチナ問題の再燃による世界の分断の深刻化、主要各国での高金利の継続など、様々な出来事があり、パラダイム転換が起きた年でしたが、劇的な環境変化のもと企業間競争にさらされる現代は、さながらビジネスにおける「カンブリア紀」とも呼べる状況ではないでしょうか。
今年は、バブル崩壊後の「失われた30年」にピリオドを打ち、デフレから完全脱却ができるかどうか、その見極めをする勝負の年だと考えています。デフレのもとでは、付加価値創出のための努力が報われず、中々イノベーションを起こすのは困難でした。しかし、賃金上昇も伴った持続的・安定的なインフレに移行することで、投資の拡大、イノベーションや付加価値の創出、そして、その付加価値をお客様に正当に評価いただく、という好循環が生み出されます。この好循環のもと、日本経済が持続的に成長していくことを期待しています。
当社グループはこれまでも、街づくりを通じた「場」と「コミュニティ」の提供により、集まる人々や企業のイノベーションや付加価値向上のお手伝いを行い、共に成長してきました。大きな環境変化の中で激しい競争に打ち勝つためには、従来のやり方に固執するのではなく、いま一度「顧客志向」を徹底し、お客様に「喜び」「感動」を提供できているか見つめなおすことが必要です。多様な変化に適応しながら、突き抜けた発想でイノベーションを起こし、付加価値を創出することで、日本の産業競争力の強化に貢献していきたいと考えています。
昨年は、大規模再開発プロジェクト「東京ミッドタウン八重洲」や「ららぽーと門真・三井アウトレットパーク大阪門真」などが開業しました。今年は、当社として初めて手掛けるアリーナ施設「LaLa arena TOKYO-BAY」が開業予定です。
昨年はさまざまなスポーツイベントが開催され、スポーツという「シナリオのないドラマ」に人々が大変魅了されました。今年は「パリ2024 オリンピック・パラリンピック」も開催され、より大きな「スポーツの力」によって、世界中の人々を感動の渦に巻き込むことでしょう。当社グループとしても、引き続きスポーツ・エンターテイメントの力を活用するなど、コロナ禍が明け再認識された「リアルの価値」を最大限に高めるミクストユースの「行きたくなる街づくり」、そして、「行きたくなる街にある、行きたくなるオフィスづくり」を一層推進してまいります。
同時に、激しい環境変化のもと、多様化した顧客ニーズに対応していくためには、当社グループの中にも多様性を包摂し、社会のニーズや価値観の多様化に的確に応えていくことが不可欠です。当社グループらしさや強みとなる企業文化を大切にしながら、異なる価値観やバックグラウンドを持つ人同士がそれぞれの意見や発想をぶつけあうことでお互いを高め合える職場づくりや人材育成、女性活躍を含めた「ダイバーシティ&インクルージョン」を実現してまいります。
最後に、昨年に引き続き、脱炭素社会の実現に向けてサプライチェーン全体を巻き込んだ各種施策に、これまで以上にスピード感とスケール感を持って取り組んでまいります。
皆様のこの一年のご健勝とご多幸をお祈り申しあげます