今年のベスト3マンション 三井レジ「赤坂檜町」 東建「目黒」 大成有楽「品川勝島」
記者が選んだ 2015年 ベスト3マンション
三井不動産レジデンシャル「パークコート赤坂檜町ザ タワー」
東京建物・首都圏不燃建築公社「Brillia Towers 目黒」
大成有楽不動産・長谷工コーポ「オーベルグランディオ品川勝島」
記者が選んだ「2015年 ベスト3マンション」は、三井不動産レジデンシャル「パークコート赤坂檜町ザ タワー」、東京建物・首都圏不燃建築公社「Brillia Towers 目黒」、大成有楽不動産・長谷工コーポレーション「オーベルグランディオ品川勝島」とした。今年新規発売された物件のうち記者が見学・取材した85物件の中から選んだ。「赤坂檜町」と「目黒」は今年のマンション市場を象徴する「都心人気」のエポックマンションで、「品川勝島」は、知名度がないエリアでいかに需要を喚起・創造するかの解決法を見いだした販売戦略が光った。
「パークコート赤坂檜町ザ タワー」
「パークコート赤坂檜町ザ タワー」
新国立競技場だけでない 「赤坂檜町」も隈氏デザイン監修 圧倒的人気(2015/12/22)
「パークコート赤坂檜町ザ タワー」は、2年半前に隈研吾氏がデザイン監修することを聞いて、ずっと注目していたマンションだ。
詳細は別掲の記事を参照していただきたいが、東京ミッドタウン・檜町公園に近接するという絶好の立地条件にふさわしいタワーマンションだ。
全322戸のうち一般分譲は163戸だが、地権者向け・事業協力者向け分譲住戸を価格に置き換えたら322戸すべてが1億円になるはずだ。億住戸の多さでは東建「目黒」の365戸には及ばないが、全住戸が1億円以上の物件としては、同社が一昨年に分譲した「パークマンション三田綱町ザ フォレスト」の98戸を3倍も上回る。この記録を破る物件は出てくるのか。
設備仕様では、これを上回る物件はたくさんあるだろうが、いかにも「和の大家」隈氏らしいランドスケープ・外観・共用部分デザインが美しい。隈氏デザイン監修マンションはこれで「神宮前」「神楽坂」「池袋」に次ぎ4棟目になった。新国立競技場に選ばれたことで、隈氏の知名度は全国区になった。未分譲3戸は年明けに分譲されるが、申し込みが殺到するのではないか。価格は公表済みなので、オークションにはならないはずだ。
一般分譲163戸の販売総額は約432億円、一戸当たり平均価格は、東建「目黒」の倍近い2億6,493万円。坪単価は981万円。坪単価は都心のマンションの相場としてはほぼリーマンショック前の相場に戻したというところか。隈氏のプレミアと赤坂・六本木の将来性を考えれば、妥当な単価ではないか。それにしても9月のモデルルームオープンから半年で160戸の億ションが飛ぶように売れるとは…。都心人気は当分続くとみた。
「Brillia Towers 目黒」
「Brillia Towers 目黒」
東建、プレスリリース「目黒」の“億住戸が過去最多”に「定借除く」追加(2015/12/1)
今年前半の目玉マンション 「Brillia Towers 目黒」は坪600万円(2015/4/2)
「Brillia THE TOWER TOKYO YAESU AVENUE」は坪450万円(2015/4/24)
「Brillia Towers 目黒」も記録的な売れ行きを見せた。今年4月以降のモデルルーム来場者は約1万組に達し、全分譲661戸(平均1億1,434万円)に対して最高倍率43倍、平均4.1倍の競争倍率で、しかもわずか4カ月で完売した。バブル時を彷彿させる狂乱人気だ。1億円以上の住戸も365戸に達し、定期借地権付きを除くと最多記録だ。
記者がもっとも注目したのは価格設定だった。一昨年8月、同社が地鎮祭・記者発表会を行った。報道陣の関心事も価格がいくらになるかに集まった。同社担当者は口をつぐみ一切答えなかった。「400万円くらいではないか」という同業の記者もいた。記者はそんなに安くないとみて、坪500万円をはるかに突破すると読んだ。しかし、坪600万円はまったく予想できなかった。
同社の値付けの巧みさには感服する以外ない。わずか10カ月で777戸が完売するとは夢にも思わなかった。いまだに信じられない。価格は信じられないが、ランドスケープは都心マンションでは突出した出来になるのは間違いない。
「目黒」が坪600万円を付けたことで、都心マンション価格のメルクマールになった。都心人気に拍車をかけた、同社が果たした役割は大きい。
個人的には、三菱地所レジデンスと共同で分譲した「Brillia THE TOWER TOKYO YAESU AVENUE(ブリリア ザ・タワー 東京八重洲アベニュー)」の商品企画レベルの高さに驚いた。こちらは一級品のマンションだ。
同社はこれで2012年の「Brillia多摩ニュータウン」、2013年の「Brillia Tower池袋」に続き、近年では3度目の「ベスト3」入り。
「オーベルグランディオ品川勝島」
「オーベルグランディオ品川勝島」
大成有楽不・長谷工コーポ 「品川勝島」の契約者イベントに300名(2015/12/10)
安さだけではない、巧みな需要喚起策 「オーベルグランディオ品川勝島」(2015/4/10)
この2物件はすんなり決めたが、もう一つは選定に苦労した。都心の高額マンションばかりを選ぶのには抵抗を感じたし、話題性といえば、第1期の申し込みは地元より首都圏居住者のほうが多かった三菱地所レジデンス「ザ・パークハウス京都鴨川御所東」もあるが、これも首都圏の物件でないので除外した。
そこで選んだのが、「オーベルグランディオ品川勝島」だ。
「品川勝島」を都心のマンションと見る業界関係者はまずいないはずだ。「勝島」がどこにあるかを知らない人も少なくないはずだ。記者は東京競馬場に近い倉庫街くらいの知識しかなかった。
ところが、同社は、品川がリニアの始発駅となり、隣には「アジアヘッドクォーター特区」があることを広告などで前面に打ち出し、「品川」の物件であることを強調した。記者はシアターに〝新品〟が頻繁に飛び交ったのに面食らった。「シンピンって何だ」とずっと考えていたのだが、「新品」は「シンシナ」と読ますことをあとで知った。イメージ戦略に舌を巻くしかなかった。
販売事務所の設営もいい。カフェスタイルにして入りやすくし、コーヒーは“コーヒーメーカーのフェラーリ”と呼ばれる「LA-CIMBALI(ラ・チンバリー)」製を採用していた。コミュニティ支援の取り組みもアピールしていた。
販売が好調に推移しているのは別掲の記事の通りだ。ここで強調しておきたいのは、同社は予定価格を早めに公開し、ユーザーが物件選びをしやすくしていることだ。価格を分譲間際まで伏せるのは詐欺行為とは言わないが、消費者を馬鹿にしていると思う。改めるべきだ。
さて、同社のこうした販売戦略は奏功したのかどうか。契約者の現居住地を見ると、ずばり的中したことがよくわかる。
もっとも多いのが地元品川区の20.3%で、以下大田区10.4%、港区4.1%、横浜市全体6.0%、川崎市全体4.0%、江東区2.2%となっている。地元品川区だけで20%、隣接の大田区を合わせても30%強で、70%はそれ以外だ。首都圏広域からまんべんなく集客し、契約もそのように推移している。これは、圧倒的な価格の安さという物件の力、武器があるからこそだが、トータルな営業戦略が奏功した結果だ。見事というほかない。
新国立競技場だけでない 三井レジ「赤坂檜町」も隈氏デザイン監修 圧倒的人気
「パークコート赤坂檜町ザ タワー」
今年のマンション見学のおおとりはこの物件以外にない。三井不動産レジデンシャルの「パークコート赤坂檜町ザ タワー」だ。採用が決まった新国立競技場のA案を提案した建築家・隈研吾氏がデザイン監修した分譲全197戸が億ションで、しかもすさまじい勢いで売れた(未分譲は3戸のみ)、都心人気を象徴する今年の代表的物件だ。
物件は、都営地下鉄大江戸線六本木駅から徒歩7分、東京メトロ千代田線乃木坂駅から徒歩3分、港区赤坂9丁目に位置する44階建て全322戸(地権者住戸125戸含む、一般販売住戸163戸、事業協力者販売住戸34戸)。専有面積は57.61~203.96㎡、価格は1億4,920万~15億円。坪単価は1,000万円弱。入居予定は平成30年4月下旬。施工は大成建設。デザイン監修は隈研吾氏。
最終分譲3戸は平成28年1月下旬の予定。価格は1億5,220万(57.61㎡)~5憶8,000万円(136.83㎡)。
再開発手法による東京ミッドタウン・檜町公園に隣接した初のタワーマンションで、デザイン監修を隈研吾氏が担当しているのが最大の特徴。マンション南側からは眼下に公園が広がり、360度の都心の眺望が展開する。
ミッドタウンと地続きのデッキでマンション3階エントランスとつなぎ、赤坂通りとは1階サブエントランスとつながっている。
マンションを大きな1本の樹木に見立て、敷地内には竹林をはじめ四季折々の樹木、グリーンカスケードを配し、壁面緑化も図っている。エントランスは「土」がテーマ。挟土秀平氏のオブジェに水盤、土壁、天井和紙などで幽玄な世界を描いている。3階ラウンジにはいかにも隈氏らしい木調ルーバー天井に檜練り付け板とミラーの大和張り。
建物は免振と制振を組み合わせ、屋上にはAMD(制振装置)を設置。「地層」「石・水」「大地」から「枝」「幹」「道管」「洞」「雫」「樹皮」「樹冠」をイメージした装飾デザインが施されている。外観フィンにランダムに配した光のライティングは照明デザイナーの岡安泉氏が担当する。
モデルルームは、106㎡と157㎡の2つ。前者は同社の「千鳥ヶ淵」「麻布霞町」「千代田富士見」なども担当した鬼倉めぐみ氏が担当。天井高は2700ミリ、サッシ高は2400ミリ。自然石にガラス素材もふんだん用いている。R状のデザインをキッチンや織り上げ天井に採用しているのが特徴。
後者は、鬼倉氏と同じ「千代田富士見」を担当した押野見邦英氏。天井高は3150ミリ、サッシ高は2700ミリ。桧垣文様とヒッコリーと呼ばれる北米の堅い木が多用されている。壁は職人仕上げの塗り壁。リビングダイニングは約36.4畳大、キッチンは約9.3畳大、マスターベッドルームは約25.2畳大。浴室は10畳くらいか。
9月にモデルルームをオープンして以来これまで約1,100組の来場者を集め、11月から分譲開始。分譲163戸のうち160戸が分譲済みだ。
同社開発事業本部 都市開発第一部 営業室主査・大栗裕樹氏は、「来場者の方は、ミッドタウンの隣にタワーマンションが建つとは思っていなくて、みんな驚かれる。ミッドタウンとつながっているランドスケープデザイン、さらには赤坂・六本木はまだまだ伸びしろがあると評価されており、これと隈さんのデザインがマッチしたのが人気の要因」と話した。
屋上のグリーンキャノピー
外壁のヒノキフィン
◇ ◆ ◇
このマンションについては2年前、大和ハウスが東大に隈氏が設計した「ダイワユビキタス学術研究館」を寄贈したとき、隈氏から直接この「赤坂檜町」を担当することを聞いた。2年越しの恋が実ったような気分だ。このマンションを見学せずして年は越せないとも思っていた。
もう少し早く見学したかったのだが、取材を申し込んだときにはお客さんが殺到しており、今回になってしまった。残りはあと3戸のみ。1月末に抽選分譲されるが、倍率がつくかもしれない。
物件のすばらしさは言うまでもない。億ションは数え切れないほどたくさん見てきたが、これもまたいい。
隈氏がデザイン監修するのは首都圏では「原宿」「神楽坂」「東池袋」に次ぎ4物件目。タワーマンションではこれが初めてだ。外壁に木調フィンを張ったり、板を1枚おきに重ねて貼る大和張り、ランダムに貼るガラスや木調ルーバーはいかにも隈氏らしいデザインだ。
鬼倉氏が提案しているガラス製のアクセントウォールは黒か濃紺か得も言われぬ複雑な輝きがあった。照明類はバカラ、把手はスワロフスキー。
押野見が提案している桧垣文様がいい。ヒッコリーを張ったキッチンは300万円でも買えないだろう。10畳大もある浴室は海外のラグュアリーホテルでは当たり前だそうだが、どのように使うのだろうかと考えてしまった。IHはガゲナウ社製で、カウンターとまっ平らで、鍋を置く位置を示す丸い線が入っておらず、どこでも置けばいいとのことだった。
地権者住戸や事業協力者住戸を含め全322戸が1億円以上というのはわが国初だ。しかもわずか2カ月でほぼ完売というのもかつて例がない売れ行きだ。東京建物の「目黒」も霞んでしまうほど衝撃的なマンションだ。
同業や一般の方は、さぞや外国人の購入が多いのではと考えるだろうが、大栗氏による意外に少なく、1割もないという。
3階ラウンジ
1階ラウンジ
新国立競技場 隈氏のA案か伊東氏のB案か 木造ファンの記者はもちろんA案(2015/12/17)
屋上に里山とせせらぎ、格子デザインも美しい 豊島区新庁舎が完成(2015/3/26)
「神楽坂『赤城の杜』プロジェクト」完成 三井不動産レジデンシャルが見学会(2010/8/20)
驚嘆の安さ 坪318万円 隈研吾氏がデザイン監修 三井不動産・東電不動産「パークコート神宮前」(2008/11/19)
設備仕様レベルはトップクラス 日土地「武蔵野富士見 ザ・レジデンス」
「武蔵野富士見 ザ・レジデンス」完成予想図
さてQuestion。「二重床・二重天井」「ディスポーザ」「食洗機」「バックカウンター・カップボード」「ミストサウナ」「平置き駐車場」-この6つの設備・機能をすべて満たしている首都圏マンションはいくつあるか?
Answer。数年前までさかのぼっても数えるほどしかないと記者は思うが、先日見学した日本土地建物「武蔵野富士見 ザ・レジデンス」がまさにそれだった。
物件は、西武鉄道拝島線・国分寺線小川駅から徒歩9分、または西武多摩湖線八坂駅から徒歩8分、東京都東村山市富士見町一丁目に位置する15階建て全223戸。専有面積は65.78~86.78㎡、12月14日に抽選分譲した第1期3次(5戸)の価格は3,148万~4,698万円。坪単価は170万円台の半ば。設計・施工はファーストコーポレーション。竣工予定は平成29年2月。販売代理は長谷工アーベスト。管理は東急コミュニティー。
現地は、富士見通りの街路樹など緑が豊富な近隣商業と第一種中高層地域の一角。建物は南向き中心の西向きとのL字型。
「二重床・二重天井」「ディスポーザ」「食洗機」「バックカウンター・カップボード」「ミストサウナ」「平置き駐車場」が標準。
地域住民や企業、団体などと連携して、「子育て」「食」「芸術」「ECO」「スポーツ」「健康」の6つの分野で地域共生を図り、入居後の多世代コミュニティを支援していくのが特徴だ。
11月上旬から分譲が始まっており、これまて85戸を供給している。
◇ ◆ ◇
このマンションについては、同社がプレス向け発表会を行っており、その記事も参照していただきたい。見学しようとずっと思っていたのだが、なかなか都合がつかず今になってしまった。
見学して本当によかった。プレス向け発表会では、コンセプトの説明が中心だったので、物件そのものの詳細はよくわからなかった。モデルルームを見て、発表会で見えなかったものがよく見えた。
冒頭にも書いた6つの設備仕様が標準装備になっているマンションは、この多摩エリアは言うまでもなく、首都圏でもほとんどないはずだ。ここに同社のマンション事業に対する姿勢・意欲が感じられる。大きな訴求ポイントになるはずだ。1カ月少しで85戸供給というのも売れ行き好調とみてよい。
残念なのは、これほど設備仕様が充実しているのに、それをアピールできていないと思った。設備仕様レベルがすべてではないが、ユーザーにもっとわかりやすく説明しないとその良さは伝わらない。
◇ ◆ ◇
同社は、これまでビルなどの都市開発や、「横浜白山」「横浜あずま野」「横浜戸塚台」「川崎百合ケ丘」など分譲戸建ての実績は豊富で、とくに戸建てはレベルの高いものをずっと継続して供給してきた。
マンション事業は、大手デベロッパーとの共同事業が中心で、同社がメインというのは少ない。
マンション市場は大手の寡占化が一段と進んでいる。その一角に後発が食い込むためには相当インパクトのある商品企画でないと難しい。その点で今回の物件は十分対抗できると思う。商品企画を前面に打ち出し、厳しい市場に挑戦してほしい。
収納(機能的で、白が基調のデザインもいい)
日土地 マンション事業本格参入 年間500戸から1,000戸体制へ(2015/10/6)
埼玉県の最高単価マンション 地所レジ・大栄不「浦和タワー」好調スタート
「ザ・パークハウス 浦和タワー」完成予想図
先日は木場駅圏の最高峰マンションである野村不動産「プラウドタワー木場公園」について書いた。今回は、浦和駅圏だけでなく埼玉県の最高峰マンションともいえる三菱地所レジデンス・大栄不動産「ザ・パークハウス 浦和タワー」を紹介する。「最高峰」とは野村不動産の物件同様、建物の高さではなく値段がもっとも高いという意味だ。
物件は、JR浦和駅西口から徒歩4分(北口から徒歩3分)、さいたま市浦和区仲町1丁目に位置する20階建て全146戸(事業協力者住戸4戸含む)。敷地は大栄不動産のビルの跡地。専有面積は57.55~111.88㎡、坪単価は330万円台の半ば。竣工予定は平成29年3月下旬。設計・施工・監理はフジタ。デザイン監修は建築家の渡辺純氏。
現地は、駅西口からは徒歩4分だが、利用時間が7:00~24:15で、ICカード専用の北口からだと徒歩3分の立地。商業地域の一角。建物はV字型の免震構造。住戸は東南向き・南向き、南西向き。
11月に供給した第1期1次106戸と追加供給した第1期2次18戸の合計124戸に対して141件の登録が入った。
◇ ◆ ◇
まず価格から。バブル前はともかく、バブル崩壊後の埼玉県のマンションでもっとも坪価格が高いのは、今年に入って浦和駅から徒歩5分で住友不動産が分譲した「シティハウス浦和高砂」(95戸)で約290万円だ。
それを三菱地所レジデンスは軽々と超えた。埼玉県で平均坪単価が300万円を突破したのは少なくともバブル崩壊後では初めてだ。浦和駅の南口では再開発計画があるが相当先になるはずで、今回の物件が埼玉県の最高単価マンションとなる。この記録は当分破られないはずだ。
売れ行きもいい。供給124戸に対して141件の登録があった。V字型の突端に位置する90㎡超の住戸を含む12戸は億ションで、これまた埼玉県の最多億住戸マンションになる。
売れ行きがいいのは、それだけユーザーに評価されているということだ。商業エリアであるにも関わらず、嫌悪施設とは何かというもんだいもあるが、記者が見た限りではほとんどない。昔ながらの街並みも残っている。設備仕様も総じて高い。これも評価されたはずだ。
◇ ◆ ◇
三菱地所レジデンスは浦和駅圏でもう1物件「ザ・パークハウス浦和東仲町」(51戸)を分譲しており、こちらも第1期30戸に対して38件の登録が入り即日完売した。こちらは駅東口から徒歩6分の14階建て。専有面積は65.28~84.06㎡。坪単価は270万円弱。
杭打ちデータ流用問題 「信頼回復」のカギは監理機能の厳格運用
先日、三井不動産の「ららぽーと立川立飛」のプレス内覧会が行なわれた日、「いなげや」の旗艦店「blooming bloomy by Inageya」で「紅化粧」という名の皮が赤い128円の大根を買ったことは書いた。かみさんは、それをいちょう切りにして酢漬けにしてくれた。これがおいしい。カブより歯ごたえがあって、なにより白と赤のコントラストが美しい。
「紅化粧」はあきる野市の農家の産であることがラベルに記されていた。生鮮食品に産地や生産者の名前が表示されるのは常識になった。産地直送も消費者の間で定着した。
消費者は生産者の〝顔〟が見えることに「安心・安全」が担保されているから多少値段が高くても買う。
食の分野にとどまらずあらゆる企業にとって「CAT」、つまり「Compliance」(法令順守)「Accountability」(説明責任)「Traceability」(追跡可能性)がもっとも重要で、これと企業の理念「Vision」あるいは「Philosophy」を加えた「CATV」「CATP」がしっかりしていないと立ち行かなくなる。
さて、杭打ちデータ流用問題。昨日も書いたように、問題が発覚してから2カ月で収束する見込みだ。記者も大事に至らなくて安堵している。国交省、対策委員会、業界団体、施主の迅速な対応は評価されるべきだろうし、この点では「CAT」はきちんと機能したと思う。
しかし、消費者の信頼を回復する道のりは平坦ではない。深尾・対策委員長も語ったように、「安心・安全」に「信頼」を加えるのは正解だろう。
杭打ちデータ流用は業界の多重下請け構造とは直接的に関係ないとはいえ、建築物の「安全・安心」は大きく揺らぎ、危うい橋を渡るような覚悟がいることを消費者に印象付けた。先の「CAT」と照らし合わせても、この業界は極めてずさんであることを露呈した。「雨に濡れた」「噴出した」「ボタンを押し忘れた」-このような理由で大事なデータを集められないという事態がそんな頻発するものなのか。
農家は128円のダイコンにさえ1本1本自分の名前を書いたシールを貼る。建設業だって、設計図はミリ単位の精度が求められ、それをきちんと監理する制度があるにもかかわらず、形式が整っていればよしとする風潮があるというのはどういうことか。全く理解できない。「監理」がその程度のものならその程度のものであることを世間に公開するか、そうでないのなら厳格に運用すべきだし、監理者になれる要件や罰則を強化すべきだ。
考えてみれば、マンションの広告・宣伝は、建設に関わる施工・監理・設備機器にかんする情報は実にそっけない。われわれはデベロッパー、施工会社、監理会社、使用されている機器のメーカーの名を聞けばその物件のレベルがある程度分かる。しかし、一般の消費者は物件概要やパンフレットに盛り込まれているこれらの情報を読んでその品質レベルまで理解することはできないだろう。
物件概要に監理会社を表示しなくても、広告表示に関する業界の自主規制違反にはならないのだが、記者はもっともこの「監理」が重要だと考えている。オーケストラで言えば指揮者、コンダクターだ。指揮者が音楽に命を吹き込むように、マンション監理者もまた消費者の「信頼」を得る生命線だ。
記者は今回の問題が起きたのは、この「監理機能」が働いていないことが根本原因ではないかと思っている。
杭打ちデータ流用問題 結局は大山鳴動…早々に幕引きへ 国交省・対策委(2015/12/12)
杭打ちデータ流用問題 結局は大山鳴動…早々に幕引きへ 国交省・対策委
既報の通り国土交通省は12月8日、「基礎ぐい工事問題に関する対策委員会」(第4回)を開催し、会合後、深尾精一・委員長(首都大学東京名誉教授)と小澤一雅・副委員長(東京大学大学院教授)が記者会見を行なった。
会見は、国交省記者クラブに所属する報道陣向けだったが、そろそろ何らかの方向性が出るだろうと、事前に記者クラブの幹事新聞社の了解を得て会見を取材した。了解していただいた幹事新聞社に感謝したい。
記者も質問したかったのだが、そこは遠慮することにし、席も最後方に座った。以下、委員長・副委員長と記者団の一問一答の要旨(質問内容は質問が要領を得ないのか、記者の耳が悪いのかよく聞き取れなかった)。
◇ ◆ ◇
-多重下請け構造が問題の背景にあるのでは
深尾委員長 専門でないわたしが意見をいうのは適切ではないかもしれないが、この問題は大きな根源的な問題。長期的にどうあるべきかしっかり腰をすえて(杭打ち問題と)分けて取り扱うべきではないか。
専門的な立場から言えば、杭打ちは元請でないところがしっかりと行うのは技術が進歩していくうえで必然、自然なこと。
小澤委員 杭の品質を管理することについては、(元請と下請けが)どういう役割分担をしているのか、契約がどうなっているのか、最終的に誰が責任を取るのか、その体制が曖昧になりがちになっており、契約がどうなっているかを分析して再発防止、対策を考えていきたい。
もう一つの問題は、建設業法、派遣法などで、そこに配置されている人がどういう立場で関わっているのかチェックする必要があるという意見があった。これについては法律的判断になるので、専門的な立場の方の判断を待って、どう対応するのかもう少し検討しなければならない。
-問題を起こした人は出向社員だったが
深尾委員長 出向だか派遣だか、いろいろな言葉が飛び交っているが、実態がどうだったのか、しっかり検証したい。
-杭打ちの実態について
深尾委員長 杭に関してはやはり慣れというか、管理されていない風潮があったと思う。データ確認が形式的になっていた。データはチェックするために出すものなのか、仕組みがあるから出すのか、データ確認を軽視する風潮があった。
-ヒューマンエラーについて
深尾委員長 機械も故障することがあるし、人もミスをすることがある。そうした場合、どういう措置をとるのかルール化されていない。これが一番問題。われわれ委員会もそう認識しているし、日建連さんも同様に考えていらっしゃる。データ管理の仕組みが不完全だった。ルール化がされていない。これは改善が簡単にできることかも知れないし、ぜひともやるべき。
-地盤調査などについて
深尾委員長 掘ってみないと分からない部分があるし、追加の工事が必要になる。それをきちんと対応すべきなのに、(責任が)不明確なまま元請がかぶらざるを得ないというのであれば適切な工事が進められないだろう。そういうところも見直すべき。
-横浜のマンションの元請責任は
深尾委員長 これは委員会が(責任の所在を明らかにする)責任を負っているわけではない。横浜から追加報告が出ていないのは、個人的には残念に思っている。横浜の契約関係がどうなっていたのか再発防止策に重要なので、報告を待って再発防止策を検討したい。
-横浜のマンション問題について
深尾委員長 われわれも(報告がでないので)困るところ。どういう状況で、どこに問題があるか。状況証拠的にはかなり複合的になっていると思うが、これを明らかにするのはわれわれの責任ではない。(報告が)出てきたら前に進みたい。(中間とのまとめは)年内にという要望ですので、分かった範囲内で取りまとめる。
-再発防止について
深尾委員長 現段階で公表できないが、日建連さんはかなりいろいろ検討されているという感触を得ている。具体的にどうするかは、業界全体でやるべきこと。われわれが言うより、工事を担う業界がやるほうが実効性があるし、十分に応えていただいていると思う。
小澤委員 事前にマニュアルを作成して人の配置とかチェックするシステムをつくっているところもある。これがヒントになるはず。日建連の指針もあわせいい方向性が出るのではないか。
-中間取りまとめについて
深尾委員長 中間取りまとめは、国民の不安を解消するということ、それと信頼を回復することが重要な目的。その部分に関しては、ある程度とりまとめができる。
繰り返しになるが、かなり業界団体も全体の改善策、再発防止策を検討していただいているので、今までと比べはるかに信頼が置ける工事が行われることにもなる。
もちろん、横浜の問題をどう解決するか、(事故が)起きないようにどうするかは少し別の次元かもしれないが、類型が起きない再発防止策は十分立てられると考えている。
今までの検討結果で、データ流用が直接施工不良に結びつくものでないことが判明して、われわれも嬉しいというかほっとしている結果となった。しかし、そういうことが分かったということは、逆にデータ確認を明らかに軽視している実態が明らかになったと委員全員がそう思っている。
◇ ◆ ◇
一問一答を読んでいただければ方向性は明確だ。「データ流用が判明した物件のほとんどが施工不良には結び付いていないので、データ流用と(横浜のマンションの)施工不良との関係性は低い」(深尾委員長)ことから、杭打ち工事の指針(国交省から告示として発表されそうだ)ははっきりした形で示されるはずだ。
深尾委員長や小澤委員のコメント「ルール化は簡単にできることかも知れない」「日建連の指針もあわせいい方向性が出る」「今までと比べはるかに信頼が置ける工事が行われる」「類型が起きない再発防止策は十分立てられる」から判断すれば、言葉は悪いが「大山鳴動…」だ。2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向け繁忙期を迎える建設業界にとって、早々に幕引きし、問題の長期化を避けようという意向が働いたのだろう。
問題は、横浜のマンションを施工・監理した三井住友建設が「施工・監理に瑕疵はない」と会見で語ったことが事実そうであるならば、だれが責任を取るかだ。マスコミ報道では、この監理(「さらかん」という法的行為)と管理(「たけかん」と呼ぶ仕事の流れを管理する法的には罰則がない仕事)の区別がほとんどされていないのが極めて残念。
深尾委員長も話したが、罰則事項がないからデータ改ざんを行なった旭化成建材の技術者(どのような立場の人かは不明だが)に違法性を問うことはできない。被害者(横浜の例では入居者、三井不動産レジデンシャル、あるいは三井住友建設も入るのか)は誰にどのような理由で責任を追及すればいいのか。旭化成建材に損害賠償など責任を問えるならば、他の杭打ち業者もそうなる。
記者は杭打ち業者に責任を追及することはできないとしても、やはり施工・監理責任は問われるべきだろうと考える。
データ流用・施工不良に対する責任が施主や施工・監理会社に及ばず、その下請けのみに「責任転嫁」される仕組みを温存するならば、やはり多重下請け構造が不正を生む温床になるのではないか。対策委員会が魑魅魍魎のこの業界の宿痾にどのような処方箋を用意するか注目したい。
杭打ちデータ流用 再発防止にメド 多重下請け構造は継続課題 深尾・対策委員長が会見(2015/12/8)
マンション管理協 「マンションいい話コンテスト2015」受賞作発表
「マンションいい話コンテスト2015」表彰式(左端が山根理事長)
マンション管理業協会は12月10日、マンション居住者や管理組合向けにマンションライフを豊かにする工夫や活動を応援するマンションライフ総合支援キャンペーンの第2弾「マンションいい話コンテスト2015」の表彰式を実施。全国1,015通の応募作品からグランプリ、準グランプリ、特別賞の6作品を発表した。
表彰式で挨拶した山根弘美・同協会理事長は、「マンションの本当の価値はコミュニティいかん。阪神淡路や3.11以降は耐震性だけでなく、自助、共助の力が注目されている。防災・防犯、孤立死、幼児虐待、超高齢化社会の問題もマンションのコミュニティの力で乗り越えられる可能性を秘めている。大きなファクターになる。マンションコミュニティが人の心を救う力になるかもしれない。これからもご理解と支援を賜りたい」と話した。
「マンションいい話コンテスト2015」は、キャンペーンの第一弾「マンションのWa」サイトの開設に続くもの。国交省、総務省、東京都、住宅金融支援機構、マンション管理センター、NPO全国マンション管理組合連合会、日本マンション学会、明海大学、日本マンション管理士協会連合会、マンションライフ継続支援協会、マンションコミュニティ研究会が後援している。
グランプリ(賞金50万円)は奥村由布子さんの「集会室での育児」、準グランプリ(賞金5万円)は真砂俊和さんの「『親』と『理事』と」がそれぞれ受賞した。
山根氏
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住宅・不動産の業界団体が一般向けのイベントなどを行うことはあまりない。同協会は約1,500万人のマンション居住者に直接サービスを提供する業界であることを考えれば当然でもあるが、どんどんやっていただきたい。山根理事長が話したように「コミュニティが人の心を救う力」となるかもしれない。少なくともその可能性を秘めている。
集まった報道陣は42人。最前列には多数のカメラマンや記者が陣取り、プレゼンターの吉澤ひとみさん、石川梨華さんの写真を撮っていた。お二人とも年齢は30歳で、吉澤さんは結婚したばかり、石川さんは独身であることもお二人のトークセッションで分かった。「モーニング娘。」(なぜ句点がつくのか)で活躍されていたようだ。マンションに住んでいらっしゃることも分かった。
「モーニング娘。」についてはS理事が詳しいようだが、山根理事長も目じりを下げっぱなしだった。記者はまったく知らなかった。
左から山根氏、吉澤さん、石川さん
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表彰式では、グランプリに輝いた奥村さんの作品をもとに製作したという約6分間のミニドラマも放映された。マンションに引っ越してすぐ、下層階に住む女性から「静かにして」という苦情をもらった女性が、砂場で子どもを遊ばせていた時に、同じマンションに住む女性から「集会室で遊びませんか」という声を掛けられてからコミュニティの輪を広げるという内容だった。
事前に山根理事長から「牧田さん、泣けますよ」と知らされていたのだが、全然泣くようなドラマではなかった。「泣ける」ドラマはこれから放映される第2弾、第3弾のようだ。
ドラマの感想を聞かれた吉澤さんが「最初に挨拶していれば苦情をもらわなかったかも」と鋭い指摘をしたのには驚いた。
グランプリに輝いた奥村さん(右)
ドラマは同協会のホームページhttp://www.mansion-wa.com/contest/ で公開されている。
大成有楽不・長谷工コーポ 「品川勝島」の契約者イベントに300名
コミュニティイベント「⼦育て交流会」の様⼦
大成有楽不動産と長谷工コーポレーションは、品川区勝島の分譲マンション「オーベルグランディオ品川勝島」(総数452戸)のコミュニティイベントを11月28日に開催し、延べ約300名の参加を得た。
「品川勝島」はマンション化が進んでいるエリアではあるが、倉庫街のイメージが強く、このマンションでも契約者の現居住地は約80%が品川区以外となっており、両社は契約者同士の交流を深め、不安を解消するために開いたもの。
参加者からは、「同じマンションの中で、同じ世代のお⼦さんのお⺟さんとつながりが持てて良かった」「地元に住んでらっしゃる⽅から保育園・病院などの情報を聞くことができて⼼強かった」「これから同じマンションに住む⽅の顔を⾒ることができて、安⼼できた」などの声が寄せられた。
物件は、京急本線⽴会川駅から徒歩11分、品川区勝島1 丁⽬に位置する20階建て452戸。専有面積62.38〜85.59㎡。竣⼯予定は2017 年1 ⽉下旬。
坪単価が200万円台の前半で、圧倒的に安いことから人気を呼んでいる。今年7月に分譲開始して以来これまで計340 ⼾を販売している。契約者の8割が地元以外というマンションは極めて珍しいと思われる。
大成有楽・長谷工「勝島」 全452戸のうち第1期1・2次211戸が完売(2015/7/30)
安さだけではない、巧みな需要喚起策 「オーベルグランディオ品川勝島」(2015/4/10)
野村不「プラウドタワー木場公園」 都心に3つしかない眼下に大規模公園
「プラウドタワー木場公園」完成予想図
「最高峰」のマンションを立て続けに2物件みた。一つは野村不動産「プラウドタワー木場公園」で、もう一つは三菱地所レジデンス・大栄不動産「ザ・パークハウス浦和タワー」だ。最高峰とは文字通り建物が高いという意味ではなく、それぞれの駅圏で坪単価がもっとも高いという意味なのだが、これまでの最高単価をやすやすと超え、しかも売れ行きが好調ということからしても最高峰と言えるかもしれない。先に「木場公園」から紹介する。
物件は、東西線木場駅から徒歩7分、江東区木場3丁目に位置する27階建て全204戸。専有面積は65.30~103.90㎡、坪単価は323万円。入居予定は平成29年8月上旬。施工は前田建設工業。
物件の最大の特徴は、道路を隔てて木場公園に隣接しているタワーマンションということだ。敷地は3方道路に囲まれており、建物は中央にエレベータや階段室があるロの字型。東側、西側、北側が木場公園と木場親水公園に隣接・近接しており、南側住戸は下層階を除き公園が見渡せる。
もう一つの特徴は、最近少なくなってきている都の総合設計制度の適用を受けていることだ。そのため容積率の緩和を受けて27階建てが実現したのだが、敷地の約4割を公開空地としている。建物は制震構造。
住戸の商品企画・設備仕様は、これまでの同社の「プラウド」と同様トップクラスとみてよい。
9月から分譲開始されており、これまで140戸が契約済み。第2期2次15戸が12月13日に登録分譲される。価格は6,319万~8,719万円(最多価格帯7,200万円台)。
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このマンションが坪単価300万円を超えるだろうということは、昨年末、日本綜合地所(現大和地所レジデンス)の「ヴェレーナ木場公園」を取材したときから分かっていたのだが、300万円を軽々超え、それでも極めて売れ行きが好調というのにはやや驚いた。
木場駅圏や門前仲町駅圏はここ数年、同社をはじめ三井不動産レジデンシャル、三菱地所レジデンス、住友不動産などの大手デベロッパーの独擅場となっているが、坪単価はせいぜい260万円がアッパーだった。それを日綜が280万円で超え、今回300万円を軽々と突破した。
もう一つ驚いたのは、この物件の希少性だ。パンフレットには「『東京駅5㎞圏』「階層20階以上」「20万㎡超の国民公園・恩賜公園・都立公園・都立庭園(これに該当する公園は新宿御苑、上野公園、木場公園)まで徒歩1分以内」というくくりでは、過去20年を振り返ってもわずか2物件しかなく、今回の物件が3件目だということだ。
同じナレーションがシアターからも流れたので、いったい他の2物件はどこだろうと考えた。真っ先に浮かんだのは三菱地所レジデンスの「千鳥ヶ淵」だが、これは皇居だ。皇居は公園ではない。同社が皇居を除外したのは正解だと考え直した。(あとで分かったのだが、代々木公園は5キロ圏外)。
さて、この20万㎡超の公園に隣接・近接している残りの2物件とは、一つは同社が分譲した「プラウド新宿御苑エンパイア」で、もう一つは大京の「ザ・ライオンズ上野の森」だという。三井不動産レジデンシャル「パークタワー上野池之端」もそうだと思うが、なぜか入っていない。
参考までに。パンフレットには世界のパークサイドマンションが紹介されており、世界最高額は2014年に分譲されたイギリス・ロンドンの「ワン・ハイド・パーク」で、価格は日本円にして253億4,000万円だそうだ。米国・ニューヨークの最高層タワーマンション「One57」は2015年に日本円で約119億円の価格で取引されたという。
わが国の最高額マンションは、バブル時にドムスから分譲された「南麻布」のマンションが確か44億円だった。この記録はまず更新されないだろう。海外から「日本のマンションは安い」と言われるのも納得だ。今回の「木場公園」も1億円超えは10戸くらいしかないはずだ。
モデルルーム
日本綜合地所「ヴェレーナ木場公園」 木場・東陽町駅圏&同社物件の最高値更新(2014/11/26)
名鉄不動産「三郷中央」 坪単価は160万円以下か
「メイツガーデンズ三郷中央 フロントコート」完成予想図
名鉄不動産の「メイツガーデンズ三郷中央 フロントコート」を見学した。郊外部のマンションもじわじわと価格が上昇しているが、ここは坪150~160万円に収まり、東向きの住戸は60㎡台がほとんどで、3,000万円以下になりそうだ。全戸平置き駐車で、料金がゼロというのも訴求ポイントの一つ。
物件は、つくばエクスプレス三郷中央駅から徒歩12分、三郷市中央4丁目に位置する9階建て全169戸。専有面積は65.86~84.23㎡、予定価格は2,300万円台~4,400万円台(最多価格帯3,100万円台)、坪単価は150万円台の半ばから後半あたりになる模様。施工は長谷工コーポレーション。竣工予定は2017年2月中旬。販売代理は長谷工アーベスト。分譲開始は1月中旬。
現地は、三郷中央駅周辺の土地区画整理事業地内の一角にあり、総合病院と公園、保育園が近接。建物はL字型で南向きと東向きが半々くらい。駐車場は平置きで全戸分確保。料金は無料。
分譲単価は未定だが、価格の割には設備仕様レベルが高いのが特徴だ。ディスポーザ、食洗機、床暖房が標準装備。ドア小口は巻き込み式。
1月16日(土)には、元西武の石井一久氏と人気芸人・ペナルティ・ワッキー氏によるイベント「スポーツ教室」を開催する。
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単価はほぼ予想通り。数年前、大京が駅前の「ザ・ライオンズ三郷中央」(318戸)を坪単価150万円台で分譲し、早期完売した。そのとき、記者はもっと高くても売れるだろうと思ったが、同社は戸数が多かったので低めに設定したのだろう。
それが今の中古市場で坪単価は180万円も190万円もしているそうで、もう少し駅から離れた物件でも170万円くらいだという。この単価差をユーザーはどう考えるか。
難点といえば、三郷中央から秋葉原駅には20分くらいと近いのだが、駅周辺の商業施設がいま一つであることだ。
申込殺到も 大京「ザ・ライオンズ三郷中央」(2010/11/18)