住友不「シティテラス東陽町」高値更新の坪300万円突破 これも通過点
「シティテラス東陽町」完成予想図
住友不動産は5月28日、東京メトロ東西線東陽町駅から徒歩5分の大規模マンション「シティテラス東陽町」(522戸)」のモデルルームを営業拠点「総合マンションギャラリー秋葉原館」で5 月30日(土)からオープンすると発表した。
物件は、東京メトロ東西線東陽町駅から徒歩5分、江東区東陽二丁目に位置する15階建て全522戸、専有面積は54.88~87.90㎡、価格は未定だが南向きで7,000万円台(75㎡)が中心で、坪単価は310~320万円になる模様。竣工予定は平成28 年11 月。設計・施工は長谷工コーポレーション。
現地は、明治安田生命ビルの跡地で、建物はF型配棟。敷地南側に位置する夕浜運河へ往来可能な貫通道路を設け、敷地内には認可保育園も設置。
同社はまた、JR総武線平井駅から徒歩8分の「シティテラス平井」(357戸)のモデルルームも公開。こちらの坪単価は240万円。
これまで資料請求は2,200件、特別事前案内会への来場者は400件。
エントランスホール
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焦点は坪単価が300万円を突破するのかどうかだ。現地より先には、三井不動産レジデンシャルなどが8年前に坪単価220万円台で分譲した「パークホームズ東陽町キャナルアリーナ」(262戸)がある。
それよりは駅に近く、当時より単価が上昇しており、さらに昨年、日本綜合地所(現大和地所レジデンス)が木場・東陽町駅圏の最高値である280万円で分譲したのを取材していたので、あるいは300万円を突破するのではないかと考えていた。
なので、坪310万円強という単価設定には納得した。これから分譲される、木場駅から徒歩7分で木場公園に近接した野村不動産「プラウドタワー木場公園」(204戸)は住友不の物件の単価を上回るのは間違いないとみている。同社の高値更新は通過点に過ぎない。
ついに、城東エリアも坪300万円以上の時代に突入した。その意味で同社の「平井」の240万円は割安感がある。
公開空地から臨む
「ヴェレーナ木場公園」 木場・東陽町駅圏&同社物件の最高値更新(2014/11/26)
総合地所「ルネ蘇我ディアパーク」 同社の23棟目の浴場付き
「ルネ蘇我ディアパーク」完成予想図
総合地所が近く分譲開始するマンション「ルネ蘇我ディアパーク」を見学した。JR京葉線蘇我駅から徒歩5分の全163戸の規模で、浴場付き。
物件は、JR京葉線蘇我駅から徒歩5分、千葉市中央区南町2丁目に位置する10階建て全163戸の規模。専有面積は70.48~88.84㎡、予定最多価格帯は3,500万円台、坪単価は160万円。竣工予定は2016年2月末。施工は長谷工コーポレーション。販売代理は長谷工アーベスト。
現地は、旧川崎製鉄(現JFEスチール)の社宅跡地。製鉄所の移転に伴う跡地を活用する計画「ハーバーシティ蘇我」の一角。
建物はL字形で、住戸プランは南向き(60%)と西向き(40%)。同社としては23棟目の大浴場付き。東京おもちゃ博物館が監修したキッズスペース「木育の広場」も設置する。
4月から事前案内会を開始しており、これまで資料請求は500件、モデルルーム来場者は200件。
大浴場
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まず、単価について。このところ郊外部のマンションもどんどん単価が上昇しているので、いったいいくらくらいになるのか興味があった。坪単価160万円というのは極めてリーズナブルな価格だろうと思う。
市内では競合する物件はないはずだが、船橋の郊外で分譲されるマンションもこれくらいか、あるいはもっと高くなるか。一次取得層が無理なく購入できる価格の限界に近づいているので、ユーザーがどのような反応を見せるか。
同社としては2011年に分譲した「ルネ花小金井」以来の大浴場付きというのが面白い。かつて浴場・温泉付きマンションは同社のほかにもアパやリベレステが分譲していたが、実績は同社が断トツだろう。同社によると、既存の浴場利用者は居住者の半分くらいだというが、なにより入居者同士のコミュニケーションが図れるのがいい。
入浴料は月額1,000円。管理費を抑えるために浴槽は一つで、例えば男性は月水金、女性は火木土といったように隔日利用ということになるという。利用時間は15:00~22:00の予定。
中庭
親子隣居・近居プランを提案 三菱地所レジ・セコム「千歳烏山」坪単価は300万円台前半
「ザ・パークハウス千歳烏山グローリオ」完成予想図
三菱地所レジデンスとセコムホームライフが5月23日、モデルルームをオープンする「ザ・パークハウス千歳烏山グローリオ」を見学した。「公団烏山第一団地」跡地に建設されるもので、坪単価は300万円台前半。食のセレクトショップ「DEAN&DELUCA」と国内で初めてコラボし、新しいインテリアを提案しているマンション。
物件は、京王線千歳烏山駅から徒歩4分、世田谷区南烏山5丁目に位置する敷地面積約9,900㎡、10階建て「エアリーコート」(147戸)と8階建て「サザンコート」(118戸)の2棟265戸の規模。専有面積は35.52~91.14㎡、第1期(戸数未定)の予定価格は3,400万円台~10,000万円台(最多価格帯7,200万円台)、坪単価は300万円台前半。竣工予定は2016年1月下旬。施工はフジタ。設計監理は三菱地所設計。販売開始は6月下旬。
現地は、昭和30年代に建設された旧日本住宅公団の「烏山第一団地」の敷地跡地。セコムホームライフが10年かかりで取得し、三菱地所レジに共同で開発することが持ち込まれたという。新たに開発道路も整備した。
住戸プランは、約59㎡のユニバーサルデザインを採用した「ユニバーサルプラン」(18戸)を設け、親子2世帯隣居・近居なども想定しているのが大きな特徴。「ユニバーサルプラン」住戸前の廊下には、メックecoライフが提案するベンチやウェルカムトレリスを設置する。
また、一般法人いきもの共生事業所認証(ABINC認証)を集合住宅としては初めて取得。生物多様性に配慮したバードパス・巣箱の設置、実のなる植物の採用、既存樹のサクラの接ぎ木、化学薬品の使用を抑えた健康な土壌づくりなどの取り組みを行う。
共用施設「パーティールーム」「ガーデンテラス」では、食のセレクトショップ「DEAN&DELUCA」とわが国では初めてコラボし、新しいインテリアデザイン、ライフスタイルを提案する。
現在までに3,100件の問い合わせがあり、事前案内会には600件の来場がある。
「ユニバーサルプラン」のモデルルーム
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お年寄り夫婦の入居を想定した「ユニバーサルプラン」がいい。面積は約59㎡。両面バルコニーで、南西側の玄関を入るとすぐにバルコニーに面したリビング・ダイニングがあり、その隣が半独立型のキッチン。居室2室は北西側に設置。廊下幅はメーターモジュールとし、トイレを含むすべてのドアは引き戸を採用している。
この種のプランは真新しいものではない。最近では三井不動産レジデンシャルが「新川崎」で分譲しているし、挑戦したデベロッパーはほかにもある。
今回のプランは、玄関を入ってすぐにリビング・ダイニングを設けていることに大きな意味がある。友人・知人などを招き入れるには玄関からすぐのところにリビングを設けるのは理解されるはずだ。
このプランにユーザーがどのような反応を示すか、楽しみだ。設備仕様は全体として高い。ファミリー向けのモデルルームのプランもいい。
単価について。業界内では坪単価は320万円くらいと予想されていたが、記者はそこまで行かないと思っていた。京王線は他の沿線と比べ割り負しているが、「仙川」ならともかく、いまの「千歳烏山」にはそんな駅力はない。坪300万円台前半というのはいい値付けだ。欲をかかないほうがいい。腹八分目、残りの二分はユーザーのために残すのが大手デベロッパーの思いやり、良心だ。
コミュニケーションコリドー(完成予想図)
三井不動産レジが二世帯マンション「ツグイエ」 新川崎で発売(2014/2/1)
野村不・長谷工・ブリヂストン 画期的な排水システム開発、実用化
左からブリヂストン建設資材企画部部長・向井章氏、野村不動産住宅事業本部品質管理部部長・小松久悦氏、長谷工コーポ エンジニアリング事業部統括室長・若林徹氏
野村不動産、長谷工コーポレーション、ブリヂストンの3社は5月22日、建物の水回り設備を自由に配置・設計することを可能にした排水システム「サイホン排水システム」を共同開発し、第一段階としてキッチンディスポーザーで実用化したと発表した。2014年から開発を進めてきたもの。
「サイホン排水システム」は、従来の管径40~75ミリだったのを20~25ミリに小口径化することに成功、1つ下の階で排水縦管に合流させることでサイホン力を利用して排水するシステム。排水管を通すために必要であった床下空間270~300ミリを140~150ミリに抑えることができ、室内空間を拡大することができる。
また、排水管の無勾配化とサイホン力による高い排水性により、従来は縦管からの距離が2~3m必要だったものが、最大14mまで可能にした。排水管は専用部分の外の縦管につなぐことも容易になった。自掃能力もあり、排水管のつまりも軽減される。
今後はユニットバスや洗面化粧台へも採用し、プランバリエーションを拡充できるよう開発を進めていくとしている。
技術を開発したブリヂストンの給湯給水設備事業の全国シェアは30%程度で、これまで排水設備事業はなかった。
長谷工コーポレーションは今後自社施工マンションの10%くらいに採用していくという。
野村不動産は今後の商品開発に生かしていく予定。
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これはすごいヒット作になる可能性を秘めている。ディスポーザーは10数年前から一挙に広まり、今では数十戸以上のマンションでは当たり前の設備になりつつある。しかし、機器本体そのものや排水の音の問題と、床下のふところ厚を確保しなければならないネックもあった。
今回の商品は一挙にそれらの問題をクリアした。キッチンをバルコニー側に設けようとどこに設けようと少なくとも排水管の音の問題は解消される。本体そのものの音も最近は随分改称されつつあると聞く。
発表会では従来型と今回の商品の実物大でのデモンストレーションが行われたが、新商品の排水スピードは従来型より5倍くらい早くなったそうで、一挙に流れた。もちろん音など全然出なかった。
コストは従来型と比べ若干高くなるようだが、間取りプランの設計自由度が高まることと比べると問題にならないと思う。「長谷工のSI」は他社との差別化が可能となり、高さ規制の厳しいエリアでも対応できるようになるはずだ。
3社は特許を出願中だが、汎用性を持たせる意向だ。
従来型(奥)と新商品(手前)の大きさ、勾配などを比べたデモンストレーション
29haの東五反田再開発の集大成 三井不他「パークシティ大崎」完成
「パークシティ大崎」全景
北品川五丁目第1地区市街地再開発組合(業務受託者:三井不動産)は5月20日、東五反田地区にできた「パークシティ大崎」の完成披露説明会を行った。
「パークシティ大崎」は、2棟の業務・商業棟、2棟の住宅棟、1棟の商業棟、地域交流施設棟、大崎の歴史を未来に承継する作業所棟の7棟の建物で構成。三井不動産、日本土地建物、大成建設、大和ハウス、新日鉄興和不動産、三井不動産レジデンシャルが再開発事業の参加組合員として参画。各建物の大半が竣工済み。
商業棟(大崎ブライトプラザ)の1階にはスーパー、2階には医療関係の施設が入る予定。本年9月11日にグランドオープンする。
完成披露説明会には、品川区長・濱野健氏、品川区地域振興部長・堀越明氏、北品川五丁目第1地区市街地再開発組合理事長・井上裕之氏、北品川五丁目第1地区市街地再開発組合 事務局長・松永健司氏らが出席。
井上理事長は「着想から30年、再開発事業が品川区の支援の下、完成することができたことを誇らしく思う。うるおい、賑わいに溢れた地域になってほしい」と語った。
また、今回の再開発事業を支援した濱中品川区長は「今回の開発に携わってきた方々に感謝したい」と述べるとともに、「元々目黒川周辺域は、製品を運ぶには打ってつけの場所で、品川は京浜工業発祥の地でもある。これからは、物だけでなく品川区の中小企業の人々を『SHIP(船)』に乗せて発展の海に漕ぎ出したい。そういう思いから『SHIP』と品川産業支援施設を名づけた」とブライトコア3,4階に開設された品川産業支援施設を紹介した。「SHIP」は中小企業のインキュベーション施設であり、ここを会社の住所地として登記することも可能。その他、3Dプリンターを設置した工房もある。施設利用料は、有料。
住居棟の「パークシティ ザ タワー」は、地上40階、地下2階建て。共同住宅のほか、店舗や、子育て支援施設や地域コミュニティ施設も併設される。
街区幹線道路
大崎ブライトプラザ屋上
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今回見学したのはブライトコアの3、4階と住居棟。
パークシティ大崎は、緑豊かで潤いのある風景を創造するため、マスターアーキテクトとして日本設計が携わり、デザイン監修に光井純氏を、プランツディレクターには西畠清純氏を迎えた。街区内を東西南北に走る道路の街路樹は二重列植にすることで、より建物を引き立たせる工夫がなされている。
街区を彩るシンボルツリーには、街の繁栄を願うオリーブの大樹8本が街区の中心部のほかにも植樹されている。樹齢は250年から600年。樹齢1年に対し1万円だそうだ。はるばるスペインから船で運ばれてきたのでそれほどの高価なものになったようだ。
街のシンボルツリーや街路樹の1本1本にそれだけの費用と時間をかけていることを知り、驚いた。
(岡田寛子)
オリーブの木
マンション エントランスホール
「道」を景観に取り込んだプラン秀逸 旭化成不動産レジ「アトラス調布」完成
「アトラス調布」
旭化成不動産レジデンスは5月18日、調布富士見町住宅の建て替えマンション「アトラス調布」のマスコミ向け竣工見学会を実施した。
物件は、調布駅から徒歩14分。調布市富士見町に位置する地下1階、地上6階建(南棟=ひかりの棟)と8階建(北棟=杜の棟)2棟総戸数331戸(非分譲104戸含む)。専有面積は61.02~80.13㎡、価格は4,183万~5,541万円。駐車場は地下に136台収容。平成27年5月竣工。設計・監修はNEXT ARCHITECT&ASSOCIATES。施工は東急建設。約8割が販売済み。
マンションの建替え等の円滑化に関する法律による建替えでは初めてと思われる「公道の付け替え」を実施。公道が2棟のマンションを分断しないよう、その両側に並木や植え込みを配し、アルゼンチン斑岩を使用することでマンション敷地内に公道が走る違和感を緩和。共用施設にはガーデンカフェ、キッズルームがある。
建物は居住性を高めるため雁行配棟とし、基壇部の見切り水平ライン、住戸ブロック切り替えのコーニス、トップの庇形状、ロートアルミの手すりなどに工夫を凝らすことで全体として重厚感のある形状にまとめている。(岡田寛子)
エントランスに隣接した庭
セントラルガーデン(完成予想図)
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上記の記事は岡田記者が書いたものに若干手を加えたものだ。このマンションについては別掲の記事も参照していただきたい。記者は私用で見学会は欠席したが、前日にじっくり時間をかけて見学・取材した。どうしても自分の目で完成後の物件を見ておきたかったからだ。
その理由は、2年前のモデルルーム見学会の時に記事にした「模型を見たとき鳥肌が立つような感覚を覚えた。(ネクスト社の)山中氏は『道から始めた』『車には遠慮してもらう』と語ったように、道と建物との一体感・調和にこだわった企画意図」がその通り実現されているのかどうかを確認するためでもあった。
その企画意図はほとんど瞬時に理解した。雁行配棟のよさについてはいまさら言うまでもないことだが、ランドプランは想像以上の出来栄えだった。
たまたま関係者らの見学会が行われており、物件担当の同社開発営業本部第一営業部長・阿佐部肇氏や、設計・監理を担当したネクスト社のスタッフから説明を受けたのだが、幅員5mの車道には、「アルゼンチン斑岩」が敷き詰められていた。これには驚いた。アルゼンチン斑岩は丸の内仲通りや横浜元町などの街にも用いられているそうで、この石張りの道路を見ただけで、街づくりに込められた強い意志を感じた。よくぞ行政の道路関係者などを説き伏せたものだと感嘆もした。
車道にはピンコロ、イメージバンプを多用して車のスピードを抑制する効果を高める工夫をするとともに、その一方で、車道と舗道・敷地の境をなくしている。実際の市道は車道の両端それぞれ1.25m延長したまでで都合8m幅なのだが、ところどころに鋲を打ち込む以外に境界線はまったくない。総延長は200m近くあった。
付け替えた公道を景観の一部に取り込み一体として開発した画期的なマンションになるはずだ。
植栽計画もいい。敷地・舗道にはシンボルツリーの百日紅のほか、サクラ、ヤマボウシ、エゴノキ、シラカシなどの高木もたくさん植えられているのだが、これらは組合員を含む関係者が千葉や埼玉の植木屋さんめぐりをして選定したのだという。サルスベリの樹齢は数十年もするもので、「瘤(こぶ)」がないことでも自然のまま育てられてきたことがよく分かる。
舗道空間と緑地帯のランドスケープデザインを際立たせているのが建物の基壇部の見切り水平ラインだ。この横筋を1本通すことによって散漫になりがちな風景をきりりと締めている。見事というほかなかった。
抜け・奥行き感を意識したエントランス部分の空間演出もなかなかいい。
見学会では、NEXT ARCHITECT&ASSOCIATESの山中猛社長が「景観や街並みを大切にしたかったから、デザインはマンションっぽくしたくなかった。雁行型にしたり、ラインを変えたり工夫をした。道路に関して言えば、道路屋になれるくらい研究した」と語ったそうだ。「道路屋」という職業があるのかどうかしらないが、街をつくるのに「道」から考えた、あの宮脇檀の哲学に通じるものがある。車優先から人優先の道づくりがこれからも増えることを期待したい。
昨日見た古河市の道路の街路樹プラタナスは苦痛で身体が歪み悲鳴をあげていた。
「アトラス調布」 道からつくり、道を中庭化したマンション(2013/7/25)
プラン・設備がいい 坪400万円は納得 東急不動産「みなとみらい」
「ブランズタワー みなとみらい」完成予想図
東急不動産が6月上旬に分譲する「ブランズタワー みなとみらい」を見学した。「みなとみらい」駅から徒歩2分、みなとみらいのシンボル的存在「クイーンズスクエア横浜」に隣接する免震の29階建てタワーマンション。坪単価は当初380万円くらいと見られていたが、資料請求が7,000件を突破し、人気が高いことから400万円に〝上方修正〟される模様だ。
物件は、みなとみらい線「みなとみらい」駅から徒歩2分。横浜市西区みなとみらい3丁目に位置する地上29階、地下1階建て228戸(非分譲住戸30戸含む)。専有面積は43.09~120.31㎡、価格は未定だが、坪単価は400万円になる模様。竣工は平成28年12下旬予定。設計・監理・施工は清水建設。販売開始は6月上旬。資料請求は昨年11月からこれまでに7,000件を突破している。
現地は、クイーンズスクエア横浜のほかに3つの一流ホテルが近接。建物の北側には「パシフィコ横浜」が北東側には横浜港が広がる。
住戸プランは70~80㎡台のファミリー向けが中心。スクエアなプランが多く、廊下幅はメーターモジュールを採用。リビング天井高は標準階が2550ミリ、上層階は3000ミリ。
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立地条件がいいのは言うまでもないことだが、記者がいいと思ったのは住戸プランとデザインだ。これまで分譲されたみなとみらい21エリアマンションの中では、三菱地所の第一弾マンションもよかったが、今回もいい。1フロア7~8戸構成で、スクエアプランが中心だ。カラーリングは白が基調で、建具・ドアはピアノ塗装。廊下幅はメーターモジュールを採用している。上層階の住戸のリビング天井高は3000ミリで、建具・ドアはほとんど天然木の突板仕上げ。
販売センター・モデルルームを海が見えるクイーンズスクエア横浜の17階に設けたのも正解。
同行した岡田寛子記者はモデルルームを見学して、「眼下には横浜港が広がり、海をまさに独り占めした気分になる眺望…晴れた日には雄大な海を見つめ、夜は横浜の夜景を、夏は花火大会を楽しめるという、これ以上の贅沢があるだろうか…空の青さと海の蒼さがここに住まう人の心を高揚させることは間違いないと確信した…天井から降り注ぐ間接照明は、高級ホテルにいるような落着きを感じる」などと、コピーライターも書けないような言葉で絶賛した。一般のお客さんもそう感じるはずだ。
坪単価について。当初、業界内では「坪380万円くらいではないか」という声が広がった。記者はもっと高くなり、坪400万円を突破するかもしれない」と思っていた。その通りとなった。安くはないが、都内の都心物件と比べ、設備仕様・プランなど総合的に判断して極めてリーズナブルな単価ではないか。東建の「目黒」がどうやら坪600万円から坪580万円に〝下方修正〟されたらしいが、これはこれで納得。現段階で坪600万円というのはいかにも高い。
みなとみらいでマンションが分譲されるのは7年振りで、新高島駅圏では近鉄不動産・三井不動産レジデンシャル「BLUE HARBOR TOWER みなとみらい」(355戸)もある。こちらも見学してレポートしたい。同エリアではこの2物件が最後のマンションになる可能性が大きい。
「銀座初」に北海道から沖縄まで問合せ2,500件 NTT都市開発「銀座二丁目」
「ウエリス銀座二丁目」
NTT都市開発が6月中旬に分譲する「ウエリス銀座二丁目」を見学した。「銀座アドレス」で所有権分譲としては10年振りで、初の80㎡台があるマンション。問合せは北は北海道から南は沖縄まで2,500件に達している。建物は2015年2月に竣工済み。
物件は、東京メトロ銀座線・日比谷線・丸ノ内線銀座駅から徒歩6分、中央区銀座2丁目に位置する14階建て54戸(事業協力者住戸1戸含む)。専有面積は40.07~80.21㎡、価格は未定。施工はアイサワ工業。販売代理は三井不動産レジデンシャル。
最大の特徴は「銀座二丁目」アドレスでは10年ぶりの所有権分譲だ。敷地は東南の角地で、建物の共用部分はフォワードスタイルがプロデュース。モデルルーム専有部分のインテリアは三井デザインテックの竹下英南氏が担当。逆梁純ラーメン構造を生かしたカウンターサッシを多用しているのも特徴の一つ。
エントランスホールの天井
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銀座のマンションと言えば、今から15年位前、三菱地所レジデンスが分譲した定期借地権付き「銀座タワー」(180戸)を思いだす。坪単価は250万円くらいだったはずで、圧倒的な人気を呼んだ。
このほか、銀座では中堅デベロッパーによるコンパクトマンションが結構分譲されているが、大手デベロッパーでは「銀座タワー」以来ではないか。
最大の特徴は、「銀座アドレス」ではあるがコンパクトではなく80㎡台も8戸あることだ。共用、専用部分の設備仕様レベルも高い。
同社の億ションでは2年前分譲された「代官山」と「有栖川」を見学した際、グレードの高さにびっくりした。今回は億ションというわけではないが、風除室から2層吹き抜けのエントランスホールの演出がいい。ホールはシンメトリーデザインが施されており、壁には無垢材や高級材のシャム柿、大理石の光壁もさることながら、横幅にして2~3m、縦は天井まで細かな大理石のチップが張り巡らされたデザイン壁が圧巻。
専有部では、大日本印刷のアルテレリーフ(型押化粧版)が建具・ドアに採用されており、ナグリ仕上げに似た凹凸の表面が高級感をかもし出している。把手はレザー。キッチン天板は御影石で、同じ御影石を用いたバックカウンターも標準装備。
これまで問い合わせは、北は北海道から南は沖縄まで2,500件を突破しているという。販売を担当する現地レジデンシャルサロン・池谷亮所長は「さすが銀座アドレス」と自信を見せていた。
小さな大理石のチップを張りつめたデザイン壁
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以下の※印の文章は、取材に同行させた新米の女性記者が書いたものだ。素人の目からして設備仕様、デザインなどがどのように映り、どのように表現するか興味があったので、好きなように書かせた。ほとんど手を加えていない。
※
まずエントランスをくぐり、目に飛び込んできたのはバニラホワイトの大理石を薄くスライスして作ったという光りの壁だ。その非常に柔らかな明かりが心を癒す。
上を見上げると、天井の梁と照明はシンメトリーになっており、見る者に安心感と調和を与える。
また、側面のシャム柿の突板パネルの持つ模様が美しく、その重厚感とは対照的に背後から溢れる柔らかな間接照明の光もまた、美しい。
そして、エレベーターホールへと続く通路の壁面は、手で一枚一枚埋め込まれたという天然大理石でできており、「エントランスが2層になっていることで、銀座の隠れ家的な雰囲気を演出しているんですよ」と池谷所長はいう。
安全面でいえば、オートロックはもちろんのこと、エレベーターには住んでいる部屋の階以外には止まらない着床制限があり、室内には防犯センサー、火災報知設備があり、万全の対策が取られている。
室内に入り、記者が一番気に入ったのはオープンキッチンからの動線に配慮された設計だ。どこで誰がいて何をしているのか一目瞭然であり、家事をしながら家族の会話を楽しむこともでき、寛ぎの空間を演出している。
バス(1620=記者注)はサーモバスを採用。大人がゆったりと(つかり)疲れを癒すには最適な大きさ。水回りは天然御影石を採用。簡単な手入れで清潔感が持続する。
建物全体から、銀座2丁目の南東角地に永住レジデンスとして住まう贅沢さを随所に感じた。
そしてなによりも、供給数の少ない“銀座アドレス”という希少性の魅力的価値と上質な住み心地を感じたのであった。
◇ ◆ ◇
「心を癒す」「見る者に安心感と調和を与える」「万全の対策」「永住レジデンスとして住まう贅沢さ」「寛ぎの空間」「上質な住み心地を感じた」-何だかパンフレットの引き写しのようにも感じるのだが、本人がそのように感じたのならそれはそれで第三者がとやかく言う問題ではない。マンションの宣伝やパンフレットにはこのような文言があふれかえっている。
それより記者が驚いたのは、この女性記者が喜々としてあちこち写真を撮り、「素敵、素晴らしい」を連発し、池谷亮所長にあれやこれや質問を浴びせかけ、ピンク色のサインペンで字もピンクのメモを取ったことだ。
記者は「素敵、素晴らしい」にはさすがに我慢がならず「年間100件も200件も見学する私が言うのはいいが、あなたはマンションなど見たことがないはず。軽率なことを言うもんじゃない」とたしなめた。
シャム柿の壁
驚!問い合わせ4500件突破 野村不動産「プラウド日本橋三越前」(2015/2/27)
本物の億ションを見た NTT都市開発「ウエリス代官山猿楽町」(2013/9/20)
大和地所レジデンス 国立高校に隣接した低層3階建て「国立」好調
「ヴェレーナ国立大学通り」完成予想図
4月1日付で日本綜合地所から大和地所レジデンスに社名変更になった同社の「ヴェレーナ国立大学通り」の現地を見学した。立地条件は間違いなくいい。4月半ばから販売開始しており、売れ行きも好調のようだ。
物件は、JR国立駅から徒歩16分、国立市東四丁目の第一種低層住居専用地域に立地する三階建て全14戸。専有面積は55.22~104.24㎡、現在分譲中の1期3次(3戸)の価格は4,840万~7,840万円(61.24~98.30㎡)、坪単価は260万円前後。竣工予定は2016年1月下旬。施工は中野建設。
現地はイチョウ並木が美しい大学通りに面しており、国立高校に隣接。対面は国立マンション裁判で〝全国区〟になった明和地所の「クリオㇾミントンヴィレッジ国立」が建っている。間違いなく一等地だ。
4月半ばから販売が開始されており、これまで6戸が販売・申込済み。プランやカラーだけでなく、設備仕様も選べる「プラスオーダーシステム」を採用している。キッチン天板は天然御影石、床暖房、食洗機も標準装備。モデルルームは開設していないが、駅前にマンションギャラリーを設けている。
三菱地所レジ「西新宿タワー60」〝しいたけマンションにしよう〟曽根原氏が提案
「HOMETOWN MEETING vol.2」
三菱地所レジデンスは5月3日、現在分譲中の「ザ・パークハウス西新宿タワー60」のエリアコミュニティイベント「西新宿CLASS in the forest」の第二弾「HOMETOWN MEETING vol.2」を開催。参加者はマンション契約者・申込者を含む40名を超えた。
荒昌史・HITOTOWA INC.代表がファシリテーターとなり、このマンションの開発担当の同社街開発事業部・柴田純氏や、パネリストのNPOえがおつなげて代表・曽根原久司 氏、NPO生態教育センター・奇二(きじ)正彦氏、Community Crossing Japan研修ディレクター・吉高美帆氏、フォーシーカンパニー取締役・鎌田菜穂子氏が「新宿をホームタウンにしよう」と語り合った。
参加者の一人で旅行会社を経営する50代の夫婦は、「とても良かった。緑を豊かにするのはいいことだし、防犯・防災をどうすればいいか、田舎もいい。山梨はよく行く。娘と婿もこのマンションを買った。二世帯(隣居)だよ。資金援助? 別々。婿さんは医者」と話した。
イベントは、防犯・防災、子育て、コミュニティ、サークル、管理などについて「きっかけがあれば参加したい」という意向があることに着目し、6名・団体がナビゲーターとなって、よりよいマンションライフ、地域とのつながりをサポートする目的で設けられたもの。2020年まで合計60回開催する予定だ。
〝新宿モリモリ〟の掛け声をかける左から曽根原、奇二、吉高、鎌田、荒の各氏(身長の差だけではありません。足腰の鍛え方が違うんです)
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曽根原氏と奇二氏の話に会場が沸いた。二人に共通するのは強靭な実践力だ。だから人を感動させるのだと思う。座学では想像もつかない強い言葉がぽんぽんと飛び出した。
まず曽根原氏。〝ウッドマンションにしよう〟〝しいたけマンションがいい〟などと、マンションに森をつくり、しいたけを植えようと提案した。〝開墾モリモリ〟なる景気づけの掛け声を〝新宿モリモリ〟に置き換えてパネリストを引き込んだ。
一昨年発売された「里山資本主義」(藻谷浩介著)が爆発的な売れ行きを見せた。都市と里山(山林)を対立軸として捉えるのではなく、それぞれの課題・問題を補完しあう関係として捉え、持続可能なバックアップシステムを描いてみせたのがヒットした大きな要因だ。
曽根原氏はその「里山資本主義」の先駆者だ。もう10数年も前に山梨県北杜市に移り住み、高齢化率62%、耕作放棄地44%という壮絶な限界集落を都市とつなぎ見事に再生して見せた。
三菱地所グループが展開する「空と土プロジェクト」と連携した活動も行なっている。記者は3年前、三菱地所ホームの稲刈りツアーに同行取材したのだが、携帯もつながらない山ヒルがうようよいそうな寒村で活動している曽根原氏らを目の当たりにして感動したものだ。
今月末には純米酒「丸の内」の種米の田植えツアーを行なうが、定員40名に対して応募は10倍もあったという。
奇二氏も同様だ。今回のプロジェクトに際し、新宿界隈の自然と生き物を8回にわたって観察したのだが、その活動を奇二氏は「歩き倒す」という言葉で形容した。記者は「歩き」に続く言葉は「回る」「ながら」「疲れ」「タバコ」くらい、「倒す」の前には「張り」「突き」くらいしか浮かばない。どうして「歩く」と「倒す」がつながるのか。これが強さなのだと納得するしかなかった。記者も虫の視線と鳥の視線を心がけているが、奇二氏にはかなわない。名前の通り奇人、奇才と言ったら失礼か。
西新宿を「歩き倒した」結果、23種もの野鳥や様々な虫などを見つけたという。「足元の自然に価値がある」と奇二氏は強調した。
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いい取り組みだ。初回も取材したが、建物が完成するのは2017年だが、その後も2020年まで60回も開催するという。イベントは主催者からの一方通行ではなく、「主役は住民」という趣旨から居住者の提案などにも応えていくのがいい。
どこのデベロッパーもコミュニティの取り組みを強化しているが、ここまで徹底しているものはほかにない。物件名のサブに〝ザ・パークハウス ウッドマンション〟あるいは〝ザ・パークハウス しいたけマンション〟を追加して欲しいくらいだ。
イベント全てに参加した人には、マンション1戸を抽選でプレゼントはできないだろうが、せめて皆勤賞として「博士号」の称号くらい与えてもいいのでは。
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マンションギャラリーがある「新宿フロントタワー」に面している青梅街道の緑地帯にたくさん咲いていた「ハルジオン」か「ヒメジョオン」を摘み取り、奇二氏らにどちらか聞いてみた。
ハルジオンであることが分かったのだが、茎が中空で葉っぱが抱き込むようになっているのが特徴だという。この雑草の区別は小さい頃に教わっているはずだが、いまはまったく分からない。これからは間違えることはない。草の名前を覚えるのは楽しいものだ。
青梅街道に咲き乱れる「ハルジオン」
同じ青梅街道に咲くこの花の名前は? 「シラン(知らん)」