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「クレヴィアタワー池田山」エントランスホール(完成予想図)

 伊藤忠都市開発の「クレヴィアタワー池田山」を7月17日に見学した。見学した段階で最終期7戸にすべて登録が入っており、19日の抽選会で完売している可能性が高い。分譲開始の3月からわずか5カ月で全104戸が完売したことになり、極めて好調な売れ行きを見せた。

 物件は、JR山手線五反田駅から徒歩4分、品川区東五反田五丁目に位置する23階建て全104戸。専有面積は25.89~76.45㎡、最終期7戸の価格は3,890万~10,570万円(31.57~76.45㎡)。平均坪単価は400万円。竣工予定は平成28年7月末日。設計・監理は浅井謙建築研究所。施工は大末建設。販売代理は伊藤忠ハウジング、三井不動産レジデンシャル。

 建物は免震構造を採用。1フロア4戸が標準で、角住戸比率80%のタワーマンション。建物外観は縦ラインを強調し、基壇部には自然石を多用するなど上質感を演出している。

 共用部のエントランス床は大理石で、壁には木製格子を配し、イタリアの家具「カルパネリ」や金属作家の光本岳士氏のアートを採用している。

 モデルルームデザイン、専有部のインテリアカラーデザインは藤原益男氏を起用。キッチン・洗面室の天板はシーザーストーン、玄関・廊下の床は本物の石のような風合いがあるドルトーニュ・マット、リビングダイニングドアはナグリ調化粧板、把手はブラウンレザーハンドル、浴室の天板には天然石を一部採用。天井高は基本2600ミリで、20階以上は2800ミリ。

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 これほど早く売れるとは思っていなかった。モデルルームの出来はよくできており、立地、単価、設備仕様など総合的に判断して早期完売はもっともだと感じた。

 来場者も〝近隣物件と比較して、価格の割にはグレードが高い〟という評価をしたようで、来場者に占める成約の割合が高いという。

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モデルルーム キッチン

 

カテゴリ: 2015年度

 豊島区が全国初の条例として注目された、マンションの良好な維持管理を行い、居住者間や地域とのコミュニティの形成を推進することを目的とした「豊島区マンション管理推進条例」を平成25年7月に施行して2年が経過する。条例の目的はマンション居住者にどこまで浸透し理解されているのか、今後の課題は何か――区のマンション管理状況届出書集計報告(案)は明らかにしている。

 同条例は平成24年12月21日に制定されたもので、マンションの適正な管理を推進するために区の責務を定め、マンションを所有する区分所有者や管理会社、宅建業者などにもそれぞれ責務を明確にし、マンション代表者に管理の現況を届け出るよう求めている。届出をせず区の指導や要請に従わないマンションについては、名前を公表することができるとしている。

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 区がまとめた「豊島区 マンション管理状況届出書集計報告 平成25年度版(案)」を紹介する。

 同条例11条は「マンション代表者等は、マンションの管理状況のうち規則で定める事項について、区長に届け出なければならない」としており、この届出条項の対象物件は1,103件で、条例が施行された平成25年7月1日から平成26年3月31日までに届出があったのは578件(届出率52.4%)だった。

 届出があったマンションの特徴としては、1981年から1990年に竣工した物件の届出率は42.5%と低く、戸数規模が30戸未満は50%を割っている一方で、100戸以上は75.0%を上回るなど戸数規模が大きくなるにつれて高くなっている。

 区分所有者の名簿があるのが97.9%。居住者名簿があるのが78.3%、ないのが21.2%。修繕履歴があるのが87.2%、ないのが12.1%。長期修繕計画があるのが82.5%、ないのが16.4%。町内会に加入しているのが71.1%、未加入が28.2%。管理員室があるのが88.4%、ないのが11.4%。旧耐震基準マンションは319件(1,103件のうち28.9%)、うち旧々耐震基準マンションは57件(同5.2%)。防災用品を備蓄しているのは21.1%。

 マンション内と地域コミュニティ形成については、自由記述方式で様々な取り組みが紹介されている。マンション内では、「戸数が少ないため家族的にコミュニティは取れている」「組合員同士のコミュニティの会がある」「マンション居住者同士はみな運命共同体の意識で親密。近隣の戸建ての方とはみな古くからの方たちで行き来が多い」など。地域交流については、「町内会に加入し、円滑な地域のコミュニティ形成をとっている」「町内役員会への役員の派遣、町会の防災訓練への協力、町内会清掃活動への協力」「町会への集会室貸与」などが紹介されている。

 届出書に関する課題として、報告(案)には次のような記述がある。全文を紹介する。

 (1)個人情報保護に関する課題

  少数ですが、代表者欄の空欄提出が見受けられました。

  代表者が空欄であった場合の届出者は全て管理業者からでした。

  届出者である管理業者から聞き取りを行ったところ、以下のような理由でした。

  ・個人情報保護のため(理事長に記載の可否を確認せず)

  ・理事長が記載を拒否したため

  ・代表者が輪番制で替わるため

 なお、個人情報保護を理由に代表者欄を空欄にする扱いを会社単位で行っている例はなく、各マンションの担当者(フロント)により判断されていました。今後担当者(フロント)に理解を求めていく必要があります。

 届出書は、提出を代行するものとして管理会社からの提出を認めているものの、管理組合が組織化されている場合は管理組合から提出されるものです。しかし、管理業者が主体となっている例があり、管理組合が届出について知らないというケースもありました。

 今後は管理組合と管理業者が情報を共有して届出を行うよう、また、届出書が管理組合と管理業者との情報共有のひとつのツールとなるよう継続して啓発を行っていく必要があります。

 (2)空欄について

 届出書の記載事項に一部空欄があるケースがありました。届出書の記入方法のパンフレットとともに届出の依頼を管理組合へ郵送しましたが、設問の意義の周知徹底不足や確認に時間や手間を要する場合、または設問の解釈等により空欄となってしまったと思われます。

 空欄となっている箇所は、管理組合が必要性を認識していない部分でもあり、啓発や支援が必要な部分が浮かび上がる結果となりました。

 届出時に聞き取りを行い、空欄を埋めるよう働きかけを行いましたが、今後はよりきめ細かく聞き取りを行い、その項目の必要性についてわかりやすく説明し、支援につなげていく必要があります。

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 届出率52.4%が高いのか低いのか。記者に判断材料はないが、高くはないといえそうだ。区の担当者が「管理会社が非協力的だった」と話したのが気にかかった。届出をする主体は管理組合ではあるが、管理会社は区分所有者や管理組合に対してマンションの管理に関する情報の提供や助言を求め、地域コミュニティの形成を支援することが求められている。

 にも関わらず、「管理組合が届出についてしらない」状況が少なからずあるということはどういうことか。個人情報の保護を楯に設問項目を空欄にすることも理解できない。マンション管理のプロが個人情報保護法に過剰に反応し、名簿の作成などに消極的な姿勢をとっている現状が明らかになっている。

 これは区にも責任がありそうだ。条例の目的を管理会社などとともに周知徹底することが不足しているのではないか。届出書そのものは理事経験者や管理会社の担当者だったら作成するのに10分もかからない程度の内容だ。

 管理組合も管理会社も、マンションは不可侵の私有財産であると共に、都市の緑環境、都市空間、防災・コミュニティ拠点の視点からすれば公共財でもある。

 区は今後、未届けマンションに対して文書による啓蒙、訪問による状況確認などマンション管理支援の活動を行なっていくというが、あらゆる手を尽くしても届出のないマンションについては公表に踏み切るべきだ。

 自らの財産を適性に管理することをせず、地域とのコミュニティ形成に無関心なマンションなどユーザーも買うべきではない。仲介業者も、管理・維持やコミュニティ形成の取り組みを考慮して査定価格に反映すべきだと思う。

カテゴリ: 2015年度

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南青山プロジェクト「The Upper Residences at Minami-aoyama」

 三井不動産リアルティは7月16日、南青山プロジェクト「The Upper Residences at Minami-aoyama」の一棟リノベーションマンションのプレス向け内覧会を行った。昨年10月の第1期13戸販売時に行ったのに続くもので、今回の第2期は4戸。

 内覧会で事業について説明した同社コンサルティング営業二部長・吉田裕氏は、「当社の平成26年度の相続案件は三年前の80億円強から150億円くらい、収益不動産の実績も平成22年の50億円強から250億円近くに伸びている。都心不動産マーケットは二極化の様相を呈しているものの総体としては極めて好調。実需に東アジアからの投資需要が高まっている。個人投資家も古いマンションは維持・管理が大変で、売却することで資産を組み替えたり、相続圧縮を図ったりする人が増えている。景気・株高も好調を支える要因になっている。優良立地のしっかり建てられている建物はエコの社会的ニーズも取り込み、一棟リノベで共用部と専有部のデザイン・機能を充実させ、事業を拡大していきたい」と語った。

 また、具体的な物件の特徴について、同部営業2グループ・神義一氏は、「働く女性が美しくなれるモデルルームに仕上げた」と話した。

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吉田氏(左)と神氏

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 この物件に関しては昨年10月にも見学会が行われており、その記事を参照していただきたい。その時の販売対象は4戸だったが、その後、第1期として13戸が成約している。半年足らずでそれだけ売れたということだ。

 当時の坪単価は約600万円。今回モデルルームとして公開された住戸は674万円と690万円。

 記者は中古マンションのことはよく分からないが、最高峰だと思っている「麻布霞町パークマンション」の成約価格はどれくらいなのだろう。もっと高いのか。

 「南青山」といえば、つい先月、隣接地で三菱地所レジデンスが分譲して即日完売した「ザ・パークハウスグラン南青山」は坪単価800万円弱。分譲20戸に対して10倍近い倍率だった。昨年、三井不動産レジデンシャルが分譲して人気になった「パークマンション三田綱町」が坪単価725万円。

 新築と中古を単純には比較できないが、都心希少立地のマンションはまだまだ上昇するということか。これから分譲される物件は間違いなく800万円以上だろうし、1000万円前後の物件も供給されるはずだ。中古もそれにつられてまだまだ強含みで推移するのだろう。

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「ラグジュアリーメークアップルーム」

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クリスタルガラス水栓

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 今回のモデルルームのコンセプトは「社会で活躍する『働く女性』が、心も身体も豊かに、いっそう美しくなれる空間を提供する」とのことだ。

 これにまったく異論はない。記者は最近、「女性はなぜ活躍できないのか」(大沢真知子著、東洋経済新報社)を読んだが、「女性活躍」の環境を整えることがアベノミクスの成否のカギを握っていると心からそう思っている。

 モデルルームは、その企画意図が伝わってきた。86㎡のタイプは、DINKSの入居を想定したもので、女性専用の約2畳大の「ラグジュアリーメークアップルーム」が設けられていたのには驚いた。水栓はグローエ製で、まだわが国では販売されていない、クリスタルガラスの蛇口からせせらぎのように水が流れるものだった。値段は25万円だそうだ。(ただ照明が暗く、見学した女性記者は「照明が暗いと化粧が濃くなる」と話したのにはなるほどと思った)

 もう一つの77㎡のモデルは海外と日本を行き来する単身女性向けに用意されたものだ。このプランの面白いのは、リビング・ダイニング・キッチンが一体となっており、スライドドアでキッチンを隠すことができており、そのキッチンフロアを含めて長さ約10|mにも及ぶ空間が演出できるということだ。コスモスイニシアは先に「INITIA CLOUD」で多目的に利用できるキッチンの提案を行ったがややそれに近い。

 注文もつけたい。ホールとリビングの引き戸の面材は人造皮革だったが、1億5,500万円もするのだからこれは本物にすべきだろう。もう一つ。同社だけではないことだが、不動産流通会社もデベロッパーもハウスメーカーも女性差別的な雇用を改め、ワークライフバランスの徹底を推し進めてほしい。女性がどの業種よりも住宅・不動産会社を選択するような職場環境を整備すべきだ。

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モデルルーム

三菱地所レジ「ザ・パークハウスグラン南青山」 平均9.65倍で即日完売(2015/6/16)

三井不動産レジ 億ションの「三田綱町」第1期80戸がほぼ完売(2014/8/6)

三井リアル 都心の1棟リノベーションマンション加速 「南青山」で見学会(2014/10/29)

 

 

カテゴリ: 2015年度

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「SKY TIARA (スカイティアラ)Residence in Forest」 

 住友不動産は7月3日、建設を進めていた板橋区小豆沢の大規模マンション「SKY TIARA (スカイティアラ)Residence in Forest」(全621戸)が竣工したのに伴い、報道陣向けに公開した。一般への棟内モデルルームの公開は7月11日から。ランドプランが素晴らしいマンションだ。

 物件は、都営三田線志村坂上駅から徒歩8~10分、同本蓮沼駅から徒歩9~11分、板橋区小豆沢一丁目に位置する19階建てウエスト棟456戸と13階建てイースト棟165戸の合計621戸。専有面積は57.20~88.40㎡。価格はウエスト棟が南向き74㎡で4,900万円台~5,700万円台、西向き72㎡で4,600万円台~5,000万円台、イースト棟が南向き70㎡で4,800万円台~5,800万円台。坪単価230万円。施工は大林組。

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 同社は、販売開始前に記者発表会を行っており、そのとき書いた記事を参照していただきたい。

 昨年3月にモデルルームをオープンして以来、問合せは5,000件を、来場者は2,000件をそれぞれ突破。これまでに全住戸の4割弱220~230戸が販売済み。竣工を前後して来場、成約者も当初の倍のペースに増えており、問合せ・来場者の居住地も地元中心からかなり広域に広がっているのが特徴のようだ。

 1年少しでこれくらい売れているのは売れ行きとしてはまずまずではないかと思う。当初は価格がやや高いという印象をユーザーの方も持たれたかもしれないが、今となってはかなり割安感もでてきた。広域から集客できているのも、ユーザー自身が価格の上昇を肌身に感じているからだろう。販売ペースはこれから上がっていくのではないか。

 完成したマンションについては、やはり総合設計制度の許可を受けている物件だけに、ランドスケープデザインが素晴らしい。総敷地面積約16,000㎡のうち約4,800㎡が公開空地として整備されており、シラカシ、アラカシ、ケヤキ、スダジイ、サカキなどの中高木が約1,000本植えられている。

 参考ながら、東京都は平成22年に総合設計制度の改正を大幅に行っており、緑や住宅の質、防災面での取り組みを重視するように改めた。それ以降、業界側からは厳しくなったという声が聞かれるが、それは認可件数の数字にも表れている。

 東京都全体で平成20年は37件だったものが、21年は13件、22年は14件で、改正後の23年は5件と3分の1程度に減少。24年も5件しかない。25年以降の数字はまとまっていないようだが、住友不動産のこの物件は25年に認可された案件の一つだ。

 物件全体ではレベルの高いマンションだと思う。ランドスケープデザインだけでなく、二重床・二重天井、グローエの水栓、ミストサウナ、S-マルチコア、フレキシブルプランの採用など水準以上だ。ガラス付きバルコニータイプの住戸も15戸ある。

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公開空地

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エントランス

「ティアラ」にふさわしい外観デザイン 住友不動産「スカイティアラ」(2014/2/27)

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「アールブラン東京サウス仲六郷」完成予想図

 モリモトが7月下旬から8月に分譲する予定の「アールブラン東京サウス仲六郷」を見学した。価格を抑えるためにこれまでは標準装備していた設備をオプションに変更しているが、坪単価261万円はいかにも安い。人気を呼びそうだ。

 物件は、京浜急行本線雑色駅から徒歩6分、大田区仲六郷3丁目に位置する8階建て全57戸。専有面積は55.04~86.05㎡、予定価格は2LDKが4,200万円台~、3LDKが4,600万円台~、坪単価は261万円の予定。竣工予定は平成28年3月中旬。施工はイチケン。設計・監理はIAO竹田設計。デザイン監修は南條設計室、カン・デザイニングオフィス(鈴木ふじゑ氏)。

 現地は東京電力の社宅跡地。用途地域は準工業地域で、敷地東側に変電所があり、その先に京急の線路が走っているが、その他の嫌悪施設はほとんどない。敷地北側にはスーパーが隣接。

 京急線は連続立体交差事業が行われており、雑色駅舎は改装中で駅前広場などが整備される。

 建物は、南向きと東向きのL字形で、北側からのビューが引き立つようにマリオンと縦格子の手すりなどで陰影のあるフォルムとしており、ライムストーン、2層のガラスウォールなどを配している。駐車場が100%ついており、すべて無料。賃貸も可能。

 モデルルームのデザインは鈴木ふじゑ氏が担当。カラーリングはベージュを基調に、オプションだが塗り壁、御影石のキッチン天板などを採用している。

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エントランス

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 最近の23区内のマンションは軒並み坪単価300万円を突破してきているが、記者は立地条件などからそこまではしないと読んだ。しかし、建築費も上昇してきていることから270~280万円くらいtが妥当だろうと考えた一方で、モリモトの企業姿勢からしてあるいはもっと安くなるかもしれないと期待もし、担当者には「250万円くらいでできたらいいよね」と声を掛けるつもりだった。

 結果は261万円。設備仕様は確かに落としているが、これは間違いなく安い。デザイン監修は南條洋雄氏だし、専有部のデザインは鈴木ふじゑ氏だ。(女性と一緒。後姿が美しいマンションが美しい)

 近くのグリコの工場跡地約2.3haは野村不動産がマンションを分譲する。京急蒲田駅前が坪単価320万円だったから、300万円はしないとは思うが、モリモトのマンションよりはるかに高くなるのは間違いない。

 ついでながら、話題をひとつ。今回のモリモトのマンションの近くには、同社が13年前に分譲して人気になった「クレッセント東京サウス」(113戸)がある。画家・俳優として活躍していた片岡鶴太郎氏とコラボしたのが話題になったマンションだ。当時は需要を喚起するためにタレントを起用することが流行っていた。

 片岡氏がコーディネートしたモデルルームも提案されたが、記者はモリモトの標準プランのほうがはるかに優れていると思った。 

 モリモトはその後、川崎・八丁畷でも古田敦也ご夫妻を起用したが、マイナーな立地であるにもかかわらず、千葉や埼玉からも反響を呼んだ。これも早期完売した。

 いまのモリモトはタレントを起用しなければ集客できないということは全然ない。逆にモリモトファンが積み重なっていく一方だろう。マンションデベロッパーは見習うべきだ。

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モデルルーム

カテゴリ: 2015年度

 

 都心も郊外もすさまじい売れ行き-6月29、30日の両日、三菱地所レジデンス、東急不動産、東京建物、フージャースコーポレーションの4社はそれぞれマンションの即日完売のリリースを発信した。都心も郊外も極めて好調な売れ行きを見せている市況がより鮮明になってきた。

 三菱地所レジデンスが即日完売したと伝えたのは「ザ・レジデンス津田沼奏の杜」(全869戸)の最終分譲12戸で、競争倍率は最高8倍、平均3.5倍だった。津田沼駅から徒歩7分の全869(事業協力者住戸187戸含む)で、価格は3,718万~4,488万円(専有面積約60~70㎡)。事業主は同社のほか野村不動産、三井不動産レジデンシャル。

 今回の即完によって、津田沼駅南側で進められている土地区画整理事業地「奏の杜」地区では、2011年12月に分譲開始された第一弾の「ザ・パークハウス津田沼奏の杜」(全721戸)をはじめ「ザ・パークハウス津田沼奏の杜テラス」(全62戸)、「パークホームズ津田沼奏の杜」(全48戸)、そして今回の物件と合わせ1,700戸が3年半の間に完売したことになる。年間に500戸近いペースだ。

 区画整理事業によって街並みが整えられ、都心へもアクセスがいい割に坪単価が200万円前後に抑えられているのが人気を呼んだ。

 同社の杉山博孝社長は7月1日、平成27年の路線価が発表されたことを受けて、「住宅事業においては、好調な株式市場、景気の回復等を背景に、分譲マンションの取得需要は引き続き旺盛で堅調に推移している。『本当に良いものにはお金を払う』顧客が増えてきているとの実感がある」とコメントしている。

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 東急不動産が即完したと発表したのは「ブランズタワーみなとみらい」(全228戸)の第1期150戸で、最高19倍、平均2.4倍だった。専有面積は43~120㎡、価格は4,570万~2億2,870万円(最多価格帯6,500万円台)、坪単価440万円。

 この物件については人気になるのは予想されていたことだが、坪単価が400万円をはるかに越えていることには驚かされた。億ションなどの単価が高い住戸が全体の単価を引き上げている要因だろうと思われるが、昨年当たりは坪380万円くらいではないかと業界内では噂されていただけに、すごい上方修正だ。

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 東京建物の即完マンションは「Brillia日本橋三越前」の全44戸。専有面積は51~72㎡、価格は5,400万~1億90万円(最多価格帯8,800万円台)。最高倍率は13倍。登録者は50歳代~60歳代が約47%で、海外からも5%あった。

 この物件も人気にはなるだろうと予想していた。すぐ側で、野村不動産が分譲した「プラウド日本橋三越前」(88戸)が驚異的な人気を集めていたからだ。年齢の高い方が多数申し込んだというのは、やはり「三越」に歩いていけるという利便性だろう。女性の目線で商品開発する「Bloomoi(ブルーモア)」の企画もヒットしたのだろう。

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 フージャースコーポレーションが即完したのは「デュオヒルズつくばエンブレム」(全352戸)の第1期・第1期2次の110戸。

 つくば駅から徒歩4分で、駅までペディストリアンデッキで結ばれている一等地の立地で、20階建て免震マンション。デザイン監修は光井純氏。リリースには価格が公表されていないが、坪単価は170万円台の半ばにとどまっているはずだ。記者は極めて割安感があると見ている。つくば市では大量の官舎が廃止されることになっており、その受け皿としても注目されているはずだ。

予約殺到 三菱地所レジデンス「ザ・パークハウス津田沼奏の杜」(2011/10/6)

プラン・設備がいい 坪400万円は納得 東急不動産「みなとみらい」(2015/5/13)

“プラウド”に挑戦状 ほぼ同じ単価で「Brillia日本橋三越前」(2015/4/25)

驚!問い合わせ4500件突破 野村不動産「プラウド日本橋三越前」(2015/2/27)

フージャースコーポつくばセンター地区最後の一等地で「エンブレム」(2015/5/1)

カテゴリ: 2015年度

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津田氏(左)と佐藤氏

 コスモスイニシアは6月30日、「‘柔らかさ’のある住まい」をテーマにした新ブランド「INITIA CLOUD(イニシアクラウド)」を立ち上げ、近く供給するマンション「イニシアクラウド二子玉川」、リノベーションマンション「パレ二子玉川」、一戸建て「グランフォーラム梶が谷」を皮切りに分譲していくと発表した。

 「INITIA CLOUD」は、Newsweek誌「世界が尊敬する日本人100人」に選出された世界的なデザイナー佐藤オオキ氏が代表を務める「nendo」が監修し、マンション、リノベ、一戸建てなどのカテゴリーの枠を超えて、家族構成やライフサイクルの変化に対応し、あわせて心地よい空間を提案することで、「‘柔らかさ’のある住まい」を実現する。

 基本は、開放的な大きなスペースとスライドウォールを組み合わせ。スライドウォールを開閉することでさまざまな間取りやレイアウトが可能になる。「キッチンなのに廊下にもなる」「廊下なのに収納にもなる」など、従来では考えられなかった柔軟な提案も行っていく。

 発表会に臨んだ同社執行役員レジデンシャル本部副本部長・津田英信氏は、「これまで業界スタンダードになるようなものづくりを行ってきたが、間取りの研究開発余地はまだまだあると考えてきた。しかし、従来の建築関係、学者などとのコラボには発想に限界もある。佐藤さんの『デザインは人を幸せにするもの』の言葉にひかれ、2013年に『建築分野を超えた仕事がしたい』と依頼した」とコラボの経緯を語った。

 佐藤氏は、「住まいとは何か、イニシアって何かなど、大きなフレームで考えたとき、家電などと比べて住宅はハードもソフトも“固い”し、進化していないんじゃないかと考えた。そこで浮かんだのが“柔らかさ”。大事なのは“SCENE(シーン)”“TIME(タイム)”“TOUCH(タッチ)”。これをテーマにした」と話した。

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概念図(SCENE)

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概念図(TIME)

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概念図(TOUCH)

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 なかなか面白い発想だ。詳細は別掲の記事を読んでいただきたいが、同社は昨年、創業40周年記念のプロジェクト「イニシア武蔵新城ハウス」を分譲した。これまで取り組んできた同社のものづくりの集大成の物件といえるもので、素晴らしいものだった。

 今回の新ブランドはその延長線上にあるものと理解した。しかし、津田氏が目標とした「年間供給戸数の10%程度」という目標については注文を付けざるを得ない。

 佐藤が話したように、今の住宅は固くて進化していないというのであれば、同社が先頭に立って変えていくという気構えがほしい。それが新ブランドのコンセプトだ。10%というのは情けない。

 記者は、今後供給するすべての物件に“SCENE(シーン)”“TIME(タイム)”“TOUCH(タッチ)”を採用するのは困難なのは理解できる。コストなど様々な制約があるのも分かる。

 しかし、同社の年間のマンション供給量は1,000戸くらいか。そのうち新ブランドが10%とすれば100戸だ。供給戸数を競う時代ではないが、これはいかにも少ない。ユーザーに浸透しない。これまで分譲してきた物件でも新ブランドのコンセプトに近いものを同社は供給してきている。

 「INITIA CLOUD」は単にマンション、戸建てブランドの一つにとどまらず、同社のマンション事業全体、企業姿勢にもつながるものだ。エッセンスだけでもいい。新ブランドが業界をリードし、やがてはスタンダードにする姿勢をアピールしてほしい。

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「イニシアクラウド二子玉川」完成予想図

創業40周年記念の「イニシア武蔵新城ハウス」 30年前の「シカク」蘇る(2014/10/9)

 

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「ルジェンテときわ台」

 東急リバブルは6月27日(土)、同社の自社分譲マンションブランド「L’GENTE」シリーズの「ルジェンテときわ台」(総戸数29戸)の建物内モデルルームをオープンする。

 物件は、東武東上線ときわ台駅から徒歩6分、板橋区南常盤台2丁目に位置する全29戸。専有面積は32.57~62.27㎡、予定価格は3,000万円台~5,200万円台、坪単価は270万円前後。施工はトヨダ工業。販売開始は7月下旬の予定。

 全29戸のうち21戸が角住戸で、内廊下方式、全居室スライドドアを採用。共用部では「トリプルセキュリティ」や、ダイエーのネットスーパーと提携し、インターネットから注文可能な食配サービス「食配ラボ」を導入する。

カテゴリ: 2015年度

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「オーベルグランディオ横浜鶴見」

 大成有楽不動産が先に行った「オーベルグランディオ横浜鶴見」の入居済みの人を対象としたコミュニティイベントを見学した。デベロッパーは最近、こうしたコミュニティ支援のイベントを積極的に行っているが、同社は地域の企業と連携した多彩なイベントを行うのが特徴で、この日は、横浜DeNAベイスターズのマスコットダンスやボーネルンドの「キドキドつるみ」が行われた。

 このマンションの商品企画やコミュニティ支援の取り組みについては、別掲の記事を参照していただきたいが、小さなお子さん連れのお母さん方がたくさん集まっているのを見て、改めて居住者同士や地域とのつながりが大きな役割を果たしていることを実感した。

 今回のコミュニティ活動は、全3棟553戸の「オーベルグランディオ横浜鶴見」の3棟別々の管理組合が「共同コミュニティ委員会」を設置し、同社のコミュニティサポート事務局とフォーシーカンパニーの「マチTOMO事務局」がイベントの企画・開催、サークル立ち上げ支援を行うもの。横浜DeNAベイスターズ、キリンビール、横浜国大、京急電鉄、森永製菓、東京ガスなどの企業と連携したプログラムも実施している。2017年3月まで支援していく。今回は入居が始まっている2棟の居住者が対象。

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横浜DeNAベイスターズのキャラクター   

 ベイスターズのイベント参加者の一人で、昨年12月に入居した3人家族の30歳代のお母さんは、「妊娠したとき、マンション購入を検討しました。それまでは戸塚の賃貸マンションに住んでいたのですが、5階建ての4階部分でエレベータはありませんでした。このマンションの決め手は駅に近いこと。コミュニティ支援のプログラムがなければ、自分から積極的に交流することはなかったはず。とてもありがたいです」と話した。

 また、「キドキドつるみ」に参加していた11カ月と3歳のお子さん連れの30歳代のお母さんは、「ママ友ができてとても楽しい。今日も、この会に参加する前にコストコにみんなと行ってきました」と交流を楽しんでいた。

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「ママ友ができてとても楽しい」と語るお母さん

 もう一人の20歳代のお母さんからは、「RBA野球の記事を書いている方でしょ。パパの会社も参加しています」と呼びかけられた(これには驚いた。このパパのことはよく知っているが書かない。仕事も野球も一生懸命の方だ)。

 マンションは「アリーナテラス」(180戸)と「コンフォートテラス」(193戸)が分譲済みで、現在分譲中の最終街区「ブリーズテラス」(180戸)は100戸供給してほぼ完売している。

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敷地内には樹齢80年はありそうな既存樹のケヤキの大木が植わっていた(コンフォートテラス)

大成有楽不などプロ野球観戦イベント コミュニティがテーマの「横浜鶴見」(2014/9/10)

建物の高さ規制は居住性、景観美の視点から見直しを(2013/12/7)

カテゴリ: 2015年度

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「パークシティ武蔵小杉 タワーズイースト」完成予想図

 三井不動産レジデンシャル(事業比率50%)とJX日鉱日石不動産(同)は6月24日、記者発表会を行い、川崎市中原区の住宅・商業・文化一体開発のプロジェクト「パークシティ武蔵小杉ザガーデン」(全2棟、約1,200戸)のうちの1棟「パークシティ武蔵小杉 タワーズイースト」(全592戸)」の第1期409戸の販売を6月27日から開始すると発表した。駅から徒歩4分で、坪単価は330万円。人気必至のマンションだ。

 物件は、JR南武線・横須賀線・湘南新宿ライン武蔵小杉駅から徒歩4分(JR横須賀線・湘南新宿ラインのホームまでは連絡通路利用でさらに徒歩6分)、東急東横線・目黒線武蔵小杉駅から徒歩5分、川崎市中原区小杉町2丁目に位置する53階建て全592戸。第1期(409戸)の専有面積は44.93~105.81㎡、価格は4,390万~15,800万円(最多価格帯7,200万円台)、坪単価330万円。設計・施工・監理は竹中工務店。竣工予定は平成29年12月下旬。

 昨年10月からの資料請求は約10,000件、5月からオープンしたモデルルーム来場者は約2,000組。来場者の約45%が中原区在住で、30歳代・40歳代で約55%。居住形態は持ち家が約45%。年収は1,000万円以上が約45%。約95%が実需。

 現地は、総面積が約92haの再開発エリアの一角で、これから開発が進められる駅北口の第一弾プロジェクト。敷地は旧日本石油の社宅・独身寮跡地。10数年前から両社が再開発計画を進めてきた。建物は免震で、敷地の約4割を緑化。敷地南面に約200mにも及ぶ商業施設と、2階には川崎市が所有する約3,000㎡、1,000人規模のコンベンション施設が併設される。

 商品企画では、複層防災プログラム、サステナブルの取り組みのほか、「KOSUGIからCOSUGIへ」というコンセプトのもと、コミュニケーションcommunication)、コラボレーション(collaboration)、コミュニティ(community)を通じ「ともにつながって」、「KOからCOへ」の新しい価値を見出していける取り組みを進めるのが特徴。

 発表会に臨んだ三井不動産レジデンシャル執行役員横浜支店長・徳川浩一氏は、「武蔵小杉は近年人気が高まっており、いつも〝住みたい街ランキング〟の上位にランクされている。われわれは、これまで駅南側の3棟のマンションや商業施設、駅前広場の整備などを行ってきており、街の発展に貢献してきた。開発地はJX日鉱日石の思い入れの強い土地であり、われわれの街を牽引してきたという想いも込めた」と話した。JX日鉱日石不動産取締役開発事業部長・伊藤裕樹氏は、「敷地の旧社宅には最盛期で300人の社員が住んでおり、大きな公園もあり、地域の人との交流もあった。コンセプトにはその思いも盛り込んだ」などと語った。

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「ゲストサロン」(左)と「ビューバス」

◇       ◆     ◇

 坪単価は330万円。事前に聞いていた数字とほぼ同じだ。いまから10年くらい前に分譲された第一弾は220万円くらいだった。あれから100万円以上も上昇した。

 第1期409戸という数字も驚きだ。近年の一挙販売戸数の多さでは「勝どき」500戸、「Tomihisa Cross」482戸、「SKYZ」470戸に次ぐのではないか。

 「KOからCOへ」のコンセプトもいい。よく考えたものだ。わが国のローマ字は公式にはヘボン式を採用しているので「こ」は「KO」なのだろうが、別に「CO」と書いても間違いではないはずだ。今回のプロジェクトだけでなく「小杉」は「COSUGI」とアルファベット表記を統一したらどうか。

 モデルルームでは、三井デザインテックの小野京子氏がデザインした価格が1億5,800万円の特別仕様の住戸がいい。。天井高は2850ミリ、無垢のうづくり仕上げの建具ドア、初めて見るような御影石の床、たたき仕上げのドア把っ手などが印象的だった。

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ライブラリーラウンジ

◇       ◆     ◇

 ひとつだけ理解できなかったのはコンセプトムービー。「KOからCOへ」を表現したものだが、ママ役の佐藤康恵さんは全然知らないし、小杉のマルシェやら多摩川でのイベントが映し出されても「小杉に川はあったのか」と首をかしげるだけだった。イメージに流れすぎたのではないか。

 その後のプロジェクトムービーは極めて明解。物件の特徴を余すところなく伝えきっていた。逆のほうがよかったのではないかと思った。

 同じ川崎市の注目物件、野村不動産「宮崎台」は最初から田園都市の歴史、思想を伝えた。広告には説得に重きを置いたものとイメージを重視したものとがあるが、さて今回の評価は…。

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モデルルーム

 もう一つ、パンフレットについて。これは重い。優に2キロはある。しかも凝っている。

 大きく分けて2つ。一つは杉板文様をプリントした紙袋で、図面集などが入っている。これはまあ普通だ。

 すごいのはもう一つのほう。スギ独特の香りがする本物の杉の木箱入りで、写真集やタウンガイド、コンセプトブックなどが収められている。「GREEN NEIGHBORHOOD LIFE」と名付けられたガイド誌とコンセプトブックのようなものは、直径が約25センチの半円形の形をしており、開くと横が30センチ強の楕円になる。全部で40ページ以上もある。

 これだけでも面白いが、縦約25センチ、横約5センチの折本がまたユニークだ。表と裏に手書きの文章を印刷したもので、絵が添えられており、すべて開くと3メートルくらいもある。

 これでとどまらない。中身は見ていないが、ジグゾーパズルのようなもの賀ビニール袋に入っている。小さな子どもにぴったりではないか。

 まだある。コースタを綴じたような四角い形のもので、謎解きのようにコンセプトを解き明かしていく内容になっている。

 高価なものでは、桐の箱に入った原価で数万円もするリゾートマンションのパンフレットをバブル期にもらったことがあるが、今回のような面白いパンフレットは見たことがない。将来、プレミアがつくかも知れないので持っている人は捨てないほうがいい。

 ちなみにパンフレットの重さの記録は、三井不動産レジデンシャルが伊藤忠都市開発と共同で分譲した「新浦安」の物件。確か4.2キロだったはずだ。

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モデルルーム

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