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 野村不動産アーバンネットは5月1日、2013年度中古マンション「人気の駅ランキング」を発表した。「広尾」が前年5位から1位に躍進し、2位が「品川」、3位は「恵比寿」。ベスト10は全て都内。都内以外でベスト20に入っているのは神奈川県「溝の口」の19位のみ。

 調査は、2013年4月から2014年3月までに同社の不動産情報サイト「ノムコム」に掲載された中古マンションへの問い合わせ数を駅ごとに集計したもの。

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 結果はなかなか興味深いものではある。「広尾」がとうして1位になったのかよく分からない。昨年は都心の一等地での億ションの供給が少なかったことと関係があるのかどうか。

 ベスト10までは全て都心部。前年29位の渋谷が7位に、18位の「大崎」が10位に上昇しているのが注目される。「渋谷」は「ヒカリエ」効果か再開発期待か。「大崎」は大規模新規が供給されたためだろう。

 「住みたい街」として毎年のようにトップとなる「吉祥寺」が17位に沈み、いつも上位にランクされる「吉祥寺」「自由が丘」「横浜」「武蔵小杉」などがベスト20にも入っていないのは解せない。「辰巳」が前年17位から14位に上昇したのは「湾岸人気」につられたものだろうが、これも不思議。

 結局は「人気」というより、新規とのからみなどで上下しているということだろう。上位にランクされていないところで記者のお勧めはもちろんわが街「多摩センター」だが、都内では「小金井」「国分寺」「立川」「調布」「石神井公園」、神奈川県では「相模大野」「上大岡」「たまプラーザ」「青葉台」「橋本」、埼玉県では「志木」「ふじみ野」「川越」、千葉県では「流山おおたかの森」「柏の葉キャンパス」「柏」「千葉ニュータウン中央」か。

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「ザ・パークハウス上野」完成予想図

 三菱地所レジデンスが5~6月に分譲開始する「ザ・パークハウス上野」を見学した。同潤会アパートとして最後まで残っていた「上野下アパート」の建て替えマンションで、東西軸が長い敷地形状を生かした全戸南向きのワイドスパンプランがいい。

 物件は、東京メトロ銀座線稲荷町駅から徒歩1分、またはJR山手線・京浜東北線上野駅から徒歩8分、台東区東上野5丁目に位置する14階建て全128戸(事業協力者住戸52戸含む)。専有面積は25.17~75.26㎡、価格は未定だが、坪単価は280万円台になる模様。竣工予定は平成27年8月下旬。施工は東亜建設工業。

 現地は、稲荷町駅から徒歩1分だが、表通りから一歩入ったところで、すぐ近くに銭湯があるようにまだ下町の風情が残るところ。用途地域は商業地域で、前面道路の幅員は6m。前建の影響は受けるが、高層建物は1棟くらいしかない。

 敷地が東西軸に細長い形状を生かしたプランが最大の特徴。1階は駐車場や店舗、共用施設で、2~5階まではコンパクトタイプが中心。6階以上の62㎡プランでも間口は約8.5mのものや、75㎡では12.8mのものもある。全住戸の6割ある逆梁タイプにはバルコニーに花台を設置しているのも特徴のひとつ。

 2週間前に予約制の事前案内会を開始したばかりだが、平日でも全て満席。約100組の来場者がある。

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 説明を受けたのは同社街開発事業部主任・上村剛司氏。「単価はいくらですか」と聞いたら、「いくらだと思いますか」と返された。「坪275万円はどうですか」と答えたら、上村氏はしばし沈黙。顔には「そんなに安いはずないでしょ」と書いてあった。

 記者だってそんな反応が返ってくるのは百も承知、千の風だ。鎌をかけたわけではなく、ストレート勝負で聞いたのだが、皆もの上がる春の風をしっかり読んでいる。そこで「290万円でも高い」と返した。上村氏は「まだ決まっていませんが…」と即答はしなかったが、当たらずとも遠からず。280万円台に落ち着くことを匂わせた。いい線だ。

 台東区の人は、「320万円の武蔵小杉よりどうしてそんなに安いのか」と抗議するかもしれないが、新幹線の始発駅を東京に奪われてから23年。あのころから上野の地盤沈下は始まり、加速している。「ああ上野駅」「上野発の夜行列車…」 演歌のメッカはかつて昔だ。最後の砦というべき常磐線・高崎線・宇都宮線も来年には東京乗り入れになるのではなかったか。山手線で坪300万円以下のマンションが買える-これが上野のいいところだ。

 三菱地所レジデンスは、「18坪の3LDKですが、ワイドスパンなので70㎡の機能があります」とは言わないだろうが、それに近いことはアピールしていい。

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75㎡のプラン

最後の同潤会「上野下アパート」 三菱地所レジデンスが現地見学会(2013/5/8)

 

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「ライオンズ柏旭町サーパスレジデンス」完成予想図

 大京と穴吹工務店は4月24日、千葉県柏市の両社初の共同事業マンション「ライオンズ柏旭町サーパスレジデンス」の記者見学会を行った。この物件を含め柏市内では3物件350戸(非分譲26戸含む)を供給することになっており、今回はその第一弾。

 物件は、JR常磐線・東武野田線柏駅から徒歩5分、柏市旭町3丁目に位置する15階建て全42戸の規模。専有面積は61.10~73.33㎡、予定価格は2,900万円台~4,300万円台(最多価格帯3,900万円台)、坪単価は170万円台の後半の予定。竣工予定は平成27年9月18日。施工は穴吹工務店。設計は穴吹エンジニアリング。分譲は6月中旬。

 現地は商業地域と第1種住居地域にまたがるエリアで、建物は白が基調の南西向き。プランは1フロア3戸で、角住戸比率が66%。前面には第一種住居の東葛飾高校の敷地や住宅街が広がっている。南東側は水戸街道が走っており、サッシは旭硝子の防音・断熱性能が高い新製品「マイミュート」が採用されている。

 発表会に臨んだ穴吹工務店東日本支店長・竹本勝氏は、「昨年4月に当社が大京グループ入りして初めての共同事業マンション。土地を仕入れたのは当社で、設計、施工も担当する。大京さんのスペックを搭載し、シナジー効果を発揮する。これまで柏市内では両社で23棟1,492戸の供給実績があり、この物件を含めもう1物件を共同事業で、もう一つの再開発物件は大京さんが単独で分譲する」と話した。

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 両社には申し訳ないが、記者の関心事はこのマンションではなく、大京が5月にも発表会を予定している再開発の「ライオンズタワー柏」にある。免震の27階建て全265戸(非分譲26戸含む)で、施工は竹中工務店だ。

 同社はいくらになるか公表していないが、記者は最低で坪230万円と読んだ。240万円を超えるかどうかだ。超えても驚かないが、補助金もあるのでまず超えないと思う。

 ユーザーだってこちらのタワーが気になって判断できないだろうが、単価が異なる。

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 住友不動産は4月24日、建設中のマンション「グローブアベニュー国立」も事前案内会を4月26日から開始すると発表した。

 物件は、JR国立駅から徒歩18分、国立市富士見台2丁目に位置する7階建て全277戸。専有面積は54.92~87.04㎡。竣工予定は平成27年2月。設計・施工は長谷工コーポレーション。

 3方向が公道に面する約9,100㎡の整形敷地で、同社独自の設備・配管集約システム「S-マルチコア」を採用、最大約2.48の天井高、ダブルアウトフレームなどが特徴。

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 このマンション計画は全く知らなかった。驚いたのは、かつて明和地所が建設した「クリオレミントンヴィレッジ国立」(14階建て343戸、高さ44m)の南隣にあることだ。明和地所のマンションについては、別掲の記事を参照していただきたいが、記者が前職を辞めるきっかけになったマンションだ。

 今回、住友不動産が建設しているエリアには地区計画が定められておらず、建築物の高さ規制はない。あるのは斜線制限のみだ。それなのにどうして7階建て(1層を3mとすると21m)に抑えたのか。必ず現地取材してレポートしたい。

「国立裁判」明和地所〝圧勝〟に思う(2004/11/8)

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 住友不動産は4月24日、地上53階建て全800戸の「シティタワー武蔵小杉」第1期185戸のうち175戸を契約したと発表した。

 物件は、JR横須賀線・湘南新宿ライン、東急東横線・目黒線武蔵小杉駅から徒歩4分の53階建て全800戸。専有面積は55.23~72.35㎡。竣工予定は平成28年1月。設計・施工は前田建設工業。

 第1期の価格は5.290万~7,690万円(最多価格帯6,700万円台=70㎡台)、坪単価は320万円。今回分譲したのは価格が高い部分と比較的低い部分。契約者の居住エリアは川崎市中原区・幸区、横浜市港北区で約50%、東京都内ほかが約50%。

 昨年11月にモデルルームをオープンして以来、これまで約1,600組の来場者を集めている。2期分譲は5月下旬。

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 坪単価に仰天した。同社が記者見学会を行った時点で、坪単価は三井不動産レジデンシャルや野村不動産などの物件とほぼ同じか若干高い185万~290万円台の前半だろうと読んだ。まさか300万円を大きく上回るとは全く考えなかった。

 これまで分譲された同駅圏の最高値の物件より約10%のアップだ。上昇率よりも坪当たり30万円も高いのにただただ驚くばかりだ。これは「新価格」の序章に過ぎないのか。

「70平米でも75~80平米と同様の居住性能」 住友不「武蔵小杉」(2013/10/24)

 

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「王子飛鳥山ザ・ファーストタワー&レジデンス」完成予想図

 近鉄不動産(事業比率45%)、京阪電鉄不動産(同45%)、長谷工コーポレーション(同10%)の3社は4月22日、JR京浜東北線王子駅から徒歩1分の「王子飛鳥山ザ・ファーストタワー&レジデンス」のプロジェクト説明会&モデルルーム見学会を行なった。

 物件は、京浜東北線王子(南口)駅から徒歩1分、または東京メトロ南北線王子駅から徒歩4分、北区堀船1丁目に位置する29階建てタワー棟230戸、7階建てレジデンス棟55戸の合計285戸の規模。専有面積は35.02~86.00㎡、価格は未定。竣工予定はタワー棟が平成28年1月上旬、レジデンス棟が平成26年11月中旬。販売代理は野村不動産アーバンネット、長谷工アーベスト。設計・施工は長谷工コーポレーション。

 現地は、王子駅前の一等地。線路を挟んだ対面には飛鳥山公園が広がる。建物は制震工法を採用。南向き中心とせず、南西・南東向き住戸を多くするよう配棟し、角の部分を雁行させることで角住戸比率を72%に高めているのが特徴で、天井高は約2,700ミリ。

 これまで2,200件の反響を集め、5月3日からモデルルームを一般公開する。1期分譲は120戸の予定。

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飛鳥山公園の桜

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 この数年、一部を除く首都圏の電鉄(系)会社はマンションや戸建て事業に力を入れているが、関西の電鉄会社も首都圏市場に参戦、攻勢を強めている。この「王子飛鳥山」は、大手の独壇場になっている「駅前のタワーマンション」に大きな楔を打ち込む注目マンションだ。

 一等地であるのは間違いない。広告表示は「駅から徒歩1分」だが、20mだから15秒だ。しかも、駅の反対側の20mには飛鳥山公園。これほど恵まれたマンションはまずない。問題はいったいいくらになるか、これが最大の関心事だ。記者は坪単価が300万円を超えるかどうかをずっと考えた。

 記者の記憶では、ここ数年、北区内では野村不動産が2010年に分譲した「プラウドシティ赤羽」の坪265万円と、やはり野村不動産が2012年に分譲した「プラウド王子本町」の坪275万円が最高値だ。

 立地条件からしてこの2物件を上回るのは確実だし、設備仕様をあげ高値挑戦する手もある。しかし、坪300万円超、つまり70㎡台で6,000万円を大きく超えても売れる購買力が北区にあるとはどうしても思えない。近鉄も京阪も長谷工も商才に長けた大阪の会社だ。そんな冒険はしないと読んだ。「北区最高値」の名声より、確実に実利を取るとみた。そこで導き出した単価は290万円だ。

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飛鳥山公園

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 モデルルームを見て、記者の予想が的中すると確信した。記者発表会で誰も手を挙げなかったら質問しようと思っていたが、他の記者が聞いてくれた。坪単価はまだ決まっていないらしく、関係者は明言しなかった。

 ここで登場したのが、近鉄不動産常務取締役首都圏事業本部長・田中孝昭氏だ。田中常務は、のらりくらり記者団の質問をはぐらかすような首都圏のデベロッパー幹部ではなかった。スタッフにレジデンス棟とタワー棟の価格差を語らせた。 

 田中常務は現在のマンション市場にも言及。「首都圏は建築費の上昇で用地取得が難しくなってきた。大阪も名古屋も同様。利益を落とさざるを得なくなってきた。関西では頭を取っていくが(入札に負けない)、その他のエリアでは他の大手とバーターで共同事業を推進していく」と語った。

 リップサービスも忘れない。「このマンションは取得が半年遅れていたら、間違いなく坪300万円を超える。他のデベロッパーには頑張ってくれ(単価を引き上げてほしいという意味)と言われているが…まあ、竣工までに売れればいい。これから新価格マンションが続々出てくるし、秋には新々価格も供給されるはず」と、真っ向勝負のストレートを投げた。首都圏デベロッパーの記者発表会ではまずこんなやりとりは聞けない。

 発表会の終了後、記者は食い下がった。ストレートで球を投げ返した。「常務、平均では坪300万円を超えないということですよね」という質問に、田中常務は「このマンションは坪単価では語れない。飛鳥山が望める住戸とそうでない住戸を平均して価値を量るのは適当ではない」と答えた。名答だ。まさかここで変化球を投げられるとは夢にも思わなかった。相手は役者が2枚も3枚も上だった。

 この質疑応答・やりとりで、読者の皆さんは売り値がいくらになるか想像できるはずだ。最大の専有面積も86㎡に抑えていることでも、販売戦略が読み取れる。

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モデルルーム リビング

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 田中常務は状況の変化を読みながら積極果敢に攻める姿勢を見せたが、京阪電鉄不動産取締役首都圏事業部長・定井和重氏も負けてはいない。

 首都圏での展開について、「近鉄さんと比べたら首都圏は経験が浅いが、今回、近鉄さん長谷工さんと組ませていただいたような取り組みや、第一次取得層向けと都心のコンパクトでアグレッシブに展開していく。今回のようなJVも成長戦略の一つ。積極的にチャレンジしていく」と、意欲を見せた。

 恐るべし、関西の電鉄系デベロッパー。阪急不動産も「ジオ」を積極展開しているし、名古屋圏の名鉄不動産も三交不動産も厳しいときもコンスタントに供給してきた。「大阪都構想」は雲散霧消するか淀川の芥になりそうな気配だが、関西の電鉄系デベロッパーが手を組んだら脅威だ。首都圏でも「頭を取られる」かもしれない。

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モデルルーム ベッドルーム

赤羽の一等地 野村不動産「プラウドシティ赤羽」(2010/10/14)

 

 

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「勝どきザ・タワー」完成予想図

 鹿島建設(幹事会社)、三井不動産レジデンシャル、三菱地所レジデンス、住友商事、野村不動産の5社JVマンション「勝どきザ・タワー」を見学した。わが国のマンションの歴史に残るマンションであるのは間違いない。シアターのパクリだが、「驚きの次元が異なる」素晴らしいマンションだ。

 物件は、都営大江戸線勝どき駅から徒歩6分、中央区勝どき5丁目の敷地面積約10,000㎡に位置する53階建て全1,420戸(事業協力者住戸102戸含む)。専有面積は40.42~120.55㎡、価格は未定。実施設計・施工は鹿島建設。竣工予定は平成28年12月下旬。販売代理は三井不動産レジデンシャル、三菱地所レジデンス、住商建物。販売予定は5月下旬。

 現地は、施行面積約1.9haの「勝どき五丁目地区第一種市街地再開発事業」の一角。再開発の計画が持ち上がったのが平成18年というから、わずか6年で供給にこぎつけた。中央区の指導のもと都や民間の地権者などの決断がこのようなスピード感のある事業となった。この速さは全国的にも珍しいという。

 敷地の南東側には清澄通りを挟んで「ザ・トウキョウ・タワーズ」が建っている。北西方向には隅田川を挟んで浜離宮がある。2016年開通予定の環状2号線・隅田川橋りょうができれば、浜離宮や汐留駅は徒歩圏になる。

 戸数規模は、タワーマンションとしてはわが国最大級で、3方に翼を広げたようなトライスター型としては「芝浦アイランドケープタワー」(同社施工)、「スカイズ」(清水建設施工)ついで首都圏で3棟目。3棟の連結部に制震装置を配置した世界初の「VDコアフレーム構法」を採用したほか、眺望・開放感を妨げない「ダブルチューブ架構」、床の段差を減らす「段差付ハーフPCaスラブ」、快適空間を実現する「逆梁・順梁」の併用など、同社の最新の建築技術を盛り込んでいるのが特徴。

 外観は白を基調としたアウトフレームで構成。角住戸は大きいガラスカーテンウォールを採用し、濃いグレーのデザインで分節することで陰影の深いシャープで凛としたデザインにしている。

 モデルルームは4タイプ。60㎡は単身・DINKSの入居を想定した白が基調のデザイン。最上階の120㎡のプレミアム住戸は天井高が約4mで、天然石、天然木をふんだんに使用した億ション。カップボード、吊戸棚は標準装備。浴室、トイレには緊急呼び出しボタン付き。ゲストルームは6室で、約60㎡のモデルルームはホテルのスィートクラス。

 マンションギャラリーのシアターは3つ。そのうちのひとつは、模型のような固定装置ではなく、ホログラムシアターによって立体的な画像で視覚的に分かりやすく表現している。巨大ジオラマは5.4×5.8m。主だった建物はほとんど実際の建物と同じように彩色。六本木から豊洲までの都心部を再現している。

 これまで資料請求は約1万件、来場者は約2,000件。同社事業部担当部長・芳賀泰彦氏は、「たくさんの反響をいただいている。価格を決めるのはもうすぐだが、難しい。競合物件もあり、選手村にもたくさんのマンションが建つし、再開発計画も目白押し」と、価格は公表しなかった。

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巨大ジオラマ

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 記者は鹿島のファンだ。これまで同社の自社分譲マンションはほとんど見てきたし、同社施工の主だったマンションも見学してきた。どう客観的に評価しても、マンションを造らせたら同社がナンバー1だと思う。

 その鹿島が先の施工ミスがマスコミに報じられたときはショックを受けた。他の大手2社も相次いで施工ミスをやらかした。情けないとしか言いようがない。ゼネコンはBtoBの業態だが、マンションはBtoCでもある。ユーザーはデベロッパーと同じくらい施工会社を選んでいるということを銘記すべきだ。バブルがはじけたとき同業のほとんどから不動産事業から撤退したのに対し、鹿島だけは継続して行なってきた。それが現在の評価につながっている。

 今回のマンションについては芳賀氏や事業部担当部長・重松諭氏から1時間30分にわたって説明を聞いた。改めて同社の技術の高さと、モノづくりのこだわりを肌で感じた。

 一つひとつは書ききれないが、もっとも驚いたのは巨大ジオラマだ。森ビルの「六本木ヒルズ」のような精緻なものではないが、おそらく製作には1千万円単位の費用がかかっているはずだ。ジオラマごときで〝わが国初〟などと書くべきではないが、これはすごい。

 共用部には凹凸のある採石したままのような石が採用されているが、芳賀氏によると、中国まで担当者が出かけ、実験場を設け、ああでもないこうでもないと選んだものを採用するという。

 モデルルームのデザインもいい。とにかく壁、サッシ、建具の線が美しいのだ。これはいかんとも説明のしようがない。担当者の感性というほかない。

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ホログラムシアター

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 さて、問題の価格。芳賀氏も重松氏も堅い口を閉ざしたままだった。ここは記者の評価・予想ということで読んでいただきたい。

 記者は三菱地所レジデンスと同社のJV「ザ・パークハウス晴海タワーズ」の分譲開始時に、「現段階で最高レベルのマンションとして坪単価320万円の価値があると」書いた。いまでもその評価は変わらない。

 今回は「晴海」をしのぐ。基本性能、設備仕様はともかく、立地条件が「晴海」をはるかにしのぐからだ。このマンションの計画が浮上したとき、記者は南ばかりをみていた。つまり、「ザ・トウキョウ・タワーズ」が南東側に聳え立っているので、住戸によってはその日影が影響し、眺望も損なわれるので、そんなに高く売れないとずっと考えてきた。

 見落としていたのは北側だった。環状2号線が開通すれば、浜離宮が徒歩圏になることなど全然考えていなかった。汐留駅も徒歩圏になる。「汐留」に近いマンションであることが訴求できれば飛躍的に注目度は高まる。トライスター型にしたのはなるほどと思った。これだけ条件が揃えばいくらになるか…価格は市場が決定するのでここでは書かない。

 もう一つ。細かなことだが、建物中央部には「ライトチューブ」と呼ぶ吹抜け空間を設け、太陽光追尾装置によって自然の光を下層階に取り入れる。この太陽光追尾装置はビルなどではかなり採用されているはずだが、マンションでは記者は首都圏では1~2例しかしらない。

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120㎡モデルルーム

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ゲストルーム

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ホームデコレーション コーディネート例

 コスモスイニシアは4月17日、同社のタウンハウスシリーズ「ザ・ロアハウス」の4棟目となる「ザ・ロアハウス杉並高井戸」(13戸)の竣工見学会を関係者向けに行った。第一種低層住居専用地域の旗竿状敷地の難点を逆手に取り、メゾネット、トリブレットなど戸建て感覚の要素を取り込み、エレベータ、共用施設、駐車場などを設置しないことで価格圧縮を図っているのが特徴で、圧倒的な価格の安さで残り2戸と好調な売れ行きを見せている。

 物件は、京王井の頭線高井戸駅から徒歩9分、杉並区高井戸西三丁目に位置する敷地面積約643㎡、延べ床面積約968㎡の地下1階地上2階建て全13戸。専有面積は69.00〜90.20㎡、価格は4,298万〜5,878万円。坪単価は223万円。竣工は平成26年3月。事業主は同社のほか明豊エンタープライズ。

 現地は戸建てや低層集合住宅が立ち並ぶ一角。前面道路の幅員は約5.4m、敷地延長部分は間口約3m、長さ約20mの典型的な旗竿状敷地。従前は駐車場で、車の出入りにも困っていたという敷地だ。

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ファミリーメゾネット リビング

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  プランが多彩だ。地下と1階のメゾネットのほか、その上階は70㎡台の3LDKとし、北側の斜線制限がある部分は地階と1階と2階のトリプレット(90㎡)にするなどの工夫を行っている。

 地階と1階のメゾネットタイプの階段は木製。コンクリと木を混交させる施工が難しいが、木の温かみを演出するためにこだわったという。2階のフラットタイプの床は突板仕様。

 このほか、屋上やバルコニーの緑化・演出を手掛ける東邦レオによる屋上テラスのスタイリングサービス「スカイテラスコーディネート」も提供している。

 今回、新たなサービス「ホームデコレーション」を導入したのも特徴だ。好みのレイアウト、クロス、小物などについて専門のインテリアデザイナーがコーディネートを提案。一定の額までは販売価格にリフォーム費用として含まれている。

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床は突板、階段は木製

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 同社の「ザ・ロアハウス」は、こうした人気の高い住宅地の第一種低層住居専用地域で、敷地形状に難点があるのが共通点。一般的にはデベロッパーがマンションや戸建ての商品化をためらう土地だ。

 同社は、逆にそこに着目した。同業他社との競合もないことから用地費を低く抑えられるうえ、エレベータ、共用施設、駐車場などを設けないことでレンタブル比を高めることで、相場よりかなり低い価格で分譲できるメリットがある。販売経費を削減するため販売事務所も設置していない。今回の物件も、仮に一定規模以上の低層マンションが建つとすれば、間違いなく坪単価は300万円台の半ばはするエリアだ。3割くらい安いのではないかと思われる。

 同社担当者によると、同じようなタウンハウスをスチールハウスで展開するリムテラスや、低層メゾネットを展開するオープンハウスともほとんど競合しないという。

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敷地延長部分は自然石を敷き詰め邸宅のアプローチ仕立て

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屋上テラス

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外観

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「武蔵浦和SKY&GARDEN」完成予想図

 新日鉄興和不動産(事業比率50%)、三菱商事(同30%)、三菱地所レジデンス(同20%)の3社が5月に分譲する「武蔵浦和SKY&GARDEN」を見学した。埼玉県下の駅近で「最高層・最大級」を謳い文句にユーザーの購買意欲を掻き立てているタワーマンションだ。

 物件は、JR埼京線・武蔵野線武蔵浦和駅から徒歩3分、さいたま市南区沼影1丁目に位置する13階建てA棟、14階建てB棟、32階建てC棟、14階建てD棟、14階建てE棟からなる全776戸(E棟160戸はコスモスイニシア分譲・非分譲住戸15戸含む)。専有面積は58.55~97.90㎡、第1期(戸数未定)の予定価格は4,100万円台〜7,600万円台(最多価格帯4,600万円台)、坪単価は220~230万円になる模様。竣工予定は2016年2月下旬。施工は清水建設。設計・監理は久米設計。販売代理は三菱地所レジデンス、長谷工アーベスト。

 総開発面積約30haの武蔵浦和駅周辺の全体で9つある再開発プロジェクトの最南端に位置する第3街区の開発。約19,000㎡の敷地を生かし、独立型のコミュニティ棟を中心とした23もの多彩な共用施設、まちの賑わいを創出する商業施設、オフィス棟、駐車場・駐輪場、約7,500㎡の広大な庭園から構成される。

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 再開発の準備組合が発足したのが昭和63年というから、実に25年掛けてようやく分譲にこぎつけた案件だ。当初計画は、リクルートコスモス(現コスモスイニシア)が、当時としてはわが国最高峰の55階建て大京「エルザタワー55」を上回る61階建てからスタート。その後、バブル崩壊にリーマン・ショックに見舞われ、都市計画も数回にわたって変更され、事業者も変更され、今回の3社になった。

 その紆余曲折はともかく、記者の最大の関心事は、3年前に分譲され圧倒的な人気になった28階建て野村不動産「プラウドタワー武蔵浦和マークス」(309戸のうち分譲は280戸)の坪単価225万円を上回るのか下回るのかだ。現段階では微妙のようだが、同じくらいに落ち着くのではないかとみている。

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オアシスガーデン

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 取材は、一般のお客さんでごった返していた4月12日(土)だった。昔は土曜・日曜の現地見学をデベロッパーは認めていたが、ここ20年くらいは「お客さん」優先で見学することはほとんどできなくなっていた。今回は幹事会社の新日鉄興和不動産の計らいで土曜取材となった。

 対応してもらったのは、長谷工アーベスト受託販売第三部門販売二部販売第1チーム上席プロジェクトマネージャー・照井学氏だった。

 照井氏とは初めてお会いしたのだが、ほんの1、2分間で、照井氏がプロ中のプロ、これぞ営業マンであることを観取した。その場面はこうだ。

 シアターは、この物件が埼玉の最高峰で最大級の物件であるということを強烈に印象づける、まるで映画の予告編のような迫力のあるものだった。そのなかで「おやっ」と思うナレーションが2つあった。1つは「大宮、浦和をしのぐ」というもので、もう1つは「武蔵野線と埼京線が交差する唯一無二」という文句だった。

 どこが大宮や浦和をしのぐのか聞き忘れたのだが、これは未だに謎。地価公示ではないはずだし、ひょっとしたら池袋、新宿方面への近さのことだろうかと調べてみたら、なんと浦和より武蔵浦和の方が東京にわずか2~3分だが早くつける。これは嘘ではなかった。

 もう一つ。路線が交差するのだから線路が蛇行しているのならともかく「唯一無二」なのは当たり前ではないか。記者は「唯一無二」の見出しを付けたマンションがひとつだけある。それは三菱地所レジデンスの「ザ・パークハウス千鳥ヶ淵」だ。これは、皇居を見下ろせるマンションは他にないからそうした。

 この話を照井氏にした。驚いたのはここからだ。照井氏は「確かに。武蔵野線と交差する駅は18駅ある」とほとんど瞬時に答えた。そして、順々にその駅名を口にした「西船橋から東松戸-新八柱-南流山-南越谷-東川口-南浦和-武蔵浦和-北朝霞-新秋津-西国分寺-府中本町…」

 あとで確かめたら18駅ではなく12駅だった。照井氏は南武線も含めたのではないか⇒と書いたら、同業の記者から「徒歩連絡も含めると18路線が正解」との連絡をもらった。これはすごい。現地に足を運ぶこともそうだろうし、マーケットを熟知していないとできないことだ。かつて、アンビシャスの安倍徹夫社長が首都圏のマンション供給エリアの全駅を諳んじたのをこの耳で聞いたことがあるが、それ以来の驚きだった。照井氏は「うちは販売会社ですが、長谷工コーポが土地を仕入れたら、都合を付けて極力現場を見るようにしています」と話した。にもかかわらずメタボなのはよく分からないが、激務の反動かハードワークに釣り合うように酒やカロリーを多く摂るからだろうと納得した。

 これも後で聞いたのだが、4月1日付人事異動で受託販売第三部門担当の執行役員から受託販売第二部門担当執行役員に就任した遊佐康人氏によれば、照井氏は「私の右腕。遊佐軍団の一番若い次長職」だという。記者は全然覚えがないが、遊佐氏は以前、照井氏を記者に引き合わせてくれたことがあるという。

 長谷工コーポの施工でもないのに、販売会社を選ぶコンペで同社が選ばれたのは、照井氏のようなプロが揃っているということだろうと合点した。70㎡でも4LDKの機能を持たせたモデルルーム提案も同社が行ったものだという。照井氏の説明は並みの営業マンより数段勝っていた。

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オアシスコート

全戸ワイドスパンがいい 野村不動産「プラウドタワー武蔵浦和マークス」(2011/9/27)

カテゴリ: 2014年度

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「ザ・タワー横須賀中央」完成予想図

 京浜急行(事業比率50%)と大和ハウス工業(同)の駅近再開発タワーマンション「ザ・タワー横須賀中央」を見学した。横須賀市は昨年の人口流出が全国トップと報じられるなど人口減少に歯止めがかからないが、果たしてこのマンションが地域活性化の起爆剤になるか。出だしは絶好調だ。

 物件は、京浜急行線横須賀中央駅から徒歩3分、横須賀市大滝町2丁目に位置する38階建て全297戸((販売戸数253戸、事業協力者戸数44戸)。専有面積は44.72~124.97㎡、先に即日完売した1期の最多価格帯は4,200万円台。坪単価は190万円。竣工予定は平成27年11月中旬。施工は淺沼組。販売代理は三井不動産レジデンシャル、京急不動産。

 現地は駅前の市街地のど真ん中。もっとも賑やかな一角に建つ。スーパー西友などがあったところだ。4階までが商業施設で、住戸は6階以上。標準階1フロア12戸構成。15~16階以上は北東に猿島、南東に馬堀海岸、北西に横須賀基地などの海岸が見渡せ、南西側には富士山が見える。最上階の124㎡のプレミアム住戸は1億2,900万円。

 第1期分譲として150戸が3月9日に登録申し込みが締め切られ、最高4倍、平均1.3倍で即日完売。引き続き2期として70戸が3月末に分譲され、おおよそ50戸が売れている。未供給は価格が低いところが中心の33戸のみ。早期完売が期待される。

◇       ◆     ◇

 横須賀中央を訪ねるのは、平成20年に見た双日・三交不・長谷工3社JVの「ザ・コーストよこすか海辺ニュータウン」(249戸、坪単価176万円)以来、6年振りだ。その時も感じたのだが、ずいぶんさびれているという印象を受けた。それより3年前、「横須賀プリンスホテル」も身売りされていた。

 市は平成20年、横須賀中央駅を中心とする26haの「横須賀中央エリア」を活性化させるプランを発表。老朽化した建物の建て替えや土地の高度利用を図り、街の活性化を図ってきた。

 今回のマンションはその第一弾だ。昨年、旧横須賀プリンスで行われた事業発表会には市長も参加して500人が集まった。失敗は許されないプロジェクトだ。最初に躓けば、第2弾、第3弾が打ちだせないからだ。

 坪単価190万円というのは立地条件を考えれば安いような気がするが、トップランナーとして勢いをつけようという狙いがあったのだろう。この低めの単価設定は納得できる。最上階住戸の億ションをはじめ、1フロア10戸をまとめて購入したいという人もいたというから、この物件を待ち望んでいた地元の富裕層も多いのだろうと思った。デベロッパーは地域のポテンシャルを引き上げる役割も担っている。販売会社も含め両社の好発進に拍手を送りたい。

 ただ、このマンションが早期完売したとしても、引き続くマンションが好調理に売れるかどうかは記者も自信がない。

◇       ◆     ◇

 今年1月、総務省は昨年の全国市町村の人口動態をまとめ発表したが、横須賀市は転出超過が前年比599人増の1,772人でワーストとなった。労働人口の流出がとまらない。平成5年のピークには約44万人だったのが、直近では41万人を割り込んでいる。

 今回のマンションの契約者も約7割が市民だという。つまり、地元や他の市内エリアから移り住むだけで、人口増加にはつながらない。横浜方面など市街からどれだけ呼び込むことができるかが課題となりそうだ。

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眺望

カテゴリ: 2014年度
 

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