「大都市圏中心に展開する優位性あり」川畑社長 旭化成ホームズが新中計発表
川畑社長を中央に、左が鶴川氏、右が兒玉氏
旭化成ホームズは5月31日、2024年度を最終年度とする「中期経営計画2021」を発表。「Challenge & Growth(挑戦そして成長)」を戦略コンセプトに掲げ、数値目標として売上高7,200億円(2018年度比19.1%増)、営業利益720億円(同13.4%増)を目指す。
「良質な社会ストックの追求」「拡大への挑戦」「グループ基盤の構築」の3つを経営戦略の柱とし、「良質な社会ストックの追求」では、「ロングライフ住宅の実現」で培ってきた財産をベースにリフォーム提案力、買取借上げなどのサービス充実、ファイナンシャル相談を推進する。
「拡大への挑戦」では、シニア向け賃貸住宅の棟数ナンバーワンを目指すとし、「へーベルハウス」(健常期)⇒「へーベルVillage」(フレイル期)⇒「Villageリーシュ」(要介護期)へとシームレスなサービス提供体制を構築する。中高層建築や海外事業も積極的に展開する。
「グループ基盤の構築」では、IT活用に40~50億円を投資し、働く場所を選ばない「シンクライアント」の導入や常務システムを開発する。人材育成にも力を入れ、グループ全体のバリューチェーンの強化・拡張を目指す。
発表会に臨んだ川畑文俊社長は、「住宅市場は今後縮小しているが、大都市圏など21都府県で展開している当社の縮小スピードは緩やかで優位性がある。営業体制も戸建て・賃貸・集合住宅などを併売する体制を敷いているのが強み」などとし、2025年度には売上高1兆円を目指すと語った。
2019年4月付で旭化成リフォーム代表取締役に就任した鶴川和豊氏(旭化成ホームズ執行役員)は、旭化成ホームズ、旭化成不動産レジデンスとの連携を強化し、2021年度売上高を700億円(2018年度比19.9%増)、営業利益73億円(同17.7%増)に伸ばすと話した。
また、2019年4月付で旭化成不動産レジデンス代表取締役社長に就任した兒玉芳樹氏(旭化成ホームズ取締役常務執行役員)は、引き続きマンション建て替えナンバーワンブランドを目指し、商業ビル、オフィスビル、賃貸マンションなど新しい事業にもチャレンジし、2021年度売上高1,850億円(2018年度比37.0%増)、営業利益198億円(同43.5%増)を掲げた。
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記者がもっとも注目している「宮益坂ビルディング」の建て替えマンションについて、「計画が発表された段階では坪800~850万円と予想したが、その後の展開を見ると、オークションでもやれば坪1,000万円どころか1,500万円もありうるのではないか」と兒玉氏を挑発したら、「現在、権利変換手続きが長引いており、いつ分譲するか、いくらになるか申し上げられない。確かに定借マンションの坪800万円はベンチマークだが…」とかわされた。
(かつて昔、宮下公園で星空を眺めながら永遠の愛を誓った彼女に捨てられた記憶しか渋谷にはなく、好きになれないのだが、蓼食う虫も好き好きだ)
型式適合認定制度の理解・認識不足 大和ハウスの建基法不適合問題 外部調査委報告
大和ハウス工業は5月31日、戸建て・賃貸住宅の建基法不適合問題について、社外の監査役と専門家専門家で構成される外部調査委員会の中間報告を受け、全文を公表した。再発防止策を含めた最終報告は6月中をめどに作成される予定。以下、概要。
現在の調査状況
大和ハウス工業では、2000年12月より、改正建基法施行(2000年6月)に基づく型式適合認定を取得、個々の建築確認の簡略化を図っていた。同社が型式適合認定制度を用いて建築確認申請を行う場合、型式適合認定を受けている仕様(独立基礎高さ620ミリ)しか用いることしかできず、その仕様から少しでも外れている場合は、一般的な建築確認申請を行う必要があった。
独立基礎不適合問題
同社では、型式適合認定制度導入以前の戸建て住宅・賃貸共同住宅の独立基礎は、高さ620ミリの独立基礎を用いることとされていたが、高さ620ミリ以外の独立基礎も採用されていた。
しかしながら、型式適合認定制度導入後、各事業所の設計責任者は高さ620ミリ以外の独立基礎の型式適合認定を取得しているものと誤認した可能性があり、そのことが今回発覚した独立基礎不適合問題発生の事態を生じさせた原因の一つであると思料される。
2001年9月、技術本部長名で各事務所の設計責任者に発信した社内通達でも、高さ620ミリ以外の独立基礎は型式適合認定を取得していないことを周知させることができなかったことが問題である
L字型受柱不適合問題
同社は、型式適合認定制度導入以前、関東地区の賃貸共同住宅の居住空間を多くとりたいという顧客の要望に応えるため、2階外部廊下を支える独立柱の代わりにL字型受柱を採用することがあった。それにより、2階外部廊下を建築面積に含めずに建ぺい率を計算することができ、賃貸共同住宅の居住面積を大きくすることができた。
しかし、型式適合認定制度導入に際し、L字型受柱については型式適合認定を取得しているものと誤認し、建築確認申請を行った可能性がある。
2007年ころ、建築確認検査機関からL字型受柱の型式適合認定取得に関して疑問を呈され、型式適合認定を取得していない事実が判明した。2008年以降、L字型受柱不適合問題は終息した。
防火基礎不適合問題
同社がL字型受柱不適合問題の調査を進めていた際、2階外部廊下を支える受柱に防火基準に不適合のおそれのある物件があることが判明した。
L字型受柱を採用した建物については、一般的な建築確認申請を行い、L字型受柱について耐火被覆による防耐火措置を講ずることが建基法・消防法、その他関係条例の防火基準に照らし必要か否かを指定建築確認検査機関の厳格な審査・チェックを受けるべきであったが、型式適合認定を取得しているものとして建築確認申請を行ったため、防火基準に不適合の恐れがある建物が建築されることとなった。
型式適合性等のチェックに係る体制
同社では、今回の不適合問題以前に過去3回(2014年、2015年、2015年、2016年)不適合問題を発生させ、2016年4月に仕様監理部を設置し、現在、新規仕様及び変更仕様に関する技術情報を一元管理し、不適合を防止する体制となっている。
しかしながら、今回の不適合が発生した2000年から2013年時点では、同部署は存在せず、型式適合認定については、各部署の設計者が自らチェックシート等に基づく管理体制を執っていたが、実際には今回の不適合問題が発生していることから、今後、これらのチェックに係る体制についても実際に機能していたか等についても、調査を進めていく必要がある。
現時点における考え得る本件不備の原因・背景
これまでの調査委員会の調査によれば、今回の不適合問題が発生した原因ならびに背景には、型式適合認定制度を導入した当時、同社の役職員に型式適合認定制度を用いて建築確認申請を行うためには、型式適合認定を取得している仕様しか用いることができず、その仕様から少しでも外れている場合は一般的な建築確認申請を行う必要があることについての理解・認識が不十分な者が少なからずいたと思われる。この点についてもさらなる調査が必要である。
自宅でデータ入力して成果報酬 育休休業社員の復職支援制度 東急リバブル
東急リバブルは5月30日、育児休業中社員の復職を支援する新制度を2019年4月から開始したと発表した。
就労内容は、同社100%出資子会社の東急リバブルスタッフと業務委託契約を締結し、自宅のパソコンで東急リバブルの業務に関連するデータ入力や資料作成などを行い、成果報酬を得るというもの。
同社はこれまでも様々な復職しやすい環境づくりに取り組んできており、育児休業取得社員は4年間で1.4倍に増加し、育児休業取得社員の90%以上が復職しているが、育児休業中の社員を対象にしたアンケートでは「社会との接点が少ない」「パソコンスキルの低下」など、長期休業後の復職に不安を感じていることがわかったため、そのような不安を解消するのが新制度導入の目的。
雇用保険法では、「月10日以下、10日を超える場合は月80時間以下」の一時的就労を「給付金と休業中の賃金の合計が従来の賃金の8割未満」の報酬であれば認めており、同社はこれらの条件をすべて満たす。
「宿泊事業」倍増、シニア向けも6案件 コスモスイニシア 中期経営計画
コスモスイニシアは5月22日、2019年3月期決算&中期経営計画2021説明会を行った。高木嘉幸社長は前・中期経営計画が目標通り達成できたことから、次期計画では「Next GOOD」のミッションを掲げ、2012年度売上高1,350億円(2018年度1,046億円)、営業利益81億円(同54億円)、自己資本比率30%(同23%)を目指すとし、すべての経営活動におけるCSVの実践~SDGs/ESGを意識した経営を行うと話した。
軌道に乗ったアパートメントホテル事業を「ソリューション事業」から区分し、新たに「宿泊事業」セグメントを設け、売上高220億円(2018年度101億円)、営業利益28億円(同19億円)に拡大する。
前期計画のふりかえりでは、5期連続の増収・営業増益を達成し、売上高・営業利益は3か年累計計画を上回り売上高1.2倍、営業利益1.5倍に拡大(対2015年度)、配当も7円(2015年度)から11円(2018年度予定)へ増配を継続していることなどを説明。
アクティブシニア向け分譲マンションは6号プロジェクトまで内定していると話した。
働き方改革「WSI(Work Style Innovation)」では、2015年3月期と比較して2019年3月期は残業時間42%減、休日出勤日数99%減、有休休暇取得44%増となり、営業利益は208%増となった。
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2018年3月末までに稼働した8カ所のアパートメントホテルの平均稼働率は82.2%、平均客室単価は2.5万円、平均滞在日数は2.9日間で、宿泊者の国別内訳は日本8%、台湾26%、中国12%、香港10%、韓国7%、その他アジア15%などで、ほぼ想定通りのようだ。
記者も京都のホテルで体験宿泊したが、利用者には好評のようだ。他も同じようなホテルに参入しつつあるようだが、創業者利得を享受できるのではないか。
記者が注目しているのは「工事事業」だ。売上高150億円(2018年度117億円)、営業利益5億円(同4億円)、構成比率11%(同)としているが、この事業を担うコスモスモアは「HARUMI FLAG」のマンションギャラリーの施工を受注したように、デザイン・設計・企画力は高い。
ただ、セグメント名称の「工事事業」はいかがなものか。設計、デザイン部門であることを分かりやすくしたほうがいいのではないか。展開次第では長期的に売上高300億円(三井デザインテックは2017年度334億円)くらいに伸ばせるのではないか。
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全体として決算説明・中計説明会はとても分かりやすいものだったが、一つ希望を言えば、主力のレジデンシャル部門は競争が激しく、今後も伸長は難しいのは分かるのだが、商品企画、例えば〝魅せる玄関〟や、戸建てのリビング天井高5m、リビング-バルコニーのフラット化などについて高木社長には触れてほしかった。
〝山菜の女王〟腰油と一緒だ。同社の事業規模は大手デベロッパーと比べれば小さいが、商品企画は突出しており業界をリードしている。
同業の記者やアナリストの方もお金、数字では計れない価値を見出すことに力を注いではどうか。小生などは大手・中小まったく関係ない。優れた商品企画・デザインに出会えることに無上の喜びを感じる。
すてきナイス社長 木暮氏から杉田氏へ交代 平田会長、日暮副会長は辞任 強制捜査受け
すてきナイスグループは5月20日、同日付で代表取締役社長・木暮博雄氏が取締役に退き、新しい代表取締役社長に取締役・杉田理之氏が就任したと発表した。
今年5月16日、証券取引等監視委員会の強制調査と横浜地方検察庁による強制捜査を受けたのに伴い、今後の取締役会の意思決定等をスムーズに行うためとしている。
また、代表取締役会長兼CEO・平田恒一郎氏は代表取締役および取締役、子会社ナイスの代表取締役および取締役を、代表取締役副会長・日暮清氏は代表取締役および取締役、ナイス取締役をそれぞれ辞任した。
杉田氏は1958年2月14日生まれ。1983年4月、同社入社。2011年6月、ナイス取締役常務執行役員資材事業本部長、2018年6月、ナイス代表取締役社長、2019年5月、すてきナイスグループ代表取締役社長兼ナイス代表取締役社長(現任)。
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非常に残念だ。記者は、平田氏がアメリカ留学から帰られたころから取材しており、RBA野球に参加されていること(小暮氏は選手、監督として出場経験あり)、さらに同社が森林・林業の再生、木材の普及に力を入れていることなどからずっと応援してきた。
野球選手を通じてアットホームな社風が伝わってきて、とても好きなチームの一つでもある。
強制捜査を受けた日の前日15日、平田氏が理事を務める不動産協会の総会・懇親会があり、平田氏は7~8人の部下を従え精力的に動き回られていた。小暮氏の姿はなかったように思う。
三菱地所株高騰 前日の終値より168円高の2,030円
昨日、1,000億円を限度に自社株式を取得すると発表した三菱地所株が高騰している。15日の寄り付きから買い注文が殺到したためか値がつかず、9:12に2,070円の高値で始まった。14:00現在、昨日の終値1,862円から168円高の2,030円で取引されている。三井不動産も32円高、住友不動産は37円高。
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昨日15:00過ぎに記事を書いたとき取引は終了していた。今日はいくらの値を付けるかと注目していたら、いきなり2,070円だ。
昨日も書いたが、小生はマンションの価格予想とRBA野球の勝敗予想は絶対的な自信があるが、株の世界は分からない。しかし、今現在の同社の2,030円は同業他社と比べ相当割り負けしていると思う。2,500円までは黙って買いだ。(米中関係がどうなるかは記者の知ったことではない)
三菱地所1,000億円の自己株式取得へ(2019/5/14)
三菱地所 1,000億円の自己株式取得へ
三菱地所は5月14日、発行済み株式の4.68%に相当する6,500万株、1,000億円を限度に自己株式の取得を行うと発表。資本効率の向上と株主還元のため。取得期間は2019年5月15日~2020年3月31。
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冴えない株式市場にすっかり興味をなくしたが、1,000億円の自己株式取得とは驚いた。同社はこれほどの額の自己株式取得は今回が初めてという。先日、三井不動産が年間配当を期初公表の40円から44円に増配し、160億円の自己株式を取得すると発表したが、その6倍以上だ。過去にさかのぼっても、これほどの額は不動産株では初めてと思われる。
ちなみに、14日の終値は同社が1,862円(前日比8.5円高)、三井不動産が2,518円(同17円高)、住友不動産が3,963円(同13円安)。業績、将来性から判断して同社株は割り負けしていると思うが…。記者は株の世界から手を引いた。金もない。
2021年度売上高4兆5,500億円へ 大和ハウスグループ「第6次中期経営計画」
大和ハウス工業は5月13日、2022年3月期を最終年度とするグループ「第6次中期経営計画(2019~2021年度)」を発表。「第5次中期経営計画(2016~2018年度)」は「賃貸住宅」「商業施設」「事業施設」を中心としたコア事業の成長や事業の多角化を進めた結果、2018年3月期は売上高・営業利益・経常利益・純利益ともに過去最高の業績を収めたのを受け、「第6次中期経営計画」の最終年度の売上高4兆5,500億円、営業利益4,050億円、純利益2,670 億円を目指す。
Business分野(商業施設・事業施設事業)は大規模・複合施設を積極的に開発するなどしてさらに拡大し、Housing分野(戸建住宅・賃貸住宅・マンション事業)は再成長への布石のため安定した品質を確保できるサプライチェーン体制を再整備し、海外事業はASEANなどで投資を加速させ、2021年度に売上高4,000億円を目指す。
大規模・複合開発等の不動産開発や働き方改革及び経営基盤の整備(システム構築・現場施工自動化のためのロボット導入など)を含め1 兆500億円を投資する。
〝大阪弁御三家〟第一線から退く 大和ハウス 樋口会長・CEOが代表権のない会長へ
大和ハウス工業は5月13日、代表取締役会長・最高経営責任者(CEO)の樋口武男氏が代表取締役を退任し取締役会長に、代表取締役社長・最高執行責任者(COO)の芳井敬一氏が代表取締役社長・最高経営責任者(CEO)・最高執行責任者(COO)にそれぞれ6月25日付で就任すると発表した。
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これで、絶滅危惧種の大阪弁を自由自在に操る記者が敬愛してやまない〝大阪弁御三家〟の経営者が第一線から姿を消す(その一人、山口県出身の住友林業の矢野龍氏は代表取締役会長を務めているが、マスコミの前に登場することはなくなりつつある)。
芳井氏は大阪府、積水ハウスの仲井嘉浩社長は京都府、住友林業の市川晃社長は兵庫県、旭化成ホームズの川畑文俊社長は大阪府の出身だ。〝大阪弁カルテット〟として売り出せば業界は一層活気づくはずだ。阪神タイガースと同じだ。大阪弁を根絶やしてはならない。
中国・関連会社の不正行為、建基法不適合受け業績予想修正 大和ハウス
大和ハウス工業は4月19日、2019年3月期の業績予想を修正し、売上高4兆1,200億円(前回予想比1.7%増)、営業利益3,700億円(同4.5%増)、経常利益3,560億円(同1.1%増)、当期純利益2,350億円(同2.1%減)とした。
2019年3月に判明した中国の関連会社における不正行為、4月の戸建・集合住宅の建築基準不適合の影響を受けたもの。建基法不適合に関する調査、顧客の要望に対応する費用として約20億円を売上原価として営業損益に含めた。
また、中国の関連会社の不正行為については、第三者委員会による調査及び社内調査を継続しているが、不正に流出した資金による影響など約130億円を持分法投資損失として経常損益に計上した。
当期純利益は、中国での不正行為に関する税金費用や一部の固定資産で減損損失を計上することから減益となる見込み。
実際の業績については、建基法不適合、中国の不正行為について調査を継続しているため、今回の業績予想と異なる結果となることがあるとしている。