戸田建設 気候緊急事態宣言発出の準備へ 今井雅則会長が発言
エコ・ファースト推進協議会議長で戸田建設代表取締役会長・今井雅則氏は11月16日、気候緊急事態宣言を発出する準備を始めると語った。「機関決定が必要なのでいつかは申し上げられないが、早期に宣言できるよう努力する」と、具体的な時期については明言を避けた。
気候緊急事態宣言(Climate Emergency Declaration)は、2016年12月5日に、オーストラリア・メルボルンにあるデアビン市が2016年12月に世界で初めて気候非常事態を宣言したのをきっかけに全世界に広がり、わが国も昨年11月19日、「私たちは『もはや地球温暖化問題は気候変動の域を超えて気候危機の状況に立ち至っている』との認識を世界と共有する。そしてこの危機を克服すべく、一日も早い脱炭素社会の実現に向けて、我が国の経済社会の再設計・取組の抜本的強化を行い、国際社会の名誉ある一員として、それに相応しい取組を、国を挙げて実践していくことを決意する。その第一歩として、ここに国民を代表する国会の総意として気候非常事態を宣言する」と衆議院本会議で決議されている。
このほか、わが国では100に近い自治体、大学などが宣言を行っている。
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今井会長の発言は、同日行われた「第6回エコ・ファーストシンポジウム」で、国内の国公立大学としては初めて気候非常事態宣言を今年7月に発出した東京都公立大学法人の理事長・山本良一氏の講演後の休憩時に「うちもやるか」と独白したのを記者が捉えたものだ。山本氏は講演の中で「戸田建設さんも建設業界の先陣を切っていただきたい」と促した。
「努力する」という言葉は、先にCOP26で議決された「世界の平均気温の上昇を産業革命前から1.5度に抑える努力を追求し、石炭火力発電を『段階的削減』するなどの表現に合意した」のと同じだったので、いつなのか食い下がろうとしたがかわされた。
会長!努力目標ならだれでもいえます。住宅・不動産、建設業で先陣を切っていただきたい。
三菱地所 2022年3月期2Q 売上高、営業・経常利益は過去最高 ビル・物流売却が増加
22/3は予想
三菱地所は11月10日、2022年3月期第2四半期決算を発表。売上高5,790億円(前年同期比9.8%増)、営業利益1,116億円(同13.9%増)、経常利益946億円(同3.3%増)、純利益552億円(同8.5%増)となり、売上高・営業利益・経常利益は2Qとして過去最高。コマーシャル不動産事業や海外事業におけるキャピタルゲインの増加が要因。
セグメント別では、「コマーシャル不動産事業」はオフィスビル・物流施設等の売却632億円(前年同期は192億円)によるキャピタルゲインの増加により前年同期比増収増益。オフィスビルの空室率は3.18%(同1.12%)。
「住宅事業」は、国内分譲マンションの売上計上戸数の減少、賃貸マンションの売却棟数の減少などにより減収減益。マンション販売状況は好調で、今期計上予定に対する進捗率は約97%。利益率も21.5%(前年同期は19.5%)と向上した。
「アウトレットモール等商業施設」「ホテル」は、新型コロナの影響を受けたが、期間を通した収益は前年同期比改善した。
「海外事業」は、物流施設等の売却によるキャピタルゲインの増加により前年同期比増収増益。
旭化成ホームズ 2022年3月期2Q 売上高、営業利益とも過去最高
川畑社長
旭化成ホームズ11月8日、2022年3月期第2四半期決算補足説明会を開催。売上高は3,758 億円(前年同期比19.6%増)、営業利益は320 億円(同9.0%増)となり、売上高、営業利益とも過去最高。6月に豪州の住宅会社を子会社化したのが増収増益に寄与した。
セグメント別では、建築請負部門は売上高1,890 億円(同0.7%増)、営業利益141億円(同1.4%減)、受注高は2,063 億円(同42.0%増)となった。集合住宅「ヘーベルメゾン」の受注は単価、面積ともにアップした。
分譲(マンション)事業は、昨年上期に大規模物件や高額物件の引き渡しが集中したこともあり、売上戸数・売上高ともマイナス。売上高860億円(同5.5%減)、営業利益96億円(同22.1%減)。
通期予想では、売上高は過去最高の7,760 億円(前期比20.3%増)、営業利益660億円(同10.6%増)を見込む。
旭化成グループ全体の2022年3月期第2四半期決算は、売上高1兆1,810億円(前年同期比19.4%増)、営業利益1,131億円(同47.4%増)、経常利益1,192億円(同53.9%増)、純利益912億円(同95.1%増)と大幅増収増益となり、通期予想では全てで過去最高を更新する見通し。
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記者は、注目の建て替えマンション「宮益坂レジデンス ザ・渋谷レジデンス」について、「計画が発表された数年前の段階で坪単価は850万円以上で、その後も市況の変化により上方修正し、分譲前の段階で坪単価は1,000万円でも安いと予想したがいかが。進捗はどうでしょうか」と質問した。川畑文俊・代表取締役社長兼社長執行役員は「仰る通り。進捗も順調」と答えた。
このマンションについては、改めて取材をお願いしレポートしたい。マンションでは、坪単価440万円の「アトラス笹塚駅前」45戸の現地を見学しているが、早期完売したのに驚いている。
一般分譲されない可能性高まる 旭化成不レジ「(仮称)宮益坂ビルディング建替計画」(2020/6/15)
三井不動産 2022年3月期2Q 売上高、純利益は過去最高 投資家向け分譲も伸長
投資家向けには海外分譲住宅を含む
三井不動産は11月5日、2022年3月期第2四半期決算を発表。賃貸商業施設の回復、投資家向け分譲の伸長、個人向け仲介(リハウス)・貸し駐車場(リパーク)の回復、前年同期での特別損失計上の反動、政策株式の売却による特別利益の計上などにより、売上高9,968億円(前年同期比25.0%増)、営業利益1,009億円(同57.3%増)、経常利益888億円(同87.9%増)、純利益863億円(同854.9%増)と大幅増収増益となった。売上高、純利益は過去最高。
セグメント別では、「賃貸」は売上高3,219億円(同274億円増収)、営業利益656億円(同20億円増益)。前期に竣工した「文京ガーデン ゲートタワー」の通期稼働のほか、既存オフィスの賃貸収益が増加した。首都圏の単体オフィス空室率は3.9%(前年同期は4.7%)に改善した。
「分譲」は売上高3,128億円(前年同期比1,075億円増収)、営業利益570億円(同264億円増益)。国内分譲住宅は計上戸数が減少したため売上高1,387億円(同369億円減収)、営業利益182億円(同77億円減益)と減収減益となったが、計上予定戸数3,100戸の契約進捗率は90%で、完成在庫はマンション145戸、戸建て3戸の合計148戸(前期末167戸)。
投資家向け・海外住宅分譲は、「飯田橋グラン・ブルーム」の売却(776億円)などで売上高1,740億円(前年同期比1,444億円増収)、営業利益388億円(同342億円増益)と大幅に伸長した。
プロパティマネジメントは売上高2,094億円(同205億円増収)、営業利益254億円(同138億円増益)。リパークの貸し駐車場が回復、リハウスの個人向け仲介が一昨年同期に近い水準まで回復した。
その他のホテル・リゾート事業は、新型コロナの影響で売上高1,526億円(同439億円増収)、営業損失210億円(前年同期は営業損失182億円)となった。
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新型コロナの影響でホテル・リゾート事業は振るわなかったが、他は絶好調だ。記者が注目したのは分譲住宅の完成在庫の少なさだ。特に戸建てはわずか3戸しかない。同業他社からも〝売るものがない〟という声が聞こえるが、年間数百戸供給して在庫がないというのはバブル期にさかのぼってもないのではないか。マンションも同業他社と比較して極端に少ない。
もう一つは「分譲」セグメントの内訳だ。前期末決算で「投資家向け・海外住宅分譲」売上高が「国内分譲住宅」を初めて上回ったが、今期もその流れが継続している。通期予想の売上高6,700億円のうち国内分譲住宅2,700億円に対して投資家向け・海外住宅分譲は4,000億円。その差は拡大しそうだ。
同社の分譲住宅をずっと取材してきた記者は複雑な気持ちだ。マンションや戸建ての用地担当者は、酷暑であろうと極寒であろうと雨が降ろうが雪が降ろうが、足を棒にし革靴の底をすり減らしながら安価で良質な土地を求めて歩き、商品企画担当も〝売れる〟商品づくりに粉骨砕身しているはずだし、販売担当もまた、年間にして数万、数十万人の顧客に接し、1戸1戸売っている。他社を圧倒するブランド力はそうした努力の結果だ。
一方で、商業施設やオフィス、ロジステックスなど投資家向けは、1件当たり数十億円、数百億円に達する。例えていえば、分譲住宅事業は肥沃な土地に種をまき育て収穫する農耕型で、投資家向けは一網打尽の狩猟型に近い。それを「分譲」の一括りにするのは納得できないが、同社はセグメントの変更は考えていないようだ。
さらにもう一つ。同社は販売受託業から撤退するのではないかという噂があるが、同社経理部長・村田忠浩氏は「そのような事実はない」と否定した。
三井不動産2021年3月期 増収減益 投資家向け売上高過去最高 国内分譲を逆転(2021/5/15)
東急不動産HD 2022年3月期2Q 増収増益 好調流通事業がけん引
東急不動産ホールディングスは11月4日、2022年3月期第2四半期決算を発表。アセット売却収益の反動減があるものの、再生可能エネルギー事業の稼働施設の増加、売買仲介の好調、前第1四半期で実施した商業施設・運営施設・営業店舗の臨時休業や営業時間短縮などの反動増があったため、売上高4,118億円(前年同期比7.3%増)、営業利益335億円(同97.5%増)、経常利益268億円(同121.7%増)、純利益143億円(同2,283.9%増)と増収増益となった。特別利益として固定資産売却益等25億円(前年同期の特別利益21億円)、特別損失として新型コロナウイルス感染症による損失等16億円(前年同期の特別損失68億円)を計上した。
セグメント別では、分譲マンションの販売は引き続き堅調に推移しており、通期売上予想に対する契約済み割合は期首の54%から89%(前年同四半期比13ポイントアップ)に進捗している。完成在庫は前年同期末の299戸から587戸へ増加した。
不動産流通事業は売上高1,177億円(前年同期比21.5%増)、営業利益150億円(同113.5%増)。東急リバブルのリテール部門・ホールセール部門は、前年同期の新型コロナウイルス感染拡大に伴う営業店舗の休業や営業時間の短縮などからの反動増、不動産流通市場の活況、不動産販売における大型物件の計上などにより増収増益となった。
野村不HD 2022年3月期2Q 大幅増収増益 通期予想も上方修正
野村不動産ホールディングスは10月28日、2022年3月期第2四半期決算を発表。売上高2,571億円(前年同四半期比14.8%増)、営業利益403億円(同66.9%増)、経常利益351億円(同80.9%増)、純利益235億円(同95.5%増)と大幅増収増益。
住宅部門は、住宅分譲事業の計上戸数が1,406戸(同412戸増)となり、通期計上予定売上高に対する契約進捗率は96.3%となっている。ホテル事業、フィットネス事業などの都市開発部門は新型コロナウイルスの影響が継続したものの、第1四半期からの保有資産の入れ替えの進捗により、前年同四半期に比べて増収増益となったほか、仲介・CRE部門なども増収増益となった。
2022年3月期業績予想は、4月に発表した予想を変更し、売上高6,700億円、営業利益820億円、経常利益740億円、純利益495億円と上方修正した。
ケイアイスター不動産 2022年度の新入社員は過去最多の200名超
ケイアイスター不動産は10月22日、同社の2022年度の新入社員は過去最多の110人となり、グループ全体では200名を超えると発表した。
同社の店舗数は過去5年で年平均約27%増加しており、地域業者との連携強化、販売エリアの拡大を図っている。新規出店が増える中で、年齢や性別に関係なく多様な人材が能力を最大限発揮できる労働環境を整備するために「サステナビリティ推進」に積極的に取り組んでいる。
10月1日に行われたオンライン内覧会で同社代表取締役・塙圭二氏は「当社は『日本一憧れの会社』を目指しています。もちろん簡単なことではありませんが、大きな目標がある成長企業に入ることによって、皆様の意識や成長意欲が高まります。そして関わるすべての人が勇気をもらえる、そんな素晴らしい社会人になってほしいと思います」とあいさつした。
1年間「LIT」の賃料無料 4社決定 サンフロンティア「賃料、夢払い。」
「賃料、夢払い。」審査風景
サンフロンティア不動産とBARE NOTE STUDIOは10月1日、夢を持つ個人・団体にアフターコロナ時代の働き方を提案するコミュニティワークプレイス「LIT(リット)」を1年間無償で提供するプロジェクト「賃料、夢払い。」入居企業4社を決定したと発表した。
プロジェクトは、2021年6月の「LIT」オフィスオープンに合わせ実施。応募者の中から最終選考に進んだ企業を対象に澤円氏、ハヤカワ五味氏、藤井亮氏を審査員に迎えた面接会を実施して入居企業を決定した。
今後、入居する4社をサポートするため、各社の活動内容を公式SNSで発信 (https://www.instagram.com/lit_workplace/)し、入居企業の具体的な活動内容についてはnoteで発信していく予定。
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記者はこれまで特養や老人ホーム、ホテル、外断熱マンション、全館空調モデルハウスなどに試泊しているが、出世払いでもあるとき払いでもない「夢払い」に驚愕した。プロ野球選手の5年間生存率は5割もないはずで、10年間だと1割あるかないかだ。ベンチャー企業の生存率もそれくらいではないか。
だがしかし、だからこそこの種の取り組みを応援したい。「LIT」は取材している。素晴らしいオフィスだ。無報酬でいいからこの4社に体験1日入社を申し込もうか(足手まといになるか)。ニュース・リリースに紹介されている入居企業2社の「実現したい夢」を紹介する。
「SUPWAT」 日本はいま、製造業の国際競争力が低下しつつあります。しかし、製造業における研究開発費と労働生産性は主要国に対して低く、未来に向けた投資は少なくなる一方です。これは単なる業界内だけでの問題ではなく、これからの国力の差にも関わると考えています。
そこで、私たちがデータ分析やテクノロジーを取り入れながら、製造業のDX 化のみならず、日本や世界の製造業のさらなる発展に寄与する「夢」を実現すべく尽力していきます。
「AGRIST」 日本の地方において、農業は産業と文化の根幹です。農業は、人手不足で収益性が低下し、担い手が減少をするという悪循環に陥っています。この課題を解決するには、農作業の中で最も人手を必要とする収穫作業をロボットによって省力化する必要があります。地方から新たな産業を創出してソーシャルインパクトを起こし、農業に投資する持続可能な社会システムをつくり、人類の未来に貢献します。
大和ハウス 大和リビングを存続会社として大和リビングマネジメントと合併
大和ハウス工業は9月22日、同社グループの大和リビングマネジメントと大和リビングを2022年1月1日付で合併し、大和リビングを存続会社とすると発表した。意思決定の迅速化とワンストップ体制によるステークホルダーの利便性向上を実現するため。
大和リビングは1989年設立。大和ハウス工業が施工する賃貸住宅の管理・運営を担ってきた。業容拡大を受け2012年、大和リビングマネジメントを設立し、マスターリース・サブリース事業の移管による機能分担の明確化を図るとともに、大和リビングマネジメントを完全親会社、大和リビングを完全子会社とする組織体制の刷新を行った。
大和リビングの2021年3月期の売上高は998億円、経常利益は90億円、純資産は475億円、大和リビングサービスの2021年3月期の売上高は5,311億円、経常利益は208 億円、純資産は139億円。
合併後の大和リビングは、所在地 東京都新宿区西新宿6丁目11番3号、代表者は匝瑳繁夫氏、事業内容はマスターリース・サブリース事業およびメンテナンス関連事業賃貸住宅、賃貸マンションの管理・運営事業など。資本金は1億円。
積水ハウス ウッド・アイアンショックの損失額は70億円 顧客に転嫁せず
積水ハウスの「ウッドショック」による損失額は2022年1月期第2四半期決算段階で50億円となり、「鋼材値上がり」(アイアンショック)による損失額20億円と合わせ70億円を顧客負担に転嫁せず、自社で負担したことが分かった。代表取締役社長執行役員兼CEO・仲井嘉浩氏が9月10日行われたオンラインによる経営計画説明会で明らかにした。
同社の2022年1月期第2四半期決算は、戸建て住宅や賃貸住宅事業が堅調に推移し、増収増益となり、通期でも3月4日に公表した業績予想を上方修正。通期で2円の増配も予想している。