新たな取り組みへのチャレンジを 三井ホーム・市川俊英社長 年頭あいさつ
平成28年 年頭のご挨拶
三井ホーム・市川俊英社長
平成28年の年頭にあたり、謹んでご挨拶を申し上げます。
昨年のわが国経済は、企業業績が堅調に推移したことで雇用環境の改善も進み、景気は回復基調が維持されました。住宅市場については消費税増税による長期の低迷が続いていましたが、省エネ住宅ポイント等の各種政策支援もあり回復の兆しが見られるようになりました。
住宅展示場への来場者数も前年を上回り、低金利の継続など住宅取得環境は依然良好であることから、今年前半のマーケットは消費税の若干の駆け込み的な動きも含め、おおむね回復基調で推移するものと予想しています。しかしながら10月以降については消費税率引上の影響により、痛税感から前回以上のマインドの冷えこみが懸念されており、厳しい環境下での需要の取り込みが求められるものと考えています。
昨年は、当社の強みであるオーダーメイドの家づくりの魅力を「ニュースタイルコレクション」として発信し、「デザインや暮らし方から考える家づくり」を推進してまいりました。
同時に、優れた気密性・断熱性を備えた「プレミアム・モノコック構法」に高効率健康空調システム「スマートブリーズ」を組み合わせた「健康住宅」を訴求してまいりました。今年はそれに加え、温室効果ガスの排出量削減への我が国の取り組みの推進に向け、昨年末に発表しました新商品「WESTWOOD」のZEHバージョンを皮切りに、健康や地球環境に配慮したスマート&ウエルネス住宅への取り組みを加速してまいります。また施設系建築物を中心に木造への関心が高まる中、大規模木造建築物についても「木」の持つ魅力を最大限引き出しつつ、新たな技術の導入とあわせてその可能性を追求してまいります。
皆さまのご指導、ご鞭撻をよろしくお願い申し上げます。
既成概念にとらわれず「多様化」に対応 三井不動産・菰田正信社長 年頭所感
2016年 年頭所感
三井不動産・菰田正信社長
謹んで新年のお慶びを申しあげます。
2015年の当社グループは、2020年以降を見据えて企業グループとしてどう成長し続けるかをテーマに中期経営計画「イノベーション2017ステージⅡ」を策定しました。また、国内外の各地で、我々の進める街づくりが開業を迎えるとともに、 新たな事業機会の獲得も順調に進捗させることができました。
一方、当社グループの分譲マンションで生じた杭工事の問題については、ご購入いただいたお客さまが、安心・安全なくらしを一刻も早く回復できるよう、引き続き誠心誠意対応してまいります。
2016年の見通しですが、地政学的リスクや米国の利上げの影響などから世界経 済は全体として不安定な状況が続くと思われますが、国内においては、企業業績 は好調を維持し、日本経済は底堅く推移すると考えられます。
ただし、来年4月に予定されている消費増税を考えると、経済をより力強い成長軌道に乗せていく必要があり、政府もさまざまな施策を講じていますが、経済の担い手である民間企業がマーケットや顧客の変化を見据え、自ら成長戦略を策定し、実行していくことが重要です。
当社グループにおきましては、「イノベーション2017ステージⅡ」の戦略に基づき、我々のビジネスモデルを2020年代に適合するものに革新させ、新しい需要やマーケットを創りだしていくための大事な1年となります。
日本の成熟化に伴って多様化、高度化するニーズ、社会のダイバーシティ化やICTの進化を含めて、お客さまがどのような空間、サービスを求められ、そこでどのような暮らし・ ビジネスライフをおくられたいのか、既成概念にとらわれずに踏み込んだ取り組みを行ってまいります。
そして、お客さまの価値観の多様化に応えていくためには、当社自身のなかに「多様性」を取り込んでいかなくてはなりません。それこそが会社の幅を広げ、会社のポテンシャルを高めるのであり、是非とも実現なければならないと考えています。
(見出し、改行などは記者が行いました)
特色ある総合デベとして邁進 野村不動産HD・沓掛英二社長 年頭所感
2016年 年頭所感
野村不動産ホールディングス・沓掛英二社長
昨年一年は、将来の成長に向けて布石を打ってきた年であった。新経営体制への移行にはじまり、監査等委員会設置会社への移行によるコーポレートガバナンス体制の強化を行った。
不動産デベロップメント事業に関しては住宅、賃貸部門とも開発案件が順調に進捗した。また、上場3リートの統合、NREG東芝不動産の保有比率を95%に拡大、メガロスのTOBなど将来のグループ経営拡大のための布石も打った。 昨年11月には2025年までの中長期経営計画を発表したが、本年は特色ある総合不動産デベロッパーとして、真価が問われる年であり、同時に長い道のりが始まる年でもある。
不動産を取り巻く経済環境はここ数年と比べるとかなり不透明感が強く、厳 しいと認識すべきである。しかし、様々な困難に直面しても確固たる信念を持 って邁進する姿勢が大切である。
我々は「人や街の未来が、もっと豊かであるために」という、目指すべき姿に向かって、環境に左右されることなく、野村不動産グループらしさを持ち、 社会に向けて新たな価値を創造し続けていきたい。
(見出し、改行などは記者が行いました)
「機略縦横」に業務推進 ポラスグループ・中内晃次郎代表 年頭所感
2016年 年頭所感
ポラスグループ代表・中内晃次郎
来年に予定されている消費税の増税の影響については、8%の時ほどの駆け込み需要はないと思われますが、反動減は来ると思いますので、落ち込みに対応できる筋肉質な体制を作ってまいります。
住宅業界の中長期的なトレンドとしては、少子高齢化の進展による住宅着工の減少と建築業界に従事する職人不足は切り離せません。こうした、市場が縮小していく中では、企業の買収や廃業等によるプレーヤーの減少により、大きな会社・強い会社がより力をつけていく傾向があります。また、米国で利上げが実施され、国内では来年の消費税のアップと相まって、受注金額や売買価格の振れ幅が大きくなる可能性があります。プレーヤーの減少や取引価格の変動は考え方によってはチャンスでもありますので、しっかりとした準備をして勝ち抜いて参りたいと思います。
本年は、わが社の事業においてもドメインやジャンルごとに、好不調異なる動きが出てくる、安定しない難しい年になると予想されますが、これまでのことを仕組化・効率化して、基本を大切にしながら「機略縦横」に業務に取り組みます。
また昨今、商品の品質に対する顧客の要求レベルが非常に高くなっております。当然ではありますが、ミスが許されない世界です。資格取得など自己研鑽に励み、個々を進化させ、競合とのギリギリの戦いで勝っていけるよう、環境を整備します。そして平成31年に迎える創業50周年に向け、強固な企業基盤を構築致します。
(見出し、改行などは記者が行いました)
各事業・エリアでナンバー1を奪取 大和ハウス・大野直竹社長 年頭所感
2016 年 年頭所感
大和ハウス工業・大野直竹社長
昨年はアベノミクス効果により、企業業績も回復し、消費マインドの持ち直しが見られました。住宅業界でも「住宅購入に対する贈与税非課税枠の拡充」や「省エネ住宅ポイント」などの各種施策により、回復の兆しが見られた年でもありました。
そのような中、当社グループ役職員全員の弛まぬ努力により、創業60周年を迎えた昨年、過去最高の業績を達成することができました。これも企業理念であるパイオニア精神のもと、常に挑戦者の立場で創意工夫を積み重ねてきた結果です。
しかし、好業績でも、決して慢心してはいけません。皆さんは、「大企業病」に陥らないよう、スピード感を持って、謙虚な気持ちで行動し、様々なリスクへの対処も怠らないでください。
本年は2017年4月に控える消費税再増税により、需要の増加が予想されます。一方で、2017年は増税後の反動が顕著に表れる可能性があり、経済情勢も先行き不透明な状況です。
そのため、2016年は「来るべき時に備え、築く年」と考えてください。将来開発可能な物件の購入や用地の仕入れはもとより、多くの方々の役に立ち、喜んでいただける商品開発やサービスの提供に取り組み、来たるべき時に備えてください。
また、売上高4兆円への歩みを着実なものとするためにも、コア事業である住宅事業が業界シェアナンバー1 になることはもちろん、全事業部で改革を推し進め、各事業・エリアでナンバー1を奪取してください。さらに、4月から始まる第5次中期経営計画では、失敗を恐れず、勇気とスピードを持って「プラス2、プラス3の事業」を創出するとともに、国内で培ってきた事業の海外展開を積極的に進めてください。
最後に、東日本大震災の発生から、多くの方が避難生活を余儀なくされています。当社グループは引き続き被災地の早期復興に向け、支援活動を続けていきましょう。
(見出し、改行などは記者が行いました)
ZEH・省エネ、女性活躍など強力に推進 積水ハウス・阿部俊則社長 年頭所感
2016年 年頭所感
積水ハウス代表取締役社長兼COO・阿部俊則
新年明けましておめでとうございます。
社会がめまぐるしく変化する中、住宅産業を取り巻く状況も日々、移り変わっています。
積水ハウスは現在、「請負型ビジネス」「ストック型ビジネス」「開発型ビジネス」の三つのビジネスモデルで事業を展開しています。リーマンショック以降の構造改革、グループ連携などにより、各事業の収益基盤が確立し、利益成長を三つのビジネスモデルでバランス良く支える体制が整ってきたことで、業績が好調に推移しています。
昨年、誕生から30年を超えた「イズ・シリーズ」にオリジナル外壁「ダインコンクリート」の新柄「シェードボーダー」を導入し、木造住宅「シャーウッド」では、天井高の自由度を高めることができる「20周年記念モデル」を発売しました。さらに好調な3・4階建て住宅では、業界最高水準の遮音性能を誇る「シャイド50」を用意するとともに、4階建ては型式認定を取得するなど、ブランドビジョン「SLOW & SMART」を機軸に、 付加価値の高い商品提案でブランドづくりに注力しています。 いずれも性能やデザインなどの付加価値向上というお客様に歓迎される変化、つまり進化です。
これからは施工力の確保がこの業界で勝ち抜く鍵を握ります。生産においては、ロボットやITを活用しながら生産から設計、施工まで全体で改革を進めています。一方で、工事店を含め、施工力向上に向けた人材育成にも注力しています。
また、積水ハウスの成長には、女性の活躍が欠かせません。女性管理職も増えるなど「ダイバーシティ推進室」設置の成果が随所に表れています。
COP21での日本の公約達成に向け、家庭部門のCO2排出量削減の推進のため、2020年に住宅メーカー等の新築の半数以上をゼロエネルギーハウス(ZEH)とし、省エネリフォームも倍増するという政府方針が打ち出されました。
積水ハウスのゼロエネルギーハウス「グリーンファースト ゼロ」の戸建住宅における比率は、2015年度上期で既に74%を占めますが、これまでの目標を上方修正して2020年までに80%に高めるとともに、省エネリノベーションを強力に推進します。
COP21の「建物及び建設部門における共同宣言」に、国内で唯一賛同・署名した企業としても率先してこれらの取り組みを進めて参ります。
「社会に必要とされる会社」であり続けるために、社会の変化に柔軟に対応し、社会課題を解決しながら、中期経営計画の最終年度の今年は、さらなる飛躍を目指します。
(見出し、改行などは記者が行いました)
三菱地所グループ 山梨県産FSC認証木材の企画提案コンペに当選
三菱地所、三菱地所ホーム、三菱地所住宅加工センターは12月11日、藤原造林(代表企業)、林友、林ベニヤ産業と共同で、山梨県が新設した県有林に関する企画提案コンペ「やまなし提案型システム販売(一般製品部門)」に当選したと発表した。
同制度は、国際的な森林認証であるFSC認証を国内の公有林で初めて取得した山梨県有林木材を認証材需要者に直接、安定的に供給することにより、加工・流通の合理化を促進するとともに、認証材の有利性を生かした販売 網を構築し、需要拡大を図ることを目的に同県が本年度に新設したもの。
今回、同社グループが当選したことで、FSC 認証材の安定的な調達ルートが確立され、川上から川下までを繋ぐ流通体制の構築により、環境や地域社会に配慮し経済的 にも持続可能な責任ある木材の利用をこれまで以上に推進することができるとしている。
三菱地所ホームは2011 年8月から木造ツーバイフォー工法による住宅建築においてFSC認証材の採用を進め、主要構造材におけるFSC認証材比率は、住宅メーカーとしてトップレベルの約20%になっている。
スウェーデンハウス 豊洲モデルハウスで藝大染織専攻学生の作品展
聖ルルチア祭をモチーフにしたカーテン「ユールの夜に」(左)と東京藝大での制作風景
東京藝術大学美術学部工芸科染織研究室(菅野健一教授)は11月28日(土)~12月25日(金)、「スウェーデンハウス豊洲モデルハウス」(江東区豊洲6-1-9 スマートハウジング豊洲まちなみ公園)で「東京藝術大学染織専攻作品‐Jul(ユール)」展覧会を開催する。
展覧会は授業カリキュラムの一環として取り組むもので、スウェーデン大使館の後援とスウェーデンハウスの協力を得て、スウェーデンのクリスマス「Jul(ユール)」をテーマにした作品を発表する。
◇ ◆ ◇
同大学の開催案内状には「スウェーデンの長い冬は、住まいを美しく飾るスウェーデン文化を生み出したと言えます。美しいものに囲まれる、心地よい空間を作り上げる、そして季節や行事によって空間をしつらえるという考え方は、住空間とアートの関係を考える上で重要です。暮らしを豊にする藝術作品を制作し、実際にモデルルームで展示する事で、新しい藝術文化の可能性を探ります」とある。
スウェーデンの文化を理解するうえで参考になる小説として、イギリスの作家、トム・ロブ・スミスの近著「偽りの楽園」(新潮文庫、上下)をお勧めする。スミスのお母さんはスウェーデン出身で、そのお母さんがモデルになっているのではと思わせるシーンがたくさん出てくる。読み出したら止まらない。
数年前大ヒットしたスティーグ・ラーソンの小説「ミレニアム」(ハヤカワ ミステリ文庫)とともに最高に面白い。
野村不動産 「飯田橋駅中央地区」の再開発に事業参画
飯田橋駅中央地区再開発準備組合は11月30日、千代田区飯田橋四丁目及び富士見二丁目の一部の再開発計画「飯田橋駅中央地区」に事業協力者として野村不動産を選定し、具体的な計画策定に着手したと発表した。
「飯田橋駅中央地区」は、開発のすすむ飯田橋駅西口地区とアイガーデンエリアをつなぐ重要な地区で、また、JR 飯田橋駅東口と目白通りが交差する人通りの多い立地であるにも関わらず、広場空間がないことがまちの課題とされてきた。
再開発計画では、駅前広場など歩行空間の拡充によって地下と地上をつなぎ、みどりと賑わいのネットワークを強化するとともに、目白通りから奥まった住宅棟周辺はやすらぎを大切にした屋外空間を創出する。施行面積は約1.0ha。
野村不動産は隣接街区の「飯田橋プラーノ」(2009年3月完成)の再開発事業に特定業務代行者・参加組合員として住宅、事務所、店舗を中心とした複合再開発に取り組んだ実績がある。
東急グループ 記者懇談会「自立と共創」理念に納得
「東急グループ記者懇談会」(「ザ・キャピトルホテル東急」で)
「東急グループ記者懇談会」が11月20日、行われた。初めて出席・取材した。
参加企業は東急電鉄をはじめ東急不動産ホールディングス、東急不動産、東急コミュニティー、東急リバブル、東急レクリエーション、東急建設、世紀東急建設、東急バス、東急百貨店、東急ストア、東急モールズデベロップメント、東急カード、東急エージェンシー、イッツ・コミュニケーションズ、東急セキュリティ、東急ホテルズの17社。
当日配布された資料によると、17社の2014年度の売上高総額は2兆1,740億円(うち東急電鉄の連結は1兆670億円)、従業員数は31,500人だ。ほとんどの会社の社長か副社長が出席していた。
冒頭、挨拶した野本弘文・東急グループ代表(東急電鉄社長)は、二子玉川2期プロジェクトの完成で乗降客が2割増えたことを紹介したあと、渋谷ではヒカリエに次ぐ「渋谷駅街区・東棟」「渋谷駅南街区」などについて触れ、「五輪までに100m超の建物が新たに5本できる。スカイツリーに対抗するわけではないが、日本一訪れたい街にしたい。電力の小売りも開始する。仙台空港の監理運営も行う。来年3月には銀座5丁目プロジェクトも完成する。これからも一丸となって『一つの東急』としての連携を強化していく」などと語った。
野本・東急電鉄社長
◇ ◆ ◇
「東急グループ」が「東急電鉄グループ」でないのは不思議だが、三井も三菱も住友も具体的な企業名が付されていないのと同じだろう。売上高構成をみても東急電鉄の連結売上げより他社の売上高のほうが大きいので、「東急グループ」と呼ぶのがふさわしいのかもしれない。
東急グループの経営理念には「自立と共創により、総合力を高め、信頼され愛されるブランドを確立する」とある。東急電鉄が頂点に君臨し支配するのではなく、各企業が連携しながら自立する」ということだろう。
公共的役割が大きく、人口減少社会の到来で運輸業のみでは成長できないことを見越した戦略なのだろう。
記者の取材フィールドは住宅・不動産なので、いつも三井、三菱、住友の財閥系御三家と東急不動産グループの事業を比較してみてきた。「自立と共創」の理念からすれば、不動産グループもまた電鉄からの自立を求められていると理解した。他の電鉄系デベロッパーとはここが違うところだ。
◇ ◆ ◇
東急電鉄の1日当たりの乗降客数は約300万人、東急バスは約200万人。合計で約500万人の人が利用している。「乗降客数は一時期減ったことがあるが、沿線居住者が増えており、毎年1~2%増加し続けている」(今村俊夫東急電鉄副社長)。
これは電鉄会社の大きな強みだ。毎日、これだけの人の〝足〟になっているのだから、利用客をファンにするのは容易なことだ。福祉政策という意味ではなく生活サービスを提供できるという意味で〝ゆりかごから墓場まで〟事業展開できる。
実際に電鉄会社はそうしたサービスを行っているところがあるが、東急にはそれがないのが不思議なくらいだ。タクシー会社も現在はないようだ。
それでも〝東急〟の看板は他の私鉄会社を圧倒していると思う。渋谷と横浜を結ぶ東横線沿線は、私鉄沿線の中でもっとも住宅地として人気が高く、マンション単価も相対的に高い。
田園都市線も〝丘〟〝緑〟〝野〟〝藤〟などの駅名が多く、沿線には東京工大、学芸大、都立大などの大学(駅名)がある。東京都市大と亜細亜大学もグループで経営している。
これだけ他の私鉄会社より優位な位置を占めながら、不思議とナンバー1の業種がないとずっと思ってきた。
ところが、そうではない。東急コミュニティーだ。売上高は1,183億円で、日本総合住生活の1,150億円(12年3月期)を上回り、大京アステージの509億円(15年3月期)の倍以上だ。
同社はマンションとビルの管理が中心で、12月に開業する「JPタワー名古屋」の管理業務を受託する。同社の強みは技術力だと常々思っていた。従業員約13,000人のうち宅建士、管理業務主任者、建築士、マンション管理士などの資格保有者は約14,000人(重複含む)に達する。岡本潮社長は「本気で採用・教育している。そのうちに圧倒的なナンバー一になる」と話した。
「ザ・キャピトルホテル東急」(新しくなった「パレスホテル東京」も素晴らしいが、現時点で日本資本のホテルでは記者は「ザ・キャピトルホテル東急」がトップクラスだと思う。隈研吾氏らしいデザインがふんだんに施されており、隠れ家的な雰囲気もある)
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業界ナンバー1企業は少ないかもしれないが、記者は東急設計コンサルタント、石勝エクステリア、東急ハンズなどとともに東急エージェンシーはずっと気になっている会社だ。東急グループのブランディング戦略の中核企業だと思っている。
そこで、桑原常泰社長に聞いた。「当社はハウスエージェンシーではない。東急グループ関係の売り上げは全体の4分の1以下だ。東急グループに横串を差し、BtoBからその先のBtoCも当然視野に入れている」とのことだ。この会社の動きにも注目したい。
東急不動産グループについてはいつも取材しているのでおおよその動きは分かる。植村仁・東急不動産社長には分譲戸建てに力を入れてほしいとお願いし、榊真二・東急リバブル社長とは「女性活躍」について花を咲かせた。
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読者の皆さんは2014年度 第25回 ミズノスポーツライター賞を受賞した「洲崎球場のポール際」(講談社)という本をご存知か。
選評には「文句なく面白い。忘れられた洲崎球場についての著者の探索は、当時の新聞雑誌の渉猟はもとより、資料や古地図を当たり、川上はじめ生存者の証言を聞き(特に試合を見た当時の少年たちの話が貴重)、新聞の載った球場の航空写真をもとに復元模型まで作ってしまうのである。文章は読みやすく(少し凝り過ぎの表現もあるが)、試合の様子など、新聞記事をもとにしているだけに迫真の表現である」とある。
著者は東急電鉄社長室広報部広報課長・森田創氏だ。お父さんは三重県津市の出身だそうで、森田氏を紹介してもらった東急不動産の広報担当・Iさんも記者も三重県出身なので大いに盛り上がった。今度買って読もう。
森田氏