前途多難 佐倉市・千成に見る郊外団地の現状と課題

「千成ニュータウン」の街並み
皆さんは「千葉県佐倉市」から何を連想されるだろうか。野球好きの記者はすぐ「長嶋茂雄さんの出身地」と反応するのだが、不動産業界では、昭和40年代の高度成長期から60年代にかけて、大量の建売住宅やマンションなどが分譲された東京のベッドタウンとして知られる。最盛期には7,000万円から8,000万円の建売住宅が飛ぶように売れた。
しかし、開発が早かったための課題・難題がここにきて重くのしかかってきている。建物の老朽化、居住者の高齢化、世帯分離による子世代の転出・人口減少などだ。
これらの問題が集中的に表れている市内の「千成ニュータウン」を見て回った。
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京成佐倉駅からなだらかな坂道を上って十数分。長嶋さんが通った佐倉高校の隣に「千成ニュータウン」はある。新宿に本社を構えていた成田屋工務店が昭和40年代初期に開発した総戸数が1,119戸もある大規模な一戸建ての団地だ。
「千成」の名前は、千葉市と成田市の間にあることから名付けられたと多くの人は思っているようだが、そうではない。記者は豊臣秀吉の馬印「千成瓢箪」にちなんで名づけたと当時の同社関係者から聞いていた。第2、第3の「千成」を同社は計画していた。しかし、その遠大な計画はとん挫する。過大な投資が負担となり、同社は昭和60年代の初期に破たんした。バブル崩壊の予兆でもあった。

千成東小学校の近く
地価公示の4分の1でも売れない高台の土地
全ての住宅地を見て回ったわけではないが、なにしろ都市計画法ができる前だ。道路幅は5メートルくらいあったが、隅切りはなく、新しいガス管に替えたためか、黒いアスファルトの跡が生々しい。
開発当初の平屋建てなどがそのまま残っている住宅の割合は1、2割程度しかない。多くは建て替えられたりリフォームされたりした住宅だ。もちろん地区計画や建築協定などなかった時代だ。外観もまちまちで、古い住宅と新しい住宅が混在している風景は異形の街と言えなくもない。
空き家はどれくらいあるか判然としなかったが、見かけ上は10軒に1軒あるかどうかだった。建て替え工事中の建物もいくつか見た。かつては商店だったものはほとんど閉店していた。街の中心部に蕎麦屋があるくらいだ。街ゆく人はほとんど見かけなかった。
いったい、いくらくらいで住宅や土地が取り引きされているのか。平成27年度の公示地価によると、千成2丁目の住宅地の坪単価は約14万円だ。住宅・土地の売り情報もおおむねその前後となっている。
ところが、地元のトクスイ不動産が扱っている千成1丁目の80坪の土地の売り出し価格は290万円、坪単価にして約3.6万円になっている。公示地価の4分の1の価格だ。
なぜそんなに安いのか。「この土地は敷地延長部分に階段が30段以上あるのがネックとなり、なかなか売れません。地域の活性化や空き家の解消は難しい問題です。私は佐倉が地元で39歳ですが、私が小学生の頃の千成の小学校は1クラス3~4組ありましたが、確か今は1組のはずです」と同社の担当者は話した。階段1段当たりのステップを仮に18センチとすると5メートル以上だ。
千成ニュータウンは山あり谷ありの起伏の激しい住宅地であるのも特徴の一つだ。団地内は比高差にして20メートルくらいはあるのではないか。
「77歳の夫は世田谷まで通っています」
居住者の女性に話を聞いた。
「主人は77歳、私は74歳。成田屋さんから土地を買ったのは昭和54年。50坪で1,250万円(坪単価25万円)。成田屋さんは家も建てさせてくれといったのですが、大手のハウスメーカーに建ててもらったんです。お父さんはサラリーマンですが、元気でまだ働いています。世田谷まで毎日2時間かけて通勤しています。『俺は85歳まで元気で働く』と言っています。
街の将来? そうですね、みんな歳をとってきて、お年寄りが亡くなるとそのまま空き家になってきています。昔はスーパーもあったんですがね…。
私も娘が二人いるんですが、『おいでよ』と言われているので、一人になったら引っ越すか老人ホームに行くか考えています。家は近く1,000万円かけてリフォームします」
Aさんが40歳の時、昭和54年に買った土地は坪25万円。いまの地価公示はその半値だ。土地が値下がりすることなど、Aさんは夢にも思わなかったはずだ。
若い人は信じられないだろうが、昭和40年代から60年代の土地神話が生きていたころは、一般のサラリーマンが土地付きの一戸建てを取得できたのは、千成ニュータウンのような都心から1時間、2時間かかるところしかなかった。

佐倉市役所
千成ニュータウン 高齢者人口比率は推定40%超
市のデータによると、総人口はピーク時の平成23年の約17.8万人から漸減しており、27年12月末現在17.7万人。ほとんど横ばいだが、23年のデータでは外国人をカウントしておらず、27年には外国人(2,407人)を含めているのでこのような結果となっている。平成42年には約15万人に減少すると予測されている。空き家は平成13年の2,380戸から20年に8,230戸へと約3.5倍に増加している。
千成ニュータウンの数値は深刻だ。千成1~3丁目の世帯数は平成13年の1,092世帯から27年12月の1,047世帯へと4.1%、人口は3,155人から2,425人へと23.1%、1世帯当たり人口は13年の約2.9人から約2.3人へとそれぞれ減少。
高齢者人口比率は平成13年の14.0%から22年には31.3%へと大幅に増え、27年は推定だが間違いなく40%を突破しているはずだ。幼年人口比率は13年の11.1%から22年には8.8%と10%を割り込んでいる。
大きな特徴は、平成13年の時点で約250人いた25~29歳の層は22年(35~39歳)には約180人へと3割近く減少していることだ。結婚、転出などによって街を離れる人が多いことを物語っている。
市は、人口減少に歯止めをかけるとともに、住みよい環境を確保して将来にわたって活力ある社会を維持していくため昨年10月、将来ビジョンを描いた「佐倉市まち・ひと・しごと創生総合戦略」を策定した。
企業誘致の推進、雇用拡大・就業支援、若者世帯等の親との近居・同居の住み替え支援、中古住宅リフォーム支援事業、空き家等を活用した移住者支援などを打ち出し、3団地を団地再生モデル事業として掲げている。
また、空き家法の施行を受けて、空き家対策計画の策定、協議会設置、情報収集などを進めていくが、空き家の除却などに対する補助は行わない方針だ。団地再生モデルについても具体的な対象団地は決まっていない。
市のホームページによると、市にゆかりのある人物として明治の洋画家・浅井忠や津田塾大学の前身、女子英学塾を開いた津田梅子が紹介されていた。
市役所のエントランスにはモンキー・パンチさんも紹介されていたが、長嶋茂雄さんはなかった。長嶋さんを前面に打ち出せば効果的だろうと記者は思うが、長嶋さんは田園調布の人か。

市役所の市紹介コーナー(背番号3は長嶋さんのユニフォームではなかった。モンキー・パンチさんを紹介するものだった。その上の背番号10はサッカーの本田選手を紹介するものだった。佐倉市にサッカースクールがあるようだ)
空き家対策 喫緊の課題ではあるが難問も山積

ある首都圏の郊外団地
空き家対策が喫緊の課題となっている。国土交通省は来年度の重点施策の一つとして、「空家等対策の推進に関する特別措置法」(空き家法)に基づく地方自治体や民間が取り組む空き家対策を支援する空き家対策総合支援事業費として20億円の予算を計上する。
現在、全国で820万戸(総務省データ)あるといわれる空き家は、野村総研のシナリオによれば、何も対策を講じなければ、2023年には総住宅数約6,640万戸のうち空き家数は約1,397万戸、空き家率は21.0%にまで増加する。そうならないための施策が空き家法だ。
空き家法は、「雑草・悪臭など衛生環境悪化」「景観の悪化」「不法侵入などによる治安の悪化」「生命・身体への被害のおそれ」などを回避するため、緊急避難的に「特定空家」に指定し除却、修繕、立ち木などの伐採を行い、環境の保全を図るとともに、空き家の活用に結び付けようという法律だ。
しかし、国や自治体、あるいは民間がどれだけ躍起になって空き家対策に力を入れようと、人口減少・世帯数減少、世帯の高齢化、地域経済・地域コミュニティの崩壊など現在進行形の厳しい環境を考えると、悲観的な考えにならざるを得ない。
確かに緊急避難策として「特定空家」の指定は、予防策・抑止力として一定の効果を上げるかもしれない。「空き家バンク」制度の拡充も一つの処方箋ではある。
とはいえ、①倒壊等著しく保安上危険となる恐れのある状態②著しく衛生上有害となる恐れのある状態③適切な管理が行われていないことにより、著しく景観を損なっている状態④その他周辺の生活環境の保全を図るために、放置することが不適切である状態-をどのように特定するのかの課題は残る。代執行も容易ではないと思う。除却費用の一部を自治体が補助するのも、税の公平性からいって住民の支持を得るのは難しい。
各種の調査でも明らかになっているように、そもそも空き家が多く発生しているのは中心市街地では木密地域の狭小住宅であり、郊外部では通勤・通学に不便な立地や、生活利便施設に乏しい地域だ。狭小住宅では、接道義務違反の再建築不可の物件も相当数あるはずだ。
仮に空き家を除却して更地にしても、固定資産税が最大で6倍になる可能性がある。これは空き家の解消、流通促進の本来の目的とは逆に作用しかねない。
さらに言えば、相続放棄・遺棄の問題だ。空き家のままで放置している住宅のうち除却しなければならないほど深刻な状態になっているのは、所有者や相続人に除却費用や固定資産税などの負担が重荷になっている人が少なくないからだ。
相続を放棄したからといって管理責任はまぬかれないが、管理義務を遺棄したらどうなるのか。空き家法では市町村長の命令に違反した場合は50万円の、立ち入り検査を拒んだ者には20万円のそれぞれ「過料」が科せられるが、「特定空家」のもたらす弊害と天秤にかけた場合、罰則は軽すぎないか。
空き家問題の解決を阻む問題はまだある。空き家に残る家財道具・遺品の整理がつかないという問題だ。家財道具、骨とう品、書籍、車…これらの処理をワンストップで行う仕組み・ビジネスモデルが待たれる。遺品整理ビジネスは、空き家の処分・流通を含めれば100兆円、200兆円規模に上るのではないか。
もう一つ気掛かりというか、これが一番大切だと考えているのだが、空き家法は「特定空家」などを除却することに力点が置かれていて、表層だけを取り繕うとしているようにしか見えない。空き家を生じさせないビジョンが著しく欠けているのではないかということだ。
空き家が発生してもすぐに次の住まい手が現れるような、誰もが移り住みたくなるような街づくりを描くのが先決だ。街の再生・活性化の羅針盤ともいうべきタウンマネジメントの活用は必須要件だ。用途変更によるインセンティブ、あるいは逆に私権の制限も必要かもしれない。
また、危機に瀕している地域コミュニティをどう再生するか、その旗振り役ともいうべき人材の育成が欠かせない。
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「田舎暮らし」をバラ色に描き、喧伝する不動産業者とちょうちん持ちのマスコミがあるが、「都会の憂鬱」があるように「田園の憂鬱」もある。都会でまっとうな生活ができない団塊世代の落伍者が、都会より厳しい自然環境、人間関係が待ち構える田舎で再生できるとは思えない。
田舎に移り住もうと考えている人は、もう一度立ち止まってよく考えてほしい。「田舎暮らし」を推奨する人たちには、田舎に移住して3年持たずにまた都会へ舞い戻る人がどれくらいいるかのデータも示してほしい。
住宅地、中古マンションとも緩やかな上昇続く 野村アーバン調査
野村不動産アーバンネットは1月14日、2016年1月1日時点の「住宅地価格動向」「中古マンション価格動向」の調査結果を発表。2015年10~12月期の首都圏の「住宅地価格」・「中古マンション価格」ともに平均変動率は2013年7月調査以降、連続してプラスとなった。
「住宅地価格」の価格変動率は首都圏エリア平均で0.5%(前回:0.3%)、エリア別の平均変動率は全エリアでプラスを維持した。
「中古マンション価格」の価格変動率は、首都圏エリア平均で0.5%(前回:0.6%)、全エリアでプラスを維持した。
2015年1月~2015年12月年間ベースでは、首都圏の「住宅地価格」・「中古マンション価格」ともに平均変動率は2014年1月調査以降、連続してプラスとなった。
ポラス サステナブル建築物等先導事業の構造見学会

建築中の「ポラス建築技術訓練校」実習棟の内部
ポラスグループは1月14日、国交省「平成27年度サステナブル建築物等先導事業(木造先導型)」に採択された「ポラス建築技術訓練校」の構造見学会を報道陣向けに行った。
「先導事業」は、再生可能な資源である木材を大量に使用する木造建築物の技術向上に資するとともに普及啓発を図ることを目的とした補助事業。
同社の訓練校は一般に流通する安価な集成材を合せ柱・合せ梁・重ね梁として複数本集束させることで強度を高める技術を開発したのが特徴。「実例モデル」として公開することで木造非住宅の受注と同工法の普及促進を図る狙いがある。
建設地は埼玉県越谷市レイクタウン六丁目。建物は木造軸組工法3階建て準耐火構造。延べ床面積約1,396㎡(実習棟約549㎡、事務所棟約846㎡)。竣工予定は平成28年3月。

「合せ柱」の据え付け(1辺315ミリ)

美しい実習棟の天井(完成時にはボードで覆い隠されるのか)
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見学会では同社の担当者数人が建物の概要、構造設計、構造部材、耐火性能、施工状況などについて説明した。例えば、「合せ柱」は105×105の集成材を9本集束したものだが、防耐火性能を満たすためには各集成材ごとに燃えしろを確保しなければならず、構造計算上難しいことから、燃焼実験を経て問題がないことを確認して設計しているという-こんなことを書いても書いている本人が理解できないので、これ以上書かない。
大変な苦労があったということだろうが、それでも実習棟は縦30m×横12m×高さ6mの大空間がすべて木造でできているのはよくわかった。梁などは欧州マツだが、柱は国産のカラマツを使用したという。完成後も木造建築物であることを知ってもらうために、道路沿いの外観はカーテンウォールとし、視覚的に木造であることが分かるように工夫している。
3階建ての事務所棟は最大10m×8mスパン。室内の一部を表しとし、テラス外周部を回廊とし、木製格子パネルを設置して木質感を演出する。

重ね梁の設置

架構状況

事務所棟の内部
三井住友建設 1カ月の指名停止処分 横浜傾斜マンション問題で国交省
国土交通省は1月13日、横浜市都筑区の傾斜マンションの元請けの三井住友建設、第1次下請けの日立ハイテクノロジーズ、第2次下請けの旭化成建材が建設業法に違反する行為を行ったとし、三井住友建設は指名停止1カ月、日立ハイテクと旭化成建材は営業停止15日の処分をそれぞれ行った。
三井住友建設に対しては、三井不動産レジデンシャルから請け負ったマンションのくい施工工事で1次下請の日立ハイテクノ、2次下請の旭化成建材が工事現場に専任の主任技術者を設置せず、日立ハイテクノが施工を旭化成建材に一括して請け負わせていたことを認識しながら、法の規定に違反しないよう指導や是正を怠り、また、許可行政庁等への通報も行っていなかったことは、建設業法第24条の6に違反し、建設業法第28条第1項本文に該当し、平成28年1月13日から平成28年2月12日までの1カ月間、指名停止処分を行うとしている。
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当然の処分だが、元請けの三井住友建設は建築士法による「監理」も怠った可能性が大きく、追加処分されるのではないかと思うし、問題が発覚してからの同社の対応は「CAT」、つまり「Compliance」(法令順守)「Accountability」(説明責任)「Traceability」(追跡可能性)に問題があり、経営陣の責任は免れないと思う。
同社は問題が発覚してから1か月後の11月11日、定例の決算発表会の会場で永本芳生副社長が「『試験的に打つ杭に立ち会い、残りは施工報告書で確認すればよい』とする国交省の標準仕様書に沿った対応だったとして、『日々の管理に落ち度はなかった』」(各紙)と記者団の質問に答えている。
この「日々の管理(監理のはず=記者)に落ち度はなかった」という発言の是非について、もう一度国民に説明する責任を同社は負っているはずだ。「監理に落ち度はなかった」と今でも強弁するのであれば、再発は絶対に防げない。
三井住友建設、日立ハイテクの違法性にも言及 旭化成 杭打ちデータ流用で報告書
旭化成は1月8日、同社の子会社旭化成建材が施工した横浜傾斜マンションの杭打ちデータ流用問題に関する3名の弁護士からなる外部調査委員会の「中間報告書」を公表した。
報告書は、昨年12月25日に国交省に提出された「基礎ぐい工事問題に関する対策委員会」(委員長:深尾精一・首都大学東京名誉教授)の「中間とりまとめ報告書」が指摘した問題と同様、ずさんなデータ管理、不明確な役割分担などが原因としたうえで、元請の三井住友建設、一次下請けの日立ハイテクノロジーズ、二次下請けの旭化成建材それぞれの建設業法や建築士法に関する違法性にも踏み込んでいる。
また、事件発覚を受けて三井住友建設が行なった「試験の結果に基づいて支持層未達等杭が存在すると判断することには慎重であるべき」とし、近く行なわれる再検査結果を待たなければならないとしている。
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これまでの同社の記者会見では三井住友建設や日立ハイテク、旭化成建材の建設業法、建築士法に関する違法性について暗示はされていたが、明言・明示はされていなかった。今回、報告書が初めて各社の違法性に触れた。
今回の工事について報告書は「元請業者であるSMC(三井住友建設)は監理技術者を、下請業者である旭化成建材等は主任技術者を、それぞれ設置する必要があり、また、本件マンションのような共同住宅に関する建設工事は『公共性のある重要な工事』に該当するため、監理技術者及び主任技術者は、本件杭工事について専任の者でなければならない」とし、「SMCは、本件杭工事に関し、建築士法に基づいて工事監理者を、建設業法に基づいて監理技術者を、それぞれ置く必要があったが、それが誰であったのかは、旭化成建材に残された資料からは判明しなかった」と、建築士法や建設業法に触れる可能性を示唆した。
この点について、三井住友建設は「永本副社長は、『試験的に打つ杭に立ち会い、残りは施工報告書で確認すればよい』とする国交省の標準仕様書に沿った対応だとして、『管理に落ち度はなかった』と強調した」(日経WEB版)と、監理に瑕疵はなかったとしている。
さらに、「日立ハイテクは、事実上、旭化成建材と一体となって、SMCに対する営業活動を行う役割が大きかったが、その担当責任者は…本件杭工事現場に常駐していなかった可能性が高い」「日立ハイテクは、本件杭工事に関し、建設業法に基づいて主任技術者を置く必要があったが、それが誰であったのかは、旭化成建材に残された資料からは判明しなかった」と、建設業法に抵触するのではとしている。
旭化成建材に対しては、「本件杭工事に関し、建設業法に基づいて主任技術者を置く必要があったところ、主任技術者は…法令が定める『専任』義務を果たしていなかった」と法令に触れる可能性を指摘している。
事件発覚を受けてSMCが行なった「スウェーデン式サウンディング試験」については、「一般的に用いられる地盤調査方法の一つとして一定の信頼性があるとされているが、複数の専門家に対するヒアリング結果によれば、地表からおおむね10メートルを超える深度の支持層を測定するには必ずしも妥当な調査方法ではないとの見解も見受けられる」とし、横浜市が「建築基準法第12条第5項に基づく報告を行うよう求めているので、今後、これを踏まえた検証がなされるものと理解している」「SWS試験の結果に基づいて支持層未達等杭が存在すると判断することには慎重であるべき」とした。
報告書は、「杭の施工さえ適切に行っていればデータはそれほど重要ではないという現場の感覚は、一般社会の感覚と大きく乖離しているといわざるを得ない」と、業界の体質についても言及した。
杭打ちデータ流用、ルール守れば再発防げる 国交省・対策委員会(2015/12/25)
杭打ちデータ流用問題 結局は大山鳴動…早々に幕引きへ 国交省・対策委(2015/12/12)
マンション杭打ちデータ流用問題 闇の多重下請け構造浮き彫りに(2015/11/16)
五感で「花」が楽しめる展示・イベント 三井不動産 日本橋で開催

草月流とコラボした「植物の繭」
三井不動産は1月8日、東京駅丸の内駅舎の3Dプロジェクションマッピングなどで知られるネイキッドがプロデュースした「FLOWERS BY NAKED」を「日本橋三井ホール」で開催する。「花」をモチーフにしたもので、生花、オブジェ、映像、インタラクティブ、香り、飲食など五感で楽しめるよう工夫されており、「いけばな草月流」とのコラボレーション作品「植物の繭」も展示される。
開催に先立つ7日、プレス内覧会・オープニングセレモニーが行われ、ネイキッド代表・村松亮太郎氏と草月流家元・勅使河原茜氏、テーマソングを担当する水曜日のカンパネラ、コムアイ氏がゲスト出演しトークショーを行った。
「FLOWERS BY NAKED」は1月8日~2月11日まで「日本橋三井ホール」で開催される。また、重要文化財「三井本館」や「仲通り」「コレド室町1~3」などのイルミネーション「NIHONBASHI ILLUMINATIONS collaborated with FLOWERS」も同時開催されており、春の花に見立てた三井本館の外壁が徐々に開花していく様子が表現されている。

左からコムアイ氏、村松氏、勅使河原氏

「Big Book」

「BIG FLOWERS」

生け花

「DANDELION CLOCKS」

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会場の入り口では、大きな本の造作〝Big Book〟と人の背を超える蓮のような花が出迎え。壁面にはフィボナッチ数列に基づいたモザイクが映し出され、息を吹きかけるとそれに反応して音とともに100万本の綿毛が舞い上がる「DANDELION CLOCKS」、ドクドクと鼓動が伝わる草月流とのコラボ作品「植物の繭」、和紙でできた桜に光り輝く花が舞う「桜彩」…。
不思議な世界に人を引き込むのは間違いない。とくと写真を見ていただこう。約5,000円で「世界にたった1本のバラ」をプレゼントできる「BLANC」もおすすめだ。


ピンク色に染まる三井本館(極彩色に染まるかと思ったが、そうではない。隣の三越、日本橋三井タワーがライティングされているので目立たない。派手にして重文がショックを受け風邪をひかないように配慮したためか)

仲通り
野村不動産アーバンネット 仲介店舗「広尾センター」開設
野村不動産アーバンネット1月9日(土)、不動産仲介店舗「野村の仲介+」の「広尾センター」を開設する。
今回の店舗開設により、「野村の仲介+」の部店数は首都圏63部店・関西圏5部店の計68部店となる。
「広尾センター」は、東京メトロ日比谷線広尾駅から徒歩2分、外苑西通りに面した「広尾リープレックス・ビズ」5 階。センター長は中村偉氏。電話:03-5791-7691、FAX:03-5791-7695。
今年注目されそうな都道府県 1 位「東京」に続き「三重」 アットホーム調査
またまた、さらにまたやってくれました。アットホームがやってくれました。同社のいえ・まち・くらしの情報サイト「at home VOX(アットホームボックス)」(URL: http://www.athome.co.jp/vox)が1月7日、全国47都道府県出身の20~50 代男女1,457名を対象に「2016 年注目されそうな都道府県」について調査を行ったところ、第1位の「東京」に続き、第2位にはわが故郷「三重」(さんじゅうじゃありません)が入ったじゃありませんか。
この情報サイトはいつも奇想天外な、とんでみないアンケートをやるが、今回は至極ごもっとも、星三つを献上したい。
1位になった「東京」は、回答率18.19%で断トツだったが、その理由は「オリンピックに向けて、何かと注目されそう」「首都なので、いろいろと話題が生まれそう」「東京は常に注目されている」とのことらしい。
さて、「三重」は回答率7.82%で「東京」に10ポイントも引き離されたが、3位「北海道」の7.55%を振り切り、4位「大阪」、5位「沖縄」、7位「京都」、17位「愛知」などを上回った。
その理由はいうまでもなく「伊勢志摩サミット」。ニュースリリースによると「三重県民からの指示が54.84%と高いのも特徴」とある。(えっ、三重県民が投票するよう指示を出した? 温厚な三重県民がそんな姑息なことをやるはずがない。何かの、というより明らかに誤植)
ちなみに最下位は回答率0.41%の「佐賀」。理由は「(佐賀に)住んでいるから」。ブービーは「愛媛」、以下、「香川」「奈良」「徳島」と続く。
昨夜は、日本橋の「三重テラス」で食事をしようと思っていたが、「獺祭」の誘惑には勝てず、コレド室町の店に入ってしまった。北海道の「厚岸」にも入ろうと思ったが、予約いっぱいで入れなかった。カキが人気のようだが、三重には世界ブランドの的矢(まとや)のカキがある。小粒で濃厚。
ほかにも三重の魅力はたくさんあるが、あまり書くと皆さんに怒られそうなのでこのあたりでとどめる。今年は三重だ!
「消費税の動向に左右されない負担軽減を」 不動産協会・木村理事長

挨拶する不動協・木村理事長(ホテルオークラ別館で)
不動産協会(理事長:木村惠司・三菱地所会長)と不動産流通経営協会(略称:FRK、理事長:田中俊和・住友不動産販売社長)は1月6日、合同の新年賀詞交歓会を開催した。アベノミクス効果が出てきたためか、参加者は例年より多い1,150名(昨年は1,050名)にのぼった。
冒頭、挨拶に立った木村・不動産協会理事長は、バブル崩壊後20数年が経過したことで社会構造が変わり、非正規雇用の増加による中間層のレベル差、企業の国際競争の激化、国内需要の伸び悩み、労働力不足などの問題に対し、「これから先は今までの価値観では済まないことを念頭に置きながら、デフレ脱却、持続的な経済成長、希望が持てる社会の実現に向けて政官民が力を合わせて努力しなければならない」とし、「経済成長の面で住宅の安定的な投資が不可欠であり、合わせて大都市の競争力をつけ地域の活性化が大事な問題になってくる」と、業界の役割が大きいことを指摘した。
また、昨年末の税制大綱では「ほぼすべて要求が認められた」ことを受け、これから先の施策・住宅着工動向などを注視し、住宅が成長をけん引することに貢献していくためにも状況によっては幅広い観点から機動的な政策を行っていただきたいと国に求めた。
消費税については「消費税の動向に左右されない安定的な負担軽減も求めていく」とした。
不動産協会では、社会構造の変化を受け、「これから先2025年、2030年の将来を見据え大都市や住宅はどうあるべきかについて政策提言をまとめている」とし、「大都市」「街づくり」「ストック形成」についてそれぞれ方向性を示した。
「大都市」については、「大都市は持続的な成長、豊かな社会を実現する原動力であり、海外からヒト・モノ・カネ、情報、企業が集まりイノベーションできる場とし、グローバル競争に勝っていくためにも施策をスピーディに展開することが重要であり、ハード・ソフト両面での環境整備が必要」と述べた。
「街づくり」では、子育て・就労、健康保持の構築が喫緊の課題であり、業界は街づくりを通じて政府が進める「一億総活躍社会」の実現に貢献していく必要性を強調した。
「ストック形成」では、良質な新築住宅を供給するとともに、既存住宅はリノベーションなどを図りながら「多種多様なニーズに応え、日本の安定的持続的な成長と、国民が将来に希望の持てる社会の実現に向け邁進していく」と決意を述べた。
乾杯の音頭を取った田中・FRK理事長は、「足元の不動産流通市場は昨年春以降2ケタの伸びを見せており、新税制は市況を下支えするはずで、我々は安心・安全の取引を通じて消費者に喜んでいただくよう取引の透明性を一層高め、流通市場の活性化のために創意工夫を凝らし一丸となって取り組んでいく」と話した。
賀詞交歓会には石井啓一国交相など30名を超える国会議員も詰めかけ盛大な会となった。

挨拶するFRK・田中理事長
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岩沙弘道・不動産協会会長(三井不動産会長)がデフレ脱却に並々ならぬ決意を披露した。
「今年の干支は丙申(ひのえさる)。前回60年前の丙申は〝もはや戦後ではない〟と言われた年だったように、今年こそデフレ脱却を宣言できる年にしなければならない。アベノミクスの果実は実りつつある」とし、「経済と消費の好循環を実感できるよう多様な雇用・働き方ができる取り組みをしっかりやっていくことが大事」などと述べた。
「大手デベロッパーは地方の再生・活性化に消極的ではないか」という記者の質問に対しては、「都市と地方を対立軸として考えるべきではない」とし、「地方の活性化にも(当社は)しっかり取り組んでいますよ」と話した。
来賓としてあいさつした野田毅・自民党 税制調査会最高顧問が気の利いた発言をした。税制改正では「私は90点くらいだと考えていたが、木村さんや岩沙さんからは『120点くらい』と評価された」と会場を笑わせたあと、「消費増税の反動などに過剰に反応することが海外からも批判される。われわれ日本人は合成の誤謬に陥っている。ビヘイビアを注意しなければならない」と語った。ミクロ、マクロ両面から物事を考えないといけないということだ。
公明党の井上義久幹事長は「地方都市にも目を向けていただきたい」と業界に注文した。

岩沙会長

