ケイアイスター 2021年3月期 大幅増収増益 経常は倍増 期末配当34円⇒95円へ
ケイアイスター不動産は5月14日、2021年3月期決算を発表。売上高155,753百万円(前期比29.0%増)、営業利益12,561百万円(同95.5%増)、経常利益12,781百万円(同102.3%増)、純利益7,616百万円(同112.5%増)。大幅増収増益。売上高、各段階利益とも過去最高を記録。営業利益率は5.1%(同2.8ポイント増)と改善。期末配当は95円(前年同期は34円)へ、年間139円(前期は76円)へ増配する予定。
セグメント別では、分譲住宅の販売棟数は3,179棟(前期比588棟増)で、売上高101,348百万円(前期比30.9%増)。「デザインのケイアイ」を掲げ。地場不動産仲介業者との関係を強化し、土地の仕入れ強化やアウトソースによる販売強化を行った成果としている。
注文住宅は、不動産業者向けの注文住宅「フィットプロ」の受注拡大に注力した結果、計上戸数176棟(前期109棟)で、売上高1,461百万円(前期比19.9%増)。
福岡県での分譲住宅・注文住宅を展開するよかタウン事業は、分譲住宅742棟(前期は553棟)、注文住宅85棟(前期は36棟)を計上、売上高は20,248百万円(前期比28.0%増)。
次期業績予想は、売上高185,000百万円(前期比18.8%増)、営業利益15,400百万円(同22.6%増)、経常利益15,200百万円(同18.9%増)、純利益10,000百万円(同31.3%増)としている。年間配当も1株200円(前期139円)に増配する予定。
タカラレーベン 2021年3月期 減収減益/新中計策定 24年度 売上高2,037億円へ
タカラレーベンは5月14日、2021年3月期決算を発表。売上高148,397百万円(前期比11.9%減)、営業利益10,789百万円(同9.3%減)、経常利益9,933百万円(同11.3%減)、純利益4,693百万円(同12.5%減)と減収減益。営業利益率は7.3%(同0.2ポイント増)と改善した。
セグメント別売上高は、マンションなどの不動産販売が117,200百万円(前期比9.6%減)、不動産賃貸が5,753百万円(同3.5%減)、不動産管理が5,446百万円(同7.9%増)、発電事業が13,485百万円(同35.7%減)。マンションの計上戸数は2,129戸(JV持分含む)。利益率は改善した。
次期業績予想は、売上高158,600百万円、営業利益7,900百万円、経常利益7,100百万円、純利益4,800百万円としている。マンション期末計上予定戸数1,800戸に対する期初契約済みは891戸(契約率49.5%)。
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同社は同日、2022年3月期から2025年3月期までを対象とした、新たな中期経営計画を策定。基本方針として「コア事業のさらなる拡大」、「グループシナジーの最大化」、「事業ポートフォリオの最適化」、「安定的な財務基盤の確立」、「DX推進による生産性の向上と新たなサービスの創出」、「ESGへの積極対応」、「人材育成とやりがいのある職場環境の構築」の7つ柱を掲げた。
最終年度の具体的数値として売上高2,037億円、営業利益157億円を目指す。
飯田グループHD 2021年3月期 大幅増益 戸建て件数 アーネストワンが一建設抜く
飯田グループホールディングスは5月14日、2021年3月期決算を発表。売上高1兆4,561億円(前期比3.9%増)、営業利益1,212億円(同45.2%増)、経常利益1,196億円(同51.9%増)、純利益833億円(同55.0%増)と、大幅増益となった。分譲戸建てがコロナ禍でも好調に推移し、営業利益、経常利益は過去最高。営業利益率は8.3%(前期比2.3ポイント増)に改善した。期末配当は31円から43円へ、年間62円から72円へ増配する予定。
戸建ての売上高は1兆2,682億円(前期比3.9%増)、件数は46,620件(宅地含む)。1件当たり平均価格は37.9百万円(前期は37.8百万円)。完成在庫は16,273戸(前期17,874戸)に減少。セグメント別の戸建て売上高、件数は次の通り。件数はアーネストワンが初めて一建設を上回った。
・一建設 3,250億円(前期比6.4%増)12,289件
・飯田産業 2,369億円(前期比1.9%増) 7,383件
・東栄住宅 1,638億円(前期比0.1%増) 4,954件
・タクトホーム 1,476億円(前期比4.0%増) 5,115件
・アーネストワン 2,890億円(前期比6.5%増)12,673件
・アイディホーム 1,054億円(前期比0.3%増) 4,195件
マンション計上戸数は1,603戸(前期は1,951戸)。完成在庫は403戸(同837戸)。
次期業績は、売上高1兆4,700億円(前期比0.9%増)、営業利益1,280億円(同5.6%増)、経常利益1,250億円(同4.4%増)、純利益860億円(同3.2%増)としている。戸建ては47,000戸、マンションは1,750戸を予定している。
三井不動産 2021年3月期 増収減益 投資家向け売上高過去最高 国内分譲を逆転
三井不動産は5月14日、2021年3月期決算を発表。売上高2兆75億円(前期比5.3%増)、営業利益2,037億円(同27.4%減)、経常利益1,688億円(同34.7%減)、純利益1,295億円(同29.6%減)と増収減益。売上高は過去最高を更新。新型コロナなどによる特別損失543億円を計上した一方、BSコントロールの一環として「新宿三井ビル」などの資産売却による特別利益772億円を計上した結果、純利益は543億円の減益となった。
セグメント別では、賃貸は売上高6,230億円(同2.0%減)、営業利益1,207億円(同17.2%減)。首都圏オフィス空室率(単体)は3.1%(前四半期末比0.4pt減)。商業施設は315億円の減収。
分譲事業は売上高7,147億円(同36.4%増)、営業利益1,182億円(同4.5%減)。国内住宅分譲は「ザ・タワー横浜北仲」などの引渡しの進捗により増収増益。国内のマンションの次期計上予定戸数3,800戸に対する契約達成率は99%となっている。投資家向け・海外住宅分譲等は、売上が過去最高となった一方で、前期に高利益率物件を売却した反動により増収減益。
マネジメントは、売上高4,029億円(前期比4.4%減)、営業利益399億円(同28.2%減)。新型コロナの影響を受け、リパーク(貸し駐車場)、仲介・アセットマネジメントとも減収減益。三井不動産リアルティの仲介取扱件数は前期比10.1%減の38,507件(前期は42,818件)。
その他は、売上高2,668億円(同17.7%減)、営業損失272億円(前期は22億円の利益)。ホテル・リゾート、新築請負が新型コロナの影響を受けた。
期末の有形・無形固定資産残高は3兆7,968億円となり、前期末比436億円増加。「新宿三井ビルディング」の売却、販売用不動産への振替などにより5,216億円減少した一方、東京ドームの連結子会社化、三井不動産アメリカにおける「50ハドソンヤード」への新規投資などにより5,652億円増加した。
次期業績予想は、売上高は売上高2兆1,500億円(前期比7.1%増)、営業利益2,300億円(同12.9%増)、経常利益2,050億円(同21.4%増)、純利益1,600億円(同23.5%増)としている。
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分譲セグメントが極めて好調に推移した。マンションは売上高2,902億円(前期比23.0%増)、計上戸数3,775戸(同581戸増)、戸建ては売上高351億円(同7.6%増)、計上戸数515戸(同34戸増)で、合計売上高3,253億円(同21.1%増)、計上戸数4,290戸(同615戸増)。営業利益は400億円(同35.3%増)。
完成在庫はマンション150戸、戸建て17戸の合計167戸(前期末は186戸)で、マンション次期計上3,800戸の期初契約済みは99%に達している。同業他社は、住友不動産は約80%、野村不動産は65.3%、東急不動産は54%、東京建物は約88%(2022年12月期1Q)。
同じ分譲セグメントの投資家向け・海外住宅分譲も著しい伸びを見せた。売上高3,893億円(同52.4%増)、営業利益782億円(同16.9%減)。売上高は過去最高で、国内分譲住宅も上回った。減益となったのは前期に高収益物件の売却があったための反動減。投資家向けの内訳は公表していないが、売却物件は「新橋M-SQUARE Bright」「名古屋三井ビルディング(本館・新館)」「大崎ブライトタワー」「グラントウキョウサウスタワー」「MFLP堺」「MFLP茨木」「MFLP川口Ⅰ」「パークアクシス東陽町・親水公園」など。
エスリード 2021年3月期 増収減益 マンションは5期連続在庫0を達成
エスリードは5月13日、2021年3月期決算を発表。売上高68,999百万円(前期比11.9%増)、営業利益7,018百万円(同11.7%減)、経常利益7,001百万円(同12.5%減)、純利益4,506百万円(同11.1%減)と減収減益。
マンションの販売・引渡が好調に推移。2,292戸を引き渡し、5期連続で「完成在庫0」を達成した。一方で、ホテル・民泊物件の棚卸資産にかかる評価損の計上や従業員数増加に伴う人件費の増加により減益となった。
次期業績は、売上高55,000百万円(同4.7%減)、営業利益6,000百万円(同26.7%増)、経常利益3,900百万円(同23.3%増)を見込む。売上高、経常利益は過去最高を目指す。
フージャースHD 2021年3月期 減収減益 分譲は大幅増収増益
フージャースホールディングスは5月13日、2021年3月期決算を発表。売上高80,222百万円(前期比5.9%減)、営業利益5,435百万円(同18.8%減)、経常利益4,616百万円(同16.3%減)、純利益2,878百万円(同939.3%増)となった。
不動産開発事業は、マンション1,272戸、戸建住宅125戸の引き渡しを行い、売上高55,315百万円(同18.9%増)、営業利益4,671百万円(同111.1%増)を計上した。
CCRC事業は、268戸の引き渡しにより売上高11,466百万円(同28.1%増)、営業利益351百万円(同35.3%増)。不動産投資事業は売上高7,409百万円(同66.1%減)、営業利益402百万円(同88.9%減)。
次期業績予想は、売上高76,000百万円(同5.3%減)、営業利益5,700百万円(同4.9%増)、経常利益5,000百万円(同8.3%増)、純利益3,100百万円(同7.7%増)を計画。
コスモスイニシア 2021年3月期 減収減益 分譲は売上増も利益率が低下
コスモスイニシアは5月13日、2021年3月期決算を発表。売上高107,257百万円(前期比3.0%減)、営業利益2,376百万円(同60.5%減)、経常利益2,207百万円(同58.0%減)、純利益2,007百万円(同41.2%減)と減収減益。
主力のレジデンシャル事業は、新築マンション、新築一戸建の引渡戸数が増加した一方で、売上総利益率が低下したため売上高40,700百万円(前期比8.9%増)、営業利益1,321百万円(同14.5%減)となった。内訳はマンションが20,779百万円(455戸)、一戸建が7,920百万円(92戸)、リノベーションマンションなどが11,248百万円(232戸)。期末完成在庫はマンションが135戸(うち未契約105戸)、一戸建が10戸(同6戸)。
アパートメントホテル「MIMARU」は、新型コロナの影響を受け売上高593百万円(前期比95.3%減)、営業損失3,017百万円(前期は1,162百万円の利益)を計上した。
次期業績予想は、売上高115,000百万円(前期比7.2%増)、営業利益3,000百万円(同26.3%増)、経常利益2,300百万円(同4.2%増)、純利益1,800百万円(同10.3%減)の見込み。
住友不動産 2021年3月期 減収減益 マンション大幅戸数減ながら営業利益は過去最高
住友不動産は5月13日、2021年3月期決算を発表。売上高9,174億円(前期比9.5%減)、営業利益2,192億円(同5.4%減)、経常利益2,099億円(同4.8%減)、純利益1,413億円(同0.3%増)となった。営業外損益の改善が進み、純利益は10期連続増益、8期連続最高益を達成した。
セグメント別では、オフィス、ホテルなどの賃貸事業は、売上高3,982億円(同0.6%増)、営業利益1,552億円(同8.4%減)。ホテル、イベントホールなどは新型コロナの影響を大きく受けたが、オフィスは、空室率2.8%(前期末は1.4%)の低水準を維持するなど増収増益となった。
不動産販売は、売上高2,633億円(同18.9%減)、営業利益539億円(16.0%増)。計上戸数は前期の5,431戸から4,164戸へ大幅に減少し、売上高も減少したが、広告費、販売費の減少、粗利益率の改善により営業利益は過去最高となった。マンションの期末完成在庫は1,184戸(前期末1,466戸)。次期計上予定戸数3,800戸の期首契約率は約80%(前期は約80%)まで進捗している。
新築そっくりさん・注文住宅などの完成工事は、売上高1,887億円(同13.8%減)、営業利益155億円(同24.4%減)。計上棟数が9,940棟(同16.7%減)となったため減収減益。
不動産流通事業は、売上高657億円(同7.6%減)、営業利益114億円(同21.3%減)。仲介件数は35,122件(同2,593件減少)。
次期業績予想は、売上高9,200億円、営業利益2,280億円、経常利益2,210億円、純利益1,500億円の増収増益を目指す。不動産販売は減収減益を予想。
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マンションが好調を維持している。同社は第八次中期経営計画(2020/3~2022/3)では「量を追わず利益重視で販売ペースをコントロールしていく」「競争激化の用地取得環境が続く中、『好球必打』で着実に確保する方針は継続する」と戦略転換し、マンション・戸建ての計上戸数は2019年3月期の5,948戸から2021年3月期は4,149戸へと約1,800戸も減らしながら、営業利益は過去最高となった。
〝機を見るに敏〟の言葉がピッタリの値付けもさることながら、プロジェクトごとの販売事務所を設けず、総合マンションギャラリーを首都圏に7館、関西に2館、東海に1館に集約し、広告費、販売経費などを削減しているのも大きい。
売上高を計上戸数で割った1戸当たり単価は2019年3月期の5,435万円から2021年3月期は6,083万円へ648万円も上昇しているのも「好球必打」を実践している証拠か。
三菱地所 2021年3月期 減収減益 コロナ影響額400億円 次期は売上・利益とも最高へ
三菱地所は5月13日、2021年3月期決算を発表。売上高は1兆2,075億円(前期比7.3%減)、営業利益は2,243億円(同△6.8%減)、経常利益は2,109億円(同3.9%減)、純利益は1,356億円(同8.6減)と減収減益となった。
新規オフィスビルの通期稼働や竣工、及び既存ビルの賃料増額改定等によりビル賃貸利益は増加し、マンション利益率も改善したが、新型コロナウイルスの影響を受けた商業施設、ホテル事業の利益の減少、海外事業の物件売却収入・利益が減少した。
固定資産売却益、有価証券売却益など特別利益として1,660億円、固定資産除却関連損、子会社清算損、新型感染症対応など特別損失として263億円を計上した。コロナ影響額は、ホテル、商業施設とも約170億円など全体では400億円としている。
セグメント別では、オフィス、商業施設、ホテルなどのコマーシャル不動産事業は売上高6,724億円(前期比7.1%減)、営業利益1,807億円(同3.8%減)。オフィスは、四谷タワーなどの通期稼働、みずほ丸の内タワー・丸の内テラス等の竣工、既存ビルの賃料増額改定などにより賃貸収入・賃貸利益が増加した。空室率は2.35%(前期末1.86%)と若干上昇した。商業施設やホテルは、新型コロナの影響を受け、収入、利益とも大幅に減少した。
住宅事業は、売上高3,627億円(同5.9%減)、営業利益240億円(同1.0%減)。国内分譲マンションの売上計上戸数は増加したが、首都圏郊外や地方都市での売上計上物件が多く、平均戸当たり単価の低下により減収。一方、粗利益率の上昇により利益は増加した。海外は、アジアでの分譲マンション事業利益などが増加した一方で、前期に計上した英国での物件売却による収入・利益の反動減があった。
2022年3月期業績予想は、新規ビル竣工やキャピタルゲイン増加などを見込み売上高1兆3,260億円(前期比9.8%増)、営業利益2,450億円(同9.2%増)、経常利益2,200億円(同4.3%増)、純利益1,420億円(同4.7%増)、と売上高・営業利益・経常利益とも過去最高を見込む。配当は33円を予想している。
なお、純利益が前回予想を上回ったため年間配当を30円予想から31円に増配する予定。
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記者の取材フィールドであるマンション事業がどう着地するか注目していた。前日の東急不動産ホールディングスが完成在庫を827戸(前期比82.6%増)も出したからだ。
マンションの売上高2,035億円(前期比0.2%増)、計上戸数3,214(前期は3,476戸)、粗利益率18.7%(同17.8%)、完成在庫213戸(前期比160戸減)となり改善した。2022年3月期は2,030億円、計上戸数2,900戸、粗利益率20.0%を予定している。
オンライン決算説明会で、同社取締役兼代表執行役執行役専務・片山浩氏は「当初はコロナの影響で在庫が増え、値引きも想定していたが、予想以上に好調に推移した。しっかりと良い物件・エリアを選んで、そのエリアにマッチングしたスペックの良いものを創っていけば、都心も郊外も好調は持続できる」と語った。
記者は、同社のマンションをこの1年間1物件も見学していないのでよくわからないのだが、業界全体としては価格が上昇する一方で、その分だけ専有圧縮、設備仕様レベルダウンしていると思っている。質問したかったが、決算資料を読み込んでおらず、パソコンの操作の仕方もよくわかなかったのでやめた。同社のスペックは落ちていないと理解することにした。
ナイス 2021年3月期 減収増益 記念含め3期ぶり期末30円復配
ナイスは5月12日、2021年3月期決算を発表。売上高は2,140億円(前期比14.9%減)、営業利益は44億円(同273.5%増)、経常利益は39億円(同1,004.2%増)、純利益は20億円(前期は純損失37億円)となった。売上高は減少したが、粗利益率の改善、販売用不動産の売却などを行った結果、大幅な増益となった。
次期業績予想は、売上高2,050億円、営業利益32億円、経常利益26億円、純利益18億円を計画。
また、同社は同日、前回2020年11月発表の期末15円復配に加え、創立70周年を記念して期末配当を30円に修正すると発表した。配当は3期ぶり。