住友林業 36名の女性プロジェクトチーム発足
LEE 読者との座談会の様子
住友林業は12月6日、女性の視点を商品開発やサービスなどに生かすため、組織を横断した女性プロジェクトチームを立ち上げたと発表した。
プロジェクトチームは、2013 年3 月に住宅事業本部で住宅の商品、インテリア、販売、部材、施工、人財などの開発に関わる各部の担当と、住宅設備機器の製造などを行う住友林業クレストの収納部材の担当をメンバーとして発足。6 月にリビング空間の収納力と快適性を両立する収納提案「こまま(comama)」を提供。10月には、全国の支店から選ばれた営業・設計・生産・総務・インテリア担当社員もメンバーとして加え、総勢36 名で本格始動した。
本格始動の第一弾として、12月7日発売の女性誌「LEE」(集英社発行)で、木の家の良さを子育て世代の女性に知ってもらうコラボレーション企画「きれいを未来につなぐ木の家」の連載(全4回)を始める。
同社はこれまでも女性社員が中心となり、家事や子育ての負担を軽減する生活提案型商品「mamato(ママト)」などを提案してきたが、今後継続的に女性の視点を生かした商品や部材の開発を推進し、サービスなどのソフト面の提案力を強化するのが目的。
「ピンク」一色 住林の新商品「mamato (ママト) 」発表会(2011/6/2)
女性の登用と外国人労働者の採用を 東京建物・佐久間社長が懇親会で語る
東京建物グループは12月3日、恒例のグループ記者懇親会を行い、佐久間一社長は、今後の不動産市場は実体経済が回復するかどうかにかかっており、労働力不足を補うには女性の社会進出の促進、外国人労働力の受け入れなどが必要と語った。また、同社グループとしては環境・省エネ・快適性を盛り込んだサービスの提供を追求していくと述べた。
佐久間社長はまず不動産市場や経済などについて、「ムードはいいがマンション市場も個人の収入が増えるなど実体経済がきちんと回復することが必要」と語った。
さらに、生産人口の減少についても触れ、「団塊世代のリタイアによる労働人口減少に対して、生産性をたゆまなく上げていくには、諸外国より劣っている女性の社会進出を促すことが必要だ。また、海外の人を雇用するのが重要だが、介護士の試験で『嚥下』を読ませるような規制を緩和しなければならない。第三の矢と成長戦略がないと安定的な成長はない」と話した。
◇ ◆ ◇
この種の大手デベロッパーの懇親会の場で女性の社会進出や外国人労働者の受け入れについて語ったのは佐久間社長がおそらく初めてだ。記者は佐久間社長が女性の社会進出に触れたのに興味を持った。
同社こそもっとも女性の登用を図る土壌があると思ったからだ。もともと同社の社風はゆったりとしていて記者は好きなのだが、マンションの販売現場でも女性の視点で企画されているものが少なくない。
業界を先駆けて防災グッズ・倉庫などを備えたのは、阪神大震災のとき学生だった女性社員・田所照代さんの提案がきっかけだった。その田所さんもメンバーの一人になっている同社の働く女性による商品開発プロジェクト「Bloomoi /ブルーモワ」のプロジェクトリーダー・野口真利子さんはずっと若いときに「気合と根性」で一級建築士の資格を取得している。同社広報担当の鈴木清由里さんは不動産鑑定士だ。
記者は住宅・不動産業界などの会社約50社が参加しているRBA野球大会を23年間取材しているが、東京建物や東京建物不動産販売はこのところずっと下位に低迷している。ようやくここ2年ぐらいは上昇機運にあるが、このような女性の活躍を見聞すると、全然釣り合わない。この会社は間違いなく「女性上位」にあると思う。
佐久間社長に「もっと女性を登用すべき」と話したら、佐久間社長は「うちの女性社員の比率は3割ぐらいで管理職は2人しかいないが、将来は楽しみ。鍵は女性を登用する部長クラスの手腕にある」と答えた。
同社が不動産会社ではまだない「なでしこ銘柄」(住宅会社では積水ハウスが指定されている)や「ダイバーシティ経営企業100選」に選ばれるよう期待したい。
野村不動産アーバンネット 今年度新規5店舗目の仲介「国立」オープン
野村不動産アーバンネットは11月25日、同社の仲介店舗「国立センター」を12月2日(月)に開設すると発表した。
「国立センター」は、JR中央線国立駅北口から徒歩1分、駅前ロータリーに面したマンションの1階(クレッセント国立・ディアナプレイス1階、電話:042-580-1581、FAX:042-580-1582)に出店。今年度の新規出店は「国立センター」で5店目となり、仲介店舗数は首都圏50店舗・関西圏3店舗の合計53店舗となる。
同社は、昨年発表した中長期経営計画に基づき営業店舗と人員を向こう10年で倍増する計画。10月には新ブランド「野村の仲介+(プラス)」を立ち上げた。
◇ ◆ ◇
正確には分からないが、三井不動産リアルティが平成22年度に全国で15店舗(うち首都圏9店舗)を出店したのが近年では最多ではないか。野村不動産アーバンネットの出店ラッシュも注目される。
三菱地所 企業メセナ活動で文化庁長官賞受賞
受賞の喜びを語る杉山社長
公益社団法人企業メセナ協議会が11月21日、「メセナアワード2013 贈呈式」を行い、三菱地所が「特別賞文化庁長官賞」を受賞した。同協議会は、企業による芸術・文化振興による社会創造(メセナ)活動への参加を促す目的で1990年に発足。全国各地の優れたメセナ活動を行っている企業や企業財団などを表彰してきた。今回23回目を迎えた「メセナアワード2013」では全国から107件の応募があり、メセナ大賞1件、メセナ各賞5件、文化庁長官賞1件が受賞した。
特別賞の文化庁長官賞を受賞した三菱地所は、障害のある子供たちの絵画コンクール「キラキラっとアートコンクール」を毎年主催していることに対して受賞したもの。
贈呈式に出席した同社・杉山博孝社長は、「賞は、ご協力いただいている社会福祉法人の東京コロニー様などを代表して頂戴したのだと思っております。障害のある子どもたちがプロとしての作家活動ができるように今後も支援していきたい」と受賞の喜びを語った。同コンクールは2002年から実施しているもので、今年は2050作品の応募があった。
メセナ大賞にはNPO全日本製造業コマ大戦協会が、メセナ各賞には岩波不動産、損保ジャパン/損保ジャパン美術財団、トヨタ自動車、SCSK、村上町屋商人会がそれぞれ選ばれた。
◇ ◆ ◇
記者はこの日、別の取材があり、弊社の若い女性2人に杉山社長のコメントをテープに収め、写真を撮り、記事も試しに書くよう指示した。2人はこれまで取材などまったく行なったことなどない入社1~2年生だ。2人が書いた記事は主体と客体、主語と述語の関係がはっきりせず、誤字・脱字もあり、そのままでは記事にはならないものだった。
しかし、文末に書かれた「子供たちの話をするとき、無意識なのだろう、顔を緩める杉山社長が印象的に写ったスピーチだった」という文章に目が吸い寄せられた。
「写った」のはご愛嬌。やはりここは「映った」の誤植。それでも「無意識に」顔を緩める杉山社長の表情や、2人の若い女性の視線がストレートに伝わってくるではないか。
記者はこうであらねばならないと思う。コピー&ペーストで記事はいくらでも書ける。しかし、そんな記事は何の値打ちもない。知ったかぶりなどもってのほかだ。見る目を養わなければならないのはいうまでもないことだが、記者自身が感じたこと、見たことをストレートに伝えるから読者の心を捉えるのだ。
「キラキラっとアートコンクール」は記者も一度取材している。そのときも、杉山社長は自分の孫に対するかのように話したのを覚えている。杉山社長のやさしい一面を見ることは、本業の取材でも生きてくる。作品は丸ビルに展示される。ぜひ見学を勧めたい。
贈呈式
RBA野球常勝軍団・旭化成ホームズ 育ての親の平居社長「野球」を語る
平居社長
「体育会系社員は練習する価値を知っている」
住宅・不動産・建設業を横断的に組織するRBA野球大会が今年で25周年を迎える。約50チームでスタートしたのは平成元年。バブルの絶頂期にあったが、平成2年にはバブル崩壊。さらに追い打ちをかけるようにリーマン・ショックも業界を襲った。
この間、参加チームは業界の浮沈を映すように約170チーム・社が参加しては消えた。第1回大会から連続して参加しているのは6チームのみだ。25年間を通じて断トツの強さを発揮しているのが旭化成ホームズだ。同社チームは第2回大会から水曜ブロックに参戦している。
参加した当初は強豪チームに歯が立たず、コールド負けを繰り返していた。そのチームが激変したのが平成8年。この年、4勝を挙げると翌年に無敗で初の総合優勝を遂げると、その後はほとんど毎年のように優勝争いを演じてきた。日曜ブロックの覇者と争う総合優勝戦で24回大会まで11度の優勝を飾っており、水曜ブロック優勝が12回、準優勝が2回。通算119勝19敗、勝率.862の高率をマークしている。
ターニングポイントになった平成8年こそ平居正仁社長が当時人事担当として野球選手をコンスタントに採用してきた時代と符合する。平居氏はその後、平成12年に人事部長、同16年に旭化成リフォームの社長を務めた後、同21年に社長に就任した。人事担当だったころはいつもグランドに駆けつけ応援していた。いまは業務が忙しく決勝戦にも顔を見せなくなったが、チーム育ての親であることに変わりはない。平居社長になぜ野球なのかを聞いた。
◇ ◆ ◇
平居社長が野球部を強くしようと思ったきっかけは平成6年に人事部担当になったときだ。それまで平成2年~6年、平居氏は滋賀の旭化成住工勤務だった。
「当時、社名は東芝住宅工業(旭化成住工に社名変更したのは平成3年)で、若い社員は野球をやっていました。その野球部が強く、グループ内の大会でも好成績を上げていました。みんな天狗になっていたんです。
私自身、野球は素人。そこで、私は旭化成ホームズの人事部に異動になるとき『本社の野球部を強くして、こいつらの天狗の鼻をへし折ってやる』と考え、平成7年採用のとき、慶大野球部監督の後藤(寿彦氏)さんを訪ね『住宅に興味のある部員はいませんか』とお願いしたら、たまたま鈴木鉄也(前監督)ら3人が来てくれることになった。その年の秋、慶大の4年生とうちのチームと親善試合をやったのですが、慶大チームには西武から指名を受けて、その日が入団調印式だった高木大成さんも参加され、ものすごく盛り上がりました。
この年は、青学の渡辺康平たちも入ってくれた。翌年、後藤さんの伝手で早大野球部監督の佐藤さん(清氏)にお願いしたら、山本(寿彦氏、現監督)が入ってきた。それから負けないチームになりましたね。先輩、後輩の伝手でコンスタントに入社してくれるようになりました。
当時、土屋社長(友二氏)から『お前はスポーツ選手ばかり採っているんじゃないか』と言われ、早速野球選手の営業成績を調べたら、みんな平均以上だった。しかし、支店や営業所もなかなか売り上げが上がらず苦戦していた時代で、業績が悪いと気持ちよく野球に出してくれないこともあった。やはり業績が上がらないと気持ちよく野球はできない。
その頃、鈴木鉄也(前出)が受注絶好調だったので、休日に野球部員を集めて営業の勉強会を何度か行い、その結果、他の営業マンと比較しても皆それぞれ営業成績を上げてくれた。そこで、『人事部長としての仕事をちゃんとやっているでしょ』と、決して野球選手ばかり取っている訳でなく、業績にも貢献できる人材を採用していますと、土屋に伝えました」(土屋社長はチームが優勝したときホテルで祝勝会を開いたほどの野球好き。平居氏には『野球選手は本業でも優秀であることを証明せよ』とエールを送ったのだろう=記者注)
野球選手などの体育会系の社員はどこがいいのか。この質問に対して平居社長は「一般的にはパワーがあるとか礼儀正しいとかが強みだと言われます。確かにそれもそうですが、私が体育会系を買っているのは、練習することの価値を知っていることに対してです。たゆまず練習する。スポーツ系の社員はこれを苦にしないで実践する。これが最大のポイントです。仕事も同じ。普通は何度か失敗するとあきらめて方向転換しますが、それでは仕事も上達しない。失敗したらなぜ失敗したのか、考えればいいこと。反復練習することでミスが見えてくるし、ミスをなくすことができるんです。当社の野球部の選手は本業でも全国レベルの人材がたくさんいます」
(旭化成ホームズの選手は確かにミスをしない。1試合に1つあるかどうかだ。ライバルのリスト主砲・杉山選手(横浜高校出身で、松坂にエースの座を奪われた投手)は『うちと旭化成さんの違いはミスの差』と話したことがある)
同業へのメッセージ。「いまは積水(ハウス)さん、住林(住友林業)さんも参加されています。住林の市川さん(晃氏)は〝打倒・旭化成〟を目指していただいておりますし、社長同士が集まる会合では野球の話で盛り上がっています」
「14回大会と15回大会は2度にわたって優勝できなかった年があります。〝打倒リバブル〟が達成できて気が抜けてしまったのではと思ったので、みんなを集めて『本当に野球が好きだったら、野球に恩返しをしろ』と話しました。かつてのリバブルさんのように〝打倒・旭化成〟と目標にされるような強いチームにすることが野球に対する恩返しだ』と話しました。それからまたエンジンがかかり、負けないチームになったんです。鈴木はかなりプレッシャーと戦っていたはずですよ」
(鈴木監督が負けないチームをつくったのは適材適所の起用と、チームが勝つための采配にこだわったためだ。ナインも外野への安打を放っても『あの場面はゴロを打てとの指示だった』と決して喜ばなかった。鈴木監督は試合後の反省会で必ず左利きでノートに小さな字でメモを取っていた)
「(旭化成)リフォームにも強くなってほしいのですが…補強? 補強はしませんよ。補強して強くしても面白くない。弱いチームを強くしていくプロセスが楽しいのです」と話した。
普段は各支店・営業所めぐりで忙しく、本社にいるのは月に数えるほどとか。「ここ(本社)にいても仕事にならない(笑)。各地を回って担当者から人の成長を確認するのが私の役割」とくったくがない。2泊3日の勉強会を年10回もこなすという。現場主義を貫く社長だ。
◇ ◆ ◇
旭化成ホームズの業績が伸びている。平成26年度第2四半期決算は、売上高前年同期比11.9%増収の2,384億円、営業利益が40.9%増益の265億円となり、第2四半期累計としては過去最高となった。通期見通しについても「消費増税の駆け込みの反動による落ち込みは限定的」(平居正仁社長)と判断し、売上高5,320億円、営業利益600億円とし、過去最高の売上高・営業利益を目指す。
同社の業績が好調なのはこれまで書いたように、人事担当時代から人を育ててきた平居社長の手腕によるところが大きいと思えてならない。これは記者の身びいきか、我田引水か。
平居社長は11月22日に開かれる25周年記念の「RBA懇親会」にも出席する。
積水ハウス 安藤忠雄氏の発案による巨大緑化モニュメント「新梅田シティ」に完成
「希望の壁」
積水ハウスは11月5日、建築家安藤忠雄氏の発案を受けて工事を進めてきた本社のある「新梅田シティ」の巨大緑化モニュメント「希望の壁」の完成披露式を行った。
「希望の壁」は、開花時期の異なる草木を計画的に配置することによって、四季に応じて表情が変わる高さ9m、長さ78m、奥行き3mのモニュメント。同社の「5本の樹」計画の選定樹種のソヨゴ、クチナシ、ヒラドツツジ、ヤブツバキ、ヤマブキ、フジ、オオイタビなどを中心に約100種類2万本以上の植物を植栽した。
「新梅田シティ」は今年3月に竣工20周年を迎えた複合施設で、敷地の北側には絶滅危惧種を含む多くの生き物が集まる約8,000㎡の「新・里山」がある。
「希望の壁」
建売住宅のガリバー企業誕生 飯田グループホールディングス
建売住宅のガリバー企業誕生-一建設、飯田産業、東栄住宅、タクトホーム、アーネストワン、アイディホームの6社は11月1日、共同持株会社「飯田グループホールディングス」を設立し、東証一部に上場した。初値は2,226円、終値は2,149円だった。出来高は205万株(売買単位100株)。
直近の決算を合計すると売上高は9,075億円、経常利益は751億円、当期利益は473億円で、売上高は住宅・不動産業で大和ハウス工業、積水ハウス、三井不動産、三菱地所に次ぐ第5位に躍り出た。三菱地所の9,271億円(2013年3月期)も射程圏に捉えている。
主力の建売住宅の販売戸数は29,459戸(アーネストワン8,222戸、一建設7,202戸、飯田産業4,854戸、東栄住宅3,267戸、タクトホーム2,958戸、アイディホーム2,954戸)に達している。建売住宅の全国市場は10~12万戸だから、実に3割前後の市場占有率だ。年間800~900戸の三井不動産レジデンシャルなどとは桁違いの多さだ。追随するところがないという意味では、まさにガリバー企業だ。自動車業界のトヨタ、証券業の野村ホールディングスのような存在だ。
◇ ◆ ◇
企業の価値は売上高で決まるものではないが、わが国で100数十社しかない1兆円企業に迫ろうとする同社のビヘイビアには苦言を呈さざるを得ない。新会社を設立したこの日、「飯田グループホールディングス」のホームページを立ち上げたが、リンクされているのは一建設と飯田産業のホームページだけだ。ホールディングスのホームページも知りたい情報らしきものはほとんどない。各社の決算短信や有価証券報告書を閲覧することしか情報を得られない。消費者や投資家に極めて不親切としか言いようがない。
同社が期待するシナジー効果も記者は疑問に思っている。飯田産業や東栄住宅はやや異なるが、一建設とアーネストワンは兄弟というより一卵性双生児のような会社だ。同じ商圏、同じ商品、同じ販売手法の会社が企業規模を縮小するならともかく、それぞれが現在の体制を維持しながら果たしてシナジー効果を得られるのか。逆のアナジーに陥りはしないのか。
◇ ◆ ◇
実質的な筆頭株主で代表取締役会長・飯田一男氏について、時効だろうから一言触れたい。
飯田氏の情報は極めて少ない。有価証券報告書にも昭和13年生まれで、昭和42年に一建設(当時、飯田建設工業)を開業したことぐらいしか記載されていない。
本人が極端に表に立つことを嫌っていたからだ。記者は昭和50年代の後半から平成4年ぐらいまで、毎年ではなかったが年に1度くらいお会いしていた。当時、前職で「首都圏建売住宅供給ランキング」調査を行なっており、トップの同社は4,000戸ぐらい供給していた。しかし、正確な数は公表しなかった。そこで、何度も頼み込んで「数字だけは教えるが、オレのことや会社のことについて記事にするな。写真はもちろんメモも取るな」という条件つきで取材に応じてくれた。
事務所はプレハブの2階建てで、いつも数人しかいなかった。エアコンはあったが暖房は石油ストーブだった。飯田氏はいかにも大工出身という短矩でがっしりとした体格をしていた。また、〝吝嗇家〟として知られており、手弁当持参で旧式の古い自転車通勤をしていた。「数字を教えてやるから新聞代をタダにしろ」ともいわれた。
約束の時間から1~2時間待たされることもしばしばあった。「書くな」といいながら、話し出すととまらなかった。「エッ、エッ、そうだろ」というのが口癖で、記者は年間の供給戸数を聞くのが目的だから、相槌を打つだけでほとんど話を聞いていなかった。
バブルが崩壊し、〝これからは戸数を追う時代ではない〟と調査をやめてしまい、飯田氏とも会わなくなったが、平成5年ぐらいのときか。同社が〝破綻する〟という噂を聞きつけたので新社屋に会いに行った。在庫処分に注力しており、「値引き販売して何が悪い」と強気なことを言っていたが、さすがに疲れきった表情をしていた。
その後、平成21年にジャスダックに上場したとき、コメントを取ろうと自宅まで押しかけたが、家族の方から「もう一線から退いておりますので」とお会いすることも出来なかった。
飯田グループホールディングスの代表権を持つ会長に就任したのだから、マスコミにも登場し、波乱万丈を語って欲しい。「チープな建売住宅」のイメージを払拭する責任があるのではないか。
「人は宝」 急伸するケイアイスター不動産 瀧口専務が語る
ドムスデザインカーザ
瀧口専務
人口約8万人の埼玉県本庄市に本拠を構え、埼玉県北、群馬県、栃木県などで事業展開している不動産会社、ケイアイスター不動産をご存じだろうか。分譲戸建て、注文住宅事業が中心で、2012年度の売上高は235億円、販売棟数は1.064棟にも上る。5年前と比較すると売上高は1.5倍、販売棟数は2.4倍に伸ばしている。
記者は全く知らなかった。同社がRBA野球大会に今年参加して初めて知ったのだが、どうしてそんなに急速に業績を伸ばしたのかを探るために、同社専務取締役・瀧口裕一氏に話を聞いた。
瀧口氏が同社に入社したのは2008年1月。そして、ご存じのように9月にリーマン・ショックに見舞われた。転機はこのリーマン・ショックにあった。
瀧口氏は、「それまで行ってきた引き回し営業はやめよう。自社でしっかりしたものを造ろう」と方向転換したのがその後の業績アップにつながったという。しかもそれまで行っていた仲介事業からも手を引いたという。
つまり、退路を断ってハウスメーカーへの脱皮を図ったのが奏功した最大の要因だ。現在、分譲戸建てと注文住宅の割合は7:3だが、将来的には1:1にするのが目標だ。注文住宅では、先にオープンした渋谷の「青山展示場」に医療環境・住環境を女性の感性でデザイン監修し、コラボレーションした「ドムスデザインカーザ」を出展した。
また、他社の分譲戸建てを請け負う「規格型請負事業」を3年前から手掛けており、現在は大手の物件も含めて年間100棟を受注している。マンション事業にも進出した。
瀧口氏は、同社の夢を次のように語った。「この業界は消費者にいいイメージを持たれていない。『ザ・不動産』から脱却し、しっかり人を育てる。人は宝。使い捨てなど絶対にしない。あこがれの存在にしたい」
中庭
◇ ◆ ◇
瀧口氏が前職のとき、何回かお会いしている。優秀な企画マンだ。同社に転職したときも電話で少し話を聞いていたが、まさかそんなに成長する会社だとは夢にも思わなかった。
本社の近くにある住宅展示場のドムスデザインカーザのモデルハウスも見学した。イタリアのデザインを取り込んだもので、ロートアイアンのゲート、中庭、ガレージ付きというのが特徴だった。すべて女性スタッフが企画したもので、円形のバルコニーは「ジュリエットバルコニー」と名付けられていた。
ロートアイアンは錬鉄製でなくアルミ製だったのはどうかと思ったが、若い層をターゲットにした住宅としては納得できる出来栄えだった。広いガレージと中庭を設けたのは郊外住宅ならではのアイデアだ。
ケイアイスター不動産 大相撲熊谷場所を協賛
「大相撲熊谷場所」
ケイアイスター不動産が10月12日(土)に行われた日本相撲協会の地方巡業「大相撲熊谷場所」の協賛会社となった。観客は主催者発表で約3,500人。
当日は、幕内力士の土俵入り・横綱土俵入りのあと、熊谷市長が挨拶したのに続き、同社専務取締役・瀧口裕一氏が「創業以来24年目を迎える当社が地域に貢献したいという思いがかなえられて大変うれしい」と挨拶した。
塙社長(右)と瀧口専務
◇ ◆ ◇
大相撲の地方巡業は、年6場所行われる本場所のほかに春夏秋冬に分かれて全国で行われるもので、年間20カ所以上に上る(今年度は25カ所)。開催地は決まっているわけではないが、伊勢神宮と靖国神社の奉納相撲だけは毎年行われる。
日本相撲協会のホームページには、巡業について「親方や力士など大相撲一行、約250名は前日に巡業地に乗り込みます。その時には10日前から現地入りした先発した親方が勧進元(主催者)と会場の土俵や宿泊などの受け入れ体制を整えております」とある。現在、力士は約700人だそうだから、全力士が参加するわけではないようだ。
それにしても日程はかなりハードだ。10月の秋巡業はこの日の熊谷を筆頭に横浜-土浦-浜松-金沢-綾部-丸亀-出雲-広島-松山へと10月だけで11カ所を巡る。9月末にはジャカルタ巡業も行っている。ただ相撲を取るだけでなく、早朝の稽古、握手会、子ども稽古、観客との交流もある。本人はもちろん、体重が成人大人の3~4倍の百数十キロもある大集団が移動するのだから関係者も大変だろう。
横綱白鵬関の土俵入り
旭化成ホームズが新規事業 卓上水耕栽培「VEGEUNI(ベジユニ)」発売
「VEGEUNI(ベジユニ)」
旭化成ホームズは10月16日、家庭内のどこでも野菜やハーブを育てることができる卓上水耕栽培キット「VEGEUNI(ベジユニ)」を10月21日(月)から発売すると発表した。
2011年に立ち上げた新規事業推進本部「住・くらしプロジェクト」が開発を進めてきたもので、「外構ゾーン」「在宅医療ゾーン」「緑育ゾーン」の3つのゾーンの中の「緑育ゾーン」から生まれたもの。これまでにもある「水耕栽培装置」は実験装置のようなもので、室内に置くには大きいとか価格が高いなどの難点があることに着目、ハウスメーカーらしい「くらし」を提案するためにインテリア性があり、家族のコミュニケーションにもつながる今回の商品開発となった。
土を使わずにハーブを手軽に育てられるLEDライト付水耕栽培キットで、コンセントのある所なら部屋のどこでも置くことができ、世話は週1回培養液を替えるだけで約6週目には収穫することができる。「東京インターナショナルギフトショー2013」の新製品コンテストで準大賞を受賞している。
販売はインターネット公式サイト(http://www.vegeuni-shop.com/)を通じて行うほか、総合オンラインストアのAmazon.co.jp(アマゾン)なども利用できるようにする。
本体(W=336mm、D=150mm、H=336mm)のほか、種2袋(バジル・ルッコラ)、培地6個、養液パック10袋、ACアダプター付きで価格は20,000円。初年度の売り上げ目標は10,000個(2億円)。
◇ ◆ ◇
似たような商品では、昨年5月、柏の葉キャンパスシティ内で三井不動産、千葉大学、パナソニック、みらいが共同で開発を進めている「食物工場」を取材している。旭化成ホームズの商品より大掛かりな装置で、価格は発表されなかったが家電商品並みと聞いた。
今回の商品は安価だし、ギフト商品として受けるかもしれない。戸建てだけでなく、マンションや賃貸居住者向けにもいい。
観賞用植物といえば、サントリーミドリエもある。2009年に設立された会社で、壁掛けタイプだが、土を使用しないので壁への負荷も少なく手入れも簡単なのが特徴だ。昨年度の売上高は3.5億円。露出度も増えている。
住友林業 国交省「平成25年度 木造建築技術先導事業」に採択
「スパビレッジ・ホリカワ~ほりかわ癒しの湯~」完成予想図
住友林業は10月7日、国土交通省の「平成25年度 木造建築技術先導事業」に同社が設計・施工を行うプロジェクト「スパビレッジ・ホリカワ~ほりかわ癒しの湯~」が採択されたと発表した。
「スパビレッジ・ホリカワ~ほりかわ癒しの湯~」は、医療法人社団堀川会が福岡県久留米市に建設する延床面積約5,200㎡の住宅型有料老人ホーム(94室)+デイサービスセンター(50人)。
①木造軸組構法3階建て耐火構造建築物の東棟1 階のデイサービス部分の上階にある2・3 階戸境壁に階高分の平行弦トラスを採用することで、14mの無柱・無壁の大空間を実現②独自に開発した薄型で軽量化された耐火構造外壁を使用することで、耐火構造外壁の軽量化・簡素化を実現③鹿島建設が大臣認定を取得した耐火集成材「FRウッド」を用いることで構造材現し(あらわし)の内部空間を実現-したのが高く評価された。
木造建築技術先導事業は、低炭素社会の実現に貢献する構造・防火面で先導的な設計・施工技術が導入される大規模木造建築物の建設に対しその費用の一部が補助するもので、建築物の木造化の普及を促す事業。
今年度の木造建築技術先導事業には、基礎免震の上に1~3階をSRC、4~7階を耐火木造とした国内初の免震システムを用いた中層木造耐火建築物の高知県自治会館、構造躯体を100%町産材を活用した国内最大級の木造庁舎となる岩手県・紫波町新庁舎など6プロジェクトが採択されている。同社は2010 年度、2012 年度に続き5 件目の採択。