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最後の屋根の組み立てを行う昭和女子大の学生

 昭和女子大学の学生が8月2日~4日、地震に強く合理的なツーバイフォー工法による実際の建築作業に挑戦した。生活科学部環境デザイン学科中山榮子教授の「枠組壁工法を用いて自分たちの手で建物を建ててみよう」プロジェクトのキャンパス内の実習で、建築を学ぶ2、3年生14人が参加。床の製作(2日)から壁の製作・立ち上げ(3日)、屋根の製作(4日)まで、フレーマーの指導を受けながら3畳大の平屋建てを完成させた。

 女子大学でこのような実習を行うのは初めてで、日本ツーバイフォー建築協会(2×4協会)が建材やフレーマーの手配に協力した。

 同大学では、建設業界を目指す女子学生にとって、工法や技法を学びながら、建築現場を体験する貴重な機会となると企画した。中山教授は「一人も怪我なく無事終了した。楽しそうに作業してくれたのがうれしい。楽しくなければ前に進めない。みんな建築士を目指してほしい」と語った。

 同協会は、ツーバイフォー工法に関心を持ち、工法に関する理解を深めてもらうことを目的にこの種の取り組みを行っている。

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完成した建物

◇       ◆     ◇

 最終日の4日、取材した。作業開始は午前9時30分。朝が弱いのか、連日の作業で疲れ切っているのか、はたまた建築現場ではありえない各人各様の姿であるせいか、元気がないように映った。

 大丈夫かと不安になったが、作業に入ると不安は一掃された。彼女たちは生気がみなぎっていた。フレーマーの指示に従って数人が同時に釘を打つ「カン、カン、カン」の音が周囲を圧した。指導したフレーマーは「初めてにしてはみんなよくできた。100点満点で60点」と合格点を出した。

 午後4時に作業は終了。完成した建物を背景にした記念撮影では笑顔がはじけた。

 作業をやり遂げた学生は「手の皮がむけた」「手に豆ができた」「場所によって釘の長さや間隔がきちっと決められているのを改めて知った」「わが家と違い、柱がないので強度が保たれることがよく分かった」などと話した。

 そのそばを、カラン、コロンと爽やかな下駄の音をさせながら渋谷のイベントに参加するカラフルな浴衣姿の学生が手を振りながらたくさん通り過ぎて行った。

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作業前の準備体操(左)と組み立て方法を教えるフレーマー

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釘打ち作業

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キャンパス内の「昭和の泉」

「女性のほうがコミュニケーション能力高い」 「じゅうたく小町」参加者の声(2017/5/31)

“女性だからこそ”安心・安全の居住環境づくりを 女性建築士が全国大会(2015/3/2)

 

 

カテゴリ: 2017年度

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「Intelligent Logisticsの実現に向けた大和ハウス工業の取り組み」セミナー(同社東京本店大ホールで)

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浦川氏

 大和ハウス工業は8月3日、物流業務の効率化および有効活用、今後の物流戦略について課題をお持ちの企業向けに「Intelligent Logisticsの実現に向けた大和ハウス工業の取り組み」と題するセミナーを開催。約300名が参加した。

 同社取締役常務執行役員 建築事業担当・浦川竜哉氏がIoTを活用したマルチテナント型物流センターDプロジェクト流山を紹介したほか、フレームワークス代表取締役社長・秋葉淳一氏、GROUND代表取締役社長・宮田啓友氏、Hacobu代表取締役・佐々木太郎氏、アッカ・インターナショナル 代表取締役社長・加藤大和氏がそれぞれ物流センターの高度化、物流ロボット活用、物流ソリューションの未来像などについて語った。

◇       ◆     ◇

 先日、三井不動産が行ったロジスティクス事業に関する記者発表会に大勢のメディア関係者が詰めかけた。今回は企業向けセミナーではあったが、用意された約300席はほぼ満席。関心の高さに驚いた。

 浦川氏が紹介したDプロジェクト流山は、Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ全体で約20万坪、総延床面積は約30万坪にのぼる規模。そのうち4階建て延床面積約45,000坪のⅠは来年2月に竣工する。物流タウンの実現を目指す。

三井不動産 ロジスティクス事業拡大28棟、延床240万㎡、投資額4,000億円に(2017/7/20)

 

 

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 「4人家族が幸せに暮らす住宅の広さは89㎡」-こんなアンケート調査結果を不動産情報サービスのアットホームが7月31日、まとめ発表した。

 首都圏で暮らす夫婦二人と子ども二人の4人家族628 名を対象に行ったもので、「4人家族が幸せに暮らす」には、少なくとも89㎡必要との回答があった。もっとも多かったのは「80~100㎡未満」で28.9%、以下、「100~120㎡未満」22.1%、「60~80㎡未満」21.6%だった。「120㎡以上」も全体で13.7%を占めた。間取りは4LDKが40.8%ともっとも多く、3LDKLが次いで33.6%だった。

 リビングの広さについては、10畳大~15畳大と答えた人が47.8%。「駅徒歩の限界」平均は18.4分、「通勤時間の限界」平均は57.1分、「年収」平均は882.5万円、「子供との会話時間」平均は68.7分、「夫婦の会話時間」平均は53.8分だった。

 「父親がやるべき家事」1位は「ゴミ出し」、「母親がやるべき家事」1位は「料理」、「子供がやるべき家事」1位は「食器を流しに運ぶ」だった。

 「必要最小限の設備・仕様」では、トップが「独立したバス・トイレ」の89.3%、以下「エアコン」87.4%、「インターネット回線」79.5%、「追い炊き機能付きバス」70.1%、「2口以上のコンロ」69.3%、「駐車場」68.9%、「モニター付きインタホン」61.3%など。「食洗機」は32.6%、「床暖房」は31.2%、「オートロック」は29.3%だった。

 「どんな住まいでも愛さえあれば幸せに暮らせる」と回答したのは33.0%で、現在の住まいが4人家族にとって最低限必要な条件を「満たしている」という人は約8割にのぼった。

◇       ◆     ◇

 いつも面白いアンケートを行う同社だが、今回は「幸せに暮らせる」というテーマは非常にいいが、そもそも「幸せ」とは何かを問うものでないので、回答は極めて常識的なラインに落ち着いたような気がする。個人的には100㎡が4人家族の理想の住宅の広さだとずっと考えてきた。

 「愛があれば」が33%にとどまり、現在の住まいが必要最小限の条件を満たしている人が8割に達したのには驚いた。8割の人は本当に「幸せか」、愛はあるのかないのかも聞いてほしかった。

 全体的には、ものすごく保守的で自己肯定的、現状是認型の人が多い世相を反映していると思う。

 出勤の行き帰り、いつも「お前、幸せかい」と声を掛けあっていた野良猫の姿が見えなくなって久しい。

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 東京オリンピック・パラリンピックの選手村の施設がどのようなものになるかについて東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会に問い合わせていた件で、次のような回答がメールで届いた。

 「選手村の宿泊施設は、東京都が施行する市街地再開発事業において民間事業者が整備する住宅棟を一時借用して活用します。

 大会時の選手村用の施設・設備の仕様等の詳細については、セキュリティの観点などからお伝えすることはできません」

 回答には「セキュリティの観点など」と〝など〟がついているのが曲者だ。施設の基本性能、プラン、設備仕様が事前に漏れたところでセキュリティ上の問題が発生するとは思えないが、その他のことを〝など〟とくくればすべて情報は非開示することができるということか。

 ワールドワイドな施設になるのではないかと考えているので、情報が開示されないのは非常に残念だ。

 個人的には、出場選手が自由に壁・クロスなどへサインや落書きができるようにして、それを〝レガシー〟としてそのまま分譲時、あるいは賃貸時に残せば申し込みが殺到する住戸が出てくるのではと思っている。オークションにすれば途方もない値段が付くものも出てくるはずだ。

 大会終了後の改修費として大会組織委員会は500億円を見込んでいるとの報道もされた。一戸当たり約880万円になる勘定だ。これも法外。

◇       ◆     ◇

 記者は、選手村の施設(主に住宅部分)についておおよそ次のような質問をしていた。

1)基本性能はどうなるのか

 工法、階高、天井高、サッシ高、廊下幅、採光・遮音性、環境配慮、ユニバーサルデザインなど

2)プランはどうなるのか

 間取りなど。玄関、トイレ、浴室はどのようなものか、和室はあるのか、ベランダはどのようなものか  

3)設備仕様はどうなるのか

 選手村用とその後、スケルトンにして分譲、あるいは賃貸用の設備仕様は異なると思いますが、そのまま転用できるものはないのか。選手村としてはトイレ、浴室などはどのようなものを採用されるのか

東京2020オリ・パラ選手村 敷地売却価格は地価公示の10分の1以下の〝怪〟(2016/8/4)

 

 

 

 

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 国土交通省は8月1日、戸建て住宅団地を含む老朽化した住宅団地の建て替えや再生を幅広く論議する「住宅団地の再生のあり方に関する検討会(第2期)」(座長:浅見泰司・東京大学大学院教授)を設け、第1回検討会を行った。

 平成26年度から28年度にわたって行われた「住宅団地の再生のあり方に関する検討会(第1期)」の取りまとめは、土地共有者の組合員算定方法の合理化を盛り込んだ都市再生開発法の改正(平成28年6月)や、建築基準法第86条の一団地認定の職権による取り消しの手続き規定を追加する同法施行規則の改正(同年10月)につながった。

 今回は、制度見直しを活用した新たな再生手法を整理しガイドラインを定めるほか、敷地売却の仕組みを活用した団地型マンションの再生のあり方、戸建て団地の再生・活性化などを論議する。平成30年度までに中間報告をまとめる予定。

 会の冒頭、同省住宅局長・伊藤明子氏は「第1期取りまとめが円滑に動くように、さらに戸建て住宅団地の再生にもつなげる、幅広く深い論議を行っていただきたい」などと話した。

◇       ◆     ◇

 確か大月敏雄委員(東京大学大学院教授)だったと思うが、「戸建て団地とは何ぞや」という質問が飛んだ。これに対して同省市街地建築課市街地住宅整備室企画専門官・佐々木雅也氏は「団地の定義から考えていただきたい」と答えた。

 記者もこの問題に以前から悩んでいる。昔は平気で「マンション団地」「戸建て団地」と呼んでいた。しかし、最近は「団地」なるフレーズをほとんど使わない。あるハウスメーカーから「牧田さん、戸建て団地はやめてくれないか。なんだか古臭いイメージだから」と言われたこともある。

 読者の皆さんは「団地」という単語にどのようなイメージを描かれるか。おそらく十人十色だろう。

 広辞苑(第六版)を当たってみた。「団地」とは「住宅・工場などが計画的に集団をなして建っている土地」とある。また「団地サイズ」では、「公団住宅など狭い室内に合わせた、一般よりも狭い畳・家具など」とある。

 「団地サイズ」の住宅が供給されたのは昭和30年代以降だから、発刊当初の広辞苑には載っていなかったのではと考え岩波書店に問い合わせた。同書店によると「団地サイズ」が掲載されたのは1991年11月の第四版からだという。つまりバブルがはじけた後だ。確かにこの頃には「団地サイズ」は〝狭い〟という認識が浸透していた。昭和30年代に建設された公団住宅の建て替えが決定されたのは昭和61年だ。

 公団住宅が庶民のあこがれの的であった時代の「団地妻」は「新妻」と同義語として理解されていたはずだ。1961年には「大和団地」(現大和ハウス工業)が設立されている。その大和団地は「ネオポリス」というブランドで戸建てやマンションを分譲した。同社は2001年に大和ハウス工業に吸収された。

 これらからすると、「団地」が新しいイメージでとらえられていたのはせいぜい30年間くらいだ。民間が「経年優化」「経年美化」の街づくりをしているのと対照的だ。世の「妻」だって30年で〝古い〟と評価されたら起こるだろう。

 昭和25年に制定された建築基準法はどうか。同法には「団地」の定義はないが、「一団地」という単語が12カ所ある。また、1919年に公布された「市街地建築物法」にも「一団地」の文言があるように、大正時代には「一団地」という言葉はあった。しかし、これは「一団の土地」と解するのが妥当のようで、「団地」なる言葉はいつ生まれたのか判然としない。興味のある方は調べていただきたい。

 さて、最初に戻る。少なくとも「団地」の言葉は一般名詞として存在はするが、どのようなものかをはっきり示す「定義」はないということになる。国会でも論議された「集団」とは何ぞやという問題にも突き当たる。

もうこれ以上深入りしない。同省や検討会の委員の方々が鳩首凝議しても結論は出ないのではないか。

◇       ◆     ◇

 櫻井敬子委員(学習院大学教授)がまたまた辛辣な問題提起をされた。〝またまた〟と書くのは、以前、櫻井氏は「建築基準法は窮屈」と同省の会合で発言されたのを記事にしているからだ。今回もまた「建築基準法はきつい規制が多すぎる。実態とあっていない」「全員合意のドグマを何とかしないといけない」「区分所有法はロートル化している」「(管理組合について)民主主義が機能していない」などと発言された。

 同感だ。いっそ櫻井氏を座長に建築基準法や区分所有法を根本から考え直す会を設けてはどうか。建基法や区分所有法が時代遅れであることはみんなわかっていることではないか。わが国の都市計画は、土地所有権の絶対的排他的権利が強い割に細かな規制が多すぎる。理念と実態が釣り合っていないと思う。

全国276団体が参加する「住宅団地再生連絡会議」設立 国土交通省(2017/1/31)

厚くて高い法の壁 合意形成の難問も立ちはだかる 国交省「団地再生あり方検討会」(2015/3/18)

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賃貸・有料老人ホーム複合施設 完成予想図

 長谷工グループは7月28日、「住」「商」「育」の複合開発「北区王子5丁目プロジェクト」のエリア内で開発を進めている賃貸マンションと介護付有料老人ホームの複合施設を2018年春に開設すると発表した。

 同施設は、JR京浜東北線東十条駅から徒歩6分に位置する敷地面積約5,900㎡。賃貸マンション「ブランシエスタ王子」(120戸)と介護付有料老人ホーム「センチュリーシティ王子」(90室)からなる複合施設。敷地内にはテラスガーデンやコミュニティガーデン、パーティルームなどの多彩な共用部を配し、子ども・大人・高齢者など多世代の居住者が交流できる場を備えている。

 「北区王子5丁目プロジェクト」は、日本製紙王子倉庫跡地を中心とする開発面積約43,000㎡。同施設のほか分譲マンション「ザ・ガーデンズ東京王子」(864戸)・商業施設・保育施設からなる複合開発。マンションは圧倒的な人気を呼んでいる。

「ザ・ガーデンズ東京王子」販売好調(2016/9/18)

「ザ・ガーデンズ東京王子」(864戸)は坪260万円台(2016/7/8)

 

 

 

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「第18回ジャーブネット全国大会&シンポジウム」(ホテルイースト21東京で)

 全国の工務店・ビルダーが加盟する日本最大級の工務店ネットワーク「ジャーブネット」(主宰:宮沢俊哉・アキュラホーム社長)は7月24日、「第18回ジャーブネット全国大会&シンポジウム」を開催した。約800名が参加した。

 宮沢主宰は2016年度の総括として、会員数は249社、受注棟数は6,006棟(アキュラホーム含む)、1社平均棟数は21.9棟(アキュラホーム除く)、累計棟数は129,429棟だったことを報告。

 2017年度は「日本一の豊かな暮らしをデザインする、オンリーワンの集団へ」を基本方針に掲げ、学会、行政、住まい手、匠などと垣根を超えた連携を強化し、「スマートアライアンスビルダー ~賢いホームビルダー連携~」を目指すと発表した。

 シンポジウムでは、芦原太郎建築事務所所長・芦原太郎氏の基調講演と、伊藤圭子氏(アキュラホーム住生活研究所所長)が司会進行役を務めたパネルディスカッションが行われた。パネラーは芦原氏のほか古川亮太郎氏(フルカワデザインオフィス代表)、 堀木エリ子氏(堀木エリ子&アソシエイツ代表)、井草健二氏(アキュラホーム常務)。各氏が「豊かな暮らしとは何か」を語りあった。

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宮沢氏

◇       ◆     ◇

 全国大会はこれまで数回取材している。当初は会員数や受注棟数を追う大会だったが、ここ数年は「永代家守り・暮らし守り・まち守り」という高い理念を掲げ、デザインに力を注ぐなどより質の高いレベルを目指す大会へ進化している。

 その取り組みを象徴するのがパネルディスカッションだった。テーマは「人をつなぐ、豊かな住まいと暮らしを創る」-この難しい本質的な問題に各コメンテーターが挑戦した。

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パネルディスカッション

 ここでは詳細について触れられないが、各氏が語った印象的なフレーズを順不同で紹介する。

伊藤氏 かつて住まい手は美しいものを評価する芸術家だった。住む人の想像力を大事にすることが肝心

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古川氏 豊かな住まい、暮らしは人さまざま無限にあるが、自然に近い暮らしは普遍的な要素になる。草木をどう取り込むかに取り組んでいる(吉川氏はアキュラホームの若葉台プロジェクトに参画している)

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堀木氏 人間も自然の一部。紙は神に通じる。〝美しい〟と感じる背景には日本人の精神性、美学、技がある(会場には堀木氏の大きな亀甲をデザインした光壁が展示されていた)

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芦原氏 自然とともにある、人とともにあるとホッとする。イタリアの村はこれが機能している(芦原氏は基調講演で父・芦原義信氏が戦後渋谷区に15坪の家を建て、その後、自宅に露天風呂を掘ったことなどを話した。アキュラホームは芦原氏が設計したモデルハウスを馬込に建設する)

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井草氏 若葉台のプロジェクトではハード、ソフト両面でコミュニティを育てる仕掛けを施す(若葉台プロジェクトは、京王線若葉台駅から徒歩17分の全50棟の戸建て分譲。内と外をつなぐ「U」スペースが特徴になる模様)

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◇       ◆     ◇

 記者は三重県出身なので、各賞にどこが受賞するか楽しみにしているが、今年も森大建地産が顧客満足度優秀賞を受賞した。同賞は、受注棟数20棟以上で、OB紹介率50%以上が選考基準。同社は毎年のようにクリアしている。森秀樹社長は「今後も地域守りに貢献していく」と語った。

 受注12棟以上で営業人員に対する受注棟数の割合が高い企業を顕彰する全国営業優秀賞(営業人員4名以下の部門)で最優秀賞を受賞した東京都の小林建設・小林伸一社長は「今年度はすでに前年度受注39棟の半分を受注しているが、当社は40棟以上を受注しないことにしている。これを超えるとお客様をフォローできない」と話した。

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森氏(左)と小林氏

◇       ◆     ◇

 宮沢主宰は全国大会で、「私はあと7年で主宰も当社の社長も退く。後任に任せる」と話した。

 びっくりしたので同社広報に確認したところ、宮沢氏は社内外でそう話しており、周知の事実だそうだ。

 宮沢氏は現在58歳。65歳で社長交代を考えているようだが、その考えを支持したい。軸足を業界全体に移し、「豊かな暮らしをデザインする」社会的なテーマに取り組んでいただきたい。

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会場のイベント・展示など

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 大和ハウス工業の賃貸について記事を書いたあと、「独身でマンションを買うと結婚できない」は本当? 」と大書きされたタイトルのニュース・リリースが飛び込んできた。

 不動産関連の比較査定サイト「スマイスター(https://www.sumaistar.com)」を運営するシースタイルによるもので、20代以上の全国1,280人を対象に「“独身で住宅を購入すると結婚できない”という噂」について調査を行ったとある。

 そんな噂があることすら記者は全く知らなかったので、驚いてリリースを読んだ。

 結論から言えば「この噂は迷信であることがわかりました」とある。噂については「そう思う」5.9%、「ややそう思う」12.6%、「ややそう思わない」10.8%、「そう思わない」70.8%となった。

 当然の結果だ。男性も女性も、住宅を購入する動機は、同社の調査結果でも1 位は「老後を考えて」32.9%となっており、2位は「自分の城を持ちたかった」24.5%、以下「通勤や移動に便利な所に住みたかった」15.1%、「金利が安く買い時と思った」14.2%、「一人暮らしを満喫したかった」10.4%、「結婚を意識した恋人がいた」9.4%、「投資目的」8.5%などだ。

 同社の調査で面白いというか滅入りそうな気持になったのは、独身時に住宅を購入したと回答した人の購入時の年齢が「25歳未満」21.7%、「25~30歳未満」19.8%と41.5%が30歳未満で購入していることだ。親がかりであるかどうかは不明。

 若年層が将来に不安を抱いているということは厚労省などの調査でも明らかになっているが、将来に夢が持てない社会を何とかしないといけない。

 ついでだが、面白いのは独身者の住宅購入動機として「結婚をあきらめた」男性は2.8%いるのに、女性はゼロだったことだ。これも当たり前。独身女性がマンションを購入するケースが目立ってきたころ取材したことがあるが、女性は結婚をあきらめて住宅を購入する人などほとんどいないことを知った。女性はしたたかに生きている。

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「ロイジェントパークス四ツ谷」

 大和ハウス工業が「第6回 業界動向勉強会」を開催し、賃貸住宅事業について同社取締役専務執行役員・堀福次郎氏が講話したことを紹介し、その関連として新浦安のホテルついて書いた。今回は、その本題について書く。

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堀氏

◇            ◆     ◇

 わが国の住宅着工はここ数年、政府の景気刺激策、震災後の住宅再建、消費増税前の駆け込み、相続対策などの要因により意外と健闘しているが、人口・世帯減少が加速度的に進むことを考えれば賃貸市場が縮小するのは誰が考えても同じだ。堀専務も同じだ。

 「当社の2017年度の賃貸事業売上高はセグメント別で初めて1兆円を超える見通しで、売上高の85%は2階建て、3階建てだ。しかし、将来的には現商品のほかの改良商品、新商品、関連市場、新市場分野を伸ばし、現商品とその他の商品比率を50:50にしなければならない」とマトリックスを示しながら説明した。

 その通りだと思う。堀専務が伸ばしたい分野として例示したのは家具家電付き賃貸、外国人向けサービスアパートメント、シェアハウス、新築民泊、外国人留学生向け宿舎、サ高住、アパートメントホテルなど30近い事業を挙げた。

 堀氏が「ガラパゴス」と語ったように、従来型のレベルの低い利回り優先の賃貸事業は完全に曲がり角に来ている。(レベルが低いからこそ分譲が伸びる)

 同社が現商品の改良型として挙げたのが「S&SW仕様」の賃貸だ。女性向けにホームセキュリティシステムを標準装備とし、ワイドな洗面化粧台、1616サイズのバス、10%以上の収納率確保、女性に好まれるデザインなどを採用して飛躍的に伸ばしたのだそうだ。(わが家のかみさんが「ダイワハウスの賃貸はいいわよ」と絶賛していたが、記者は見たことがない)

 もう一つ、紹介したのが家具家電付き賃貸住宅だ。報道陣に公開した「ロイジェントパークス四ツ谷」だ。四谷三丁目駅から徒歩4分の14階建て全91戸。専用面積は約25~40㎡。賃料は15~20万円。家具、テレビ、冷蔵庫、洗濯機、照明、炊飯器、ポットなどがついており、オプションで寝具や食器類も借りられる。キャスター付きトランク一つで引っ越しができるものだ。男性を中心に契約・申し込みが10件あり、1棟売りとしての話もあるようだ。

 立地条件からして分譲マンションにしたら坪単価は最低450万円だろう。グロスで3,400万円以上だ。投資用ならともかく、25㎡で3,400万円の分譲マンションが早期に売れるかどうかは疑問だ。リスクが大きすぎる。賃貸にしたのは正解だろうと思った。一等売りにすれば一定の利回りも確保できるはずだ。

 勉強会では、堀氏は全827戸の「パシフィックロイヤルコートみなとみらい」の100戸分を外国人居住向けに七面鳥が焼けるオーブンを採用したりしてプランを設定したのが大正解であったことも話した。

 企画段階で「私は面の皮が厚いので聞き流したが、827戸の賃貸などありえないなどと侃侃諤諤、喧喧囂囂の論議があった。企画はヒットしたが、こんなに外国人居住が増えるとは夢にも思わなかった」と語った。現在、827世帯のうち350世帯が外国人居住だという。

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「ロイジェントパークス四ツ谷」の室内(左にテレビ、天井には室内干しポールもあった)

◇       ◆     ◇

 堀専務の話は面白いと前回書いた。ものを見る目が人とは違うからだと思う。漫然と日々生起する出来事を眺めていては問題点など浮かばない。不動産業に限らずあらゆるビジネスはソリューションだ。「わが国の賃貸業はガラパゴス」という視点が新しい発想を生み出すのだろう。

 裏を返せば、圧倒的多数派を形成する賃貸の守旧派の存在が同社の賃貸を伸ばしている要因だ。堀氏は一方で守旧派を応援しているのではないか。記者もそうだ。時代遅れの賃貸が続く限り分譲市場は縮小はするけれども事業として継続できると考えている。

大和ハウス ファミリー向け「ラ・ジェント・ホテル 東京ベイ」ヒット 稼働率80%超(2017/7/25)

 

 

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「ラ・ジェント・ホテル 東京ベイ」

 大和ハウス工業は7月25日、第6回 業界動向勉強会を開催した。今回のテーマは「賃貸住宅事業篇」で同社取締役専務執行役員・堀福次郎氏がわが国の賃貸住宅を取り巻く環境や今後の動向、同社の展開などについて1時間30分くらい話した後、完成したばかりの賃貸マンション「ロイジェントパークス四ツ谷」の見学会を行った。

 本題の賃貸事業については稿を改める。その前に「ラ・ジェント・ホテル 東京ベイ」を紹介する。

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堀氏

◇       ◆     ◇

 記者は賃貸住宅に詳しくないが、堀専務が講話されるというので参加した。堀氏の話はとにかく面白いのだ。この日も「わが国の賃貸はガラパゴス。欧米ではキャスター付きのトランク一つで引っ越しができる」など冗談とも本音ともとれるフレーズがたくさん飛び出した。

 その一つ、「ラ・ジェント・ホテル 東京ベイ」について触れたい。このホテルの開業について同社は昨年12月22日付でニュース・リリースを発表しているので旧聞なのかもしれない。記者が知らなかっただけだ。

 同ホテルは、JR京葉線新浦安駅から車で約10分の鉄骨造3階建て全291室。ツインベッドと2段ベッドを備えた4ベッドルームタイプを中心に、広さは約21~44㎡。ルームチャージは約12,000円から。レストランはないが、宿泊客には朝食として千葉の名物駅弁・万葉軒の「カツサンド」と「そぼろご飯」が配布されるのだそうだ。

 いかに宿泊特化型とはいえ、最寄り駅から車で10分もするホテルなど常識では考えられないが、堀専務は「子ども連れの家族が中心なので、金曜・土曜は満室だが、日曜から木曜は50%くらい。平均すると稼働率は80%を超える」と話した。ルームチャージが12,000円なら一人当たり3,000円だ。圧倒的な安さが人気を博しているというのもよくわかる。

 それを可能にしたのはディズニーの存在であることは素人でも予測できる。田舎から家族連れでディズニーに行く話は記者もよく聞くが、4人家族だと20~30万円はかかる。

 このファミリー向けの宿泊特化型〝アパートメントホテル〟事業を都心で展開しようとしているのが同社グループのコスモスイニシアだ。

 1室40㎡くらいで、すでに10カ所で合計474室の建築を進めており、将来的には1,500室を目指すという。

 堀専務は高尾山の話もした。都心から1時間くらいで自然に近い形でサルを見ることができるのが欧米人に受けているというのだ。欧米にはサルはいないそうだ。

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客室

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勉強会で参加者に配られた同じ゛駅弁が宿泊者に配布されるのだそうだ

「わが国の賃貸業はガラパゴス」 大和ハウス・堀専務 賃貸が伸びる理由を聞いた(2017/7/25)

 

 

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