百花繚乱 花も衣装も言葉も音楽も美しい 「第3回日中韓 生け花藝術交流会」
「第3回日中韓 生け花藝術交流会」(虎ノ門・中国文化センターで)
左から久米信廣さん、戸思社さん、金英愛さん
NPO法人RBAインターナショナルが主催し、中国人民対外友好協会、韓中文化経済友好協会、中国文化センターが共催した「第3回日中韓 生け花藝術交流会」が6月15日(木)~16日(金)、東京・虎ノ門の中国文化センターで外務省 日中韓三国協力事務局の後援を得て開かれ、日中韓それぞれの華道家による創作生け花約35点が展示された。
「生け花藝術交流会」は2015年、日中韓3か国の伝統的文化である生け花を通じて、各国のとくに若者たちに民間レベルでの友好の心を育み、相互理解を深めてもらおうとRBAインターナショナルが企画し発足。同年7月に第1回が中国人民対外友好協会の主催により中国・北京で、第2回が昨年4月に韓中文化経済友好協会の主催により韓国・ソウルでそれぞれ開催された。
オープンセレモニーでは、主催者を代表してRBAインターナショナル理事長・久米信廣さんが「花という藝術を通じ、他の人たちとつながり、分かち合える場をつくるために活動しています。今回の東京開催が自分を知り、他者を知るきっかけになることを祈念します」と歓迎の挨拶をした。
これに応え、中国人民対外友好協会副会長・戸思社さんが「ここ数年、中日の関係は多少困難があったが、最近は相互交流を含めていい変化の兆しがみられる。相互協力を拡大させていくことで合意も見られた。生け花は三国の間で多くの愛好者を持っている。より一層良好な関係が築けるよう期待している」と話した。
同協会会長・李小林さんは「中日韓三か国の生け花交流は長い歴史があります。三か国の生け花藝術は共通の東洋文化の特徴を持ちながら、各国は独自の民族風格を備えています。伝統の民族文化芸術を継続して発展させるためには、絶えず他の民族文化の栄養を吸収し、時代と共に前進し、創意工夫しなければならないと思います」とメッセージを寄せた。
また、韓中文化経済友好協会会長・金英愛さんは「藝術交流はお互いの文化、人文交流の幅を広げるプラットフォームとなり、立派な民間公共外交の場です。私たちはすでに生け花藝術交流会を通じて東アジア3国の緊密なつながりの強化と友好増進に大きく貢献していることを確認しました」と祝辞を述べた。
引き続いて行われた生け花実演では、北京大学古琴教師・馬麗亜さんの古琴演奏の中、日本は月輪未生流参与・久米富美宗さんと未生流笹岡師範・陣原康甫さん、中国は中国生け花協会副秘書長・王绥枝さんと北京市花木有限公司市場部部長・劉健鋒さん、韓国は韓国生け花協会ソダム花芸術中央会会長・韓相淑さんとポタニクギャラリー代表・金玎姬さんがそれぞれ解説入りで作品を披露した。また、中国楹聯学会名誉理事・馬孟傑さんが日中国交正常化45 周年記念パフォーマンスとして書道を披露した。
生け花展示では、三井不動産の華道部の皆さんの作品も展示されたほか、埼玉県立浦和西高校華道部の生徒さんが参加。芸術家の指導を得ながら花を生けた。
中華人民共和国駐日本国大使館 広報部 参事官・張梅さん
左から・劉健鋒さん、久米富美宗さん、金玎姬さん
左から韓相淑さん、王绥枝さん、陣原康甫さん
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記者は、道端に咲く草花を摘んではコップに生け、油絵も描くので生き方も含めて美醜を見定める力が少しはあると思うが、会場に入った途端、甘い花の香りと各国の民族衣装にまとった華やかな姿に圧倒され、感嘆の声を上げるほかなかった。御託を並べるよりまずは皆さんの作品を一挙紹介する。とくとご覧あれ。百花繚乱の言葉がぴったりだ。順不同、敬称略
金玎姬
王 绥枝(左) 劉 健鋒(右)
月輪未生流 師範代 久米和甫(左)久米祥子 陣原康甫
韓国女性経済人協会名誉会長 余奉礼
ミジン韓国生け花藝術研究所代表 金美珍
韓中文化経済友好協会 生け花委員会委員長 朴今子 韓相淑
王 绥枝 劉 健鋒
三井不動産 華道部 草月流 堀口麻理子
同 御手洗博子
同 永島尚美
同 山田美和
月輪未生流 師範 松尾清宗
月輪未生流 師範 竹内 玲宗
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ここに紹介した生け花もさることながら、古琴教師・馬麗亜さんの演奏するわが国の琴とはまた異なる穏やかで流れるような音色と〝杉木〟と呼ばれる黒檀のように黒光りする龍(甲)の古材の見事さに記者は感動した。
辞書で調べたら中国の〝杉木〟は広葉樹で、わが国の杉ではない。馬さんによると300~500年昔の古材だという。古材はわが国でも出土することがあり、床柱などに用いられるが値はつけられないほど価値があるという。
古琴を演奏する馬麗亜さん
もう一つ気が付いたことがある。各国の母語の美しさだ。中国語はあの独特の四声は音楽のようで世界一美しいと記者は思うが、金英愛さんが語った韓国語は実に穏やかで美しかった。もちろん日本語も美しい。
参考までに当日生け花の材料になった主な花木を紹介する。
ドーダンツツジ/ブルーベリー/レンギョウ/バラ/カスミソウ/アジサイ/カラー/ジンジャー/ラベンダー/ダリア/カーネーション/ヒバ/ヒマワリ/ケイトウ/ストレリチア/リンドウ/クレマチス/フサスグリ/リョウブ/シャクヤク/クチナシ/ランルイ/デンファレ/ガーベラ/デルフィニウム/サンゴパイン/ベロニカ/ヒペリカム/アンスリウム/アマドコロ/クチナシ/カサブランカほか
・馬孟傑さん
「わたしの母です。89歳です」久米富美宗さん(左)と久米信廣さん
大和ハウス 八王子・高尾駅の大規模商業施設「イーアス高尾」開業
「iiasu(イーアス)高尾」
大和ハウス工業は6月22日、東京都八王子市の大規模複合商業施設「iiasu(イーアス)高尾」を開業する。
「イーアス高尾」は、「ちょうどいいが、心地いい」をコンセプトにした子育てファミリーからアクティブシニアまで利用できる地域密着型ショッピングセンターとして開発。約64,000㎡の敷地に核テナント5店舗、モール専門店115店舗の合計120店舗と、1,840台の駐車場と759台の駐輪場を備える八王子市最大級の施設。
施設は、高尾駅から徒歩6分、鉄骨造3階建て延べ床面積約49,000㎡。年間売り上げ目標は220億円、来場目標は年間1,000万人。
施設の開業を前に分譲した住・商一体のマンション「プレミスト高尾サクラシティ」416戸はわずか16カ月で完売している。
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年間売り上げ目標と年間来場目標の高さに驚いた。わが街・多摩センターには、接地型と高層の差はあるが、立地も規模もよく似ている7階建て延べ床面積約62,000㎡の大規模商業施設「ココリア多摩センター」がある。2011年にオープンした当初の売上高見込みは約130億円で、来客数見込みは約700万人だった。いまどれくらいの数字なのか、運営する新都市センター開発に問い合わせたが「公表していない」とのことだった。間違いなく当初の数字より下回っているはずだ。
仮にここでマンションを分譲すれば坪単価は250~260万円くらいになり、高尾の190万円(いずれも予想)に圧勝するのに、店舗売り上げも来場者数も完敗とは情けない。
いま、多摩センター駅圏では元「わんにゃんワールド多摩」の跡地で長谷工コーポレーションが創業80周年事業として4階建て延べ床面積約8,800㎡の「長谷工テクニカルセンター」を建設中だ。同社のものづくりが学べる「(仮称)長谷工ミュージアム」も新設されるが、いったいどれくらいの賑わいを創出してくれるのか。市は業務用用途を変更してマンションその他の施設も建てられるようにすべきだった。
大和ハウス・イニシア 「プレミスト高尾サクラシティ」全416戸を16カ月で完売(2016/11/1)
細田工務店 中古の買取再販に参入 新築を含めた再販業が乱戦模様に
細田工務店は6月19日、グループ会社「親和ファイナンス株式会社」の社名を「株式会社細田ライフクリエイション」に変更するとともに定款を変更し、中古住宅の不動産仲介業、買取再販を軸に事業展開すると発表した。
事業エリアは杉並を中心に23区、都下とし、他社施工の中古マンションを買取り、リノベーションを行い販売する。
細田ライフクリエイションは、所在地:杉並区阿佐谷南三丁目35番21号、代表者は小林和昭社長、資本金は9,000万円。
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中古マンションの買取再販戸数は業界トップのインテリックスが1,393件となっているほか、リフォーム産業新聞の調査によればフジ住宅、大京グループ、トータルエステート、イーグランド、リプライス、エフ・ジェー・ネクスト、長谷工リアルエステート、スター・マイカが500戸以上を販売している。また、新築の買取再販を行っている会社も相当数に上るとみられており、買取再販の実態については分からない部分も多い。
平成25年6月に公表された国土交通省「中古住宅の流通促進・活用に関する研究会報告書」でも「買取再販事業については、我が国において潜在的な市場規模は相当程度あると思われる。また、消費者にとって、適切なリフォームのノウハウを有する事業者が自ら販売することは、中古住宅の質に対して一定の安心感を与えるものであり、中古住宅流通市場活性化の起爆剤となる可能性がある」と、「起爆剤となる可能性がある」としながらもその実態については明らかにしていない。
一方で、既存住宅の流通を促進するために買取再販で扱われる住宅の取得に係る不動産取得税の特例措置が平成27年に創設され、建物状況調査(インスペクション)の活用などを盛り込んだ宅地建物取引業法の一部が平成28年6月に改正され、インスペクションに関する規定は平成30年4月から施行されることになっている。
住宅リフォーム市場規模は平成23年の約6.5兆円から2020年には20兆円に伸びるとされており、参入障壁の低い成長分野である新築・既存住宅の買取再販業は乱戦模様の様相を呈してきた。「適切なリフォーム」とはいったいどのようなものかも問題となりそうだ。
「過去最高水準の2×4住宅はまだまだ伸びる余地ある」2×4協会・市川会長
市川氏
日本ツーバイフォー建築協会は6月15日、平成29年度定時総会後の懇親会を行った。
市川俊英会長(三井ホーム社長)は、平成28年度の2×4工法による建築物は前年比7.1%増の約12.3万戸となり、住宅着工に占める割合も0.2ポイント増の12.7%となり、いずれも過去最高水準に達したことを受けて、「いい結果になった。今年度はまだまだ伸びる余地がある。熊本地震の例でも2×4工法の住宅の半壊・全壊がゼロだったことからも高い耐震性が証明された。新築からストックの時代になり、流通も増加するが、2×4工法は精緻な基準で建てられており、資産性も流通性も高いことを発信していきたい」などと語った。
来賓として登壇した国土交通省住宅局長・由木文彦氏は、28年度の着工戸数が97.4万戸となり、4月の着工戸数から今年度は100万戸の水準で推移していることから、「8%の消費増税のときの反動減は解消されつつある。2×4住宅が伸びていることは結構なことで、国土交通省としても木造住宅の推進に積極的に取り組んでいく。国産材の使用やCLTの普及、中・大規模建築物の拡大を目指す必要がある。木材が使われることは喜ばしいことで支持していく」と語った。
由木氏
2×4協会 懇親会(都市センターホテルで)
大京穴吹不動産 「店舗間IT接客」メディア向けにデモンストレーション
「店舗間IT接客」デモンストレーション(左が対応車、右が相談者の設定)
大京グループで不動産流通事業を展開する大京穴吹不動産は6月16日、先に発表した「店舗間IT接客」のデモンストレーションを報道陣向けに行った。
「店舗間IT接客」は、同社の店舗・営業所からモニターを通じて現地担当者と遠隔地の不動産売買・賃貸の相談などができるもので、6月1日から導入している。今年10月から賃貸物件に限りIT重説が本格運用となるのに応えるもの。同社の全30都道府県71店舗で利用できる。予約制で、当面は賃貸に限定する。
同社は現在、8,000戸強の仲介扱い件数があり、首都圏顧客の売り依頼物件のうち約12%が遠隔地で、購入依頼も約7%あるという。沖縄の物件などは約50%が首都圏の購入者だという。
そうした顧客ニーズに対応するもので、月間約30件の相談を見込む。今後はグループの新築・中古の売買、リフォーム、インテリアのほか、税理士、介護、FP、ソフトサービスにも拡大していく。
この日は、同社スタッフが相談者になり、WEB会議システムを利用して同社大阪中央店、税理士、大京リフォーム・デザイン事務所とそれぞれ大阪の物件の売却、相続物件の相談、リフォーム済みの室内の模様などをリアルタイムで画面に映し出した。
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この種の対応を行っているのは、同社によるとアパマンくらいしかないのにやや驚いた。地方の相続物件や所有リゾートマンションの売却などは売却しても足が出たり、仲介業者も手数料収入で賄えない費用が掛かったり難しい問題もあるが、時代は間違いなくIT対応が普通になる。
今回の同社のデモンストレーションはものすごくわかりやすかった。いろいろな用途に利活用できるはずだ。
マンション管理協 女性初の副理事長に石﨑順子氏(大和ライフネクスト社長)選任
マンション管理業協会(管理協)は6月13日、定時総会後の理事会で新しい副理事長に石﨑順子氏(大和ライフネクスト社長)を選任した。
石﨑氏は愛媛県出身。1960年4月26日生まれ。1983年3月、大阪大学法学部法学科卒業。同年4月、日本リクルートセンター(現リクルートホールディングス)入社。1985年5月、リクルートコスモス(現コスモスイニシア)入社。1999年1月、コスモスライフ(現 大和ライフネクスト)入社。2005年6月、同社取締役、2013年4月、同社常務取締役、2016年10月、同社代表取締役社長(現)。
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同協会の役員数は現在30名。このうち女性は、理事を務める弁護士の篠原みち子氏と石﨑氏のみ。副理事長に女性が選任されたのも初めて。
同協会は毎月のように理事会後に記者懇親会を開いている。石﨑も出席されるはずだ。発言が楽しみだ。男ばかりの組織に風穴を開けていただきたい。
世の中の風と流れを活写せよ Webとの融合目指せ 業界紙の役割
これまで数回にわたって「週刊住宅」の破たんや業界紙のあり方について書いてきた。業界関係者の声を伝えた。これで最後にする。
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国土交通省の記者クラブに投げ込まれるプレス・リリースや各社からメディア向けに発信される情報は毎週100本くらいに達するはずだ。これほど集まれば、コピー&ペーストすれば紙面は埋まる。果たしてそんな記事ばかりを書いていないか考えてみる必要がある。もしそのような記事ばかりを書いていたら何年たっても一人前の記者にはなれない。書いた端から本人も忘れてしまう。
記者が気になるのは、ハウスメーカーやデベロッパーなどがわざわざ発表会や見学会を開いても、そのとき配布されるリリースを引き写したり話の内容をそのまま紹介したりする記事が少なくないことだ。例えばマンションの記事。読者が知りたいのは設備仕様レベルや価格、ユーザーの反響などだが、主催者が「価格は未定」と語ればそのまま「価格は未定」と書く。これは記者として失格だ。主催者の伝えたいことを過不足なく書くのは当たり前だが、読者が知りたいことに迫らなくてはわざわざ発表会に出向く意味がない。客観的な記事などありえない。記者の主観による記事だから読まれるのだ。勘違いしていないか。
プレス・リリースの扱いも考えたほうがいい。毎日発信される情報はほとんどの場合、ホームページで閲覧できる。幸い、不動産流通研究所のWeb「R.E.port」は毎日丹念に拾って記事にしている。解説記事は少ないが、これを読めば日々の業界の動きは分かる。記者は重宝している。舌を巻くほど要領よくまとめられている記事もある。
Webについて。日刊不動産経済通信は有料だから見出ししか読めないが、住宅新報も週刊住宅もお粗末極まりない(なかった)。毎日更新はされているが、掲載されるのは、業界でいうゴミ記事ばかりだ。ゴミ記事を掲載することで週刊紙購読に結びつけようという狙いだろうが、これは逆効果だ。一部でいいから重要な記事を配信するとか、サマリから有料購読につなげるような工夫をすべきだろう。
わが国と単純比較できないが、ニューヨーク・タイムズ(NYT)の電子版有料購読者数が今年1月からの3カ月間で30.8万件増加し、191万件に達したと報じられた。わが国の日経新聞の日経電子版有料会員数は公称50万人。紙媒体との融合に一定の成果をあげている。Webを活用しないと業界紙も生き残れない。充実させれば新たな読者を開拓できるのではないか。
業界紙の取材先であるデベロッパーやハウスメーカーのほとんどはBtoC企業だ。企業が業界紙に求めるのはもちろん他社の動向だが、同時に消費者のニーズはどこにあるのか潜んでいるか、将来はどうなるかのヒントとなる情報だ。いわば業界紙の役割は企業と消費者を結びつける橋渡しだと思う。世の中の「風と流れ」を活写し伝えることだ。この役割を果たすためには担当分野についての専門知識を習得するのはもちろんだが、消費者の視点からものごとを見る姿勢が欠かせない。企業目線と消費者目線はときとして衝突する。その緩衝材としての役割も大きい。
デザイン、レイアウトについても一言。日経新聞が今年3月、日曜日に16ページの「NIKKEI The Style」の連載を開始した。用紙に高級白色紙を使用し、カラー写真やグラフィックをふんだんに盛り込んでいるのが特徴だ。
記者はこの「NIKKEI The Style」に驚愕した。日経の読者からは株式の情報が少なくなったという声が聞かれるが、同社は他の一般紙読者をターゲットにしているはずだ。
一般紙ですら紙面刷新に真剣にとりくんでいるのにわが業界紙は20年も30年も昔のデザイン、レイアウトを踏襲している。ここで細々したことは書かないが、全国紙といういい見本がある。見習ってほしい。
「住宅新報」1紙になったのだから、同紙には「週刊住宅」の分まで頑張っていただきたい。「このほど」などといつの風やら流れかわからない記事を書いていたら、そのうちにどぶに捨てられる。
流れに乗れず逆らえず 記者は病葉か 「週刊住宅」破たんに思う(2017/5/9)
「週刊住宅」破たん わたしはこう考える ④(建築家)(2017/5/9)
週刊住宅」破たん わたしはこう考える ③(不動産流通会社広報担当)(2017/5/8)
不動産流通経営協会(FRK)新理事長に榊真二氏(東急リバブル社長)
不動産流通経営協会懇親会8ホテルオークラで)
榊氏
不動産流通経営協会(FRK)は6月1日、定時総会を開き、新理事長に榊真二氏(東急リバブル社長)を選任した。前理事長の田中俊和氏(住友不動産販売社長)は副理事長に、元理事長で相談役の竹井英久氏(三井不動産リアルティ会長)は顧問に就任した。新任の副理事長には山代裕彦氏(三井不動産リアルティ社長)、田島穣氏(三菱地所リアルエステートサービス社長)が就任した。
総会後の懇親会の冒頭であいさつに立った榊氏は、昨年度の既存マンション流通量が新築マンションの供給量を上回ったことを受けて、「優良な住宅の供給を担う新築住宅市場とストックを活用する既存住宅市場とがまさに車の両輪として市場を活性化していく状況が生まれた」とし、2025年には既存住宅市場の規模を8兆円に倍増させるという国の方針に沿うために3点の重要施策について述べた。
第1点として、不動産流通の現場と行政の橋渡しの役割を担う政策提言と調査研究に力を入れることを上げた。
第2点目には、「消費者が不動産業者に期待するサービスの質は高度化・多様化している」とし、宅建士などがそうした―ニーズに応えられるよう更なる教育研修に注力するとした。
第3点目としては、不動産流通業が「お客さま一人ひとりの夢の実現をお手伝いする情報ビジネス産業」とし、最新の情報技術を駆使してサービスの質の向上と生産性の向上に知恵を絞ると話した。
来賓として登壇した国土交通省土地・建設産業局の谷脇暁局長は、「昨年度は生産性向上元年だったが、今年度はそれを前進させる年」とし、不動産特定共同事業法を改正して、小規模な事業に参画しやすい環境を整えることなどを話した。
谷脇氏
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榊新理事長が新築マンション市場と既存住宅市場を「車の両輪」と語ったことに注目したい。FRKがこのような文言を使ったのは初めてではないか。
消費者にとって、新築、既存住宅、さらに賃貸住宅も含めて選択の幅が広がるのは結構なことだ。「FRKの会員であれば安心・安全」できるようにしていただきたい。
東急不動産 「旧軽井沢ホテル」を取得
「旧軽井沢ホテル」
東急不動産は6月1日、軽井沢の名門ホテル「旧軽井沢ホテル」を取得したと発表した。
同社は会員制リゾートホテル「東急ハーヴェストクラブ旧軽井沢/旧軽井沢アネックス」を展開しており、近接の塩沢エリアでも「東急ハーヴェストクラブ軽井沢&VIALA」を建設中で、2018年7月に開業する予定。
同ホテルを取得することで、軽井沢エリアの会員制ホテルとパブリックホテルを展開できることとなる。
旧軽井沢ホテルは、長野県北佐久郡軽井沢町軽井沢に位置。地下1階地上3階建て延べ床面積約5,800㎡。客室数50室のうち約9割が40㎡超。他に木造平屋建ての教会がある。2015年7月に大規模改修済み。
ラウンジ
「女性のほうがコミュニケーション能力高い」 「じゅうたく小町」参加者の声
「じゅうたく小町部会」一周年記念式典
5月29日行われた全国低層住宅労務安全協議会(低住協)「じゅうたく小町部会」一周年記念式典で、式典の進行役を務めた大和ハウス工業人事部ダイバーシティ推進室次長・鳥生由起江氏は「いろんなことを考えるキックオフの場にしたい」と式典を締めた。
その通りだと思った。日建連「けんせつ小町」が掲げる「もっと女性が活躍できる建設業を目指して」の取り組みも、低住協の「じゅうたく小町」が〝小町クローバー〟に込めた〝住まいを通じてお客様と幸せと安心を提供する〟などの4つの想いは実にわかりいい。
しかし、式典は掛け声ばかりで一向に進まない〝女性活躍〟の実態を浮き彫りにした。2020年までに女性の管理職比率を30%に引き上げようという政府の目標「2030」なんか絶望的ではないか。以下、式典で拾った声を紹介する。男性にとって耳が痛い、ドキリとするものばかりだ。
伊藤氏
・国土交通省大臣官房審議官・伊藤明子氏 これからはモノ・ハコから生活・暮らしの産業にならなければならないが、大事なのはコミュニケーション能力、創造力。これは女性のほうが(男性より)能力が高い
・鹿島建設・須田久美子氏 〝大きなものを作りたい〟というのが私の夢で、大学3年のとき土木はわたしの天職だと思った。周囲の応援があり、阪神淡路のときは24時間仕事に没頭することができた。わたしのこれからの仕事は、100年後に土木が職業人気ランク1位になる100年プランを作成すること
・(入社12年目、子供なし) 最初の3年間は6時に起きて7時半には現場。仕事を終えて家に着くのは9時前。食事は主人のほうが上手
・(入社6年目、二人の子どもとイクメン) 育休のとき一級建築士の資格を取得した。2人目の子どもが生まれたとき主人が育休を半年取ってくれたおかげで早く仕事に復帰できた。主人の協力があるとものすごくラク。本来は男も(家事労働負担は)は同じ(この方は「妊娠発覚」という言葉を用いた。われわれの時代は妊娠が判明すると赤飯をたいて祝ったりした。意図はないのだろうが「発覚」という言葉は現在の女性が置かれている立場を如実に物語っている。戦前の不況期と同じだ。それとも今が戦争の危機か)
・(女性が現場に出ることで変わったことについて各氏) みんなで早く帰ることができた 思ったことがすぐ相談できる 職場がきれいになる 残業が減った 快適トイレは男性も使いたいという声が上がった
須田氏の特別講演
◇ ◆ ◇
3回にわたって「じゅうたく小町」の記事を書いた。熊谷組の黒嶋氏は「みんなで週休2日を実現しよう」と呼び掛けた。鹿島の須田氏は建設土木の仕事が職業人気№1になる100年後プランを考えているという。その一方で、ドアに背中を付けながら用足しをしなければならない建設現場のトイレがあることも分かった。
高邁な理想を掲げる女性がいる一方で、劣悪な労働環境で働いている女性がたくさんいる-このギャップをどう考えるか。残念ながら建設現場の女性の声を経営トップに伝え、実践させるのは極めて困難だろうと思う。この1カ月間、4~5人の経営トップに働き改革ついて聞いたが、全くと言っていいほど危機感など抱いていない。縮小するパイの奪い合いしか念頭にないようだ。
「じゅうたく小町」の皆さん、本気で働き方改革を実行するのなら覚悟を決めたほうがいい。参考になる小説を一つ。最近読み始めた帚木蓬生「水神」(新潮文庫)だ。農民(皆さん)がお上(経営トップ)の顔を立てながら難事を成し遂げる物語だ。
それにしても「全国低層住宅労務安全協議会」(低住協)などといういかめしい名称をよくも使い続けているものだ。記者は全労協(失礼。労働組合と思えばこれはこれで立派)かと思った。「低住協」の「低」もまた低級を連想させる。「じゅうたく小町」にふさわしい名称に変更すべきだ。「全国」組織にすることも急ぐべきだ。
建設現場の週休2日制導入 待ったなし 「じゅうたく小町」参加者に聞く(2017/5/31)
建設現場の仮設トイレ利用しない」 「じゅうたく小町」会員の声をどう聞くか(2017/5/30)
女性輝けないトイレ 「利用しない」公園90%、駅38%、職場30% 国交省アンケート(2017/1/21)
労働環境改善活動にエール 全国低住協「じゅうたく小町部会」に参加して(2016/11/26)